100年俳句計画7月号(no.224)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。






目次


巻頭リレーエッセイ
雪室/このはる紗耶


特集
100年俳句計画 大豆プロジェクト
第一弾 種まき体験吟行会



好評連載


作品

百年百花
 中町とおと/谷さやん/十亀わら/亜桜みかり


新100年の旗手
 KIYOAKI FILM/砂山恵子


新100年への軌跡
 俳句 中西亮太/脇々
 評 とりとり/亜桜みかり




読み物

美術館吟行/南行ひかる

mhm通信/暇人

Mountain Cabin Dispatch/ナサニエル ローゼン(翻訳:朗善)

JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭

ラクゴキゴ。/らくさぶろう

歳時記「無季」がバイブル/日暮屋又郎

ホンヤクサイホンヤク/翻田訳蔵

百年歳時記/夏井いつき

鑑(み)るという冒険/猫正宗

続 南極を詠もう!/源泰拓



読者のページ

100年投句計画
 選者三名による雑詠俳句計画
  桜井教人/阪西敦子/関悦史

 へたうま仙人/大塚迷路
 自由律俳句計画/きむらけんじ
 詰め俳句計画/マイマイ
 100年投句計画 投句方法

短歌の窓/渡部光一郎

百人百様E-Haiku/菅紀子

俳句ポスト365

一句一遊情報局

100年俳句計画 掲示板

魚のアブク

鮎の友釣り

告知

編集後記

次号予告





巻頭リレーエッセイ



雪室
このはる紗耶

 暑中お見舞い申し上げます。
 愛媛から新潟へ嫁いで約八年経ちますが、そのうち半分以上を豪雪地域で過ごした計算になります。郷里と当地を比べての一番大きな違いは、やはり雪。冬だけじゃなく、夏もです。
 冬場の気温は北海道ほど下がりませんが、雪の量が多い。かといって排雪するばかりじゃ勿体ない。溜めておいて有効利用しましょうよ!ってんで、一部の企業や学校では雪室が活躍しています。
 冷房として使われたり、雪中貯蔵庫として使われたり。貯蔵庫では酒や米・肉・魚・野菜・茶葉・蕎麦・コーヒー・味噌・醤油など、色んなものがひんやりと眠っています。これが不思議と美味しくなるんですよね。ああ、思い出すだけでお腹が鳴る。
 雪室によっては見学もできますので、もし機会があれば涼みがてらどうぞ。真夏に出会える雪、いい仕事してますよ。


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特集

100年俳句計画 大豆プロジェクト


第一弾 種まき体験吟行会

レポート キム チャンヒ

 昨年の「日暮屋の蕎麦を食べよう!プロジェクト」終了から、約半年。烏天狗さんの発案による「大豆プロジェクト」がスタート。その第1弾として、今回は「種まき体験吟行会」の模様を吟行句と共にお届けする。

 梅雨入り直後の6月5日午前9時、東温市の畑に集まったのは、烏天狗さん、日暮屋さん、マーペーさん、野風さんとキムの5名。せっかく近くに来たので、まずは去年の蕎麦を植えた畑も見学。すると収穫の際こぼれた蕎麦の種が、あちこちに芽を出していた。

休耕に去年の夏のおのれ生え 日暮屋又郎

 蕎麦の芽に触れたのは、たった9ヶ月ほど前。それなのに、ずいぶん昔に感じられる。蕎麦の芽を見るだけで、最後に食べた蕎麦の味まで蘇ってくる。
 気を取り直し、烏天狗さんの案内のもと、大豆を植える畑に入る。
 「昨日の夜から雨になる予報だったけん、急いで畝を作ったんよ」と烏天狗さん。一反ほどの畑には、10列ほどの畝ができあがっている。

透明な光よ水よ種を蒔く チャンヒ

 去年の蕎麦の種まきは、畝に沿って適当にパラパラと種を蒔いたが、大豆の場合は違う。
 「鳥に食べられるらしいから、第1関節ほど穴を掘って、その中に2、3粒大豆を入れて、土で軽く蓋をして植えるらしい」。
 烏天狗さんの説明がどうもはっきりしないので、突っ込んで聞くと、「大豆を植えるのは初めてなんで、笹百合さんに聞いたんよ」とのこと。ならば、農業のスペシャリスト、笹百合さんにも来て欲しかった! 大豆プロジェクトうまくゆくのか!?

素人の夢の種まく梅雨晴れ間 烏天狗

 ここで心配しても仕方が無い。烏天狗さんの用意した大豆をビニール袋に小分けして、種まき開始。まずは烏天狗さんが見本を見せる。手際よく指先で土に穴を掘り、ちょんちょんと種を入れ、蓋をしてゆく。見よう見まねで、それぞれ作業開始。
 ぬかるんだ畑に中腰で、片手に種の袋を持ち、慣れない手つきで作業するのは、どうにも効率が悪い。暫くして日暮屋さんから、「穴を掘る係と種を植える係とを分けませんか」と提案があった。烏天狗さんと日暮屋さんが穴開け係となり、1畝に2列、30センチ間隔で穴を空けてゆく。その穴を追うように、残りのメンバーが種を入れてゆく。

青豆をはふりこむ穴走り梅雨 野風

梅雨に入る豆の持ちたる明と暗 マーペー

 1畝の半分ほど蒔き終えた頃、あねごさんが到着。

梅雨空を急げよあまがえる号 あねご

 「メンバーはこれだけ? 笹百合さんはいないの?」
 これほど簡潔に参加者の不安を言い当てた言葉があるだろうか。烏天狗さんの答えた「だいじょうぶやろ」の言葉に安心するものはいなかった(と思う)。

じゅるじゅるの畑耕す梅雨の入り 日暮屋又郎

泥に足取られるわ大豆蒔き損ねるわ あねご

 畑には微妙に勾配があり、奥の方は水が溜まってぬかるんでおり、かなり足下は悪い。土に湿気があるためか、雨蛙や沢蟹にも出くわす。

ここいらを縄張りとして雨蛙 日暮屋又郎

沢蟹にへっぴり腰をなじられる あねご

 小さな沢蟹を見ていると、どうやって食べるのが一番美味しいのか、考えてしまう。恐らく唐揚げだな、などと自分勝手な結論を出しながら、ひたすら土をほじくったり、大豆を蒔いたりし続ける。

畝長し背な縦横に夏燕 野風

 結局この日は約1時間、3畝ほど種を蒔き作業終了。その後は、近くの柿の木を見たり、いつか吟行をするつもりのレンコン畑を見たりしながら時を過ごした。そして、最後に立ち寄った一面の花菖蒲畑。

花菖蒲いつも闇へと崩れゆく チャンヒ

其処此処に立ち並びたる花菖蒲 マーペー

 解散をする前に全員で食事をしながら、「商品にするなら、鳥に食べられないよう、網をかけたりするのだけど、ま、食べられたらそれまでよ」と言う烏天狗さん。その言葉に心配しながらも、鳥に食われたらそれはそれで句材になるな、でもその時は、植え直さないといけないな、それはそれでイヤだな、などと考えていた。
 それから9日後、烏天狗さんから発芽したとのメールが届いた。そして更に3日後の16日の状況が左の写真。今のところ順調に育っている! 大豆も雑草も!!



100年俳句計画
大豆プロジェクト
今後の予定

大豆プロジェクト第2弾
日時 6月25日(土)午前9時〜
摘心&草曳き

大豆プロジェクト第3弾
日時 7月10日(日)午前9時〜
種まき(2回目)&草曳き

大豆プロジェクト第4弾
日時 7月31日(日)午前9時〜
摘心(2回目)&草曳き&小豆の種まき(?)

9月頃枝豆収穫祭の予定。

申込みは100年俳句計画編集室まで

追加情報は、メールマガジン「100年俳句通信」にて発表予定です。
下記アドレスから登録できます。
http://marukobo.com/mm/

主催 烏天狗&ハイクライフマガジン『100年俳句計画』
協力 まつやま俳句でまちづくりの会


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美術館吟行


第19回

愛媛県美術館 
所蔵品による特集展示吟行会

文 南行ひかる
取材協力 愛媛県美術館


 「考えるな、感じろ!」、これが最近出会った言葉の中で最も印象に残った言葉だ。
 これは本誌六月号掲載の桃ライス画伯の「俳人に捧げる愛のつぶやき、その38」である。(ブルース・リー?だけでなく)俳人に対してこれほど的確な指南の言葉は無いだろう。
 一方「俳句六感」、この言葉は夏井いつき組長がテレビ「NHK俳句」(五月)において提唱された言葉である。これは、目、耳、鼻、口、皮膚の五感と、それに連想力を加えての六感でもって季語の現場に立て、との教えだった。
 この二つの言葉を踏まえてみると、この美術館吟行という吟行は、まず視覚を研ぎ澄まして観察するという訓練となり、そしてさらに連想力でもって、残りの聴覚、嗅覚、味覚、触覚をも脳内に立ち上げるという感性の活性化訓練となると言えるだろう。これこそが「考えるな、感じろ!」の愛のつぶやきに応える作句となる……。
 ……などと、久しぶりに真面目な事を考えた吾輩でありました。

 さて今回の美術館吟行の作品と俳句を順次ご紹介していきたい。
 各俳句作者が、「感じているか」「六感が活性化されているか」どうか…

1 西洋美術 帰ってきた近代フランス絵画

 まずは西洋美術だが、実は大変高価な名画三点が愛媛美術館にさりげなく展示されている。いずれも各地に貸し出ししていた作品で、久しぶりに本館に帰ってきた。皆さんも来館の折にはテーマ展とともにぜひ見てほしい。

 ひとつは印象派セザンヌの「水の反映」を鑑賞して。
画布の湖を微かに仏蘭西の西日 チャンヒ

 もう一つはコローの「ヴィル=ダヴレー 白樺のある池」。
青葉若葉池に光の風揺るる ひかる

 最後はモネの「アンティーブ岬」(地中海のコートダジュールに面した岬)。
静寂の水平線まで新樹光 ひかる

2 What's going on in the pictures? どこからそう思う?―中学生のための美術鑑賞

 このコーナーはWhat's going on in the pictures?との問い掛けの表示があり、中学生への啓発美術作品集となっていたが、大人にも十分興味深い作品集。

 まずは杉浦非水作の「三越呉服店 春の新柄陳列会」(大正時代の三越のイベントポスター)を観て一同感じ入って次の通り。

新世紀新芸術や蝶の昼 チャンヒ
春の夢大正ロマンに咲く女 ひかる
春という謎に埋めつくされ貴女 猫正宗

 里見勝蔵作「和服の女」を観て。
和服にて梅雨をありきたりに生きて チャンヒ
春愁をひきずっている傾ぎかな 恋衣

 畦地梅太郎作「山小屋の老人」を詠む。
山小屋の老人が俺を見る極暑 チャンヒ

 武久実作「闘牛をみる人」へ。
戦いの合間を吹くや青嵐 恋衣

 福井江太郎作「澱み」(2m四方の大作)
青年の長すぎる首明易し 恋衣
霾や世界が我か澱むのは 猫正宗

 井上惺亮作「PEINTURE」
滴りの絵の具は文字にならない詩 チャンヒ

 村上隆作「Making U-Turn the Lost Child Finds his way home」
春空をごらん何処にも顔がある チャンヒ
夏の果てやがて生命は溶けあって 猫正宗

 伊藤五百亀作「はたち」(彫刻)
初夏のますぐはたちの後頭部 恋衣

 近藤英樹作「発芽 再生の種」
遥かより滴り落ちて命萌ゆ 猫正宗

3 武智光春コレクション 福田平八郎 春・初夏の風物画

 このコーナーは松山出身の武智光春氏のコレクションで大分出身の福田平八郎作品七点を展示。

 福田平八郎「雉」を詠む。
万緑の大地をつかむ雉の爪 恋衣

4 「絵の中の空」編

 空をテーマにした絵画十点の展示。

 矢野鉄山作「孤琴涓潔」
月遥か世界で孤独という愉悦 猫正宗

 池田遥邨作「蚊帳の中までまん丸い月昇る 山頭火」
湖底まで月落ちひとりなり朧
 ひかる

 香月泰男作「朝陽」
炎天の絵の中空にあるカオス
 恋衣

 こうしてみると、各自が楽しんで作句しているのは確かであり、理屈より感性でもって遊んでいる、のは間違いないところ。皆さんも今後ぜひ美術館吟行に参加して六感トレーニングを一緒に体験してみましょう。

ほどきたる紐にひらりと天蛾は    恋衣


南行ひかる
転勤族。各地に転勤、平成15年から今治に6年間、そして東京、名古屋と再転勤の後、2014年4月、5年ぶりに愛媛へ。俳都松山への移住計画を実現、いつき組員にて俳句百年計画に参画中。


次回美術館吟行会

愛媛県美術館
再興第100回院展吟行会

7月2日10時現地集合
参加無料(入館料は別途)
申込締切:6月29日
『100年俳句計画』編集室までお申し込み下さい。TEL 089-906-0694

吟行ナビえひめ
http://iyokannet.jp/ginkou/


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百年百花




大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2016年度 第一期 最終回


願はくは
中町とおと

陽の中を青葉とあをば喚ばひあふ
ブラウスに青葉をくぐり来し光
平らかな胸はつなつのハトロン紙
階の緑陰へ入る白さかな
百日紅ことばはこゑを得たりけり
パセリ噛みちぎるどうしやうもなくみなぎつて
白粉の匂ひ阿蘭陀獅子頭
ソーダ割り少し残して別れけり
星涼しトルソーひとり置く窓辺
削り氷の碧きしじまに横たはる
角隠し泉の底へまゐらうか
願はくはまた生れ来む沙羅の下

1979年生まれ、千葉県在住。句集「さみしき獣」で第4回大人コン最優秀賞。今年も俳都松山キャラバンin新宿の俳句対局に出場させて頂くことになりました。強敵揃いに腕が鳴ります(強がり)。


セージ
谷さやん

缶に立て絵筆の先の夏の雲
地図広げ吹かれる松葉牡丹かな
ドラマーの小奇麗な肘枇杷食べる
手荷物の中で寝返り蝉の殻
父の日の真顔の父の雨やどり
積木の木匂う青胡桃も少し
戦争と平和紫陽花の青と白
向日葵の彼の一本の昏酔す
迷彩柄がただ一枚の水着の写真
絵葉書のヨットに月を加えたし
夕立が来るよセージの青々と
朝の雨髪切虫と船に乗る

1958年生まれ。「いつき組」所属。「船団の会」会員。『不器男百句』坪内稔典・谷さやん共編(創風社出版)。句集『逢ひに行く』(富士見書房)で宗左近俳句大賞受賞。『芝不器男への旅』(創風社出版)。


夏蝶の庭
十亀わら

水も日も跳ねよ新緑のテラス
左目が右の目を呼ぶ蛍籠
抗わぬと決めれば疾し水馬
萍の夕日ばかりが太りけり
美しき骨格を抱く夏野かな
水鶏鳴く爪を切るとき屈む膝
花南天さびしき首を縦に振る
額の花毎年同じお詫び文
子は不意に怒る蜥蜴は尾を捨てる
五月晴外科医は白き肘垂らし
説き伏せるつもりかサルビアは真昼
夏蝶の庭に光のひとにぎり

1978年生。「いつき組」所属。2005年俳句界賞。飾らない気持ちと飾りたい気持ちで揺れながら、これからも俳句と格闘したいと思います。ありがとうございました。


ゐるところ
亜桜みかり

片貝のつぶやくやうに初夏へ泡
筒姫を迎ふるがため鳥を呼ぶ
舟を浮かべよあたらしき緑雨集めよ
祭笛まづ世話係から点呼
天狗踊り出づ結界へ刃の触るる
あぢさゐのあををさがしてゐるところ
白地図に探す入江のヨットの帆
ロボットに呼び止めらるる夏の宵
リーディンググラス誂へ梅雨の月
またたく星よほうたる泣かせては
一花づつ並べましたか山法師
梅雨明のアイロン掛けにボタン邪魔

連載を終えたら調査票点検のアルバイト、身体のメンテナンス、新築計画と予定満載の夏本番。4か月おつき合いくださった皆さま、ありがとうございました。


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新 100年の旗手


読者投稿による3ヶ月連載作品集
(2016年7月号 〜 2016年9月号 1/3回目)


「夏」 KIYOAKI FILM

真黒な肉体洗う夏の滝
褐色の顔面洗う恋の夏
夏氷珈琲を飲む真黒真白
病爪を弾く少年夏の窓
きんたまを磨きて立ちし夏の快
ぐったりと體を伸ばす夏山河
円空をぐるぐる一人夏燕
DVD百本棚に夏の鐘
教会の甘い珈琲夏狂い
黒いくろい男の体花畑

1977年生まれ。「海程」同人。兵庫県神戸市在住。2016年5月、『映画句集 手話する冬鹿』出版前、以後、俳句訳分からなくなり、「へたうま仙人」投句中。第十三回『西東三鬼賞』《秀逸》「万年床周りに置きし雪だるま」。


「晩夏光」 砂山恵子

左利き咎められる子手花火す
風吹かず魚の匂いや百日紅
向日葵や金メダリストは一人だけ
夾竹桃影が見えざるかくれんぼ
手話の手で花散らすごと踊りけり
極道を過去に重ねど吊忍
死の床で父は風鈴はずしおり
炎天や認印のごと挨拶す
言えぬままそれでも良しと紫蘇をもむ
指先の痛みさくりと晩夏光

1959年香川県生まれだが、5歳から愛媛県に在住、孫1人あり。伊予西条市で現役の女性耳鼻科医。昨年5月から俳句をはじめたばかりである。俳号dolce(ドルチェ)。


2016年度第3期連載者募集中 締切8月15日(月)
応募内容 10月号に掲載できるタイトル付の10句
応募先  Eメール magazine@marukobo.com 件名に必ず「100年の旗手応募」と明記して下さい。
      (郵送またはFAXでも受け付けております。詳しくは編集室までお問い合わせ下さい。)


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新 100年への軌跡


2016年度 第一期 最終回


「鰭」 中西亮太 

信号の変はる瞬間夏来る
横断の縞越ゆ歩幅夏来る
カレーパン置き去る人や夏来る
くつきりと溝彫られたるカーネーション
青蛙止まれの文字の上に跳ぬ
見上げれば東京の空風薫る
遊船や狭き行間進みけり
小満や三つ編みの目の絞られて
神田川泡立つてゐる麦の秋
雛罌粟の陽に透かされてゐたるかな
夏蝶や近くに来ては離れゆく
屈折のなき光差す水中花
花石榴溢れ出したるイエスかな
画用紙に鰭伸ばしたる金魚かな
梅雨時や切手舐めたる舌やはし

中西亮太
 1992年岐阜県生まれ。東京都在住。東京大学大学院在学中。「艀」同人。


「見上げつつ」 脇々 

夕涼や眠そうにある喫茶店
海風のほどけて大西日ににじむ
ひでり空整備士車から出でて
冷蔵庫を無慈悲に叩く赤ん坊
なんにんも麦わら帽が通る家
兄としてプリンを渡す夏休み
姉が欲しいにゃんこが寄ってくるような
うみかぜのスタジオ晩夏野郎ども
臨海学校星を見上げつつ終わる
肉屋まで肉運ばれて七月来
夕焼けて看板祖父の顔らしく
青空の匂いあふれて夏木立
夏果の路上に愛を歌いたる
今月から家の二階が納涼床
まかないはコーヒー秋を待ちながら

脇々
 1996年、愛媛県宇和島市生まれ。第16回・17回俳句甲子園出場。愛媛大学俳句研究会所属。



あくまでもオバサンの感想
とりとり

 あまり人のことを言えた立場ではないんですが、「鰭」は文語がややぎこちなくて、統一的な印象がないのが残念だと思いました。進化の途中という感じはしますが、文法の点検も必要。
横断の縞越ゆ歩幅夏来る 中西亮太
は、内容から考えると「超ゆ」→「超ゆる」と連体形にするのが自然ではないでしょうか。
遊船や狭き行間進みけり 中西亮太
は、あえて「や」「けり」を重ねる必然性がないように思いました。
 好きだったのは
画用紙に鰭伸ばしたる金魚かな 中西亮太
 画用紙の金魚の絵の鰭を長く描く、目の前の金魚も優雅に鰭を伸ばす。おしゃれな句ですね。
  
 「見上げつつ」は、一句一句は軽いけれど、集まってこの人の「夏」を形作っている感じがします。
兄としてプリンを渡す夏休み 脇々
 微笑ましいですね。両親の留守を任されたお兄ちゃんですね。「夏休み」の句としてユニークな実感だと思いました。
夏果の路上に愛を歌いたる 脇々
 この句は「夏果」が動かないと思いました。路上で愛を歌うのは、夏の果てのしかも深夜でなくてはね。

とりとり
 1957年生まれ。三重県在住女性。第1回選評大賞優秀賞。


跳ねよ 歌えよ
亜桜みかり

青蛙止まれの文字の上に跳ぬ 中西亮太
 立て続けに「夏来る」三句。一句挟んで出現したのが「止まれの文字の上」に勢いよく跳ねる「青蛙」。夏のスタートラインに立ち、大きく瞳を開いた作者のジャンプする姿のようだ。
画用紙に鰭伸ばしたる金魚かな 中西亮太
 表題句。水中の金魚を画用紙に描いているのだろうか。いつもはマイペースな金魚が、夏になって鰭を伸ばしているという発見。ややシュールな見方に傾いていると感じるが、作者の心もまたそうなのだろうか。 
臨海学校星を見上げつつ終わる 脇々
 表題句。「星を見上げつつ」終わってしまう「臨海学校」。退校式は翌朝なのだろうが、ささやかなせつなさの混じった夏星の光を受け止める時間が、終わりを確かなものにしていく。
夏果の路上に愛を歌いたる 脇々
 「愛」を歌う路上とは……。はじめは「路上」という言葉から歩行者天国のような場所を思い浮かべたのだが、前後の句から推測すると、夏木立を抜けた空には夕焼の始まりが。終わってゆく夏をいとおしみつつ「愛」を歌っている。なんと気持ちの良い一句だろうか。

 評したい句が沢山あるお二方の連載も最終回。素晴らしい経験になったと思います。お疲れ様でした。

亜桜みかり
 1961年俳都松山市生まれ。今治市在住。第2回、第7回、第8回選評大賞優秀賞受賞。第3回大人のための句集を作ろう!コンテスト優秀賞受賞。



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まつやま俳句でまちづくりの会 mhm通信


第64回

文 暇人


mhmの活動に参加したい方へ
 今回は、このところ多くのお問い合わせをいただいている、mhmへの入会や参加についてのご案内です。
 皆様よりいただくお問い合わせの内容に応じて、いくつかのQ&A項目を用意しました。

Q.mhmへの入会条件は?
A.mhm(まつやま俳句でまちづくりの会)は、その名のとおり、松山で俳句を活用した街作りをする団体です(詳しくはホームページに掲載)。活動に賛同してくださる方はどなたでも歓迎します。松山地域での活動が中心ですが、一部周辺地域での活動もあります。現在の会員には、松山市外及び愛媛県外在住の会員もいます。

Q.会員報酬や役員報酬は?
A.会員、役員問わず無報酬で行っております。

Q.定例会の開催日程は?
A.毎月最終金曜日、マルコボ.コムにて開催します(12月は別日程)。隔月で懇親会(食事会)も行います。また、必要に応じて臨時会を開催することもあります。なお、参加のための交通費や懇親会費用などは各自に自費で負担していただきます。

Q.mhmに入っていると夏井いつき組長と交流できるのですか?
A.まる裏俳句甲子園などのイベントは、句会ライブ進行や審査員として夏井いつき組長に関わっていただいています。
 当会の定例会や、その他の企画には、組長は参加していません。ご了承願います。

Q.会員は普段何をしているの?
A.会に必要な作業を分担して行っています。主に事務作業が中心ですが、能力や特性によっては、必要に応じて特別な作業をお願いすることもあります。作業はすべて無報酬ですが、何らかの作業を担当していただくとなった場合には、担当者として責任をじゅうぶんに持って作業を行っていただきます。

Q.活動への参加や入会をするには?
A.メール(mhm_info@e-mhm.com)、または電話(089-906-0694/担当 キム)で詳細をお問い合わせください。なお、当会の活動趣旨をご理解いただけないと判断した場合には、参加をお断りする場合があります。
 活動へのご理解・ご協力をいただける方のご参加を、心からお待ちしています。まずは見学からどうぞ。


 mhmでは引き続き松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終金曜日19時からマルコボ.コムにて定例会を行います。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。


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Mountain Cabin Dispatch


ナサニエル ローゼン(訳 朗善)
山梨で暮らす世界的チェリスト ナサニエル ローゼンのHAIKUとエッセイ

No.36


Cobblestones after shower
Steam rising to the sky
Old man's prayer

蒸す石に祈る男や夕立あと

(直訳)
夕立後の玉石
湯気は空へ
老人の祈りも


 I was honored to be a guest on the television program Haiku Masters and was privileged to learn from Nakahara-sensee many new things. The beauty of Taisanji Temple and the chanting of its pilgrims made an unforgettable scene, and my joints are recovering from two hours of sitting cross-legged.

 私は、テレビ番組「Haiku Masters」のゲストに招かれるという光栄に浴し、中原(道夫)先生よりたくさんの新しい事を学ぶ名誉にもあずかった。太山寺の美しさとお遍路の読経は、忘れがたい光景となった。座禅のような二時間の座談による節々の痛みから、今回復しつつある。


ナサニエル・ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。2013年7月より山梨へ移住。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文 白方雅博
(俳号 蛇頭)

第64話  バリー ハリス アット ザ ジャズ ワークショップ

靴音も気ままに喜雨の遊歩道 時計子
 久々にバリー ハリスのピアノを聴いて、とても良い気分になった。テーマ アルバム1曲目、ルイス ジョーダン作曲の「Is you is or is you ain't my baby? あなたの心は」をミディアム テンポで奏でるハリスは、バド パウエル直系ながらタッチは柔らかで落ち着きのある表情に満ちている。
雹跳ねる景色のやうにバップ鳴る いしき
 一転、2曲目のハリス自身の曲「カーテン コール」ではバップ ピアニストの本領を発揮。タッチは渇いた街を潤す喜雨から雹に豹変する、なんちゃって。
鍵盤を愛撫するごと南風吹く 光海
 句の艶っぽさ、いやストレートにエロさってのは詠み人の日常の素行や言動に少なからず影響される。句会で僕は、これはその手の句である、と主張したのだが、他のメンバーに完全否定されてしまった。光海さんの人徳が3曲目、ドン レイ、ジーン デポール共作「スター アイズ」の品位あるタッチに、この句をマッチさせた。
涼風の運指に滲む熱を聴く 猫正宗
 4曲目、ビバップ創成の立役者チャーリー パーカー作曲「ムース ザ ムーチェ」の演奏には今回の一番人気句を捧げる。きっと猫さんも納得してくれるだろう。
ビバップのピアノは夏潮の無限 チャンヒ
 モダン ジャズの中核はビバップである。1950年代、ミシガン州デトロイトは、ペンシルヴェニア州フィラデルフィアと並んでモダン ジャズ ミュージシャンの二大原産地といわれた。バリー ハリスは1929年デトロイト生まれで、母親は教会のピアニスト。このような環境から彼は典型的なバップ ピアニストとして早くからマイルス等ビッグネーム達との共演を果たし、高い評価を得た。
 しかし、彼が「イッツ タイム」と言って進出した1960年のニューヨークは前衛フリー ジャズが勃興。50年代を席巻したハード バップは既に衰退期を迎えていた。この時期にハリスは今回のテーマとサブテーマ「プレミナード」を含む5作をリヴァーサイド レコードからリリース、好評を博したのは流石。
メソッドの黒き手垢や梅雨に入る 南亭骨太
 ハリスにとって玄人好み≠ニか渋い味わい≠ネどという形容は、不調期が無く安定感のある彼に対する賛辞であるが、この名手も60年代後半はレコーディングの仕事に恵まれなかった。しかし、70年代に入るとニューヨークはハード バップのリヴァイバル現象が起こり、彼もその真っ只中で活躍した。リーダーアルバム30作以上、サイドマン参加のアルバム100作以上という実績がこれを物語っている。御歳86、ハリスは現在も週1回ワークショップを開き後進の指導に情熱を注いでいる。


『バリー ハリス アット ザ ジャズ ワークショップ』1960年/riverside
『プレミナード』1960〜1961年/reverside


「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の毎月第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は月曜日の21時〜22時。

次回のJAZZ句会は、7月18日(月 祝)13時より。テーマは「ザ クォータ/レッド ガーランド」です。

このコーナーで紹介した俳句とエッセイ、堤宏文さんの写真とを組み合わせた『JAZZ HAIKU』vol.1、vol2(マルコボ.コム)を発売中。


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ラクゴキゴ


第六十四話
文 俳句 らくさぶろう

『天災』
 すべてそう思えたら楽なのに

 ご隠居さんのところへ、八五郎が飛び込んで来て、離縁状を二通書いてくれと頼む。何故二通要るのかと訊かれると、妻と母親へ渡すのだと言う。
 まさか母親にまで離縁状が書けるものか、おまえはいつもそうやって夫婦げんか、親子げんかをして他人を騒がせているので、今日はいい人を紹介してやるから、そこで話を聴いてこいと、心学の先生、紅羅坊名丸を紹介してやることに。
 その先生は「あなたは気が短く、よくけんかをするそうだが、短気は損気、ならぬ堪忍するが堪忍。」と語ってくれるが、八五郎には全く分からない。
 もし軒下を歩いていて、屋根から瓦が落ちてきたらどうするかと問われたら「その家にどなりこんで行く」と答える。
 また「広い原っぱを歩いていると夏の夕立が。全身びしょ濡れになったあなたはどうする?」と問われると、よく考えた上で、「天が降らした雨だから諦める」と、こんなことを言う。
 そこを気づいてほしかった先生、「何ごともそう考えることが出来ませんか。屋根から瓦が落ちてきたのも、あなたがそこを歩いていた身の不運。夕立も、天が降らした雨だと考えると、けんかなど起こりません。これを“天災”と申します。」と諭してくれる。
 これにすっかり納得して家に帰った八五郎、離婚で揉めている隣の家に行き、亭主に説教しようとするが、心学の先生から聴いた話をテキトーに言うものだから何だか訳がわからない。
 しかし最後に「今の女のところに、前の嫁さんが飛びこんできたからもめてるんだろう。前の嫁と思うからそうなる。天が飛びこんできたと思え。これすなわち天災だ。」
亭主「なに言ってやがる、うちは先妻でもめてるんだ」

 落語って、昔から使われているフレーズや言い回し、慣用句などが入っている場合が多々あり、私達言葉を生業とする人間にとっては、大変勉強になります。
 この噺の中にも、広い原っぱに降る大雨のことを、「夏の雨は馬の背を分ける夕立」というフレーズが出てきます。
 学生のときに初めてこの噺を耳にしたとき、ミョーにこの夕立のフレーズが新鮮でした。
 “馬の背を分ける”
 ん? 分かるようで分からない……。辞書で調べてみよう!
 「夕立は、馬の背の片側を濡らしても、もう一方の側は濡らさなかったりすることがあるように、局地的な降り方をすることから。」
 ほほう!! 勉強になりました〜と、感心したのを覚えております。
 少し誇張表現かもしれませんが、これくらい言うとイメージが湧きますもの。
 しかしこの噺、自分にあてはめて聴くとそのときには「なるべく腹を立てないように、何ごとも天災だと思いましょ」なんて納得するんですが、腹の立つことの多いこと多いこと(涙)
 こう見えて瞬間湯沸かし器でありますゆえ、カッとなることもしばしば。
 いけませんねえいけません。グッとこらえ、吐いてはいけない言葉を飲み込みましょう。
 ただ、弟子だけでも腹の立つことやらかしてくれなければいいんですが、こいつが一番多い(笑)
 ならぬ堪忍、するが堪忍……。

うまくいくこと少なくて大夕立


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歳時記「無季」がバイブル


第9回
文 現代俳句協会会員  日暮屋 又郎


 およそ営業職において、売上という数字がついて回るのは百も承知している。
 その目標数字を満たすための基準として、前年同期対比というものがあり、これに対し、あとどれくらいの上乗せを会社が期待するのかで、今期の予算が決まる。
 おおむね、中堅くらいまでの者ならば、自分ひとりの予算を積み上げることに懸命になればそれで良いのだが、プレーイングマネージャーという立場だとそうはいかない。自分の数字とチーム(課)全体での数字が問われることになる。
 子育て真っ最中の部下に、できるだけたくさんの給料を持って帰ってほしいと願うのは、課長として当然のことであり、チーム一丸で予算という至上命令に立ち向かっていかなくてはならない。そのためにも誰より早く出社して、先ず自ら挨拶を心がけ、その反応で部下の体調や心持をうかがう。たるんでいる者がいれば叱咤激励し、モチベーションの低い者がいれば、原因は何なのか、その原因が会社側の施策にあるのなら、そのことを上に伝え着地点をさがして再び、やる気を引き出すという地味な行動で目標達成の任に当たる日々である。
 しかしながら、高度経済成長期でもあるまいに、毎回うまくいくとは限らない。今期もまた、あっぷあっぷの状態で、何か違う販路がない限り綱渡り的な日々が続く。
 そんな苦しいときほど、えてしてチャンスは巡ってくる。お百度参りしてもなかなか胸襟を開いてくれなかった取引先にトラブルが発生。ライバル会社の推奨品が万能を謳いながら、仕様書の隅っこに言い訳のような注意書きがあり、その見落としがトラブルの原因だった。
 すかさずそこを指摘したうえでそれをクリアしている商品の提案。それがうまくいかず失敗に終われば、腹を切る覚悟だ。先方の問題点を取り払ったことで感謝されることになり、実はこの件だけではなく、こちらの別の件でも困っているとの相談等、様々な相談が持ちかけられ、それに対し、的確な回答を確実にくり返して、信用が益々上がりはじめ、比例して売り上げも上がることとなり、思いもよらぬ予算の上乗せができた。

断崖に立ち鼻の差で生きる 津久井理一

 よし、明日の昼はみんなでうな重だ。役職手当の使い道は心得ているつもりの、うれしい日暮屋課長である。


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ホンヤクサイホンヤク


著 翻田 訳蔵


 俳句初心者、翻田訳蔵がネット上の翻訳ソフトを使って名句を翻訳、再翻訳し、そこからインスパイアされた(パクッた)句を発表していこうという馬鹿馬鹿しくも実験的で図々しいコラムです。

 今回の俳句
 蟻の列いま粛然と夕焼けぬ 川端茅舎 

 昔話を翻訳再翻訳するのが流行っているという記事を見つけて「お、ついにホンヤクサイホンヤクの時代が来たか。」と、よく読んでみると2006年には「かぐや姫(匂いをかがれるとすぐにプリンセス)」、2008年には「浦島太郎(背面ストライプのタロイモ)」の本が出版されていました。私の連載は2012年からなので後追いでした……。

 気を取りなおして、Google翻訳(日→英)から

Nu column now Shukuzen and sunset of ants

 再翻訳(英→日)

ニュー列は現在Shokuzenとアリの夕日

 「焼けぬ」の「ぬ」がそのまま「Nu」になって結局「ニュー」に訳されています。ギリシャ語アルファベットの第13字がニュー〈Ν・ν〉だそうです。物質を構成する最小の単位である素粒子の一つで、日本人のノーベル物理学賞受賞で話題になった「ニュートリノ」の記号でもあるようです。

 続いて、エキサイト翻訳(日→英)

A line of an ant can't bake the evening quietly now.

 再翻訳(英→日)

蟻のラインは現在夕方を静かに焼くことができない。

 最後に、Yahoo!翻訳(日→英)

I am not burnt in 粛然 and an evening in row of ants now

 再翻訳(英→日)

私は、現在粛然と夕方にアリの列で火傷しません

 それでは、この3つを受けて一句。


蟻の列νの字描き夕焼けぬ 翻田訳蔵


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超初心者から中上級者まで楽しめる

100年投句計画



 「100年投句計画」は、読者の投句コーナーです。

 「選者三名による雑詠俳句計画」は、雑詠句の選句欄です。投句の中から先選者二名が、それぞれ天地人の句を選び、先選より漏れた句の中から、後選者が特選、並選を選んでいます。選者は、関悦史さん、阪西敦子さん、桜井教人さんです。

 「へたうま仙人」は、ヘタな句を褒め、巧い句を追放する、世の選句欄とは真逆のコーナーです。どんなにヘタな句でも褒めてくれるので、自分の俳句に自信のない方、何はともあれ褒めて欲しい方に最適(?)。担当は大塚迷路さんです。

 「自由律俳句計画」は自由律俳句の選句欄です。自由律俳句に挑戦することで、自由律俳句ならではの楽しさを味わうと共に、有季定型の俳句との思わぬ共通点も見えてきます。選者は、きむらけんじさん。

 「詰め俳句計画」は、マイマイさんによる、二つのフレーズに合う季語を投稿するコーナーです。季寄せや歳時記さえあれば、全くの俳句初心者でも挑戦できます。

(投句方法は「100年投句計画」コーナー末尾参照)


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選者三名による 雑詠俳句計画




先選者 桜井教人

 大阪万博のことを先月書いたが、愛知万博にも思い出がある。トヨタグループ館でのことだ。ここのメインはロボットショー。撮影は禁止だがフラッシュで迷惑をかけなければとフラッシュを切って数枚撮った。すると向こうからスタッフのお姉さんがやって来て注意された。しかし何事も簡単にはあきらめない性格の私は、今度はカメラを構えることなく自然に手に持つ形で撮った。またお姉さんがやって来てご指導を受けた。暗い館内、数百人の観客、何故分かったのか未だに不明。もしかすると日本には普通の人には知らされない恐ろしい技術があるのかも知れない。



弧を描く馬の調教新樹光 おせろ
 新馬の最も初期には、馬にロープを着けて円に沿って歩かせたり軽く走らせたりする。それを通して人との信頼関係を築くのだ。馬も人もきっと不安に違いない。そんな不安を払拭してくれるのは新樹が放つ光だ。若葉に覆われたみずみずしい初夏の光は、新馬と同化しさらに光を増す。青毛に光り、鹿毛に光り、その光がまた新樹に帰って行く。徐々に光を蓄えた新馬はやがて真緑のターフを力強く疾走する駿馬に成長していることだろう。



芝桜見る飛行機の空低く しのたん
 紅の芝桜越しに見る飛行機。着陸を控えて低空を飛んでいるのかも知れない。視覚的、心理的に空が低くなったような気がした作者。芝桜の紅、機影の銀色、空の蒼さ、それぞれの相乗効果によって色の鮮やかさが何倍にも増している。 

ガテン系社食大盛炎天下 青萄
 某テレビ番組で紹介してほしいシチュエーション。男性も女性もパワフルに食事をしている姿が想像でき、その景がとても心地いい。この社食なら炎天下も乗り越えられるだろう。カタカナと漢字の字面も効果的。

五月雨やアビーロードに傘の列 かのん
 アルバム発売後半世紀が経とうとしている今も超人気撮影スポットらしい。そこに傘という視点を当てたことにより映像と詩を確保した。時間と空間を超越したなんとも不思議な句だ。

父の日や折り目の二本あるズボン 小市
 父の日がいつかを知らない人が多いように、父のズボンの折り目に気づく家族は少ない。父の日だから気づいたのだ。折り目が二本あるのは少しダサいが、それに気づいてくれる家族がいることには微かな嫉妬をおぼえる。

夏めくや髪に螺鈿の飾りピン 彩楓
 季語の夏めくと螺鈿のさりげない響き合いと光の量が適切。光るのは飾りピンだけではなく作者の心だ。漠然とした季語から明確な物にもって来る手法も確かだ。螺鈿の飾りピンを着けて何処へ行くのだろう。



夏期講座ミニ盆栽にミニフィギュア ヤッチー
風死してラジオバブルの頃の曲 海田
マンモスの夢を見ました夏の昼 誉茂子
何度目の新緑ですか磨崖仏 夜市
給食を告ぐ薫風のユモレスク ゆりかもめ
なけなしの初任給からカーネーション うに子
百足現る空間の不整合 越智空子
忘れてしまふ母へ淹れたる新茶かな 西原みどり
兜折る英字新聞夏燕 ミセスコナン
砕石の発破の痕のかたつむり 鯉城



先選者 阪西敦子

 単行本をもって移動するのが好きだ。それもハードカバー。文庫版も新書版も便利だけれど、開いた瞬間に世界が変わるのは単行本、四百頁を超えていると安心する。移動しながら読んでいるのではなくて、読んでいるうちに移動している。飛行機もいい、できれば長距離、新幹線もいいけれど、倍の時間をかけてローカル線の二階席もいい、地下鉄のぽかりと空いている車両も。通勤が短くなってからは、そのために乗り過ごすことも多いけれど。



忘れてしまふ母へ淹れたる新茶かな 西原みどり
 「忘れてしまふ」は母のこのところの様子であって、であればきっとこの新茶を淹れたことも忘れてしまうのだろうと同時に知らされる。だけれども、新茶を淹れたものはそれを覚えていて、母もその時は新茶をおいしいと感じるのだろう。茶を飲んだものが忘れてしまうという属性を持つことによって、かえって純粋に、新茶を淹れて味わうということが描かれるのかもしれない。



芝桜見る飛行機の空低く しのたん
 途中で主語の入れ替わる忙しい句。なのだけれど、その忙しさをあまり感じさせないのは、視点の自然さだろうか。広々とした芝桜の野の向こうをゆく飛び立ったばかりの飛行機。それを追って行っても、視界のどこかに紅が残る。

人の灯のまばらとなりぬ栗の花 もね
 栗の花は明るさ、あるいは香り。人が暮らすための灯が減ってゆくころ、その両方は存在を増してゆく。「まばら」は空間の経過でもあり、時間の経過でもある。ぽんとおかれた栗の花に句が集約してゆく。

給食を告ぐ薫風のユモレスク ゆりかもめ
 ユモレスクは、わたしの時も給食の合図だったのだろうか。スピーカーから流される正式なのか今となってはわからない音が、その曲との初めての出会いだった人は多いのではないか。「薫風のユモレスク」はその正式ではない親しさ。

地図帳の長き国名麦の秋 ゆりかもめ
 ボスニア・ヘルツェゴビナ、過去にはセルビア・モンテネグロ、意外に長いUnited Kingdom of Great Britain and Northern Ireland。いずれも複雑な歴史がその名にはある。麦の秋はその国境とは関わりなく、今年も広がっている。

まっ白なシャツは大きく風薫る 松尾千波矢
 いまいち何が何にかかっているのかがわからない句。なのだけれど、句の感動は比較的明確である。真っ白なシャツが薫風の中をはためく。シャツに、風に、はためきにかかる曖昧な「大きく」が句をひろびろとさせる。



春の闇隣のいびきと遠い汽車 多満
葛餅の角ふるふると蜜すべる 七草
千年の欅のかげへ夏の蝶 てん点
ぱりぱりに乾く作業着聖五月 ぴいす
早朝の不機嫌そうな草刈機 和音
膳の数ほど話弾まず豆の飯 青蛙
この家の苺がジャムになる朝 緑の手
息つめて追ふ初めての黒揚羽 プリマス妙
遠ざかる空は灰色五月波 ひでやん
初鰹トロ箱走り猫走り 喜代持



後選者 関悦史

 第二句集と評論集の原稿をそれぞれの出版社に渡してしまいましたが、諸事情により本になるまで相当かかりそうです。第一句集は私は四十歳を超えてから出すことになりましたが、できれば三十代のうちには出しておいた方がいいのでしょう。五十を超えてからの第一句集となると、余程のものでないと、年齢との比較で、この程度かと取られることになる。また一度まとめてしまわないと同じ句境が続くことにもなりやすいようです。

特選句
遠泳やぼんやり想う来世とか 蒼真
 遠泳を「ぼんやり」と見ながら想念を遊ばせている間に、遠泳に同化するともなく同化し、「来世」に想いが行ってしまう。「とか」で全体に紗をかけたようなぼかしがかかり、景色と想念が一体化しています。

こどもの日どこまで歩いても地球 樫の木
 一見、お茶のパッケージに載っていてもおかしくない、通俗的なポエジーの勝った句に見えますが、「歩いても」の句跨りから「地球」で終わる韻律に奇妙な実体感、身体の運動感覚を通じた無限感が宿っています。

花蜜柑街の血潮を隠しけり アンリルカ
 説明的でない直観的な把握の句で、飛躍の快感あり。白い花の咲く蜜柑山の向こうに街があるという図でしょうか。花のみずみずしい生気との対照によって、人々の暮らす街の生命感が引き出されています。

並選句
卒寿かな真紅のバラのひと抱え 風更紗
狛犬は阿吽の口や葛桜 dolce
心地よい臨死体験昼寝ざめ レモングラス
迷いつつ一歩踏み出す百足かな 藍人
メモ帳に後朝の歌明け易し 出楽久眞
筍や生まれ在所の味届く 迂叟
不死鳥のごときごきぶり今日も飛ぶ れんげ畑
ふるふるとふるえとまらぬ葛桜 幸
白壁に影置き揺れる若楓 さより
市松を纏ふ埴輪や菖蒲酒 久我恒子
夏柳ときには風を待っている 波野
頼まれて手繰る縁や灸花 凡鑽
すぎひのき藤の妙齢パラレルに 青萄
花桐や島のダム湖は水満つる 照造
神狐の笑みほどの微風や木下闇 みやこまる
河鹿笛温泉峡の朝早し 樹朋
三下がりうれひのツンと木下闇 南亭
足跳ねてかっこつけたる五月かな 富士山
余花の白よくしてくれた叔母のよう 夜市
葉桜の細雨窓辺の文机 ほろよい
通り抜け禁止の道を黒揚羽 一走人
夏空や脱獄図る死刑囚 山崎ぐずみ
匂う潮香る藤あり海街道 和音
風止めよ牡丹たやすくこぼれさう のり茶づけ
三婆の薔薇自慢してアペリティフ 小雪
露天風呂天牛の覗きに来 喜多輝女
夏草へ潜みて骨噛み砕く音 プリマス妙
予備校の友だちできて夏桜 雨月
田植機を見守る子らの爪の泥 雨月
ざわめいてゆらめいてあふちの花は ポメロ親父
さらさらと指の間を夏の月 台所のキフジン
緑夜へと隠れん坊は鬼のまま 内藤羊皐
マネキンの手にマンドリン夏立てり 彩楓
武蔵寺の若葉を染むる読経かな 松ぼっくり
白鳥ボート溢れかえるや子供の日 さざなみ真魚
夏燕心療内科待合室 西原みどり
理科室の住人たるや薄暑光 西条の針屋さん
生け捕りの獣李の木の元へ まごべ
茶畑の光りて村は夏に入る カシオペア
亀群るる堀歩くかに青葉風 青柘榴
金がいる笑うしかない遠蛙 柊つばき
貝寄風や海向ひたる道標 人日子
無人駅内外蝉のもぬけかな 童夢U世
白ありてこそ華やげり牡丹園 ミセスコナン
黙契やカーネーションの深き赤 哲白
天丼の海老のはみ出す菜種梅雨 鯉城
母の背の曲るや紫陽花うすみどり 未貫
十薬や吾にはひとつの芸も無し まんぷく
たなごころいつつむつつとおとしぶみ  エノコロちゃん
遥かなるものを呼びたる遠郭公 遊人


関悦史(せきえつし)
 1969年茨城県生。「豈」同人。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』(以上、邑書林)、『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(以上、草思社)他。

阪西敦子(さかにしあつこ)
 1977年神奈川生まれ。1985年より作句、および『ホトトギス』生徒児童の部へ投句、2008年より同人。「円虹」所属。 2010年、第21回日本伝統俳句協会新人賞受賞。共著に『ホトトギスの俳人101』『俳コレ』など。

桜井教人(さくらいきょうと)
 1958年愛媛県生まれ。愛媛県公立小学校教員。いつき組。子規顕彰松山市小中高校生俳句大会選者。第2回大人のための句集コンテスト優秀賞。第24回・29回俳壇賞候補。


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へたうま仙人


文 大塚迷路


 梅雨真っ只中というのに雨が降らん地域もあるようぢゃのう。まったくこの天気どうしたもんかのう。
 今月もそうしたこうした句が集まったぞ。悶々と空を見上げながら楽しんでくだされば嬉しいぞ。

生きていることありがたく花行脚 ケンケン
沖縄忌海に向かってブーメラン ケンケン
 夏も肌になじんできている今日この頃に「花行脚」とは春に相当な未練があるのぢゃろう。夏には夏の季語でステージに上がって欲しいが、季感は住むところによってさまざまなので難しいところぢゃのう。発言や行動が自分に帰ってくることをブーメランとネットでは言っておるみたいぢゃが、この句の場合はそれとは正反対の表現みたいぢゃの。ブーメランが過去と現在を繋いでいるようぢゃのう。

小判草これだけあつても貧乏 小木さん
葉桜のこのままずつとずつとだよ 小木さん
 小判草は間近で見ると昆虫の腹のようで、なかなかのもんぢゃ。この句の本意は、大判焼がいっぱいあっても金持ちには度々遠いみたいなもんかのう。なにはともあれ、金持ちへの道も一円づつぢゃ。ニューミュージックからJポップと命名されて、そして今に至るまで、この雰囲気の歌詞が世を席巻しておるのう。そんなフレーズでも季語を入れたら、あらま少しベクトルが違ってくるぞ。さすがの季語ぢゃ。季語のココロはココロのボスなのだ。

トカトカと進む蚯蚓とブロッコリー  KIYOAKI FILM
蝶ちょうがトイレに行って大騒ぎ  KIYOAKI FILM
 蚯蚓が進む、それもトカトカと進むという表現はシュールぢゃし、ブロッコリーまで蚯蚓と一緒にトカトカ進むとは、もう俳句を飛び越えて童話の世界ぢゃ。この発想で是非童話を書いて下され。二句目も、オムツからトイレに替る頃の絵本の素材としてもってこいぢゃ。物語が膨らむぞ。イマジネーションが摩周湖のようぢゃ。わくわくするのう。是非書いて下され。

蛇苺嫌われている赤い色 真歩
みどりの日胡瓜植えてカーテンに 真歩
 蛇苺のことを正直に説明していただいて恐縮ぢゃ。もうひとつ説明すれば、蛇苺は毒々しい色ぢゃが、当然毒は無く、ほとんど味が無くそして蛇の好物でもない。蛇自体も人間には一部を除いて害は無く、むしろ自然界には無くてはならない存在なのに、なのにこの嫌われ様は何ぢゃ、と同情の毎日ぢゃ。毒キノコの方がよっぽど危険ぢゃ。今度蛇苺を見かけたらゆっくりと観察して下され。緑のカーテンは良いのう。最近仙人の世界も人間世界のあおりで意味無く暑い、暑いぞ! そこで登場の緑のカーテンは、俳句と並び地球を救う必殺アイテムぢゃ。みどりの日に植えた胡瓜は、ほかの日に植えた胡瓜より数十倍役に立ちそうぢゃ。めでたし。

音読の声朗々と夏の空 たあさん
 「夏の空」が「秋の空」ぢゃったらどうなるか、という問題がまづ一番に頭をよぎるのが人情ぢゃが、わしゃ仙人ぢゃからそんなことは思わん。夏の空には当然綿帽子雲があり入道雲がある。「声朗々」と「雲もくもく」が程よい距離で影響し合い、自然と夏の空を見上げる人物の姿が力強い絵画のようぢゃ。曖昧さの無い夏の影も見えてくるぞ。

失策をいくつ重ねて木下闇 元旦
緑陰や謎解き前に本を閉じ 元旦
 木下闇のちょっとしたマイナスイメージと失策は近しい間柄ぢゃが、どこかの政治家たちのことを言っているようで失笑したぞ。しかし、木下闇にはいろいろなものが潜んでおるのう。推理小説(ミステリー小説ではない)は謎解きもいいが、上手に騙された時の余韻を楽しみたいのう。日本人はやたら律儀で、騙される事を恥みたいに言うが、推理小説に限らず、手品(イリュージョンではない)も騙されることを気持ちよく受け入れて上手に楽しみたいものぢゃ。緑陰がそんな気持ちにさせるのかのう。閉じるときの本から出る空気に、登場人物の台詞が紛れ込んでいそうぢゃ。

蛇銜え戻りし猫の目は獣 坊太郎
蝮酒提げて床やへ男来る 坊太郎
 猫はいろいろなものを銜えて戻ってくるのう。トカゲ、モグラ、鳩……そのたび褒めてもらいたくご主人様に差し出すのぢゃ。が、ここで怒ったらダメぢゃ。やつの個性と可能性と将来性を信じなくてはイカン。ご主人様はツライのぢゃ。そんなんで、ちょっと季語が弱い気がせんでもないが、興奮治まらない猫の健気さと不気味さに笑えたぞ。
 床やは町角の社交場でもあるが、最近はどうかのう? ワシも蝮酒を戴いたことがあるが、ちょっと微妙に嬉し迷惑ぢゃったぞ。一升瓶に手を伸ばすのにあれほどためらいがあったのは初体験で、実にほほえましい思い出ぢゃ。しかし、月並俳句ではなくこんな只事俳句は味わえば味わうほど深みに入るのう。「男来る」だけでも思い出し笑いしそうぢゃ。
 おっと、笑ってばかりではイカン。こんな日常の小穴に入るような句は、世間の競争と滋養強壮とどちらが重要か熟考する前に、大穴狙いの世界へ追放!!

 今月も追放者を出してしもうたが、なあに梅雨明けはすぐそこぢゃ。へたうまの達人たちよ、句帳を小脇に挟めば怖いもん無しぢゃ。夏に飛び出そうぞ。夏が待っとるぞ!
 ぢゃが、くれぐれも油断召されるなよ。


へたうま仙人
年齢 卑弥呼がおっぱいを飲んでいた頃、ワシは青春真っ只中ぢゃった。
好きなもの 霞のシャーベット(PM2.5抜き)
嫌いなもの 上手な俳句
将来の夢 大器晩成


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自由律俳句計画


選者 きむらけんじ

 拙著を出してもらっている象の森書房経由で、『きっと後で泣くのでしょう夏の月』(幻冬舎)という自由律句集が送られてきた。作者は仙台のおおひさ悦子さんという女性で、10年前19歳の一人息子を亡くされて以来、その切なさを一人でコツコツ句にして自費出版されたらしい。鎮魂のためとはいえ句会や投句とは全く無縁で、10年も一人で……その執念に驚かされる。因みに彼女が自由律を選択したきっかけは、学生の頃出会った「いれものが無い両手で受ける(放哉)」の一句であったとか……。



全身硬くして一本の歯を抜く 多満
 歯医者で歯を抜かれたことがある人なら、思い当たるふしはあると思う。一応麻酔かけてもらってリラックスしてと言われても、全身に力が入る。人間の生理なのだろうか。こむずかしいことは一切言ってない。そうそう……と素直に納得できる。こういうのを共感の句と言うのか。ただ歯を抜くのではなく、「一本の歯を抜く」としたところに、ますます神経が研ぎ澄まされる。対して硬くしているのは「全身」。この対比が上手い。句の状況は身体に力が入って硬直しているけれど、句そのものは、よく力が抜けている。



向日葵畑にソフィアローレンの目力 ヤッチー
 ソフィア ローレンといえば、往年の伊の名女優(もう80歳は超えてる)。ダイナマイトボディとものすごい目力で世界中の映画ファンを席巻した。と言っても若い人は知らないだろうけど。揚句は、映画「ひまわり」のことだろうか。「向日葵」「ソフィアローレン」「目力」、それで十分。

麦秋の夕陽メソポタミアへゆくところ もね
 メソポタミアは、人類最古の文明が起こったとされているところ。いまの中近東あたりだろうか。黄金色に染まった麦畑に落ちる夕陽の向こうに、メソポタミアを思う……という、なんとも雄大な景色と時間を捉えている。

一夜悩んで蜻蛉に生まれる みやこまる
 とんぼに生まれるだけでは尋常なのだ。一夜悩むことで、そこに物語が生まれ詩になる。なぜ一夜悩むのか、そこにどんな事情があるのか。果てはなぜとんぼなのか……空想の種は尽きない。

あの朝の如く君が歌っている夏野 恋衣
 揚句も、前掲出句の形態と言える。君が夏野で歌っているだけでは素直に過ぎる。「あの朝の如く」とは、一体どんな朝だったのか……あれこれ思いめぐらすことで詩になり、句の世界が広がる。

ナフタリンの匂いのする葬列の前後 ケンケン
 焼香の列なのかもしれない。誰かの喪服からナフタリン匂い……。葬儀とナフタリンの予期せぬ取り合わせに意表をつかれる。ムシューダでは、句にならない。「匂いのする」は、「匂いする」のほうが句が引き締まると思いますが……。



メダカ小さなタメイキついている 暮井戸
あみだくじのような曲がり角 幸
消化不良の大糞するや雨蛙 迂叟
夏始まる蛸モーリタニアから 多満
家族をりてひとりひとりの音のある 誉茂子
五月の空のような微熱 一走人
自分の影は踏めない のり茶づけ
倒立の生白いふくらはぎ ゆりかもめ
かたつむり地球は丸くない 元旦
薄暑光眼球模型へ溺れる 内藤羊皐


並選
ワンルームマンションの阿蘭陀獅子頭 風更紗
都会に落ちたちょうちょうバッヂ  KIYOAKI FILM
遊び疲れし子の赤き顔 レモングラス
蛇足ではない蝌蚪の足 藍人
その嘘夏柑のあとの牛乳みたい 出楽久眞
夏茱萸うなだれて揺れる さより
チンジヤララチンチンジヤララ祭りが通る 凡鑚
あの「牛うえもん」の看板を左折 青萄
戦前にするなさせるな枇杷 小木さん
部屋中の窓開けっぱなしてゴロ寝 南亭骨太
この炎天でその表札か 海田
治らない夏風邪に逃げ込んでいる 小市
葉桜の雨は涙 ほろよい
焼野は旋風を生む 樫の木
鳥たち炭はもう焼かないんだ 山崎ぐずみ
突如あらわる猩々蝿 和音
五月の鯉の眼はほんたうは真青 緑の手
中央分離帯うめる白詰草 喜多輝女
ひね沢庵に新茶 プリマス妙
閉園時間は夕陽に準じます。 うに子
自販機灯りなば青蛙参上 ポメロ親父
いつもの場所に気が付けば紫蘭 彩楓
青葉と確かに話したよ 松ぼっくり
奥山の夏薊の濃いしこと濃いしこと カシオペア
花散らす雨の幸福 青柘榴
蝌蚪の水日々罅の中 人日子
学校サボって麦畑けで一日 坊太郎
募金箱置かれて薔薇祭 ミセスコナン
ターナー島の松の芯伸びるのびる 鯉城
消えかかる夢の棲家は海の底の底 まんぷく
打水に濡れしをんなの白しふくらはぎ  エノコロちゃん
 

選外 自由律で再挑戦を!
写経の手何処を旅してをらるるか 凡鑚
木下闇泣くのはここがいいでしょう てん点
牡丹見て牡丹に見られ牡丹寺 鯉城


きむらけんじ
 1948年生まれ。第一回尾崎放哉賞他。自由律俳句結社「青穂」同人。句集『圧倒的自由律 地平線まで三日半』(象の森書房)、写俳エッセイ『きょうも世間はややこしい』(象の森書房)、句集『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)他。特技 妄想、泥酔。


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詰め俳句計画


出題 文 マイマイ


今月の問題
次の(  )の中に共通する夏の季語を入れて下さい。

冷たさは最後の龍のゐた(  )
星満つや(  )へ下る草の道


冷たさは最後の龍のゐた青湖
星満つや青湖へ下る草の道
 レモングラスさん。青が印象的でいいのですが、歳時記に青湖という季語が見当たりません。どこかにあるのかもしれませんが……。級外。KIYOAKI FILMさん、カシオペアさんの銀河は秋の季語でした。残念。級外。

冷たさは最後の龍のゐた蚯蚓
星満つや蚯蚓へ下る草の道
 小木さん。前後句とも意味不明。蚯蚓は龍のぬけがら? 7級。うに子さんは夜釣。これも前句どんな夜釣りなのか想像がつかない。てか、釣りどころじゃないっしょー。同じく7級。照造さんは神泉。手持ちの歳時記(『日本大歳時記』講談社)やインターネットの季語検索サイトには無かったので季語「泉」のアレンジと判断いたしますが、この場合「龍」と被ってきて「神」がむしろ不要に思える。リズムも合わなくなる。7級(-2)。ケンケンさんは立夏。部分としては「龍のゐた立夏」、「立夏へ下る」という表現は詩的で好きだが、句全体で見たときにイメージ先行で意味がわかりにくい。6級。エノコロちゃんは夏野。前句、「冷たさ」と季語がどうか。後句「野」と「草」がダブる。同じく6級。ひさのさんは雲海。雄大だが、刻々と変化していくものなので前句「ゐた」という過去形の記述と合わない。後句面白いが中八でリズムが良くない。5級。ゆりかもめさんと喜多輝女さんは青田。後句は夜、青田に何をしに行っているのか、ちょっと不思議な句になった。前句は青田の整った人為の営みと龍の荒々しいイメージとがやや合わない感じがする。それに青田が冷たいとしたら冷害が心配。4級。ほろよいさんとたあさんは氷室。後句、雪や氷を閉じ込めたという氷室に何か秘密めいたところを感じて好きだった。前句、龍も氷室に閉じ込められていたと想像するのは楽しいが、龍は人工物よりも自然との相性がいい気がした。2級。青萄さん、みやこまるさん、内藤羊皐さん、青柘榴さん、童夢U世さんは噴井。これも人工物ではあるが、そこに通う水の生命力のようなものが前句の龍と合っている。1級。出楽久眞さんは清水。前後句とも静かで美しい。同じく1級。おせろさん、ポメロ親父さんは男滝。藍人さん、迂叟さん、まごべさんは瀑布。松尾千波矢さん、坊太郎さんは飛瀑。こちらは対照的にダイナミック。前句、いかにも龍が居たと思わせる季語。同じく1級。


今月の正解
冷たさは最後の龍のゐた泉
星満つや泉へ下る草の道
 dolceさん、れんげ畑さん、幸さん、さよりさん、久我恒子さん、ヤッチーさん、蒼真さん、海田さん、誉茂子さん、小市さん、一走人さん、樫の木さん、のり茶づけさん、鈴木牛後さん、緑の手さん、プリマス妙さん、雨月さん、越智空子さん、元旦さん、台所のキフジンさん、杉山久子さん、河原撫子さん、笹百合さん、片野瑞木さん、彩楓さん、矢野リンドさん、さざなみ真魚さん、ひでやんさん、人日子さん、遊人さん、恋衣さん。なんと31名もの方々が正解。特に前句「冷たさは」から始まって「泉」で焦点を結ぶつくりは気に入っている。初段。今月は気の合う人が多すぎっ!

 今月は正解者多数につき誌面が余りましたので、季語アレンジの定義と減点について改めて説明します。
 このコーナーは「歳時記を開けば誰でも解ける」が開始当初からのコンセプトとなっており、歳時記に載っている季語(傍題も含む)から出題致します。読者からの回答が、指定された季節の季語でなかったり、歳時記に記載されていない場合には級外として処理致しますが、判断が難しいケースがあります。それが季語に別の言葉をつけて解答するケースで、これを季語アレンジと定義しています。例えば「百合」という季語に対して「百合揺れる」などと動詞を入れたり「百合の」などと助詞をつけたりされた場合です。この場合、(あくまでもマイマイの主観ですが)その付け加え方の強引さ度合いに応じて1〜3級の減点を行っています。そして減点した級の数を級判定の後に括弧書きで付け加えています。今月の場合を例に取ると、「神泉」を「泉」の季語アレンジとみなして内容的には5級と判定し、そこから2級の減点を行って7級(-2)と表示しているわけです。ただ、マイマイの調査が不足しているだけで「神泉」という季語がどこかの歳時記に載っている可能性はあります。その場合にはその由を後の号に公表してお詫びすることでお許しいただければと思います。なお、あまり一般的でない傍題などで投稿される場合は載せている歳時記を回答とともにお教え頂けると大変助かります。


9月号掲載分の問題(7月20日締切)
次の(  )の中に共通する秋の季語を入れて下さい。

午後の風動く(  )かな
手のひらに(  )乗せて旅


マイマイ
 2003年11月頃よりラジオに投句を始める。割と生活派俳人だったが、最近は?? 第1回、第4回大人コン優秀賞受賞。2013年句集シングル『翼竜系統樹』上梓。将棋推定初段。棋友募集中。第5回大人コン落選の問題作『宇宙開闢以降』8月1日発売予定。


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100年投句計画 投句方法




 件名を「100年投句計画」とし、投句先(複数可) 俳号(なければ本名の名前のみ) 本名 電話番号 住所を明記してお送り下さい。投句はそれぞれ二句まで、詰め俳句は季語を一つのみお送り下さい。一つのEメールまたは一枚のハガキに各コーナーの投句をまとめて送っていただいても構いません。ただし、「選者三名による雑詠俳句計画」と「へたうま仙人」は、選択制(どちらか一方のみ投句)となります。また「雑詠俳句計画」は欄へ寄せられた二句を各選者が選ぶ形式です。各選者に個別に投句を行うのではない点にご注意下さい。

それぞれ締切は、7月20日(月)

投稿ページ http://marukobo.com/toukou/
投稿アドレス magazine@marukobo.com
はがき FAXでも投句できます。

さらに多くの投句をしたい方へ
 松山市が運営する『俳句ポスト365』など、無制限に投句を受け付ける場もございます。ぜひご活用下さい。


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短歌の窓


短歌投稿ページ
選者 短歌誌『未来』同人 渡部光一郎


特選
風船は天井へ浮くロサ会館ポップコーンは床へ落つ 暮井戸
 池袋の映画館を題材にした歌。懐かしい世界がある。映画館の中に天上へ上がるもの、また床へ落ちるものと、垂直方向の動きがあったことに注目している。映画産業は今振わないようだが、この作品の中には映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のような賑わいがある。この歌の字足らずを直して整えてしまうと、猥雑な感じが失われてしまうのではないかとも思った。


並選
本線へ入る高速バス五台二泊三日の思い出積んで 出楽久眞
 上の句の導入部分がとてもよい。数詞を多用してしっかりと詠んでいる。

鉛筆の削り屑キラごみ箱にじかに捨てたらいけないよキラ 時計子
 視覚的・聴覚的な仕掛けがよくほどこされている。「キラ」の散らせ方にはいろいろなパターンがあると思うが、この配置は効果的である。

パフェ好きの妹なれば我も亦イチゴパフェとす渋谷ヒカリエ 彩楓
 最後の固有名詞がよく効いている。私はこのお店に入ったことがないが、想像がふくらむ。


コメント
夜の地震に目覚まし時計引き寄せて灯せば青く午前一時と 樫の木
 実感が出ている。「青く午前一時と」がきまった。

ボーヴォワール・サガン・セバーグ・サルトルら遊学の地の昭和の東京 だりあ
 フランスの思想家たちに憧れた時代を懐かしむ歌か。リズムにきちんと乗せている点がよい。

埃及の猫は木乃伊になりにしがスマートフォンの灯りに耀ふ 広木虎之進
 作者の実体験かどうかはよくわからないが、リアリティがある。

ゆるやかな若葉の木道登り来て知床五湖は風に輝く 風
 まとまった詠みぶりがよい。「知床五湖」の語が歌に落ち着きをあたえた。

虚像なる上半身はお辞儀してショーウィンドーに並ぶジーパン マイマイ
 「虚像」は観念語なので、要注意。もう少し具体で押せば面白くなるはず。下句はかっちりと決まっている。

パラダイスてふ香水満つるキャバレーに客ほかにゐずママの唄聴く 岡田一実
 「パラダイス」なのに人が来ない店で、ママさんと差向いの作者である。「香水満つる」がやや疑問。

結婚は出来ないけれど愛深く共に生きてる硝子を磨く 豊原清明
 何か分からないが、結婚できない事情があるのだろう。「生きてる」がやや疑問。「硝子を磨く」はいい。

石蹴って蛙の声を跳び越せば未読既読の世界の疎し 凡鑽
 お坊さんから謎を出された様な気がする歌。読者は芭蕉からどこへ飛べばいいのか。ただ着地点が「疎し」では読者もちょっと戸惑うのではないかと勝手に心配してしまった。

 みなさんこんにちは。今月もたくさんの歌をありがとうございます。今回は文法上のミスがある作品がやや多く、残念ながらとりあげられなかった歌がありました。ちょっとしたことですが、文法は大切です。自分が表そうとしていることは何なのか、をはっきり意識すれば文法間違いは減ります。よろしくお願いします!


自作の短歌(2首まで)、下記までお送り下さい。締切は毎月20日。
専用フォーム http://marukobo.com/tanka/
専用Email: tanka@marukobo.com


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自作の俳句を英語に訳そう!

百人百様 E-haiku



自作の俳句を英語に訳そう!
百人百様E-haiku
評:菅紀子


1.
who leave behind
two packs of
goldfish
  原句 忘れ物係に二袋の金魚 片野瑞木

lost and found
two plastic bags
of goldfish

 「遺失物預かり所」には lost and found という熟語があります。
ビニル袋に入って巾着袋のように水の重みでぶら下げているお馴染みの袋ですよね。
packだと箱のようなイメージなので変えました。

2.
cicadas are always chirping
i always have a tear
in my pocket
  原句 蝉は鳴くものポケットは破れるもの 片野瑞木

cicadas will chirp
my pockets will be worn
into a hole

 chorus は動詞で「合唱する」「〜するもの」は助動詞のwillで表現できます。

お便り 英語俳句の中で大文字と小文字の使い分けについてアドバイスお願いします。(片野瑞木)

 片野さん、私には使い分けを定義することはできません。3行詩にしている場合、全て行頭を大文字にしている句もありますし、全て小文字にしている句もあります。まずはご自分のフィーリングで句に合うと思う方を選んではいかがでしょう。

3.
NEO SUMMER OF RAINBOW SUMMER IS GOD Sun IS LEAD BOOK
  原句 夏の虹息子は本を読んでおり
KIYOAKI FILM

THE BOOK MY SON IS READING,
A SUMMER RAINBOW
 
 子の読む本や 夏の虹 と本のところで切れ字にしてみました。

4.
SUMMER OF FATHER 3000 MILE WALKING OF GOD
  原句 夏の父三千マイルの旅程 KIYOAKI FILM

SUMMER,
THE ITINERARY FOR THREE THOUSAND MILES' TRIP
OF MY FATHER

お便り 基礎英語1聴いているんですけど…初歩しか、解らないです。今、学校の英語は大文字で書くそうですね?(KIYOAKI FILM)

 3.と4.は1行詩を尊重しましたが、切れ目の代わりにコンマで対応するしかないです。そうすると、通常は3行詩にする方が記号なしに意味の句切れを表現しやすいかもしれません。
 学校とはどの学年でしょうか。最近の事情は知りませんが特に初年度はそうかもしれません。大文字のみ習うのかもしれません。また学校では筆記体を教えなくなったとか。講義中筆記体で板書したところ、「習ってないので読めない」と学生に言われショックを受けたことがあります。

5.
An underground city
seemed to be a labyrinth,
the town is early summer heat .
  原句 地下街はラビリンスなり街薄暑 出楽久眞

An underground city
seemed to be a labyrinth
Early summer heat

地下街のあるのは街だとわかるので、the townを省略しました。その方がリズム的に575に近いすっきりした感じがします。


お便り こんにちは。英語俳句はまだまだ作法が分かりませんが、俳句を英語で表現すると、情景も雰囲気もまた違う味わいになるのが面白いなと思っています。(出楽久眞)

出楽久眞さん、同感です。映画でも「ハチ公物語」を「HACHI」にリメイクしたり、蜷川幸雄がシェークスピアのマクベスを戦国時代仕立てに演出したのを思い出します。

6.
In May,
can I confess everything
to Mr.Fuji?
  原句 五月富士きみにはすべて打ち明けやう
久我恒子

In May
Can I confess everything?
Mr. Mt Fuji

7.
While eating sweetened red beans,
now we come to the climax
of the story
  原句 みつ豆をいよよ佳境の話かな 久我恒子

Our chat
almost reaches the climax,
Cool bean dessert

みつ豆は英語圏になく訳がなかったので、豆のスイーツでもひんやりした感じを出そうと上のような訳にしてみました。また、話がヒートアップして佳境に入ったところでふと眼前の半透明の寒天の中に粒立つ豆に目を落とす、とすると、2行目と3行目の間に一呼吸置いて、みつ豆を後ろに置きました。

お便り 菅先生、いつもご指導ありがとうございます。
5月号の質問ですが、英語俳句について少し調べ半端な知識を得たことで、自分をがんじがらめにしていたように思います。これからはのびやかに詠んでいきたいです。また、「うっとりするような英語表現」を学びたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。(久我恒子)

久我恒子さん、こちらこそ共に学ばせていただきます。

8.
I cross the summer river while watching a blue stone and a red stone
  原句 夏河の青石赤石を渉る 暮井戸

 川の水が石をわたり流れたとすると

River water in summer
run across red and blue stones

 本人が実際に石から石へ跳ねて川を渡ればもっと五感を喜ばせられそう。

Cross the river hopping on red and blue stones

9.
The tears are healed rainy of cherry tree in new leaves.
  原句 葉桜の雨は涙を洗うもの ほろよい

The rain on the young cherry leaves helps wipe away your tear

 葉桜もそれを指す英単語はありません。

10.
poetry lose color
if it is parting
in the rany season
  原句 詩は色を失う梅雨の別れなら チャンヒ

a poem loses its color
if you’re to break up
in a rainy season

 poetryは詩の分野、ある詩人の全作品、詩作技法として使われるので一編の具体的な詩を想起してpoemとしました。恋愛の破局は breakup とか split。何の別れか明記していないのでニュートラルに表現すればpartingですが、詩が色を失うほどだから私は恋の破局と取りたい。

11.
synonym of obscenity
is pineapple
and such
  原句 淫猥の類語にパイナップルだとか チャンヒ

A synonym of obscenity
is pineapple
I heard so

 チャンヒさん、最近この手の句を混ぜていただいて楽しいですね。
私はエロティックハイクというアンソロジーをいただいたことがあります。


 季語を意識しすぎたのか全体にSummerの使用頻度が高かったです。そのものずばりだと、たとえば「夏といえばTubeのあの曲」という風に太鼓判を押されたよう。今度は違う語や句全体で想起させて夏の微妙な側面を表現してみては?


菅 紀子(かんのりこ)
(有)クラパムコモンカンパニー代表。通 翻訳、メディアによる姉妹都市交流コーディネーター。社名は夏目漱石が下宿したロンドンの地名から。歩道短歌会同人。人文学修士、翻訳修士。松山大学、愛媛大学非常勤講師。(Hailstone Haiku Circle blog ICEBOX Contributor)(漱石と彼のライバル重見周吉、日系移民研究)

応募内容 自作の俳句およびそれを英語俳句にしたもの(2句まで)
応募先  フォーム http://marukobo.com/eigo/
      Email: eigo@marukobo.com
9月号用応募締切7月20日(水)


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百年歳時記


夏井いつき

百年歳時記
第38回
夏井いつき


 有名俳人の一句を紹介するページは世に数々あれど、「市井の逸品」とも呼べる一句を取り上げ鑑賞する記事はそんなに多くありません。
 百年先に残したい佳句秀句奇々怪々句を見いだし、皆さんと共に味わおうという連載は、名づけて「百年歳時記」。夏井いつきの目に触れた様々な作品を毎月紹介鑑賞していきます。

麦秋の炎の玉を馬の眸に 岡部信幸
 「麦秋」は、時候の季語としては珍しく、金色の麦畑の光景や麦の熟れた匂い、風に揺れる麦穂の音などを内包しています。「麦秋の炎の玉」とは一体なんでしょう。麦秋という季節の持つ熱でしょうか。一面の麦畑に沈む夕日のイメージでしょうか。
 さらに驚くのが後半の叙述。「麦秋の炎の玉」というエネルギー球が「馬の眸に」ぐりぐりと嵌め込まれるかのような迫力に圧倒されます。「馬の眸は麦秋の炎の玉みたいだ」というベタな叙述にしてしまうと一句の迫力は殺がれます。下五を「馬の眸に」とすることで、大きく濡れた「馬の眸に」「麦秋の炎の玉」が嵌め込まれるさまを想像させるのです。助詞「に」の使い方の巧さに唸ります。
(NHK Eテレ『NHK俳句』5月第3週放送分)

水熟れて隈なき夜の水馬 内藤羊皐
 上五「水熟れて」とはなんと魅力的な詩語でしょう。流れる水の清らとは違う、夏の淀むような爛熟の水を想像させます。
 中七「隈なき」は一瞬解釈を迷います。解釈どころか「隅(くま)なき」か「隅(すみ)なき」か、読みすら迷うのですが、最後まで読み通すと光景がリアルに立ち上がってきます。
 爛熟した臭いを発しているかのような「夜」の水。その真っ黒な夜の水に一匹の「水馬」がいることに気付きます。水面に目を凝らしてみると、実は「水馬」がびっしりと無数にいることに気付くのです。「隈なき」の一語がもたらす「夜」の水面の質感と「水馬」の夥しさ。群れなす「水馬」の静かな生物的迫力に圧倒されます。
(2016年 伊香保俳句大会 夏井いつき特選)

洗はれて暴れ出したる春キャベツ 武井禎子
 いきなり出現する「洗はれて」という措辞。何が「洗はれて」いるんだろう? そんな疑問を持つところから読み手はこの句の世界へ入っていきます。これが、この作品の導入の巧さです。
 中七はさらに謎を深めます。何がどう「暴れ出し」てるんだろう?という思いに答えるように「春キャベツ」という季語が飛び出してくる楽しさ。瑞々しい季語との出会いに、心がハッと動きます。
 勢いよく捻られた蛇口から迸る水、ボウルの中を暴れるように踊るキャベツの鮮やかな緑。まだ柔らかい「春キャベツ」の肌は隆々と溢れる水を喜んでいるかのよう。水で洗うとキュキュと鳴る、いかにも新鮮そうな音まで聞こえてくる作品です。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』4月15日掲載分)

龍の息めく鮒鮓の臭気なせり 佐藤直哉
 「鮒鮓」は琵琶湖を擁する滋賀県の名産。「鮒鮓」の臭いを詠んだ句は沢山ありますが、「龍の息めく」という比喩が卓抜です。その見事な比喩を「臭気なせり」という古風な言い回しが受け止めることで、一種の格調も醸し出します。
 空想上の生き物「龍」の生々しい「息」を想像できるのが俳人たる嗅覚。琵琶湖に潜んでいる「龍」だから、沢山の鮒を食べているに違いない。一気に吸い込まれた鮒たちは、腹の中で長い時間をかけて発酵しているかもしれない。となれば、その「龍の息」もきっと腥いに違いない。琵琶湖へのご挨拶も含めて、二重三重の仕掛けをもって「鮒鮓」という季語を表現した逸品です。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』5月13日掲載分)

蜜柑の花散つて熊楠まつぱだか 博士
 「熊楠」とは南方熊楠のこと。博物学者で生物学者で民俗学者。驚異的な記憶力を持ちつつ様々な奇行でも有名な人でした。「まつぱだか」もその一つ。ふんどしだけで野山を跋扈していたとの逸話を思う時、後半の措辞「熊楠まつぱだか」は微笑ましくもあります。
 熊楠が生まれた和歌山は、蜜柑の産地。彼の地の「蜜柑の花」の濃厚な香りが、奇才の脳髄を凜々と刺激していたに違いないと、そんな妄想も抱きます。臨終の際に「花が消えるから」と医者を拒否したという熊楠。「蜜柑の花散つて」は、熊楠という巨星への弔辞であり、小さな星のような花をこぼした後に実る蜜柑という豊かな果実への賛辞でもあるのでしょう。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』5月27日掲載分)



*百年歳時記は、南海放送ラジオ『夏井いつきの一句一遊』や
 松山市公式サイト『俳句ポスト365』(http://haikutown.jp/post/
 などに投句された俳句を紹介します。


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俳句の街 まつやま

俳句ポスト365



協力 松山市

「俳句ポスト365」は松山市が運営する俳句の投稿サイトです。
毎週新しい兼題が発表されます!

http://haikutown.jp/post/


金曜日優秀句
平成28年5月度




予想したものとは違う鮓が来た カリメロ
鮒鮨とある木簡の臭からむ 靫草子
愛しく食ぶ雪晒てふ名の鮓を 土井探花
切られたる鮓切り口に迷いなし 笑松
湿原の真中の宿の熟るる鮓 糖尿猫
鮓つまみ色売る前の虫養い 江口小春
鮒鮓にはずむ方言周圏論 くろやぎ
巻寿司の上手は大概お節介 初蒸気
回されて鮓は落ち武者めいてくる 瓦すずめ

龍の息めく鮒鮓の臭気なせり 佐藤直哉


蜜柑の花


蜜柑の花食べてきれいな白い鳥 雪うさぎ
花蜜柑神は荒々しく遊牝む ウェンズデー正人
櫂止めて蜜柑の花を聞きゐたり とおと
花蜜柑柩の中を明るうす 比々き
かわらけは地より蜜柑の花匂ふ すな恵
太陽の死ぬ日蜜柑の花ぷんと 葦信夫
蜜柑の花が初夏を増産しています とりとり
触覚も尻も蜜柑の花まみれ 樫の木

蜜柑の花散つて熊楠まつぱだか 博士


7月の兼題
公式サイト内の「俳句投稿」より作品をお寄せください。(※投句期間を過ぎますと投稿ページは次の兼題の募集に自動的に切り替わります。ご投稿はお早めに。)

投句期間 6月23日〜7月6日
五月雨
陰暦5月(現在の6月頃)に降り続く長雨。雨が降り続くのは梅雨の時季であることによるものだが、「梅雨」がその時候を含めていうのに対し、「五月雨」は雨そのものを指していう。

投句期間 7月7日〜7月20日
鵙の贄
肉食の小鳥である鵙が、その習性として、捕らえた虫や、蛙、蜥蜴などの小動物を木の枝などに刺しておいたもの。鵙がそれを後から食べることはまれで、刺されたまま干涸びるなどしている。

参考文献 『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


 「俳句ポスト365」は携帯電話からもご参加いただけます。
 「俳句ポスト365」公式Facebookページ開設中! 公式サイトに設置しておりますリンクよりお入りください。毎回の兼題のお知らせを中心にお伝えしながら、皆様の返信欄への書き込みもお待ちしております。


 募集の兼題は変更される場合があります。「俳句ポスト365」のサイトで最新の情報をご確認ください。


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一句一遊情報局



協力: 南海放送


金曜日優秀句
平成28年5月度


墓石

夏蝶の墓石を越えて大師堂 れんげ畑
夏蝶の意のままに墓石朽ちゆく  てんきゅう
サイパンの熱砂埋めたる墓石かな  柝の音
墓石の列乱れたる朧かな だんご虫
墓石撫で垂直に注ぐ冷酒 トポル
墓石の錆跡に置く缶ビール 石川焦点
大夕焼棚田の主として墓石 ほろよい
墓石に百年分の蝉の声 笑松
墓石守るごとき牡丹の千三百  西条のユーホ吹き

墓石へ西日皆健やかに居りまする  ポメロ親父


五月富士

せせらぎの幾千筋や五月富士  西原みどり
岩脈は湖へ続くや五月富士 ふづき
水一滴神宿りたる五月富士  漢詩人鉄化面
五月富士心臓青く息青し 朝日
五月富士根を張る国の青し青し  妹のり子
照準を二度ほど上げて五月富士  きとうじん
五月富士非常階段には常連 富山の露玉
今生の今を五月富士の真上 依里
神少し人に近づき五月富士 風
神様のつまみ上げたる五月富士  ひでやん

千年の水磨く山五月富士  みいみ


べら

青べらの美空の青を父に買う 篠原そも
べら釣りの時おり女言葉かな 華緒
べらを釣る五分遅れの大島行き  ぼたもち
べら釣りや島出でてより十余年 八十八
カヤックの腹でべら干す部活寮  グレートバンブー
入れ食いのべらを持ち込む喫茶ジュン  だんご虫
諂えどへらへら平やべら食らう 凡鑚
とっときの酒とは合わぬべらを焼く  甘泉
このべらに南禅寺蒸なる誉れ  踏野正東風
三色のべら釣るやまた震度3  月曜日の釣り人
水俣の美しき記憶のべらの海 天玲

少年のバケツに虹を食うたべら  野風


枇杷葉湯

嵩張りて枇杷葉湯の紙袋 亜桜みかり
枇杷葉湯の木箱の鳥の模様かな あやね
百歳の葬儀明るし枇杷葉湯 雪うさぎ
勝組と言えど晩年枇杷葉湯 青萄
夜深く枇杷葉湯の濁りかな 長緒 連
枇杷葉湯煎じて夜を掻きまわす  てんきゅう
寂聴の悟りの法話枇杷葉湯 ひかるん
枇杷葉湯清算したきこと二、三  踏野正東風
山に猫埋めてからの枇杷葉湯 篠原そも

マムシの粉は父枇杷葉湯は母  紫水晶


投句募集中の兼題

投句締切 7月3日

ががんぼ
(三夏/動物)
ガガンボ科の昆虫。蚊に似ているが血は吸わない。蚊よりも大きく、体長は12mm〜20mm。長く細い脚は触ると取れやすい。

甘藍
かんらん(初夏/植物)
一般的にいう「キャベツ」。アブラナ科の一、二年生葉菜。ヨーロッパ原産。様々な品種があり、一年中見られるが、特に夏の需給が多い。


投句締切 7月17日


季語ではない兼題です。「車」という字が詠み込まれていれば、読み方・用い方は問いません。季語は当季を原則として、自由に選んでください。

夏の果
なつのはて(晩夏/時候)
夏もいよいよ終わる、という思いが込められた季語。夏休みなどの社会通念上の夏ではなく、暦や時候上の夏の終わりをいう。

参考文献『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句宛先
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとにしたものです。俳句ならびに俳号が実際とは異なっている場合がありますのでご了承ください。


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鑑(み)るという冒険


〜映画篇 演劇篇〜

文&俳句 猫正宗


 第四十五回
『不屈の男 アンブロークン』&『オペラ ネズミの涙』


 原作に日本兵の食人の記述があったとかで、反日映画と名指しされ、公開延期になっていた『不屈の男 アンブロークン』(監督:アンジェリーナ・ジョリー)、野次馬根性むきだしで観に行きましたよ。
 で、結論から申しますと、意気込んで観に行った割には拍子抜け、といった感じでした。
 内容はといえば、一人の男が苦難を乗り越え故郷に帰るという、古代ギリシャから語られてきた物語。確かに、日本兵、特に捕虜収容所の所長は、執拗に主人公を苛め抜くのですが、それも前半の漂流シーンの鮫と同様、あくまで主人公の前に立ちはだかる障害以上の機能は有していないように見えました。
 それにしてもいつから「反日」なんて言葉で、たかが映画の上映を潰そうなんてことになっちゃったんでしょうねえ。例えば、『戦場にかける橋』が上映された時とか、どうだったんでしょう?
 さて、本作は事実を基にした虚構なわけですが、最後に実際の映像が挿入されます。それは、1940年に開催されるはずだった幻の東京オリンピック出場選手だった主人公が、晩年長野オリンピックの聖火ランナーとして走る姿でした。
 おそらくその事実があったからこそ、アンジーもこの原作を映画化したのでしょうし、この一点で、比較的凡庸な本作が少しだけチャーミングに色づいているように思います。

聖火持つかつて虜囚の地には雪

 一方、『オペラ ネズミの涙』[オペラシアターこんにゃく座公演、作・演出:鄭義信、作曲・音楽監督:萩京子、出演:梅村博美、富山直人、他、'16年5月23日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール]はネズミの世界の戦争の前線をまわる、テンジクネズミの家族にして旅一座、天竺一座の物語。
 本作では、何らかの形で直に戦争にかかわった息子と娘は、結果殺されてしまいます。逆に両親が生き残ったのは、ある時は状況に乗りつつも他人を見捨てても戦争に関わらないようにしてきたからかもしれません。そんな風に大テーマを掲げるのではなく、彼らの行動や想いに対して事あるごとに問いかけられているような気がし、そこが刺激的でした。
 さて、観劇後、息子と娘の両方が死んでしまうのは、作劇上余分である。あるいはどちらかには生きていてほしかった。という声を聞きました。また、二人が死んだ時、父が漏らす「息子(娘)ははじめからいなかったと思おう。そうすればなにも悲しいことはない」(と泣き崩れる)という台詞に、「親なら絶対そんなことは言わない」との声も。
 そのことを考えていてふと思いました。もしかしてこの両親は以前にも同じような経験を、それも一度や二度じゃなくしてきたのではないか。そんなこと劇中では、何も語られていません。でも、もしそうなのだとしたら、それは作劇上の方法論を超えたところで描かざるを得なかったものであり、血を吐く様に絞り出された言葉だったのかもしれません。

雪見上ぐ歌も涙も覆われよ


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続 南極を詠もう!



No.2

一般研究観測担当隊員
源 泰拓(俳号 源笑)

 「100年俳句計画」読者のみなさま、こんにちは。第57次日本南極地域観測隊越冬隊員のみなもとです。
 5月、昭和基地ではどんどん日が短くなっていきました。30日には、日の出は12時04分、日の入りは12時34分とおひさまが出るのは30分ほどで、31日からは太陽の昇らない極夜になりました。そんななかで見事なオーロラを堪能したり、猛烈なブリザードのために何日も外に出られなくなったり、南極の暮らしをいろんな意味で堪能しております。
 吹雪がやんだあとには雪かきが待っています。4月号で紹介された
除雪して除雪した後除雪する 除雪隊
 の句が、骨身にしみることになります。

朝遅く夕日は故郷も変わらぬ頃か まえもん
 まえもんは熊本出身の隊員です。
 この句は昼過ぎ(昭和時間13時00分、日本時間19時00分)に見る夕日をみて故郷(熊本)も今頃夕日が見える頃かなと思ったひと時でのものだそうです。

地吹雪や為す術もなく不貞寝する  源笑
 ブリザードが激しくなると「外出禁止」になって、建物間の移動が禁じられます。観測装置が壊れたりしていないか心配になりますが、吹雪のさなかで気をもんでも仕方がない。お天気には勝てません。
 ブリザードの写真、というのは単に真っ白な画面だけなので、風で折れた旗竿で、風の力を想像してみてください。

短日や同じ月を見ているか 源笑
 日は出なくなりましたが、月だけは、同じ時間におなじように日本の家族からも見えているはずです。

五月尽極光空を席巻す 源笑
 5月31日から7月12日まで、昭和基地では日の昇らない「極夜」になります。その極夜に入った31日の夜、綺麗なオーロラが出ました。


今月の南極吟行句
希望峰 編

朝遅く夕日は故郷も変わらぬ頃か まえもん
短日や同じ月を見ているか 源笑
 ほぼ同じ発想の句が並んだことに、隊員のみなさんが同じ気持ちでいるんだろうなと思いました。夕日や月の描写をひとつ入れると、作者の気持ちがグッと読み手に迫るかと思います。「同じ」「変わらぬ」と言った表現も、言わなくても伝わるかもしれません。

地吹雪や為す術もなく不貞寝する 源笑
 まさに、不貞寝しか選択肢が残されていない!と言わんばかりに、気持ちが伝わってきます。今回、最も実感が伴った句だと思いました。写真の青と白のグラデーションに静かな凄まじさを感じます。源笑さんの「観測装置が壊れたりしていないか」という気持ちも独特で面白いので、それを句にしてもいいかもしれません。

五月尽極光空を席巻す 源笑
 建物も空も歪んでいる写真がおぞましいですね。「席巻」はオーロラを説明してしまっている言葉なので、自分なりの描写があるとなお良いと思いました。


投句募集
南極の写真から発想した俳句を募集します。投句された俳句は、スウェーデンに留学した経験のある希望峰さんが紹介します。また投句の中から1点、写真とコラボレーションした作品として掲載いたします(上記作品参照)。
俳句は専用の投句フォームにて受け付けます。
http://marukobo.com/antarctic/
投句締切7月3日(日)。


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100年俳句計画 掲示板



テレビ・ラジオ

NHK Eテレ『NHK俳句』
 日曜6時35分〜7時
 (再放送:水曜15時〜15時25分)
※夏井いつきが第3週選者を担当
7月17日(日)、再放送 20日(水)
【兼題】「鈴虫」または「松虫」
投句締切 7月10日必着
投稿は葉書1枚に1句。選者名、兼題、俳句1句、名前、年齢、電話番号明記。
 《宛先》〒150ー8001 NHK「NHK俳句」係
 ホームページからの応募も可 http://www4.nhk.or.jp/nhkhaiku/

NHK 総合テレビ(愛媛のみ)
「えひめ おひるのたまご」内
隔週火曜
 『みんなで挑戦! MOVIE俳句』
7月5日(火)、19日(火)11時40分〜

TBS系列局 全国ネット
 『プレバト!!』
木曜19時〜19時56分
※夏井いつきが俳句の査定を担当

南海放送
 松山市政広報番組
 『大好きまつやま 〜しあわせことば塾〜』
毎週火曜20時54分〜21時
(再放送:日曜11時40分〜11時45分)
※夏井いつきが塾長として出演

南海放送ラジオ
 『夏井いつきの一句一遊』
毎週月〜金曜10時〜10時10分
※ 「一句一遊情報局」のページ参照

FMラジオバリバリ
 『俳句チャンネル』
月曜17時15分〜17時30分
(再放送:火曜7時15分〜7時30分)
【投句募集兼題】
「冷酒・日盛」…7月3日締切
「土用鰻・夏深し」…7月17日締切
「山の日・終戦記念日」…7月31日締切
 WEB http://www.baribari789.com/
 mail fmbari@dokidoki.ne.jp
 FAX 0898(33)0789
※ 投句には本名・住所をお忘れなく!
※ 各兼題「天」の句にはキム・チャンヒのイラストポストカードが贈られます。

各番組の放送予定は変更される場合がございます。新聞などで最新情報をご確認ください。


執筆           

松山市の俳句サイト
 『俳句ポスト365』
http://haikutown.jp/post/
※「俳句ポスト365」のページ参照

テレビ大阪俳句クラブ
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

ジュニア愛媛新聞スマイル!ピント
 『集まれ俳句キッズ」
※ 毎週日曜タブロイド判8ページ

朝日新聞愛媛俳壇(夏井選)
 投稿は葉書1枚に5句以内(未発表句)。裏面に作品と共に住所、氏名、電話番号を明記。
 朝日新聞松山総局(〒790ー0003 松山市三番町4ー9ー6 NBF松山日銀前ビル)まで。

愛媛県《吟行ナビえひめ》句&写真
俳句選者…夏井いつき
写真選者…キム チャンヒ
【募集期間】毎月1日〜 25日頃締切
【応募先】http://www.iyokannet.jp/ginkou/
【問合せ】愛媛県観光物産課
TEL 089(912)2491


句会ライブ 講演等

姫路文学館夏季大学
7月2日(土)13時30分〜15時
・姫路市市民会館大ホール
※受講料:4回通し4千円
(申込受付は終了しています)
http://www.city.himeji.hyogo.jp/bungaku/
姫路市役所内 姫路文学館
電話 079(293)8228

東京新聞フォーラム
「俳句のチカラ―『平和の俳句』選句会 ライブ篇」
7月3日(日)13時30分〜16時15分
 東京都江戸東京博物館1階ホール
出演:金子兜太、いとうせいこう、夏井いつき
東京新聞企画事業部
電話 03(6910)2509

愛媛大学教員免許状更新講座
7月10日(日)
 愛媛大学教育学部2号館1階大会議室
 講師:三浦和尚、夏井いつき
愛媛大学教育学生支援部
教育センター事務課教職教育チーム
電話 089(927)8103

俳都松山キャラバン2016in新宿
 7月17日(日)13時〜15時30分
 新宿区立四谷区民ホール9階
 ※申込受付は終了しています
松山市役所 文化ことば課
電話 089(948)6952

あんだんて句会ライブin中之島
 7月21日(木)14時30分〜16時30分
 大阪市中央公会堂 中集会室
※参加費:前売2500円/当日3千円
シニアサロン「コラボアンダンテ」
FAX 06(6444)2292
メール c-andant@lapis.plala.or.jp

伊予銀行プレゼンツ
思いのままに5・7・5
 7月24日(日)13時〜16時30分
 坊っちゃん劇場(愛媛県東温市)
※ミュージカルを観て親子で俳句づくり

小田原スマイルフェスタ
「夏井いつき句会ライブ」
 7月30日(土)14時〜16時
 小田原お堀端コンベンションホール
※参加無料(先着500名)
小田原法人会
電話 0465(23)3641

第20回笛吹市小中学生俳句会記念事業「夏井いつきの句会ライブ」
 7月31日(日)13時30分〜16時
・笛吹市スコレーセンター(山梨県)
※ランドセル俳人小林凜とのミニトーク、句会ライブ、教員向け講座
※参加無料(先着300名)
◇笛吹市教育委員会生涯学習課
電話 055(261)3339


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魚のアブク



読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは他の投稿に添えてお寄せください。


ご参加ありがとうございます!

たあさん 初めてです。軽く詰め俳句と投句は1句だけ出してみます。
編集室 まずは自分の出来そうなところから挑戦してみてくださいね。次の投稿もお待ちしています。

俳句のある生活

dolce やっとこの5月中旬で俳句はじめて1年目です。やっと……でした。
出楽久眞 こんにちは。3月の年度末から年度始めにかけて慌ただしく過ごしていたら、先月号の投句の締切が過ぎていました。今月は、忘れないうちに投句します。心を亡くすと書いて忙。俳句が浮かばないときは、黄色信号。忙殺防止に俳句は一役も二役も買っています。
編集室 忙しい中でもちょっとした空き時間に頭を切り替えてみるなど、どうぞ自分のペースで俳句を楽しんでくださいね。

俳句は脳に効く!?

みやこまる 俳句生活もうすぐ1年! 兼題に追われる毎日ですが、脳トレ、ボケ防止になっているようで有難いことです(笑)
編集室 実は2007年に、専門家のご協力のもと実際に脳を計測して「俳句は脳に効く!」という結果が得られました。計算問題を解くよりも脳が活性化するんだとか。

新・100年の旗手

海田 まとむさんに勧められ、3か月「旗手」にて載せていただきました。最後の月(6月分)の原稿案だけ、全くの指摘事項なしで誌面に載ったのが印象深く残っております。短い間でしたが、ありがとうございました。
編集室 「新・100年の旗手」連載ありがとうございました。 今月からは第2期の連載が始まりました。連載者の応援や作品の感想、そして、現在募集中の第3期連載者へのご応募もお待ちしています!

映画の話題

KIYOAKI FILM 「レヴェナント」見ました。ストーリーは荒いけど、映像がすごかった。映像美堪能。映画見ながらノートに走り書きしましたよ。「スポットライト」も観ました。久しぶりに……ン十年ぶりに、アカデミー作品賞の作品、監督賞、主演男優賞、観たが、主演女優賞は誰だっけ?
編集室 映画といえば、今年の4月号から猫正宗さんの連載記事が拡大されて「鑑るという冒険」というコーナーになり、これまでの演劇に加えて、映画についても書いていただいています。記事の感想や、皆さんの興味がある映画や演劇についてのお話などございましたら、どうぞ寄せください。

俳句甲子園

喜多輝女 この間、新聞に今年の俳句甲子園、今までの最多の学校がエントリーしているという記事がありました。ドンドン俳句の種が育っているのを感じます。
編集室 先日は各地で地方大会が開催されまして、いよいよ今年も俳句甲子園の季節がやってまいりました。今年の全国大会は8月20日〜21日の開催です。皆様の応援ならびにご協力を宜しくお願いいたします!

季節のごあいさつ

エノコロちゃん 初夏を迎えて「お茶つみ」も一段落し、卯の花、エゴの花、ヤマボーシの花と涼やかな白い花たちが目をたのしませてくれています。
編集室 南北に長い日本列島。きっと全国各地でその時々の季候は違っていて、土地ならではの風物などもあったりすることと思います。皆さんがお住まいの地域は今、どんな季候を迎えていますか?


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鮎の友釣り


第216回


俳号 若狹昭宏(わかさあきひろ)

山の主 野兎(やと)へ 山小屋という城を持ち、こちらが言う無茶を計画立てて実現してくれる、無くてはならないブレイン。「もっと俳句やろうよ!(しつこい)」

野望としては 実は、俳句甲子園に出場し、最後に選手席で語ったのが「いつかその中央に座ります」というような内容だったと思う。中央とは、審査員席のこと。実に小生意気である。言ったからにはと、現在mhmの活動や俳句甲子園の司会、自分たちの双星句会、松山東高校の合同練習会の審査員など、色々なことを経験させてもらっているが、少しは夢に近づいているだろうか。

俳人夫婦 昨年12月、ディベートクイーンの異名をもつ俳人と俳句結婚式を挙げた。キム・チャンヒさんに絵を描いてもらった夫婦の俳句で愛を誓い、森川大和先生たちに皆さんからのお祝いの句でディベートしてもらうなど、これでもかというほど俳句やギャグを詰め込んだ。是非続く後輩たちは参考にしてほしい(笑)

次回…希望峰へ 誰もが君の機動力、句力、顔の広さなどに驚愕し、期待している。よくぞ中国地方を活性化してくれたと思う。いっそのこと他県にいながらmhmに入って中学生向けの俳句イベントも起こしてくれまいか。


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告知





愛媛県美術館 特別展
ブータン しあわせに生きるためのヒント
開催記念
「しあわせ」俳句コンクール

応募者全員に招待券プレゼント!


 特別展「ブータン〜しあわせに生きるためのヒント〜」の愛媛開催を記念して、「しあわせ」をテーマにした俳句を募集します。
 “えひめ人”が感じる“しあわせ”を俳句の形で表現することにより、ブータンと愛媛県民の友好関係の発展に資することを目的とします。 

応募資格
 愛媛県内在住の方ならどなたでも応募できます。

募集締切
 平成28年7月15日(金)必着

募集内容
 展覧会のキーワードとなっている「しあわせ」をテーマに、自由に表現してください。また、作品は未発表のものに限ります。

応募方法
 ハガキまたは所定の応募用紙に、 俳句(お一人5句まで)、住所、氏名、電話番号、職業(学校名・学年)を記入して応募して下さい。
(応募用紙は愛媛県美術館、愛媛新聞社・県内支社、テレビ愛媛、マルコボ.コム受付に用意してあります)

選者
 ハイクライフマガジン『100年俳句計画』
 編集長 キム・チャンヒ

各賞
 応募いただいた皆さん全員に、特別展「ブータン〜しあわせに生きるためのヒント〜」の招待券を贈呈します。
 入賞者には、賞状及び記念品を贈呈し、作品を展覧会会期中、愛媛県美術館に掲示します。

その他
 応募された作品の著作権は、主催者に帰属します。
 作品を広報のために使用することがあり、使用に際して改変することがあります。
 応募された作品は、原則として返却しません。
 応募者の個人情報は、適正に管理します。

応募先&お問い合わせ先
 特別展「ブータン」愛媛実行委員会事務局
(愛媛新聞社読者事業部内)
 松山市大手町1丁目12の1
 電話 089(935)2355

主催
 特別展「ブータン」愛媛実行委員会(愛媛県、愛媛新聞社、テレビ愛媛、東映)




俳句キッズワールド
第5回 夏井いつきと俳句で遊ぼう

主催 松山東ロータリークラブ


日時 8月6日(土)午後2時〜(受付午後1時〜)
場所 愛媛県総合社会福祉会館
   (松山市持田町三丁目8−15、ひめぎんホール南徒歩3分)
電話 089-921-5070
 駐車場が手狭なため、お越しの際は公共機関をご利用ください。

参加無料 事前申込制
対象:小中学生(ご家族の観覧OKです)

テレビ・ラジオで大人気の、俳人 夏井いつきさんによる句会ライブ。
笑って学べる楽しい2時間。優秀な俳句は、グラフィックデザイナー
キムチャンヒさんによるライブペイントで巨大俳画となります。
気軽にご参加ください。


申し込み 問い合わせ先
松山東ロータリークラブ

〒790−0001 松山市一番町4−1−5 一誠ビル7階
電話089-932-4426 ファクス089-947-7265
E-mail me-rc@io.ocn.ne.jp
学校名 学年 氏名(フリガナ)を明記してお申し込みください。
申込締切 7月20日(先着100名)




春夏秋冬(しき)笑顔
まつやま福祉
五七五

福祉をテーマにした春の五七五
結果発表


会長賞
臥す母に鏡で見せる春の庭 江戸川散歩(千葉県)

優秀賞
サクラサク孫に貰った笑い皺 カラスの行水(広島県)
来年も来ると桜に誓う母 風信子(東京都)

入賞
踏青を誘ふ理学療法士 ヤッチー(東京都)
ばあちゃんと繋ぐ手にある日永かな 菫もどき(松山市)
又一つ手摺増へたる風信子 人日子(西条市)
自立とは何春風と歩くこと 脇谷咲(松山市)
幼な子の手話の小さくさくら咲く あらあらた(松山市)
猫の子と祖母の通訳ぼくの役 月小町(神奈川県)


福祉をテーマにした夏の五七五募集
(第2回 7/31締切)

応募方法
・ハガキまたはFAX、または、インターネットの応募フォームにて応募して下さい。
 (専用フォーム http://www.marukobo.com/egao/

主催
松山市社会福祉協議会
有限会社マルコボ.コム
(ふくし句会、ハイクライフマガジン『100年俳句計画』)




句集Style
だれもが句集を出版できるかたち

あなたの句集を20,000円〜制作します
(完全デジタル入稿、30部制作の場合。価格は税別)
仕様 135mm×135mm、36ページ、オンデマンド印刷、表紙PP加工

2016年 第3期
8月31日(水) 申し込み締切
(原稿締切9月5日、10月末納品)
次回募集は11月末締切予定

詳しくは http://marukobo.com/style/

通常の句集Styleの倍のページ数による「句集Style-W」の募集も行っております。
発行は10月末の予定です。お気軽にご相談ください。




100年俳句計画作品集
100年の旗手
第3期連載者募集のお知らせ


 「100年の旗手」は、年齢や俳句の経歴に関わりなく、本誌にて作品集の発表が出来る場として、新たにスタートを切りました。
 そこで、毎月10句3回の連載に挑戦する方を募集します。10月号に掲載できるタイトル付きの10句の作品集を、Eメール、または郵送・FAXにて本誌編集室までお送り下さい。
 編集室にて連載者を決定し、掲載いたします。
 多数の挑戦者をお待ちしております。

募集内容 10月号に掲載できるタイトル付きの10句

応募先  
 Eメール magazine@marukobo.com
      件名に必ず「100年の旗手応募」と明記して下さい。
 郵送  790ー0022 愛媛県松山市永代町16ー1
     有限会社マルコボ.コム「100年の旗手」応募係 
 FAX  089ー906ー0695

2016年度第3期締切 8月20日(土)


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編集後記


キム チャンヒ

 いよいよ今月号より「大豆プロジェクト」が始まった。
 昨年の蕎麦打ち企画では、「日暮屋さんの蕎麦は食べてみたいけれど、育てるのに参加してないので、食べに行きづらかった」という意見が続出。今回はそんなことがないよう、ルーズに運営することにした。基本、農作業吟行に参加費は不要。収穫祭のみ参加費を実費頂くようにした。
 今のところ、一番早いのは9月の枝豆収穫祭。枝豆だけでは何とも間が持たないので、現在枝豆に一番合うつまみを検討中。一番有力なのは、焼き鳥。収穫したばっかりの枝豆に、炭火で焼いた鶏肉にビール、想像しただけでワクワクする。
 俳句がなければ出会うことのなかった人々が、俳句を作るために農作業に勤しみ、共に収穫を喜ぶ。美味しくアルコールを摂取するためだけに、やっている気もしなくはないが、収穫の喜びってそんなものじゃないかとも思う。
 今後順調に大豆が育ってゆくのかどうか、全く予想が付かない。でもそんなところが、生き物と自然を相手にする醍醐味だろう。そんな体験を、この誌面だけでなく、ぜひ一緒にしてみませんか。


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次号予告



225号 8月1日発行予定

次回特集
夏休み句集を作ろう!コンテスト10回目記念スペシャル


お得で便利なマルコボ.コム直販定期購読! 巻末の案内をご覧ください
お申し込みの方へ、毎月末頃に最新号を送料無料でお届けいたします!
(住所変更の際は必ず編集室までご連絡ください)

『HAIKU LIFE 100年俳句計画』は以下の書店でもお買い求め頂けます。

愛媛県
(2015年7月号より紀伊國屋書店、ジュンク堂書店にて取扱開始)
 明屋書店 ※一部店舗のみ
 ゆらり内海(愛南町)
 原田書房(今治市)
 子規記念博物館(松山市)
 紀伊國屋書店松山店
 ジュンク堂書店松山店


HAIKU LIFE MAGAZINE 100年俳句計画
2016年7月号(No.224)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子

2016年7月1日発行