100年俳句計画11月号(no.216)


100年俳句計画11月号(no.216)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
晩秋から初冬へ 旧重信のタイガース


特集1
俳句とショートショートについて語ろう

対談
ショートショート作家 田丸雅智
本誌編集長 キム チャンヒ

特集2
日暮屋の蕎麦を食べよう!プロジェクト



好評連載


作品

百年百花
 山澤香奈/高須賀あねご/片野瑞木/きむらけんじ


新100年への軌跡
 俳句/浅川芳直/中山奈々
 評/平山南骨/十亀わら


選者三名による雑詠俳句計画
関悦史/阪西敦子/桜井教人


へたうま仙人/大塚迷路

自由律俳句計画/きむらけんじ

詰め俳句計画/マイマイ



読み物
愛媛県美術館吟行会/猫正宗
Mountain Cabin Dispatch/ナサニエル ローゼン(翻訳:朗善)
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
ホンヤクサイホンヤク/翻田訳蔵
お芝居観ませんか?/猫正宗
歳時記「無季」がバイブル/日暮屋又郎
百年歳時記/夏井いつき
近代俳句史超入門/青木亮人
mhm通信/暇人
句集の本棚

読者のページ
俳句ポスト365
一句一遊情報局
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
告知
編集後記
次号予告




晩秋から初冬へ
旧重信のタイガース

 11月は、晩秋から初冬への変わり目の時期。
 皆さんは、『冬』というと何を連想しますか? 『炬燵』、『焚き火』、『雪』、『クリスマス』……。さて、『温泉』と答える人は、何人いるでしょうか?
 私が住んでいるのは、愛媛県東温市です。東温市は、10年前に、2つの町が合併して誕生した『市』なんです。その2つの町とは、私の俳号の由来でもある『旧重信町』と『旧川内町』で、その2つの町には、合併以前から、大きな温泉が、それぞれにあります。見奈良(旧重信)にある『天然温泉 利楽』と、松瀬川(旧川内)にある『ふるさと交流館 さくらの湯』の2つです。
 『利楽』は、レスパスシティー ショッピングモール敷地内にあり、坊っちゃん劇場が近くにあるので、ご存知だと思います。『さくらの湯』は、国道11号線から少し山手へ、松山市からなら左折して、道なりに進むと到着します。『利楽』は民営の温泉ですが、『さくらの湯』は東温市が運営 管理をされています。さくらの湯には、昨年より家族風呂も出来、地域住民の憩いの場として、親しまれている温泉です。
 他にも、四季折々に楽しめる場所が沢山ある『愛媛県東温市』に皆様是非お越しください。


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特集1

俳句とショートショートについて語ろう!


対談
ショートショート作家 田丸雅智
本誌編集長 キム チャンヒ


 田丸雅智さんは愛媛県出身のショートショート作家。地元に戻ってきた際に、真鍋博さん(イラストレーター・エッセイスト、1932年〜2000年、愛媛県出身)の作品を交えて対談が出来ればと企画をしていた。ちなみに真鍋さんは日本のSFに於いて、重要な役割を果たした人物。星新一さんの本の挿絵などを数多く手がけたことでも知られている。
 当日は、愛媛県立図書館の1階に展示されている真鍋さんのレリーフや著作物、愛媛県美術館に展示されている原画を鑑賞し、世界で最も短い詩「俳句」と世界で最も短い小説「ショートショート」について、語り合った。
文責 キム・チャンヒ


俳句もショートショートも
原液のようなもの

キム 今回、田丸さんにお目にかかれるということで、作品を読ませて頂いたのですが、ショートショートファンとしては、久しぶりにショートショートの新作に出合ったという印象を受けました。
田丸 ありがとうございます。
キム この世で一番短い小説が、ショートショートだとすれば、この世で一番短い詩が俳句。ショートショートと俳句で共通点があれば、教えて下さい。
田丸 エッセンスを如何に詰め込むか。そして、読者の想像力を利用するという所が似てますね。俳句もショートショートも、短いが故にエッセンスをちゃんと切り取らないと何も伝わらないですし、エッセンスを切り取っただけではあんまり意味が無い。原液みたいなものを読者の方に渡して、相手の中で空想や想像力がうわっと広がる、そういうものを目指していて、そこは俳句に近いと思う。
キム 有季定型の俳句には、短い詩を成立させるために、季語や五七五のルールがある。今の言葉ではたと気づいたのは、星新一さんの作品には、「エヌ氏」という主人公が出てきたり、一人称で主人公の名前が出てこなかったり、型というほどではないけれど、情報を削ぐための知恵というものがあるなぁと思って。
田丸 あります、あります。
キム 「エヌ氏」と「季語」というのは、役割が似ていたのかなと。一般的男性の代表としてのエヌ氏。細かい設定を言わなくて「エヌ氏」だけで処理しているわけですよね。改めて上手いなと思いました。読者が気づかないところで、短くする技を駆使していたのだなと。ただ、俳句に無いのは、「伏線」を敷くという技。
田丸 俳句にはないですね、確かに。ショートショートは伏線があってこそですから。大きな違いだと思います。

短いからこそ広く読まれる

キム 今回田丸さんの作品を読んで、自分の中学生だった頃「こんな作品をずっと読んでいたわ」と思い出しました。
田丸 ははは。
キム 先ほど図書館内を回って、昔のいろんな俳句雑誌などを見たのですが、実は僕はあんまり昔の俳句を読んでいないのです。本当は読まなきゃいけないのですが……。改めて自分の俳句を読んでみると、ロボットが出てきたり、近未来的な句が出てきたり。中学生の頃に読んだショートショートが体に入ってて、それを俳句にして外に出しているのだと。
田丸 なるほど。
キム マンガやロックが好きで、それに影響を受けているのは自覚していたのだけど、大人になってほとんど意識してなかったショートショートに、情けなくなるくらい「めっちゃ影響されてる!」って。(笑)
田丸 ははは。
キム 中二から変わってねーのか。(笑)
田丸 それだけ多感な時期に触れたということですし、逆に言うとその時期に触れやすいのがショートショートなんでしょうね。短いので読みやすい。
キム うんうん。
田丸 特に今の子たちは長いものに抵抗があるみたいですけど、「こんな短いものでしたら読めますよ」ということを、広くアピールして、そこから読書人口を広げていければいいなと思っています。
キム 本当にそう思います。僕の中学生時代の趣味は、ショートショートを書くことでした。ショートショートを書いて、クラスに回して、友達にウケければそれでよしと。2年くらい続けたんです。それがあったから今俳句をやっていると思います。
田丸 へー。
キム 今思ったのですが、ショートショートを書くことって、四コママンガを描くのに似てますね。
田丸 あー、それも近いと思いますよ。
キム 四コママンガからマンガの描き方を習うでしょ? 僕が中学生の頃ショートショートを書いていたのは、四コママンガを文章でやっていたようなもので、修練にはなったと思います。
田丸 なるほど。

ショートショートの可能性

キム 田丸さんは、今、何故ショートショートを書こうとしているのですか?
田丸 一つは主観的な理由で、好きだから。僕も星新一さんで育った、逆に言うと、星新一さんしか読んでいなかったので、自分の中で呼吸をするように当たり前にショートショートがありました。短い中で余韻の残る作品というのが、ショートショートの一番の醍醐味で、そういう作品が好きだということ。
キム なるほど。
田丸 あと、客観的な理由で、マーケティング的にショートショートは、大きな可能性を秘めていると思うからです。読書は嫌いだけど、星新一さんは好きだという人が、すごくいます。そう言う人が、今本を読んでいるかと言えば、読んでいないんですね。それなのに今、星新一さんのショートショートに替わるものがないんですよ。しかも、若い人で星新一さんを知らない人が、結構多いんです。
キム へー。
田丸 小学校などで講座をやっているのですが、星新一さんについてほとんど知らない場合もありますし、知ってても一割から三割。たまに全員知っている場合もあって、それは先生が好きで読ませているだけ。ましてや、ショートショートという言葉自体も、もう完全に死語というか、逆に新しいものになっています。大体30代の上と下で分かれます。
キム そうなの!?
田丸 星さんがガシッと取っていた、あの大きな市場が、今眠っている状態なんです。そこに誰も手を付けないのなら、「僕がやりますよ」とやったら、それなりに話題にして貰っているところです。
キム そこには、俳句の力も少しは役に立つかも知れませんね。小さい文芸というところで。
田丸 そうですね。例えば、今のショートショートの状況は、正岡子規さんが芭蕉さんをちゃんと評価した状況に似ています。現在、ショートショートは星新一さんが全てのようになっていて、僕はたまに、「星新一っぽくない」とか言われ批判されるのです。だから、ショートショートと星新一さんは、イコールなんですよ。
キム 僕らの世代は、星さんが現役でショートショートを書いてらっしゃって、筒井康隆さんもむっちゃ書いてたんですよ。僕は筒井さんの作品の酷さも好きで……。(笑)
田丸 そうですね。
キム 何年か前に買った筒井さんの文庫の後書きに、ショートショートは短いので数でこなさなくてはならず、沢山アイディアを出すのが大変だ、という趣旨のことをおっしゃっていました。
田丸 そうですね。
キム ショートショートは作家を育てる方が、難しいのかも知れないと、漠然と思いました。
田丸 そんなところも含めて、変えてゆくのが僕の役目だと思っているので、今後もいろいろとチャレンジしていきます。


ショートショート作家 田丸雅智
1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。2011年12月『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載されデビュー。2012年3月には、樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。新世代ショートショート作家の旗手として活動している。著書に『夢巻』『海色の壜』などがある。


取材協力:愛媛県立図書館・愛媛県美術館
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(1969年、真鍋博 作)を含む所蔵品展「What's going on in this picture? どこからそう思う? 小学生のための美術鑑賞」は11月13日まで。


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特集2

日暮屋の蕎麦を食べよう!プロジェクト


第2弾 蕎麦の花吟行
文 ひでやん


 9月号にて第1弾を紹介した「日暮屋の蕎麦を食べよう!プロジェクト」の第2弾。8月8日に蒔いた蕎麦の種は、天候に恵まれ一ヶ月ほどで満開に。満開の花を見逃してはならぬと、寒鴉さんや日暮屋さんの送って下さる畑の近況をもとに日程を決定し、蕎麦の花吟行を開催しました。


蕎麦の花に集う季語
 九月二十六日、先月種蒔きをした蕎麦の畑へ、蕎麦畑吟行に行きました。『100年俳句計画』編集室に集合し、車で現地へ向かったキムさん、日暮屋さんとマーペーさんご夫妻、佐川さんそして私の五人が現地に到着すると、すでに寒鴉さんをはじめきとうじんさん、笹百合さん、喜多輝女さんが来ており、あとから合流したあねごさん、鯛飯さんを含め、参加者は総勢十一名でした。

一群の雲留まれり蕎麦の花 寒鴉

 当日、天気はまずまずだったものの、予報の最高気温は二十八度。実際結構暑くなりました。東温市の田んぼはすでに刈田となったところも多く、現地の蕎麦畑の周囲にある田んぼも、寒鴉さんによると来週には稲刈りということでしたので、本稿が掲載されるころには、すでに刈田原となっていることでしょう。

にわとりのさくさく歩く露草よ きとうじん

 目的地の蕎麦の畑では、東側の畝に蕎麦の白い花が一面に咲き誇っていました。それでも、もう満開は過ぎていて、先週(九月十九日)くらいが一番の見頃だったようです。

アマ色の風を傾ぎぬ蕎麦の花 きとうじん
モノクロの家族写真や蕎麦の花 マーペー
風穴の霧のごとくや蕎麦の花 鯛飯

 西側の畝にはもう一つ種類の違う蕎麦を植えているのですが、こちらはもうほとんど花が終わって、すでに実になっていました。一本の蕎麦で花から実への過程が見られるというなかなか面白い状態でした。

青空は何処まで蕎麦の花は実へ チャンヒ
反逆とも受け取れる蕎麦の花真白 日暮屋又郎

 日暮屋さんの話では、実がなるのが思ったよりも早過ぎるとのこと。このペースでは、来週(十月の初め)くらいには刈り取らないといけないのではないかということでした。
 そんな蕎麦畑で、しばし写真撮影や吟行をしました。「白が眩しい」「蝶がいた」などつぶやきが、すでに七音、五音の俳句の種になっているところが俳人集団! 秋草に囲まれた蕎麦の花には何種類かの秋の蝶、飛蝗、蟋蟀、秋茜、女郎蜘蛛などなど、秋以外の季節も含めてさまざまな季語の生き物が集まってきていました。その光景を皆さんの俳句からご想像ください。

清貧てふ白さ眩き蕎麦の花 寒鴉
名を知らずとも生きてをり秋の蝶 ひでやん
花蕎麦の明るく羽をもつ命 チャンヒ
快楽を求めて秋てふのキラリ きとうじん
太陽の呟きなのか糸とんぼ きとうじん
蟋蟀が陰を探して藁の束 ひでやん

 ちょっとした発見をしました。よく見ると、蕎麦の茎の地面に近いところが極端に曲がっています。花が咲いている先端のほうはまっすぐですが、下のほうの赤い茎が、地を這うように曲がっています。これは、一度雨が降って倒れたのが、再び起き上がって上へ向かって成長したことによるものらしいのです。稲は台風などで倒れてしまうと、再び起きることはありませんが、蕎麦のド根性を見た思いでした。

蕎麦の花雨にも耐えて咲き誇る 笹百合

三十年ぶりに白糸の滝へ
 蕎麦畑の秋を堪能した一行は、東温市上林にある「白糸の滝」へ向かうこととなりました。(ちなみに、同じ東温市の河之内地区にあるのは「白猪の滝」です。)
 斜面に点在する最後の人家を過ぎ、圃場整備された棚田の道から林の中の離合できないほどの細い道に入って行ったその先に「白糸の滝」の看板がありました。滝から谷を流れてくる川に沿って遊歩道が作られており、滝は、それを登った先にあります。先日の大雨で遊歩道にも水が流れていました。ところどころに金属製の梯子がかけられており、かなり急な上りです。
 そんな山道をカメラを持った日暮屋さんはすたすたと上っていきます。私はその後について行ったのですが、ちょっとしたトレッキングでした。実は、白糸の滝はもう三十年も前に一度行ったことがあったのですが、当時と比べて非常に整備されている印象でした。
 しかし、上っても上っても、谷の流れはあるが、滝らしいものが見えません。もしや白糸の滝とはこの谷の流れをいうのではないかという声さえ上がります。そんな時、やっと遊歩道の最終地点らしきところが見えてきて、滝の音が聞こえてきました。そして、最後の坂を登り切った目の前に落差十メートルほどの高さを流れ落ちる滝がありました。秋風に吹かれ、飛沫がミストのように降りかかります。涼しい! マイナスイオンたっぷりです。そして傍らには我々を出迎えるように彼岸花が……ん? 実はそれは作為的に石の間に差してあったもの。滝の袂の彼岸花夢幻と消えにけり、でありました。
 滝の周辺は、紅葉にはまだ早かったのですが、一枝色づき始めた程度のモミジと滝の音と涼しさに、山道を登ってきた疲れも吹き飛ぶひと時でした。最後に、登ってきた皆さんで記念撮影。日暮屋さんのデジカメの電池が切れるハプニングもありましたが、山中の滝を満喫した一行でした。

白糸の滝ここは天国紅葉山 笹百合
デジカメの電池が切れた秋の滝 あねご

 その後、一路山を下って昼食後、最後に東温市見奈良のコスモス畑で一面のコスモスを鑑賞して、解散したのでした。

十人の日替りランチ秋うらら 鯛飯
コスモスの色重なりて影の濃し 喜多輝女
陽光に白きわ立ちて秋さくら マーペー

 なお、このプロジェクトでは、時季を逃さぬよう、十月四日には畑入口側の蕎麦を刈り取り、十月二十四日には全体を刈り取って、稲木にかけて乾燥する予定です。その後、十一月八日には、乾燥した蕎麦を唐箕にかけて、実だけを取り、みんなで「磨き」という作業をすることとなります。蕎麦を打って食べる日は未定ですが、どんな蕎麦ができますでしょうか。乞うご期待。

蕎麦の花見て思ふ哉蕎麦の味 喜多輝女
蕎麦の花に破滅的白さ空腹です 日暮屋又郎


ひでやん
1968年東温市生まれ。俳句甲子園実行委員会一般ボランティア委員会副委員長にして小学生俳人まこちの父。


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百年百花


大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2015年度 第二期 最終回


「目礼」 山澤香奈

夜仕事やかっぱえびせん軽く落つ
秋茄子の先まで凶器めく光
月いくつ食べてはらぺこあおむしは
秋晴れに誘導棒を振る係
秋祭終え玄関に靴の山
こんこんと祖父眠らせて虫の昼
金木犀揺らしているよぐりとぐら
子の舌の柔きに運ぶ葡萄かな
はいはいの先の団栗隠せ隠せ
童謡の二番あやふや黄落期
背の子に牛膝つけたのだあれ
目礼に目礼深秋の授乳室


1983年愛媛県岩城島生まれ、松山市在住。




「草の花」 高須賀あねご

爽やかに住職再々婚告げる
喉をくすぐる程度に甘き秋思かな
ランニング入門講座鰯雲
誰とでも仲良くなれる草の花
表彰式以下同文の空高し
遮断機が釣瓶落しのボンネット
銅鍋に魚の把手月の宿
月光や硝子の魚の跳ねる影
山峡の月跳ね上げる獅子頭
拘留の面会室やそぞろ寒
七竈朱の母の名の消えそうな
ひいやりと入棺体験秋深し


ハッチ師匠にヘタ俳人の聖地「まるやす食堂」にひこずられて行ったのが俳句を始めたきっかけ。いつの間にかその仲間たちは「夏井いつきの一句一遊」の天を取るようになった。句友に乾杯!そして感謝!




「端数」 片野瑞木

朝寒の山鳩一羽二羽一羽
空店舗多い通りや赤い羽根
日赤奉仕団支部長の菊膾
伝言のように団栗が三つ
三度目の来日焼き秋刀魚定食
暮れなずむ鶏頭バスはまだ来ない
立冬の釘の頭のよく光る
光源として木枯のミニクーパ
セーターに木端微塵のウエハース
綿虫の端数がついてくる往路
鯛焼の尻尾が覚めてゆく復路
枯尾花踏み分けその先の何処かへ


渡りの蝶であるアサギマダラが、毎年我が家の上を通る。写真を撮る間がないくらいアッという間に通り過ぎて行く。




「妄想4」 きむらけんじ

働くの向いてないので飴舐めている
ラジオ体操する会社で誉められもせず
給湯室で泣いて婚期を逃す
まさぐるように生きて賞罰はない
みんな良い人で話がまとまらぬ
シンカーの握りはわかったおでん食え
漬物石のような女で侮れぬ
猫に呼ばれて行けば俺ではない
泣いて帰る食卓にメロンパン一個
灯りを点けるそこに母が座っていた
川が海に刺さるあたりが謎だらけ
園児芋掘る一〇〇年先も園児のごとく


自由律俳句結社「青穂」同人。第1回尾崎放哉賞他。現在、本誌「自由律俳句計画」選者。特技:妄想、泥酔。自由律、定型にかかわらず活動している。




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新 100年の軌跡


2015年度 第二期
最終回


柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺 中山奈々

寺町を犬に授けて秋麗
麗子像の目の寄つてゆく鵙日和
和同開珎描き写す昼の月
月末や鶏頭活ける散髪屋
屋久杉の精霊として小鳥来る
来るとのみ聞きて団栗集めたる
集めたる薩摩切子や虫の闇
闇を引き入れどぶろくの匂ひ立つ
立つたまま呑む爽波忌の河原町
町道を蛇行してきちきちばつた
ばつたんと漕ぎ始めたる月見舟
舟宿のタオルに包む唐辛子
子が不思議さうに珈琲秋の昼
昼ご飯食べに大花野を転げ
転げ来て舞台真中に富有柿


中山奈々
 1986年生まれ。俳句甲子園をきっかけに高校2年より作句。「百鳥」「里」所属。




 秋たんぽぽ 浅川芳直

颱風の予兆ざわつく田百枚
電車徐行冷房強く肌を打つ
颱風の去り雲の金海の青
充電切れケータイ秋の日を映す
(前書き:旧制松江高校寮址地 二句)
ただ一輪秋たんぽぽが添へる句碑
句碑や過ぎゆく学生ら夏残し
秋高しポケットの切符いつか折れ
秋雲の奥青空や海の街
海見ゆる坂のぼり来し荻のこゑ
潮風の丘に貼りつく秋の
山と海あり秋光の数十戸
蟻の這ふ堤防の熱秋はじめ
秋濤へ少女鋭く石を投ぐ
予期せざる波濤残暑の砕けたる
繋がれて犬が海見る秋の浜


浅川芳直
 平成4年生。「駒草」所属(平成10年〜)。蓬田紀枝子、西山睦に師事、世古諏訪に親炙。東北大学大学院在学。




もどかしい 平山南骨

闇を引き入れどぶろくの匂ひ立つ 中山奈々
 なるほど、どぶろくを醸す壺の中は真っ暗であろう。それを「闇を引き入れ」て「匂ひ立つ」と書かれると旨そうだし、なんだかありがたい。
月末や鶏頭活ける散髪屋 中山奈々
 鶏頭を活ける散髪屋は普通と特殊の境界域にあるように思える。「月末や」は、床屋の親爺の客待ちの手持ち無沙汰のつぶやきか。
 中山氏は構成に趣向を凝らしており、作者としてそれなりの達成感を得られただろうが、その引き替えに個々の句が犠牲を強いられたように思えてならない。

充電切れケータイ秋の日を写す 浅川芳直
 ここで言うまでもなく、現代生活の上で携帯電話は高い地位を占めており、電池切れによって疎外感を味わう人も少なくないだろう。むなしく秋日を写すケータイに社会や文明への批評をみることも可能だ。
秋濤へ少女鋭く石を投ぐ 浅川芳直
 鋭く石を投げるとは、どういった状態だろうか。ひとつひとつの言葉の意味は分かり、日本語として立派に成立しているにもかかわらず、老眼で植物を観察するようなもどかしさを覚える。


平山南骨
 1968年生まれ。2005年より作句開始。「鷹」同人。



連なりに浸り、独立を愉しむ 十亀わら

 中山奈々さんの十五句は、どことなくみな似た色や雰囲気をまとっている。読者とは不思議なもので、文字の縛り以上の何かを、それ以降の句に背負わせて読んでしまう。そこに独自の世界観を生み出せるかどうか。
舟宿のタオルに包む唐辛子 中山奈々
 薄っぺらなタオルの手触りまで感じられて見事。頼りなさ気な感触の中に唐辛子が色を添える。
 しかし言葉の縛りへの調子合わせだろうか、「ばつたんと漕ぎ始めたる月見舟」の句は勿体なかった。

 浅川芳直さんの十五句はどれも外の世界を詠んでいる。
山と海あり秋光の数十戸 浅川芳直
 こういう景色に出会うことがある。数十戸が良い。秋の光を受ける詠み手の目は澄んでおり、読者もこの美しい空気に浸ることができる。
 「秋高しポケットの切符いつか折れ」など爽やかな句も魅力的。だが、「秋濤へ少女鋭く石を投ぐ」のように先の読めてしまう句が、やや気になった。

 最後に面白かった二句。
立つたまま呑む爽波忌の河原町 中山奈々
ただ一輪秋たんぽぽが添へる句碑 浅川芳直


十亀わら
 1978年生まれ、千葉在住。愛媛大学在学中、夏井いつきの指導で俳句を始める。2005年「俳句界賞」受賞。


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超初心者から中上級者まで楽しめる
100年投句計画

 「100年投句計画」は、読者の投句コーナーです。

 「選者三名による雑詠俳句計画」は、雑詠句の選句欄です。投句の中から先選者二名が、それぞれ天地人の句を選び、先選より漏れた句の中から、後選者が特選、並選を選んでいます。選者は、関悦史さん、阪西敦子さん、桜井教人さんです。

 「へたうま仙人」は、ヘタな句を褒め、巧い句を追放する、世の選句欄とは真逆のコーナーです。どんなにヘタな句でも褒めてくれるので、自分の俳句に自信のない方、何はともあれ褒めて欲しい方に最適(?)。担当は大塚迷路さんです。

 「自由律俳句計画」は自由律俳句の選句欄です。自由律俳句に挑戦することで、自由律俳句ならではの楽しさを味わうと共に、有季定型の俳句との思わぬ共通点も見えてきます。選者は、きむらけんじさん。

 「詰め俳句計画」は、マイマイさんによる、二つのフレーズに合う季語を投稿するコーナーです。季寄せや歳時記さえあれば、全くの俳句初心者でも挑戦できます。
(投句方法は「100年投句計画」コーナー末尾参照)
写真:藤


選者三名による雑詠俳句計画


先選者 桜井教人

 久しぶりに別荘に行った。本当はキャンプ場のコテージだ。今時のコテージは最新式の調理器具や食器など何でもそろっていて、家以上に快適だ。テラスでバーベキューをしていると本当に別荘気分になれる。運良くスーパームーンの夜で輝く満月を見ながら秋刀魚を焼いた。四国四県それぞれ好きなキャンプ場がある。今回の高知のキャンプ場の一押しは早朝の雲海。周囲の谷や里が雲の下に沈み、彼方に石鎚連峰を望む景は圧巻!のはずだったが翌朝の雲海は思いの外少なかった……。


蟷螂と倉庫の前で待つてゐる みちる

 倉庫の前で待っている、ただそれだけの光景、だが一緒に待っているのは蟷螂。その景を想像し始めたところから物語が始まる。 待っているということは誰かが来るということだ。恋人は考えられない。きっと男の子のグループだ。大人には内緒の冒険がこれから始まるのだろう。
 こうした想像は全て季語「蟷螂」から生まれる。蟷螂も仲間のように思える作りもとても楽しい。



秋空を誰にも見へぬはずの鳥 青萄
 誰にも見えない鳥が作者には見えるのだろうか。それとも作者の心に心理的な鳥が飛んでいるのだろうか。いずれにしても虚の世界だが、透明感の強い秋の空ならあり得るような気がした。表記は「見えぬ」でしょうか。

稲雀片手で揺らす力石 おせろ
 力石とは祭りなどで出し物の一つとして力試しに使われた石である。ちなみに私の職場のすぐ近くのお地蔵様の前にも5・6個ころがっている。季語稲雀の選択もさることながら「片手で揺らす」の措辞が秀逸。

腰に貼る湿布の歪秋なすび 波野
 自分で貼る湿布は必ずと言っていいほどシワができてしまう。それを見事に句に仕上げた。何よりも「秋なすび」とのバランスがよい。湿布を貼った後、美味しい秋なすの料理に取りかかるのだろう。

糸瓜伸ぶきれいに臍をまげてみる 緑の手
 糸瓜の曲がり具合と臍の曲がり具合を比べ想像すると楽しさが止まらなくなる。確かに秋なら臍の曲がり方はきれいになるのかも知れない。というより、どうせ臍を曲げるならきれいには、作者の信念なのだろう。

秋の田を寿便のクラクション 小雪
 実りの象徴である秋の田と、幸せの象徴である寿便との言葉の響き合いがとてもよい。さらに下五をクラクションという音の情報で止めることによって幸せは倍増し、景がより明確になった。構成が実に上手い。



新たなる標を探す秋の蝶 迂叟
着衣なきマネキン二体秋の風 小市
樹を抱けば微かに水音天高し 凡鑽
つい先も会った犬ころ秋の暮 もね
欄干へ軽々座る龍田姫 のり茶づけ
流星やピアノ奏者の語る恋 てん点
糸瓜忌の舌で押し出す魚の骨 樫の木
二百二十日百メートルの廊下拭く 鯉城
矜恃なら魂の下月天心 アンリルカ
思はずも跨いでしまふ男郎花 遊人



先選者 関悦史

 俳人協会各賞や年鑑類の年度の区切りが九月と十月の間になっているらしくて、そのせいかこの時期になると「今年の収穫」みたいなアンケートが来たりもする。それを早めに返してしまったら、後から奥付が九月刊行になっている面白い句集がいくつも来て、しまったと思っているところですが、どの道そう幾つもは書けない。ここで挙げておくと飯田冬眞『時効』、矢島渚男『冬青集』、久保純夫『日本文化私観』、小川軽舟『掌をかざす』等。



颱風や牛舎の眼みな尖り てん点

 颱風襲来の不安と緊張がみなぎる牛舎の景。「牛舎の眼」という省略法と「みな」の併用が、地味ながらひとつの技になっています。「牛たちの眼」では酪農家の牛舎という状況がわからなくなり、かといって「牛舎の眼」だけでは牛の姿が消えてしまう。両方併用することで、牛舎いっぱいの牛たちという大まかな規模がわかり、景も見え、しかも牛たちが揃って不安だということまでわかる。「尖り」も意外ながらぴったりの表現。



蟷螂と倉庫の前で待つてゐる みちる
 蟷螂は偶然いただけでしょうが、それを見るくらいしかすることのない待ち時間のうちに親しみが湧いてくる。そうした機微を、いきすぎた擬人化に走らずとらえています。倉庫前で蟷螂とというのが軽いおかしみあり。

谷を越え聞こゆる校歌水澄めり 八木ふみ
 校歌が「谷を越え」て聞こえてくることだけ、あるい聞こえてくる校歌と「水澄めり」の取り合わせだけなら報告に終始しそうですが、全部一緒になると澄んだ谷川を挟んだ地形と状況が立体的に浮かびます。

踏切は乱反射して秋の海 うに子
 実際には踏切ではなく、その向こうの秋の海が乱反射しているのかもしれませんが、こう詠まれると踏切ごしに秋の海のきらめきを見ているという一回限りの経験が、何か絶対的なものに触れかけている感じがします。

ひしほ匂ふ町白壁に秋陽沁み 哲白
 一般的には趣き深げな語と日常用語では後者を使った方がいいのですが、ここは「醤油」でなく「ひしほ」でいいのでしょう。写真のようですが、匂いと「秋陽沁み」の相互浸透で言語ならではの把握へ踏み込んでいます。

錆びしるき放置自動車蔦紅葉 大阪野旅人
 錆びるまで放置された自転車と蔦紅葉の組み合わせだけならば、いかにもその辺にありそうな事物というだけですが、この句の場合は「しるき」で自転車の実在感が前面に出てきました。「錆びてゐる」ならば只事のまま。



もし吾が秋の蝶なら許せしか みやこまる
自画像の背景グレー秋黴入 幸
葡萄食むゆふべの肌の白さかな 凡鑽
成田屋の石像に寄る後の月 小雪
二人分なら丁度良い梨を剥く 野兎
神の手に塗り分けられし秋の山 瀬戸 薫
二百二十日百メートルの廊下拭く 鯉城
秋遍路会釈一つの急ぎ足 エノコロちゃん
天変の秋の虎杖食うてみる 青柘榴
天の川空の出口を探しをり 春告草



後選者 阪西敦子

 愛機iPhone5(多分)が水没。ポーチが倒れて、iPhoneだけ滑り出してダイブしたのだ。5日間、ジップロックに「水取りぞうさん」なる除湿剤と一緒に入れて自宅待機に。少し不在に慣れてきたある晴れた日曜の朝、電源を入れてみたら何もなかったように点いた。少し離れることも必要だったと、いうことにした。

特選句
麻暖簾傘さす人ささぬ人 多満

 麻の暖簾を粋にかけた家のうちから通りを眺めて、暖簾越しにやや見える人々を傘をさすささないで見分けている。雨の強さをはかるようにも見える。麻の軽さと硬さの独特のはためきが、なんとはなしに思われてくる。

団栗を蹴りながら行く城の道 喜多輝女

 城は戦の折には団栗を蹴って行くようなところではない。そんな道を、静かにゆっくりと進む。描かれなかった動との対比が、一層の静を引き出している。次の世代へつなぐ役割である団栗の一面も優しい。

秋晴れのあの日から好きだったのか 野兎

 誰に対しての感慨であろうか。自分に向かっている気持ちに対してであればちと傲慢につきこの解釈は却下。目の前の人の第三者に対する気持ちか、あるいは自分への気づきか。澄み渡る秋晴を仰いで、自らの不明が痛い。


並選句

十三夜歩けば歩くほど孕む 藍人
秋風や買物を待つ休憩所 迂叟
線上のインボール跳ね小暑かな 富士山
黒犬が我が家へ来た日秋うらら 誉茂子
竜淵に潜むエビアンの宅配 ヤッチー
芋炊いて暇つぶすかな昼下がり 南亭骨太
えのころ草なびく中央分離帯 ほろよい
海城に攻め入りたる鮫二匹 和音
3隻の船の行き交う秋の海 ぴいす
秋空より逆さにジェットコースター  八十八五十八
新涼の白く光るやキリンの歯 一走人
秋彼岸吊られて痩せる竹箒 樫の木
陸橋は俺のステージ月に吠え 松尾千波矢
摺り足と衣擦れのおと白木槿 あおい




関悦史(せきえつし)
1969年茨城県生。「豈」同人。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』(以上、邑書林)、『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(以上、草思社)他。雑誌「現代詩手帖」俳句時評欄担当(2012年1月〜)

阪西敦子(さかにしあつこ)
1977年神奈川生まれ。1985年より作句、および『ホトトギス』生徒児童の部へ投句、2008年より同人。「円虹」所属。 2010年、第21回日本伝統俳句協会新人賞受賞。共著に『ホトトギスの俳人101』『俳コレ』など。

桜井教人(さくらいきょうと)
1958年愛媛県生まれ。松山市公立小学校教員。いつき組。子規顕彰松山市小中高校生俳句大会選者。第2回大人のための句集コンテスト優秀賞。第24回、29回俳壇賞候補。



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へたうま仙人


文 大塚迷路

 そろそろ冬の便りも聞こえてきている今日この頃ぢゃが、みなさまいかがお過ごしですかのう。
 今月も世界津々裏表から句が届いておるぞ。夜長を実感しながら読みほどいて頂けたらありがたいぞ。


女郎花たとえば阪神ファンの人 ケンケン
秋めくやいつか幸せつかみたい ケンケン
 中日でも楽天でもいいやん、と考える人がいるとしたらそれは素人ですな。これは「阪神」でなくては成立しませんな。毎年病的に期待されて、その都度期待以上の失速を繰り返している阪神の歴史を鑑みなければ鑑賞出来んのう。女郎花の前に佇んでいる人がたとえば阪神ファンだったら……と揺れ動く作者の心が阪神球団を暗示しておるのう。
 冬ざれの前に何とか幸せを掴んで欲しいと、毎日毎日思い出したときに祈っておるぞ。

聴力失い蒲公英きれい笑い茸 夜の人工の木
聞こえない耳ぽくぽくぽくぷ轡虫  夜の人工の木
 堂々の季重りに感服ぢゃ。季節はずれの蒲公英と笑い茸が並ぶ景は微笑ましいようで不気味ぢゃが、こんな景を見られただけでもうけもんぢゃ。
 俳句には境涯は必要ないとの意見もあるが、まあ関連付けて読むのも良し、無視して読むのも良し、句が良ければそれはそれでそれぞれぢゃ。うるさいほどに鳴く轡虫の声が懐かしい声となった時の心境は計り知れんが、俳句でぜひもっと吐露してほしいものぢゃ。

満月ぞ作業所辞めてうわつと句 KIYOAKI FILM
月代や季語解らんぞ耳閉じて KIYOAKI FILM
 いろいろな事情で作業所を辞められたのぢゃろうが、「満月ぞ」で心情がよーくわかるのう。
 句はうわつと湧き出たときが一番ぢゃ。一番と思っておる時が本当に一番ぢゃ。作るのではなく湧きいづる言葉を掬い続けて下され。
 五感を開放してこそ季語がわかるというもんぢゃ。いまひとつ解放していない人たちへの戒めとエールとして重く軽く受け止めるぞ。

運動会孫の活躍目をほそめ 真帆
まっすぐに空むかい咲く曼珠沙華 真帆
 孫俳句に挑むとは、まるで運動会の棒倒しぢゃ。孫俳句は可愛い、かわいいで終始しがちぢゃが、見事に王道を突き進んでおられる。目を細められる時が華ぢゃ。目いっぱい細めたら次の姿が現れるというもんぢゃ。これ以上ない曼珠沙華の姿ぢゃのう。青と紅のコントラストが鮮やかぢゃ。この黄金の組み合わせにはちょっと満腹感が漂いはするがの。
組長借りて走って運動会 どんぐりばば
 「組長いませんか〜〜」と叫んで何人も出てこられたら、それはそれでちと困った風景になるが、それも含めて運動会には懐の深さがあるのう。句会と同じで、その日のスタートラインは同じぢゃ。一等になろうが特等になろうが二三日すればみんなすっかり忘れておる。罪がないのう。

食欲の秋毎日の体重計 柊つばき
秋の雨人も自然もすぐかわる 柊つばき
 せっかくの一年ぶりの秋ぢゃ。食べたい物を食べたい時に食べる事のできる幸せを胸一杯腹一杯噛み締めんと損ぢゃ。体重計は元々この世にはないものと言い聞かせ、秋を満喫しましょうぞ。すぐにかわって欲しくないものベストテンに、人の心と自然は常にランクインしているそうぢゃが、「秋の雨」に濡れてかわっていくものになりたい、と心の隅で時に思うのう。

礼節や緑雨の棋譜に王手なく だなえ
激流の碁や那智黒光る汗 だなえ
 将棋も囲碁も体力勝負のスポーツらしいが、一瞬たりとも気を緩めない集中力と精神力にはひれ伏すしか無いのう。お互いに王手に気付かず進行してしまう場合が稀にあるそうぢゃが、そんな場合の棋譜には王手が無いんぢゃろうか? 礼節をわきまえた棋譜は美しいぢゃろうな。碁盤の上で光る那智黒が、緊張と静寂をよく表しておるのう。どっちに転んでも不思議ではない勝負の行方が「光る汗」で濃淡くっきりぢゃ。

それでもまつすぐになる努力かりんの実  小木さん
そのつもりではないが揺れるコスモス  小木さん
 かりんの実を独楽にしたことがあるが、結構なトルクを要し素人には難儀なもんぢゃった。それでも独楽の原理は作動し、よろよろしながらも平静を保とうとしておった。その健気さにちょっと見直した訳ぢゃが、無理にまっすぐにしようと手を出すととたんに倒れた。コスモスも意志がなさそうで結構頑固な所があり、揺れると見せかけておっとどっこい、揺れ止むと見せかけてすっとこどっこいなコスモスに会うとほのぼのとするのう。揺れるつもりの無いコスモスのエネルギーで野は今日も元気なのぢゃ。

幽霊花散りて開かずの踏切に 元旦
秋空や止まったままの私です 元旦
 田舎の踏切はずっと開きっぱなしのくせに時々思い出したように閉まるので閉口するぞ。開かずの踏切の都合はよくは知らんが、急用の時は大変ぢゃろうな。散ってしまった幽霊花は他の花と比べて一層の破壊感が迫ってくるが、踏切に遮断された疎外感に相通じるものがあるのう。
 止まったままの私も、またいとをかしぢゃ。秋空の下で止まったままの私を確認するのもまた進歩ぢゃ。なんての。

月に吠ゆ野良の一途のなきオレよ 老兵
月灯る黄泉路の妻やどの辺り 老兵
 ハードボイルドかミディアムボイルドか、強気なのか弱気なのかようわからんこんな「オレ」がいいのう。「野良」というのは、なんだかんだ言いながらも人間の周りでしか生きられないないのぢゃ。野生になる気概も無く、たまに「月に吠ゆ」をしてお茶を濁しておるのぢゃ。哀しくも愛おしい存在ぢゃのう。
 今年の月は今までの月とはまた違う月となりましたのう。月明りが、鋭くも優しく路を浮かび上がらせていますのう。

天領の土つけてくる茸かな ひでこ
ひらひらと耳のあたりに秋の風 ひでこ
 世が世であるならば採ったとたんに問答無用の打首の天領の茸。現在でも似たような話はあるものの隔世の感がありますのう。茸に付着している土に思いを馳せるロマンが良いですのう。「つけている」ではなく「つけてくる」の言葉の吟味にもぬかりはありませんのう。
 秋の風が「ひらひら」するという感覚はなかなか味わえるものではないが、一瞬の感覚が秋の空気感を醸し出しておるぞ。
 こんな実景と感覚をさらりと提示する句たちは、炭がおきる前に道の駅の茸売場へひらひら追放!

落蝉の息未だ少し草におく 坊太郎
それぞれの道に寺あり曼珠沙華 坊太郎
 本来の蝉の姿は土の中の幼虫である、と聞いた事もあるが、一般的には土の外の姿が蝉なんぢゃろう。生殖のためだけかもしれない外界の姿に人間が勝手に感情移入していたとしたら、蝉としてはこそばゆいかもしれんのう。「未だ少し」が説明っぽい気がせんでもないが、草におく仕草に作者の気持ちがど真ん中ぢゃ。
 人それぞれの先には寺や教会が立っておるが、それはそれで仕方のないことぢゃのう。曼珠沙華の小道を辿りながらしみじみするのもまた曼珠沙華のなせる技ぢゃ。
 おっと、へたうまの世界では奥深さとかしみじみとかは今のところおよびでないぞ。こういった句は、蝉の幼虫も土竜も寄り付かない曼珠沙華の球根の元へ追放!


 今月もいろいろなバリエーションの句が集積してうれしいぞ。
 記憶に残るか、記録に残るか、気まずさが残るか、まるで未知ぢゃが「これなら勝てるかもしれない」俳句めざして日々切々切磋琢磨ぢゃ。
 ぢゃが、くれぐれも油断召されるなよ。




へたうま仙人
 年齢 卑弥呼がおっぱいを飲んでいた頃、ワシは青春真っ只中ぢゃった。
 好きなもの 霞のシャーベット(PM2.5抜き)
 嫌いなもの 上手な俳句
 将来の夢 大器晩成


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自由律俳句計画


選者 きむらけんじ

 乳母車にのせてもらって散歩(?)している犬が、近所に少なくとも3匹はいる。ふつう犬を外に連れて行けば辺りを嗅ぎまわり、オシッコひっかけてマーキングして……というのが当たり前と思っていたが乳母車でじっとしたままだ。病気で歩けないということもなさそうだし、犬の本分、いや本能を忘れてしまったのか。それ以前に元気な犬を乳母車にのせて散歩させる人間が、いまいちわからないといえばわからない。乳母車にのっている犬が、ゴールデンレトリバーとかシェパードとかの大型犬なら、それはそれでちょっと笑えるけど。



赤子抱いて綺麗に秋刀魚食う もね

 深い比喩とか唸るようなテクニックとかがあるわけではない、非常にシンプルな句。しかしこのシンプルさの中に人を惹きつけるような、日常の一コマが立ち上がってきます。綺麗に秋刀魚を食うことができる人の「人となり」は、なお且つ赤子を抱きながらも何事もないように日々をこなす確かな母親像へとイメージを結んでいきます。映像で言えばモノクロの小津映画か。淡々とした中にしっかり芯が通っている、そんな母親が想像できます。



シャッターに細切れにされる敬老の日 樫の木
 市町村から記念品を贈られたり家族で賑やかに食事したり……敬老の日の祝い方はいろいろのようです。そのいちいちを、あたかもこれが最後のようにカメラで写し撮ろうとする。思えば老人を敬うのはその日一日だけではないのだけれど……そんなアイロニーがこの句から感じられます。

生といふ長い長い懲役だつた出所した 雪うさぎ
 不幸な一生だったのだろうか。生を「懲役」と詠んだところに救いようのない重いものを感じさせられる。ここまででも句意は通じる。しかし一見蛇足とも思える「出所した」を、ぶっきら棒に置くことで尚句としての力を得た。とにかく無駄は省くという定型とは、この辺りのスタンスは自由律は違う。

脱いだ靴を踏んづけてやる のり茶づけ
 相当腹が立っているらしい。腹を立てても面と向かって言えない人に腹を立てているのだろうか。なにしろ脱いであるその相手の靴を踏んづけてでも多少の恨みを晴らしたいという、この瑣末な意趣返しがなんとも単純で可笑しい。俳句的とも言えます。

稲の実吼えれば黄金色 ミセスコナン
 稲穂がたわわに実った畑に風が吹きわたる。これを「吼える」と表現したところがこの句の力ではないかと思う。風に吹かれた稲が揺れて黄金色に輝く……よくある光景が、「吼える」によって神と自然の摂理まで抱き込んだように思う。

はらわた喰い破るごといちじく P,妙
 旨いだけに熟し気味のいちじくの、食べにくさ扱いにくさは腹立たしい。手や口はねちゃねちゃ、きれいに皮だけ残して食べきるのはなかなかムツカシイ。日頃のいちじくへの無念はこの句がぜんぶ言い表している。想像するだけで口の周りが痒くなる。



誰に謝っているのか枯れた向日葵 小市
冬の座敷に似合うのは数え三つのわらしだろう  レモングラス
若冲の鶏や鶏や鶏たちや 青萄
うろこ雲になった蝉の輪廻 多満
夜長の長居 ヤッチー
葛根湯好きになってしまう秋 和音
おひとりさまとして円卓へ うに子
秋雨ほど涙すれば魚は星となれるだらうか  緑の手
覚えてる顔いっぱいの白い歯 台所のキフジン
彼岸花に親不孝の数問うている まんぷく


並選
扇げば蝉時雨がゆれる ゆーかり
行けども行けども母の面影ついてくる ケンケン
堂々と生きておくれや渡り鳥 夜の人工の木
ぷちぷちを潰さない 藍人
赤子泣くごとくに曼珠沙華 迂叟
紙コップ紙皿敬老日 幸
句会ライブちょっぴり泣いたいっぱい笑った秋うらら  誉茂子
可決てふ怒りし我ら雨しとど KIYOAKI FILM
あ、心残りと言う空き缶 凡鑚
酒飲めば翌日の青ミドロ みちる
ただ諦めるを決断とする 南亭 骨太
一俵の新米精米機の列へ ほろよい
引越しましたのハガキ新苗字 小木さん
秋果かじればほろ苦き青春 一走人
支持率低下なんて気にせぬ野分前 喜多輝女
彼岸花急傾斜地工事中 元旦
くしゅくしゅの蛇の脱け殻一メートル カシオペア
脂肪肝にほくそ笑む秋風 松ぼっくり
教室の窓糸瓜の笑ひたる 人日子
乗客まばらに単線をゆられゆく さざなみ真魚
ゆっくりとだが人形の立ち上がる 北伊作
東に星が眉月吊る夜明け 坊太郎
柿食うて似合う話をしよう 鯉城
つくしこいし鳴き急ぎ死に急ぐ エノコロちゃん
屋根の上に座るは大南瓜 あおい
拍手した手が痛い 遊人
真葛原に導かれて走る 青柘榴
千円札の四つ折りひらく新世界 大阪野旅人



きむらけんじ
1948年生まれ。第一回尾崎放哉賞他。自由律俳句結社「青穂」同人。句集『圧倒的自由律 地平線まで三日半』(象の森書房)、写俳エッセイ『きょうも世間はややこしい』(象の森書房)、句集『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)他。特技 妄想、泥酔。



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詰め俳句計画


文と出題 マイマイ


今月の問題
 次の(  )の中に共通する秋または冬の季語を入れて下さい。
鳥籠に鳥よく歌う(   )
(   )棘ある木々の並ぶ径

鳥籠に鳥よく歌う坂鳥
坂鳥棘ある木々の並ぶ径
 夜の人工の木さん。字足らずが気持ち悪いうえに、前句、鳥が重なってうるさい。7級。KIYOAKI FILMさんは寒鴉。後句はぴったりだが、前句やっぱりうるさい。5級。ほろよいさんは鳥兜。鳥は鳥だがちょっとひねってある。言葉遊びとして面白い。4級。

鳥籠に鳥よく歌う蜜柑山
蜜柑山棘ある木々の並ぶ径
 喜多輝女さん。前句、蜜柑山にわざわざ鳥籠? 後句は蜜柑山だから……まあ棘のある木しかありませんよね。5級。小木さんは草の花。まるにっちゃんは女郎花。大阪野旅人さんは新松子。いずれも植物の季語だが後句の棘ある木々とダブった感じがして損か。4級。

鳥籠に鳥よく歌う風祭
風祭棘ある木々の並ぶ径
 ヤッチーさん。風祭は歳時記によると、二百十日または二百二十日に台風による風の害を防いでくれるようお堂などに籠ってお祈りすることをいうらしい。後句はいい気がするが前句の状況が変か。4級。レモングラスさんは冬帽子。これも後句はいい感じだが、前句、ちょっと唐突な取り合わせ。同じく4級。藍人さんは秋ともし。前句後句ともに穏やかにまとまっている。3級。幸さん、青萄さんは愛の羽根、鈴木牛後さんは赤い羽根。前句、鳥からこっちに飛躍するのが面白かった。2級。

鳥籠に鳥よく歌う十一月
十一月棘ある木々の並ぶ径
 一走人さん。字余りでリズムがやや悪い。5級。緑の手さんは鰯雲。前句光景としては美しいはずなのだが、何か鳥が鰯を突いているような生々しい感じがしてしまっていただけなかった。4級。だりあさんは小春風。小春は面白い斡旋だが風の情報は要るかどうか。同じく4級。矢野リンドさんの秋麗は前句ぴったりだが、後句のフレーズはやや合わないか。3級。元旦さん、遊人さんは冬隣。迂叟さんは冬ぬくし。ケンケンさん、エノコロちゃんは秋の空。坊太郎さんは秋日和。ひでやんさんは秋の朝。いずれもそれぞれの味わいはあるのだが、全体的に薄味な気がする。同じく3級。松尾千波矢さんの冬の朝はその寒く引き締まった感じが後句のフレーズとよく合う。台所のキフジンさんの初時雨も後句、これから始まる冬の厳しさを感じさせる。2級。おせろさん、P,妙さんは秋夕焼。映像に色が加わることで、前句に華やぎが感じられる。同じく2級。のり茶づけさん、ひでこさん、さざなみ真魚さんは天高し。前句、歌声が天まで届く気持ちよさがある。後句は天と地の対比が面白い。1級。
 
鳥籠に鳥よく歌う日蓮忌
日蓮忌棘ある木々の並ぶ径
 小市さん。後句、数々の法難に合った日蓮さんの生涯と重なり合う。前句も時の権力者や宗教指導者と口舌をもって対峙した歴史を踏まえると味わい深い。初段。うに子さんは終戦日。晩秋から冬の季語ばかり思っていたので意表を突かれた。前句、鳥が歌うことで終戦の開放感や希望を描き出している。後句は戦後の苦難の日々を思わせる。二段。樫の木さんは十三夜。前句神秘的で美しい。後句も月光に照らされた木々の棘の影まで見えてくる。同じく二段。

今月の正解
鳥籠に鳥よく歌う白秋忌
白秋忌棘ある木々の並ぶ径
 今月も正解者なし。自己判定初段。北原白秋の生涯をネットで調べたりして練って作ったのに、あっさり二人も正解越えされて悔しいです。


1月号掲載分の問題(11月20日締切)
 次の(  )の中に共通する正月の季語を入れて下さい。

中継の青き地球や(   )
(  )コーヒーメーカーのクプクプ



マイマイ
2003年11月頃よりラジオに投句を始める。割と生活派俳人だったが、最近は?? 第1回、第4回大人コン優秀賞受賞。2013年句集シングル『翼竜系統樹』上梓。将棋推定初段。棋友募集中。




【100年投句計画】投句方法
 件名を「100年投句計画」とし、投句先(複数可)、俳号(なければ本名の名前のみ)、本名、電話番号、住所を明記してお送り下さい。投句はそれぞれ二句まで、詰め俳句は季語を一つのみお送り下さい。一つのEメールまたは一枚のハガキに各コーナーの投句をまとめて送っていただいても構いません。
ただし、「選者三名による雑詠俳句計画」と「へたうま仙人」は、選択制(どちらか一方のみ投句)となります。また「雑詠俳句計画」は欄へ寄せられた二句を各選者が選ぶ形式です。各選者に個別に投句を行うのではない点にご注意下さい。

それぞれ締切は、11月20日(金)

投稿ページ http://marukobo.com/toukou/
投稿アドレス magazine@marukobo.com
はがきFAXでも投句できます。


さらに多くの投句をしたい方へ
 松山市が運営する『俳句ポスト365』など、無制限に投句を受け付ける場もございます。ぜひご活用下さい。(俳句ポスト365のページ参照)


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美術館吟行11:愛媛県美術館
スター・ウォーズ展
未来へつづく、創造のビジョン
吟行会


文 猫正宗


秋空にスターウォーズの吸い込まる toku229
糸瓜吊る銀河帝国より指令 教人

 ジョージ・ルーカスが1977年(日本公開次年)に送り出した「スター・ウォーズ」(以下「S・W」)。6本の映画(「エピソード1〜6」)と無数のスピンオフを生み出し、今や叙事詩とも称される世界を創り上げ、12月には新作の公開を控えている。
 本展は、「7つのビジョン」で構成され、「ジョージ・ルーカスが世界中から選りすぐったアーティストが制作した絵画作品」と「映画製作で使用されたコンセプトアートや衣装、小道具など」が併せて展示(図録より抜粋)。

 先ず、シスの暗黒卿、ダース・ベイダ―と出会う。そのケープの内に「S・W」という宇宙全てが漂っているかのような、サーガを象徴する敵役。展示されている衣裳は実際の撮影で使用されたもの。その傷みが風雪を偲ばせる。

暗黒卿虚空に色なき風見るや 猫正宗

 彼に降りしきる雨を描いた、メイシー「後悔」。悲劇を隠した仮面に滴る雨粒。泣けない男の仮面が泣いている。

哀しみを塞ぎ秋雨の黒くただ チャンヒ

 隣には、エピソード1の主役、アナキン・スカイウォーカー少年のポッドレースのパイロットスーツ。ビル・パターソン、ホアン・カルロス・フェリグノが、ポッドレースを迫力ある筆致で描く。

始祖鳥がポッドレーサーになる雪 恋衣

 「S・W」の宇宙では、フォースと呼ばれる力が生命と無機物、全てを包み結び付けている。

秋の日よフォース借りたくなりし日よ 教人

 その安定を望み、正義と平和の守護者たらんとするのがジェダイと呼ばれる騎士たち。

流星に触れてジェダイの騎士となる 若狭
爽籟の叙事詩に剣は光りけり 若狭

 ジェダイの象徴たる光線剣、ライトセーバー。形が皆異なるのは、修行としてジェダイ自ら作るためである。

打ちふるうライトセーバー秋の雷  toku229
俺様のライトセーバー俺の月 チャンヒ

 一方、フォースを私利私欲に用い、武力をもって、銀河に覇を唱えんとする者たちはシスと呼ばれた。その一人、ダース・モールをモチーフにした、ウィル・ウィルソン「モールの誕生」。そのキャラクター同様、聖と怪奇と幻想が入り混じった強烈な作風。

「モールの誕生」足袋の女見いる 恋衣

 畢竟、「S・W」の戦いとは、フォースの光明面と暗黒面の戦いともいえる。

人と闇と神と光と露玉と ひかる
ジェダイ公文書館よりさびる月夜 教人

 ジェダイはシスの陰謀によって粛清。ハーレー・ブラウンは生き延びたジェダイの長老、ヨーダを描く。彼は時を待ち、「新たなる希望」へと使命を引き継ぐ。

銀漢の涯を知りたるヨーダの眼 恋衣
「モールの誕生」足袋の女見いる 恋衣
帝国の逆襲曼珠沙華の業火 ひかる

 本作は痛快な冒険活劇であると共に、戦争映画でもある。WW2風の戦意高揚ポスターや戦争画の手法で描かれた作品がそのことを改めて思い起こさせる。

ブラックホールへ戦いは果つ稲の花 ひかる
金秋の故郷はついに壊されて 未悠

 宇宙を舞台にした本作には宇宙船も数多く登場。

宇宙船だらけで暑い僕の町 未悠

 町を暑くするのは、宇宙船発射時の噴射炎の熱波による「ロケットの夏」(by レイ・ブラッドベリ)か、少年の冒険心か。

 ドロイド(ロボット)の二人組、C‐3POとR2‐D2。「S・W」6作品全てに登場したのは、この凸凹コンビだけ。

C‐3POも居る案山子山 若狭
永遠の銀河にドロイドの眼 チャンヒ
ロボットの相棒はロボット秋の風 未悠

 様々な異星人がたむろするカンティーナ酒場もまた、「S・W」らしい光景といえるだろう。

カンティーナ酒場古酒古き友 猫正宗

 隙間から酒場を覗きこむように、このページに目を留めたあなた。ドアを開けば、かつての夢、今の現実、あるいは見果てぬ未来が待っているかも……。
 とまれ、あなたに、そして全ての人に
「フォースと共にあらんことを」
【May the Force be with you.】
 
ルーカスのビジョン突き抜け天高し toku229



猫正宗
メガネ句会&JAZZ句会が主な作句場所。「お芝居観ませんか?」連載中。



「スター・ウォーズ展 未来へつづく、創造のビジョン。」は、愛媛県美術館にて11月15日まで開催中。


取材協力:「スター・ウォーズ展」愛媛展実行委員会(愛媛県、愛媛新聞社、テレビ愛媛)、NHKプロモーション、愛媛県美術館



次回美術館吟行会
いずれも『100年俳句計画』編集室までお申し込み下さい。(TEL089-906-0694)

高畠華宵大正ロマン館吟行
日時: 11月14日11時〜
場所:高畠華宵大正ロマン館
参加無料(入館料は別途)
申込締切:11月12日

http://iyokannet.jp/ginkou/



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Mountain Cabin Dispatch


ナサニエル ローゼン(訳:朗善)
山梨で暮らす世界的チェリスト ナサニエル ローゼンのHAIKUとエッセイ


No.28


High school reunion
Old boys with their laughing girls
Leaves falling slowly.

同窓会落葉静かに降りにけり


(直訳)
高校の同窓会
かつての青年達と 笑いさざめく彼女達と
落ち葉が静かに降っている



 We sit over the bay in a waterfront hotel and feel like we are in a boat. The rain has stopped, the sun has come out and we will enjoy our afternoon in Seattle with my children.

 僕達は水際のホテルで、入江のすぐ側に座っている。まるで船に乗ってるみたいなんだ。雨は止み、太陽が出て来た。これから僕達は、シアトルに住む僕の子供達と愉快な午後を過ごすつもりだ。
(訳:朗善)



ナサニエル ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。
2013年7月より山梨へ移住。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第56話
小島のり子カルテット at JAZZ BLEND


秋風は銀色になるジャズになる  チャンヒ

 JAZZ BLENDの9月はハンサムウーマン二人の登場で爽やかに華やいだ。その一人は100年俳句計画マラソン部主催「ランニング入門」で指導してくれた楠真美コーチ。西予市出身・在住の美人ランナーである。(輝かしい戦績は本誌9月号通巻214号46頁参照)
 なお、彼女は招待選手として来年の愛媛マラソンに出場する。応援しよう。

再会の笑顔まぶしき秋うらら こじのり

 もう一人がこじのり、こと小島のり子。今回はニューアルバム「anyway」を携えての来松である。

天高しライヴハウスに看板なし ゾネ

 そりゃそうだ、プライベートルームの域を出ないJAZZ BLENDにまだ看板は無いのだ。しかし、店内正面大窓のガラスに描かれた小島の肖像が完成。LEDに照らされ幻想的に浮き上がる自身の姿に「ここは私の聖地だわ」とご本人。

口づけのごときフルート天の川 蓮睡

 小島のフルートに田口悌治のギター、で今回のベーシストは澁谷盛良。田口も新作「With The Wind」を携えての出演。

スネアひとつ野分のごとく奮戦す 夜市

 このトリオに松山限定で小泉高之のドラムスが加わり、

月今宵人肌に縫う四重奏 若狭昭宏

 新CDオリジナル・カルテットによるライヴとなった。

夢を吹くワンレングスの竜田姫 破障子

 1stステージの2曲目が小島のオリジナル「A Daydreamer」。愛知の地酒「菊石 純米酒 夢ゆたか」の味わいを曲に綴った「日本酒シリーズ」の中の一曲である。

夢の中また夢を見る星月夜 南亭骨太

 3曲目は、これも夢つながりで「Darn That Dream」。ジミー・ヴァン・ヒューゼン39年の作品。

つまびけばただならぬ夢大花野 川又 夕

 そして4曲目は「Looking Up To The Sky」。愛媛県砥部町協和酒造「初雪盃 純米吟醸生原酒」のきりっと爽やかな美味しさに誘発され出来た曲。「今度は叶わぬ夢じゃなくて目標に向かっている。悩むことがあっても良いお天気で空を見上げれば頑張れるなって、そんなイメージの曲です」とのMCとともに演奏が始まった。

フルートの息継ぎにある秋思かな 光海

 ライヴ後は恒例のJAZZ句会。俳人・こじのりも参加してくれた。一番人気句を詠んだ光海さんが、キム・チャンヒの大型俳画をゲットした。



http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の毎月第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。

次回のJAZZ句会は、11月23日(月・祝)13時より。テーマは「ゲッツ・プレイズ・ジョビン ザ・ガール・フロム・イパネマ/スタン・ゲッツ」です。句会への参加を希望の方は、本誌44ページの句会カレンダーを参照してください。


このコーナーで紹介した俳句とエッセイ、堤宏文さんの写真とを組み合わせた『JAZZ HAIKU vol.1』(マルコボ.コム)を発売中。


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ラクゴキゴ


第56話
『目薬』〜案外多いぞ、○○○の噺〜


 腕の良い大工職人の男、どこからもらってきたか、目を患ってしまう。
 目が悪いと仕事も出来ないので米を買おうにも買えない。
 妻は早く医者へ行けというが、この男、大の医者ギライ。
 そこで妻はなけなしのお金を用意し、せめて薬屋へ行けと頼む。
 薬屋なら……と男、出かけて目薬を調合してもらい帰ってくる。
 その薬の袋には使用法が書かれた紙が入っているが、夫婦そろって字が読めない無筆。
 ただ、男も漢字はダメだがひらがななら何とか読めると言い、読もうとすると、
「めじりにつけるべし」
と書いてあるのに「め」が少し崩しぎみに書いてあったため、「女」と間違えてしまう。
 「女」、どこかで見る字だと考えていると、風呂屋の、自分たちが入る方じゃない女用ののれんに書いてあることを思い出す。
「おんなしりにつけるべし」
そんな薬あるのか?と不思議にも思いながら、この家にいる女というと妻だけ……。
 いやがる妻にたのみこみ、尻をまくらせ、後ろから尻に粉薬をパラパラパラ。
 全く自分の目に効く感じがないので、朝昼晩の三日分が入っていた粉薬を一気に妻の尻へ。
 初めは何ともなかった妻も、一気にあんなところへ粉薬が来たため、こそばゆくてこそばゆくて、我慢していたのに大きなオナラを一発
 ブーッ
 さあ、この一発で粉薬が飛び散ってしまい、男の両目の中へ……。
男「ああ、やっぱりこの薬こうやって使うんか」



 小学4年生の国語の教科書に、言葉あそびや落語が出てきます。
 松山市などで採用されている会社の教科書には「ぞろぞろ」という噺がのっています。
 私にも「ぜひ子供たちの前で落語の世界について話して下さい」という依頼がありますもので、喜んで出かけます。給食が楽しみで←そこかい
 4年生になると、ちゃんとオチの仕組みも分かるので、反応がほしい時にあり、意味も把握できます。
 しかし、低学年は笑いのポイントがまだ違い、下ネタで爆笑が起こります。
 おしり、ウンチ、おならetc……
 わかりやすい小噺を演じるのですよ。
「鳩が何か落としていったね」
「ふーん」
 その後にはコレをやります。
「お母さんパンツやぶれたよ」
「またかい」
 この小噺、「またかい」と聴いてオチの意味が分かり笑いが起きるはずが、低学年はどの学校も必ず
「パンツ」
に反応して笑います。
 ええ、必ず。
 とても面白い現象です。
 小噺や落語にもオナラを扱ったものが多く、演じる方はなるべく汚くならないよう、さらっと演ります。
 この「目薬」も、春風亭小朝師の得意ネタでもあります。
 私の好きな小噺。
 新婚の夫婦、妻は亭主の前でオナラなど出来るはずもない。しかし寝ているときに思わずブーッとやってしまった。
 どうしようもなく恥ずかしくなり、おそるおそる亭主に、カマをかけるように尋ねてみた。
妻「ねえ、今地震あったよね?」
男「地震! よう寝てたんで何も知らんかった。屁の前か後か?」

まるきまるき妻の尻かな放屁虫


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ホンヤクサイホンヤク


翻田 訳蔵

 俳句初心者、翻田訳蔵がネット上の翻訳ソフトを使って名句を翻訳、再翻訳し、そこからインスパイアされた(パクッた)句を発表していこうという馬鹿馬鹿しくも実験的で図々しいコラムです。


今回の俳句
 巫女に狐恋する夜寒かな 与謝蕪村



 冬場、ミミズやモグラなどの餌を求めて畑を荒らすので、狐は冬の季語だそうです。
 また、巫女には「かんなぎ」という読み方もあるのですね。その語源は、諸説あるようですが神意を招請するという意味の「神招ぎ(かみまねぎ)」という語であるとか。

 では、Google翻訳(英→日)から

Kana fox love cold night in Miko

 再翻訳

かなキツネは巫女で寒い夜を愛し

 「かなキツネ」と呼ばれ、寒い夜を愛している巫女。ミステリアスです。

 続いて、エキサイト翻訳(英→日)

Is it the night cold you do fox love of for a witch?

 再翻訳

それは、魔女のためにあなたがきつね愛情をする夜の冷気であるか?

 魔女に夜の冷気、そして「きつね愛情」??? ますますミステリアスです。

 最後に、Yahoo!翻訳(英→日)

Is a fox night cold late in the fall to be in love for a medium?

 再翻訳

キツネ夜は、媒体のために恋をしているために、秋後半に冷たいですか?

 巫女は、生者や死者の霊魂を招いて、自分の口からその心意を述べたりしていたので、媒体と訳されたようです。

 それでは、この3つを受けて一句。


巫女に魔女に恋する狐かな 翻田訳蔵


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お芝居観ませんか?


文&俳句 猫正宗

第37回『芝浜の革財布』
(前進座公演、原作:三遊亭圓朝、脚色:平田兼三、演出進行:橋本英治、出演:藤川矢之輔、山崎辰三郎、他、2015年9月18日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール)

 ご存知、落語『芝浜』を基にした歌舞伎。その内容は、「俳句マガジンいつき組」時代の「ラクゴキゴ。」第9話(2011年12月号)で取り上げられてます。お手元になければ、バックナンバーをご注文をって、オイ。(在庫ある?)

冬浜の財布女房は夢と云い

 さて、我々素人が歌舞伎というと思い浮かべる隈取とか、見得とか。そういう派手な構えみたいなものは、武士や貴族、僧侶などが中心となる歴史的事件(や、それに置き換えた当時の事件)を題材にした「時代物」の特徴だそう。本作のような作品は「世話物」と呼び、江戸時代の町人社会を舞台に、彼らの義理、人情、恋愛などを描いた、いわば当時の現代劇。台詞なども比較的わかりやすく、普通に時代劇として観られるような作品でした。(なんて書くと、歌舞伎好きの人に怒られそう)特に今回は、歌舞伎のお約束や所作などをわかりやすく解説、実演する(物売りの声による時間の表現、効果音の出し方、女形の基本姿勢や年齢による仕草の違い、花道の使い方とその効果、等々)『歌舞伎ことはじめ』という演目も併せて上演、全部で1時間半程ということもあり、歌舞伎初心者にはとっつきやすい公演だったのではないかと思います。
 ところで、今回感じた歌舞伎(芝居)と落語の違い。無論、演者の数の違い等は大前提ですが、オチで終われるかどうかではないかと……。芝居の方はオチの台詞の後、余韻のためかしばらく夫婦のやり取りが続くのです。

また夢になりませぬよう除夜の鐘

 時期がぎりぎりで間に合うかわかりませんが、11月の松山市民劇場は、幹の会+リリック・プロデュース公演『王女メディア』(11月9日)8人の個性的な男優(東京キッドブラザース出身! 演劇実験室・天井桟敷出身!! etc.)を率いて平幹二朗が2年ぶりに挑むギリシャ悲劇。いや、ホント、このキャスティングが地方で観られるって、ちょっとないんじゃないかしら。ぜひ、ご一緒しませんか?



このコーナーでは、松山市民劇場例会にて公演された芝居を紹介します。


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歳時記「無季」がバイブル


第1回
文 現代俳句協会会員  日暮屋 又郎


 日本は云わずと知れた海洋国家である。四国、とりわけ愛媛は、瀬戸内海と宇和海にまたがる長い海岸線を持つ。が、しかし僕はその愛媛に居りながら、海というものを見て、海水に触れたのは小学二年生の夏の終わりころである。
 なぜならば故郷の西予市(野村町 旧中筋村)には海がなく、今でこそお気軽にドライブで海まで行けるが、もはや戦後ではないといわれた一九五六年から三年後の一九五九年生まれで、言い換えれば三年ちょっと前は戦後だった当時、そんな田舎にマイカーなんてあるはずもなく、海は想像上のものだった。

浜の味噌汁とうふは握りつぶすもの 児玉けんじ

 現代俳句歳時記、無季に掲載されているこの句に、やられてしまった。

 コニー360という商用車が我が家にやってきて、初めての海は旧明浜町俵津だった。毎日、軽トラックでやってくる行商の魚屋を訪ねた。
 その集落の暮らしが真っ先に脳裏をよぎった。漁から帰ったばかりだろうか、ねじり鉢巻きに咥え煙草の男衆らが縁台で花札に興じながら、傍らには酒と乾物があたりまえのようにあり、なんだか楽しそう。
「ぼうず、見かけん子じゃがどこの子ぞ。そうか野村から来たんか。お前も喰えや。」
そう言って、酒あてのするめをくれたりした。
初めての海だったせいもあり、その時の光景を今でもはっきりと覚えている。
 この句の中七、下五と句またがりの「握りつぶすもの」の措辞に、浜に暮らす男衆の気風の良さが凝縮されていて、言い切りの力強さにも説得力がある。
 この味噌汁は出漁前、気みじかな漁師に女房が急いでつくった自宅のものとはちがい、船着場のまかない漁師めしであるような気がする。
 網を引いたり、テグスでこすられた漁師のごわごわの手が、硬めの木綿とうふを一瞬でぐずぐずにするスピード感さえ伝わってくる迫力があり、語らなくてもその鍋の大きさ、火加減、味加減までもが手に取るようにわかる。  
 照れ隠しのようにぶっきらぼうな言い回しの中に、ぬくもりや優しさがあり、この浜での人々の暮らし向きを感じ取ることができる。


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百年歳時記


第30回 夏井いつき

 有名俳人の一句を紹介鑑賞するページは世に数々あれど、「市井の逸品」とも呼べる一句を取り上げ鑑賞する記事はそんなに多くありません。
 百年先に残したい佳句秀句奇々怪々句を見いだし、皆さんと共に味わおうという連載は、名づけて「百年歳時記」。夏井いつきの目に触れた様々な作品を毎月ご紹介していきます。


蓮の実は出自の穴を仰ぎみる 大塚迷路
 「蓮の実」は、ハッと目を覚まします。そして自分が水の中に落ちていることに気付きます。落ちてしまった「蓮の実」は、水の面を見上げます。揺れる水面のむこうには、首をかしげた蓮の花托が見えます。そこに一つだけ実のない穴がある。ああ、わたくしはあの「穴」から落ちてきたのか、と「蓮の実」は己の「出自」を、穴の空ろに知るのです。ささやかな風にゆらめく水面、その向こうにある我が「出自の穴」。生まれ落ちるというのは、こういうことなのかと「蓮の実」は静かにその穴を「仰ぎみる」のです。何千年もの蓮の輪廻とはこのようにしてめぐってきたのだと、私たち読者もあらためて「蓮の実の出自の穴」をしげしげと眺めてみるのです。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』9月18日掲載分)

湖に龍の鱗や菊の酒 雨月
 9月9日は菊の節句。この日に高い山に登って「菊の酒」を飲めば、厄災から逃れられ長寿を得られるという言い伝えから生まれた季語です。9月9日に菊の花片を浮かべた酒を飲めばいいというものではないのが、この季語の扱いの難しいところです。
 山中に入っていくと忽然と「湖」が現われます。近づいてみると、渚にきらりと光るものがある。おおーこれは「龍の鱗」ではないか! 菊の節句のなんたる瑞兆であるか、という空想的な作品です。「龍淵に潜む」という秋の季語のイメージをも醸し出しつつ一句を構成している点も巧い企みですね。清らな「湖」を見下ろして「菊の酒」を飲めば「龍」ほども長生きできそうな美しい秋であります。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』10月2日放送分)

芳しき新麹先代に妾 きとうじん
 「麹」は、酒・味噌・醤油などを醸造する原料です。その年に収穫した米や大豆などで作るのが「新麹」。一句は冒頭にて「新麹」の香りを、なんと「芳しき新麹」であるかと讃えます。「芳しき」という日本語のなんと馥郁たる響きでしょう。今年の「新麹」も見事にできたよという秋の歓びも伝わってきます。
 そこから「新麹」で作られるモノへ描写が移るのかと思えば、一句は一転。後半の措辞に思わず笑ってしまいます。「先代には妾」がおりましたということは、このお家は大きな造り酒屋でしょうか。その「妾」はあたかも「芳しき新麹」のような女であったに違いないと思わせられるこの展開。いやはや、楽しませてもらいました。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』10月16日放送分)

秋の雲海から揚がる象の骨 ポメロ親父
 日本では海から引き揚げられた「象」の化石が十数点あるのだそうです。かつてナウマンゾウたちが生きていた大地、何らかの理由で滅びていった事実、「象」たちの死骸もろとも大地を飲み込んだ海。そんな悠久の時間を慈しむかのように「秋の雲」は、静かに広がります。海の波のようにさざめく「秋の雲」は、「象」の肋骨のような形状にも、「骨」のような色にも思えてきます。
 冬へ向かっていく淋しさを内包しつつ、その感情を慰めるかのような優しさも持ち合わせている季語「秋の雲」は、「海から揚がる象の骨」という措辞と、付かず離れずのイメージを重ね合いつつ、時空を広げていきます。懐の深い一句でありました。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』10月9日掲載分)

秋風や死者に優しき晴れ三日 きらら☆れい
 「秋風や」の詠嘆の後に「死者」とくれば、蕭条たる「秋風」の寂しさが一気に詠まれるのだと、読者の脳は先走ります。が、後半の言葉は、読者の予測を見事に裏切ります。「(死者に)優しき」とは?と思った瞬間に出現する「晴れ」の一語の鮮やかさ。読み手の心には悲しいまでに晴れ渡った秋空が美しく広がります。
 「秋風」に佇む作者は、今日の空を見上げます。訃報の日から「三日」目は、お葬式の当日でしょうか。「死者」を労るように悼むように続く三日間の「晴れ」を、作者は天の優しき配慮に違いないと受け止めます。上五「秋風や」の詠嘆は、死して風となった故人を想う心であり、美しい秋空の青に象徴される悲しみでもあります。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』10月2日掲載分)


*百年歳時記は、南海放送ラジオ『夏井いつきの一句一遊』や
 松山市公式サイト『俳句ポスト365』(http://haikutown.jp/post/
 などに投句された俳句を紹介します。


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会話形式でわかる
近代俳句史超入門


第17回
文 構成 青木亮人

 大学で俳句を研究する青木先生と、その教え子で俳句甲子園の出場経験もある大学生の俳子さんが雑談を交えながらの近代俳句史超入門。

虚子選の凄さ

 二人は大学食堂で高浜虚子について論じあっています。

「選は創作」
青木先生(以下青) それにしても、虚子の「選は創作」をよく知っていますね。
俳子(以下俳) へへっ、こう見えても幼稚園前から女神輿を担いでいたんです。そのおかげですわ。
青 確かに虚子は「祭は創作である」とも言っていましたからね……と、そんなバカな。全然関係ないですよ。
俳 それが少し関係あるんです。私の名前は祖父が名付けたんですけど、その祖父が俳句や盆栽といった日本文化好きだったので、私が小さい頃から町の祭りに参加するよう勧めたり、その時の情景を俳句にまとめるとご褒美にお菓子をくれたりと育ててくれたんです。
青 いい教育ですね。
俳 私はお菓子をたくさんゲットしようと「秋祭」「秋晴れ」とか使って何十句も詠むんですが、採ってくれるのは一、二句だけ。「どれも俳句なのに」とブーブー駄々をこねると、祖父が言うには「偉そうかもしれんが、句はわしが採って初めて『俳句』になるんじゃ。虚子さんも言っておったよ、『選は創作』とな。今日の『俳句』は二句だけだから、お菓子も二個。俳子もいつか分かるけん、フホホ」……そんな風に煙に巻かれたので虚子さんの言葉を知っているんです。なので、一歳頃から秋祭りに参加したのとそのセリフが近い思い出なんですよね。虚子さんのせいでお菓子を食べ損なったようなものなので、いい印象ではないですけど。おぐらアイスや大番とか、もっと食べたかった……。
青 またシブい味覚……それはそうと、お祖父さまの話は興味深いですね。虚子がその言葉を活字で示したのは、『ホトトギス雑詠全集』四巻(昭和六年)序文でした。「少くとも俳句の選と云ふことは一つの創作であると思ふ。此全集に載つた八万三千の句は一面に於て私の創作であると考へて居る」。「ホトトギス」雑詠選に強い自負とこだわりを持っていた様子が分かります。
俳 うーん……句作が「創作」というのは分かりますが、出来上がった「創作」をただ選ぶのがなぜ「創作」なのか、昔から分かるようで分からないんですよね。

骨董と選句
青 そこは大事なところなので、例え話で説明してみましょう。テレビ番組で「開運! なんでも鑑定団」がありますよね。
俳 ええ、けっこう観ます。その道数十年の鑑定家さんがズラッと並んで、汚い茶碗が実は数百万円の凄い品だったり、家宝で由緒ありげな絵と思ったら五、六千円でズッこけたりとか。和服のおじさんが「いい仕事してますねえ」とその品を褒めたりとか、面白いです。
青 その骨董の鑑定と選句は似ているんです。
俳 虚子さんも和服でしたし、確か句を落とす時は「いい句なんですけどねえ」と呟くのが口癖だったとか。
青 いや、勝手に逸話を作らないで下さい……生涯を和服で通したのは事実ですけど。そうではなく、例えばある茶碗が戦国時代の傑作としても、一般人には分からないと思うんです。単なる美しさではなく、とてもシンプルなのに実際に持つと手の平に収まる重さが絶妙だったり、お茶を入れると地味な色合いが艶を帯びるとか。わざと形を崩した遊び心が素晴らしいとか、珍しいとか、そういう感覚は骨董やお茶の世界独特の美意識や価値観があって、素人がぱっと見て判断できないはずなんですよね。
俳 それ、分かる気がします。祖父が盆栽に凝っていて、展示会に連れていってくれた時、祖父は「この撓みは……」とか唸るんですよ。私にはひねくれた曲がり方にしか見えないんですが、祖父は感心してました。その後、祖父はいつものお店で苗や土やら買いこんで、それから私に葛切りとかごちそうしてくれたんですが、家に戻ると祖母が「またこんな高いものを!」と怒髪天状態でした……私には盆栽の何が凄いのかとか、全然分からなかったです。
青 お祖父さま、盆栽の展示会に行くカモフラージュに俳子さんを誘ったような気が……それはそうと、今の話と虚子選は似ているかも。季語を入れて五七五を詠めば誰でも俳句は作れますが、骨董の特殊な美意識同様、俳句にも独特の価値観があります。芭蕉たちの江戸期から続く感性、それは季語の本意とか伝統とかではなく、俳句には十七字という制約が抱えてしまう特質があって、短歌や詩、小説とも違う「何か」としか言いようのないものがある。虚子は、その本質をがっつり掴んだ稀な俳人だったように思いますし、それに……
俳 ちょ、ちょっと待って下さい! 今、何気なく凄いことを仰った気が。
青 盆栽のカモフラージュ?
俳 違いますよ、祖父の下心ぐらい子どもの私でも気付きます。そうじゃなくて、仮に「俳句の本質」というのがあるとして、それをぐっと掴んだ俳人は「稀」だった……と仰ったんですよね? 今も昔も有名な俳人さんはたくさんおられるじゃないですか。皆さん、俳句の本質を掴んだ実力者じゃないんですか?

俳句の本質と虚子選
青 そこが微妙で、教科書掲載句や、有名だったり俳句組織の重鎮が「俳句」に触れたとは限らないですし、「本質」というのも語弊があって、正確には芭蕉や蕪村、虚子や草田男といった俳人たちがなぜか共通して大事にした感覚を仮に「本質」と呼んだだけです。
俳 うう、反論したいことが山ほどありますが、百歩譲って虚子さんが「俳句の本質」に触れた選者だったとして、どういう点が凄かったんでしょう?
青 「ホトトギス」昭和二年九月号雑詠欄を見てみましょう。「啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々 水原秋桜子」「蟻地獄みな生きてゐる伽藍かな 阿波野青畝」「方丈の大庇より春の蝶 高野素十」「七月の青嶺まぢかく熔鉱炉 山口誓子」。この傑作群が同月号発表なのも驚きですが、何より各俳人が自分の特質を伸び伸びと表現した技術と気概を備えているのが凄い。虚子選は有季定型内での職人的な表現技術を押さえていれば後は何を詠んでもよいと放任しつつ、各作家の性質を伸ばす選が出来たところが凄くて、つまり虚子は単一の基準で選をしなかった稀な選者だったということです。しかも、「技術」とはアンチ風流&予定調和でありつつ、ヘンな内容やルールを破っただけの句ではなく、有季定型を守りつつそこに収まらない不穏なものや生々しい現実感、計算では出てこないヘンな何かを詠めることを「技術」と称えました。先の四句は、秋桜子以外どれも強烈にヘンですよ。
俳 確かに。青畝さんは強引ですし、素十さんの「春の蝶」(笑)。誓子さんは「七月の!」と言い切ったところに意味不明な力みが……不思議、どれも有名な句なのにヘンかもしれない。
青 そうなんです。こういう句群を「俳句」と気付けたのは、明治から昭和二年まで存在した選者の中で虚子一人だったでしょう。で、大事なのは、自分の作った句のどの点が「俳句」なのか、自分で気付ける俳人は実は少ないんです。青畝たちは自句のどの点が「俳句」なのか、独力では気付けなかったでしょう。骨董と同じで、所有者も分からない茶碗の凄さを見抜く鑑定家のように、「俳句」の玄人だった虚子は句作者本人も気付けなかった「俳句」の特質をズバッと見抜きつつ、「あなたは○○の方向で自分を伸ばすといいですよ」と選句を通じて伝えることができた凄い選者でした。その点、まず句を「創作」する作者と、それが「俳句」と発見=「創作」できる選者の双方がいないと、この世に「俳句」は登場しないといえます。「選は創作」というのは、そういう意味なんですよね。(続く)


青木亮人(あおき まこと) 1974年、北海道生まれ。現在、愛媛大学准教授。著書に『その眼、俳人につき』(邑書林)など。



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まつやま俳句でまちづくりの会通信


第56回 文 暇人

白石の鼻夕日観賞会&まる裏キャッチフレーズ発表

 9月20日(日)、シルバーウィークに開催された、松山・白石の鼻巨石群調査委員会主催の「2015白石の鼻巨石群フェスティバル」の中のイベント「夕日の観賞会」に、今年も参加してきました。
 今回の参加メンバーは、若狭代表、キム副代表、雪花、川又夕、そして私。
 集合場所のマルコボ.コム事務所前にてFacebookに「曇り空が気になります」という投稿を行った後、雪花さんの車に乗り込み、いざ白石の鼻巨石群へ。約30分で現地に到着、現地からのFacebookの投稿が釣り人の後ろ姿の写真。ここまで「いいね!」こそあるものの、投句はまだ一つもなし……不安が過ぎる。そのあとは帆掛け船や準備の様子を次々と上げていくも、未だに投句なし。
 観賞会が始まる前に一度岩場だらけの海岸に降りてロケーション確認をする事になったのですが、その最中、私に悲劇(喜劇)が起きました。当日の岩場はかなり滑りやすく動きづらかったのですが、やってしまいました。足を滑らせ二度転倒。
 17時いよいよ観賞会のスタート、まずはセレモニーが行われ、mhm側若狭代表が挨拶。夕日が沈むまでの間、ロックバンド・キャデラックによるミニライブがスタート。

秋雲をエレキギターが吹き飛ばす  チャンヒ

 演奏の途中、バンドメンバーの真珠婚を祝うサプライズもあり、会場は温かい雰囲気に包まれました。

秋夕焼波静かなる真珠婚 若狭

 セレモニーが終わり、途中雲行きを心配する投句をすれば、雪花さんから「晴れ女 頑張ります」という書き込み、そうなれば良いという期待をしつつ再び足場の悪い岩場へ。その後は、次々と様子を投稿してはいたものの投句はこの一句のみ。

黄昏を浴びてかそけき秋の潮 しんじゆ

 残念ながら光の筋をはっきりと撮影した写真をFacebookにはアップできませんでした。来年もこのイベントが開かれた際には、リベンジしたいです。……ということで次の話題へ。
 先日来募集していましたまる裏俳句甲子園のキャッチフレーズ、締切までに49作品が集まりました。皆様の応募ありがとうございました。
 49作品から選ばれたのは梶浦公靖さん作「裏から堂々と来い!」です。おめでとうございます。
 最後にmhmでは、まる裏俳句甲子園で当日配布するパンフレットの広告掲載スポンサーを募集しています。一口3000円からです。詳しくは事務局までお尋ねください。


mhmでは、ひきつづき松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議がおこなわれます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。


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句集の本棚





『蜜柑顔』 山口隆右 著

 著者の第一句集は編年体で働き盛りから退職までの男性の機知に溢れている。
  筍の箱膨らませ届きけり
  涅槃図に異説あり僧たぢろがず
  盆提灯箱平らかに仕舞ひけり
  剪定の音ふたつみつ母癒えし
  据ゑられし卒寿の母の蜜柑顔
 自ら俳句を嗜んで著者の最も良き鑑賞者であるという母上を扱う俳句は優しくユーモアがある。
  法師鳴きて出張急かさるる
  交渉の黙続きをり枯野ふと
  二の酉や社長と呼ばれ逃げにけり
  鰭酒の炎一瞬無礼講
  熱燗やぐち吐く前にぐちられし
  妻に子に犬に従ひ心太
  市うらら買はぬ男と値ぶみされ
  襟固き白シャツ選りて職退く日
  かなかなや職ある時は職厭ひ
  地元紙を求めしよりの花の旅
 「知音」同人、俳人協会会員。
(書評:岡田一実)

学芸みらい社(2014年初版)
定価 2500円(税別)
全208ページ



 『流星群』 菅谷たけし 著

 著者の第二句集は平成十一年からの十三年間の句が編年体で並ぶ。
  音たてて青葉打つ雨師の逝きぬ
  天上の師よ今生の朴ひらく
 結社「沖」で能村登四郎直系で培われた詩心は登四郎死後も軽やかさを伴って表現される。
  笛方へ明かりとどかぬ薪能
  揚花火つぎつぎ空をくらくせり
  朝市の婆へ地の冷え川の冷え
  青空のどこにも触れず桜咲く
  煤払ふ神も仏も庭へ出し
  空蝉といふこの世への形見かな
  敗荷へ集まる風の狂気かな
  雪吊の円錐にまだ雪触れず
  金魚玉金魚は前へ前へのみ
  滅びゆくものの明るさ竹の秋
  秋雲やゆるく優しく手話の語尾
  綿虫の群れに中心なかりけり
  着膨れて生者の側のパイプ椅子
 帯文を能村研三、栞を増成栗人。「沖」同人会副会長。
(書評:岡田一実)

本阿弥書店(2012年初版)
定価 2800円(税別)
全201ページ



このコーナーで紹介した句集は、100年俳句計画編集室にて閲覧できます。


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俳句の街 まつやま
俳句ポスト365


協力 松山市

「俳句ポスト365」は松山市が運営する俳句の投稿サイトです。
毎週新しい兼題が発表されます!

http://haikutown.jp/post/


優秀句
平成27年9月度


【枝豆】 
《地》 
枝豆の大皿がゴングいざ飲まん  豆腐太郎
枝豆やジョッキの花に囲まるる 博泉
枝豆と話の接ぎ穂取りに立つ 麻中蓬子
枝豆を茹づ和多都美の渦のごと 紀貴之
直会の枝豆青く甘かりき 雨月
反省完了さあ茹でたての枝豆を ぐわ
枝豆や詩人の血こそ欲しけれど  トレ媚庵
淋しい文明また枝豆をつまみあげ  Y音絵
枝豆の流れ弾飛ぶ大広間 三重丸
枝豆の殻も律儀な野田社長 佐藤直哉

《天》 
枝豆のしほあぢ龍のなみだほど  どかてい


【秋の蝶】
《地》
蔓はもうつかむものなし秋の蝶 雨月
光る秋蝶へ光らぬ秋蝶は Y音絵
秋蝶の骸は濡れて反転す 吟爾郎
岬は秋のアサギマダラの中継地  ポメロ親父
蝶は秋従へ翅の重し重し  ウェンズデー正人
酸つぱ過ぎはせぬか夕日は秋蝶に  ハラミータ
秋蝶に与える泪のナトリウム トポル
傷ついた心と国と秋の蝶 ほろよい
白骨の罅より百の秋の蝶 中原久遠
へその緒は暗所に赭く秋の蝶 紆夜曲雪
永遠に兄はみどりご秋の蝶 直木 葉子

《天》
秋の蝶ほしはゆっくりうごくけど  さな(3さい)


【蓮の実】
《地》 
蓮の実の落ちたる空ろごとに水 理子
蓮の実やおよづれごとを言ふごとく  誉茂子
蓮の実飛んでさきたま古墳群 江戸人
蓮の実を撃ち尽くしたる夕日かな  井上じろ
蓮の実もメコンの河も泥臭し まどん
蓮の実をほじったあとが青臭い  有櫛水母男
蓮の実を籠にバイクは五人乗り  佐藤直哉
蓮の実の飛ぶ夜の雨は甕覗 どかてい
蓮の実とぶ子亀の空の一大事 岩魚
坊さんの艶は蓮の実食べてより 登美子

《天》 
蓮の実は出自の穴を仰ぎみる  大塚迷路




俳句ポスト365作品集2015

冊子のお問い合わせは……
 松山市役所 観光 国際交流課
 TEL 089−948−6556



11月の兼題

投句期間:10月29日〜11月11日
蜜柑 みかん【三冬/植物】
ミカン科ミカン属のうち、皮のむきやすい温州蜜柑の類、あるいは柑橘類を総称していう。一般的な温州蜜柑は10月〜12月に出荷される。果肉は酸味が少なく、果汁が多い。

投句期間:11月12日〜11月18日
鯨 くじら【三冬/動物】
哺乳類クジラ目に属する魚形の動物。現存動物の中では最大のものが含まれる。主に南北両極の海に生息するが、冬季には日本近海にも回遊してくる。捕獲が制限される以前には、食用や工芸用など様々に用いられた。

投句期間:11月19日〜11月25日
雪吊 ゆきづり【仲冬/人事】
庭木などの枝が積雪による重みで折れることを防ぐため、縄や紐、針金などを太い梢や添え木から枝に張って吊り上げる。



《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


※募集の兼題は変更される場合があります。「俳句ポスト365」のサイトで最新の情報をご確認ください。



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一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


金曜日優秀句
平成27年9月度


【新涼】
新涼や水追いかける水の音 遊人
まず水と柴と蝋燭涼新た 朝日
新涼や天水桶に星満ちて ターナー島
定位置に耳石戻りぬ秋涼し 一走人
新涼の朝の青汁飲む一気 もね
スプーンで垂らす蜂蜜涼新た 不知火
新涼の光に溶けるトロッコよ  宇摩のあかつき
新涼や還暦祝う阿蘇の牛 ピーマン
上海の夜はしとどや涼新た きとうじん

《天》
新涼を歩むは巫女と神馬の尾  恋衣


【われから】
われからの欠片や形而上の海 恋衣
われから聞くそぼ降る雨の底に聞く  七草
われからや座礁の闇を白き影  このはる紗耶
われからや龍神様の鱗らし きとうじん
われから泣くな父の形見の網を引く  烏天狗
合掌の形にわれから乾きたり どかてぃ
われから鳴く海に日は落ち忠魂碑  ポメロ親父
眠れざる夜のわれからの百八匹  鈴木牛後
櫂重し藻に住む虫の鳴きてより 樫の木

《天》
海彦の帯にわれから絡みおり  理酔


【秋果】
花を植うごとくケーキに置く秋果  樫の木
描かれて影を濃くする秋果かな 雨月
描き終えてひとつ取りたる秋果かな  笑松
陽光の仏間を甘く秋果かな 殻嵩はるお
仏壇の秋果線香臭きかな もね
秋果なるあかき眠りの中にゐる 海田
無口な夜皿の秋果の沈む色  姫ばあちゃん
ブータンの家族の写真秋果剥く 紀貴之
隊商の宴サマルカンドの秋果 太郎

《天》
ヴィーナスの失くした腕の持つ秋果  矢野リンド


【岩】
岩の字をつけ強そうな相撲取 坊太郎
秋季講座天の岩戸の件から 篠原そも
岩戸神楽の次のおろちの支度中  ポメロ親父
小鳥来る巨岩を祀る注連縄に マイマイ
岩窟に十万年の色鳥来 稲穂
伝説の岩から眺む稲の波 かつたろー。
雁渡し岩の窪みに溜まる砂 もね
幾秋ぞ碑は開墾に掘りし岩  ドクトルバンブー
この秋を焼き尽くすかよ溶岩流 理酔
羊水臭き岩塩秋の水に解く 一走人

《天》
岩飛ペンギン秋の昼を睨む  とうへい



※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとに活字化したものです。俳句ならびに俳号が実際の表記とは異なっていたり、同音異義語や類音語などで表記されてしまっている場合がありますのでご了承ください。



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

投句締切:11月8日

季語ではない兼題です。「砕」という字が詠み込まれていれば、読み方・用い方は問いません。季語は当季雑詠を原則として、自由に選んでください。

隼 はやぶさ【三冬/動物】
タカ目ハヤブサ科の鳥の総称、またはその中の一種をさす。日本では本州以北で繁殖し、冬季には全国で見られる。先端のとがった翼を持っており、主に鳥類を補食する。

投句締切:11月22日
膝掛 ひざかけ【三冬/人事】
寒い中でじっと座ったまま仕事や勉強をすると膝が冷えるので、防寒や保温のために膝に掛ける布類をいう。

雲腸 くもわた【三冬/人事】
鱈の白子。淡泊な味で、主にすまし汁や醤油仕立ての汁物にして食べる。白く細長く、盛り上がる白雲に似ているというところからこの名がある。



《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


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100年俳句計画 掲示板



NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内
 『みんなで挑戦!MOVIE俳句』
  11月17日(火)11時40分〜

あいテレビ(TBS系列、全国)
 『プレバト!!』
   毎週木曜 19時〜19時49分
※毎週放送の1時間番組へと変わります。

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。

FMラジオバリバリ俳句チャンネル
放送時間 … 月曜 17時15分〜17時30分
再放送 … 火曜 7時15分〜8時
 兼題「立冬・蕪」11月1日〆
   「冬薔薇・ジャケット」11月15日〆
   「鋤焼き・鯨」11月29日〆
 インターネットでも配信中。詳しくは番組webサイトへ。
  HP http://www.baribari789.com/
  mail fmbari@dokidoki.ne.jp
  FAX 0898-33-0789
※必ずお名前(本名)、住所をお忘れなく!
※各兼題の「天」句にはキム チャンヒのイラストポストカードが贈られます。


執筆
松山市の俳句サイト「俳句ポスト365」
http://haikutown.jp/post/
 毎週水曜締切/翌週金曜結果発表

テレビ大阪俳句クラブ選句
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

ジュニア愛媛新聞スマイル!ピント
 「集まれ俳句キッズ」
※ 毎週日曜発刊タブロイド判8ページ

朝日新聞愛媛俳壇(夏井選)
 投稿は葉書1枚に5句以内(未発表句)。裏面に作品と共に住所、氏名、電話番号を明記。朝日新聞松山総局(790ー0003 松山市三番町4ー9ー6 NBF松山日銀前ビル)まで。

愛媛県《吟行ナビえひめ》句&写真
 俳句選者:夏井いつき
 写真選者:キムチャンヒ
【募集期間】毎月1日〜 25日前後締切
【応募先】http://www.iyokannet.jp/ginkou/
【問い合せ】愛媛県観光物産課
TEL 089ー912ー2491

本阿弥書店「俳壇」(1月号より連載)
 『十二か月添削教室』
 12月号 11月14日発売


句会ライブ、講演など

夏井いつき講演会 〜俳句を知れば世界がかわる〜
 11月4日(水)18時30分開場
 八代ホワイトパレス(熊本県八代氏松江町290ー1)
※参加費無料。要整理券。問合・申込は八代地方法人会 0965-32-1393

九州地区高等学校国語教育研究大会長崎大会内での句会ライブ
 11月6日(金)9時30分〜
 アルカスSASEBO中ホール
※大会事務局長崎県立佐世保北高校内 0956-22-4105

愛媛県歯科医師会いい歯の日イベントはぴかちゃん歯いく大賞表彰ライブ
 11月8日(日)13時30分〜
 いよてつ高島屋8Fスカイドーム
※参加費無料(記念品、当日投句あり)

トレッキングザ空海あいなん遍路道俳句大会&句会ライブ
 11月15日(日)8時30分〜
 柏坂へんろ道DE・あ・い21ホール
※参加費…500円(中学生以下無料)。問合・申込は内海公民館0895-85-1021

全国おやじサミットin愛媛内での夏井いつき句会ライブ
 11月22日(日)13時30分〜
 松山市青少年センター
※参加費…問合・申込は090-3788-2945(大会事務局・畝崎)

加古川市社会福祉協議会〜俳句のある生活を楽しみたい人の俳句〜
 11月25日(水)13時30分
 場所…兵庫県加古川市総合福祉会館
※問合・申込は加古川市社会福祉協議会0794-24-4318

俳句対局龍淵王決定戦
 11月28日(土)13時30分〜
 場所…子規記念博物館4F和室
※出場・観覧ともに無料。問合・申込はマルコボコム089-906-0694

瀬戸内海俳句大会&忽那諸島吟行の旅
 11月29日(日)吟行9時〜
 吟行/忽那諸島中島、俳句大会/中島総合文化センター大ホール
※参加費は吟行&観覧ともに無料(往路のフェリー代は実費)。問合・申込は中島総合文化センター「忽那諸島吟行の旅」係 089-994-1181



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魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

俳句甲子園いってきた!
元旦 数年ぶりに観戦した俳句甲子園。ギリギリで宿が取れたので予選から観ることができました。数年前は選手として参戦していた子が、行司を務めている姿を見て、脈々と受け継がれていく歴史を垣間見る思いです。ラストは勇気を振り絞り声をかけ(直接頼んだのは兼光さんにですが)組長のサインをいただくことができました。ありがとうございます。ただ舞い上がっていたので、為書きをお願いするのを忘れていました(笑)それと組長をつかまえるのに気を取られ、神野紗希さんの句集にサインいただくのを忘れてしまったのが心残りです。来年もまた高校生たちの驚きの俳句に刺激を受けたいと思います。
編 俳句甲子園観戦記なんだか追っかけ記なんだか!? (笑)

今月の詰め俳句
ひでやん なんとなく、時間的なものを含んだ季語かなと思いました。鳥の歌の澄んだ感じとか棘ある木々のシャープな感じから「秋の朝」と考えました。
編 今回天文の季語を選んだ方多数。5級から1級まで幅広かったです。

大阪野旅人 棗の実もあるかな?
編 大阪野旅人さんの回答は新松子。植物系は結構難しかったですね。

学校行事と俳句
八十八五十八 今回の二句の種は、山口秋吉台、北九州スペースワールド方面への修学旅行引率より拾いました。
編 先生俳人にとっての修学旅行は吟行に他なりませんな!

真帆 孫が中学生でリレー選手に選ばれ応援にもちから入りました。
編 リレーといえば運動会の華〜♪

俳句の種まき運動!
ケンケン 今度、草津駅前広場で「青空俳句講座」をすることになった(苦笑)…おそらく滋賀県で初めての試みではないだろうか? さりげなく通行人に俳句の魅力をPRしたい。
編 結果報告お待ちしております。

みやこまる 俳句を初めて3ヶ月、なんとか母も俳句の世界にと目論んでいるのですが、なかなか……。何か良い方法がありましたらぜひ教えて頂きたいです。
編 プレバト!! から入るご家族も最近は多いとか。一句一遊を一緒に聴いてるうちに、ってご家庭も多いそうですよ。

イベントの秋
うに子 一気に秋らしくなりました。俳句イベントもたくさんあるようで楽しみです。
編 秋はイベント目白押し。10月31日の俳都松山宣言は特に必見!

影響を受けた!?
元旦 追伸です。ヘタウマの1句目ですが、神楽坂リンダさんの曼珠沙華の句に刺激を受けて作ったものです。「踏切かんかん曼珠沙華の首飛んだ(表記は違っているかもしれませんが)」この句を初めて見たとき、戦慄が走ったことを覚えています。今でも曼珠沙華が咲く度、無意識にこの句が口をついて出てしまいます。下手なパクリですが、お許しください。
編 さあ結果は如何に? これも愛唱句へのリスペクトってやつですね。


100年俳句計画誌上編集会議

今月の提案・相談

喜多輝女 いつもお世話になっております。100年の旗手のコーナーが終わってからも「必須」で推薦を求められるので毎回戸惑ってしまいます。連載はないけど後々のために?推薦をした方が良いのでしょうか? もし、削除してないだけなら削除お願いします。毎回、「なし」と入れるのもなんか引っかかっています。

編 長らくお伝えできておりませんでした「100年の旗手」リニューアルについて。企画の練り上げに時間がかかり続報をお伝えできておりませんでしたが、今度こそ次号にて詳細をお伝えさせて頂きます。今後は推薦の他、連載を希望する方による挑戦をより受け付けやすい仕組みとなる予定です。

 この欄への提案・質問・要望・その他は、100年投句計画投稿時のフォームに書き添えてお送り下さい。また、メールでの投稿も可能です。メールで送る際は件名を「魚のアブクへ」としてお送り下さい。

メールアドレス
magazine@marukobo.com


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鮎の友釣り


208
俳号 雪うさぎ

恋衣さま ご指名ありがとうございます。雪の座の選評は嬉しくて何度も熟読してしまいました。恋衣という素敵な俳号の由来にうっとりです。いつかお会いしたいですね。

俳号 15年くらい前にネットを始めた時、つけたHNがそのまま俳号となりました。今となってはいいトシをして可愛すぎる名ではないかと後めたく、悩むところです。

俳句のトラウマ? 小学校で俳句の授業があり、はりきって初めての句を詠みました。先生はその句を見て一言、「子供らしくないなあ」。以来俳句がトラウマに。その私が今俳句に魅せられているわけですが、失われたン十年は大きい……吟行は専ら犬の散歩ですが、どこへ行くにもカメラは手離さないです。

次回…矢野リンド様へ 松山では大変お世話になりました。声をかけて下さりとても嬉しかったです。色んな句会にどんどん参加されているご様子、「一句一遊」でもご活躍ですね。これからもよろしくお願いいたします。


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告知



俳句対局
第四回 龍淵王決定戦

11月28日(土)13時30分〜
会場 子規記念博物館4F和室
 出場観覧ともに無料。
 問合と申込はマルコボコム089-906-0694

主催:マルコボ.コム 100年俳句計画編集室
共催:松山市



第14回高校生以外のためのまる裏俳句甲子園

キャッチコピー
「裏から堂々と来い!」
作者 梶浦公靖さん

日時 2016年1月10日(日)
 予選 9:30集合
 本戦 13:00〜
 (12:30開場)

場所 松山市立子規記念博物館(松山市道後公園1-30)
エントリー料 前売  1000円(当日1500円)
   観戦料 500円

お問い合わせ
電話 (089)906-0694
マルコボ.コム内(担当:キム)



HAIKU LIFE 100年俳句計画
第5回
大人のための句集を作ろうコンテスト
作品募集

主催 マルコボ.コム 共催 朝日新聞社 松山市教育委員会(予定)

 第五語回「大人のための句集を作ろう!コンテスト」(通称「大人コン」)の作品募集がスタートしました。
 「大人コン」は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』が開催する俳句コンテストです。
 共催 朝日新聞社 松山市教育委員会(予定)

「受賞作品が句集になるってホントですか」
 最優秀賞作品は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』の付録冊子として読者諸氏に広く読んで頂きます。付録とはいえ、お洒落なデザインの句集だと評判です。
 受賞者には一切の金銭的負担をかけず、読者にとっても安価な句集をどんどん生み出していきたいという志を一つの形にしたのが、この企画なのです。

「俳句マガジンを購読してないんですが、コンテストへの応募はできますか」
 どなたでも応募できます。購読の有無は一切関係ありません。勿論、応募は無料です。

「審査は誰がするのですか」
 本コンテストの受賞者は、「大人コン」選考会員の投票によって決まります。「大人コン」選考会員は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』購読者の内、各総合誌等の俳句賞受賞者あるいは最終選考に残った実績のある人たち等によって構成されます。第四回の有資格者は三十二名。年々選考会員数は増えていくことになります。
 多くの目利きの力を借りて「百年先の未来に残したい作品と作家」を見い出し顕彰していくことが「大人コン」の目的。我こそは!という皆さんのご応募を、心からお待ちしております。

既作新作を問わず81句の作品集を募集。
最優秀賞作品は句集にし、本誌付録として配布します。

募集要項

応募資格
15才以上(高校生以上)の方なら、本誌購読の有無に関係なく、どなたでも応募できます。

応募方法
1:Eメールでの応募の場合
応募用のエクセルファイルに必要事項を全て入力し、Eメールの添付ファイルにして、応募して下さい。
応募用ファイルのダウンロード先
http://81ku.marukobo.com/

2:郵送の場合
B4判四百字詰め原稿用紙に81句とその表題、俳号、本名、年齢、住所、電話番号を必ず明記して応募して下さい。

締め切り 2015年12月10日(水)必着

賞 賞状および応募作品による句集20冊
*賞品句集は縦横135ミリメートル 36ページとなります。句集は本誌付録として配布します。

発表 本誌2016年4月号誌上(予定)

送り先
〒790-0022 愛媛県松山市永代町16ー1
有限会社マルコボ.コム
月刊俳句マガジン『100年俳句計画』編集室Eメール:81ku@marukobo.com



生まれてから現在までの
代表句募集!

 1月号特集は、毎年恒例、皆さんからの自選三句を掲載した「代表句集」です。代表句は来年のスケジュール帳(裏表紙)にも掲載予定です。沢山の方の参加をお待ちしております。

募集内容
 あなたの生まれてから現在までの代表句三句(一人一俳号まで)
 代表句についてのコメント
 ※コメント全体で一〇〇字以内厳守
 お名前、俳号(ふりがな)、年齢、住所、電話番号を必ず明記の上、宛先・件名を「代表句集2016」として本誌編集室までお送り下さい。

※俳号と俳句には、よみがなを付けてお送り下さい。年齢は鑑賞の参考とするため句集に掲載させていただきます。御了承下さい。
専用ホームページ
http://2015.marukobo.com

締切 11月30日(月)必着
なお、応募対象はハイクライフマガジン『100年俳句計画』定期購読の方のみとさせていただきます。ご了承下さい。



編集会議報告

 9月11日、5年半ぶりに読者を交えた編集会議を行いました。
 雑詠欄の新企画や南極疑似吟行、カラーページの増量など、やりたいことの目白押し。大いに盛り上がりました。編集会議は、2ヶ月に一回開催予定。紙面上でのご意見もお待ちしております。

次回編集会議
日時:11月13日(金)19時〜
場所:マルコボ.コム
   松山市永代町16-1
対象:本誌年間購読者
申込先:100年俳句計画編集室
E-mail:magazine@marukobo.com



12月の第1土曜日は恒例の……!!
100年俳句計画大忘年会のお知らせ!

毎年12月の第1土曜日は「大忘年会」の日。今年も盛大に開催致します。
抱腹絶倒まちがいなし。たくさんのご参加をお待ちしています。

日時
平成27年12月5日(土)
18:30〜21:00(予定)
※正式な時間は追ってご案内いたします。

場所
いよてつ高島屋
9F ローズホール
愛媛県松山市湊町5丁目1−1
089-948-2111(代表)

会費
 大人 6,500円
 大学生以下 4,000円
 小学生以下 2,500円

参加申込締切
11月20日(金)必着!

参加方法
 忘年会参加希望の旨と、〒住所、氏名、俳号、会費区分(大人/大学生以下/小学生以下)、連絡先電話番号を明記して、ハガキ、FAX、Eメール、または電話にてお申し込み下さい。ご家族等複数でお申し込みの場合は、代表の方の〒住所、連絡先電話番号に加え、全員の氏名、俳号、会費区分をお知らせ下さい。

【重要】投句、投稿に添えてのお申込はご遠慮ください。
※受付対応が遅れる場合があります。

 お申し込みをいただいた方には11月上旬頃より順次、ご案内のハガキを郵送いたします。
※締切までにお申込いただいた方で、11月27日(金)までにハガキが届かない方は、お手数ですがマルコボ.コムまでご連絡ください。

問い合わせ、申し込み先
(有)マルコボ.コム
〒790-0022 愛媛県松山市永代町16-1
TEL 089-906-0694
FAX 089-906-0695
E-mail bounen@marukobo.com



俳句新聞いつき組
7月新規ご購読お申し込みの方には
3号(2015年7月号)よりお届けします!
※4号は2015年10月中旬発行予定です!

2015年「花の座」決定!&「蛍の座」ノミネート20句

大好評「プレバト!!」番組の前説芸人さんを紹介!

そのほか内容充実のフルカラー全8ページでお届け!

※ひとつ前の号からの購読も可能です。事前にその希望の旨をお伝えください。

A4サイズ8ページフルカラー仕様
参加登録料(※初回のみ)1,000円(税込)
年間購読料 3,500円(税込)/年4回発行
*年1回、夏井いつきの句集シングル付録あり。

まずは無料の0号「創刊準備号」と購読のご案内をお送りいたします!
※0号「創刊準備号」を既にお持ちの方は、0号に掲載しております案内にしたがって購読料をお支払いいただくことで、正式な購読の申込となります。

ご購読のお申し込みは……

「俳句新聞いつき組」購読希望の旨、本名(ふりがな)、俳号(無ければ不要)、郵便番号、住所、電話番号、生年月日を明記して、下記のいずれかの方法で申し込んでください。

 ハガキで申し込む
  790-0022 愛媛県松山市永代町16-1
  有限会社マルコボ.コム
  「『俳句新聞いつき組』購読申込」係

 FAXで申し込む
 FAX番号:089−906−0695

 メールで申し込む
 kumi@marukobo.com
 (件名を「いつき組購読申込」としてください。)



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編集後記


 特集の田丸雅智さんとは、半年ほど前に知り合いを通じて繋がり、愛媛県出身の真鍋博さんについて、意気投合をした。そして、松山に帰ってきた際には、真鍋博さんの作品の前でお会いしましょうと約束をしていた。
 取材場所として、事前に愛媛県美術館に相談したところ、「隣の県立図書館にも真鍋さんのコーナーがありますよ」という返事を頂き、図書館を巻き込んでの取材となった。
 僕にとって真鍋さんの作品は、星新一さんの本のイラストや、ハヤカワミステリー文庫のアガサ・クリスティ作品の表紙など、それと意識しなくても身近に存在するものだった。今回改めて真鍋さんの作品に触れ、彼の日本のSFに於いて果たした役割の大きさに驚くと共に、より沢山の方に知って貰いたいという思いが沸いてきた。
 美術館に展示されている真鍋さんの作品から、様々な作家の数多くのSF作品に出合え、隣の図書館に行けば、実際のその本が借りられる。真鍋さんを通じて、日本のSFを俯瞰できるとなれば、松山市堀之内の二つの建物が、日本のSFの一つの聖地となるかも知れない。それに俳句が何らかの手伝いが出来れば尚良い。
(キム)


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次号予告 (217号12月1日発行予定)


次回特集

選評大賞2015&
日暮屋の蕎麦を食べよう!プロジェクト第3弾 ほか


HAIKU LIFE 100年俳句計画
2015年11月号(No.216)
2015年11月1日発行
価格 617円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子