100年俳句計画11月号(No.228)


100年俳句計画11月号(No.228)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。






目次


巻頭リレーエッセイ
八十八


特集
100年俳句計画 大豆プロジェクト
第三弾 枝豆収穫祭!吟行会



好評連載


作品

百年百花
 マイマイ/日暮屋又郎/天玲/河野しんじゆ


新100年の旗手
 ひでやん/時計子


新100年への軌跡
 俳句 安岡麻佑/安里琉太
 評 平山南骨/十亀わら




読み物

美術館吟行/猫正宗

Mountain Cabin Dispatch/ナサニエル ローゼン(翻訳:朗善)

JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭

ラクゴキゴ。/らくさぶろう

ホンヤクサイホンヤク/翻田訳蔵

岡田一実の句集の本棚/岡田一実

鑑(み)るという冒険/猫正宗

mhm通信/キム チャンヒ

続 南極を詠もう!/源泰拓

※今月の「百年歳時記」(夏井いつき)は都合により休載とさせていただきます。


読者のページ

100年投句計画
 選者三名による雑詠俳句計画
  桜井教人/阪西敦子/関悦史

 へたうま仙人/大塚迷路
 自由律俳句計画/きむらけんじ
 詰め俳句計画/マイマイ
 100年投句計画 投句方法

短歌の窓/渡部光一郎

百人百様E-Haiku/菅紀子

俳句ポスト365

一句一遊情報局

疑似俳句対局/美杉しげり

100年俳句計画 掲示板

魚のアブク

鮎の友釣り

告知

編集後記

次号予告





巻頭リレーエッセイ



雨中の躍動
八十八

 予報を信じ、てるてる坊主に祈りを込め、運動会を決行した。だが、開会式まで耐えていた空が、雨粒を落とし始める。
 短距離走の号砲の早打ち。午後の競技の前倒し。昼休みは三十分に短縮。子どもも観客席も一体になって、巻きに巻いた。
 午後、本降りの中で、六年生の表現と選手による紅白リレーを強行。最大の見せ場、メイン種目に、雨中、子どもたちは力強く踊り、声を出し、全力で駆けた。
 閉会式、成績発表も優勝旗授与もテントの中。校歌の大合唱が、天幕を震わせ運動場に響く。観客席から拍手が高鳴った。
 六年生にとって小学校最後の運動会だった。「果たしてよかったのだろうか。」複雑な思いがよぎった。
 後日、六年生に尋ねた。答えは、「雨に立ち向かった最高の運動会となりました。」だった。
 還暦の私にとっても教職生活最後の運動会。一生忘れないであろう「雨中の躍動」だった。


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特集

100年俳句計画 大豆プロジェクト
第三弾 枝豆収穫祭!吟行会



主催 烏天狗&ハイクライフマガジン『100年俳句計画』
協力 まつやま俳句でまちづくりの会

レポート 鯛飯


7月31日 大豆の花
 7月号レポートの最後であねごさんが「今度はなにするん?」と問いかけた。草取りか摘芯の続きで、再び中腰、カメムシとの戦いかと覚悟は決めてきた。「今日は大豆の花を見て下さい。」烏天狗さんの言葉に「へっ?それで?」「見たら棚田経由で白糸の滝へ行きましょか。」

へこきむしここは我等の領域ぞ  雪花

 摘芯の後ぐんと背丈を伸ばして鬱蒼としてきた大豆の枝をかき分けると、小さな紫色の花が顔を見せる。こんなに可憐な花なのかと一同感嘆の声。しかし、歳時記をめくっても「大豆の花」は見当たらない。「豆の花」は蚕豆とえんどう豆の花をさし春の季語。さてどんな俳句になるのか。

喰うだけで生きて来たか枝豆の花は白  日暮屋
枝豆の花ほど暗がりを好む  チャンヒ

 あっという間に作業(?)を終えると、烏天狗さんが栽培している「てっぺん米」と名付けられたコシヒカリの棚田へ移動。約百枚の棚田のほぼてっぺん。皿ヶ嶺連峰からの湧水が一番最初に届くところ。眼下の松山平野めざして山清水が縦横に走り、風は青々と育った稲を吹き抜ける。ちなみに季語の宝庫のような此処は「上林湧水地区」。そのまんまではあるが、いかにも美味しそうな地名ではないか。

滴りを抱きてっぺん米太る  鯛飯

 日暮屋さんが赤とんぼへ指を回してくらくらさせたり、急峻な水路の水苔をつたって移動する沢蟹の邪魔をして遊んだ後は、皿ヶ嶺への道を逸れて白糸の滝へ。蕎麦プロジェクトの時以来二度目の訪問だ。昼なお暗い渓流沿いを20分も登ると、平均年齢50代後半の一団の息が切れる。想像以上の落差の滝が現れるのはちょうどその頃。農作業の長靴のままじゃぶじゃぶと水に入り滝しぶきを浴びる。

何ちゃすることがなくて白糸の滝へ  チャンヒ
ちんたらちんたら滝へまた一つ老い  日暮屋

 時間を半世紀溯ったような無邪気なおじさんおばさん達である。山の向こう側の白猪の滝ほど有名ではないが、森林性の蝶「スミナガシ」にも出会えたりする、絶好の吟行場所でもある。

9月4日 実入り
 前回から1ヶ月が経過。実入りのチェックのために集合した。ぐずつき気味の空模様を気にしながら何本かの枝を抜いて莢をチェックする。う〜ん、莢はまだ少なく、指で触れても実は小さい。これから太ってゆくのだろうが、収穫時を烏天狗さんにゆだねて一時間ほどで解散した。果たしてどうなることか。猛暑の八月に消毒を二回してくれていた烏天狗さんに感謝。

収穫の枝豆の香よ風に乗れ  雪花
まさぐれば枝豆はまだおチンチン  日暮屋
チェックとは枝豆を食う合図だろ  チャンヒ
とらまえてみれば泥酔赤蜻蛉  日暮屋

9月25日 枝豆収穫&ジャズ句会
 台風と長雨の影響を心配しながら早目に到着したが、日暮屋さん、マーぺーさん夫婦は早い時間から作業していたらしく、キャリーの中にはもぎ取られた莢が随分貯まっている。枝の根元にびっしりと成っている莢を持つと、ぷっくりとした粒の手触り。豊作だ。

畦道に座りこんだり豆の花  マーペー
枝豆の畦に猫背の人並ぶ  鯛飯

 次々にやって来る参加者はこれまで最高の12人。引っこ抜き係の男手も増え、目の前に積まれる枝から着々と黙々と莢を切り離す。時折引き抜いたときの泥が飛び散りギャアギャア声が上がる。莢を取りながら、こんな作業を一人でやっていても面白くないだろうなと思う。後日一人で収穫に行ったあねごさんは、「一人だとつまらんかった。しんどいことは仲間がおってお互いの大変さを笑い飛ばしあって軽減できるもんやね。」と語っている。

枝豆の引き抜きにくき雨上り  あねご
枝豆の三つの皮に護られて  蓮睡
収穫の長靴畦を飛蝗かな  恋衣

 つくづくお百姓さんはえらい。
 作業に集中すること一時間あまり。気になっていた皿ヶ嶺方面の雨が背中に当り始めたのをきっかけに作業を終える。その場で分け合い、午後からのジャズ句会へ持ち込むにも充分すぎる穫れ高だ。

凛凛と悟空乗れそな月見豆  野風
枝豆やいずれ劣らぬAカップ  逆ベッカム
枝豆や果てしなきかに三連譜  破障子

 ジャズ句会は、収穫作業から句会に参加した7人を含め24人の大世帯。この現場で茹で上げた穫れたての枝豆のなんと味わい深い事か。全員で旬な季語を味わうという貴重な体験だった。

枝豆の莢あざやかに茹で加減  マーペー
茹でたての枝豆鷲掴みして火傷  ひかるん
枝豆の歯ごたえ響かせて快晴  蓮睡
ストレスをはき出す枝豆弾き出す  マーペー
枝豆よ君は仙豆のようなアテ  千栄子
枝豆を食むつくり手に感謝感謝  猫正宗
枝豆やだめなおとなになるために  しけ

 この句会へ持ち込まれた季語がもう一つ。「新米」。烏天狗さんが、てっぺん米の粒が小さくて出荷できない未熟米を、持ち帰り自由で大盤振舞したのだ。未熟とはいえ食感が少し変わるだけ。通常米と変わらない新米をいち早く味わえたのであった。

新米をすくう厚き手の平よ  逆ベッカム
てっぺん米売ります一合一升一斗一石  逆ベッカム

 6月5日の種蒔き以降4ヶ月。6回の作業で枝豆ステージに区切りをつけたが、今回の収穫は畑の何分の一か。成長を続ける大豆と小豆の最終的な収穫は11月だ。収穫した大豆から豆腐を作り、湯豆腐で新酒を流し込む楽しみが待っている。小豆はぜんざいとなって胃袋を満たす。なんともおいしそうな季語体験へ、「大豆引く」方々絶賛募集中なのだ。

枝豆のパーティーの夜は更けてゆく  暮井戸


100年俳句計画大豆プロジェクト
11月12日(土)大豆収穫!
現地9時集合

追加情報は、メールマガジン「100年俳句通信」にて配信しています。
下記アドレスから登録できます。
http://marukobo.com/mm/


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美術館吟行


第23回

愛媛県美術館
いつだって猫展 吟行会

文 猫正宗


 世はなべて猫ブームなのだそうだ。本展は「江戸後期から明治期まで続いた『猫ブーム』」を通して「日本人がこんなにも猫好きなのはなぜなのか? その猫好き文化の歴史を考え」るとのこと。(図録より)
 初参加の風とんぼ氏を加え、いざ、猫の森へ。
 ところで、猫、お嫌いですか?

木天蓼の欲しや今日の美術展  しんじゆ

第一章 江戸の暮らしと猫
一節 ねずみと猫
 猫は、先ず穀物などを荒らすねずみを捕るために迎えられるものの、ほどなくして愛玩動物としての性格を強めていく。

お蚕に睨みを効かすぶちと白  ころん

 養蚕で忙しく立ち働く人々の間で、どことなくのんびりした猫たち。
 次いで、猫とねずみの大合戦。ねずみたちにしてやられている図が多いのは、愛嬌ゆえか、はたまた野性を失いねずみの後塵を拝していたのか。
 
熱燗で猫鼠交わる夜長かな  風とんぼ

 猫とねずみが酌み交わす図は、「酒に用心」という教訓。もっとも、図を観る限り、「互いに立場もあるしな」とかしみじみ語りあってそう。
 
二節 美人と猫
 『源氏物語』女三宮の件より「不義の恋、恋の執念を連想させる」(図録より)「女三宮と猫」という画題が成立。また、もとより女性的といわれる猫(動物行動学者コンラート・ローレンツに言わせると、一部女性が猫的)。美人画の中で女性らしさや愛らしさを強調する小道具として登場。してみると、竹久夢二の『黒船屋』なども江戸美人画の伝統を引き継いでいるのかも。

美人画も猫もふくよかなる夜長  しんじゆ
猫ひざに君が夢みる月見草  風とんぼ
猫と頬擦り寄せて見る桃の花  ころん
うららかに江戸美人の懐に猫  ひかる

 猫飼いならば誰もがやるような行為を江戸美人もまたしていたようだ。
 さて『名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣』(歌川広重)は美人のいない美人画。描かれたものから猫がいるのは遊郭の一室と知れる。室内飼いできる猫は遊女の無聊を慰める存在でもあったようだ。江戸の人は猫の後姿から、どのような遊女を思い描いたのであろうか。

窓越しに猫も見とれて酉の市  ころん
格子戸の向かう自在に木枯は  恋衣
猫の秋思紅殻格子からは富士  猫正宗
青北風や来世は主と嫁に行く  しんじゆ

第二章 化ける猫
 狩りをする、目が光る、等々、その性質より、猫は妖しのもの、恐ろしいものとも受け取られた。曰く猫又であり、化け猫である。ここでは当時人気を博した化け猫物の歌舞伎絵を中心に。

無月なり破御簾奥に大化猫  ひかる
世知辛き浮き世の月見に猫おどる  風とんぼ
秋の灯に飲まれる人も化け猫も  チャンヒ

 第三章 人か猫か
 愛猫家でもあった歌川国芳。役者を猫に見立てたり、猫を擬人化した戯画、同じく猫好きの戯作者、山東京山と組んだ猫を主役とした絵草紙など、次々と発表、江戸に猫ブームを巻き起こす。現在ならさしずめ、アイドルの猫コスプレやマンガの『アタゴオル物語』(ますむらひろし)や『綿の国星』(大島弓子)みたいなものか。

猫が人に人が猫になる夜長  ひかる
流行猫の戯ざんまい花野花野  ひかる

第四章 福を招く猫
 一方で魔性のものとされながら、他方では福を招くとされる猫。土人形や招き猫の源流、一大ブームを巻き起こした丸〆猫が迎えてくれる。中には共同ごみ捨て場から復元されたものも。
 
金風や捨てられてなお福招き  猫正宗

 さらに全国各地の個性的な招き猫がズラリ。これだけ多くに招かれたら、人も福も「猫じゃ猫じゃ」と踊りだしてしまいそう。

右手上ゲ左手ヲ上ゲ恋ノ猫  恋衣

 最後に第五章 おもちゃ絵の猫を経て本展は終わる。本誌でご紹介できたのはほんの触り、猫の森はまだまだ広大である。
 それにしても、江戸の人々と平成の世の我々、猫に対する視線がほとんど変わらない。どうやら私たちと猫の関係はずいぶん早くから完成していたようだ。
 ところで、やっぱり猫、お嫌いですか?
 
冬隣猫は背中でものを言い  チャンヒ



飼い主は遊女秋光に猫は暮れ  チャンヒ

狂言の客も化け猫黍嵐  恋衣



猫正宗
メガネ句会&JAZZ句会が主な作句場所。本誌にて「鑑るという冒険〜映画篇・演劇篇〜」連載中。


次回吟行会
大洲市立博物館吟行会
大洲市中村618-1(社会教育センター4F・5F)

10月30日 朝10時現地集合
入館無料(その他実費)
申込締切:10月27日
*学芸員である其蜩さんに案内して頂きます。

『100年俳句計画』編集室までお申し込み下さい。
TEL 089-906-0694

吟行ナビえひめ
http://iyokannet.jp/ginkou/


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百年百花


大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2016年度 第二期 最終回


太平洋
マイマイ

橋よりは釣瓶落しの帰路なるよ
締めらるる血圧計や雁渡る
コンビニに夜長のあれやこれや選る
銀漢の果てにインターチェンジかな
SAに饅頭を買う虫時雨
夜を潜り抜けトンネルの明るしよ
ビル群の己が明りと月明り
戻り鰹にプロメテウスの火を賜ふ
川音高くみづ碧く澄む沈下橋
秋声のひとつは鳶の漂泊す
葛花や黒き弧を成し太平洋
絶命の小鳥のためのパヴァーヌを

1966年愛媛県生まれ。
最近iPhoneの犬猫動画アプリにはまってます。
本当は撫でたい!


まっすぐな道
日暮屋又郎

ポツンと老け顔亥の子痕に水たまり
火鉢寄り切る千秋楽の大一番
天然か養殖か無視する鯛焼き屋に再度訊く
おまえの中古など吸いたくもないぜ白息
鶴らめ図に乗って天然記念物が武器
都こんぶでナンパするデイケアのひなたぼこ
干した蕎麦痩せゆく空の青さ
今ぞ黄身割るタイミング鍋焼最高潮
つぶしの利かぬ男おり絨毯に煙草跡
まちがいで許されようか河豚雑炊
すぐに知らせたいけど隼がいないんだ
山頭火にふりきられたまっすぐな道

1959年2月生まれ。現代俳句協会会員。自由律のひろば会員。第三回、第五回、大人コン優秀賞受賞。句集『デカパンのピカソ』出版。俳句というフィールドをめいっぱい楽しんでいる。


ある日の対局
天玲

無窮花や果てより来る海の民
雲海の上の社の万年青の実
社食の窓に百万石の春の城
お城下に坊っちゃん書房ある良夜
古書店を独り漕ぎ出す春の闇
冤罪や独活のぽすんと折れがたし
飲みこんでしまう白玉罪と罰
原罪の頁閉じる辞書桜桃忌
椋鳥の目つむるごとく閉幕す
鶺鴒の叩く尾の黒幕はだれ ?
ほうき星叩いて閉じる紙の箱
箱庭の花枯れきらぬ淋しさよ

1969年生れ・愛媛県大洲市在住・穂積書道教室俳句部。「俳都松山宣言2016〜十七音が景色を変える〜」俳句対局出場予定。



河野しんじゆ

三宝に伸びしたやうな新生姜
浪被る社へ赤き秋の蟻
すすきすすき腹擦りながら曲がる峪
彫刻に昨夜の雨や秋気澄む
数奇なる運命の絵に月白し
月光や指笛に呼ぶBMWよ
助手席の猫のびあがり恋ふ秋野
尾と髯の生えてきさうな木通の実
人を焼く事も生活吾亦紅
檀の実いつも待つてゐる私
七竃高し採掘跡の小さき空
遺品なりソファーの下の櫟の実

1955年生まれ。第4回、5回大人コン優秀賞受賞。
俳句の神様であった愛猫のマイケルが亡くなって一年。
ペットロスも吟行に出歩けるまで回復、茶トラに出会うと「マイちゃん!」と呼んでしまう。


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新 100年の旗手


読者投稿による3ヶ月連載作品集
(2016年10月号 〜 2016年12月号 2/3回目)


仲秋の体言止め
ひでやん

八千草のまだ頑張つてゐる証
三両目通過中なり秋桜
国旗並びに校旗降納秋の風
廃校の窓に重なる秋の色
来週は刈り取らるるを稲雀
戦ぎたる狗尾草へ嫉妬の眼
押し花の栞見つけて秋の声
天球の句点や秋の一つ星
提灯の揺るる夜長の小だんじり
身に入むや黙読したる唐詩選

1968年愛媛県生まれ。俳句歴3年数ヶ月。俳句甲子園に携わって9年。現在、俳句甲子園実行委員会一般ボランティア委員長。


しぃとん
時計子

秋晴れに小さく猿の宙返り
鹿撃たれて心に横たわるまま
秋めくマジシャン胸に鳩の静か
冬が来るミジンコいくら叫んでも
呑気なる臍を集めて焚火の輪
冬園閑かペンギンの眼はファラオ
白鳥の首して兄達の並ぶ
名を付けられて兎は震えり
関節をどこか外していて海鼠
その夜も尾を抱き眠る銀狐

最近見た映画「怒り」、読んだ本「ことばの食卓」、作った物「刺し子のふきん」、歌った歌「愛のさざなみ」。


2016年度第4期連載者募集中  締切11月15日(火)
応募内容 2017年1月号に掲載できるタイトル付の10句
応募先  Eメール magazine@marukobo.com 件名に必ず「100年の旗手応募」と明記して下さい。
      (郵送またはFAXでも受け付けております。詳しくは編集室までお問い合わせ下さい。)


100年俳句計画作品集
100年の旗手
第4期連載者募集のお知らせ

 「100年の旗手」は、年齢や俳句の経歴に関わりなく、本誌にて作品集の発表が出来る場として、新たにスタートを切りました。
 そこで、毎月10句3回の連載に挑戦する方を募集します。2017年1月号に掲載できるタイトル付きの10句の作品集を、Eメール、または郵送 FAXにて本誌編集室までお送り下さい。
 編集室にて連載者を決定し、掲載いたします。
 多数の挑戦者をお待ちしております。

募集内容 2017年1月号に掲載できるタイトル付きの10句
応募先  
Eメール magazine@marukobo.com
     *件名に必ず「100年の旗手応募」と明記して下さい。
郵送   〒790ー0022 愛媛県松山市永代町16ー1
     有限会社マルコボ.コム「100年の旗手」応募係 
FAX  089ー906ー0695
2016年度第4期締切 11月15日(火)必着


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新 100年への軌跡


2016年度 第二期 最終回


秋風
安岡麻佑 

秋風を帰るところと定めたり
辛ければ辛いと言へよ稲を干す
スポイトに乾かぬところ冬に入る
文化の日高さ揃はぬ椅子並べ
礼状に文字詰め込んで後の月
冬浅し袖を掴むにいはけなく
図書室に人のまばらや神送り
野良猫の逆立つ背中石榴の実
枯野の色瞼とぢればそれは夢
綿虫の生きどころなく吾が肩に
梟の眼に惑星の渦巻けり
小春日の迷つたときは右折する
おでん喰ふ睫毛を離れたら涙
蟷螂の祈る形のまま枯るる
新蕎麦啜る詭弁屋を友として

安岡麻佑
 1995年生まれ。第13、14回俳句甲子園出場。現在は関西俳句会ふらここで大阪を起点として活動中。


青春狂想曲
安里琉太 

さういつて君が泣きだすキャンプかな
青蔦を覗いて色の無いむかし
ヨット数へて哀しみをあふれさす
黒服の男が避暑にさすぺんす
胃の痛みからかうもりの日暮れまで
蟻つぶれそれとなき木が立ち尽くす
蟻に立つ身体をみづの駆けめぐる
逆光の新樹が僕を包んでゐた
睡るまで蛾の灼眼が高みにある
向日葵に楽器をやめた僕がゐる
かなかなは兄の渇きの中に棲む
見る雲もなく墓洗はされてゐる
恋いつかぬるい葡萄を分かちあふ
日蝕や秋はしづかな父の椅子
鳥飼つて桃の腐食をじいつと見る

安里琉太
 銀化 群青同人。俳人協会会員。第十六回銀化新人賞、第二回俳句四季新人賞奨励賞受賞。



涙と胃の痛み
平山南骨

秋風を帰るところと定めたり  安岡麻佑
 表題句。きっぱりとした味わいは良いのだろうが、何か物足りない。

野良猫の逆立つ背中石榴の実  安岡麻佑
 逆立っているのは背中の毛だと思うが野良猫と石榴は良い雰囲気。

おでん喰ふ睫毛を離れたら涙  安岡麻佑
 泣いてなんかいないもんということだろう。おでんが少し面白い。
  
胃の痛みからかうもりの日暮れまで  安里琉太
 とてつもない二日酔いからの回復の経過を示していると受け取ってよいのだろうか。

蟻に立つ身体をみづの駆けめぐる  安里琉太
 この体は自分の体、人体だろう。炎天下、おそらく心拍数も血圧も通常時より高めのはず。

恋いつかぬるい葡萄を分かちあふ  安里琉太
 ぬくい刺身が出てくる上方落語があったように思うが、題も筋も忘れてしまった。

平山南骨
 1968年生まれ。2005年より作句開始。「鷹」同人。


最終回を迎えて
十亀わら

おでん喰ふ睫毛を離れたら涙  安岡麻佑
 泣くまいと堪えているのかと思う。驚かせてしまうから。本当に哀しくなってしまうから。睫毛を離れさえしなければ涙にならないのだから。熱いおでんから立つ湯気と出汁の香りが優しくて、それでも涙腺を緩ませる。
文化の日高さ揃はぬ椅子並べ  安岡麻佑
 文化の日に何かイベントが行われるのだろうか。小さな規模のもので、ありったけの椅子を並べて客用椅子にするのだろう。高さにだけ焦点を当てて「揃はぬ」とした安岡さんの巧みさ。揃わない椅子もまた文化の日らしい。
睡るまで蛾の灼眼が高みにある  安里琉太
 安里さんはタイトルで一工夫して見せた。この句、難解だが不気味な魅力がある。人物の眼が閉じられるまでは蛾の灼眼は高みにあり、次に開いたときには蛾はいないということだろうか。強い何かに見張られているような、それも一時のことだというような、不安定な感覚。
日蝕や秋はしづかな父の椅子  安里琉太
 男、兄、僕、父、と男性が今回はよく登場する。日蝕が父なら月蝕は母だろうか。日は隠されながら何とか世界を照らそうとする。父の椅子に本来の持ち主の姿はなく、秋の風だけが静かに通り過ぎる。美しく印象的な一句。

 お二人の「100年への軌跡」最終回ですね。本当にお疲れ様でした。

十亀わら
 1978年愛媛県生まれ。2000年「詩学」新人推薦。2005年「俳句界賞」受賞。


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Mountain Cabin Dispatch


ナサニエル ローゼン(訳 朗善)
山梨で暮らす世界的チェリスト ナサニエル ローゼンのHAIKUとエッセイ

No.40


Golden mountain road
Dry rustling falling leaves and twigs
Crushed beneath wet tires

黄金の落葉の道を走り抜け

(直訳)
黄金の登山道
ぱりぱりに乾いた落葉と小枝が
濡れたタイヤの下に砕ける


 This week we are playing concerts and are hoping for success. We have prepared well and forgive ourselves in advance for any flaws. I am with old friends and colleagues and we share the excitement. Like boxers in the ring, we must "let our hands go".

 今週、僕達は成功を期して、トリオコンサートに臨む。準備は万端。あらかじめ許し合おう、何が起ころうとも。旧友と仲間と共にこの興奮を分かち合うのだ。リングに上がるボクサーみたいに、”拳の赴くままに”戦うのだ!


ナサニエル・ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。2013年7月より山梨へ移住。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文 白方雅博(俳号 蛇頭)

第68話
ジャズドラマー 堤 宏文   


金風や堤宏文という楽器  みしん

 今回の主人公、堤宏文ことマミコンさんご自身の句「KKD(後期高齢ドラマー)美女とコラボさ鰯雲」に千栄子さん捨て身の26音句「マジックドラマーフォトグラファーあと50年秋深し」を加算。美女=タップダンサー宇川彩子とジャズドラマー堤宏文のコラボは、それあるかもなんて思わせてくれるエネルギッシュな映像とサウンドだった。しかし、このマミコン=楽器というのは千栄子さんの句にある彼の三大才能のことである。これを金風が際立たせてくれた。

始まりはラヂオ少年冬銀河  蛇頭

 「バックルはでっかいスタア鬼胡桃」ジーンズに原色系シャツ。マミコンさんの臍下に鎮座する星は、おっちゃんが手放さない少年の象徴のように見えた。これを見逃すことなく切り取ったのはJAZZ句会初参加のしけさんである。本格的な真空管ラヂオを自作する少年の指は、やがて岩国基地の米軍ラヂオ放送をクリアに捉える。

青春の連打連打天狼を射よ  南行ひかる

 昭和36年、ラヂオ少年は20歳の青年となっていた。この年にマミコンさんはドラマーとしてデビューした。譜面の読み方も知らなかった青年が追っかけたものは憧れと夢。猛練習は数ヶ月で彼を松山の某キャバレーの看板ドラマーに仕立て上げた。

ドラム譜のバツとは流れ星のおと  桜

 「美空ひばりと石原裕次郎以外の大物歌手のバックは殆んど演ったよ。譜面は当日配られるので初見。それができないと仕事にならない」女性ドラマーで19歳の桜さんも今回初参加。マミコンさんの凄さを一番感じ取ったのは彼女かも知れない。

フレームをはみ出す冬のドラムソロ  チャンヒ

 昭和59年、カウント・ベイシーの訃報にマミコンさんはショックを受ける。で、翌年会社(そう組織人だったのです)を離れ、ミュージシャンを招いてライヴをプロデュースする仕事をスタートした。

さりさりとブラシで入る時雨かな  破障子

 しかしこの仕事、厳密には業≠ニなっていない。「黒字だったのはヘレン・メリルのコンサートだけかな、トータルすれば赤字で家を一軒買えたよ」と、にこやかに語るマミコンさん。お金じゃない人儲け≠フ業なのだ。

ドラマーの眼鏡の奥の冬ぬくし  南亭骨太

 僕の年代だとキャバレー「ナイトシアターパレス」といえば松山市南町、現「ひめぎんホール」の向かいにあった。なのだが、元々は一番町の現「松山全日空ホテル」の処にあって火災で移転を余儀なくされたらしい。そして昭和61年に閉店した。マミコンさんはパレスお抱えのドラマーで、バンドマスターも務めていた。南亭骨太さんは同バンドの元トロンボーン奏者。今回一番人気句を詠んだ破障子さんに続き人気句を提供してくれた。



「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の毎月第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は月曜日の21時〜22時。

次回のJAZZ句会は、11月23日(水・祝)13時より。テーマは、カウント・ベイシー・オーケストラでも活躍したドラマー、ブッチ・マイルス。アルバムは「ベイシー・イズ・バック」です。参加希望の方は、本誌44ページの句会カレンダーを参照してください。


このコーナーで紹介した俳句とエッセイ、堤宏文さんの写真とを組み合わせた『JAZZ HAIKU』vol.1、vol2(マルコボ.コム)を発売中。


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ラクゴキゴ


第六十八話

文・俳句 らくさぶろう

『狸の札(さつ)』
〜 噺の中の狸はどれも憎めない 〜

 子供が子狸をいじめていたので、男は「子供同士でいじめちゃだめだ。買い取ってやるから向こうへ行け。」と子供たちを追い払った。
 墓参りに行った帰り、いいことをしたと家に帰って布団にくるまり寝ていると、夜中にあの子狸が訪ねてきた。
 話をきくと、穴に帰って親に話すと「恩返しに行ってこい」と言われたから来たという。
 男は帰そうとするが、子狸いわく「このまま帰ったら親父に“人間にも劣るやつだ”と叱られます。」
 まあそれならしばらく家にいるかと、その夜は寝たのだが、翌朝男が起きると朝食の支度が出来ていて、酒まで用意してある。
 男はふと思いつき、子狸にこう頼む。「俺は今金に困ってるんだ。葉書を金に換えてほしいんだが狸なら出来るだろう?」子狸は「それはダメです。葉書だと相手に渡ると戻ってしまいますから。じゃあ私が札に化けますので、そうしましょう。」と5円札に化けてしまった。
 びっくりした男、手にしてみると裏は毛が生えている。「毛はダメだ。毛を取れ。」と言うと毛は取れたがノミがはい出してきた。
 そうこうしているうちに借金取りがやってきて、4円30銭払ってほしいと言う。「おつりはいいから持っていきな。ただこの札をあまり回すなよ、目を回すから。」などと注意しつつ、借金取りは札を懐に入れて帰って行った。
 しばらくすると子狸が帰ってきた。「親方、あんまり色々変なこと言うから家を出ると天日に透かしたり引っ張ったり、しまいには小さくたたんでがま口にパチンと入れられちゃったんです。あたしねえ、苦しくなって小便やっちゃった。」
「ええ!! 小便しちゃったのか?」
「もういられませんから、バリバリ横っ腹食い破って逃げてきました。横見ると1円札が3枚ありましたんで、くわえて帰ってきました。」
「おい、札が札持ってきちゃいけねえ。」

 落語には狸や狐がよく登場しますが、狐はどちらかというと悪者。狸はどこか憎めない役回りを演じてます。
 狸の噺は軽いものが多く、この「狸の札」も5、6分で演ることが出来、子供にも分かりやすいので寄席ではよく演じられています。
 他にも狸がサイコロに化けてくれてそれを持ってばくちに行って大失敗してしまう「狸賽」とか、狸を鯉に化けさせ親方の家に持っていくと料理されそうになり、鯉が積んだ薪を伝わって窓から逃げたので「あれが鯉の薪(滝)のぼりです」という地口(シャレ)で落とす「狸の鯉」という噺があります。
 ほかにも「狸の釜」という噺もありますが、共通しているのは助けてやった狸が恩返しに来るという設定です。
 大学の落研で、後輩に噺を選んでやるときに、女性の場合とても悩みます。もともと落語は男性が演じるように作られているので、それを女性がやると鼻についたり似合わなかったりするんです。
 ただ、狸の噺は女性によく合います。子狸を演じると可愛く、声の高さもちょうど合ってるんです。
 現在の愛媛大学落語研究会の部員は、総勢で60名を超えているそうで、噺を選ぶのだけでも大変そう。
 女性には狸の噺を、と勧めてみようかな。

この人は狸か狐か俳人か


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ホンヤクサイホンヤク


翻田訳蔵

 俳句初心者、翻田訳蔵がネット上の翻訳ソフトを使って名句を翻訳、再翻訳し、そこからインスパイアされた(パクッた)句を発表していこうという馬鹿馬鹿しくも実験的で図々しいコラムです。

今回の俳句
行く秋や風白うして象あり  北原白秋 

 さっそく、Google翻訳(日→英)から。

There fall and wind Shiro and elephant to go

 やはり、象(すがた)はelephant(エレファント)に訳されますよね……。
 では、再翻訳(英→日)

そこに落ちると風史郎と象が行くように

 底に落ちると風が吹いてきた。それは史郎と象が行くような風であった。史郎と象はどこへ行くのでしょう? なんだか悲しい物語を想像してしまいます。

 続いて、エキサイト翻訳(日→英)

The autumn which passes and wind white U, please, with elephants
 再翻訳(英→日)

秋 which パスおよび風白U ゾウでどうぞ

 「ゾウでどうぞ」が「ゾウどうぞ」だったら、回文だったのになぁと思いましたが、全体を眺めてみると暗号文のように見えますね。 
 目的地にたどり着いた史郎と象は、まず「秋、which、パス」とキーワードを打ち込み、続いて「風、白、U、ゾウ」と打ち込んだ。

 最後に、Yahoo!翻訳(日→英)

There are autumn passing by and wind white うして elephant

 再翻訳(英→日)

秋のように通ることと風白いうして象がいます

 キーワードを打ち終えた史郎と象の目の前に、「秋のように通る琴」と伝説の象「カゼシロイウシテ象」が現れた。つづく。

 それでは、この3つを受けて一句。

ぞうどうぞどうぞどうぞと秋の風  翻田訳蔵


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岡田一実の句集の本棚


文 岡田一実


世界を俳に
赤野四羽 著

発行:マルコボ.コム(2015年初版)
36ページ
定価:本体700円+税

蝶々の遺伝子楚楚と灼けていく
 夏の日に照らされる蝶々は遺伝子ごと灼けている。しかも「楚楚と」というのであるからその美しさは際立っていることであろう。その遺伝子の配列もまた「楚楚と」連なっている。
目に見えず耳に聴こえぬ黄泉戸喫
くろぐろと影の焼きつく蛇衣
水澄むやアウシュヴィッツを薄めて撒く
蔦紅葉廃炉の錆にすがりつき
 蔦紅葉の鮮烈な赤が縋り付く錆びた廃炉は死につつ生を帯びるような華やぎがあり恐ろしく感じる。
ひかりあれひかりないとき亀は鳴く
 新約聖書の創世記、神は「光あれ」と光を作ったという。神の不在をみて亀は鳴くのだろうか。
制服の群れが沼よりまろび出る
小鳥来て椅子の翁を啄めり
わたつみに人魚啄ばむ鶚かな
てろてろと歩めば春の戦場へ
牡蛎剥いて遠い砂漠の民と泣く
 無季の手触りと有季の硬質な詩心が句集を彩っている。
 第34回現代俳句新人賞受賞作家のミニ句集。


鳥風
大石香代子 著

発行:ふらんす堂(2015年初版)
215ページ
定価:本体2,667円+税

 著者の第三句集。
琴柱ほど冷たき蛍かと思ふ
 蛍の光は熱を帯びない。その冷たさを「琴柱ほど」と言いとめたことで、物としての冷たさと同時に音楽的な響きの冷たさも伝わる。
舟遊びいつとき葛のにほひけり
湿原の花みな低し馬柵の霧
近づきて何か失せけり露葎
 遠景から近景に移った時「何か」が失われ、途方に暮れる。喪失感による美の有様。
瓦斯灯の門司のしぐれとなりにけり
遠き木をつねにこころや手毬唄
揚羽蝶滝のしぶきに煽られし
秋水や発つといふこと鳥にあり
地芝居のぱたりと山を落しけり
花冷や水のごとゆく鳥の影
 微細な感覚が瞬間の美をとらえる。
 装丁、和兎。帯、小川軽舟。
 「鷹」同人。


岡田一実(おかだ かずみ)
 2014年「第三回 大人のための句集を作ろう!コンテスト」優秀賞受賞。2014年「浮力」にて現代俳句新人賞受賞。現代俳句協会会員。「いつき組」所属。「らん」同人。第二句集『境界 ―border―』(マルコボ.コム)。


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超初心者から中上級者まで楽しめる

100年投句計画



 「100年投句計画」は、読者の投句コーナーです。

 「選者三名による雑詠俳句計画」は、雑詠句の選句欄です。投句の中から先選者二名が、それぞれ天地人の句を選び、先選より漏れた句の中から、後選者が特選、並選を選んでいます。選者は、関悦史さん、阪西敦子さん、桜井教人さんです。

 「へたうま仙人」は、ヘタな句を褒め、巧い句を追放する、世の選句欄とは真逆のコーナーです。どんなにヘタな句でも褒めてくれるので、自分の俳句に自信のない方、何はともあれ褒めて欲しい方に最適(?)。担当は大塚迷路さんです。

 「自由律俳句計画」は自由律俳句の選句欄です。自由律俳句に挑戦することで、自由律俳句ならではの楽しさを味わうと共に、有季定型の俳句との思わぬ共通点も見えてきます。選者は、きむらけんじさん。

 「詰め俳句計画」は、マイマイさんによる、二つのフレーズに合う季語を投稿するコーナーです。季寄せや歳時記さえあれば、全くの俳句初心者でも挑戦できます。

(投句方法は「100年投句計画」コーナー末尾参照)


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選者三名による 雑詠俳句計画




先選者 関悦史

 短歌の若手アンソロジー『桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表』(山田航編著)が好評を博していますが、同じ左右社が、俳句でも一九六八年生まれ以下の若手アンソロジーを出すようです。編者は佐藤文香。俳句ではこの数年の間に『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』『関西俳句なう』などが出ていますが、今回は公募枠がある模様。詳しくは左右社のホームページの九月十六日付の「お知らせ」をご覧ください。


ここは追憶のつづまり蚯蚓鳴く  緑の手
 普通「回想」とか「思い出」などの単語をじかに入れた句は、作者個人の記憶にいきなり共感を強制されることになるのでうまく行かないのですが、この句の場合、「追憶」の中のことを描いているわけではなくて、それを実体感のあるひとつの場として提示しています。自分の物思いの果てにまで来てしまい、そこが蚯蚓が鳴いているのが聴こえるほどの静かな寂しい場所だったという、内宇宙への旅の趣きのある句になっています。


95枚の棚田に老いる案山子かな  ぺぷちど
 棚田の枚数が明示されているところがポイントで、ここだけで斜面をうねり上がっていく田の風景があらわれ、句として成立しています。「老いる」は擬人法になるので、なくて済めばその方がよかったかもしれません。

雨匂ふ銅葺き屋根と黄のカンナ  小雪
 モチーフは湿っていても、句としては余計なことを言わずに物だけ出しているハードさが快感。雨に濡れた銅の匂いと、黄のカンナで嗅覚、視覚両方から景が立体的に立ち上がってきます。

気が付けば曾孫八人菊日和  誉茂子
 「孫」もいい句にならない句材の代表なのですが、ここでは孫や曾孫そのものではなく、立場の変化が主題になっています。「気が付けば」のさりげない出だしで目出度さが押しつけがましくなっていないのも長所。

日の丸の下たこ焼きを食う小春  暮井戸
 祝日の何かのイベント会場の景のようで、不吉で悲惨な方向への連想も孕む「日の丸の下」がごく個人的で穏やかな「たこ焼き〜」に繋がるところに意外性もあり、平和を声高に訴える句よりも結果として効いています。

どの鳥も止まつてみたる案山子かな  遊人
 鳥を追うための案山子に鳥が平気で止まっているという句は珍しくないのですが、「どの鳥も」で句の狙いが可笑しみよりも、案山子と雑多な鳥たちとの交歓と自足に移り、奇妙な幸福感のようなものが出てきています。


月明の牛舎に産声上がりけり  柝の音
ハリマオの行くや月下のユーラシア  藍人
音読をくり返す母夜半の秋  幸
しんねうにくねる筆先冬うらら  久我恒子
とりどりに転ぶ酒瓶鳥渡る  凡鑽
眼窩てふ小さき窪み秋の草  越智空子
繋がれし点滴数ふ夜長かな  風さら紗
肌寒や石油工場の夜は浮島  しのたん
子蟷螂迷込みたる風呂場かな  喜多輝女
胡桃ふる廃工場のトタン屋根  彩楓


先選者 桜井教人

 小さな幸せを感じる時間というものをだれもがもっていると思うが、私の場合は今治タオルを使うときだ。朝のひげ剃り、洗面の後、今治タオルで顔を拭くときに何とも言えない幸せに包まれる。郷土愛もあるだろうが本当に他のタオルとは違うのだ。もちろんバスタオルも同様である。ただし吸水力に優れている分、ぶ厚く洗濯後に乾きにくい。なのでバスタオルについては晴れが続くときでないと使ってはいけないと妻に言われている。まあ、たまにだから幸せなのだ。


雨匂ふ銅葺き屋根と黄のカンナ  小雪
 上五の「雨匂ふ」の置き方が上手い。雨という視覚的情報、匂うという嗅覚的情報を瞬時に呼び起こす。あかがねの色もしくは緑青の色と、カンナの黄色が雨によって際立ってくる。匂いも同様、雨と銅とカンナが交じった匂いを想像すると不思議なリアリティーを感じる。銅板葺きの代表はかの名古屋城だが、大きな建物ではなく、小さな手水舎を思い浮かべた。雨の中、大切な願い事に来たときのさりげない景の切り取りが実にやさしい。


秋の日やただ遊ばせる足の指  dolce
 「なすことがないのに秋の海を見に」という好きな句を思い出した。ただ遊ばせるには単純かつ深い思いがあるのだろう。それこそが秋の本意ではないかと思う。秋の句は単純であるほど奥が深い。

秋声を聴くため耳を調律す  藍人
 音が出る方ではなく聴く方を調律するという逆転の発想。しかし妙に納得できるのだ。
ただ秋声だからこそ成立するのではないかと思う。私も耳の調律が必要だが、秋声を聴くことにより調律されるような気がする。

秋澄むや駅舎に点字運賃表  さより
 空澄む秋の日、どこかに出かけるのだろうか。行き先までの運賃を手でなぞって調べるその指先も秋を感じているのだろう。周りの空気もとても優しい。季語を上手く生かし、俳句の王道たる型をもつ句。

すぐ終はる瓦斯の点検青蜜柑  どかてい
 「点検をする側」として読んでも、「してもらう側」として読んでも共に面白い。どちらかというと「してもらう側」の読みが好きだ。顔なじみのいつものガス屋、点検が終わったら渡そうとすぐに青蜜柑を準備する。何気ない光景が温かい。

駅長は床屋と兼務をみなへし  松尾千波矢
 う〜ん、床屋と駅長の兼務? 自宅の最寄駅では駅前の八百屋で切符を売っている。それに似たようなものなのだろう。田舎の床屋と駅ののんびりした空気感。住んでいる人もいい人ばかりなのだ。


満月のまつたき鹿毛や水の底  優空
鵙の贄落とす涙のなまぬるし  出楽久眞
かなかなや騙されやすき友をハグ  凡鑽
秋うらら版画作家のトークショー  誉茂子
野菊あげやう虚しきテロリストに  越智空子
君からの「今宵名月」てふメール  喜多輝女
星屑の金をこぼして秋蝶は  緑の手
喪の家の白湯吹きさます秋黴雨  大阪野旅人
蟋蟀や「ふみきりちゅうい」なる緋文字  ひでやん
車椅子押して明日へ今日の月  ミセスコナン


後選者 阪西敦子

 水星逆行というそうだ、占星に詳しい友人が教えてくれた。地球から水星が逆行して見える時期、思いもよらぬトラブルに見舞われる。映画館でスマホの電源を切ったら、二度と電源が入らなくなった。数日前から手帳も見当たらず、翌週の予定も、友人の連絡先もわからない。お手上げだ。仕方なく機種変更、すると保存していた画像が消失。さらには旅先でその新しいスマホも紛失……。しかし、水星逆行は物事を取り戻せる時期でもあるらしい。実際手帳はベッドの隙間から見つかって、新しいスマホはタクシー会社で預かられていた。そして水星逆行を抜けるその日、ふと開いた写真フォルダに果たして画像が戻っていたのだ。

特選句
花葛や母背伸びして手を振つて  てん点
 吊り下がって咲く葛の花は、その姿というより、香りと影によって気づかされることが多い。そんな花葛にふと気づいたのは、母の懸命に手を振る様子に目をやった際。出会いの時か、別れの時か、離れ住む母の目立たないけれど印象的な仕草をあとに残す。

コスモスや気球前方湖青し  風さら紗
 コスモスの群れの上を気球が行く。風はコスモスから吹いてくる。まばらにも途切れのない広々とした野に唐突に水面が開く。湖は青。過ぎれば失せてしまうような、一瞬の青。

駅中のコインロッカー野分かな  ゆりかもめ
 野分で人がまばらな駅か、混み合う駅か。いつもと違った姿の駅に、ふと濃くなってくるコインロッカーの存在。扉の中には、野分とは切り離された静かな闇。ばたりばたりという扉の音が満ちてゆくようでもある。

並選句
ぽこぽこと配られている秋の雲  小市
人去りて水場に秋の戻りけり  迂叟
なれし手の菊人形の肩支え  レモングラス
秋球根植う名札の影が触れぬやう  もね
置きざりの楽園にゐて曼珠沙華  優空
月に泣く絶食入院療養中  和音
秋の雨跳ねるお堂の屋根反りぬ  富士山
足軽のごと散り散るや稲雀  夜市
シャークつりに客の居らんと放生会  かのん
芋煮えて総代の頬緩みたる  南亭骨太
溢蚊の吸われ鐘撞堂の闇  ほろよい
足湯して入道雲をぶっ壊す  波野
盲導犬の寝そべる電車秋涼し  一走人
新涼やスポーツクラブ申し込み  ぴいす
看板は遊泳禁止鰡跳ねる  おせろ
秋蝶のやがて水辺に戻りくる  板柿せっか
番号でうける面接秋の草  うに子
木の実落つ三角屋根の児童館  内藤羊皐
挑むよう冬夕焼けの背の真黒  台所のキフジン
縦に割るチーズトースト小六月  どかてい
虫の音の何と賑やか月明かり  カシオペア
水をやる妻の植えたる茗荷にも  青柘榴
行秋や止めては回す万華鏡  彩楓
水鉢の名月掬ふ旅の宿  西条の針屋さん
音もなく背に一撃の栗の毬  八木ふみ
雨粒の跳ねてはじける鳳仙花  あおい
流れ星燃えながらにも青白く  弘子
太刀魚ののぼりつくして背鰭立つ  人日子
一粒で舌に染みけり山ぶだう  童夢U世
帰路の橋鰡の二三度跳ねる音  風海桐
栗とリスあしらわれおり菊花展  エノコロちゃん
高く低く琉歌のしらべ望の夜  哲白
月の夜重きあかるき吾の世界  アンリルカ
夏の夜の回りつかれし観覧車  鯉城

関悦史(せきえつし)
 1969年茨城県生。「豈」同人。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』(以上、邑書林)、『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(以上、草思社)他。

阪西敦子(さかにしあつこ)
 1977年神奈川生まれ。1985年より作句、および『ホトトギス』生徒児童の部へ投句、2008年より同人。「円虹」所属。 2010年、第21回日本伝統俳句協会新人賞受賞。共著に『ホトトギスの俳人101』『俳コレ』など。

桜井教人(さくらいきょうと)
 1958年愛媛県生まれ。愛媛県公立小学校教員。いつき組。子規顕彰松山市小中高校生俳句大会選者。第2回大人のための句集コンテスト優秀賞。第24回・29回俳壇賞候補。


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へたうま仙人


文 大塚迷路

 うかうかしておったら、秋の歳時記を仕舞う季節になっておるぞ。いかがお過ごしかな? 今月も、歳時記の存在を拒否する句から歳時記の存在すら知らない句まで多種多様に届いておるぞ。背筋はそのままでゆっくりとお楽しみくだされ。

朝親父ぐびつぐびつと氷漬  KIYOAKI FILM
月が出たうわあうわあと善惚家  KIYOAKI FILM
 朝起きて親父が氷漬になっていたらちょっとびびるが、朝から氷漬をぐびつぐびつとやっとったら、親父といえど結構腹が立つもんぢゃ。狭い家の中、仲良く生活してくだされ。ところで「氷漬」とはなんぢゃ? 月が山の端やビルの隙間から出てくるところを見るのは、三千年生きている今でも心躍るものがあるぞ。狭い家の中からうわあうわあと見る月は、時に部屋より大きく感じることぢゃろう。ところで「善惚家」とはなんぢゃ?

数珠玉をつなぐ心で糸とおす  真歩
秋近しあと二三日の寿命とか  真歩
 数珠玉が句の添え物になった感はするが、人と人の心をつなぐように仕上がる数珠玉は、確かに一本の糸でつながっておるのう。数珠玉がそれぞれの魂のかたちのように光り、実につややかぢゃ。秋に近い頃は感傷的になって何かと大変ぢゃが、夏に生命を終える生き物たちへの挽歌として、作者の気持ちがよく伝わってくるぞ。ぢゃが、やっぱり冬が近い季節に夏の句では、いくら良い句でも読む側の気持ちは半減するぞ。もったいないぞ。

初風や手漉きの和紙の芳しき  みやこまる
花びらのごと海渡る秋の蝶  みやこまる
 「芳しき」の一言で詩が完結したら手漉きの和紙が可哀相ぢゃ。手漉きの和紙のどんな表情が芳しいのかこそが知りたいぞ。ぢゃが、初風と手漉きの和紙の出会いによく気付かれましたのう。アンテナの感度が抜群ぢゃ。それにしても「ごとき俳句」は難しいのう。AとBが近すぎても遠すぎても面白ないし、が、挑戦しがいがありますのう。秋の蝶をじい〜っと見ていると、秋の蝶から話しかけてくるかもしれんぞ。

美ら海にモンゴル人が涙ぐむ  ケンケン
終戦日レバノン人に説明す  ケンケン
 さまざまな意味でボーダーレスになっている人類や社会にあっても、各国の歴史や複雑に絡み合った綾を理解してもらうのはなかなか困難ぢゃのう。沖縄の海に涙ぐむモンゴルの人に去来する思いははたして何ぢゃったのかのう。初めて間近に見る海に感動したのなら、それはそれでうれしいことぢゃ。レバノンの人に終戦を言ってもぴんとこんかもしれんが、解ってもらえないからといって黙っていては進まんけんのう。これからも淡々と説明して、終戦の意味を理解していただいてくだされ。それにしても、それぞれの国名の斡旋が意味深ぢゃのう。

生活費九月の終わりこえられぬ  柊つばき
秋深む生きてることのめんどくさ  柊つばき
 いよいよ切羽詰ってきましたのう。季語がそれを如実に語っておる。ぢゃが大丈夫大丈夫、実りの秋、山へ一歩入ればそこは食べ物の宝庫に変身しておる。海に行けば小魚は秋空を見に水面に集まっておる。悲観することは無いぞ。めんどくさがらず糸を一本垂らせば何かが始まる気配ぢゃ。

鷺やはてなハテナの首二つ  ちろりん
どれが石どれが岩だよ鰯雲  ちろりん
 コサギではいまひとつ首が短く、ダイサギでは首が太すぎてなかなかハテナのかたちにはならんのう。そこで中鷺ぢゃ。これはハテナにぴったりぢゃ。中鷺の出会いの瞬間がほほえましいのう。「石、岩、鰯雲」のイ音のリズムが心地よいぞ。なるほど中途半端な大きさぢゃったら石か岩かわからんのう。そんな作者の一世一代の悩みや苦悩を尻目に、鰯雲はゆっくりと流れていくのぢゃ。

気散じに黄泉へ散歩の秋彼岸  元旦
マイルスのミュート苦しや蚯蚓鳴く  元旦
 もう達観の境地ですのう。そういう強い心になるまでに何回の修羅を通り過ぎて来たのかのう。秋の彼岸と春の彼岸の違いを考えさせられたぞ。マイルスのミュートは聞く側は息苦しく感じるかもしれんが、ご本人はどうぢゃったんかのう。蚯蚓が鳴くのは架空だとも言われておるが、マイルスのミュートは確かに存在しておった。そして今も存在しておる。蚯蚓が鳴くたび、マイルスの存在が増していくのぢゃ。

新涼や認知症なる猫と住み  坊太郎
胎内へ戻りたき日や曼珠沙華  坊太郎
 猫の認知症を判断できるとは只者ではござらんのう。季語が「秋寒、そぞろ寒」あたりぢゃったら引いてしまうが「新涼」で救われるぞ。全てを受け入れている作者と猫との生活が目に見えるようぢゃ。世界中の人みんな母の胎内に居ったんぢゃなあ。胎内のことはもう忘れておるが、曼珠沙華のような色ぢゃったかもしれんのう。戻りたき日がどんな日なのかを思うのも、秋の日のひとつの過ごし方かもしれんのう。

雲の峰拳振り上げ嘘をつく  桂奈
閉じ込めてなるものか夏脱走す  桂奈
 下五で読者を軽く裏切る作り方が小気味良いぞ。二句とも状況が解りづらい気がせんでもないが、言葉の勢いに押し切られ、句会では思わず選んでしまう句ぢゃのう。屈折感がハンパないぞ。ぢゃが、冬にもなろうかという今の季節に夏の句ではちと損ぢゃ。俳人が見るのは常に次の季節ぢゃ。前の季節の事は来年詠むといいのぢゃ。とは言えど、こんなチャレンジャーで心の鈎針に引っかかる句は、大きな釣り針と太いロープに縛り付けた生餌と一緒に、まだ夏真っ盛りの太平洋のど真ん中へ追放!

秋風鈴無職ではないふりをする  小木さん
ひつぱればひつぱつただけからすうり  小木さん
 忘れかけているころにチリリンと音を出す秋の風鈴。人類に存在を確認させるために健気に振舞っておるのう。無職が職業の人は有職のふりをする必要も無いので、作者はいろいろな事情によりはからずも無職の身なんぢゃろうな。そんな身の上でちりりんと音を出す風鈴はどこかへ仕舞い込んでしまいたいがそれも出来ず、今日も「秋風鈴」が悲喜こもごもの人生をか細く鳴らすのぢゃ。からすうりの蔓は引っ張ったら際限なく奥から出てくるのう。蔓の果てを見るがために引っ張り続けたいが、そうもしていられなくそこを去る時はとてもつらいのう。からすうりは罪な植物の三本指ぢゃ。おっと、思わずつらい現実と過去を思い出させるこんな句は、からすうりの絡まるチャペルへ、祈りと歳時記とともに出向!

 今月も追放者と新たに出向者まで出してしもうた。不覚ぢゃ。へたうまの道は相変わらず厳しいのう。かくなる上は、来たるべく冬に備え襟を正して隙間風を防ぎ、身も心も温かくしようぞ。これで万全ぢゃ。
ぢゃが、くれぐれも油断召されるなよ。


へたうま仙人
年齢 卑弥呼がおっぱいを飲んでいた頃、ワシは青春真っ只中ぢゃった。
好きなもの 霞のシャーベット(PM2.5抜き)
嫌いなもの 上手な俳句
将来の夢 大器晩成


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自由律俳句計画


選者 きむらけんじ

 自由律俳人 栗林一石路の資料館と「シャツ雑草にぶっかけておく」の句碑を見たいと長年思っていた。で、家から7時間かけて、ついに長野県青木村という美しい村へ行ってきた。資料館を見てそこから句碑まであるいて1時間。見に行くと宿のある町への最終バスに間に合わない……悩んでいたら資料館のおねーさんが気の毒がって、そばにある幼稚園の送迎バスに乗せてもらえるように話をつけてきてくれた。園児のなかにおっさん一人。みんなに仲良くしてもらって、おかげで長年の夢は叶えられた。園児のみんな、ありがとう。ナハハ……。


福島原発と地続きに打ち水  大阪野旅人
 原発云々については、ここは論じる場所ではないので言わない。日本に住む限り何処に居ようと他人ごとではなくあの福島原発と地続きで繋がっている、という捉え方が潔い。夏の盛り、いま目の前で撒く水は遠く地続きで繋がる福島を癒す打ち水にもなる……そんな祈りにも似た思いが立ち上がってきます。俳句的に言えば「福島原発」は、「フクシマ」で通じる。そのほうが理屈っぽくならずリズムも良いと思いますが。


君もツバメも去って空っぽ  ちろりん
 楽しかったひと夏の思い出を残して、恋人が去ってしまったのでしょうか。気がつけば忙しそうに飛んでいたツバメも南へ旅立ってもういない……。明快素直な上の句に、投げ出したような「空っぽ」という単純な言葉がよく効いています。

真四角の池に真四角の秋空  彩楓
 真四角の池に映る空は真四角……とは当たり前ですが、言われてみればの新鮮さがあります。その面白さをを強調するなら「真四角の池の秋空真四角」という組み立てがありますが、まあ好みの問題でしょうか。

うつ伏せに寝て心をまもる  拆の音
 精神的に傷ついた辛い一日の終わりは、こころを閉ざしてじっと回復を待つしかない……どういう問題を抱え込んでしまったのかすべてに漠然としている中、「うつ伏せ」という妙に具体的な表現が句を俄然と引き立てていると思います。

みんな出ていく汗と涙とおしっこと  多満
 なにがあったかわからないけれど、緊張とか悲しみとか絶望とか不安とか……が一気に襲ってくると、人は体中からあらゆる水分を放出して脱け殻のようになるのかもしれない。古くは「飲んだ水みんな汗にしてはたらく(江良碧松)」が知られているが、揚句はもっとあっけらかんとしてその軽さが良いと思います。

音たてて名月を吸う真鯉  坊太郎
 水面に映った月を、鯉があたかも餌を飲むように口を開けて……と、いかにも俳句的描写というところですが、やや仰々しさが気になります。「名月」はともかくとして「真鯉」である必要をあまり感じません。「音立てて鯉が月吸う」くらいが、簡素な魅力がでるような気が……好みかもしれませんが。


会いたくて会いたくて野分となる  みやこまる
花野 日影を産む男  KIYOAKI FILM
ほほをふるふる震わせてみみずくなにを呼ぶ  レモングラス
照れ臭そうに鰯雲焼ける  もね
女の首絞めたか締めたか白曼珠沙華  藍人
ワンカップ二個の墓参り  幸
恐竜も見ていた星月夜  風さら紗
鈴虫の風に送られて出勤  喜多輝女
雲の流るる良夜  恋衣
裸の子何も欲しがらず  人日子

並選
秋の空より迫り来るジェット音  ぺぷちど
特養のからくり時計のミッキーマウスマーチ  小市
秋風に木の葉舞ふ札所かな  迂叟
あれも骨つぼに入れてやるつもり  優空
思案顔なる案山子二体  出楽久眞
昨日まで蝉今日からの鈴虫  和音
雨月の傘は傘袋を突き抜ける  凡鑚
中島みゆき似の秋薊  誉茂子
酒トクトク静かな猪口ひとつ  暮井戸
虫時雨耳鳴り空耳中耳炎  ヤッチー
秋の朝のパン屑は銀色  越智空子
母犬は甘え上手  南亭骨太
トマトを丸かじり太陽を丸かじり  一走人
そこまでしてもなあ赤とんぼ  小木さん
あ、星空が啼いた  緑の手
助手席からは見えない花野  うに子
コーヒーのしみの本親しむ  ゆりかもめ
墓守る猫に恫喝される  元旦
ヨルダン人と見る美ら海  ケンケン
僕の骨に威嚇するなら柘榴の実  内藤羊皐
歩く悔やんでなんかない  台所のキフジン
家に隠る雨雨雨の今日も雨  カシオペア
台風として生きて行け  青柘榴
窓から窓フレームに消える白い鳥  マカロン星人
若き異端の夢や天高し  あおい
日影から日向をさがす秋  エノコロちゃん
ぐるぐるぐると林檎絵描けば白き歯の跡  まんぷく
二百十日の街は沈没す  ミセスコナン
水中花いつはりの花香の溢れさう  鯉城


きむらけんじ
 1948年生まれ。第一回尾崎放哉賞他。自由律俳句結社「青穂」同人。句集『圧倒的自由律・地平線まで三日半』(象の森書房)、写俳エッセイ『きょうも世間はややこしい』(象の森書房)、句集『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)他。特技・妄想、泥酔。


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詰め俳句計画


出題・文 マイマイ

今月の問題
次の(  )の中に共通する冬の季語を入れて下さい。

寒さうに暖かさうに(  )
(  )二便のみなる午後のバス


 今月は笑点のお題のような前句がポイント。寒そうで暖かそうなものがたくさん届きました。ただ、納得するだけでなくそこに新しい発見や詩があるかというと……。

寒さうに暖かさうに秋茜
秋茜二便のみなる午後のバス
 KIYOAKI FILMさん。残念、秋の季語でした。級外。またの投稿をお待ちしております。

寒さうに暖かさうに冬景色
冬景色二便のみなる午後のバス
 レモングラスさん。前句、寒そうで暖かそうなものは何だろうと読者はある程度の納得を求めたいところなのだが、その答えが冬景色では茫洋とし過ぎていて落ち着かない。後句も冬景色といいながら具体的な映像がない。5級。エノコロちゃんの冬浅し、台所のキフジンさんの冬来る、喜多輝女さんの神無月もやはり映像がないのでイメージだけの世界になってしまった。同じく5級。ほろよいさんは冬の滝。前句、寒そうなのは当たり前として暖かそうとはどういうことかわかりにくい。同じく5級。ヤッチーさんは冬茜。前句、あの色の中に暖かさを感じたのだろうか。後句は終バスを見送った後のようで切ない。4級。おせろさん、河原撫子さんは冬日向。前句、納得だがひねりが足りない気もする。後句はのどかな情景。3級。鈴木牛後さん、元旦さんは冬の虹。前句、確かに雨上がりなので少し暖かいのかもしれない。後句、バス停でのささやかな感動。同じく3級。青柘榴さんは冬霞。これも前句、少し暖かい感じはわかる。後句臨場感あり。同じく3級。誉茂子さん、一走人さん、どかていさんは山眠る。dolceさんは眠る山。前句の山には陽が当たっているのか風が吹いているのか想像すると面白かった。後句、擬人化された季語が物語のような効果をもたらしている。2級。

寒さうに暖かさうに石蕗の花
石蕗の花二便のみなる午後のバス
 うに子さん、彩楓さん。前句、寒そうはわかるのだが私にはあまり暖かそうなイメージはなかった。後句、田園風景。3級。ゆりかもめさんは返り花。カシオペアさんは冬桜。後句は良いが、前句、冬なのに桜が咲いているという状況がフレーズに対する解答になっていて少し理が立ちすぎるか。同じく3級。優空さんは柿落葉、幸さんは冬すみれ、越智空子さん、童夢U世さんは枇杷の花。それぞれさりげないが、前句、寒さの中に作者自身が暖かさを発見しているようで詩を感じた。2級。

寒さうに暖かさうに牧閉す
牧閉す二便のみなる午後のバス
 ひさのさん。前句の具体的な情景がもう一つ見えてこない。後句もぼんやりしている。5級。人日子さんは杜氏来る。前句、杜氏の描写としてはやや大雑把か。後句、おそらく後の便で来るであろう杜氏を待っているのか。あるいは今まさしく来たところか。4級。遊人さんは着ぶくれて。前句、着ぶくれると大体そういう感じでしょう。後句は情景が描けています。ただ、季語は着ぶくれなのでアレンジとみなし減点。4級(-1)。れんげ畑さんの懐手も減点なし以外はほぼ同様。3級。小市さん、小木さん、マカロン星人さん、恋衣さんは日向ぼこ。前句は日向ぼっこしている人が一人でもいいし、複数いてそれを描写したと思っても納得。後句はバスを待つ光景でしょうか。2級。大阪野旅人さんは裘。出楽久眞さんはアノラック。マニアックな季語ありがとうございます。前句、重装備がかえって寒そうに見えるところで納得。同じく2級。迂叟さん、凡鑽さん、板柿せっかさん、矢野リンドさん、笹百合さんは冬帽子。前後句とも頭の部分だけに焦点が当たっているのもちょっと面白かった。同じく2級。みやこまるさん、江口小春さん、ちろりんさんは毛糸編む。これは前句すでに編めている部分が膝にかかっていてそこだけ暖かいのかななどと想像して楽しかった。1級。

寒さうに暖かさうに寒苦鳥
寒苦鳥二便のみなる午後のバス
 ひでやんさん。これは経典に出てくる鳥で実在の鳥ではないそうな。詳しくは各自で調べてほしいのだが、前句はその経典の話をなぞっている感じ。後句も怠けるといわれるその鳥とフレーズとの関連が私にはわからなかった。5級。ひかるんさんは雪女郎。前句、寒そうなのは当たり前だが、暖かそうというのもありうると思った。夜っぽい季語なので、後句、午後のバスとは合わないか。4級。緑の手さん、内藤羊皐さん、松尾千波矢さんは寒雀。この時期の雀は寒さ対策のため羽に空気を入れてまるまると膨らんで見え別名ふくら雀ともいう。まるで着ぶくれているようで超ラブリー。前句まさにフレーズの通りで上手く言い当てた感はあるのだが「寒」の字で始まった句がまた「寒」に戻ってくるところが正解に比べてやや損かと思った。1級。

寒さうに暖かさうに落葉焚
落葉焚二便のみなる午後のバス
 坊太郎さん。懐かしい季語です。前句、焚火に当たる人はみんなこうなりますね。発見があります。後句も昔はこういう情景ありましたよ。バス停の近くで焚火をしてくれて焼き芋もらったりとか。初段。

寒さうに暖かさうに神の旅
神の旅二便のみなる午後のバス
 桂奈さん。衝撃を受けました。前句、フレーズの世界をはるかに超えてファンタジーへといざなってくれました。後句、想像上の季語にもかかわらず、リアルな状況と一緒に置かれることで隣の髭を生やしたおじさんが実は神様だったんじゃないかといった変な妄想も生まれてきます。二段。

今月の正解
寒さうに暖かさうに浮寝鳥
浮寝鳥二便のみなる午後のバス
 久我恒子さん。前句の寝ているという状況も、句にある種の俳諧味を与えている。後句は浮寝鳥にバスを待つ自分を投影して読むこともできる。初段。


1月号掲載分の問題(11月20日締切)
次の(  )の中に共通する新年の季語を入れて下さい。

独白のごと(  )の洗濯機
(  )や自動改札よどみなく



マイマイ
 2003年11月頃よりラジオに投句を始める。割と生活派俳人だったが、最近は?? 第1回、第4回大人コン優秀賞受賞。2013年句集シングル『翼竜系統樹』上梓。将棋推定初段。棋友募集中。宇宙と生命を題材に詠んだ句集『宇宙開闢以降』マルコボオンラインショップにて発売中。


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100年投句計画 投句方法




 件名を「100年投句計画」とし、投句先(複数可) 俳号(なければ本名の名前のみ) 本名 電話番号 住所を明記してお送り下さい。投句はそれぞれ二句まで、詰め俳句は季語を一つのみお送り下さい。一つのEメールまたは一枚のハガキに各コーナーの投句をまとめて送っていただいても構いません。ただし、「選者三名による雑詠俳句計画」と「へたうま仙人」は、選択制(どちらか一方のみ投句)となります。また「雑詠俳句計画」は欄へ寄せられた二句を各選者が選ぶ形式です。各選者に個別に投句を行うのではない点にご注意下さい。

それぞれ締切は、11月20日(日)

投稿ページ http://marukobo.com/toukou/
投稿アドレス magazine@marukobo.com
はがき FAXでも投句できます。

さらに多くの投句をしたい方へ
 松山市が運営する『俳句ポスト365』など、無制限に投句を受け付ける場もございます。ぜひご活用下さい。


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短歌の窓


短歌投稿ページ
選者 短歌誌『未来』同人 渡部光一郎


特選
JAL便のうえから見れば雲は白したから見れば狼の色  暮井戸
 狙いをさだめて打ち込んできた結句に痺れる。雲を上下から同時に見て比べることはできないから、「狼の色」は作者の心象風景だろうが、このようなものを男はどこかに抱えているものかもしれない。「JAL便」から始めるあたりも心憎いうまさである。


並選
蜻蛉の増ゆる夕べのLAWSONの青き光も羽根に灯りぬ  岡田一実
 「の」を続けて巧みに用いているのがよい。なお、「蜻蛉」から「羽根」までがちょっと遠いところが難かもしれない

とびきりの笑顔の君に逢えた朝駅の階段一気に上る  柝の音
迷いや中途半端なひねりがなく、一気に読める歌。

歩むまま傾ぐ弁当手に揺れて木の実踏む音の夜道へ混じる  時計子
 アイテムがちょっと多すぎた感がある。もう少し引き算をして表現すると面白くなりそうである。


コメント
子を産みに帰りし娘煮炊きして常には食べぬ菜並びをり  小市
 助詞をもう少し工夫するとなめらかになる。

うなだれていたナス雨に助けられ夏期休暇分実をつけ始む  青柘榴
 たしかに茄子や胡瓜は水をかなり必要とする。「夏期休暇」にしなくてもよいかもしれない。

ポケットにくすぶったまま三ヶ月放ったらかしのちいさな秘密  出楽久眞
 重複表現が気になる。また結局謎が解けないままなので、読者には不親切かもしれない。種明かしの加減は難しいが、どこかでは必要かもしれない。

洗濯機のご苦労様といえいえとわたし主婦業四十八年  だりあ
 誰が誰にどう声をかけているかということを整理するともっとよくなる。

携帯電話以前の恋の墓標として「サラダ記念日」を充電してゐる  鈴木牛後
 「充電してゐる」は少し言い過ぎた感もあるか。

みちのくへの旅はここより草の花翁の像は遠を見つむる  風
 「遠」は「遠く」のまちがいだろうか。

駄菓子屋で「母の日」思う指輪選る夕日の朱に染まる童顔  大阪野旅人
 思う、選る、染まる、と動詞が三つあるが、これらの主体は何か(誰か)ということをもう少し整理するとよい。

障害のあるかもしれぬ吾子抱きぬただひたすらに抱きとめるなり  幸
 歌意はよくわかる。「抱きぬ」の個所はもう一工夫を。


 みなさんこんにちは。変な天候がつづきましたが、とりあえず涼しくはなりました。夏の疲れが今になって出ている方もいらっしゃるかもしれませんがご注意ください。
 俳句より長いとはいえ、おなじ短詩型です。短歌もたった三十一音節しかありません。一首の中で、もう少し狙いをしぼって詠わないと却って勿体ないことになりがちです! ではまた。


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自作の俳句を英語に訳そう!

百人百様 E-haiku



評:菅紀子


 「俳句とHaiku」をテーマに東大名誉教授池上嘉彦氏(言語情報科学)による講演の報告記事がありました。(愛媛新聞2016.9.30付)俳句の英訳にも触れ、翻訳者の解釈だけでなく名詞の単数複数でもニュアンスは違ってくる、など頷けました。
 学会で村上春樹文学の英訳を重箱の隅をつつくように批判している発表を聞いたことがあります。日本文学の世界が他言語で「理解」されるよう翻訳することは散文にしろ短詩形にしろ至難の技ですが、人の訳を批判するだけなら楽なものです。川端や大江がノーベル文学賞を受賞したのは優れた翻訳者に恵まれた幸運も大きいそうです。

1.
migratory birds
and sunlight
come to fixed sash window

原句 小鳥来る光や窓は嵌め殺し  片野瑞木

sunlight
in which migratory birds fly,
fixed sash window

 「や」の切れ字をコンマで表現しました。

2.
the twinkle
of first frost
bless this morning

原句 初霜にきらきら祝福されし朝  片野瑞木

blessed with
the glittering first frost
in the morning light

 初霜が輝くのは朝の光に反射して。きらきら輝くという動詞にはglitterがあります。

3.
spring of bird
problem child
red red eyes

原句 春の鳥居残り授業の赤眼  KIYOAKI FILM

young spring birds
still practicing, left behind
its red eyes

 春の雛鳥が飛び立つ訓練で合格がもらえず残されたため、赤眼が泣いているように見えるのですね。


4.
autumn is big mountain !
alone is beautiful
freedom bird

原句 秋の山一人佇む野の雀  KIYOAKI FILM

お便り 今回も完璧からほど遠い英語しか思いつきませんでした。やはりドリルからしたほうがええのかな?
「!」つけたいです。(KIYOAKI FILM)

a sparrow
alone in a field
autumn mountains

 KIYOAKI FILMさん、気持ちはわかりますが、あまり記号に頼りすぎないようにしましょう。秋の山を背景に、野に雀が一羽いると想像しました。

5.
I seem to indulge
in refreshing
which is deep blue

原句 爽やかなあをのふかさにおぼれさう  出楽久眞

almost drowned
due to the depth of
the fresh blue

 あをの深さ「のせいで」、と解釈しました。because of でいいですが、爽やかな音感を含むdue toを使ってみました。dueには露(dew)と同音で水を連想させてくれますし。

6.
One coin day substitute lunch
I am hungry
even if I eat

原句 ワンコイン日替りランチ秋渇き  出楽久眞

お便り こんにちは。今月も伝わってるかな、へんな文法じゃないかなとドキドキしながらの投句です。よろしくお願いします。(出楽久眞)

Still hungry
after eating “one-coin today's special”
tantalizing autumn

 食欲の秋ですねえ。日替わりランチはtoday's special。渇きは食欲をそそる秋と言い替えました。substitute lunchだと本来の昼食が食べられず代替物を食べたことになります。

7.
ships going and coming
through the Akashi Straits
orange groves in the distance

原句 蜜柑山船の行き交ふ明石の門  久我恒子

 結構だと思います。一点、「行き交ふ」は日本語だと行く、来るの順番ですが、英語では逆でcome and goが普通です。ほかにも日英で逆にする語句は多いですね。 

8.
Lupin's fortress
on top of the bluff
hawks migrating

原句 断崖にルパンの砦鷹渡る  久我恒子

 原句が砦で切れることに気づかないとうっかり誤訳するところでした。高く聳え立つ砦の上空、悠々と飛び過ぎる一羽の鷹、というイメージが湧きます。

Lupin's fortress
on top of the towering bluff,
a hawk passing by

9.
Ginger makes me so sore
Concealed the clothes
In the Satchel

原句 生姜ひりひり鞄の底の私服  ほろよい

 satchel は学生かばん、ということは作者(女子?)は制服を脱いで鞄の底にこっそり隠した私服に着替えるつもりなのですね。ちょっと背伸びしてスリルを味わっている様子が浮かびます。私服は制服と対比させてstrreet clothes とかone's own clothesが妥当でしょう。soreは怪我などの痛み、ここではspicyかな。

Hiding street clothes
at the bottom of my satchel,
Spicy ginger

10.
various birds come
in the countory of the freedom
flags of all nations in the sky

原句 小鳥来る自由の国の万国旗  彩風

 彩風さん、綴りの間違いにも気をつけましょう。

various birds come flying
to the country of freedom,
flags of all nations

11.
Shin Soba was sold out
arrive at teahouse
of the mountain pass

原句 新蕎麦は売り切れました峠茶屋  彩風

Sold out
The first buckwheat noodle
Teahouse at the mountain path

 単語を置くだけの素朴感がこの句に合っている気がします。

12.
of the evening
I gently stroke a child
holding a rabbit

原句 夕暮れの兎を抱いた子を撫でる  チャンヒ

 夕暮れ「に」だと時を表しますが、「の」だと「夕暮れの兎」という表現が文学的でどう訳せばよいか難しい。strokeには優しくの意味が含まれているので修飾語はなくてもいいでしょう。

例1
I stroke
a child holding
an evening rabbit(夕方の兎)

 そんな範疇があるのか? ここでハタと兎は夜行性なのかという疑問が湧き、調べると兎は薄明薄暮性動物ともいうべき際どい範囲にある動物である、ただ、活発になるのは夜明け前と夕暮れ時であるのは間違いないとのこと。キムさんはこれが言いたかったのかな。

例2
I stroke
a kid holding a rabbit
in the setting sun(夕日に映える兎)

13.
October,
Astro Boy are
armed children

原句 十月やアトムは武器を持つ子ども  チャンヒ

お便り 今回も、苦戦しました。(チャンヒ)

 鉄腕アトムは通常1体なので単数にしました。

October,
the Astro Boy is
an armed kid


菅 紀子(かんのりこ)
(有)クラパムコモンカンパニー代表。通・翻訳、メディアによる姉妹都市交流コーディネーター。社名は夏目漱石が下宿したロンドンの地名から。歩道短歌会同人。人文学修士、翻訳修士。松山大学、愛媛大学非常勤講師。(Hailstone Haiku Circle blog ICEBOX Contributor)(漱石と彼のライバル重見周吉、日系移民研究)


応募内容 自作の俳句およびそれを英語俳句にしたもの(2句まで)
応募先  フォーム http://marukobo.com/eigo/
     Email eigo@marukobo.com
1月号用応募締切 11月20日(日)


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俳句の街 まつやま

俳句ポスト365



協力 松山市

「俳句ポスト365」は松山市が運営する俳句の投稿サイトです。
毎週新しい兼題が発表されます!

http://haikutown.jp/post/


金曜日優秀句
2016年9月度


啄木鳥(きつつき)


真っ直ぐな木だから叩くけらつつき  ちゃうりん
啄木鳥の今樹の皮を抜けた音  大塚めろ
啄木鳥敲く木屑光となりて散る  香壺
啄木鳥のふと夕陽見る五秒間  このはる紗耶
きつつきと木を切る音ときつつきと  とりとり
小げら小げら木うら木おもて木霊追ひ  めいおう星
北ホテル啄木鳥は荷を解かぬうち  葦信夫
コッヘルの湯沸き啄木鳥めぐりけり  うしうし


啄木鳥や鋸の歯は熱を持ち  山香ばし


胡麻(ごま)


庭先の胡麻はじけたり風は青  be
胡麻はぜておどける程に軽き風  時雨
袋背負へば打ちたての胡麻の熱  樫の木
すり鉢を初めは胡麻の逃げ回る  妹のりこ
擂り始むる胡麻の一粒頬撃ちぬ  このはる紗耶
社説閉づ中々噛めぬ胡麻だこと  牟礼あおい
胡麻は実に大黒さんのきれい好き  直木 葉子
肉食を断ち金色の胡麻を摂る  ジャンク洞
星の降り胡麻畑熟れ激戦地  土井探花
胡麻爆ぜて王土は一夜にてほろぶ  とおと


胡麻爆ぜて晴天続く二十日間  木好


秋薊(あきあざみ)


秋薊挿され牧場のミルク缶  雪うさぎ
山彦を山へ返して秋薊  一走人
ことごとく雨つぶ砕く秋薊  中原久遠
高みより岩くだる水秋あざみ  ららやにほ
秋薊の群生過ぎてあと5分  小田寺登女
地形図の広がる火口秋薊  三島ちとせ
隧道へひとり遅るる秋薊  とおと
鬼あざみ揺らして奥にいる何か  とりとり


沢水の洗顔痛し秋薊  篠田ピンク
体液に枝濡れてゐる鵙の贄  ポメロ親父


11月の兼題
公式サイト内の「俳句投稿」より作品をお寄せください。(※投句期間を過ぎますと投稿ページは次の兼題の募集に自動的に切り替わります。ご投稿はお早めに。)

投句期間 10月20日〜11月2日
風邪(かぜ) 三冬/人事
寒風にさらされたり、寝冷えをしたことがきっかけで引く風邪や、ウイルスによる流行性感冒などがある。くしゃみ、鼻水、咳、のどの痛み、熱などの諸症状を伴い、重症化することもある。

投句期間 11月3日〜11月16日
毛布 もうふ 三冬/人事
動物の毛や化学繊維で織った防寒用の布。主に寝具として用いる。布の間に電熱線を通した電気毛布などもある。

投句期間 11月17日〜11月30日
熊(くま) 三冬/動物
日本の山野に生息するものの中では代表的な猛獣。本州以南では月輪熊(ツキノワグマ)、北海道では羆(ヒグマ)が生息する。

参考文献 『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


 「俳句ポスト365」は携帯電話からもご参加いただけます。
 「俳句ポスト365」公式Facebookページ開設中! 公式サイトに設置しておりますリンクよりお入りください。毎回の兼題のお知らせを中心にお伝えしながら、皆様の返信欄への書き込みもお待ちしております。


 募集の兼題は変更される場合があります。「俳句ポスト365」のサイトで最新の情報をご確認ください。


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一句一遊情報局



協力: 南海放送


金曜日優秀句
平成28年9月度


ホップ

籠の底跳ねる一番摘みホップ  ドクトルバンブー
寝ころべばホップは高しビール園  矢野リンド
大雪の青き裾野やホップ  逆ベッカム
ホップ千切る聖マリア像香り立つ  越智空子
ホップの香白きテュニカの修道士  笑松
荷台よりホップ遠野に風の落し物  野風
ホップ静かに濡るる遠野の青き朝  露玉
ホップの蔓コロボックルの渡る蔓  樫の木
積み終えて明日のホップの猛々し  凡鑽


ホップ摘む穂明かりほどの昼の月  篠原そも


溢蚊(あぶれか)

溢蚊や沈んで浮いて膝のうえ  十姉妹
病む脚に来て溢蚊の休みけり  ミセスコナン
つい打ちしこれが溢蚊てふものか  あるきしちはる
溢蚊に無防備の耳食われけり  るい
あぶれ蚊や手水の水の陽の余熱  ほろよい
溢蚊の納屋の軍手にすがりつく  野あざみ
溢蚊や昏き厨に瓦斯火つけ  ふじみん
溢蚊や電気ポットに昏々と  蛍草
溢蚊ややや割愛の職歴欄  マイマイ
溢蚊や霊安室の天井灯  蓼虫


溢蚊を打ち美しき日本説く  小泉岩魚


名月(めいげつ)

名月へ鯉ひるがえる金の腹  トポル
名月や子ども相撲のはずむ影  バムケロ
名月の社殿の奥へ靴のまま  黛
名月や海までつづきたる砂丘  遊人
名月や波咲き誇る桂浜  八木ふみ
名月や鯨の呼気の高々と  まどん
名月や人体実験棟の窓  理酔
名月の悲しみこりこりと削る  依里
名月や鳥獣戯画の動きだす  花猫
北京ダック取り分け名月の華燭  ふづき


めいげつやだいおういかのめはおおきい  たくみ3才




朝露も甘いだろうし透き通る  鷹子のたんぽぽ
甘えびの殻ぷちぱきと剥く夜長  遠音
甘い言葉かけよか秋の金魚には  あるきしちはる
甘受して秋の金魚となりました  更紗
火山灰混じる土の余熱や甘藷掘る  樫の木
甘酒の缶に国旗や秋彼岸  鈴木牛後
原爆忌蛇口の水の甘からむ  緑の手
ピッコロの甘きささやき小鳥来る  あねご
桃甘し君という毒なお甘し  雪うさぎ
甘噛みの口は無花果食べた口  妹のりこ
草踏めば甘き香のたつ白露かな  妙
汀女の忌啜りて甘き中将湯  篠原そも
禅寺の白粥甘し稲雀  ターナー島


長き夜の甘さびしさやマヨネーズ  優空


栗虫(くりむし)

栗虫のここが頭という動き  凡鑽
丹波には丹波の気骨栗の虫  小泉岩魚
食うた栗のわりに栗虫みすぼらし  天玲
栗虫をつまめば栗の甘味色  トポル
沃野また沃野栗虫の食傷  土井探花
栗虫の穴に去年の空残る  灰色狼
栗虫の腹栗色に茹であがり  ひかるん
栗虫へ小さき舌打ちして撥ねる  矢野リンド
鼻の利く姉は栗虫無きを選る  越智空子
栗虫や酔って醒めたか山頭火  逆ベッカム


栗虫や母の指紋は黒いんだ  旧重信のタイガース


投句募集中の兼題

投句締切 11月6日


 季語ではない兼題です。「農」という字が詠み込まれていれば、読み方・用い方は問いません。季語は当季を原則として、自由に選んでください。

晩三吉(おくさんきち) 三冬/植物
 晩生の赤梨で新潟県が原産。早生三吉から偶発実生として発見された。10月中頃より収穫され、寒産地では翌年6月まで貯蔵でき、貯蔵に従い甘さが増す。


投句締切 11月20日

冬の泉(ふゆのいずみ) 三冬/地理
 夏の泉とは異なり、寒々として暗い印象がある。地下水に由来する水では外気に比べて温かく、湯気の立つような朝もある。

ざざ虫(ざざむし) 三冬/動物
 トビケラ、カワゲラなどの水生昆虫の総称。長野県天竜川の川底に棲み、佃煮など食用にされる。ざざざざと流れる川瀬に棲むことから付いた名だといわれる。

参考文献『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句宛先
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとにしたものです。俳句ならびに俳号が実際とは異なっている場合がありますのでご了承ください。


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今回のお題句に対する投句から次のお題句を選び繋げてゆく

疑似俳句対局


選者 美杉しげり

 インターネットを利用しての「擬似俳句対局」という初めての試み。俳句対局の楽しさを少しでもお伝えできたらと思っています。

今回のお題句
鳴動が主旋律なり夏の山 天玲


候補句

主なき家に差し込む月明 江口小春
 先月に引き続いて、投句一番乗りは江口小春さんでした。早くて、しかもちゃんと句になってますよね。しんと淋しい、主なき家へ差し込んでくる月光が切なく、美しいです。

食べるひとなき柿を剥き律の夜 天玲
律さんの声のさやかに中庭に 恋衣
 どちらも「主旋律」から「律」を頂いての句。この律は、子規の妹の律でしょうね。
 天玲さんの句、柿を剥きながら亡き兄を偲ぶ律。子規は柿が大好物だったことを踏まえての句です。恋衣さんの句の律は、根岸の子規庵の庭で子規に何か呼びかけているのかもしれません。
 どちらの句も、実際にこんな光景があったのだろうなと読み手に思わせ、それぞれに味わいがありました。

主旋律外しても良し秋の風 すぎもとたかし
 主旋律を外してもいいとは、どんな状況でしょう。これが春の風なら、ちょっとコミカルな場面を思うのですが、秋の風となると、ただそれだけではなさそうな……。

父の忌の姉の諍ひちちろ鳴く 内藤羊皐
 命日に諍いとは、穏やかではないですね。「姉と」ではなく「姉の」ですし、何があったのかと深読みを誘う一句ですね。姉の静かな怒りを感じます。その張り詰めた空間に、こおろぎの声だけがやけに高く響いて。

動線の複雑な家零余子飯 越智空子
 おかしい。これは主婦目線での作業動線でしょうね。たぶん、古くて広くて作業効率の悪い間取りの家。「そろそろリフォームしたいのに」などとぼやきながら、料理をしている主婦の姿が見えてきそうです。零余子飯という季語の選択が、渋い!

西日射す旋回せよ紙飛行機 時化
 ゆるやかに旋回する紙飛行機。夕日に染まりそうな ここはやはり白い色であってほしい。「西日射す/旋回せよ/紙飛行機」と三段切れになっているのが残念ですが、好きな景です。

鳴動の円の形や冬ごもり. 西連寺ラグナ
 鳴動に対して「円の形」という把握に、なるほどと思わされました。振動も音も、その源から波紋のように遠く広がって……。冬の乾いて冷たい感じには確かに合うなと思いますが、季語はほかにありそう。同作者の「旋律の湖へショパンの落ち椿」「荒梅雨の届かぬ無線河童鳴く」も発想がユニークで惹かれます。

主よ許し給へ蜂の子飯にする ひでやん
 お題から、こういう発想の句が生まれるとは、と楽しませていただきました。「主よ許し給へ」の大仰さがなんとも可笑しいです。炊かれてしまう蜂の子にも、その親蜂?にも「ごめんよー。でも美味い!」なんて言いながらバクバク食べているのかも。

旋盤の音の続きし夜寒かな 松尾千波矢
 秋の季語に「夜業」がありますが、そんな場面なのでしょうね。静かな夜に響く旋盤の音。聴覚だけではなく、オイルや鉄の匂い、ふっと肌に覚えた寒さまでも感じられます。

動線にまつわる子犬秋日和 小川めぐる
 「秋日和」なので、庭でなにか作業をしているのでしょうか。ご主人さまの動く通りにちょこまかとまつわる子犬の愛らしいこと。秋の日差しにたっぷりと包まれて、人も子犬も幸せそう。


次回お題句
鳴動ののちの鼓動や銀河濃し 鈴木牛後

 「鳴動」の読みはいろいろありそうですが、地震 それも大きな を連想しました。その地震の後の、あまたの命の鼓動。人間だけではない、鳥や獣や魚、生きとし生けるものすべての鼓動。はるかな銀河が濃く美しいほど、生というものの根源的な哀しみが際だちます。
 句として惹かれましたし、江口さんに次いで早い投句でした。


美杉しげり
 第8回俳句界賞受賞。4年ほど前から小説も書き始め、短編「瑠璃」で第21回やまなし文学賞佳作。美杉しげりはその時からのペンネーム。


毎月25日頃に、投句フォームにてお題句を発表します。投句締切は毎月末日。

疑似俳句対局投句フォームアドレス
http://marukobo.com/taikyoku/


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鑑(み)るという冒険


〜映画篇 演劇篇〜

文&俳句 猫正宗

第四十九回
『ディストラクションベイビーズ』&「寂光根隅的父ワークショップ 声を響かせる」


 『ディストラクションベイビーズ』、苦手なタイプの映画だ。だから、全国ロードショーの時は行けなかった。だが、主に松山でロケ、地元役者も多数出演等、地元に縁が深いということでミニシアターで再上映されることに。その際、監督のアフタートーク付きイベントがあったので観に行ってきました。
 因みに本誌編集長も来ていて、偶々ほぼ隣席で観るというはめに。『トゥルー ロマンス』(トニー スコット監督)の様に隣に美女が来ないところが、私の人生。
 閑話休題、本作の主人公は、何の理由も根拠もなく暴力をふるう。その暴力は何かを成すための手段でも、最終的な目的でもない。ただ暴力を行使している。善悪のいかんにかかわらず、行為そのものに対しては純粋であるために、やがてそれは観念としての暴力に近づいていく。それゆえにか、かなり激しい暴力描写があるにもかかわらず、より生々しい暴力を求める向きには不評だったようだ。その声に監督は、「これは『ドラゴンボール』だから」と答えていたらしい。なるほど、『ドラゴンボール』の主人公 悟空の強くなりたい、強い相手と戦いたいという思いの純真さは、裏を返せば暴力への純粋さと近似値なのかもしれない。実際、彼にとって強い相手と戦うことに比べれば地球の平和も人の命も二の次三の次の様に見える時もある。例えば、その場で倒せる相手を、より強い相手と戦いたいからと成長を待った結果、甚大な被害をもたらすなんてことも。そうそう、かつて私の知人は「親友が殺されないと本気になれない悟空」なんて言ってたっけ。無論、その純真さが悟空の魅力でもある。だが、敵が悪人であることやどんなにシリアスな展開になっても呑気さが漂う絵柄と作風以上に、ドラゴンボールを筆頭とする便利アイテムや神様らの特殊能力の存在があって、かの作品は痛快活劇として成り立っているのかもしれない。

ただ独り喧嘩神輿の秋の宵

 さて、元々の本コーナーの趣旨からいえば、松山市民劇場の公演『八百屋のお告げ』[グループる ばる公演、作:鈴木聡、演出:木野花、出演:松金よね子、岡本麗、田岡美也子、他、'16年9月14日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール]を取り上げるべきだが、諸事情によって観られませんでした。 
 その(どの?)代わりと言っては何だが、「寂光根隅的父ワークショップ 声を響かせる」('16年9月17日〜19日、シアターねこ)の事を書こうと思う。観客として以外芝居にかかわることがない私が演劇人向けのワークショップに参加する理由の一つは、筋ばかりで観がちな私の演劇との回路をもう少し広げたいからだが、基本的には座学への参加か見学というスタンス。今回何年ぶりかで(三日間の内一日ですが)ワークショップそのものに参加しました。以前から、呼吸法と発声法に関心があったということもあります。参加してみていかに自分の体が思い通りにならないかということをつくづく思い知らされました。それでも知識として、あるいは観念としてあったものを、身体にリンクする“ヒント”をもらえたのはありがたい経験でした。

空に息静かに返す龍淵に


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mhm通信




第67回
文 キム チャンヒ


2016松山・白石の鼻巨石群フェスティバル参加!
 9月18日、松山・白石の鼻巨石群調査委員会主催の「2016松山 白石の鼻巨石群フェスティバル」に、mhm役員を代表してキムと、mhm会員ではありませんが本誌「百人百様Eーhaiku」を連載されている菅紀子さんとで参加してきました。mhmと松山 白石の鼻巨石群調査委員会とは、以前松山市の助成金事業でお世話になった関係。毎年秋分の日近くに開催されるイベント、白石の鼻夕日の鑑賞会にて俳句を募っています。例年は、イベント全体には参加せず、夕日の鑑賞会から合流していたのですが、今年は高浜公民館で行われたシンポジウムから参加してきました。
 白石の鼻巨石群は、松山市高浜町6丁目の海辺にあります。2009年、松山・白石の鼻巨石群調査委員会主任研究員(現在)の篠澤さんが偶然通りかかった巨石群を見て、「この巨石は人工物ではないか」と直感し、調査を始めたそうです。その結果、春分と秋分の前後の数日間、石の間に夕日が差し込む事が判明しました。
 フェスティバル第一部のシンポジウムでは、まだ自然物なのか人工物なのか、証明はされていませんが、「自然に積み上げられたとは考えにくく、有史以前に立てられた太陽観測装置の可能性が高い。その場合、現在よりも海面が100mほど低く、現在のような海ではなく地面に立てられたものと考えられる」ということでした。また、この日講演をされた地中レーダー探査技士の渡邊廣勝さんから「人の顔に見える石があり、豊玉姫伝説にも通じる」というご意見があり、大変興味深いシンポジウムでした。
 そして第二部の夕日の鑑賞会。小雨が降る中、高浜公民館から白石の鼻に移動。ここでmhmメンバー蓮睡君と合流。Facebookで実況中継をしつつ、俳句を募集しました。

石鳥居透けるごとくに秋夕焼  蓮睡
秋分の日こそ奇跡と気がついて  チャンヒ
秋の潮太陽遺跡たらんとす  ペプチド

 雨天のため、なかなか思うように俳句は集まりませんでしたが、地元の新たな観光資源について考える有意義な日となりました。

第15回まる裏俳句甲子園キャッチコピー決定!
 9月23日に開催されたmhm定例会にて、来年1月8日開催の「第15回まる裏俳句甲子園」に使用するキャッチコピーを決定する話し合いを行いました。そして決まったのが、
 藤田夕加さん作「裏からGO!!」
 多数の応募ありがとうございました。
 また、今回から受付の混乱を回避すべく、料金の見直しをしました。入場料500円は変更ありませんが、エントリーを一律に実質1200円(入場料500円+エントリー料700円)としました。昨年までの前売り券からは200円の値上げ、当日券からは300円の値下げになります。ご了承下さい。


 mhmでは松山市内外問わず会員を募集中です。原則、毎月最終金曜日19時からマルコボ.コムにて定例会を行います。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。


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続 南極を詠もう!


No.6

一般研究観測担当隊員 源 泰拓(俳号 源笑)


 「100年俳句計画」読者のみなさま、こんにちは。第57次日本南極地域観測隊越冬隊員のみなもとです。
 9月、昭和基地は比較的よいお天気の日が多くなりました。毎日、5分くらい日の出が早く、日の入りが遅くなるので、一週間も経つと昼の長さが一時間くらい長くなっています。屋外で活動できる時間が増えてきましたが、オーロラや星空を楽しむ時間は残り少なくなりました。

雪面の風紋川辺か海岸か  南極くまモン

 雪の風紋が川辺の砂とか海の砂浜とかを思い出したので、とのこと。
 写真は、まだだれも歩いていない、きれいな雪面を粉雪が滑っていきます。

おぼろ夜やオーロラ凪いで紅茶淹れ  源笑
 夜になってふぶきが弱まり、雲が薄くなってきたところです。淡いオーロラが出ていましたが、観測装置を起動したら、お茶をいれてとりあえず一息つきました。

明易し雪上車逸る上天気  源笑
 昼が長くなって、日帰りで出かけられる範囲も増えてきましたが、少しでも時間にゆとりを持って活動するために、早朝から出かける準備が始まります。朝五時すぎから雪上車のエンジンの音が聞こえてきました。
 「明易し」は夏の季語だそうですが、当地では夏になると明けも暮れもしない、白夜になるので……。

この月を名月と見る昭和基地  源笑
 9月15日の夕べ、南極大陸の上のまだ明るい空に月が浮かんでいます。南極は冬から春に向かうところなので、“中秋”ではありませんが、お昼ごはんにはお団子が出ました。
 雪と氷の上をめぐる月も、日本の観測隊から見てこそ名月なのであるなあ、と思った次第です(中国の観測隊はどうみているのかしら)。


今月の南極吟行句
希望峰 編

雪面の風紋川辺か海岸か  南極くまモン
 南極くまモンさん、名前ももちろん気になりますが……。比喩の発想が独自でとても面白いですね。とても惜しいのが、川辺か海岸か、と書かれると読者は「砂」までイメージできません。また、川か海のイメージを借りるなら、一つにしぼってあげたほうが、読者に強い印象が残るかとも思いました。「雪面の風紋砂浜めいてくる」としても十分伝わるかもしれませんね。雄大な景色を味わったからこそ出てくる感じなのでしょうね。

おぼろ夜やオーロラ凪いで紅茶淹れ  源笑
 オーロラを見ながら紅茶を淹れる……なんて贅沢な日々なのでしょう! いや、隊員としてのお仕事もあると思うのですが、すみません……。でもうらやましいです。
 凪いではオーロラ俳句を想像して作る人には出せない表現なので、面白いと思いました。全体的には、17音の中に要素が多いです。特に、「オーロラ凪いで」までは天体の動きなのに「紅茶淹れ」で一気に自分の動作にいくところがやや唐突かも。動詞を減らして、「オーロラの凪いで朧の紅茶かな」でどうでしょう? 観測隊のみなさんにも、落ち着くひとときがあってよかったです。

明易し雪上車逸る上天気  源笑
 明易しについてはおっしゃる通り夏の季語ですが、実感されたということが写真からもわかります。「逸る」は、雪上車の擬人化ですね。擬人化は、俳句では幼くなりがちなので注意が必要です。「逸る」と書かなくても、明易しという季語を用いるだけでその様子は出そうです。

この月を名月と見る昭和基地  源笑
 なんだか、昭和基地に飾っておきたいくらいのどっしりとした構えの句ですね。見るは「見なす」みたいな意味かと解釈しました。中国の観測隊の方がどう思われるかも、気になりますね。


投句募集
南極の写真から発想した俳句を募集します。投句された俳句は、スウェーデンに留学した経験のある希望峰さんが紹介します。また投句の中から1点、写真とコラボレーションした作品として掲載いたします。
俳句は専用の投句フォームにて受け付けます。
http://marukobo.com/antarctic/
投句締切 11月3日(木)


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100年俳句計画 掲示板




テレビ、ラジオ  

NHK Eテレ『NHK俳句』
 日曜6時35分〜7時
 (再放送:水曜15時〜15時25分)
 夏井いつきが第3週選者を担当
11月20日(日)、再放送 23日(水)
兼題 「蕪蒸」または「風呂吹」
投句締切 11月10日必着
投稿は葉書1枚に1句。選者名、兼題、俳句1句、名前、年齢、電話番号明記。
 《宛先》〒150ー8001 NHK「NHK俳句」係
 ホームページからの応募も可
http://www4.nhk.or.jp/nhkhaiku/

NHK Eテレ『俳句王国がゆく』
第7回 岡山県井原市
11月13日(日)15時〜15時59分
主宰 夏井いつき

NHK 総合テレビ(愛媛のみ)
  「えひめ おひるのたまご」内
隔週火曜
 『みんなで挑戦! MOVIE俳句』
11月8日(火)、22日(火) 11時40分〜

TBS系列局 全国ネット
 『プレバト!!』
毎週木曜 19時〜19時56分
 夏井いつきが俳句の査定を担当

南海放送
 松山市政広報番組
 『大好きまつやま 〜しあわせことば塾〜』
毎週火曜 20時54分〜21時
(再放送:日曜11時40分〜11時45分)
 夏井いつきが塾長として出演

南海放送ラジオ
 『夏井いつきの一句一遊』
毎週月〜金曜 10時〜10時10分
  「一句一遊情報局」のページ参照

FMラジオバリバリ
 『俳句チャンネル』
毎週月曜 17時15分〜17時30分
(再放送:火曜7時15分〜7時30分)
投句募集兼題 
「冬の風 千鳥」…11月6日締切
「枯蓮 極月」…11月20日締切
 WEB http://www.baribari789.com/
 mail radio@baribari789.com
 FAX 0898(33)0789
  投句には本名・住所をお忘れなく!
  各兼題「天」の句にはキム・チャンヒのイラストポストカードが贈られます。

 各番組の放送予定は変更される場合がございます。新聞などで最新情報をご確認ください。


執筆           

松山市の俳句サイト
 『俳句ポスト365』
http://haikutown.jp/post/
 「俳句ポスト365」のページ参照

テレビ大阪俳句クラブ
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

ジュニア愛媛新聞スマイル!ピント
 「集まれ俳句キッズ」(夏井いつき選)
  毎週日曜タブロイド判8ページ

朝日新聞愛媛俳壇(夏井いつき選)
投稿は葉書1枚に5句以内(未発表句)。裏面に作品と共に住所、氏名、電話番号を明記。朝日新聞松山総局(〒790ー0003 松山市三番町4ー9ー6 NBF松山日銀前ビル)まで。

愛媛県《吟行ナビえひめ》句&写真
俳句選者 夏井いつき
写真選者 キム チャンヒ
募集期間 毎月1日〜25日頃締切
応募先 http://www.iyokannet.jp/ginkou/
問合せ 愛媛県観光物産課
電話 089(912)2491


イベント 講演等

京都女子学園ホームカミングデー記念講演「100年俳句計画」
11月3日(木)11時〜12時
 京都女子学園 学園講堂(京都府)
 参加は、学園各校の卒業生・教職員とその家族が対象。
申込 問合先 京都女子学園総務部総務課
電話 075(531)7030

ゆるきゃらグランプリ2016 in 笑顔のえひめ 内「ゆるキャラ俳句」
11月5日(土)11時30分〜12時
 城山公園芝生広場(愛媛県)
 入場には「ゆるきゃらグランプリ2016 in 笑顔のえひめ」の入場券が必要です。
 大人:前売500円/当日600円
 小中学生:前売200円/当日300円
オフィシャルサイト http://www.ehime-matsuyama-yurugp.jp/

第11回岡山県法人会女性セミナー(岡山東)
 夏井いつきの句会ライブ 〜俳句は脳に効く〜
11月10日(木)13時30分〜15時
 ホテルグランヴィア岡山(岡山県)
 岡山県下法人会女性部員及び一般の方対象。
問合先 (公社)岡山東法人会 女性部会
電話 086(226)0453

愛媛県歯科医師会 いい歯の日イベント
 はぴかちゃん歯いく大賞 表彰ライブ
11月13日(日)13時30分〜15時30分
 いよてつ高島屋8階 スカイドーム(愛媛県)
 参加無料
 記念品、当日投句あり。
問合先 愛媛県歯科医師会事務局
電話 089(933)4371

帝塚山学院大学50周年記念公開講座 夏井いつき句会ライブ
11月17日(木)13時30分〜15時30分
 帝塚山学院大学 狭山キャンパス(大阪府)
 入場無料
問合先 帝塚山学院大学 学長室企画担当
電話 072(296)1331

第64回広島県国語教育研究大会(福山大会)記念講演
夏井いつき句会ライブ 〜心とことばをみがく俳句のちから〜
11月18日(金)14時20分〜16時
 福山誠之館高等学校(広島県)
問合先 大会事務局(大津野小学校)
電話 084(941)1002

トレッキング・ザ・空海あいなん へんろ道俳句大会&句会ライブ
11月20日(日)
 受付 7時30分〜
 ライブ 14時〜
 DE・あ・い・21(愛媛県)
 参加費 500円(高校生以下無料)
 当日受付OK。トレッキング「柏坂へんろ道コース」と同時受付。
問合先 内海公民館
電話 0895(85)1021

平成28年度市民教養講座(御坊市)
 夏井いつきの句会ライブ「俳句のある生活を楽しみたい人のための俳句」
11月26日(土)14時〜15時30分
 御坊市民文化会館 大ホール(和歌山県)
 チケット 3千円(全6回通し券)
問合先 御坊市教育委員会生涯学習課
電話 0738(23)5525

ニフレル一周年記念 〜生きもの五七五スペシャルライブ〜
11月27日(日)13時30分〜15時30分
 ニフレル(大阪府)(大阪万博公園EXPOCITY内)
 先着60名/参加費 千円
問合先 ニフレル事業部
電話 06(6876)2204


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魚のアブク



読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは他の投稿に添えてお寄せください。


桂奈 この夏は酷暑の上に都知事選挙の「熱さ」が加わりホトホト脱走したい気持ちでした。テレビを付けただけで気温が上昇するんじゃないかと錯覚するほどでした。

みやこまる 先日東京句会に参加しました。知り合いもなくひとりで参加したのですが、ハイポ二ストの皆さんの名前を見つけ、ホッ。初めて会う方々ばかりなのにとっても楽しいひとときでした。ひとつだけザンネンだったのは、台風で夏井先生と兼光様がいらっしゃれず、名刺を頂けなかったことです(涙)。
dolce 秋の句は本当に難しいです。秋の声、秋の水、水澄む……抽象的な季語が多く難解です。

出楽久眞 中3の次男が、今年初めて「夏休み句集を作ろう!コンテスト」に挑戦しました。締切前の三連休を失念しており、急遽宅配便で送ってしまいました。昨年は気持ちだけで応募できなかったので、今年は、母子して妙な達成感に包まれています。

ひさの いつも届くのを楽しみにしています。9月号を開けてビックリです。福祉俳句で優秀賞をいただきました。俳句初心者の私にとって今までで最高峰の賞です。ありがとうございました。ますます精進致します。これからもよろしくお願いします。

元旦 短歌に少し興味があります。何やかんやと縛りの多い(笑)俳句と比べて、すごく自由な気がするのです。多くは普段話すような言葉で詠まれていることが、なおさらそう思わせるのかもしれません。俳句もそんなふうに詠んでみたい。

矢野リンド マイマイさんの新しい句集を買いました。子供の頃、学習と科学という雑誌を毎月買ってもらっていました。ある号に「鉱物の標本」が付録でついてきてとても嬉しかったことを思い出しました。小さな箱でしたが机の引き出しに大人になるまでありました。宇宙のことや化石のことを考えると疲れが取れるような気があの頃はしていました。あ、それとシーモンキーも思い出しました。これは手に入れられませんでしたが。


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鮎の友釣り


第220回


俳号 砂山恵子(すなやま けいこ)(dolce(ドルチェ))

前回 中山奈々さん いろいろな句誌や友達を通して知り合いました。奈々さんの句が2015年に「新・100年への軌跡」で連載されていたことを、過去の俳句マガジン100年俳句計画を読んで知りました。

自己紹介 かなり年配になってから俳句を作り始めました。2015年5月だから、この号が出る時にちょうど俳句をはじめて1年と半年でしょうか。その間、新・100年の旗手に選ばれました。本当にラッキーだったと思います。
 私生活では4歳の孫をもつおばあちゃん。(まだ50代ですが。)現役耳鼻科医です。ちなみに写真のように女性。無類のスポーツ観戦好きで、また自分も泳ぎます。過去は小学校から大学、社会人まで合唱をしていました。dolce(ドルチェ)とは音楽用語で優しく歌ってという意味です。

次回 たあさんへ とても熱心にいつき組を支えてくれている方です。優しい方で、ネットでいろいろお世話になっております。同じ愛媛にいるのにまだお目にかかったことはありません。一度お会いしたいです。


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告知




だれもが句集を出版できるかたち
句集Style

あなたの句集を20,000円〜制作します
(完全デジタル入稿、30冊制作の場合。価格は税別)
仕様 135mm×135mm、36ぺージ、オンデマンド印刷、表紙PP加工

2016年 第4期
11月30日(水) 申し込み締切
(原稿締切12月5日、2017年1月末納品)
次回募集は2月末締切予定

詳しくはhttp://www.marukobo.com/style/

通常の句集Styleの倍のページ数による「句集Style-W」の募集も行っております。
お気軽にご相談下さい。



春夏秋冬(しき)笑顔まつやま福祉五七五
福祉をテーマにした秋の五七五

主催 松山市社会福祉協議会
   有限会社マルコボ.コム(ふくし句会・ハイクライフマガジン『100年俳句計画』)選句
協賛 株式会社いつき(ギフトのデパート)社会福祉協議会賛助会員

年4回、福祉をテーマにした五七五を募集します。
人に優しくなれるような、五七五をお待ちしています。
(第3回 10/31締切)

募集要項

応募方法
 「春夏秋冬笑顔まつやま福祉575」係 宛に、
 ハガキまたはFAX、または、インターネットの応募フォームにて応募して下さい。
送り先
 790-0808 松山市若草町8番地2 松山市総合福祉センター
  社会福祉法人松山市社会福祉協議会 総務部 施設管理課

 FAX番号:089(941)4408 
 専用フォームhttp://www.marukobo.com/egao/

賞品「松山トリコ」製作
 大賞(松山市社協会長賞) 道後温泉湯玉トートバック
 優秀賞 おじゃみクッション エコバック付
 入賞 紙の湯カードケース
 ほか

発表 ハイクライフマガジン『100年俳句計画』10月号(予定)ほか



裏からGO!!(作者 藤田夕加さん)
第15回 高校生以外のための まる裏俳句甲子園

主催 まつやま俳句でまちづくりの会
共催 松山市教育委員会

日時 2017年1月8日(日)
 予選 9時30分 集合
 本戦 13時00分〜(12時30分開場)
場所 松山市立子規記念博物館(松山市道後公園1-30)

入場料 500円
エントリー料 700円(エントリーには別途入場料500円が必要です)

当日パンフレット広告募集中(1口3000円〜)

お問い合わせ
Eメール mhm_info@e-mhm.com
電話 (089)906-0694 マルコボ.コム内(担当 キム)



NHKそれいけ!俳句キッズ ブロック大会開催!
 東予・中予・南予の予選ブロック大会を左記の日程で行います。観覧は無料です。多数の参加お待ちしております。

東予ブロック大会
 11月3日(木・祝)開演/午後0時50分
 西条市総合文化会館 展示室
 (西条市神拝甲79ー4)

中予ブロック大会
 11月5日(土)開演/午後0時50分
 松山市民会館 小ホール(松山市堀之内)

南予ブロック大会
 11月23日(水・祝)開演/午後1時 
 八幡浜みなっと 交流館
 (八幡浜市沖新田1581ー23)

出演
 チキチキジョニー(東予ブロック)
 テツ&トモ(中予ブロック) 
 オジンオズボーン(南予ブロック)

観覧 入場無料
各ブロック大会の観覧は自由です。ただし、満席の場合は入場をお断りすることがあります。

問い合わせ
 NHKプラネット四国
 電話089(921)1163
 (午前10時〜午後6時/土 日 祝日を除く)
 NHK松山放送局ホームページ
 http://www.nhk.or.jp/matsuyama/



第六回 百年俳句賞 大人のための句集を作ろう!コンテスト
作品募集

主催 マルコボ.コム
共催 朝日新聞社、松山市教育委員会(予定)


 「百年後の未来に残したい作品を、私たち自らが作り、自らが選ぶ」という目的で開催している「大人のための句集を作ろう!コンテスト」は、その目的をより明快にするため、今回より「百年俳句賞」と冠する事となりました。
 内容は例年通りです。多数の応募お待ちしております。


募集要項

応募資格
15才以上(高校生以上)の方なら、本誌購読の有無に関係なく、どなたでも応募できます。

応募方法
Eメールでの応募の場合
応募用のエクセルファイルに必要事項を全て入力し、Eメールの添付ファイルにして、応募して下さい。
応募用ファイルのダウンロード先 http://81ku.marukobo.com/
郵送の場合
B4判四百字詰め原稿用紙に81句とその表題、俳号、本名、年齢、住所、電話番号を必ず明記して応募して下さい。

締め切り
2016年11月30日(水)必着


賞状および応募作品による句集20冊
賞品句集は縦横135o・36ページとなります。句集は本誌付録として配布します。

発表
本誌2017年4月号誌上(予定)

送り先
〒790-0022 愛媛県松山市永代町16-1
有限会社マルコボ.コム
月刊俳句マガジン『100年俳句計画』編集室
Eメール 81ku@marukobo.com


既作新作を問わず81句の作品集を募集。
最優秀賞作品は句集にし、本誌付録として配布します。
締切11月30日(水)!


「百年俳句賞」Q&A

「受賞作品が句集になるってホントですか」
 最優秀賞作品は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』の付録冊子として読者諸氏に広く読んで頂きます。付録とはいえ、お洒落なデザインの句集だと評判です。
 受賞者には一切の金銭的負担をかけず、読者にとっても安価な句集をどんどん生み出していきたいという志を一つの形にしたのが、この企画なのです。

「俳句マガジンを購読してないんですが、コンテストへの応募はできますか」
 どなたでも応募できます。購読の有無は一切関係ありません。勿論、応募は無料です。

「審査は誰がするのですか」
 本コンテストの受賞者は、「百年俳句賞」選考会員の投票によって決まります。「百年俳句賞」選考会員は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』購読者の内、各総合誌等の俳句賞受賞者あるいは最終選考に残った実績のある人たち等によって構成されます。
 多くの目利きの力を借りて「百年先の未来に残したい作品と作家」を見い出し顕彰していくことが「大人コン」の目的。我こそは!という皆さんのご応募を、心からお待ちしております。



生まれてから現在までの代表句募集!

 1月号特集は、毎年恒例、皆さんからの自選三句を掲載した「代表句集」です。代表句は来年のスケジュール帳(裏表紙)にも掲載予定です。沢山の方の参加をお待ちしております。
募集内容
 あなたの生まれてから現在までの代表句三句(一人一俳号まで)
 代表句についてのコメント
  ※コメント全体で一〇〇字以内厳守
 お名前、俳号(ふりがな)、年齢、住所、電話番号を必ず明記の上、宛先・件名を「代表句集2017」として本誌編集室までお送り下さい。

 俳号と俳句には、よみがなを付けてお送り下さい。年齢は鑑賞の参考とするため句集に掲載させていただきます。御了承下さい。
専用ホームページ
 http://marukobo.com/3ku
締切 11月30日(水)必着
なお、応募対象はハイクライフマガジン『100年俳句計画』定期購読の方のみとさせていただきます。ご了承下さい。



会話形式でわかる近代俳句史超入門
文 構成 青木亮人
単行本化準備中!
連載は暫くお休みします。ご了承ください。


編集会議開催
 編集会議は、2ヶ月に1度開催しています。年間購読をされている方なら、どなたでも参加できます。また、Eメールなどでのご意見もお待ちしております。
次回編集会議
日時:11月25日(金)(予定)18時〜
場所 マルコボ.コム 松山市永代町16-1
対象 本誌年間購読者
申込先 100年俳句計画編集室
E-mail magazine@marukobo.com



12月の第1土曜日は恒例の……!!
100年俳句計画大忘年会のお知らせ

毎年12月の第1土曜日は「大忘年会」の日。今年も盛大に開催致します。
抱腹絶倒まちがいなし。たくさんのご参加をお待ちしています。

日時
 2016年12月3日(土)
 18:30〜21:00(予定)
 正式な時間は追ってご案内いたします。

場所
 いよてつ島屋 9F ローズホール
 愛媛県松山市湊町5丁目1−1
 089-948-2111(代表)

会費
 大人 6,500円
 大学生以下 4,000円
 小学生以下 2,500円

参加申込締切
 11月21日(月)必着!

参加方法
 忘年会参加希望の旨と、〒住所・氏名・俳号・会費区分(大人/大学生以下/小学生以下)・連絡先電話番号を明記して、ハガキ、FAX、Eメール、または電話にてお申し込み下さい。ご家族等複数でお申し込みの場合は、代表の方の〒住所・連絡先電話番号に加え、全員の氏名・俳号・会費区分をお知らせ下さい。
投句・投稿に添えてのお申込はご遠慮ください。受付対応が遅れる場合があります。

 お申し込みをいただいた方には11月上旬頃より順次、ご案内のハガキを郵送いたします。
 締切までにお申込いただいた方で、11月28日(月)までにハガキが届かない方は、お手数ですがマルコボ.コムまでご連絡ください。

問い合わせ・申し込み先
(有)マルコボ.コム
 〒790-0022 愛媛県松山市永代町16-1
 TEL 089-906-0694
 FAX 089-906-0695
 E-mail bounen@marukobo.com


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編集後記


キム チャンヒ

 俳句の力を借りれば、大人が子どもに戻れる。今月号の特集「100年俳句計画大豆プロジェクト 枝豆収穫祭!吟行会」での、鯛飯さんによる嬉々とした文章を読んで、そんな事を考えてしまった。
 俳句を作るということを口実に、畑を借り、大豆を蒔き、枝豆を育て収穫し、仲間と共に味わう。
 こんな事は俳句がなくても出来そうな事だけれど、俳句を作る口実がなければ、何かしら後ろめたい。それが大人だ。毎月開催しているJAZZ句会も同様。俳句という別段人の役に立たなそうなものでも、それを「生産」するという目的が、日曜日の昼間にお酒を呑む自分を許している気がする。
 収穫祭を兼ねたJAZZ句会は、初参加の方も含め総勢24名。枝豆と音楽と俳句の力で和気藹々とした時間を過ごす事が出来た。
 この日の朝収穫したばかりの枝豆は格別だった。ほっこりとした歯ごたえ、ほんのりとした枝豆本来の甘さ。こんな枝豆を再び味わうことができるのは、一年先かと思うと、ずいぶん贅沢な体験をしたものだとつくづく思う。
 大豆プロジェクトは、大豆の収穫をし、豆腐づくりにも挑戦する予定。興味のある方は編集室までお問い合わせを。


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次号予告



229号 12月1日発行予定

次回特集
選評という名の創作! 選評大賞2016


お得で便利なマルコボ.コム直販定期購読! 巻末の案内をご覧ください
お申し込みの方へ、毎月末頃に最新号を送料無料でお届けいたします!
(住所変更の際は必ず編集室までご連絡ください)

『HAIKU LIFE 100年俳句計画』は以下の書店でもお買い求め頂けます。

愛媛県
 明屋書店 ※一部店舗のみ
 ゆらり内海(愛南町)
 原田書房(今治市)
 子規記念博物館(松山市)
 紀伊國屋書店松山店
 ジュンク堂書店松山店


HAIKU LIFE MAGAZINE 100年俳句計画
2016年11月号(No.228)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子

2016年11月1日発行