100年俳句計画6月号(no.199)


100年俳句計画6月号(no.199)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
梅雨晴 杉本とらを


特集
株式会社クリイジャパン 協賛 & 松山市 後援
俳句対局 第二回 龍天王決定戦



好評連載


作品

百年百花
 平山南骨/門田なぎさ/理酔/天玲


100年俳句計画作品集 100年の旗手
 八木ふみ/かのん/妙


百年琢磨 津川絵理子

新100年への軌跡
 俳句/雀子/仮屋賢一
 評/都築まとむ/樫の木


選者三名による雑詠俳句計画
関悦史/阪西敦子/加根兼光


へたうま仙人/大塚迷路

自由律俳句計画/きむらけんじ



読み物
Mountain Cabin Dispatch/ナサニエル ローゼン(訳:朗善)
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
クロヌリハイク/黒田マキ
お芝居観ませんか?/猫正宗
百年歳時記/夏井いつき
mhm通信/暇人

読者のページ
俳句ポスト365
一句一遊情報局
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
告知
10月4日(土)開催のマツヤマお城下リレーマラソン2014吟行会に参加しよう!の告知
編集後記
次号予告




梅雨晴
杉本とらを

蒸し蒸し、じとじとです。
涼しい言葉でも言ってみようかな…ん〜と…
北…ちょっぴり、涼しいかも。
北極…おおっ、涼風が吹きました。
北極熊…白熊…うわっ、風鈴鳴り止まず!
これって、実際に白熊を見たら、どんだけ涼しいか?
と言うわけで、上野動物園に行って来ました。
パンダなんて見ず、目的に一直線です。ちょうど白熊がプールへ飛び込むところです。プールの壁の一部がガラス張りになっていて、泳ぐ姿が見れる仕組みです。大きな体をざぶざぶしているのを見るだけで、凄く涼しい! 来て正解! 大正解!
また、水中で体を丸めたりするのを見ていると、まるで羊水の中の胎児のような……何だか神秘的な気持ちになります。
気付いたら、1時間以上夢中で見てしまいました。
結果、変に興奮して暑くなったので、アイスキャンディーを買った俺です。


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特集
株式会社クリイジャパン 協賛 & 松山市 後援

俳句対局 第二回 龍天王決定戦


平成二十六年 四月十三日

 俳句対局とは、囲碁や将棋の対局戦を模した、一対一の句合わせ対決の句会。秋開催の「龍淵王決定戦」と対になるのがこの「龍天王決定戦」。「龍天に昇る」春季に集まったのはいずれ劣らぬ実力者ばかり。第二回トーナメントの模様をお届けする。
(文 正人)


4月13日 はじめに
 昨春開催の第一回龍天王決定戦から一年。今回は会場を松山市立子規記念博物館に移しての開催となる。会場となる四階和室からはまだ桜が散り残る道後公園が見えた。
 龍天王決定戦はトーナメント形式にて争われる。まずはトーナメントに参加するための予選を行い、本戦に挑む四名を選ぶ。そのトーナメントに勝ち残った者が第一回優勝者初代龍天王の瑞木さんとタイトルを賭けて対戦する仕組だ。

 トーナメントに移る前に、ルールについて説明しよう。俳句対局公式戦では実施の度にルールの検討改良を図っているが、今回も新たな変更が加えられた。今大会のルールは以下の通り。変更点には圏点を付した。

1 トーナメント組み合わせにて、各対戦の黒白を決める。
2 まず先手(黒)が、その場で出された席題(俳句)から一漢字あるいは一単語をいただき、制限時間内に俳句を作る。
3 後手(白)は、先手の作った俳句から同様にいただき、俳  句を作る。
4 それぞれ、三句まで繰り返す。
5 審査は、全ての俳句に10点満点で点を付け、その俳句点と残り時間による追加点の合計によって行う。点数の大きい方が、勝ちとなる。

 作句には特記事項を設け、試合は以下の規定に則るものとする。

特記事項
一 使用する季語は当季以外の季語でも構わない。(傍題可)
二 前の句から頂くのは、漢字、または、自立語。
三 前の句の表記のまま頂く。表記を変えてはいけない。(カタカナ表記の場合は、カタカナで)
四 前の句の季語および季語の一部を季語として頂くのは不可。
五 右記の作句ルールから外れた句を作ってしまった場合、逸脱の程度により1〜3点の減点が科される。
六 全ての作句を終えた時点で残り時間による加点を行う。加点は1分につき0.5点。秒以下は切り捨てとする。

 減点の最大値が5点から3点へと減少。そして最も大きな変更点は時間点の計算方法である。従来は1分につき1点が加点されていたが、分あたり半分の0.5点へと計算を変更した。参加者のレベルアップに伴い、時間点が想定以上に稼げてしまう場面が発生していたためだ。この変更に伴い、得点における時間点の占める割合が減少し、作句点の重要性が増している。戦略にどう影響してくるか注目だ。

予選会
 予選に参加したのは亜桜みかり、井上さち、大塚迷路、川又 夕、花香、鞠月、若狭昭宏の七名(五十音敬称略)。審査は毎年夏に行われる「俳句甲子園」でも審査に携わる三名、NHKアナウンサー板倉卓人さん、船団同人岡本阿蘇さん、まつやま俳句でまちづくりの会代表あねごさんに担当して頂いた。
 予選は二分で一句の勝負。右記の特記事項に則り、席題句を見て全員が一斉に作句を開始する。作句点が同点の場合、先に作句完了した者の勝利となる。
 なお席題に使われる句、通称〇番句は全て正岡子規の俳句である。

予選句一覧(作句順)
蒲公英や釣鐘一つ寺の跡 子
花冷えの指で発する一単語 若
当面のライバル一人霞草 大
紫陽花の果て金山出石寺 井
蒲公英や都はいつものさわぎよう 花
しゃぼん玉一つ割れたら告白す 川
花祭終えて六時の鐘を打つ 亜
足跡に風はでこぼこ海開 鞠

 結果、【6点】を獲得した亜桜みかりさんと井上さちさん、そして【5.6点】で並んだ若狭昭宏さん、大塚迷路さんの四名が本戦へ進出。鞠月さんも同じく【5.6点】を獲得したものの、作句順による判定で惜しくも敗退となった。

対局開始
 組合せ抽選の結果、一回戦は以下の取り組みとなった。

 第一試合 井上さち × 大塚迷路
 第二試合 亜桜みかり × 若狭昭宏

 第一試合を戦う井上さちさんと大塚迷路さんが会場前方へ現れる。両者緊張した面持ち。お互いの意気込みを聞いたところで、別室の対局部屋へ移動してもらう。今回、運営上の新たな試みとして、対戦者を別室に隔離し、その様子を会場前方のスクリーンへ映し出すという手法を取った。対戦者は周囲にとらわれず対局に集中でき、観客も気を遣わず観戦を楽しめるというわけだ。スクリーンには対局者の様子に加えて、完成した句が文字で表示されていく。出てきた俳句には随時解説が加えられていく。俳句に明るくない人でも気軽に観戦して楽しめるようにするのが狙いだ。この解説者の役目には、これまで審査員を務めてきた俳人夏井いつきさんに就いていただいた。


一回戦 第一試合
先手 井上さち × 後手 大塚迷路
交番やこゝにも一人花の酔 子

 俳句対局では句の表記に注意しなければならない。「こゝ」を「ここ」と書いてしまうと特記事項三に抵触し、1点の減点となってしまう。ならば、どの語を頂くかというと

二人で来て一人で帰るクロッカス 井

 先手の井上さちさんは「一人」と単語をそのままいただいて作句。この場合「人」の漢字一字をいただいた、と見てもルール通り成立している。「二人」「一人」と二度使ってきたところが堅実かつ慎重。

帰り来て地下水のごと花衣 大

 対する大塚迷路さんは「帰」の一字と「来て」の一語を頂いた。こちらも慎重派。一つの複合動詞へとまとめたところがニクい。

朧夜や心は水でできている 井
積年や夜の桜の幹を抱く 大
チェロを抱くように抱かるる春の月 井

 繊細な感覚の三句目、「積年や」の詠嘆もどっしりと据わった四句目と続いていく。五句目の甘やかさを良しとするか悪しとするか?など会場では解説を挟みつつ進行していく。井上さちさんは最終句を完成し、残り時間は2分57秒を残した。
抱きぐせのついたるチェロや花の昼 大

 大塚迷路さん2分35秒を残して最終作句完了。甘やかな五句目に対して、六句目はチェロという物質に言葉を引きつけてきた。取り合わせの距離感をどう見るか? 審査員の採点結果が気になるところだ。
 別室の二人を会場に呼び込む。大きな拍手と共に迎えられる二人は対局開始前よりもいくらかしぼんで見える。よほど消耗するらしい。(大塚迷路さん曰く「囚人部屋」だそうだ。)
 作句点は三人の審査員がつけた点数の平均値となる。一句目で井上さちさんは5.6点、大塚めろさんは5.3点と先手が0.3点リード。三四句目共に7点、五六句目共に6.6点と以後は同点が続き、井上さちさんが一句目で築いた0.3点のリードを守りきり、初戦の勝利を収めた。時間点も含めた合計点数は井上さちさん【20.2点】、大塚迷路さん【19.9点】。初戦から僅差のいい勝負に観客から改めて大きな拍手が送られた。


一回戦 第二試合
先手 亜桜みかり × 後手 若狭昭宏
古池に蛙とびこむ俳画かな 子

 席題句が出た瞬間にどよめく会場。あまりにも大胆な本歌取りに選手も観客も唖然。しかし時間は待ってくれない。亜桜みかりさん気を取り直して一句目を仕上げる。

さえずりのとびこむ先の細波は 亜
深海の粒子の先に桜降る 若
春昼の粒子は我の一片か 亜

 「とびこむ」の一語が水を連想させるのか、深海へとイメージは膨らむ。「深海の粒子」という言葉が良い、という意見が出る一方「〜の先に桜降る」を唐突で映像が結びにくいとする意見も。続く三句目では「春昼の粒子」と元の句のイメージをさらに膨らませたような一句が登場。当意即妙の言葉のスパークも俳句対局ならではの味わいだ。

虚子の忌の脱衣場に置く一枝かな 若

 この一枝はなんの木の枝なのか? 桜の枝と読み好評価とする意見、桜と明示されていないから言葉の効きが弱いとする意見。審査員の間でも意見が交されている。

初ざくらわれの心の置きどころ 亜
箸置きに香を移したる花菜なり 若

 はたして亜桜みかりさんは「一枝」を桜の枝と読んだのだろうか。五句目六句目と春の感触を感じさせる句が並び、第二試合の全句が出揃った。奇しくも時間は両者共に2分57秒を残している。あと3秒早ければ時間点が0.5点増えるところだったが、この結果は勝敗に影響してくるのか?
 審査員の採点結果を公表していく。一二句目はともに6点。三句目亜桜みかりさんが6.6点、四句目若狭昭宏さん6.3点と先手が0.3点リード。五六句目は再び並んで5.6点。時間点も含めた合計点は、亜桜みかりさん【19.2点】、若狭昭宏さん【18.9点】。亜桜みかりさんの勝利となった。第一試合に続き、第二試合も0.3点差での決着、しかも若狭さんがあと3秒早く最終句を仕上げていれば時間点が0.5点増えて逆転勝利していたことを思うと第一試合以上の接戦だ。
 この勝敗結果を受けて準決勝戦の取り組みが決定した。井上さちさん対亜桜みかりさんの試合は10分間の休憩を挟んだ後に開始となる。


準決勝戦
先手 井上さち × 後手 亜桜みかり
波音の須磨をはなるゝ汐干哉 子
波音や夜の底へと降る桜 井

 上五を「抽象名詞」+「や」で詠嘆する型。咄嗟の作句が求められる俳句対局では型を使いこなせることは大きな武器となる。上五の切れの後に現れる空間の広がりが審査員からも好感触。先手順調な滑り出しだ。

初蝶の明日は底から見ゆるかな 亜
日輪やゴッホの描いたようなる蛾 井
目借時とんだ輪ゴムが切れちゃった 亜
しゃぼん玉とんだピエロは泣いている 井
泣きまねの理由ききたし花の昼 亜

 二句目「初蝶の明日は」に続く文字を書いたかと思いきや、慌てて塗りつぶし書き直す亜桜みかりさん。前句に繋がる「底」の一字を入れ忘れたのだろうか? ぎりぎりエラーを回避し二句目を仕上げる。
 一回戦の二試合は比較的時間に余裕を持った展開が見られたが、この準決勝では井上さちさんが長考に入った。胸に手を当ててしばし沈思黙考。この長考が作句点の上昇に繋がるか?
 最終的に井上さちさんは1分18秒を残し、亜桜みかりさんは2分11秒を残した。時間点の差は0.5点。審査員の採点を公表していく。
 一句目は6.6点、二句目5.3点と先手が一歩リード。結局このリードがまたしても勝敗を決することとなった。三四句目5.3点、五六句目6点と互角の戦いが続き、合計は井上さちさん【18.4点】、亜桜みかりさん【17.6点】。後手が時間点の優勢で追い上げるも先手が逃げ切る形での勝利となった。


第二代龍天王決定
 トーナメントの最終戦は初代「龍天王」とのタイトルマッチ。この試合に勝った者が二代目龍天王となる。挑戦者は井上さちさん。迎え撃つのは初代龍天王瑞木さん。奇しくも第一回大会の決勝を演じた二人が再び激突することとなった。


決勝戦
先手 井上さち × 後手 瑞木
もとの巣へ燕の卵返しけり 子

 席題句がいきなりの物議を醸した。この句の季語は「燕」なのか、「燕の巣」なのか? 前者であれば「巣」の漢字一字を拾うことに躊躇いはないが、後者であれば「巣」の一字は迂闊に近寄ると危険を伴うものになる。しかし井上さちさんも慣れたもの。連戦に疲弊しながらも安全な選択肢を選び取る。

十冊を返して借りるみどりの日 井
返却日過ぎたる詩集花の冷え 瑞

 対する瑞木さんは本日初の試合という、ある意味ウォーミングアップがされていない状態ながらも的確に句を仕上げる。「詩集」という言葉の清らかさと季語の取り合わせに会場からは感嘆の声が漏れる。

春の水白き句集を開きけり 井

 応酬のように返された句に登場したのは「句集」。春の水の柔らかさが似合うのはなるほど詩集よりも句集である。

ヒロシマの清き川水木の芽風 瑞
ヒロシマや緑雨に煙るT字橋 井
夕桜はらはら古き石の橋 瑞

 二句目と三句目の繋がりもしかり、前句の世界感を踏まえて次の句が現れる様子はまるで二人が戦いながら一つの作品を作り上げていくかのようだ。大きなイメージを持つ「ヒロシマ」という地名を含んだ四五句目。最終の六句目は静かな実景の一句。
 拍手と共に対局を終えた二人が迎えられ、採点の公表が始まった。一句目6点、二句目6.6点と後手一歩リード。続く三句目は6点、四句目6.3点と後手がさらに点差を広げる。五六句目は6点で並ぶ。残り時間は先手2分4秒、後手3分37秒。作句点との合計は先手井上さちさん【19点】、後手瑞木さん【20.4点】! 初代龍天王の瑞木さんがタイトル防衛を達成した。
 「防衛側が有利すぎて申し訳ないし、もっと戦いたかったです」と苦笑いする瑞木さん。しかし同時に「いっそこうなったらいつまででも防衛し続けます!」との宣言も。次回が楽しみである。
 なお、対局を終えた参加者からメッセージをいただいた。43ページ魚のアブク内誌上編集会議にて公開中なのでぜひご覧頂きたい。

今後の俳句対局
 2012年秋に始まったこの俳句対局も早いもので四度目、愛媛新聞「ヘンデス俳談」紙上の企画対局を含めれば六度目の実施を迎えた。
 この俳句対局がこの夏、「俳句の新たな楽しみ方」として大きな舞台で開催されるべく計画が進んでいる。対戦するのは龍天王の座を防衛した瑞木さんと、俳句対局愛媛新聞「ヘンデス杯」で二年連続優勝の久保田牡丹さん。
 対戦日時、内容等は近日公開予定。多くの方が対局を目にし、この新しい俳句の楽しみ方が世に広がれば幸いだ。



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百年百花


大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2014年度 第一期 第三回


「黄なる味」平山南骨

竹の秋井筋まはりの家ゆたか
刈草のやつさもつさと流れ来し
指さして名は知らねども五月の木
トマト濃きキーマカレーや風薫る
夏めくや切子の碗のヨーグルト
蛇皮を脱ぐ片減りの鎌砥石
水底の砂礫に富めりえごの花
ガムテープ剥がせば毳や青嵐
鏝に割くお好み焼きや夕薄暑
王冠の裏のキルクや緑の夜
蚕豆の黄に熟しなば黄なる味
駅頭の兵児帯の人麦の秋


1968年生。高知市在住。「鷹」同人。




「捩れ」門田なぎさ

かさりと泥拭い苗札差し直す
しんがりの逃げるでもなく孕鹿
岩を打つ波の捩れや春惜しむ
初夏の雨にミントの息を吐く
ぼうたんや緋色は罪のきざしかと
穴子美し恋愛の愚痴聞くときも
ことさらに雫生まるる五月かな
麦秋やそろそろワイン冷えてきて
星屑の名残りの色や瑠璃蜥蜴
おびただしき光よ握るサイダーよ
トス上げるかぐわしき腕夏の蝶
梅の実の青さは海の眠りなり


愛媛県松山市生まれ。第2回大人のための句集を作ろうコンテスト最優秀賞。この季節、帰宅途中の海岸線から見る夕焼けがとっても綺麗で癒されています。




「生産者」理酔

GROUND ZEROとは冷たき記号躑躅咲く
爆心地の防空壕の薄明かり
会釈してマザー過ぎ行くよなぐもり
天主堂吹き飛びて春草の生るる
春雷や「三八ラーメン」皿うどん
孔子廟出ればあぶれし春の猫
二十六聖人像や玉椿
雲雀笛大波止までは徒歩
春の村雨あれが武蔵のドック
帆船は春をはらんで入港す
長崎や未だ焼け溶けている軌道
ぼくたちは文化の生産者薔薇芽吹く


昭和三十五年生まれ。夢は永々と惰眠を貪る事。




「変拍子」天玲

苺の種無数に増えてゆく乱視
マグダラのマリアと蒲公英見間違う
蜃気楼の国なら夜は笑う時間
蜆汁ヴーンと唸る献血車
あれは独裁者と同じ名の薊
槿の芽吹いてほむらは転調す
逡巡はマスタード色青嵐
さあ甘い甘い葱坊主をどうぞ
くるぶしは泉何度も弧を描いて
栗の花いつより詩形疑わず
雨もピアノも水馬も変拍子
眼のはしに原発のある清和かな


山仕事と書道と家庭生活の黄金比をめざしています。45さいになりました。




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読者が選ぶ人気俳人!

100年俳句計画作品集 100年の旗手


(2014年4月号 〜 2014年6月号 3/3回目)


 立夏 八木ふみ

一心に鍋底磨く立夏なり
手の皺の語る昭和や緑立つ
葉桜を漏るる光と遊ぶ猫
ヒロシマの相生橋をまた卯波
留守番の白百合口を開けて待つ
母の日の母なるものの多き家
おんぶの子下りて苺の香の残る
ドア開く一分間の青葉風
天気図の影より出づる黒揚羽
霊峰の風夏帽の落下点


09年5月より、3人の子の巣立ちを機に木曜カルチャーで俳句を始めました。来島海峡橋の近くに住み、柑橘栽培に励んでいます。趣味は、スポーツ観戦と折り紙。



 粽とく かのん

春深し二番庚申猿の面
鬼の形相や牡丹の咲ききるは
海見据う筥崎宮の杜若葉
楠若葉大厄祓う金の鈴
ビル建つや上へ上へと吹流し
大臣の署名は花押端午の日
燕子花花群青の金の帯
粽とく厳しき母に頼られて
聖五月胴上げされる花嫁よ
薔薇紅しリップブラシは古き友


夫の転勤で松山へ。組長の新聞コラム「えひめ日めくり歌暦」を愛読し、木曜カルチャーを受講。今は郷里福岡で「おらぶ俳人の会」を楽しみにしています。



 これから 妙

すり鉢の豆腐ぽつてり春深し
筍ご飯装うてこれからを聞かず
祖母見舞ふ夜間出口の青葉木菟
深く吸ふ朝の蒼さや五月来る
バラ満杯のバケツ百ある出荷場
若葉風邑に一斉清掃日
放棄地の貯水澱むや牛蛙
突風に渦巻く蜂の羽音かな
薬売り牡丹くずるるを褒めて
夏蝶の黒の重さの眩暈かな


農業の合間にテキトーに家事をこなす五十四歳。ラジオ投句に心を吐き出す術を得、楽しく美味しいプリマスロック句会に力をもらい、日々笑って過ごしている。組員歴七年目。



次回7月号〜9月号連載者決定

 「100年の旗手」では毎月、読者の皆様より「この人の作品集を読んでみたい」という気になる俳人を、1人3名まで推薦していただいています。
 2月〜4月の推薦数を集計し、多くの推薦が集まった方に編集室より執筆を依頼した結果、連載を行う3名が決定しました。

 岩宮鯉城さん
 うに子さん
 竜胆さん

 来月号より3か月間、こちらの3名が作品集を連載します。
 お楽しみに!


読者が選ぶ人気俳人!
「100年の旗手」連載者推薦募集

 今求められているのは、読者が読みたいと思う俳句作家。「100年の旗手」は、連載する俳人を、編集室ではなく、読者が選ぶコーナーです。
 「この人の作品集を読んでみたい」と気になる俳人を、1人3名まで推薦してください。その中から、推薦の多かった方に、編集室より原稿依頼を行います。
 あなたのお勧めの俳人を是非推薦してください。

 推薦の方法

「この人の作品集を読んでみたい」という人を3名まで選んで(自薦は不可)、その俳号と活動場所(句会、誌面等)、推薦者ご自身の俳号(本名)、住所、電話番号を明記して、100年俳句計画編集室「作品集推薦」係へ送ってください。ハガキ、FAX、Eメールで受け付けています。Eメールの場合は件名を「作品集推薦」としてください。また、専用のインターネット投稿フォーム(http://www.marukobo.com/100kishu/)でも受け付けています。※投稿フォーム利用の場合を除き、推薦は他の投稿等とは分けてください。

締切 毎月末日

 現在連載している3名の方以外なら、一度連載された方も含め、どなたでも推薦できます。
 今回連載を行った3名の作品集の感想もお待ちしています!


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百年琢磨
 信仰の時間 津川絵理子

「ふくらかに」 妙

初つばめラジオは信仰の時間

 落ち着いた静かな句である。ラジオやテレビでは宗教番組があり、それが大抵早朝とか午後の、視聴者が割合少ない時間帯にやっていたりする。それも句の静けさに通じる。「宗教の時間」ではなくて、「信仰の時間」なのも良い。ラジオから語りかけられる神の言葉、ふと空を見上げると今年初めての燕が……鳥に説法する聖フランチェスコの宗教画を思い出す。

峡谷の闇は落花をまちわぶる

 峡谷の桜は満開なのだろう。闇の擬人化が独特で面白い。

子猫もらひ来て孫と思へと言ふ

 何か物語を想像してしまう。例えば、年頃の子供の結婚を心配する親。そんな親心をよそに、子猫を「孫と思って育ててね」と預けていく子。軽妙な句。


「若葉風」 八木ふみ

潮風は碧蒼青へ島遍路

 「碧蒼青」は潮風の色と捉えているけれど、海の色でもある。同じ青でも風によって変化する色の豊かさを思った。

引き分けも是とす桜のスタジアム

 できれば勝ち負けがはっきりした方が良いけれど、引き分けも是としようという、清々しい気持ち。桜が満開なのだから。

ここちゃんのピアノで歌ふ若葉風

 ここちゃんが誰かわからないが、子供ではないかと思う。若葉風が明るく気持ちが良い。


「一陣の風」 かのん

黒板に「春が来た」賢治は畑

 「春が来た」と黒板に。黒板と言えば「下ノ畑二居リマス」の宮沢賢治、とイメージが繋がった。「賢治は畑」のぶっきらぼうな表現も面白い。

杉戸絵の白象二頭春の寺

 京都の養源院には俵屋宗達が描いたと言われる白象の絵がある。動きのあるたれ目の象の絵だ。のびのびとした描線の象、その白い色と春の寺の取り合わせが良いと思った。

皆未亡人よと笑う竹の秋

 竹林を散策する女たち。軽やかな笑顔と「皆未亡人」の言葉のギャップが不思議な光景を作り出す。竹の秋が明るいような、寂しいような。


津川絵理子
1968年生れ。「南風」所属。句集『和音』。平成19年、俳人協会新人賞、角川俳句賞受賞。


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新 100年の軌跡


2014年度 第一期
第三回


 14歳 雀子

セーラーに緑のライン風薫る
朝練の合間に手を振ってくれた
グループでわかれてアルト夏つばめ
環境のポスターを描き雲の峰
塾帰り畑に鳥か蝙蝠か
短パンはちょっとずらして丁度いい
青胡桃人は裏切るから嫌い
1班のカレーの鍋に少し雷
七月のリストカットの痕を見る
中庭の迷い狸にメロンパン
生理だから泳げませんもちろん嘘
夏休み猫を連れ込む美術室
プチトマト絵の具粘土に囲まれて
終戦日ピンポン玉のみかん色
二学期のクラスにひとり不登校


雀子
本名、木田智美。1993年3月24日生まれ。大阪府立吹田東高校出身、龍谷大学在学中。12、13回俳句甲子園に出場。関西俳句会「ふらここ」に所属。




 独り占め 仮屋賢一

風車はじめにすこし風おこす
石鹸玉吹く子嵐を演ずる子
菠薐草羞づかしさうな先を切る
観桜のみごとに破る箝口令
訊くまへに答へ言はるる花菜かな
こちらむく躑躅のひとつあればよし
朧夜のはやめに開く拉麺屋
前菜アスパラガスを頼みとす
壬生狂言価値あるものを荒々しく
行く春や神社に空をあけわたす
消印の切手かくさず愛鳥日
丁字路の互ひ違ひの五月かな
どの鯉も風独り占めして幟
好き好きに亀名づけられ子どもの日
雨乞の濡ればしじまる晴れ着かな


仮屋賢一
1992年生まれ。俳句甲子園出場を経て、現在京都大学工学部情報学科在籍。関西俳句会「ふらここ」代表、作曲の会「Shining」会員。




直球と変化球 都築まとむ

青胡桃人は裏切るから嫌い 雀子

 「青胡桃」の堅くなさが「人は裏切るから嫌い」なのだろう。叫びのような句に胸がチクリとした。

夏休み猫を連れ込む美術室 雀子

 音楽室の開放感とは対照的に、美術室の窓はいつも閉じていたように思う。そんな場所に「猫を連れ込む」が少しの後ろめたさを表していていい。夏休みの美術室は猫と秘密を共有する場所になる。

風車はじめにすこし風おこす 仮屋賢一

 風に回されるのではなくて、自分が回ろうとして風を起こすのだという断定が面白い。風車を見ているとそんな気になってくる。

好き好きに亀名づけられ子どもの日 仮屋賢一

 ふれあい動物園みたいな場所だろうか。自宅で飼えない亀を代わる代わる触る子どもの姿が見える。ウサギとかモルモットでないところがいい。


1961年愛媛県八幡浜市生まれ。自分の句歴12年に驚くばかり。第3回選評大賞優秀賞。



ふらここは揺れている 樫の木

 「14歳」にはカタカナが多く使われている。内容と相まってカタカナの明るさが乾いた明るさだと感じた。

青胡桃人は裏切るから嫌い 雀子

 未熟さの象徴としての青、胡桃の固さは頑なさに似ている。中七下五は思わず口を衝いて出た叫びのよう。

七月のリストカットの痕を見る 雀子

 傷は癒えても傷痕は心は屈折した光を放つ。

終戦日ピンポン玉のみかん色 雀子

 平成生まれの彼等、終戦日といっても実感はない。みかん色のピンポン玉のように明るく軽い日常を生きる。

 「独り占め」には石鹸玉、菠薐草、拉麺屋、躑躅、丁字路など漢字が多く使われ作品に落着きを与えている。

石鹸玉吹く子嵐を演ずる子 仮屋賢一

 強い風の中で石鹸玉を吹く子、隣には風になりきっている子がいる。劇中の一場面のようでもある。

丁字路の互ひ違ひの五月かな 仮屋賢一

 古い家並、細い路地に迷い込んだ感じがする。五月の明るさの中でそれを楽しんでいる作者がいる。

好き好きに亀名づけられ子どもの日 仮屋賢一
 ポケモン世代の子供たちは奇抜な名前をつけそう。


1965年愛媛県生まれ。大分県在住の家具職人。第5回選評大賞優秀賞。


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超初心者から中上級者まで楽しめる
100年投句計画

 「100年投句計画」は、読者の投句コーナーです。

 「選者三名による雑詠俳句計画」は、雑詠句の選句欄です。投句の中から先選者二名が、それぞれ天地人の句を選び、先選より漏れた句の中から、後選者が特選、並選を選んでいます。今回の先選者は、阪西敦子さんと加根兼光さん。後選者は、関悦史さんです。

 「へたうま仙人」は、ヘタな句を褒め、巧い句を追放する、世の選句欄とは真逆のコーナーです。どんなにヘタな句でも褒めてくれるので、自分の俳句に自信のない方、何はともあれ褒めて欲しい方に最適(?)。担当は大塚迷路さんです。

 「自由律俳句計画」は自由律俳句の選句欄です。自由律俳句に挑戦することで、自由律俳句ならではの楽しさを味わうと共に、有季定型の俳句との思わぬ共通点も見えてきます。選者は、きむらけんじさん。
(投句方法は「100年投句計画」コーナー末尾参照)
写真:白鯨


選者三名による雑詠俳句計画


先選者 関悦史

 ノーベル賞作家、ガルシア=マルケスの訃報が伝えられました。それで久々に何か読んでみようかと図書館に行ったのですがあまり書棚になく、『グアバの香り』というインタビュー本を借りて通読。代表作『百年の孤独』には登場人物の女性が昇天(文字どおり上空へ飛んでいって消えてしまう)する場面がありますが、なかなかうまく飛ばせず、シーツをまとわせるという細部の工夫に至りついたことなど、表現の深奥に触れる興趣あり。


老人の遠出千本牡丹かな お手玉

 明るい印象にはなりにくい「老人」という言葉ですが、逆に、使い方でいかようにも生きる言葉でもあります。
 青壮年ならどうということもない遠出も、「老人の」とつくと、奇妙な距離感と浮遊感が生まれる。何より「千本牡丹」の豪奢さが、浮ついた、くどいだけのものになっていないのは「老人の」の功徳でしょう。頼りなさ、はかなさとともに、人生の長い時間を孕んだ老人の歩行だからこそ引き入れられた華やかさです。



高架ゆく電車の音や花筏 小市
 車内ではなく、外で電車の音だけ聞こえてきたということでしょう。同じ場で同時に見聞きできることですが、「花筏」と適当な距離がとれた句になっています。

ビニール傘の中の明るし花の雨 空
 ひょっとしたら類句がどこかにあるのかもしれませんが、気分のいい句で、ビニール傘に包まれた中特有の親密な明るさを発見しており、句としても間然するところがありません。

引き潮に現はるる石春めける 瀬戸 薫
 海中から姿を現す濡れた石は、いわれてみれば春の到来を感じさせる色気のようなものを備えています。
 「春めく」を題として、そこから発想したのでは多分出てきにくいモチーフで、実感あり。

遊郭の階段小さし春の闇 更紗
 「春の闇」は常識的ながら、まず正解の季語なのでしょう。「小さし」という判断より「階段」というモノを結論に持ってきた方が実在感は強まるので、一応の正解で止めずに踏み込むとさらに良くなると思います。

春の宵アンドロメダに逢いにゆく アンリルカ
 天体の名はギリシャ神話由来のものが多いので、アンドロメダも星雲の名であると同時に王女の名でもあります。どちらのイメージも重なりあって出てくることを、うまく生かした「逢いにゆく」になっています。



鶯やゴム手袋を裏返す ヤッチー
妻の尻四月のやうな妻の尻 藍人
菜の花や元治と刻む石仏 蓼蟲
春風や切つてはならぬ猫の髭 雨月
お別れの警笛長し花の雨 八木ふみ
花冷えやタピストリーにある解れ みちる
朧夜の鏡に映るベルシャ文字 一心堂
白壁の町の十字路初燕 あおい
一山のふくらみゐたる桜かな 省三


先選者 阪西敦子

 習い事がたぶん好きなのだと思う。ピアノに始まり、小学生のだてらにパソコンを習い、冬場は近所のスケート場のフィギュアスケート教室にも行った。フランス語、スペイン語、ヨガ、茶道も少々。着付けは珍しく身についた。最近の習い事は「歩き方」。あなどってはいけない、頭を踵の上に、視線は前を、背筋を伸ばし、骨盤を立て、膝を伸ばし、足の裏全体で蹴って歩くことは意外に難しい。習い事が変わると景色が変わる。いい季節が来た。


高架ゆく電車の音や花筏 小市

 桜が水に差しかかり、その近くを高架の電車が走るさまは、日本中にあるのだろう。渓谷かもしれないし、町中の川かもしれない。堀に差しかかる桜と、そのわきを行く高架ということもあるかもしれない。高架の電車の音は遠く、軽く、硬く、花筏に届き、やわらかな水面へ吸われて消える。電車が過ぎればその音も連れられて行って、何もなかったように花筏だけが残る。花筏のゆったりしたさまがひときわ印象的。



一人ずつ入学点呼響きをり 富士山
 卒業の高まりがあって、また、入学。学校に新たな周回がはじまる。入学式の点呼は緊張感の中にもまだこなれていないようなところがあって、まだ手探りの生徒や教師や父母の中に間延びして、「をり」の暢気さも響く。

山鳥の跳び込んで来る万愚節 喜多輝女
 山鳥がどこに飛びこんできたのか、家か。庭にライオン的な万愚節の味わいを、事実である山鳥で描く面白さも良いが、山鳥のあでやかさと万愚の響きの創り出す絢爛なイコンのような宗教味も楽しい。

ビニール傘の中の明るし花の雨 空
 ビニール傘とはきっと透明なあの傘のこと。外と内には明るさの違いはないはずだけれど、内が明るく感じるのは何の作用なのだろう。花の咲き満ちた明るさ、その嬉しさ、雨との親しさが単純な把握に宿っている。

明け方の匂いまっすぐ梅雨に入る あい
 あちこちからさまざまの匂いのしていた若葉の時期のある日の明け方、匂いがまっすぐになった。その方向に梅雨が来ている。梅雨へ入る時の風の匂いの変化を「まっすぐ」と捉える嗅覚に驚嘆する。

遊郭の階段小さし春の闇 更紗
 明るくなる日ざしがかえって際立たせる春の闇。あたりの花の色も溶け出して、艶めいている。そんな闇にあるものとして遊郭の階段はふさわしいが、それににとどまらず「小さし」と描き出す遊郭の細やかさと春の闇の深さ。



バス停に急ぐシスター夏隣 杉本とらを
フランスパン評判の店ミモザ咲く 河合郁
おにぎりをかためににぎり春朧 おせろ
一人ずつ入学点呼響きをり 富士山
鉄柵にそふ蒲公英の内とそと 雨月
高台の学舎に歌若葉風 八十八
廃屋に二層三層藤の房 みちる
遮断機のしぶしぶ上がる蝶の昼 もね
桃色の綿菓子ひざに春の汽車 樫の木
白壁の町の十字路初燕 あおい
涙目に映る桜の静けさよ アンリルカ


後選者 加根兼光

 初夏の風が吹くころ必ず取り出して着るのがもうクタクタになったL.L.ビーンの白のポロ。丈も短く裾はやや黄ばんでいたりするが素肌に馴染む柔らかさは20年という時間が作り出したもの。緑の刺繍のロゴは色あせることなくやや太めになった胸に輝く。いや輝くは大げさか。キョトンと鎮座ましますのである。


特選句
すかんぽやヒーローのごと三輪車 のり茶づけ
 すかんぽの花を分けるように漕ぎ進む三輪車。野にも田にも緑があふれ子供はしばし武勇伝を楽しむ。そんな春深むころの子への眼差しが優しい。

夕東風や百人町に住む男 幸
 現在の百人町の雑然とした活気と昔の文化的な町のイメージが交錯する句であろう。夕東風が頬を撫でるころぶらりと町に繰り出すのか。まさかあの高層マンションに住んでるんじゃあ……。

眼帯の目に万緑の余りけり 七草
 いつもは両目で受け止める万緑が片目には眩しい。たかが物貰いだがこんなに世界が新鮮とはと。下五の強い言い切りもキッパリとした感動への効果を上げている。

腕ふかく嬰児喃喃いぬふぐり 哲白
 しっかりと抱いた赤子のまだ言葉にならない呟きを漢語で硬質に表現したところが上手い。いぬふぐりの可憐さとの対比も鮮やか。子を抱き地に咲く花に座り込んでゆくような視点移動も良い。


並選句
友の糸仔馬の脚に結えけり KIYOAKI FILM
定年や八重の椿のばさと落つ 樹朋
袋藤結願の空いっぱいに レモングラス
晩春の誰も来なければ寝てゐる 藍人
抱卵期電子レンジの回る音 はまゆう
春霞ぼーと汽笛を遠く聞く 迂叟
口開けて眠る母居り春炬燵 未貫
葬送の人のまばらに白木蓮 ぴいす
浅蜊掻く汽水にさざれ石のごと 野風
たましひがチエロの身体となる春夜 緑の手
山肌の墓石辛夷の花の波 ほろよい
春の雨左肋骨痛続く 一走人
夜の桜石油工場の海光る 八木ふみ
余生なほ風に吹かるる白牡丹 もね
羊蹄や全炉停止の岬老ゆ 樫の木
警笛と尾灯溶けゆく朧かな 元旦
永き日の巻尺ゆるゆる巻き戻す 不知火
やうやくに千歳となり亀の鳴く ポメロ親父
ショパンの蝶々視野検査の明滅 青蛙
微熱ならなかったことに春の風邪 うに子
鶯の声柔らかき黄泉の国 一心堂
苺食べ悪阻という厄介なもの 空山
春ショール追い越し振り向く風の子よ まんぷく
春うらら影踏む孫の日と遊び 西条の針屋さん
新緑の燃ゆるにまかす古刹かな 松ぼっくり
鳥籠に英字新聞夏館 あい
ゆっくりと歩いて行かん躑躅咲く 青柘榴
清明の日やつばくろの黒まなこ ターナー島
新茶摘む富士の裾野のうねる畑 カシオペア
枝張つてゆらぐおもさの桜かな 省三
花宴蓙の下にも何かある ひでやん
お団子を一口食って花見酒 まこち
菜の花や今夜は羽根付焼餃子 ちろりん
桜散る溜息ほどの時を経て 北伊作
地虫穴を出づ暁の風愛の色 人日子
田舎道えんごりかんごり春の泥 エノコロちゃん
田を返す音をちこちに光満つ 哲白
土佐弁の溢れ出したる蕨買ふ 鯉城



関悦史(せきえつし)
1969年茨城県生。「豈」同人。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』(以上、邑書林)、『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(以上、草思社)他。雑誌「現代詩手帖」俳句時評欄担当(2012年1月〜)

阪西敦子(さかにしあつこ)
1977年神奈川生まれ。1985年より作句、および『ホトトギス』生徒児童の部へ投句、2008年より同人。「円虹」所属。 2010年、第21回日本伝統俳句協会新人賞受賞。共著に『ホトトギスの俳人101』『俳コレ』など。

加根兼光(かねけんこう)
1949年大阪生。俳句集団「いつき組」組員。第9回俳句界賞受賞。



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へたうま仙人


文 大塚迷路

 おっと、うっかり寝過ごすところぢゃったぞ。どっぷりぬるま湯に浸かって、この世を忘れておったのに、仙女にたたき起こされたわい。へたうまの衆、またしばらくのあいだ、ワシとお付き合い願うぞ。へたうま道を究めれば、世の中もう恐いもんは無しぢゃ。向かう所敵無しぢゃ。謙虚に、大胆に邁進しようぞ。
 ところで仙女よ。この前、旨い霞処を見つけたで、今度一緒に霞しようぞ。と、当然割勘ぢゃ。

モウ酒ニ飽キタゾ街の八重桜 南亭骨太

 仙人的には「モウ酒ニ飽キタゾ街(ガイ)」という、いかがわしい通りを思い浮かべたぞ。その通りに咲き誇る八重桜を見ると、そのふくよかさに誘われ、ついついムフフな所で飲みたくなる。と、仙人仲間が言っておったのう。八重桜の色がなんとも生々しいぞ。

桜蘂降るを集めてウィッグにす 台所のキフジン

 これぞ究極のエコ生活ぢゃ!
 誰でも気付きそうで、それでもなかなか口に出来ない、口にしたくない些事をこうも大胆に提示されると、ぐうの音も出んわい。句跨りの下五字余りとは、まったくの玄人技ぢゃ。

犬ふぐり器用に踏まぬ猫の道 青萄

 この風景、見たことあるよな無いよな、不思議に懐かしい気分になってきたぞ。
 猫はただ単に「犬」と名の付くものを避けているだけなのじゃろうが、それを労わるように歩いていると感じている作者の目がすでに俳人ぢゃ。俳人にかかると、猫も聖者ぢゃ。

主のなき家の木蓮空にのぶ 柊つばき

 なんともせつない句ぢゃが、「空にのぶ」で救われるぞ。世間の流れに関係なく、その時が来れば花は咲き芽は伸び、その時になればまたちりぢりになるが、木蓮がのびる空は丸いのぢゃ。そのうち何とかなるのぢゃ。

花卯木産みたて玉子の臭いかな 大阪野旅人

 この季節、どこの野道を歩いても卯木の花がきれいぢゃのう。
 ワシは完全取り合わせの句として読んだのぢゃが、咲き誇る卯木の花の奥から生みたての野鳥の卵が匂ってくる、嗚呼この空間に共生している一体感! とまあこんな事を思った訳ぢゃが、「臭い」と「匂い」の違いがなんとも微妙ぢゃ……。

菜の花ゆれて電車に手ふる子たち たっ君

 色と風と時間のバランスがなんとも言えんのう。ゆっくり通り過ぎる電車が、子供達の時間そのものぢゃ。子供達の将来を願わずにはおれんのう。向日葵でもコスモスでも同じ事を感じるかもしれんがの。

行けども行けども俳句がついてくる ケンケン

 相変わらず真摯な心掛けぢゃのう。ここまで思われた俳句は幸せ者ぢゃ。
 願わくば、どこまでもついて来る俳句にここらで一旦追い抜いてもらい、そして少し前を行く俳句を追いかけ追い抜いて欲しいものぢゃ。
 おっと、これはワシ自身へのひとりごとぢゃった。ふふ。

春光に芝不器男の句碑みつけたり 真帆

 ワシが住んでおる山奥のご近所に不器男の生家と養子先があるが、未だ句碑を見に行った事が無いというのがワシの現在の不覚ぢゃ。「みつけたり」の大仰さに、作者の意図とは反し諧謔を感じたぞ。春光が不器男の句柄にぴったりぢゃのう。ただ、苗字までは要らんぞ。

すれ違ふ少女の鎖骨初夏の風 未々

 「鎖骨」が出る句は吹き溜まりのように結構あるが、「すれ違ふ」で、ほのかな香りや色が感じられるところはニクイ演出ぢゃ。鎖骨を出す服装は、初夏にはちと早い気もせんでは無いが、これは寒がりの仙人の先入観かもしれん。
 それにつけても初夏は良い季節ぢゃのう。少女たちよ、満喫するのだぞ。(昔少女たちも)

藤房のここぞと決めて力抜く 小木さん

 この力の抜き加減は生粋のへたうま俳人に対してまったくもって失礼ぢゃ!
 藤房と作者の姿が微妙にリンクしてなんともはやぢゃ。
 ワンヒットワンエラー的追放!!

海峡の大きい船や菜の花忌 ひでこ

 かの偉大な作家を「海峡の大きい船」というところなんぞ言語道断の所業ぢゃ!
 まったくもって、へたうまをなんと心得る。
 エンタイトルツーベース的追放!!

古民家は横文字の人燕来る コナン

 17文字の言葉が17文字の全てに作用し、舌に乗せれば乗せるほど味が深くなる句ぢゃのう。ぢゃが、へたうまの道はこんなものではない。へたうまの修行が足りん。
 ランニングホームラン的追放!!

 しょっぱなから大人気なく追放者を出してしもうた。ワシとした事が迂闊ぢゃった。
 ぢゃが、不届者は不届者ぢゃ。
 次は誰の番ぢゃ??
 皆様、くれぐれも油断召されるなよ。



へたうま仙人
 年齢 卑弥呼がおっぱいを飲んでいた頃、ワシは青春真っ只中ぢゃった。
 好きなもの 霞のシャーベット(PM2.5抜き)
 嫌いなもの 上手な俳句
 将来の夢 大器晩成


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自由律俳句計画


選者 きむらけんじ

 自由律俳句を上手につくる方法は? と時々訊かれるが、そんなものがあったら教えてほしいと思う。たぶん有季定型の俳句のように「季語」「五七五」という、いわば保険がないぶん俳句にしづらいのかもしれない。迷った時はその句が、単なる「説明になっていないか」「メモになっていないか」「感想になっていないか」「標語やタイトルになっていないか」「安易に季語、五七五に逃げていないか」……など自分なりの保険をもっておくことが必要なのかもしれない。それと兎にも角にもひとつでも多くの良い自由律の俳句に触れること、これに尽きる。自由とは意外と不自由なのだ。



スペードの女王の如き義姉が来る うに子

 「スペードの女王」と言えばプーシキンの有名な小説ですが、ここは単にトランプのスペードの女王と解釈するのが妥当でしょう。そのスペードの女王は、海外でも日本でも悪女のようなイメージで、もっと言えば傲慢とか尊大とか切れ者の女性の代名詞になる。というわけで四の五の言わなくても、「スペードの女王の如き」で、作者と義姉の関係がみごとにわかる。この句は、この「スペードの女王」をみつけたことが手柄といえるが、こんなところで公言してしまってよいのだろうか。あーコワ。



春の雲眺めている口が半開き 多満

 春の雲を眺めてもの思いに耽ってみたり、涙を流してみたり、ため息ついたり世の無常を想ったり……当たり前のことをしていないのが良い。句に無理に何かを求めようとしていないのが良いと思う。このなんとも言えない脱力感こそ、いかにも春らしいと思う。

角隠しが重くて花筏には乗れぬ 緑の手

 川面には桜が散ってみごとな花筏となって流れていく。そこへ花嫁の一行が船着き場へ……。その白い角隠しが鮮やかに映える。まさにつくり込んだ映像の世界といえる。角隠しの重さで花筏に乗れない、ところに俳味もあると思う。

亀泣くや那由他不可思議無量大数 藍人

 「亀鳴く」は季語だが、いずれにせよ亀は鳴かないし、泣かない、あくまでも情緒的世界。「那由他」も「不可思議」も、ものすごく大きい数の単位で実際の数というより観念的世界。情緒と観念とを合わせれば、フツーは、わけのわからん自己満足の句になりやすい。けど、この句はギリギリのところで踏み止まっている感がある。まさに不可思議な句。

赤子胸に直進する夏の母 みちる

 バーゲンセールなのか、赤子抱いて一心不乱の母親がよく描かれている。「直進する」が効いている。「夏の母」も効いている。これが春とか冬とかでは響いてこない。二回も読めば暑苦しくなる。自由律らしい奔放さがある。

人待てばさくら蘂ふりやまず 迂叟

 「待っている人」の静と「ふりやまず」の動が、きれいに調和して映像として浮かんでくる。「さくら」「ふりやまず」をひらがな表記にしているのも情感を溢れさせていると思う。こんなラストシーンの映画を見たいような気がする。



挫折しそうな私に山桜 ケンケン
小石転がるように雀の子 のり茶づけ
けんけんぱのぱに春夕焼け ほろよい
凧揚げて青空ひとりじめ 一走人
藤の花がトリケラトプスの貌に見えるって何  樫の木
いまさら間に合うだらうか桜蘂降る ポメロ親父
代掻きの夜の鼾は我慢する 空山
梨咲けば春を送りに自転車を漕ぐ まんぷく
チュウリップ絶頂を落ちる たま
地球持ち上げて筍のつらら ザッパー


並選
自慢話の鼻の穴 杉本とらを
ごつごつの樹皮から花 小市
春眠る遠くの空にある祈り KIYOAKI FILM
今朝も雨降る街まで出かけようか レモングラス
朝寝に負けざるものたちの鶏 ヤッチー
もうどうでもいいのさ藤房 小木さん
電車ごっこの切符不明 幸
春耕の後追う猿雉犬 はまゆう
ふと生臭き朝鱒の川 河合郁
平和と呼ばるる街の並木芽吹きたり 南亭骨太
真っ昼間の雪柳にも闇 もね
筍飯嗚呼御馳走様 お手玉
桜のトンネル抜けたらば未来 喜多輝女
ノンレム睡眠よりこの世に引き戻された春の真夜中  元旦
果樹植うや三角関数は苦手 不知火
白き波吐きて青嵐ゆく 七草
花の雨忘るることを忘る 台所のキフジン
三月全店税を鼻先に吊す 松ぼっくり
言い訳一つ許せ春の川 青柘榴
透明のじいじがいるよ花の雲 あおい
蜜蜂の気分菜の花の天ぷら食む カシオペア
夏の雲は天才と賢治のようにつぶやく ちろりん
立ちすくんで見た蜻蛉の羽化 北伊作
のんびりしよう春だもの 柊つばき
斜め四十五度より春 エノコロちゃん
桜散る主人面して犬め コナン
はちきんの売る文旦の旨さうな 鯉城
女子会と称して春の夜更し ひでこ



きむらけんじ
1948年生まれ。第一回尾崎放哉賞他。自由律俳句結社「層雲」同人。写俳エッセイ『きょうも世間はややこしい』(象の森書房)、句集『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)他。特技 妄想、泥酔。



【100年投句計画】投句方法
 件名を「100年投句計画」とし、投句先(複数可)、俳号(なければ本名の名前のみ)、本名、電話番号、住所を明記してお送り下さい。投句はそれぞれ二句まで、詰め俳句は季語を一つのみお送り下さい。一つのEメールまたは一枚のハガキに各コーナーの投句をまとめて送っていただいても構いません。
ただし、「選者三名による雑詠俳句計画」と「へたうま仙人」は、選択制(どちらか一方のみ投句)となります。また「雑詠俳句計画」は欄へ寄せられた二句を各選者が選ぶ形式です。各選者に個別に投句を行うのではない点にご注意下さい。

それぞれ締切は、6月20日(金)

投稿ページ http://marukobo.com/toukou/
投稿アドレス magazine@marukobo.com
はがきFAXでも投句できます。


さらに多くの投句をしたい方へ
 松山市が運営する『俳句ポスト365』など、無制限に投句を受け付ける場もございます。ぜひご活用下さい。(俳句ポスト365のページ参照)


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Mountain Cabin Dispatch


ナサニエル ローゼン(訳:朗善)
山梨で暮らす世界的チェリスト ナサニエル ローゼンのHAIKUとエッセイ


No.11


nature's a-quiver
little birds shaking leaves
silence in my heart

囀りや静けさは我が胸中に


(直訳)
自然のざわめき
小鳥たちが木の葉を揺する
静けさは私の心の中に



California Route One is a great highway of the world, clinging precariously to coastal cliffs. We rise and fall with the temperature and smell of forest and sea.The sun is bright and our car is in high spirits.

カリフォルニアのルート1(州道一号線)は世界に名だたるハイウェイ、海沿いの断崖絶壁に危なっかしくしがみついてる高速道路だ。僕らが登り下りするにつれて気温も上下する、そして森の匂いと潮の香を交互に嗅ぐんだ。太陽はやたら明るく、僕らの車も気炎を上げる。(訳:朗善)



ナサニエル ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。
2013年7月より山梨へ移住。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第39話
「ア デイ イン ザ ライフ」ウェス モンゴメリー


 何故ちゃんと、僕(蛇頭)はJAZZにのめり込めたのか? なんてどーでもよい事。だが、今回書かなければ二度と書けないので書く。イカンですか!?
 バート バカラックのレコードを小遣いの許す限り買い漁ったのは僕が中学校一年生の頃。むろんディオンヌ ワーウィックが歌う「恋よさようなら」やB Jトーマスの「雨にぬれても」等もシングル盤で聴いたが、盤が擦り切れるほど聴いたのはバカラックのインストものLPレコードだった。彼の曲とピアノにブラス群が小気味良く絡む。編曲もバカラック自身だから当然なのだが、彼はご愛嬌で歌ったりもした。

何でもない一日だった大夕焼 猫正宗

 今回のメインテーマ、ウェス モンゴメリーの「ア デイ イン ザ ライフ」は67年に発表された。レーベルはトランペッターのハーブ アルパートとプロデューサーのジェリー モスが共同で創設したA&Mレコードである。で、このアルバムをプロデュースしたのはイージーリスニング・ジャズの代名詞とも言えるレーベル、CTIレコードを後に立ち上げたクリード テイラーである。CTIはジャズ界で異例のビッグ セールスを記録し「ジャズの裾野を広げる」というテイラーの目論見は見事に達成された。
おっと話を戻すが、バート・バカラックはA&Mレコードの看板ミュージシャンの一人だった。つまり、バカラックは僕のジャズのルーツだったのだ。
砂日傘寄せては返す重旋律 蕪榴子

 何とも強引過ぎる我がJAZZ史の専横を反省しながらも、これはウェス モンゴメリー得意のオクターブ奏法を物の見事に詠んだ句だと感心した。「ア デイ イン ザ ライフ」の各ナンバーでもこの奏法は随所に披露されている。寄せては返す波のように。
 蕪榴子さんは「ジャズの調べを自然の摂理に同調させる」というJAZZ俳句の本流を修得されていたようだ。ただ 「夕凪や吸い殻折れて嘘と知る」は上手くジャケットを切り取られたようでありますが、これは中条きよしの演歌です。

親指に弾かれる六月の弦 チャンヒ

 この句もモンゴメリーのギター奏法を描写したもの。ピックを使わず親指を駆使し、信じられない流暢さでギターを操るモンゴメリーの映像は、簡単にYou Tubeで鑑賞することができる。これを絶賛したメンバーの光海さん。その弁に反応して、まるで観て来たかの様に詠んだチャンヒさん。ご両人とも誠にジャズ者である。

如何にもカルロス ジョビン的梅雨空 蛇頭

 今回のサブテーマ「ウェーブ」をヒットさせたアントニオ カルロス ジョビンは、ご存じボサノヴァの創始者。フルネームだと、それだけで12音になっちゃうので「アントニオ」を「如何にも」とし、数合わせも兼ね「的」で「梅雨空」と繋いだら、案外ボサノヴァが梅雨時に馴染む音楽だと証明できそうな句が出来上がった。が、チャンヒさんに安直過ぎると叱られた。



http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。


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ラクゴキゴ


第39話
『雨の将棋』
〜 志ん生しか演らない珍品 〜


あらすじ
 下手の横好きで毎日のように将棋を指す二人の男。
 いつもお互い「待った」「待った」で、そんなことでは上手くならないからと、一切これから待った無しにしようとしたのはいいが、それに対して「そこちょっと待っとくれ」と言う始末。
 そこから口論が始まり、昔お金を貸した借りたの話まで飛び出し、結局「帰れ」「二度と来るか!」とけんか別れになってしまった。
 しかし雨が二日三日と降り続くと退屈になり、「あの野郎、意地張らずに早く来りゃあいいのに」と、気になって落ち着かない。
 将棋盤もきちんと用意し、外ばかり見ながらそわそわするばかり、一方相手も同じ気持ちで、どうしても我慢ができなくなり、こっそり出かけて様子を見てやろうと思う。
 しかし雨の中、家には傘が一本しか無く、それを持って行かれると奥さんが出かけられなくなると、以前お詣りに出たときに使った菅笠をかぶり相手の家の前をウロウロ。
 それを見つけた、待っていた男は喜んで「やい、ヘボ!」「誰がヘボだ!」「ヘボがヘボじゃないか、一番やるか?」
 仲直り?して将棋がスタート。
 なかなかの戦いだったが、途中で片方の王様が消えてしまう。
 あとから何と男の股ぐらから出てきた。
 男は「かなわないから、金の後ろへ逃げた」



 梅雨どきの落語も何作かありますが、この噺は珍品中の珍品で、あの昭和の名人、古今亭志ん生しか演っていません。
 それもそのはず、もともと「笠碁」という噺で、こちらは大変ポピュラーな噺。先代の人間国宝柳家小さんが大得意にしておりました。
 志ん生がなぜ改作したかというと、志ん生は大の将棋好きで、寄席の楽屋でもよく指していたようです。
 しかし全く碁はやらなかったそうで、「自分がやらないものは落語にしたってつまらない」と、大好きな将棋に置き換えたということ。
 さすが、名人志ん生であります。
 弟子にも教えていないようで、オチもあのように変え、まさに「珍品」。
 さて、私の後輩で真打ちの古今亭菊志ん師匠は、この志ん生の孫弟子にあたります。
 志ん生の晩年、体を悪くしてから背中にしょって仕事につれていった古今亭円菊師に入門して「菊朗」を名乗っていましたが、真打ちに昇進する際、志ん生の「志ん」をもらい、円菊の「菊」と合わせて「菊志ん」になったというわけです。
 これは、師匠が実力を認めてくれたという証だと思います。
 最近、上野の鈴本演芸場でもトリをつとめる機会が増え、ますます芸に磨きがかかる菊志ん師匠。
 松山のシアターねこでは「菊志ん百席」と題して、年に三回公演を続けています。
 百席達成までまだかなりかかりますが、ぜひ成功するように私も手伝っていきたいと思っています。
 ぜひ古今亭の芸を引き継ぐ菊志ん師匠の芸を観に来て下さい!!

 ヘボ将棋待った待ったと梅雨に入る


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新聞記事に隠された俳句を発掘する
クロヌリ俳句


黒田マキ


きょう立夏Tシャツフェスを背景に、
(愛媛新聞より)

「こどもの日」子どもの数は(3面に
(愛媛新聞より)

夏の朝漱石語り草枕
(2014年4月20日朝日新聞より)


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お芝居観ませんか?


文&俳句 猫正宗

第20回 「見上げてごらん夜の星を〜ミュージカルこそわが人生〜」
(イッツフォーリーズ公演、原作 作詞:永六輔、演出:北澤秀人、潤色:大谷美智浩、出演:大塚康介、水谷圭見、他、2014年5月7日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール)


  昭和30年代後半、時は高度成長期。働きながら定時制高校に通う坂本は、昼の授業で同じ机を使うユミコと机に残した手紙で文通を始める。坂本とその仲間たちのアイドルになっていくユミコ。ふとしたきっかけで出会い、青春を謳歌する若者たち。そんなある日ユミコが尋ねる。「なぜ勉強をするの? 働いているだけではだめなの?」
 本作の音楽を務めるいずみたくは、日本のヒットメイカー。本編後の、いずみたくメドレーの一部を挙げると、『太陽がくれた季節』『いい湯だな』『希望』『夜明けのスキャット』『ゲゲゲの鬼太郎』、CMソング『チョコレートは明治』等々、一度はどこかでその歌を聞いたことがあるのでは? そんな彼が、日本のオリジナルミュージカルを作ることに生涯をかけていたことを知る人は少ないでしょう。
 本作は、和製ミュージカルを作ろうと悩み苦しむ(いずみを思わす)作曲家泉川の話と、彼が手がけた舞台である、明日を信じ夢見る若者たちの話が交差しつつ進んでいきます。
 「働くのは今日を生きるため、勉強するのは明日を生きるため」と歌う若者たちは、様々な理由で学校を去り、ただ一人残る坂本。そんな彼の前に、再び現れるユミコ。二人は、泉川が日本のミュージカルの明日のためと呻吟し、「百年後も歌われ続ける歌を作ってみろ」と言われながら生み出した『見上げてごらん夜の星を』を歌います。そう、坂本九のヒット曲であったこの歌は、元々この舞台のために作られた歌だったそうです。
 彼らの明日と、私達の明日は随分違うように思います。弱冠羨ましい気もしますが、今さら同じもの取り戻せるわけもありません。振り向いたら終わりだよってのは、古代ギリシャの御代からわかってること。私達は私達の明日を見つけるしかないんじゃないかなあ。

コカコーラ振り向いた明日(レトロフューチャー)なんかより
梅雨闇の向こうまだ届かない星



このコーナーでは、松山市民劇場例会にて公演された芝居を紹介します。


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百年歳時記


第13回 夏井いつき

 有名俳人の一句を紹介鑑賞するページは世に数々あれど、「市井の逸品」とも呼べる一句を取り上げ鑑賞する記事はそんなに多くありません。
 百年先に残したい佳句秀句奇々怪々句を見いだし、皆さんと共に味わおうという連載は、名づけて「百年歳時記」。夏井いつきの目に触れた様々な作品を毎月ご紹介していきます。

酒ほどの薬有ろうか蛍烏賊 鞠月
 酒飲みの一人として、「酒ほどの薬有ろうか」という台詞にまずはやられます(笑)。酒は百薬の長とも言いますから、酒飲みの言い訳と決めつけるわけにもいきませんよね。
 下五の季語は動くか?と一瞬思ったのですが、いやいや「蛍烏賊」といえば富山、富山といえば薬売り……と連想をなぞっていけば、なるほどこれは富山という土地へのご挨拶でもあるのかと合点がいきます。富山の薬売りは有名だけれど、それにも勝る美味しい酒がある。そしてその酒を引き立ててくれるのが、ご当地の春の味「蛍烏賊」であるよ、という賛歌!「蛍烏賊」を食べるたびに「酒ほどの薬有ろうか」とつぶやいてしまいそうな一句であります。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』4月25日掲載分)

荷車の墓石を曳いて春の牛 ポメロ親父
 「荷車」という言葉自体がどこか懐かしい響きを持っていますが、「荷車」に積まれた「墓石」を「曳いて」いるのが「春の牛」であるよ、となるとさらに一昔前の光景にワープする心持ちです。
 この手の季語の使い方には懐疑的な俳人もいらっしゃるかとは思いますが、「春」というのどやかな季節が「荷車」や「牛」が現役で活躍していた時代の気分に似合っているのは間違いのない事実。「荷車」の前後には「墓石」を立てる人足の男らもいるのでしょう。荷台に積まれた新しい「墓石」は、「春」の柔らかな日射しに包まれてほんのりと温かく、優しい光を放っているのでしょう。「春の牛」のゆっくりとした歩幅も一句の味わいであります。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一 遊』5月2日放送分)

母いまも内地と呼べりライラック 雪うさぎ
 北海道が持つ歴史の中において、この手の類想があるのかもしれないと思いつつも、「母いまも内地と呼べり」というたった12音の措辞が内蔵する物語の深さに、やはり肯くしかない一句です。
 この「母」を開拓時代を生き抜いてきた老齢の母だと読むか、祖父祖母の体験談として聞いてきた中年の母だと読むか。「内地」という言葉に対する認識は、時代と共に移ろっていくのだろうと思います。「内地」という言葉への郷愁と反骨の入り混じる世代にとって「ライラック」が美しく咲けば咲くほど、「内地」への複雑な思いが募るのかもしれません。「いまも」に籠もる感慨、「呼べり」の完了の意味の効果、それぞれが適切に機能している作品です。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』5月2日掲載分)

籐椅子や追伸に山青きこと ハラミータ
 「追伸に山青きこと」としか書かれてないのに、この人物が自分宛の葉書なり手紙なりを手にしていること、その内容が十分に涼やかであること、座っている「籐椅子」の感触が「追伸」の内容を実感させるかのような内容であることが、ありありと想像できます。
 さらにもう一つの読みもできます。「追伸」を書いている人物が「籐椅子」に座っている人物であるという読みです。避暑に訪れた山々の「青」の清々しさに心が洗われんばかり。旅の思いを家族へ友へ恋人へ伝えたくなるのは、当然の心持ちでしょう。「追伸」を書き終えて、座り直すと「籐椅子」は静かに軋みます。その軋みもまた心安らぐ旅の実感でありましょう。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』5月9日掲載分)

毛虫焼く昨日は護符を焼きし畑 篠原そも
 季語「毛虫焼く」という行為は、害虫を駆除するという正当な必然性を持っているにもかかわらず、残酷で後ろめたい気分もあるのですが、その季語の本意をこう表現するとは見事な展開です。
 集めた毛虫を火の中に放り込む時、そういえば昨日もここで火を燃やしたなあと思い出す。昨日焼いていたのは「護符」であったという事実が、作者の胸に奇妙な感慨をもたらします。
 作物を荒らす「毛虫」も、一年の効用期限が過ぎた「護符」も、同じ畑の隅で焼き払ってしまうという行為は、人間の側の都合の良い解釈であったり理屈であったり。バチバチと火を弾いて燃える毛虫は、地獄の業火に焼かれる我と我が身のようでもあります。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』5月16日放送分)


*百年歳時記は、南海放送ラジオ『夏井いつきの一句一遊』や
 松山市公式サイト『俳句ポスト365』(http://haikutown.jp/post/
 などに投句された俳句を紹介します。


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まつやま俳句でまちづくりの会通信


第39回 文 写真 暇人

「mhm動く」2014年度〜mhm総会から〜

 創立以来、毎年行われている総会が今年も去る4月30日に行われました。おそらく第一回の総会以来となる多くの会員が出席しての開催となりました。
 出席者の中にはmhm会員ではない方の姿も。誰かと思えばこの4月から縁あって松山に移住となった若手俳人、若狭氏でした。なんとmhmに入会していただけるということで、喜ばしい限りです。
 それでは総会の模様を。まずはあねご代表の「一年間お疲れ様でした。地に足が付いた活動が出来たのではないかと」という挨拶。その後、キム氏からの2013年度の活動報告、および監査担当者からの監査報告がありました。監査については問題が無いという報告をいただきました。
 2014年度の役員は、引き続きあねごさんが代表を務めるほか、前年度と同じ構成で継続する事となりました。ただし、あねご代表から「今期限りで代表を勇退する」という発言がありました。私としては来年度以降も務めていただけないかとの思いです。
 それでは、今年度に予定している活動内容を紹介します。

「松山城歳時記化計画」…昨年度から随時調査等行っている「松山城歳時記化計画」、今年度も年間を通して継続して実行します。今年度は歳時記のデータベースとなるブログの充実を図る予定です。6月には吟行句会を計画中です。

「白石の鼻夕日見学会」…一昨年度から参加している「松山・白石の鼻巨石群調査委員会主催」の「白石の鼻フェスティバル」が今年も開催されれば、mhmも参加し、Facebook連動の吟行会を行う予定です。

「まる裏俳句甲子園」…今年度も開催します。このイベントをさらに盛り上げるためには、色々と課題があります。Facebook担当の私としましては、前回よりも早く広報に動きたいと思います。そして出来れば遠隔地の方々にもこのイベントを楽しんでいただくための試み、つまりUstreamやニコニコ動画での動画配信を、なんとか実現したいと思います。

 その他、未定ではありますが、「白猪の滝祭り句会ライブ」や「内田パン句会ライブ」への協力、また、「道後花見チャリティー句会ライブ」も行う予定です。
 今回のタイトル「mhm動く」ですが、今年度「動くmhm通信」、つまりYouTubeに動画を配信していくことも考えております。
 最後に私事ですが、今年度も引き続き「mhm通信」を主に担当させていただきます。今後ともご愛読、ご支援のほど宜しくお願いいたします。

次回予定…「道後宝厳寺俳句フォトライブ」の報告です。


mhmでは、ひきつづき松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議がおこなわれます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。


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俳句の街 まつやま
俳句ポスト365


協力 松山市

「俳句ポスト365」は松山市が運営する俳句の投稿サイトです。
毎週新しい兼題が発表されます!

http://haikutown.jp/post/


優秀句
平成26年4月度


【蘆の角】
《地》
水底よりごぼりとあぶく葦の角 ポメロ親父
流れ来る物葦の角までゆるり 不知火
キリストの足が踏み抜く蘆の角 みちる
蘆の角此れ伊邪那岐の産みし島 鞠月
蘆の角生え初め痒し中つ国 とおと
蘆牙や光湛える汚染水 土井探花
野良犬の暫く匂ふ蘆の角 葦信夫
獰猛な夢はさみどり蘆の角 あつちやん
蘆の角村に一人の日本人 カリメロ

《天》
今飛んだの見た蘆の角揺れている 河合郁


【馬の子】
《地》
羊水の満ちたる小屋に子馬立つ 理酔
馬の子の蹄の膜を拭ひけり 蘭丸
馬の子のしとどのぬめり拭きにけり 木よし
シェパードに臭ひ嗅がれてゐる仔馬 ポメロ親父
脚と胴まだ馴染まずに馬の子よ 笑松
馬の子の離す乳首の濡れてをり やのたかこ
光るまで梳らるる仔馬かな 登美子
馬の子の瞬くたびに跳ねる空 ミル
空青し馬の子圧し潰さむと くろやぎ

《天》
雨の野や馬の子の名はルミエール 東ゆっこ


【巣箱】
《地》
淋しき木淋しき巣箱ひとつ抱く 雪うさぎ
巣箱吊る講師役場の係長 ポメロ親父
一つずつ巣箱を持ってバスに乗る 中谷麗夢
金次郎巣箱の番を頼まれる 八木ふみ
巣箱不在エアロスミスの漏れる庭 Blanca
巣箱より盛んに巣箱小さいと ミル
亡き父の野鳥の本と巣箱かな 誉茂女
白樺に妻の掛けたる巣箱かな 山歩
吾に妻あり森に巣箱のあるやうに ヤスハル

《天》
空っぽの巣箱やまびこ入り込む 不知火


【蛍烏賊】
《地》
蛍烏賊800キロの青光り みえ
蛍烏賊百年前の星と思う お手玉
ポセイドン怒りは青く蛍烏賊 津葦
蛍烏賊死にゆくときの真つ平 クズウジュンイチ
翅生ゆるごと蛍烏賊茹でらるる 不知火
句は待たれよ蛍烏賊山ほど皿に ももかん
仕送りの前借り蛍烏賊の目玉 雨月
蛍烏賊ぼぼと灯油の尽きる音 やのたかこ
猫背一族蛍烏賊囲みゐる 吾平

《天》
酒ほどの薬有ろうか蛍烏賊 鞠月



6月の兼題

投句期間:5月29日〜6月11日
紫陽花【仲夏/植物】
ユキノシタ科の落葉低木で、梅雨どきを代表する日本原産の花。咲き始めは白いが、次第に緑、青、桃色へと色を変える。額紫陽花の改良種で、こんもりと毬状に咲く。

投句期間:6月12日〜6月18日
ソーダ水【三夏/人事】
炭酸ガスを含む清涼飲料水。かつては天然湧出のものも市販されていたが、現在では人工的に作られるものがほとんど。甘味や香料を加えて飲んだり、無味のまま洋酒の希釈に使ったりする。

投句期間:6月19日〜6月25日
川開【晩夏/人事】
江戸時代の隅田川両国橋付近で打ち上げられた花火がきっかけとなり、川開きといえば花火大会をいうようになった。今では各地の河川で催されている。


《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)

6月2日(月)〜6月6日(金)の週は、「俳句ポスト365」の更新をお休みさせていただきます。この週における新たな結果の発表、ならびに6月4日(水)の投句締切や、その翌日の募集兼題の切り替わりはございません。


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一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


金曜日優秀句
平成26年4月度


【石】
蹴飛ばした小石に春のつまづけり 甘泉
石段の春の窪みに眠り猫 野風
石の上に椿置かるる道祖神 レモングラス
愛づる石探す子といる花曇 やのたかこ
その石に座れ座れと桜かな 伊佐
春昼や石工は金子力太郎 蓼蟲
要介護1春のカボチャの石頭 一走人
惜春の隕石在庫切れである もね
キリストの意志に反する春の石 ひまわり

《天》
生前葬終えて石鹸玉の風 きとうじん


【田鼠化してとなる】
田鼠化してとなる目が痒い ポメロ親父
田鼠化してとなりて残る髭 ほろよい
庭歩くを田鼠と怪しめり toku229
化して飛ぶ見上ぐる田鼠かな 七草
田鼠化してとなって残る穴 一走人
畦晴れて田鼠となる途中 もね
田鼠と化す朝星の農夫 痛快
田鼠化して鎮守の杜に幟立つ 篠原そも
田鼠化してとなる今日は鼠のお嫁入り ひめ婆ちゃん
金貸しの墓は小さし田鼠化す 稲穂
田鼠化してとなりて赴任する 紫式部
田鼠化してとなるやの辞表 しんじゅ

《天》
田鼠化すや鶉に空の無限大 野風


【河豚供養】
河豚供養縁なく番組欄を見る ケソラ
海神に一礼をして河豚供養 花みずき
雨多き長門の国や河豚供養 篠原そも
玄海の白雲眩し河豚供養 痛快
灘へ放つは致死量なり河豚供養 日暮屋
河豚供養市長乗り込む放魚船 鞠月
礼服に長靴履いて河豚供養 はまゆう
放生に選ばれて河豚よく膨れ 不知火
河豚放生しゅっと萎んで泳ぎ出す ポメロ親父
濡れてをる導師の裾や河豚供養 更紗

《天》
水槽の河豚が供養を覗きけり もね


【凧】
裏山が特等席や凧合戦 もね
凧はるか指をびんびん責める音 ターナー島
胡乱なる洋凧の目が雲を呼ぶ 紫水晶
凧上げるためなら走る男かな だんご虫
達筆の凧早々に落ちてくる 不知火
弁慶凧落ちては空をまだ睨む 鞠月
起死回生川面に凧の急旋回 ほろよい
凧合戦終えて水面の骨ばかり 樫の木
風神の口裂けており走り凧 太郎
かの凧の青き龍へと化すを見ん 亜桜みかり
尾の沖へ沖へ迫り出す凧日和 野風

《天》
大凧にひとり持ち上げられ怒号 マイマイ



※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとに活字化したものです。俳句ならびに俳号が実際の表記とは異なっていたり、同音異義語や類音語などで表記されてしまっている場合がありますのでご了承ください。



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

6月8日
腐草蛍となる【晩夏/時候】
古代中国の暦による七十二候のひとつで、二十四節気「芒種」の第二候。この季節に水辺の腐った草の下などから蛍が飛び立ち、光りはじめる。


季語ではない兼題です。「研」という字が詠み込まれていれば、読み方は問いません。また、季語は自由に選んでください。

6月22日
間八【三夏/動物】
アジ科の海魚。東北南部から東シナ海にかけて分布する。鰤に似ているが、体高が大きく、体色は赤紫色を帯びている。

泉殿【三夏/人事】
平安時代の寝殿造の建築様式における建物のひとつ。廊の端、庭の池に臨む四方に壁のない建物で、納涼のために設けられたとされる。「釣殿」も同様の建物だが、釣りのための建物とされる。



《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


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100年俳句計画 掲示板


 組長&編集長&組員さんの出演執筆一覧

NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内
 『みんなで挑戦!MOVIE俳句』
  6月3日(火)11時40分〜
  6月17日(火)11時40分〜

あいテレビ(TBS系列、全国)
 『プレバト!!』
   隔週木曜 19時〜20時49分
  6月5日&6月19日予定
※組長がゲストの俳句ランキングづけで出演! 放送日番組欄を要チェック!

南海放送 テレビ岩手2局ネット『えひめ いわて17文字の旅』
  6月29日(日)15時〜15時30分(予定)

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。

FM愛媛
 バニラビーンズの俳句っちゃお〜!
 毎週日曜日深夜0時〜0時30分
※夏井いつきが俳句指南で出演
※FM大分でも毎週月曜21時〜放送中

FMラジオバリバリ俳句チャンネル
放送時間 … 月曜 17時15分〜17時30分
再放送 … 火曜 7時15分〜8時
 兼題「梅雨の星 青梅」6月8日〆
   「鰹 焼酎」6月22日〆
 インターネットでも配信中。詳しくは番組webサイトへ。
  HP http://www.baribari789.com/
  mail fmbari@dokidoki.ne.jp
  FAX 0898-33-0789
※必ずお名前(本名)、住所をお忘れなく!
※各兼題の「天」句にはキム チャンヒのイラストポストカードが贈られます。


執筆
松山市の俳句サイト「俳句ポスト365」
http://haikutown.jp/post/
 毎週水曜締切/翌週金曜結果発表

テレビ大阪俳句クラブ選句
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

ジュニア愛媛新聞スマイル!ピント
 「集まれ俳句キッズ」
※ 毎週日曜発刊タブロイド判8ページ


句会ライブ、講演など

大垣市 芭蕉元禄事業 学校句会ライブ(夏井 キム)
 6月4日(水)小野小学校
 6月5日(木)多良&一之瀬小学校、小学校国語科研究会講演
 6月6日(金)中川小学校

愛知県立大府東高等学校修学旅行生句会ライブ(家藤)
 6月5日(木)16時〜

済美平成中等教育学校1年句会ライブ(夏井)
 6月27日(金)12時50分〜

子規Jr.養成講座句会ライブ(夏井)
 6月29日(日)9時30分〜12時
 場所 … 子規記念博物館



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魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

お詫び
 先月号の特集「俳句で人は元気になれる! スマイル句会」(2〜5ページ)において、お名前の表記の誤りがありました。

3ページ上段
誤 理恵 さん
正 里恵 さん

4ページ中段
誤 小泉迷羽 さん
正 小泉羽迷 さん

 お名前の誤表記大変失礼いたしました。深くお詫びいたします。


詰め俳句、お疲れ様でした。
蓼蟲 詰め俳句、コメントが面白く毎号楽しんでいました。問題を解くのも面白い経験でした。マイマイさんの油が乗って来た所での終了は残念ですが、マイマイさんお疲れ様でした。またの登場を待っています。
編 ファンレターを送り続けると再開が早まる(かも?)。

原稿依頼がきた!?
ヤッチー リレーエッセイの原稿依頼が来た! 台所のキフジンさんからの指名で編集長より原稿依頼です。びっくり仰天です! そして「台所さん意地悪しないで!」と叫んでしまいました。まずは「ことわることができるかしら」と考えました。でもそれも出来そうにもありません。ここは覚悟をきめ挑戦するほか無いと自分を追い詰め書き上げました。5月号が届き活字になった自分のエッセーを見て恥かしいやら嬉しいやら。皆様どうぞ笑わないでください。いえいえどうぞ笑ってくださいまし。
 台所さんへ。今はこのようなチャンスをくださって「ありがとう」とお礼を申しあげます。
編 お便りを読むだけですごい葛藤が見て取れますな。リレーエッセイのバトンが渡る方、怖がらずご執筆頂ければ幸いです(笑)。

四季ある国@4月20日頃
エノコロちゃん 待ちかねていました、桜の花も、咲いてからの「寒の戻り」もあり、長く、美しいその姿を楽しむことができましたね。こちら山の中は、ちょうど今ハラハラと花吹雪が舞い、川に散り、最後に「花筏」のすてきな、今年桜を愛でることができました。
編 高知山中では4月半ばが花吹雪でしたか。

誌上編集会議+α
ポメロ親父 俳句ポスト365の金曜日句の記載ですが、ネットでの発表と同じ順番で、天が最初の方が良いのではないでしょうか。
編 現状、「365」と「一句一遊」のページをセットで掲載しているために両方の体裁を同じにしています。レイアウトの変更、検討してみます。編集会議欄が一杯なのでこちらでの紹介でした。


100年俳句計画誌上編集会議

編 本誌も十年目を迎え、様々なご意見を参考にしながらリニューアルをはかっていきたいと思っています。このコーナーでは、皆様のお便りを紹介しながら、さらにご意見を集めつつ、誌面に反映させてゆきます。
 今月は特集「俳句対局 第二回龍天王決定戦」に出場した方からの提案です。


今月の提案 相談

瑞木 第二回「龍天王決定戦」お世話になりました。初めて参加する人が増えて嬉しいことでした。対戦したかったです。個人的には、前回のタイトル保持者というだけで、最初から準優勝以上が約束されているのは、ちょっと優遇され過ぎているのではと思いました。予選を免除してもらえたのは、非常に嬉しかったです。さすがに予選落ちして「前回の龍天王、ここで敗れ去りました」となるのは、あまりにも格好悪過ぎますので…。毎回、開催する側の四苦八苦を間近で見せていただき、新しいイベントを整えることの大変さを感じます。いつも当日だけ参加して、好き放題言って帰ってすいません。
編 ご意見有り難うございます。シードの条件については再検討致します。予選免除または、多くても一回戦シードまでかと考えています。敗者復活戦の有無にも絡みますが、敗者復活戦をやるなら前者、スケジュール上敗者復活戦をしないなら後者、といったところでしょうか。

めろ 俳句対局ではどうもありがとうございました。とても面白かったです。このまま引き下がれないので、修行を積んでまたチャレンジしてもいいですか?
 で、気がついたことをちょこっと。
1:歌仙を巻くみたいに(巻いた事はないけれど)1句ごと飛躍がないと面白くない。そのためには、前の句の単語や自立語を1つしか使わない。2つ以上使ったら減点。前の句の世界を引きずっていたら見学の人たちもつまらないはず。
2:対決が終った後は、将棋の対局の後みたいに対戦者同士が戦いを振り返り5分対話をする。その後、見学者も参加して5分談話する。岡目八目で見学者の方が公平で冷静な目で対局を見ている(かもしれない)。
3:見学者にも採点をしてもらい0.3点程度加点する。団扇みたいなものの裏表で採決する。(見学者が傍観者になるのを防ぐため)
4:別室での対局はとても良かったが、それでも隣室の声が気になったので、ついでの事に、完全隔離してもらった方が集中できるかもしれない。
 それにつけても、アイデアから会場の設営、運営と大変なイベントだったですね。私もコンサートやライヴを主催していましたので、ガムテープから電源コードまでその心労は手に取るようにわかります。これからも、「表面ではさらっと、内情は火の車」で、われわれを楽しませてください。では!
編 次回も出場お待ちしてます!
 1について。ただでさえ「ルール難しくて敷居高い」とよく言われるので……基本ルールを最低限のものとし、野良試合(とか宴会の余興とか)で1のようなローカルルールを取り入れて遊ぶ、といったところが現実的かな、と思います。まずは敷居を低く、挑み易く。
 2、3は所要時間、備品等と相談しつつ、次回以降の開催で検討してみます。
 4は今後実際に行う目処が立ちつつあります。詳しくは特集記事にて。

 この欄への提案、質問、要望、その他は、100年投句計画投稿時のフォームに書き添えてお送り下さい。また、メールでの投稿も可能です。メールで送る際は件名を「魚のアブクへ」としてお送り下さい。
メールアドレス magazine@marukobo.com(編集室)



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鮎の友釣り

191
俳号 笑松

野風さんへ 釣っていただきありがとうございます。日暮屋さん、野風さんと100年の旗手でご一緒できたのは、宝の一つです。

俳号 お笑いの笑いに、松山の松で「わらいまつ」です。
きっかけ 松山に赴任し、俳句といつき組に出会いました。大お花見大会で、大勢のメンバーと出会い、俳句米プロジェクトだ、どろんこバレーだと、俳句のある生活を満喫していたら、一年後に東京に転勤することに。

繋がり 更紗さんに取り持っていただき、東京のロマンチカ句会へ。俳句で繋がることができるってすごい。

写真 2013大忘年会で上映された桃ライスさんの「エレキ映画祭」より。いいシーンに入れていただきありがとうございます。

次回…てん点さんへ ロマンチカでご一緒させていただています。これからもよろしくお願いします。


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告知


7月26日 ボーリング大会開催

 7月26日は、愛媛新聞カルチャースクールの合同ビアガーデンの日ですが、このビアガーデンのスタートまで、カルチャースクールに関係ある人も関係ない人もボーリングして打ちあがろう、という企画です。ボーリングで一汗流した後のビヤガーデンは最高です!もちろん「お酒は飲めない」っていう方もボーリングだけの参加もOK!俳句友達が大勢集まる貴重な交流会、みなさん参加してみませんか?

日時 7月26日(土)14時〜16時30分
場所 ファーストボウル(予定)【松山市大街道2丁目 ※現地集合】
参加費 1500円(靴レンタル代込み)
問合せ 申し込み
 (有)マルコボ.コム
 電話 089-906-0694
 ※当日の飛び入り参加はできません。必ず事前にお申込ください。
申込締切 【7月22日(火)】

ボウリング終了後、17時30分ごろからはカルチャースクールのビアガーデン(いよてつ高島屋)に合流して打ち上げも行います。



HAIKU LIFE 100年俳句計画
第4回
大人のための句集を作ろうコンテスト
作品募集

主催 マルコボ.コム 共催 朝日新聞社 松山市教育委員会(予定)

 第四回「大人のための句集を作ろう!コンテスト」(通称「大人コン」)の作品募集がスタートしました。
 「大人コン」は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』が開催する俳句コンテストです。
 共催 朝日新聞社 松山市教育委員会(予定)

「受賞作品が句集になるってホントですか」
 最優秀賞作品は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』の付録冊子として読者諸氏に広く読んで頂きます。付録とはいえ、お洒落なデザインの句集だと評判です。
 受賞者には一切の金銭的負担をかけず、読者にとっても安価な句集をどんどん生み出していきたいという志を一つの形にしたのが、この企画なのです。

「俳句マガジンを購読してないんですが、コンテストへの応募はできますか」
 どなたでも応募できます。購読の有無は一切関係ありません。勿論、応募は無料です。

「審査は誰がするのですか」
 本コンテストの受賞者は、「大人コン」選考会員の投票によって決まります。「大人コン」選考会員は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』購読者の内、各総合誌等の俳句賞受賞者あるいは最終選考に残った実績のある人たち等によって構成されます。第二回の有資格者は三十二名。年々選考会員数は増えていくことになります。
 多くの目利きの力を借りて「百年先の未来に残したい作品と作家」を見い出し顕彰していくことが「大人コン」の目的。我こそは!という皆さんのご応募を、心からお待ちしております。

既作新作を問わず81句の作品集を募集。
最優秀賞作品は句集にし、本誌付録として配布します。

募集要項

応募資格
15才以上(高校生以上)の方なら、本誌購読の有無に関係なく、どなたでも応募できます。

応募方法
1:Eメールでの応募の場合
応募用のエクセルファイルに必要事項を全て入力し、Eメールの添付ファイルにして、応募して下さい。
応募用ファイルのダウンロード先
http://81ku.marukobo.com/

2:郵送の場合
B4判四百字詰め原稿用紙に81句とその表題、俳号、本名、年齢、住所、電話番号を必ず明記して応募して下さい。

締め切り 2014年12月10日(水)必着

賞 賞状および応募作品による句集20冊
*賞品句集は縦横135ミリメートル 36ページとなります。句集は本誌付録として配布します。

発表 本誌2015年4月号誌上(予定)

送り先
〒790-0022 愛媛県松山市永代町16ー1
有限会社マルコボ.コム
月刊俳句マガジン『100年俳句計画』編集室Eメール:81ku@marukobo.com



ボリュームが倍になりました
句集Style-W 登場

*オリジナルデザイン仕様の3点
句集『COSMOS』
キム チャンヒ

句群 op. 1 半過去と直説法現在として、あること
加根兼光

俳優勝村政信×俳人夏井いつき
付句のある往復Eメール書簡集

2014年 9月10日 申し込み締切
(原稿締切9/16、10月末納品)

句集制作費:25冊セット 50,000円(税別)〜 *完全デジタル入稿の場合
仕様:135mm×135mm、72ページ、オンデマンド印刷、カバー付

オプション料金 *全て税別
 オリジナルデザイン料:50,000円〜
 増刷費:24,000円(25冊ごと)


句集Style
仕様:135mm×135mm、36ページ、オンデマンド印刷、表紙PP加工
2014年 第2期 6月10日 申し込み締切
(原稿締切6/16、7月末納品)

詳しくは http://marukobo.com/style/



じっくり味わいたい句集がある。

句集 涅槃図
高橋白道
ありふれた日常を簡単な言葉で描きながら、その俳句は真理に満ちている。驚きの全322句。

192ページ ソフトカバー
15.0cm×15.0cm
定価1,944円(税込)


句集 りんご飴
神楽坂リンダ
愛おしく油断のならない全259句。犬さんの消しゴム版画も秀逸。手元に置いておきたい作品集。

142ページ ソフトカバー
15.0cm×15.0cm
定価1,944円(税込)


句集 東京松山
井上じろ(酔う太)
14年の句歴の作品を、ほぼ編年体で構成した全363句。本誌「100年の旗手」にて掲載した30句も収録。

208ページ ソフトカバー
15.0cm×15.0cm
定価1,944円(税込)


句集 猫の句も借りたい
杉山久子
愛猫の一周忌を区切りに、作者の出合ってきた猫たちを詠んだ、作者曰く「猫バカの煩悩丸出し」の108句。

80ページ ソフトカバー
15.0cm×15.0cm
定価1,512円(税込)


ご注文 お問い合わせ(有)マルコボ.コム TEL 089-906-0694 FAX 089-906-0695 E-MAIL shop@marukobo.com

http://shop.marukobo.comから購入できます。



NORIKO KOJIMA JAZZ LIVE 2014

今年もJAZZ句会主催によるジャズライブを開催します。

日時
7月20日(日) 14時〜

THE JAZZ俳句(スライドショー上映)
小島のり子トリオ 1stステージ
 休憩
小島のり子トリオ 2ndステージ
 休憩
 ※ライブ終了と同時に投句締め切り
JAZZ句会
 ※最優秀句にはキム チャンヒによる俳画をプレゼント
 終了(18時予定)

場所
〒791-8015
松山市中央2丁目1238 白方ビル1階

参加費
お一人3,000円

主催:JAZZ句会
共催:100年俳句計画 / old new

お問い合わせ先
蛇頭 090-2828-8657  jazzblend@m8.gyao.ne.jp
または、100年俳句計画編集室(キム)



誰もが無料で参加できるインターネット句会開催中
次回は7月10日(木)一般募集開始

 ハイクライフマガジン『100年俳句計画』が運営しておりますインターネット句会「象さん句会」&「週活句会」の2014年4thシーズンの参加者を募集します。
 どちらの句会も参加無料。それぞれエントリー開始から定員まで、先着順で参加出来ます。

俳句を増産したい方のための
象さん句会

「百年百花」や「100年の旗手」など、本誌に作品集を連載される「俳句を増産したい方」を中心に、毎週5句出しで4週間行う「本気モード全開」の句会です。もちろん一般参加も可能です。


20代のための週末俳句活動句会、略して
週活句会
 俳句甲子園出身の方や、大学のサークルで俳句をやっている方など20代の俳人を中心とした句会です。この句会から「100年への軌跡」連載者も輩出します。また、交流の場としても楽しめます。

どちらも2014年7月10日(木)一般募集開始
詳しくはブログマルコボ通信まで
http://info.marukobo.com/



だれもが句集を出版できるかたち
句集Style

2014年第2期募集締切間近

「句集スタイル」は、全く新しい句集作りの提案です。
小ロットの句集を一括で複数制作することで、低価格を実現しました。
デザインは4タイプ、24色から好きな組み合わせが行えます。
初めての句集はもちろん、一つのテーマで編むことも可能、36ページの無限の可能性に挑んでみませんか。
*販売は当編集室にて校正を行った作品のみ対象

選べる表紙のデザインは4タイプ
ベーシック、シンプル、ドット、シンプル2

選べる表紙の色は24色
選べる色は、http://marukobo.com/style/にてご確認いただけます。

句集制作費:30冊セット 20,000円(税別)
仕様:135mm×135mm、36ページ、オンデマンド印刷、表紙PP加工

オプション料金 *全て税別
 裏表紙画像加工料:5,000円(裏表紙一面に写真を掲載した場合)
 校正料:10,000円(文字校正及び仮名遣いなどをチェック。当社にて句集を販売する場合は要。)
 テキストデータ入力料:7,000円(デジタル入稿でない場合のみ要。俳句、あとがきなど)
 オリジナルデザイン料:25,000円〜
 増刷費:12,000円(30冊ごと)

グループでの出版にも対応いたします
見開き15句まで対応。
句集制作費:60冊セット 60,000円(税別)〜
*完全デジタル入稿の場合。オリジナルデザイン、校正料などは別途。

2014年 第2期 6月10日 申し込み締切
(原稿締切6/16、7月末納品)



句集で知る
俳人 夏井いつき

句集『伊月集 梟』
定価1,944円(税込)
15cm×15cm 224頁

句集シングル『蝶語』
定価756円(税込)
13.5cm×13.5cm 36頁

句集シングル『龍尾』
定価756円(税込)
13.5cm×13.5cm 36頁

ご注文はマルコボ.コムまで
http://shop.marukobo.com



100年俳句計画投稿締切カレンダー

6/20(金)
 100年投句計画
http://marukobo.com/toukou/
 魚のアブク
 100年の旗手推薦募集

 応募先
  〒790-0022 松山市永代町16-1
  (有)マルコボ.コム内
    100年俳句計画編集室
  FAX 089(906)0695
  E-mail magazine@marukobo.com
 宛先/件名に、どこのコーナー宛かお書き添え下さい。俳号/ご本名/住所/電話番号もお忘れ無きよう、よろしくお願いいたします。
 ※ページの都合上お便りを全て掲載できない場合がございます。ご了承下さい。


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スポレク部&マラソン部企画

10月4日(土)開催のマツヤマお城下リレーマラソン2014吟行会に参加しよう!の告知


文 キム チャンヒ

 オリンピックイヤーごとに活動してきたスポレク部。2年前の夏のオリンピック開催年には、「俳人による俳人のための大運動会」を開催しました。そして冬季オリンピックイヤーの今年は、「走れる俳人」気分を味わうべく、来る10月4日(土)開催の「マツヤマお城下リレーマラソン2014」にエントリーすることにしました。
 「マツヤマお城下リレーマラソン2014」(マツヤマお城下リレーマラソン実行委員会主催、松山市 愛媛新聞社共催)とは、42.195kmを5人から10人でリレーしながら5時間以内に完走を目指すというもの。フルマラソンを一人で走る愛媛マラソンとは異なり、気軽に楽しめる(はず)の企画です。もちろん、走るだけではく、一応「吟行会」ですので、俳句も一句以上作ります!
 会場は、愛媛マラソンのスタート&ゴール地点でおなじみの松山市「城山公園」。マラソン部にとっては、定期練習場でもあります。
 ランニングが得意な方はもちろん、日頃の運動不足を改善したい方、一汗流して仲間と美味しいビールが飲みたい方(マラソン部練習会は、これがメイン)など、ぜひお申し込み下さい。
 また、ぐるぐる城山公園内を走るだけなので、応援の負担も少ないと思います。走るのはイヤだけど応援だけは行くという方も大歓迎です。
 多数の参加をお待ちしております。

マツヤマお城下
リレーマラソン2014
100年俳句計画マラソン部吟行会

ランナー申し込み締切
 6月5日(木)
申し込み先
参加希望の方は、100年俳句計画編集室まで、氏名(俳号)および連絡先をお知らせ下さい。
電話 089-906-0694(編集室)
   070-5513-0575(キム)
Eメール(キム)
   changhee@marukobo.com
参加費(ランナーのみ)
 一般 3000円
(ランネット手数料別途要)

*6月1日にオープンする専用サイトを確認し、6月10日(火)にランネットにてエントリーを行います。応募者多数の場合には、エントリーできない場合もあります。

 また、マラソン部では、毎年10月末に行われる久万高原マラソンへのエントリーも計画しています。
 ちなみにコースは、1.5km、
3km、5km、10km、ハーフ(約21km)があります。こちらの方も、決まりましたら、後日お知らせします。

100年俳句計画マラソン部
 次回練習会&親睦会
 日時:7月12日(土) 14時〜
 集合場所:愛媛県美術館
      南館 入口前
*参加される方は、当日までにキムまでご連絡下さい。
*練習終了後、16時〜懇親会を行います。


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編集後記


 今月号の特集は俳句対局第二回龍天王決定戦。今回は、対局の部屋と審査、観客とをライブカメラで繋ぎ、観て楽しむイベントとしても充実したものとなった。俳人の創作の場面に立ち合う新しいイベントとして、今後大きく発展させようと、この夏、エキシビションマッチをする計画だ。
 ただイベントをしたからといって、簡単に俳句対局ファンが増えるものではない。これから必要になってくるのは、沢山の方が俳句対局を体験して楽しめる、ルールブックやグッズの類である。夏のイベントまでに、囲碁や将棋のように、盤面さえあれば楽しめる環境を整備しようと、現在知恵を絞っているところ。一般に対局を行う際の審査の方法などが整理できれば、句会の一つの形式として普及するかもしれない。
 また、5月4日に道後で行った「道後俳句フォトライブ」も、新しい俳句のイベント。俳句を中心に音楽とダンスと映像とが融合したステージで、俳句のことなんて全く興味のない方でも、俳句を「カッコイイ」と感じてもらえるイベントとなった。
 松山発で俳句の魅力を伝える新しい方法を提案するのも、「100年俳句計画」の仕事なのだ。
(キム)


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次号予告 (200号 7月1日発行予定)


次回特集
200号記念
俳句新聞から現在までを超おさらい!



HAIKU LIFE 100年俳句計画
2014年6月号(No.199)
2014年6月1日発行
価格 617円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子