100年俳句計画3月号(no.196)


100年俳句計画3月号(no.196)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
扉を開く 妙


特集
第12回高校生以外のためのまる裏俳句甲子園報告



好評連載


作品

百年百花
 行広遊人/マイマイ/谷さやん/大塚迷路


100年俳句計画作品集 100年の旗手
 鞠月/樹朋/たま


百年琢磨 津川絵理子

新100年への軌跡
 俳句/若狭昭宏/川又夕
 評/樫の木/都築まとむ


選者三名による雑詠俳句計画
関悦史/阪西敦子/加根兼光


へたうま仙女/杉山久子

自由律俳句計画/きむらけんじ

詰め俳句計画/マイマイ



読み物
Mountain Cabin Dispatch/ナサニエル ローゼン(訳:朗善)
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
ホンヤクサイホンヤク/翻田訳蔵
お芝居観ませんか?/猫正宗
百年歳時記/夏井いつき
句集の本棚


読者のページ
俳句ポスト365
一句一遊情報局
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
『HAIKU LIFE MAGAZINE100年俳句計画』直販定期購読価格改定のお知らせ
告知
編集後記
次号予告




扉を開く


 三月は生業のアスパラの収穫がピークを迎える。瑞瑞しく甘味のある春の味覚。旨味と柔らかさの良い30センチ前後で取る。30度を超えるビニールハウスで、アスパラは一日に十数センチも伸びる。朝夕収穫し、毎日出荷する。終日作業に追われる。
 一人の畑仕事に気持ちが内向きになる。季節の変化や咲く花、鳥の声も頭に入って来ない。
 が、歳時記を開くと、周囲は季語でいっぱいだと改めて気付く。
 日が永くなるのが嬉しい。茎立ちした蕪の蕾で妹の好きな浅漬けを作ろう。雨あがりに馬酔木が匂う。今、雉が鳴いた。
 気持ちが外に向かい、心が動きだす。小さな変化に、新しい発見にどきどきする。歳時記は外への扉だ。
 昨日見失った翡翠を探しに行こう。


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特集
出るなら裏でしょ!

第12回高校生以外のためのまる裏俳句甲子園報告




 去る1月12日(成人の日の前日)、今年で12回目を迎えた「高校生以外のためのまる裏俳句甲子園」が、松山市立子規記念博物館にて開催された。
 当日朝10時から予選を開始。24チームの全参加者が午後のトーナメント戦に向け、席題「手」の句を作句し、俳句の合計点の高い8チームが、トーナメント戦に勝ち抜けた。
 本特集では、トーナメント戦の対戦を中心に、当日の模様をお伝えする。


 本戦は、ほぼ俳句甲子園のルールのもと、3名1チームで対戦。
 審査は、夏井いつき、杉山久子、森川大和、前回の優勝チームから桜井教人の4名に、Facebookによる一般の投票を加えて行った。

一回戦 第一試合

○紅 宙船(樫の木、みちる、恋衣)
×白 ランナーズ俳句(逆ベッカム、一走人、ほろよい)

 先鋒戦
○読み切れぬマスクの上の二つの目
×制服のマスクの上の笑いじわ

 次鋒戦
×営業の社員こぞってマスクして
○マスク外して遠くの星に近づきぬ

 大将戦
○耳たぶのマスクを外すとき笑う
×インタビュー受けるにマスク外さぬ子

 ランナーズ俳句チーム快走ならず。愛媛マラソンでの活躍を期待するばかり。


一回戦 第二試合

×紅 子猫の友(ともぞう、小木さん、ねこ端石)
○白 RMB(西蓮寺ラグナ、亜桜みかり、渡辺瀑)

 先鋒戦
×マスクしていい子でいたいおりこうさん
○漫談やマスクのゴムの緩みだす

 次鋒戦
×舌打ちをマスクで隠すホームかな
○福耳の五人あつまるマスクかな

 大将戦
×東からPMマスクする日本
○言い訳はしないマスクの眼に光

 「おりこうさん」に微妙に心が揺れた。ともぞうさんの「ディベート」とは言い難い「口撃」もおなじみとなった。負けたとはいえ、子猫の友、毎年ステージに上がってくるとはスゴイ。


一回戦 第三試合

○紅 プリマスロックA(ドクトルバンブー、マイマイ、ひなぎきょう)
×白 成木責(蓼蟲、ちろりん、てんきゅう)

 先鋒戦
○レジ打ちを終えてマスクの目が笑ふ
×マスクとるカレーの香りのする隣

 次鋒戦
○黙々とマスクや瓦礫の山めざす
×マスクあるから泣くのは恐くないから

 大将戦
○マスク外し唄えば空の泣きそうな
×疾走すマスクの人と回収車

 相手チームの句に感動して褒めちぎって負けてしまった成木責。ちろりんさんは鶏の餌をやりにさっさと帰って行った。前回しゃべりすぎて負けたので、おとなしくしていた蓼蟲さん。今回はおとなしくしすぎて負けたと反省。


一回戦 第四試合

○紅 三色すみれ(更紗、かのこ、空)
×白 俳句ラボチームA(山口陽子、野住朋可、木田智美)

 先鋒戦
○教室へ飛び込む児等のマスクかな
×ポケットにマスクぶち猫従えて

 次鋒戦
○マスクの中の小さき安堵や首都を行く
×マスクして強気の人となっている

 大将戦
×百人がマスクはずして聖廃墟
○マスクはずしても歯科衛生士でした

 目の前にいるいつき組長が怖くてドキドキしたという大学生の俳句ラボAチーム。生き生きとした光景の佳句を守りきることが出来なかったのが敗因。


準決勝戦 第一試合

×紅 宙船(樫の木、みちる、恋衣)
○白 RMB(西蓮寺ラグナ、亜桜みかり、渡辺瀑)

 先鋒戦
×冬うらら長所の欄に書く笑顔
○長崎の鐘荒星を砕くかな

 次鋒戦
×長話終はらぬままに冬終はる
○玻璃長きパンダ展示舎へ冬帽

 大将戦
○寒雷激し長城に降る砂だ
×長針の少しおくれて寒の月

 宙船は、3月で松山を去るみちるさんの有終の美を飾るべく恋衣さんの凛としたディベートが光った。


準決勝戦 第二試合

×紅 プリマスロックA(ドクトルバンブー、マイマイ、ひなぎきょう)
○白 三色すみれ(更紗、かのこ、空)

 先鋒戦
○初東風へたとえば妻の長き髪
×野を渡る馬頭琴の音長き夜

 次鋒戦
×長文の詫び状に印雪催
○全長七里虹大空を咆哮す

 大将戦
×冬うらら駅長の礼ゆるやかに
○着ぶくれて首長族の面を見る

 大将戦までもつれ込んでの激戦。「礼ゆるやかに」の映像効果を評価して大和先生が一本旗を揚げたが、オリジナリティのある三色すみれの句の勝利。グルメ句会のプリマスロック句会が、負けてはしまったが俳句での実力も発揮した対戦となった。


決勝戦
○紅 RMB(西蓮寺ラグナ、亜桜みかり、渡辺瀑)
×白 三色すみれ(更紗、かのこ、空)

 先鋒戦
○半身は透きて歩めり雪の尾根
×粉雪の夜にラフマニノフの余韻

 次鋒戦
×雪の夜の内耳の海に落つ波紋
○雲の匂ひ軒の匂ひに雪を知る

 大将戦
○子離れをすること雪を愛でること
×ゲネプロの二時間延びて雪の窓

 100年の旗手の連載を3ヶ月間共にして結成したRMBに、決勝という舞台に戸惑いつつも善戦した三色すみれのメンバーだった。



まる裏参戦記「信頼とビックマウス」
西連寺ラグナ

 数年間「三日月T」のチーム名で桜井教人さん、亜桜みかりさん、自分、の3人でまる裏に参加して来て、昨年優勝する事が出来た。それも、目標としていた『出れば常勝』と云うチーム「ぴとり」を破っての優勝だった。感激で泣きそうになった事が懐かしい。
 今年は桜井教人さんが審査員をする事になったので、新たにチーム「RMB」亜桜みかりさん、渡辺瀑さん、自分、を結成。実はこのチーム、俳句マガジンいつき組の2008年十二月号〜二月号まで「100年の旗手」を担当した仲間で、当時みかりさんが、其々の頭文字をとって「RMBで頑張ろうね」と命名。
 今年も、どうにか本戦に出る事が出来たのだが壇上に上がると緊張してしまう。
言いたい事の半分も言えない自分がまどろっこしい。
 一回戦を勝って二回戦の初めだったか、何か一言と言われ、緊張のあまり「ディフェンディングチャンピオンになります」と、自分とチームメイトを鼓舞するために大口をたたいてしまった。
 何て事を……と思っても後の祭り。しかしこれで気合が入ったのも事実。
 自分が思っている事の半分しか言えなかった事を、チームメイトの二人がカバーしてくれる。自分もそんな二人のために一生懸命になれる。これが、まる裏の醍醐味なのだ。
 今年も優勝する事が出来たが、それはチームメイトが居たからであり自分一人の力では決して無い、互いが互いを思いやり一つの目標に向かった結果なのだ。
 最後に、大口をたたいて結果的に優勝する事が出来てホッとした……疲れた〜。 



初体験!まる裏俳句甲子園
杉山久子

 「無理」。審査員のお話を頂いたときまず出た言葉でした。観戦もした事ないのに審査って。しかしそこはキム編集長、うんというまでああ言えばこう言われ丸め込まれてしまいました。九連休もあったお正月休みも休んだ気がせず、お餅も喉を通らず(うそ)。とうとう前日天候悪化でフェリーが運航中止にならないかなと期待しましたがそう上手くもいかず。
 そして当日、まずは句会ライブを見学です。皆さんお題が発表されてから5分で一句作ってます。組長と板倉卓人さんのやり取りはほのぼの笑えます。しかし驚くほどいい句が出てます。たった5分で!
 だんだん出番が近づいてきて用意していただいたお弁当も喉を通らず(気づいたら完食してました)。審査の基準を書いた紙をもらったけど頭に入りません。経験者のあねごさんに聞いてみます。まず句の評価を下してディベートに左右されない内に、ディベートが始まる前に点数をつける。ディベートを聞いて点をつける。と、今書いてみたら簡単そうですが、実際は……。
 審査員席に座ると紅白の旗が置かれています。立派な作りでビビります。こ、これを上げるのか。いつきさんが横で教えてくれたように発表された句を審査メモに書きます。え〜とどっちの句がいい? 何点と何点にする? などと迷ってるうちにもうディベートは始まってる。しかもどんどん話が進んでる。あっという間に攻守交替。交替したチームが話し出すとさっきの話はもう忘れてる。どっちもいい句が出た。どこで差をつけよう? などど考えてるうちにディベートを聞きのがし、恐るべきスピードで進んでいきます。
 それにしても、皆さん短い時間でいい句を詠まれ、相手の句に対しては瞬時に指摘。多分日頃から鍛えられてるからこその瞬発力なのだろうな〜と思いつつ、何に関してもゆるゆるペースの私は目が点になってる内に終わってしまいました。へなちょこ審査員でホント申し訳なかったです。
 印象深かったのはスタッフの皆さんの素早い動き、スムーズな進行。舞台上に瞬時に映し出される句。メカ音痴の私から見るともはや神業です。昔は紙に書いてて乾かすのが大変で……と打ち上げの時お聞きしましたが、一つ一つ試行錯誤しながらここまで来られたのだろうと頭が下がる思いでした。
 帰りのフェリーで大和さんから頂いた松山東高校俳句部の『金平糖』誌を読みました。高校生達の俳句に寄せる熱い思いに心打たれると同時に、まる裏を通して今回直に触れることが出来た、表の甲子園を支えたり目指したりしながら自らもとことん遊びつくす大人や子供の皆さんの輝きが忘れられない旅となりました。



まつやま俳句でまちづくりの会通信スペシャル
「Facebook×mhm まる裏俳句甲子園の裏」
暇人

 今年のまる裏の裏は私的には昨年以上に「バタバタ」としたものに。その序章はまる裏二日前の1本の電話からでした。電話の主はキム編集長、「暇人君、昨年打ち上げ会場で使ってした居酒屋が日曜定休となってしまったので、福家に相談してくれないだろうか」という電話。福家とは、まる裏俳句甲子園のパンフレットの広告も頂いている、松山市内の居酒屋。まる裏の打ち上げ参加者といえば30〜40人という大人数が参加し、毎年打ち上げ場所に苦労していたのだが、ここ数年ようやく大手居酒屋で落ち着いていた。しかしここに来て「日曜定休」という壁にぶつかるとは。
 早速「福家」の光輝く(写真参照)店長松木さんに相談。何とか無理を言って応じてもらえることに。この件はなんとか解決。もちろん打ち上げが盛り上がったのは言うまでもありません。
 話が完全にそれましたが、本番でも「大きなバタバタ」が裏でございました。事は本番当日の朝のことです。今回は地域wimaxとテザリングでネット回線を確保し、何とかネットに繋がり早速Facebookで昨年と同様に試験送信を行おうとしたときでした。Facebook内の「mhmページ」(いつも文末でご案内しているところ)で設定を行おうとしていたら「質問する」の項目がない…何でと思い原因を探るとどうもFacebookの機能見直しがあった様子。そこでおなじくFacebookでもうけている「mhmグループ」を観るとまだ「質問する」が残っている……ということで、急遽ページに「いいね!」をつけているユーザーを「グループ」に登録するよう誘導する手配を行いました。昼休みに登録方法がわからないと言う方がちらほら、その対応に追われました。
 なんとか誘導していたら、いよいよ本番。今回は私自身がFacebook審査員を代表し旗を上げることに。「まだまだ俳人」の私が旗を上げるのはこんな機会が無い限りあり得ないこと。ただFacebookの反応を見ながら上げるだけなので気軽な気分なんだけど、システムエラーで判断が付かないときは私の判断で上げなければならないという気の重い面も。このときはエラーが起こらないことを祈るのみ。
 最初のうちは順調に進んでおりました。が、しかし途中で2回エラーが起きました。一つはノートパソコンが突然固まる……いわゆる「フリーズ」が発生。もう一つは私の誤植によるエラー。いずれも無理矢理私の判断で旗を上げました。
 エラーが発生したもののなんとか2度目のFacebook審査員の試みは終わりました。皆様ご協力ありがとうございました。
 今回の反省点は、当初ページに登録された135名余りを対象に審査員を予定しておりましたが、Facebookの仕様変更の影響でグループ登録者37名にて審査を実施したこと。何となく前回より、審査の公平性が薄れたのではないかという懸念があります。Facebook審査員に対しては、組織票がはいるのではないかというご意見も頂きましたが、まあFacebookの名の通り、基本的に匿名による登録が出来にくいシステムで、また投票された方が誰なのか一目瞭然であるため、まさか組織でやったとしたら本人達が恥ずかしい思いをするだけでございまして……。組織票はなかったと判断しています。
 今回は急遽対応でFacebook審査員を行いましたが、次回のまる裏で行うかどうかは、Facebookで出来なくなっている可能性もあり未定。以前のmhm通信で記述しましたが次こそやってみたい試みもあります。それが実施出来るかどうかは今後定例会等で話し合いとなりますが……。 ということで「まる裏」をもっと面白くしたいと思われた貴方、mhm定例会に参加しませんか? 詳しくはご案内にて。

次回のmhm通信は「ギヤマンに出会ふ」の報告をお届けします。


 mhmでは引き続き松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議が行われます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)または Facebook(http://www.Facebook.com/mhmhaiku)まで。



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百年百花


大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2013年度 第三期 最終回


「あたたかし」行広遊人


紅梅の数へる程の花のかず
二ン月の昼の明かりの長廊下
牡丹雪庭園灯の消えぬまま
一角のがらんとバレンタイン過ぐ
春寒やロックンロールでも踏まうか
やはらかな風吹きにけり犬ふぐり
沈丁の花の初めの一花より
下萌やラジオ体操二番まで
薔薇の芽の太き薔薇の棘の細き
春水やさざ波うばひあふ光
エクスタシー雲雀日和のひばり鳴く
星空の底に目覚めてあたたかし


最終回となりました。ただ今ホットしております。ありがとうございました。




「恋する猫」マイマイ

実家帰ってアロエの花の蜜吸って
大根のしなっと煮えてしまった由
鬼やらい鬼の眼鏡の螺子飛んだ
巻き戻す椿を置いたところまで
末黒野や勇気推奨されている
こんなにも春三日月が落ちてきた
魚氷に上る事件と事故の両面で
カラスノエンドウだってきっと走っている
ぶらんこに乗ってイスタンブールまで
啓蟄の非常ボタンの艶めく赤
シュレディンガーの猫も恋する猫ですか
鳥帰る日時計は日を失って


母の得意料理に白菜の牛乳スープがあった。白菜をバターで炒めコンソメで煮てくたっとなったら牛乳を入れ塩胡椒で味を調える。肝心なのは魚肉ソーセージを入れること。私も試しにベーコンや鶏肉を入れてみたこともあったのだが、なぜか魚肉ソーセージが合うのだ。ブロッコリーを入れるのが妻流でこれも美味しい。




「春の太陽」谷さやん

一月の大阪に棲むオニオコゼ
訃報ありダウンコートの羽根はみ出
雪よりつめたアザラシの鼻先は
節分の豆が浮いてる水たまり
鰐見しは先月のこと花種蒔く
ちりちりと空気を破るヒヤシンス
ぽつかりと埴輪のやうな春の馬
春駒見てフランス仕込みのスープのむ
風光る時計修理は窓向いて
どれからそそご水差しの春の水
ぺんぺん草振るトンネルの声響かせて
春の太陽ストップウォッチ握る


1958年生まれ。句集『逢ひに行く』で、宗左近俳句大賞受賞。坪内稔典/谷さやん共編『不器男百句』(創風社出版)。評伝『芝不器男への旅』(創風社出版)。




「この頃」大塚迷路

今日はほれ着膨納めくるっと回る
寒明や言葉寝かせど蔵の白
対岸は此処立春の波頭
川はみな川という字を持ちて春
薄氷の解けるをパンの焼けるまで
通勤路逸れ淡雪をゆっくりと
わが荼毘の煙身に在る春の事
でもそれは紙風船の中のこと
春の月石垣の隙間も奥も
鴨帰るあふるる翼もて余し
着々と大器晩成木の芽張る
この頃は道を聞かれず春の雨


大器晩成便利なことば
人それぞれの晩年に
人それぞれの大器あり
大器晩成素敵なことば ふふ




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読者が選ぶ人気俳人!

100年俳句計画作品集 100年の旗手


(2014年1月号 〜 2014年3月号 3/3回目)


 被食者 鞠月

春浅し壁にガス管水道管
春手袋アンケートにはすこし嘘
被食者としてヌーが居て浅蜊居て
火球爆ず春鹿眠らせぬように
春の雪この掌を寄る辺とせよ
鳥瞰図あれば蛇瞰図麦を踏む
梅東風や百号キャンバスに女神
春宵の指にてらてらオブラート
糸電話みみ くち みみ くち みみ うらら
春セーター腕は一人を抱く長さ


高知県出身、愛媛県在住。5歳と1歳の二児の母。2010年10月、土曜カルチャーに飛び込む。きょろきょろしながら歩く癖が俳句を始めて長所に変わりました。宇宙大好き理系人間。



 空洞の目 樹朋

能面の広き額や冴返る
末黒野の草の息吹に雨やさし
ものの芽のほぐる地軸のまた弛む
上顎を蹴り白魚の抵抗す
目刺焼く空洞の目に敵意あり
釉薬の豊かに垂るる春の月
羊水のゆらぎの中の朝寝かな
陽炎に布を染めなばきはだ色
塩桜おのが香りにほぐれゆく
春を笑む目と口のみの木端仏


1944年生まれ。松山市北条在住。定年退職後は、樹木医をしながら、好きな樹木を相手にして楽しんでいます。俳句は六十の手習で始めました。今は土曜カルチャーにお世話になっています。



 恋文 たま

草の香や円墳濡らす春の雨
水温む風が一声かけていく
ハーブ香る春のパスタやペリー軒
春の月ワルツ色なり恋文は
鳥曇り門扉の錆ぶる知事公舎
花街や真昼は眠く雛の目
ピアノはリスト恋するスイトピー
リラ冷や礼拝堂に膝折る娘
春日傘ひとりぼっちの汀かな
春愁はカスピの湖になげるべし


2010年「ザ いつき組」に初投句。現在は「自由律」に投句です。ちょっとした事にも感動。好奇心が湧いてくる俳句の世界。これからもアンテナをめぐらして楽しく華のある日々にしたいと思います。



次回4月号〜6月号連載者決定

 「100年の旗手」では毎月、読者の皆様より「この人の作品集を読んでみたい」という気になる俳人を、1人3名まで推薦していただいています。
 11月〜1月の推薦数を集計し、多くの推薦が集まった方に編集室より執筆を依頼した結果、連載を行う3名が決定しました。

 かのんさん
 妙さん
 八木ふみさん

 来月号より3か月間、こちらの3名が作品集を連載します。
 お楽しみに!

随時推薦募集中

 次々回連載者の推薦も募集しております。集計期間は4月末までとなります。集計は累積ではなく、毎回新たに集計しています。
 今回連載を行った3名の作品集の感想もお待ちしています!


読者が選ぶ人気俳人!
「100年の旗手」連載者推薦募集

 今求められているのは、読者が読みたいと思う俳句作家。「100年の旗手」は、連載する俳人を、編集室ではなく、読者が選ぶコーナーです。
 「この人の作品集を読んでみたい」と気になる俳人を、1人3名まで推薦してください。その中から、推薦の多かった方に、編集室より原稿依頼を行います。
 あなたのお勧めの俳人を是非推薦してください。

 推薦の方法

「この人の作品集を読んでみたい」という人を3名まで選んで(自薦は不可)、その俳号と活動場所(句会、誌面等)、推薦者ご自身の俳号(本名)、住所、電話番号を明記して、100年俳句計画編集室「作品集推薦」係へ送ってください。ハガキ、FAX、Eメールで受け付けています。Eメールの場合は件名を「作品集推薦」としてください。また、専用のインターネット投稿フォーム(http://www.marukobo.com/100kishu/)でも受け付けています。※投稿フォーム利用の場合を除き、推薦は他の投稿等とは分けてください。

締切 3月末日

 現在連載している3名の方以外なら、一度連載された方も含め、どなたでも推薦できます。
 今回連載を行った3名の作品集の感想もお待ちしています!


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百年琢磨

 海の唄 津川絵理子

「銀の口」 たま

回廊や朱の剥落の冴え返る

 寺院の回廊だろうか。とくに底冷えする場所である。しかしもう冬ではない。剥落しつつあっても、朱という色には生気が宿っていて、早春の季節感と合っている。

ヒヤシンス神父と尼僧すれ違う

 神父と尼僧の組み合わせは、神父と神父のそれとはまた違う趣がある。聖職者同士であり、男と女である、という微妙な捻りが、清潔感と緊張感を醸し出す。ヒヤシンスがそれを象徴している。

蛤や夜半の厨に海の唄

 海の唄とは、蛤が出す音のことなのだろう。静かに海を想う唄である。


「眠そうな兎」 鞠月

寒昴煌々陣痛促進剤

 陣痛促進剤というインパクトのある言葉を使っているのにそれが目立ちすぎない。寒昴とこれから生まれてくる命の輝きには、共通点がある。

桃色の手袋の子やはり迷子

 桃色の手袋、というのがいかにも幼い子供らしくて可愛い。その子が誰かを探しているようなので迷子かな、と思う。少ししてやはり迷子だと確信する。「やはり」という措辞、句またがりの構成が逡巡の間を感じさせ上手い。

息吐いてドア開くバスの淑気かな

 バスのドアが開く時音がする。それがバスの息と感じたところが面白い。確かにそう聞こえる。


「若水」 樹朋

水風呂にかすかな油膜年惜しむ

 風呂に油が浮いているのは、あまり感じのいいものではないが、人の存在がそんなところにも感じられる。懐かしい気持ちにさえなるのは、季語が効いているからだろう。

ゆく年や鏡の顔の不均衡

 人の顔はもともと左右対称ではないが、鏡に映すとさらに不均衡に思えたというところが面白い。「ゆく年」により心理的なものを感じさせる。

寒月や直線のみの裁断図

 裁断図なら直線と曲線の組み合わせが多いと思うのだが、ここが意外である。月は曲線だが、寒月はその言葉の響きから直線的なものを感じる。そういう相似が面白い。


津川絵理子
1968年生れ。「南風」所属。句集『和音』。平成19年、俳人協会新人賞、角川俳句賞受賞。


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新 100年の軌跡


2013年度 第二期
最終回


家系図 若狭昭宏

初雪やマンボウ代わる代わる浮く
星朽ちるたびに鯨の鳴きにけり
北窓開くらしくなくっていいじゃない
家系図を離れ硝子の雛かな
春星や鍵は一つで足りなくて
即興の一人二役花菜風
真っ先に飛び出す子豚春の雪
春先のスコーン食める乳歯かな
蛇穴を出づる農夫の声太し
啓蟄や油絵めける作業服
遊園地ほのかに明かし春の宵
マンボウの一匹垂れ目涅槃雪
朧夜の地球訛りの蓄音機
嫁菜摘む教会の鐘遠く置き
なぞなぞの解けた人から卒業す


若狭昭宏
1985年12月8日生、広島県出身。安芸南高校より第6回俳句甲子園出場。俳句Webマガジン「スピカ」2013年8月連載。




よい歯の日 川又 夕

寒紅や太陽(ティダ)に翳せる薬指
小夏にて誓ひの先に海在りぬ
風花の俳都嫁入り支度かな
親不知棄ててフィレンツェ冴え返る
心臓はあばらの檻へ水温む
平らかな腹部撫でゆく雪の果
嫁菜摘む肩幅広き展開図
少し首傾げてみせて姫椿
蛇穴を出づ五指使ふたびをんな
夜香蘭新居の鍵の密やかに
旧姓へ深呼吸鳥雲に入る
春潮や腕を広げれば翼
「未だ」といふ乳房の温度鳥交る
しまうまの色の溶けたる花衣
卯月十八日をとこにはしるし


川又夕
1987年愛媛県生まれ。愛媛県立今治西高校、同志社大学卒業。10年前より俳句甲子園に3年連続出場。第2回NHK学生俳句チャンピオン決定戦優勝。NHK松山放送局勤務の傍ら、1月1日に句集『嫁入り支度』上梓。




雪 樫の木

初雪やマンボウ代わる代わる浮く 若狭昭宏
 初雪が落ちてくる。マンボウは雪を餌と勘違いしたのだろうか、代わる代わる浮かんでくる。ユーモラスなのにどこか寂しい。静かな時間を繰り返す。

啓蟄や油絵めける作業服 若狭昭宏
 油絵のように汚れが厚くこびり付いた作業服がリアル。啓蟄の地虫のように作業員がマンホール、自動車の下などの狭い場所から這い出してきている。

心臓はあばらの檻へ水温む 川又 夕
 心臓は「心」のある場所。心臓と共に心もあばらの檻へ囚われる。だが反面心臓(心)はあばらに守られている。それが分かっているから心は落ち着かない。「水温む」で血の生温かさを意識してしまう。

平らかな腹部撫でゆく雪の果 川又 夕
 「平らかな腹部撫でゆく」のは触感で滑らかな印象を受ける。「雪の果」からは薄く積もった雪が見える。いつの間にか雪は皮膚となり腹部は平らかな雪野となる。

 今号で第二期は最終回。若狭さんは「〇〇図」、川又さんは「〇〇の日」という表題での連載でしたね。私も6回の連載を続けて読み返したいと思います。


1965年愛媛県生まれ。大分県在住の家具職人。第5回選評大賞優秀賞。



虚の世界 都築まとむ

春星や鍵はひとつで足りなくて 若狭昭宏

 この鍵は家とか部屋の鍵というより、何かを解く手がかりのようなものと読みたい。ひとつひとつ違う形の鍵を手にすることで、次の世界に入って行ける。「足りなくて」という切れのない形が、次々に現れる扉を予感させる。春の星はそんな作者を見守る。


心臓はあばらの檻へ水温む 川又 夕

 常々あばら骨は鳥籠に似ていると思っていた。この句を見たとき、鳥籠に入れられた心臓を想像した。鳥籠は正に「檻」。その「檻」に守られて心臓は飼われるのだ。
 「心臓はあばらの檻へ」この印象的なフレーズに惹かれる。このフレーズに合う季語の選択には迷ったと思う。ここは「水温む」以外の季語のほうが、このフレーズが活きるのではないだろうか。私も歳時記をめくってみるつもり。


1961年愛媛県八幡浜市生まれ。自分の句歴11年に驚くばかり。第3回選評大賞優秀賞。


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超初心者から中上級者まで楽しめる
100年投句計画

 「100年投句計画」は、読者の投句コーナーです。

 「選者三名による雑詠俳句計画」は、雑詠句の選句欄です。投句の中から先選者二名が、それぞれ天地人の句を選び、先選より漏れた句の中から、後選者が特選、並選を選んでいます。今回の先選者は、阪西敦子さんと加根兼光さん。後選者は、関悦史さんです。

 「へたうま仙女」は、ヘタな句を褒め、巧い句を追放する、世の選句欄とは真逆のコーナーです。どんなにヘタな句でも褒めてくれるので、自分の俳句に自信のない方、何はともあれ褒めて欲しい方に最適(?)。担当は杉山久子さんです。

 「自由律俳句計画」は自由律俳句の選句欄です。自由律俳句に挑戦することで、自由律俳句ならではの楽しさを味わうと共に、有季定型の俳句との思わぬ共通点も見えてきます。選者は、きむらけんじさん。

 「詰め俳句計画」は、マイマイさんによる、二つのフレーズに合う季語を投稿するコーナーです。季寄せや歳時記さえあれば、全くの俳句初心者でも挑戦できます。
(投句方法は「100年投句計画」コーナー末尾参照)
写真:白鯨


選者三名による雑詠俳句計画


先選者 関悦史

 長く使ってきた石油ボイラーが不意に故障し、十日近く風呂に入れずにいました。古い製品なのでメーカーにも部品が残っていない。ネットでボイラー業者を探し、応急処置で一応使えるようにはしてもらえましたが、完全に壊れるのはどうも時間の問題らしい。
 大震災の後、水も石油も手に入らなくなって、余震ばかり来る中、屋根が落ちた家で半月以上風呂に入れずにいたのを思い出しました。この三月で丸三年です。



初暦ルドンの花のあふれける 幸

 ルドンといえば幻想的で奇怪な木炭画がよく知られていますが、それとは対照的な、三原色全て入ったようなカラフルな花の絵も多く残しています。カレンダーに有名な画家の絵がプリントされていたとなると誰の名でも入りそうですが、「初暦」の気分の浮き立ちと、「あふれける」の満足感、幸福感を引き出す重石となるには、重い滑らかな音韻からも、象徴主義的でカラフルな画風からも、ルドンの名はふさわしいといえるでしょう。



松過ぎの山羊に引かれて少年は もね
 山羊も意外とその辺で放牧されていたりするので、こういうこともあるのでしょう。「松過ぎの」が間抜けなようなめでたさを出していて、「は」で開いたままの終わりが「牛に引かれて善光寺参り」の途次のような楽しさ。

廃屋に崩れる瓦寒椿 ほろよい
 廃屋、廃校、無人駅などは材料の情緒にもたれかかって駄目になる句が多いのですが、「崩れる瓦」の細部からの把握力で不意に具体感が出、ただの概念ではなくなりました。「寒椿」と張り合って力感も出ています。

黄身二つ出でて三月生まれけり 七草
 「黄身二つ」の過剰な意外さに不意打ちされた途端、ただちに「三月〜」へと飛躍し、卵から何かが生まれるのは当たり前の連想ではなどと言わせる暇もなく、「三月」という抽象が「黄身二つ」という物件に化けて鮮やか。

おとがいの少女めきたり石鹸玉 あい
 シャボン玉を吹く無心の動作から「少女めく」まではすんなり発想できるでしょうが、「おとがい」が妙に利いています。下あごのことなので、骨の形まで変わるわけはないのですが、それで却って線が細く見えてきます。

ぎやまんの酒器の七色春隣 あおい
 無機物ではあっても煌びやかな題材なので、そこから春の到来を感じるというのは、珍しい発想ではなさそうなのに新鮮な説得力があります。「七色」の発見以外作者が判断じみたことを述べず、うまく結晶した感あり。



境内に届く波音夜の梅 のり茶づけ
初詣正面にふとかばの尻 藍人
秋葉原4Kテレビに淑気満つ はまゆう
じいさんの集い賑やか冬の浜 青蛙
食卓の会社四季報春霞 ゆりかもめ
下萌や僧遺したる笛二本 てん点
大寒の地へ太枝を切り落とす ポメロ親父
慎ましき食卓におる雪だるま ふーみん
黒猫の黒き肉球月氷る ひなぎきょう
青黒き銃光りおり寒明くる たっ君


先選者 阪西敦子

 はじめてのところへ旅行した。こんなときは思いつく限りの関係者に、そこへ行くことを告げて情報を募る。雪の状況にあったレンタカーが選べ、高速が通行止めになった空港から宿まで先導してもらい、海を見ながら食事し、滞在中に食べたものくらいの値段で快適な宿に泊まり、立派な神社を見逃さずに済み、素敵な焼酎がおみやげに買えた。友人の友人と知り合うことができて、元々の友人とはもっと親しくなれた。



残る雪踏めばぼそりと日暮くる ターナー島

 残雪を踏んでみたら、ぼそりとしていたという。食べ物や人の話し方や、そんなことに言われるオノマトペ「ぼそり」が残雪に使われているのは、もう残雪が里になじんでしまったような感じもあって、もちろん面白いのだけれど、そののちの「日暮くる」がさらになんともいえない。ぼそりと日暮れが来たようでもあって、残雪と日暮の間柄を示すこの上ない一語になっている。無理や衒いもなくて自然なのだけれど、ありきたりではない。



雨風を吸い立ち上がる枇杷の花 青柘榴
 枇杷の花は華やかではないが、香りがよくて実はたくさん咲く。その香りのあたりが「雨風を吸い」「立ち上がる」らしいと思う。「立ち上がる」は形状かもしれないが、枇杷の花への賛辞でもあろう。

ぎやまんの酒器の七色春隣 あおい
 「春隣」のただただ気持ちの良い句。「ぎやまん」はモノフェチも言葉フェチも、ノスタルフェチもみんな喜ばせる万能語。酒器であるところにまたファン層を広げ、多方面外交ここに成立。まさにアイドルのような一句。

日脚伸ぶ尾鰭は泥を巻き上げて もね
 何の尾鰭とは言ってないので、魚の大きさはわからないけれど、泥を巻き上げる動きが見えるほどの大きさであって、近くで見られるほどには小さいもの。鯉くらいか。そのぽつりとした動作に日脚の伸びることを思う。

満員の窓にマスクの静かなる 紗蘭
 満員であってもマスクをしたおそらくは他人同士なのだから、静かであることはいわずもがなで、不思議でも何でもないのだけど、改めて言えば印象的。「満員の窓のマスク」のリズムがいいことも言わずもがな。

バス停の明るさに雪積もり初む 雨月
 バス停の明るさとはなんだろうか。停留所名の表示塔(というのか)かもしれないし、人々がバス停と認識するあの空間のぽかんとしたところではないかとも思う。そこへまず雪が積もり始める。行く道の遠さも思われる。



黒猫の黒き肉球月氷る ひなぎきょう
青黒き銃光りおり寒明くる たっ君
松過ぎの山羊に引かれて少年は もね
啓蟄やボクサー犬の身じろがず あい
まず吾子を抱きよせて後初鏡 幸
病室の波形正しく山眠る あらた
境内に届く波音夜の梅 のり茶づけ
咲きゐたり散りゐたり山茶花の午後 緑の手
東より空現るる春の雨 七草
峠に立てば風花の横つ飛び ポメロ親父



後選者 加根兼光

 もう30年以上もドイツに住んでいる幼馴染のブログを時々のぞいては書き込みもする。先日は亡くなった指揮者のクラウディオ アバドへの追悼の言葉だった。彼はもともと美大を出て藤原歌劇団の舞台監督をしていたが本場の音楽に触れるため渡欧したのである。だが音楽の仕事には就かず私と同じ広告の世界に身を置いた。しかし音楽を聴くことは続け、私的には羨ましすぎる生活。また今年も初夏に日本で飲み交わすことだろう。


特選句
口吻は菱形水仙は真白 緑の手
 やや尖った口。怒っているのか何かを主張しているか。水仙の白さがその口の語る真直ぐな内容も現わし凛とした句姿になっている。

降る雪や鉄路の果てにある故郷 一心堂
 草田男の名句を想起させた上、故郷への物理的心理的距離感を中七で結球させた。故郷は帰れないから心の中に大きく存在する。

天の青孕み飛瀑の結氷す 哲白
 天から舞い降りたかの青を「孕む」滝はその天の色のままに凍る。「結氷」の語感が荒々しい形のままに凍る姿を現し得て上手い。

冬ざれや星屑色のスニーカー 理酔
 寂れた冬の景に取り合わされたのは靴の色。星屑の色であるから小さな輝きである。冬を踏むに相応しい。存外素直な読みぶりも好感。


並選句
船長の厚き唇鰤起し 杉本とらを
新妻の春七草を刻む音 こぼれ花
飼犬の人の眼をして雪催 のり茶づけ
初授業笑顔で交わすハイタッチ 富士山
紫雲英田をあくがる妻は今は空 レモングラス
冬の雲破れて遠き蒼こぼす みちる
捩り花人の噂を聞きにけり 迂叟
初春に龍の如く雲のをり ペプチド
あご乗せる小さき台や息白し あらた
初明り受けて車の走り出す ぴいす
男子女子還暦祝いの伊勢参り ぎんなん
破魔矢持ち胸張り辿る我が家かな れんげ畑
五十年続けて同じ日記買ふ 輝女
冬晴や飛行機雲と昼の月 未貫
長所無き氷を割っていい権利 紗蘭
唐傘のお化けの群れる雪囲 樹朋
春浅し遺影の父の長き顔 蓼蟲
冬将軍聞きかじるヒートショック かのん
ひさびさに試すスパイク日脚伸ぶ うに子
さわさわと森は時雨るる前に鳴く 和音
ストリートライブ始まる雪催 小市
冬暖し水を豊かに用水路 ほろよい
霏霏と雪ひりつく足の手術痕 一走人
大寒の口開けて待つ点眼器 一走人
路傍にも優しい光若菜摘む 八十八
寒の水沸かす青き火夜明け前 八木ふみ
口吻は菱形水仙は真白 緑の手
閉店決まった美容院やマスク外す 紅紫
着ぶくれて使ふあてなき割引券 雨月
初富士や入山料などと言う あきさくら洋子
鶏の霜かき蹴って漁る餌 お手玉
堤防に海猫三羽三日かな おせろ
ファスナーを下ろしくすぐる白き息 元旦
日脚伸ぶ画家の手帳の英単語 てん点
大寒の夜を団扇太鼓行く 妙
寒月の欠片カーテン抜け入りて 不知火
出し汁にかつこつ割り込む寒卵 不知火
軒先の上靴の雨冷たきて ふーみん
書初の瞳清しき大書院 一心堂
縄文の血を引く吾や枯蓮 空
真ん中の指だけいつも霜焼る 空山
冬銀河世の中知らぬ事ばかり まんぷく
枯園の中の私手は櫂に しんじゅ
寝正月テレビの内容夢に見る まこち
見上げれば眼に似たり冬の月 ひでやん
寝て起きて三度の食事去年今年 省三
A型のくせに悪筆年賀状 ちろりん
狼の吠へて一山微動なる 人日子
山荘を守りきて夫婦年惜しむ むらさき
初詣四文字熟語の願い事 北伊作
足の無きマネキン人形春浅し 北伊作
赤糸を確り結びせりなずな えつの
時雨るるや悲しきまでに花柳街 鯉城
問ふ子かな焚き火の煙昇るわけ 松ぼっくり
大渦流る大橋の初茜 カシオペア
夥しき光の筋や初御空 青柘榴
提げてくる鶏冠赤し冬の風 ターナー島
虎落笛耳石震わせ喧嘩酒 理酔
東雲や波のほどけて白魚網 あおい



関悦史(せきえつし)
1969年茨城県生。「豈」同人。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』(以上、邑書林)、『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(以上、草思社)他。雑誌「現代詩手帖」俳句時評欄担当(2012年1月〜)

阪西敦子(さかにしあつこ)
1977年神奈川生まれ。1985年より作句、および『ホトトギス』生徒児童の部へ投句、2008年より同人。「円虹」所属。 2010年、第21回日本伝統俳句協会新人賞受賞。共著に『ホトトギスの俳人101』『俳コレ』など。

加根兼光(かねけんこう)
1949年大阪生。俳句集団「いつき組」組員。第9回俳句界賞受賞。



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へたうま仙女


文 杉山久子

 日脚も伸びてきてうきうきそわそわする頃、調子はいかがかしらね。ヘタウマ句の世界にも着々と個性が育ってきてるのが嬉しい春だわ。

パソコンの指の乱れて年明ける ケンケン
元旦やアイスクリーム2つ食う ケンケン
 年末からパソコンをたたき続けかい? そりゃ乱れるわな。でもって食生活も乱れがち? この流れに逆らわないゆるゆる感、いいわ。

 家でゆるゆるする人がいる一方、出かけてゆるゆるする人も

旅先のいつもの席で焼栄螺 未々
 自分の旅の中の一つの儀式なのかもね。それにしてもシブイわね〜。栄螺の香ばしい匂いが漂ってきてたまらん。

女正月することもなし親娘 柊つばき
 せっかくの女正月を所在なくいるって事はよほどの働き者か元から何もしなくていい身分か? 下五の屈折感に何やら向田邦子の正月ドラマ的匂いも。

キッチンや私の母は生母花 KIYOAKI FILM
 きっと料理上手なお母様。母への愛情が万華鏡のようにスパークしてぐっとくるわ。

となりには今でも妻が春隣 小木さん
 切ないわね。平仮名の導入部も優しく、どんだけ隣にいてほしいんだか。

寒凪やなにをいまさら面会謝絶  台所のキフジン
 殴り込みをかけるような勢いに圧倒されます。す、すみません。どうぞ会ってやって下さいまし。

 以下、追放。

肘ついて食べるトースト春炬燵 大阪野旅人
 春のとろんとした空気を感じるわね。なんとな〜く春愁の思いも漂わせて美味しそうなトーストが見えてくるわ。

待春や猫の額に皺がある ひでこ
 新発見! 酸いも甘いも噛み分けた猫の表情が目に浮かぶ。してやられた。



杉山久子(すぎやまひさこ)
1966年生まれ。第二回芝不器男俳句新人賞。句集『春の柩』、『猫の句も借りたい』『鳥と歩く』。


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自由律俳句計画


選者 きむらけんじ

 「彳」はテキと読んで左足のこと。「■」はチョクと読んで右足のこと(編集註:チョクは「行」の字の右側の部首と同型。表示できない文字のため「■」に置き換えて表示しています)。「彳■」はテキチョクと読んで、佇んだり行きつ戻りつすること。彳と■の間に鳥を入れて「鵆(チドリ)」と読む……ということを恥ずかしながら俳人大石悦子さんに頂いた「大石悦子句集(俳人協会)」ではじめて識った。掟破りみたいな自由律をやっていると、気がつけば言葉に対する取り組みが乱暴(特にワタクシの場合)になっていく。で、時々俳句の本流を行かれているような俳人の凛とした俳句に遭遇すると衝撃を受けて腰が砕ける。畏敬の念さえ覚える。まあ芸風が違うと割り切って前を向くしかないのだけれど……。
 「彳■と渚の雪に千鳥かな(大石悦子)」



捨て猫の歩けば雪 小木さん

 たったの十一音しかない典型的な短律の自由律句。捨てられたと思しき猫の不運、孤独、悲嘆に追い打ちをかけるように雪が舞う……その寒々しい光景がみごとに広がる。もうこれ以上の表現は多分言いすぎになるような気がする。少ない言葉の背後にある余韻が、なんとも深い。捨て猫の大きさは、痩せているのか弱っているのか、色は……雪と言っても風花のように降る雪か、あるいは積もっているのか……と想像はふくらむ。しかし不幸を背負っていく猫の切なさは、誰のこころにも明らかに突き刺さる。



日脚伸びきつた所で待つてゐる もね

 「伸びきつた所」という表現がこの句の心棒なのだろう。ただの日脚ではなく、その伸びきった地点に近い春がある感じがする。そこで待つ人とは誰か、待つ人と一緒に過ごす時間に喜びがあるのだろう。抑制されてはいるが希望の句とみたい。

二月苦き夜勤の珈琲の澱 みちる

 「シャツ雑草にぶっかけておく」などで知られるプロレタリア俳句運動を担った栗林一石路の句風を彷彿とさせる。「苦き」「夜勤」「珈琲の澱」……これでもかと重い暗い言葉を重ねて内向していく。それを「二月」がみごとに貫いている。最近では珍しい重厚な句といえます。

おでん煮る明日は出掛けるのかと姑 妙

 作者と姑のビミョーな関係がそれなりに想像できる。そこがこの句の面白味だろうと思う。おでんを煮ることが出掛けることへの無言のサインになってしまっている家庭の在り様に、第三者的にはかなり興味が持たれる。これがカレーでは、味わいがないのだろう。

枯れ木にゲイラカイトふたつ 小市

 近年は奴凧のような紙の凧ではなく、ゲイラカイトなのだ。これが「枯れ木に奴凧ふたつ」では、創作しすぎの感じになる。ところがゲイラカイトがふたつなら十分あり得る光景になる。これが時代の感覚というのだろうか。

ムートンのソファーで思ふ羊のこと 輝女

 われわれの暮らしが多くの生き物の命を貰って成り立っていることを、やわらかく換起してくれる。ほとんど定型に近い。もう少し変化させればもっと面白くなりそうな気がする。余談ですが、ワタクシは「仔牛のソテー」と聞くたびに、大人になれなかった仔牛の不運を思います。



泣きやまぬ赤子火の匂い 幸
金柑が色づいた庭にをる君 ペプチド
鬼嫁威風堂堂豆をまく あらた
ステンドグラスのキリストの眼を冬至の月が  緑の手
焼藷を食べる幸せふふふふふ お手玉
二十六聖人祭坂を仰げば眞青なる 七草
静けさに唄いたかった達磨 KIYOAKI FILM
どの雪があいつなんだろう 青柘榴
犬が来て言うお前も犬だと 理酔
くたびれちまって毛布になりたい 更紗


並選
除夜の鐘搗く人の夜の浮き沈み ケンケン
道後の湯褒めてから始まるセッション のり茶づけ
どこからが寝酒 ヤッチー
フーコーの振り子に寒卵 藍人
命日を忘れ雪がふる 小木さん
切符はどこに冬紅葉 迂叟
白鳥や取って付けたような足 あらた
木瓜の花はくすっと笑って咲きます ぎんなん
閉校宣言粉雪の強し 紗蘭
霜の朝柱時計が止まっていた 蓼蟲
黄砂メールやPm2.5付随す かのん
どんど焼火あやすのは古希 うに子
寒鴉騒げばこの胸も騒ぐ 和音
千枚大根しょっぱい涙の味がした 一走人
久女忌や胸のちくちく あきさくら洋子
ギックリ腰恐る恐る吐く息白し 元旦
そんなこと言われたって木の葉髪 ポメロ親父
口内炎だから蜜柑食う 不知火
緊張の糸切れた如くに海鼠 空山
大寒のマグダラのマリアの白き顔 まんぷく
練炭火鉢へ醤油呼ばれる しんじゅ
三日月の明るさは美人を作る ちろりん
鬼のかくらんと言われても風邪 柊つばき
木枯ニハ歌ガナイ 北伊作
遊園地鳥の目でみている慰霊の灯 ひでこ
妻が留守雪女郎いま出て来いや 鯉城
炭の花陽にかさこそと開いた 台所のキフジン
ポストへ背伸びする三日の子 松ぼっくり
戯れにポルシェ乗りつけつくし摘む たま
せめぎ合う寒の空防空識別圏 ひなぎきょう
三合は硬しグエと鳴く河豚捌きおり カシオペア
3三歩成待ったの手に沢庵 ザッパー
飛梅咲ひて私にも花の咲く あおい



きむらけんじ
1948年生まれ。第一回尾崎放哉賞他。自由律俳句結社「層雲」同人。写俳エッセイ『きょうも世間はややこしい』(象の森書房)、句集『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)他。特技 妄想、泥酔。


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詰め俳句計画


出題 文 マイマイ

今月の問題
 次の(  )の中に共通する春の季語を入れて下さい。
ボタ山に雨降る(  )かな
ジオラマや(  )の主は留守

ボタ山に雨降るバレンタインかな
ジオラマやバレンタインの主は留守
 藍人さん。バレンタインデーなら季語ですが……。残念、級外。おせろさんは蝌蚪の住処。蝌蚪や蝌蚪の国などは春の季語としてあるのですが、私の持っている歳時記には記載がありませんでした。級外。

ボタ山に雨降る春の霞かな
ジオラマや春の霞の主は留守
 台所のキフジンさん。霞も春霞も季語ですが「の」を入れて音数合わせをするのはやや反則。しかも霞だけでも春の季語なので「春の」がまるまる要らない。前句気象現象が重なっているのも難。7級。輝女さんは雛のまつり。私の持っている歳時記では雛祭の傍題に雛のまつりはありませんでしたので季語アレンジ(歳時記には無いが助詞を挿入したり動詞をくっつけたりしたもの)と判断いたしました。以前季語アレンジは有段にしないというルールを定めています。(2007年12月号参照)前句は面白いのですが、後句がごたごたして情景がわかりにくい。5級。ルールは関係ありませんでしたね、ハハハ。

ボタ山に雨降る春時雨かな
ジオラマや春時雨の主は留守
 KIYOAKI FILMさん。リズムが悪い上に前句の重なり具合が無理。7級。ぎんなんさんは杉菜。小木さんはぶらんこ。ペプチドさんは花馬酔木。いずれも字足らずでリズムが悪い。6級。幸さんは渡り漁夫。歳時記の読みではワタリギョフ。ワタリリョウフと読めれば6音になりリズムがよくなるのだが……。同じく6級。ならば6音ならいいかというと……。

ボタ山に雨降る勿忘草かな
ジオラマや勿忘草の主は留守
 ほろよいさん。迂叟さんは復活祭、のり茶づけさんは春ストーブ、ゆりかもめさんは卒業式。6音ですが前句、リズムに乗れない。後句のリズムはばっちりなので1級上げて5級。6音でも3音+3音でないといけないようです。

ボタ山に雨降る彼岸参りかな
ジオラマや彼岸参りの主は留守
 ひでやんさん。前句地味だが情景がしっかり描けている。後句の彼岸参りの主という言い方に違和感あり。北伊作さんはどんたく囃し。前句、地域性の臨場感があり素晴らしい。後句、ジオラマの中のどんたく囃子だとすると「主は留守」がわからない。ジオラマの作成者がどんたく囃子につられて出て行ったのだとすると「の」の助詞が不自然になる。緑の手さん、不知火さん、人日子さん、カシオペアさんは二月礼者。前句、ちょっとうらぶれている感じが季語と合っている。後句はどう捉えればよいか……。作者が二月礼者なのか? 主が二月礼者なのか? それとも二月礼者には元締がいてそれが「主」なのか? ヤッチーさん、れんげ畑さん、小市さん、鞠月さん、雨月さん、あきさくら洋子さん、ポメロ親父さん、大阪野旅人さんは桃の節句、元旦さんは桃の節供、ひなぎきょうさんは雛の節句。前句はモノクロの風景の中にもたらされる華やぎがいい。これも後句がやはりわかりにくい。ジオラマの中に雛祭の場面があるのか? 雛人形セットがジオラマっぽいのか? ジオラマはジオラマで別にあるのか? それぞれ面白かったが4級。ちろりんさんは入学試験。レモングラスさんは卒業試験。いずれも後句「〜の主」という言い方にやや無理があるが状況はわかる。前句にそれぞれの感慨あり。3級。

ボタ山に雨降る枝垂桜かな
ジオラマや枝垂桜の主は留守
 みちるさん、あらたさん、たっ君。うに子さんはしだれ桜。前句、背景と季語の対比が美しい。後句も矛盾なく収まっている。ただジオラマと枝垂桜の二つの景が並立していて焦点がぶれる。2級。未々さんの都忘れも前述の問題点はあるのだが思わせぶりなのが面白い。蓼蟲さんの十二単も「主は留守」の表現と微妙に響き合っていて面白かった。ケンケンさんは蘆の若葉、青柘榴さんは葎若葉。いずれも後句ジオラマの雑多な感じと若葉の生命力の重ね合わせに感心した。1級。

ボタ山に雨降る春の炬燵かな
ジオラマや春の炬燵の主は留守
 杉山久子さん、一走人さん、まんぷくさん、ひでこさん。前句、ボタ山ができた時代背景と名残の炬燵があいまって情趣を醸し出している。後句も妙な生活感があって面白い。初段。


今月の正解
ボタ山に雨降る獺の祭かな
ジオラマや獺の祭の主は留守
 妙さん。ようこそマニアック季語の世界へ。初段。


5月号掲載分の問題(3月20日締切)
 次の(  )の中に共通する春の季語を入れて下さい。
ほろ酔いの吾と(  )を連れ帰る
(  )のそれぞれ自転する地表



マイマイ
2003年11月頃よりラジオに投句を始める。割と生活派俳人。第一回大人コン「多面体」にて優秀賞受賞。句集『翼竜系統樹』マルコボ.コムオンラインショップにて販売中。将棋推定初段。棋友募集中。



【100年投句計画】投句方法
 件名を「100年投句計画」とし、投句先(複数可)、俳号(なければ本名の名前のみ)、本名、電話番号、住所を明記してお送り下さい。投句はそれぞれ二句まで、詰め俳句は季語を一つのみお送り下さい。一つのEメールまたは一枚のハガキに各コーナーの投句をまとめて送っていただいても構いません。
ただし、「選者三名による雑詠俳句計画」と「へたうま仙女」は、選択制(どちらか一方のみ投句)となります。また「雑詠俳句計画」は欄へ寄せられた二句を各選者が選ぶ形式です。各選者に個別に投句を行うのではない点にご注意下さい。

それぞれ締切は、3月20日(木)

投稿ページ http://marukobo.com/toukou/
投稿アドレス magazine@marukobo.com
はがきFAXでも投句できます。


さらに多くの投句をしたい方へ
 松山市が運営する『俳句ポスト365』など、無制限に投句を受け付ける場もございます。ぜひご活用下さい。(俳句ポスト365のページ参照)


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Mountain Cabin Dispatch


ナサニエル ローゼン(訳:朗善)
山梨で暮らす世界的チェリスト ナサニエル ローゼンのHAIKUとエッセイ


No.8


Here there is more snow
Meteorological
Big word but cozy

雪降るや気象学とは心地良し


(直訳)
どこもかも さらに雪
気象学的とは
大いなる言葉 だが心地良い



The winter has enfolded us.
We are warm and well-fed, but travel needs planning.

冬が僕らを包み込んでる。だから暖かくして、たっぷり食べてるんだが、また旅支度を始めなきゃ。(朗善 訳)



ナサニエル ローゼン チェロリサイタルin 松山
開催決定

ナサニエル ローゼン(チェロ)
花岡 まり子(ピアノ)

2014年4月7日(月)19時開演
松山市民会館中ホール
大人3500円
学生1500円(80枚限定)
★チケット発売は1月上旬予定




ナサニエル ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。
2013年7月より山梨へ移住。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第36話
「サタデイ モーニング」ソニー クリス


別れ霜土曜の朝に髪を梳き 俊坊

 予想どおり、テーマの直訳俳句が数句詠まれた。ドクトルバンブーさんの「土曜日の薄いコーヒーライラック」も、アメリカンコーヒーが朝に飲まれるものと決め付けてしまえば、全50句中6句が該当。その中の一番人気がこの句。東京都在住の俊坊さんが、Eメールで飛ばして来るドラマ仕立の艶句は、最近ますます磨きがかかってきたようだ。

黒鍵を転がり落ちたるは蜷か マイマイ

 77年11月19日、ソニー クリスは初の日本公演初日を一週間後にひかえ、ロスアンゼルスの自宅で拳銃自殺を遂げた。享年50歳。
 「サタデイ モーニング」は死の約3年前、6年間の沈黙を破って吹き込まれた意欲作であった。このセッションをきっかけに、長年の不当評価と精神的な病に苦しんだクリスが、実力に見合った評価を得て、遅まきながら大輪の花を咲かせるのだろうと予感させた。しかし、結局これが彼のベスト アルバムとなった。

花の日を天使は影を見て過す チャンヒ

 なるほど、A面の1曲目「エンジェル アイズ」。マッド デニス作の高名なスタンダードをネタに詠まれた句が4句。これも大いに頷ける。まず、イントロをバリー ハリスのピアノが奏でる。この8小節に曲調のエキスが盛り込まれ、名演を暗示してくれる。続いてクリスのアルトが流麗にテーマを歌い即興へ。そのフレージングはパーカー系のバッパーではあるが、どこかジョニー ホッジスばりの優美がある。チャンヒさんは、そこを捉えて「花の日」という季語に飛びついた。が、これは夏の季語である。……残念!! でも好い。

薄氷のアルトに神魂のブルース 蛇頭

 B面1曲目のアルバム タイトルでもある曲は、クリスの手によるマイナー ブルース。繊細な彼の心象を絞り出しているようにも聴こえるが、冒頭とエンディングのカデンツァ風ソロで「泣き」のクリスの真骨頂が存分に味わえる。

ベスパ乗り素足の彼女囀れり 投槍

 ジャケ句にも程があるというほどのジャケ句。投槍さんの開き直り?
 レコーディング デビュー直後のクリスは、56年にインペリアル レコードと契約。矢継ぎ早に「ジャズ USA」「ゴー マン」「プレイズ コール ポーター」という3枚のアルバムをリリースしたが、当時これが全く売れなかった。インペリアルがR&B系のレーベルであり、クリスのレコードへのプロモーションが充分でなかったようだ。皮肉にも彼の死後この3枚が高く評価され、コレクターズ アイテムとなった。



http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。


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ラクゴキゴ


第36話
『猫の茶碗』
〜じいさんの悪徳商法?〜


あらすじ
 ある、旅すがらの商人、途中の茶店に立寄り一服をと思う。
 よしず張りの店には縁台が二つ、ござが敷いてあり、煙草盆も。
 店にいるのは一人のじいさん、男はお茶をお願いし、疲れをいやすようにゆっくり腰かける。
 周りの景色をほめたり、煙草を吸ったりして休んでいると、ふと目に入ったのが、一つの茶碗。
 なんと、何気なく置いてあるその茶碗、絵高麗の梅鉢の茶碗という、高級なものではないか。
 どう見ても三百円(旧幕時代の三百両)は下らない逸品、じいさんはこの茶碗で猫にご飯を食べさせているのだときいてビックリ。
 さてはこのじいさん、物の価値がよく分からないのだと見た男、急に猫をほめ始める。
「かわいい猫だねえ。さあ、こっちへおいで。膝の上でごろごろ言ってるよ……」
「お客様、着物がよごれますのでおやめになった方が。」
「なあに、俺は無類の猫好きで。何匹ほどいるんだい?」
「仔猫も産まれまして、五、六匹は。」
「じゃあこの一匹、俺に譲ってくれねえかなあ? これくらいの仔猫だとまだ俺になつくだろうから。」
 タダとは言わず、三円でどうかともちかけたら、じいさんは承知をしてくれた。
 じゃあこの、エサをいつも食べている茶碗も一緒にもらっていくぜと言うと、じいさんは別の汚い茶碗を差し出し、「これを持っていって下さい」と言う。
 おどろいて「この茶碗でいい」と言うと、じいさんは、
「ご存知ないでしょうが、この茶碗は高麗の梅鉢というもので、三百円は下りません。それを三円では譲れません。」
「じゃあなんでそんな茶碗で猫に飯を食わせるんだ?」
「この茶碗で飯を食わせますと、ときどき猫が三円で売れますんで。」



 別名「猫の皿」とも呼び、江戸でも上方でもよく演じられる噺です。
 ダウンタウンの番組でもおなじみの、山崎邦正さん。いや、山崎邦正という名前を捨て、今は月亭方正という落語家の名前で、活動拠点も大阪へ移してお仕事をされています。
 バラエティ番組に出演しつつ、「噺家として生きたい」と考え、月亭八方師匠にお願いしたところ、快諾してくださって、名前もいただけたそうです。
 落語に対する思いは深く、とても真剣に取り組んでおられます。
 この「猫の茶碗」も方正さんの得意ネタで、松山で落語会を開催した時にも披露されました。
 商売人の男の心の動きが態度に出る、その変化がおもしろい噺です。
 演出で、はじめは猫をかわいがってたのに、じいさんが茶碗を譲ってくれないと分かってからは、「俺は猫なんか好きじゃないんだ。あっちいけ! ああ、毛が着物について汚ねえなあ」と語ったりします。
 しかしこのじいさんの、したたかな商売は、男の一枚も二枚も上をいってて、オチは聴いてる者をスカッとさせてくれます。
 現代で言うと、「悪徳商法」で、消費者生活センターに相談すべき一件では?(笑)

噺家の名前をもらふ仔猫かな


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ホンヤクサイホンヤク


翻田 訳蔵

俳句歴1年? のど素人俳人、翻田訳蔵がネット上の翻訳ソフトを使って、名句を翻訳、再翻訳し、そこからインスパイアされた(パクッた)句を発表していこうという馬鹿馬鹿しくも実験的で図々しいコラムです。


今回の俳句
 父母のしきりに恋し雉の声 松尾芭蕉

 エキサイト翻訳(英→日)

Parents fall in love very often and it is the voice of a pheasant.

 いつも半分は訳すのをあきらめるエキサイト翻訳が全文訳していますよ。これは期待できそうです。

 では、再翻訳

親は、恋に何度も落ちる。また、それはキジの音声である。

 親だって恋に落ちたっていいですよね。いくつになっても恋する気持ちを忘れてはいけません。さて、その恋に落ちるお相手は……。
 キジのオスは繁殖期には攻撃的になり、「ケーン」と大声で鳴き縄張り宣言をするそうです。そうなると、この訳は大人の恋の修羅場を表現しているのでしょうか?

 続いてGoogle翻訳(英→日)

Voice of love frequently pheasant parents

 再翻訳

愛頻繁キジ両親の声

 愛頻繁とはなんともエロティックですね〜。

 最後に、Yahoo!翻訳(英→日)

Of parents is in love frequently; the voice of the pheasant

 では、再翻訳

両親の、しばしば恋をしています;キジの声

 図らずも前半は五七五になっています! そして作曲家に指示するかのように効果音が付け加えられています。
 それでは、この3つを受けて一句。


雉の声しばしば恋をしています 翻田訳蔵


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お芝居観ませんか?


文&俳句 猫正宗

第17回 「ロミオとジュリエット」
[無名塾公演、作:ウィリアム シェイクスピア、訳:小田島雄志、演出:高瀬久男、出演:仲代達矢、進藤健太郎、松浦唯、他、2014年1月22日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール]

 何度もの映画化。また『ウェストサイドストーリー』から『闘将ダイモス』まで、本作を基にした作品が、今でも世界中で作られているだろうこと。あまりに人口に膾炙しているがゆえに、意外にオリジナルを観ている人は少ないのかもしれません。
 14世紀イタリア ヴェローナ。モンタギュー家とキャピュレット家は、久しく争いが絶えなかった。そんな中、モンタギューの息子ロミオはキャピュレットの娘ジュリエットと一目で恋に落ち、ロレンス神父に頼み、密かに結婚式を挙げる。幸せも束の間、両家の諍いによって友人を殺されたロミオは、その報復で人を殺してしまい追放の処分を受ける。

揚雲雀恋人たちに朝を告ぐ

 一方、名士との結婚を迫られたジュリエットも、それを逃れるため、神父に授けられた薬を飲んで一時仮死状態になる。しかし、ロミオにはその計画は伝わらず、彼女の「遺体」の傍らで毒を仰ぐ。目覚めたジュリエットも、それを知ると彼の短剣で胸を突く。若き二人の死をもって両家は和解を誓う。
 同じシェイクスピア作品ということで、第十二回で扱った『ハムレット』と比較して観た人も多かったようです。同じ様なシンプルな舞台装置を背景に、超ド派手な演出で観客を巻き込んだ『ハムレット』。比較的オーソドックスで丁寧な演出で作られた『ロミ ジュリ』。それぞれ好みが分かれた模様。
 かように、取り組み方や解釈等によっては、最新の作品よりもずっと多面的な貌を見せる可能性を持つところが、古典作品に携わり、接する愉しみなのかもしれません。
 それにしてもロレンス神父役 仲代達矢の圧倒的な存在感!! そう、それは熱演する主役二人よりもはるかに大きな……。

雪の果て老優はただ独り立つ



このコーナーでは、松山市民劇場例会にて公演された芝居を紹介します。


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百年歳時記


第10回 夏井いつき

霜のトラクターへ拳骨のごとく火を入れる 初蒸気
 一面「霜」の降りた畑を横目で睨みながら、シートの「霜」をごしごし払いレバーを引きキーを回しますが、余熱ランプは点灯せず「トラクター」は凍りきったままです。何度も何度も、よし! もう一度! とキーを回す、この気合いを「拳骨のごとく火を入れる」と表現したことが、この句の眼目。いやはや見事な比喩であります。
 下五「火を入れる」は、セルが回り出す瞬間であり、「拳骨」が入った瞬間。畑やトラクターを真っ白に凍らせている鉄壁の「霜」への反撃は、この「火」から始まります。全身に「霜」を纏ったまま唸り始める「トラクター」のなんと逞しいことか。そして、こんな方法で描き出される「霜」という季語の、なんと新鮮なことか!
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』1月24日掲載分)

マンデラの訃報聞きたり社会鍋 またた
 「マンデラ」とはネルソン マンデラ氏。27年間の不当な投獄生活の末に、南アフリカ共和国の大統領となり、アパルトヘイト撤廃運動の功績を讃えられ、ノーべル平和賞を受賞しています。2013年12月5日、95歳にて死去されました。
 季語「社会鍋」は救世軍が歳末に実施する生活困窮者支援等の街頭募金。三脚に鍋を吊して募金を呼びかけるのでこの名が生まれました。今ではあまり見ることのない「社会鍋」と、終生を人種差別撤廃運動に捧げた「マンデラ」氏との取り合わせは、世界が抱え込む様々な困難や苦悩を思わせます。「訃報聞きたり」と呟く横顔に、投げ込まれるコインの映像が重なっていくかのような作品です。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』12月27日放送分)

ザビエルの髭湿らせて阿茶羅漬 ほろよい
 「ザビエル」とはフランシスコ ザビエル司祭。1549年に日本に初めてキリスト教を伝えた方ですね。世界史の教科書の挿絵にあった肖像画が記憶に残っています。
 かたや「阿茶羅漬」とは、とうがらしを加えた甘酢に大根やかぶなどの野菜を漬け込んだもので、【京阪地方の独自の正月料理】ということで新年の季語とされています。
 「あちゃら」という響きが、あちゃら=よその国?っぽいイメージを添えるせいか「ザビエル」という名と妙に似合いますね。かの「ザビエル」さんも「髭」を湿らせながら異国の新年を言祝ぎつつ「阿茶羅漬」を食べたのではないかと 、そんな想像も膨らみます。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊』1月10日放送分)

ほとけのざ口伝遠野につまびらか 野風
 「口伝」とは、語り伝えること。「遠野」とは、柳田國男著『遠野物語』のもととなった町。「つまびらか」とは、詳しいさま。天狗や河童や座敷童子たちの数々の「口伝」が「つまびらか」に語られる「遠野」という地の「ほとけのざ」がしきりに思われる新年だよ、と意訳を込めて読んでみると、雪の下でやがて来る春を待つ「ほとけのざ」がことさら愛おしく思われます。雪の匂いと土の匂いと草の匂いが、一句からこぼれ落ちてくるかのような感覚を愛します。
 新年の七草を祝うために探す「ほとけのざ」は、妖怪や死者や神が生き生きと存在する「遠野」の地の特別な植物とし て、集められます。七草を刻むためのこの地独特の唄もあるにちがいありません。
(松山市公式サイト『俳句ポスト365』1月10日掲載分)

決めるなら決めろワシらは海苔を掻く 旧重信のタイガース
 一読、諫早湾干拓事業を巡る論争を思いました。いきなり出現する「決めるなら決めろ」という強い呟きは、誰が誰に向かって発している言葉なのだろうという疑問が湧くのですが、下五「海苔を掻く」という季語によって、状況が立ち上がってきます。
 県や国の方針が転換する度に、振り回されるのは地元住民。干拓のために潮受け堤防の水門を閉鎖してから、養殖海苔の色落ち等の漁業被害が報道されました。水門を開けるか開けないか、二転三転する方策に、日々募る苛立ち。お上がどう決定しようが「ワシら」は我が生活のために海苔を掻くだけだ。「決めるなら決めろ」とは強いシュプレヒコールであり、「ワシら」の無言の抵抗なのです。
(ラジオ番組『夏井いつきの一句一遊2月6日放送分)


*百年歳時記は、南海放送ラジオ『夏井いつきの一句一遊』や
 松山市公式サイト『俳句ポスト365』(http://haikutown.jp/post/
 などに投句された俳句を紹介します。


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句集の本棚





『ファウルライン』北島美智子 著

 何よりも歌舞伎と旅と文学好きな作者(谷中隆子 序文より)の全332句。
 〔ファウルライン〕
  後見の横顔美しく初芝居
  三越へ単衣羽織のすうと入る
  立秋やファウルラインの白く伸ぶ
  桔梗咲く人におもねぬ姿して
 〔三番ホーム〕
  喪のひとの往き交ふ花の萬福寺
  大歩危の三番ホーム花の昼
 〔旅鞄〕
  猫の子を抱きて商ふ朝の市
  はまなすや富樫覚悟の袖を巻く
  老棋士の捌き慣れたる秋扇
 〔封印解く〕
  水温むなべて封印解くやうに
  桐の花列車は登り勾配に
  広重の雨傾きて雷遠し
 インかアウトか。ファウルラインを見つめる眼は、かくも美しい。
(書評:恋衣)

本阿弥書店(2012年初版)
定価 2800円(税別)
全190ページ



『呼鈴』小川軽舟 著

 平成十七年、藤田湘子逝去により「鷹」主宰を継承。「近所」「手帖」に続く第三句集。作者と読者が思い出を共有する仕組みとしての俳句。過去を深く豊かな思い出とする営みの詩歌。平成十八年夏から平成二十三年までの作品三九〇句を収録。
  紫陽花や流離にとほき靴の艶
  来てみれば未来平凡木の芽和
  道ばたは道をはげまし立葵
  死ぬときは箸置くやうに草の花
  心臓へかへる血潮や去年今年
  家につくる闇うつくしく蛍籠
  番台に漫画読む子や金亀子
  赤ちびて二色鉛筆冬ぬくし
 旧臘二十三日母死す
  寒晴や母亡き家の笊束子
  葉桜や鍋と男の磨き甲斐
  原子炉の無明の時間雪が降る
(書評:野風)

角川書店(2013年初版)
定価 2667円(税別)
全215ページ



『静物』九里順子 著

 表紙がマニエリズムの巨匠ブロンズィーノの「愛のアレゴリー」。一寸読者を不安にさせる。しかし、巻頭の句は、
  ユリの木にユリが芽吹いて震災後
 「ユリの木」にやや違和感があっても、それほど変な句ではない。だが、
  桜心中ましてや人の帯と帯
となると多少穏やかではなくなる。そして
  畑生りの男摘みとる春の宵
  恋猫の薄目を開く「世界の起源」
 ここまで来れば風呂屋の映画ポスターから開けたという作者の世界へあと一歩。
  袂に薫風爆走杉本美樹
  日傘振り三原葉子の船が出る
  砂に吹かれて剥き出しの馬跳び
  玉葱と厨に転がる芹明香
  風花に目を逸らしつつ風祭ゆき
 田中登監督にオマージュを捧げつつプログラム ピクチユアの女優陣が炸裂する。因みに作者は近代日本文学の教授である。「里」同人。
(書評:みちる)

邑書林(2013年初版)
定価 2000円(税別)
全137ページ



このコーナーで紹介した句集は、100年俳句計画編集室にて閲覧できます。


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俳句の街 まつやま
俳句ポスト365


協力 松山市

「俳句ポスト365」は松山市が運営する俳句の投稿サイトです。
毎週新しい兼題が発表されます!

http://haikutown.jp/post/


優秀句
平成26年1月度


【仏の座】
《地》
鬼の子に角生える頃ホトケノザ ちとせ
田の隅に祀れる岩や仏の座 ポメロ親父
道端もまた修行の場仏の座 根子屋
七日目に生まるる地球仏の座 緑風佳
仏の座大和の国を発つ書簡 大塚迷路
仏の座粉となりたる人の骨 寒天
仏の座死んだら俺は犬になる 理酔
仏の座うさぎも犬も家族なり ミル

《天》
ほとけのざ口伝遠野につまびらか  野風


【竹馬】
《地》
竹馬や春の足音とも思ふ じろ
母は子を竹馬の子は空を見る 七草
竹馬や父にも次郎物語 やのたかこ
石蹴りの中に竹馬乱入す 不知火
竹馬やおかもちのカブより怒声  天宮風牙
駄菓子屋に竹馬のまま入りけり 山走子
竹馬やしっぺデコピン馬場チョップ  北大路南天
竹馬やまっくろくろすけ踏み飛ばせ  ちびつぶぶどう
伝説の竹馬乗りがヒール脱ぐ 大塚迷路
竹馬の集団迫る迫る迫る 東脇々
竹馬がぐにゃぐにゃだからこれは夢  雪うさぎ

《天》
産まれたての子馬のやうな竹馬よ  神戸鳥取


【霜】
《地》
日は昇る霜飛び散らし犬は起く 理酔
夜が明けて霜の重機が動き出す  ポメロ親父
はろばろと霜吹く原をバスが来る  あつちやん
屍の鴉に降りて霜やさし 有櫛
優駿の凪ぎわたる眼や霜の朝 青萄
霜降りていよいよ甘くなる畑 舞
霜踏みて凶事伝ふる紙の束 牛後
しりしりと夜霜の匂ひ薄荷飴  クズウジュンイチ
霜降ると防災無線星の夜 雅酔

《天》
霜のトラクターへ拳骨のごとく火を入れる  初蒸気


【葉牡丹】
《地》
葉ぼたんを母屋に負けぬよう並べ  とりとり
本家より少し小さき葉牡丹を 雪花
葉牡丹のきっちりならぶ嫌な庭 有櫛
葉牡丹に芯あり妊娠三ヶ月 清永ゆうこ
葉牡丹は妻を愛せと言うばかり  四万十太郎
葉牡丹のひらきて通常営業や かなぶん
葉牡丹の並ぶ景品交換所 ヤッチー
葉牡丹やぼたもち寺に開きをり 小市
葉牡丹の白きを火山灰の穢さざる  田中憂馬
葉牡丹を老婆白杖振りて打つ  四万十のおいさん

《天》
迎ふるに送るに父は葉牡丹まで  三重丸



3月の兼題

投句期間:2月27日〜3月5日
田楽【仲春/人事】
長方形に切った豆腐を竹の串に刺して、味付けをした味噌を塗り、火であぶったもの。魚や野菜類、こんにゃくなどを用いるものもある。

投句期間:3月6日〜3月12日
伊予柑【三春/植物】
ミカン科ダイダイ類の品種のひとつ。原産地は山口県だが、明治中期に愛媛県での栽培が盛んになったことから伊予柑と呼ばれるようになった。

投句期間:3月13日〜3月19日
蘆の角【仲春/植物】
蘆はイネ科の多年草。春の水辺に、蘆の芽がつんつんと生い出た様子を、その芽の鋭く尖った見た目から、角になぞらえた呼び名。

投句期間:3月20日〜3月26日
馬の子【晩春/動物】
馬の胎生期間はほぼ一年とされる。生まれたばかりの子馬は、まだ頼りないながらも十分に発育しており、すぐに親馬と歩くようになる。


《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


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一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


金曜日優秀句
平成26年1月度


【三日】
抱かれるに飽きたる猫の三日かな  めろめろ
預けたる猫の近況聞く三日 灯馬
トランプのネタも尽きたる三日の夜  だんご虫
手の焼けし孝の句帳や三日の夜 とうへい
狂おしく回る三日の脱水機 一走人
旋盤に三日の油光りかな ほろよい
魚屋の自転車みがく三日かな 雪花
何も起こらぬわけはなく三日の新聞  日暮屋
三日の告白家族会議沸騰 妙
伯爵亭のドアノブ光る三日かな 太郎
宮中に百余の祭儀はや三日 野風

《天》
重箱にパセリ増えたる三日かな  てん点


【阿茶羅漬】
めでたさや昆布の糸引く阿茶羅漬  マイマイ
寿ぎの波斯より来し阿茶羅漬 緑の手
初耳の話のように阿茶羅漬 やのたかこ
阿茶羅漬あります坂は石畳 めろめろ
ダイジョウブデス箸ツカエマス阿茶羅漬  不知火
阿茶羅漬を前に訝るカイザル髭  亜桜みかり
阿茶羅漬大僧正の声高し 笑吉
太閤も食ったか南蛮阿茶羅漬  93kgのプッコラ
ペルシャ語で鳴く鶏や阿茶羅漬  ドクトルバンブー
娘くれだとどっちに向かって阿茶羅漬  日暮屋

《天》
ザビエルの髭湿らせて阿茶羅漬  ほろよい


【御形】
御形摘む目聡い母の杖の先 ほろよい
茎のまだ立たぬ産毛の御形なり  ポメロ親父
手をつなぐ星座のような母子草 笹百合
月の屑落ちてきたよと御形摘む  まーぺー
水はじく御形少しく獣めく 野風
雨しずか御形に力らしきもの 日暮屋
御形摘み顔をうずめる胸が欲し  篠原そも
貞女でも賢母でもなし御形抜く 妙
馬の眼に銀河流るる御形かな 笑吉

《天》
鬼子母神の足裏を青く押す御形  緑の手


【ずわい蟹】
大皿の吉祥紋やずわい蟹 鍛冶屋
この皿は王座たる皿ずわい蟹 笑松
論客のまずは爪からずわい蟹 マイマイ
朝市の脛に傷持つずわい蟹 痛快
露人らし軽トラに売るずわい蟹 樫の木
公海の意味知らぬ国ずわい蟹 コナン
開戦の足音ぞろりずわい蟹 ちろりん
蟹工船の灰色の雲ずわい蟹 さち
船団を時化の離れぬずわい蟹  ターナー島
荒海に星は落ちたかずわい蟹  逆ベッカム
ずわい蟹雪を眠らせ海より来 緑の手

《天》
 ※※ 該当句無し ※※


【足温め】
足温め婆がひとりの八百屋かな  ターナー島
朝市の婆のお供や足温め 野あざみ
足温め炭いこるまで黙りこむ マケレレ
荒神の灰の香りや足温め 湯泉
手回しの鉛筆削り足温め 一走人
五つ玉十露盤はじく足温め 権ちゃん
帳場には父の算盤足温め 太郎
足温めほどに愛され家出猫 篠原そも
足温め標高高き通信所 あねご
足温めの置かるる点字校正室 てん点

《天》
小鉤解く瞽女の十七足温め  あおい


※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとに活字化したものです。俳句ならびに俳号が実際の表記とは異なっていたり、同音異義語や類音語などで表記されてしまっている場合がありますのでご了承ください。



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

3月2日
若布和【三春/人事】
春に刈り採られる新若布を、白味噌、砂糖、みりん、卵黄などと和えて食す。

彼岸潮【仲春/地理】
春と秋の彼岸の頃の大潮のことだが、特に春についていう。年間の中で干満の差がもっとも大きい時期。

3月16日
羊蹄【仲春/植物】
タデ科の多年草。水辺の湿った土地などに帯状に群生する。新芽にはぬめりがあり「陸じゅんさい」とも呼ばれ食用にされる。


※番組史上初! 季語ではない兼題です。俳句の中に「石」という字を詠み込んでください。季語は自由です。

3月30日
田鼠化してとなる【晩春/時候】
古代中国の七十二候のひとつで、二十四節気清明の第二候。田鼠はモグラ、は鶉に似た斑紋が無い鳥。

河豚供養【晩春/人事】
河豚の食用時期が終わる4月末頃、河豚を取り扱う業者が、河豚への感謝として行う追善供養。



《参考文献》『カラー版 新日本大歳時記』(講談社)


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100年俳句計画 掲示板


 組長&編集長&組員さんの出演執筆一覧

NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内
 『みんなで挑戦!MOVIE俳句』
  3月11日(火)11時40分〜

あいテレビ(TBS系列、全国)
 『プレバト!!』
   隔週木曜 19時〜20時49分
※組長がゲストの俳句ランキングづけで出演! 放送日番組欄を要チェック!

朝日放送(関西ローカル)
 『女子力アップ! 芸能界を渡り歩 く術を伝授しちゃいます!(仮)』
  3月10日(月)25時38分〜26時13分
 メインMC … ハマカーン
※女子力UPには心の内面を磨く事必須。心の内面を磨くため若手女性タレント3名が俳句作りに挑戦。俳句指南は夏井いつき。

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。

FM愛媛
 バニラビーンズの俳句っちゃお〜!
 毎週日曜日深夜0時〜0時30分
※夏井いつきが俳句指南で出演
※FM大分でも毎週月曜21時〜放送中

FMラジオバリバリ俳句チャンネル
放送時間 … 月曜 17時15分〜17時30分
再放送 … 火曜 7時15分〜8時
 兼題「鳥帰る、春愁」3月2日〆
   「朧月、囀り」3月16日〆
 2月18日よりインターネットでも配信開始。詳しくは番組webサイトへ。
  HP http://www.baribari789.com/
  mail fmbari@dokidoki.ne.jp
  FAX 0898-33-0789
※必ずお名前(本名)、住所をお忘れなく!
※各兼題の「天」句にはキム チャンヒのイラストポストカードが贈られます。


執筆
松山市の俳句サイト「俳句ポスト365」
http://haikutown.jp/post/
 毎週水曜締切/翌週金曜結果発表

テレビ大阪俳句クラブ選句
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

ジュニア愛媛新聞スマイル!ピント
 「集まれ俳句キッズ」
※ 毎週日曜発刊タブロイド判8ページ

愛媛新聞(夏井正人)
 「今さら始める釣り入門」
※木曜日不定期掲載



句会ライブ、講演など

第24回全国椿サミット松山大会での句会ライブ
 3月15日(土)

第3回 瀬戸内 松山写真俳句コンテスト
 3月16日(日) 14時〜16時
 松山市立子規記念博物館
 作家森村誠一氏の講演会、表彰、俳人夏井いつきの当日ライブなど盛りだくさん。
 問いあわせ:06-6222-5224朝日カルチャー松山俳句係

道後温泉祭り吟行会
 3月21日(金/祝)10時〜16時
 行程 … からくり時計下 10時集合 〜道後散策〜椿の湯2F会議室 にて13時から句会
 参加費 … 1000円
 ※申込はマルコボ.コムまで

第3回大人のための句集を作ろうコンテスト表彰式 & 大花見大会
 3月30日(日)
  表彰式 10時〜
   松山市子規記念博物館1F視聴覚室

  花見 8時〜20時
   道後公園



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魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

お詫び

 本誌2014年2月号特集「夏休み句集を作ろうコンテスト」において、校正ミスによる誤字がありました。訂正とともにお詫びいたします。

優秀賞『さくらんぼちゃん』
 松山市立味生小学校1年 平原晴香さん 五句目

誤 なつぞらやセルリアンブルーのセキセインコ
正 なつぞらやセルリアンブルーのセキセイインコ

優秀賞『チョコレートプレート』
 松山市立番町小学校3年 栗田暖乃さん 五句目

誤 色あせた水着ターンは真っすぐに
正 色あせた水着ターンはまっすぐに

 また同号「詰め俳句計画」において、左記句ルビの内容に誤りがありました。訂正と共にお詫びいたします。

誤 角巻(つのまき)
正 角巻(かくまき)

 北伊作さんの解答
 角巻の袋小路が待っている
 角巻の地へ角巻の新しく

 正しくは「かくまき」となります。なお、マイマイさんによる判定は「角巻(かくまき)」で行われております。大変失礼致しました。



感激!
元旦 1月号の雑詠俳句計画での、のり茶づけさんの「星ひとつ冬三日月に従いぬ」の句。去年の暮ごろ、三日月にぶら下がるように星が輝いているのを見て、何とか句にしようと試みましたがうまくできませんでした。のり茶づけさんの句を見て、同じ光景を見ていたんだなぁと感激した上に、のどに詰まっていたものが取れたようで、すっきりした気がします。
編 遠く離れた人が俳句を軸に同じ場面を共有できるってすごい。たかが17音されど17音。可能性は無限大。

詰め俳句考察〜推理編〜
ひでやん 来月号、おむすびと地面に貼り付いているイメージから「海苔」に関する季語かとも思いましたが、裾野を走る電車を〔以下省略〕……。
編 推理が楽しい「詰め俳句」。全部言っちゃうと勿体ないのでおたよりはここで省略。さて答えは?

季語の現場
うに子 春もすぐそこ。でも温かくなると肉眼で見えるほど杉花粉がとびまくります。そのうちマスクは春の季語になるのでは……。
編 逆に花粉症の特効薬とかできたら脱 「季語っぽい言葉」できるのかな? 医学の進歩に期待。

まとむ マルコボ.コムさま。いつもお世話になっています。三寒四温とはこういう日々のことを言うのですね。今日は暖かくて体がゆるみました。明後日はまた寒いそうです。今季は風邪をひいてないので、このまま頑張ります。
編 三寒四温、暖か、寒し、風邪……日常は季語の宝庫だ!

KIYOAKI FILM 二月は調子の悪い季節です。調子の狂う季節です。でも今年は、残りの二月で古の習慣を突破する志。バレンタインデーが憎い。
編 なにかすっごいことが起こりそうに思わせといてバレンタインかよ!

へたうま仙女に挑戦!
南亭骨太 今回よりこちらにもお邪魔させていただくことになりました。褒めても、貶しても進歩の無いことに変わりは無いのでしょうが兎も角も宜しくお願い申し上げます。
編 2月20日締切(=4月号掲載分)の投稿に寄せてのおたより。ちなみに俳号の読みは「南亭骨太」さん。響きが愉快で素敵な俳号。

お茶の間のお騒がせ
元旦 「プレバト」楽しませていただいています。俳句をしない知人も組長の解説や添削は、分かりやすいと納得しているようです。
編 番組へのご意見ご感想はMBSホームページ最下段「ちゃやまち広報室」よりお送り下さい。(下段「誌上編集会議」に補足情報)視聴者の声が何よりスタッフみなさんの励みです〜♪
 MBS http://www.mbs.jp/

無理難題!?
しんじゅ 年とってNHKばかり見ていましたが、「プレバト」のチャンネルがわかりにくくて困ります。「プレバト」もNHKでやっていただけるとチャンネル変えなくて済むなあ……とか無理ですね(笑)。とにかく楽しんでいます。出演の時間が長くなっているような気がします。気のせいかな。
編 携帯電話の機種変更みたいなノリでとんでもないこと言いますね。NHK「俳句王国がゆく」のリニューアル版が4月から放送開始なのでNHK愛好家はぜひご覧下さい。


100年俳句計画誌上編集会議

編 本誌も十年目を迎え、様々なご意見を参考にしながらリニューアルをはかっていきたいと思っています。このコーナーでは、皆様のお便りを紹介しながら、さらにご意見を集めつつ、誌面に反映させてゆきます。
 今回は直接誌面には関係ないけど質問の多い件について。

今月の提案、相談
「プレバト」面白かったです。番組への感想はどこから送ればいいんですか?(多数)


 インターネットからの送信は元旦さんのおたよりとお返事を参照下さい。郵便の場合は下記までお送り下さい。

郵便の場合
 〒530―8304
 大阪市北区茶屋町17―1
 毎日放送『プレバト!!』宛


編集室 この欄への提案、質問、要望、その他は、100年投句計画投稿時のフォームに書き添えてお送り下さい。また、メールでの投稿も可能です。メールで送る際は件名を「魚のアブクへ」としてお送り下さい。
メールアドレス magazine@marukobo.com



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鮎の友釣り

188
俳号 鞠月

樹朋さんへ 樹木医さんというお仕事素敵ですね! 私が土曜カルチャーに復帰した折にはご一緒するのを楽しみにしています。

俳号 「鞠をつく」をもじって「まりつき」。「鞠」という字がレトロでかっこいいと思ったので。

俳句を始めた経緯 ある小説に引用されていた俳句に感動し、俳句を始めたい、句会に行ってみたいと思うこと数年。本屋でこのマガジンを見つけ、夏井いつき組長のカルチャー講座があることを知って「これだぁ〜!」と思い入会しました。

写真 学生時代に始めたクラシックギター。ここ何年もまともに弾いていなかったのでレパートリーがさっぱりありません。

次回…日暮屋さんへ 日暮屋さんにしか作れない俳句をいつも楽しみにしています。まる裏では思いがけずチームを組ませていただき光栄でした。


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マルコボ.コム直販の定期購読をご利用の皆様へ

『HAIKU LIFE MAGAZINE100年俳句計画』
直販定期購読価格改定のお知らせ




 2014年4月より、消費税率が5%より8%に変更されることに伴いまして、誠に勝手ではございますが、本誌のマルコボ.コム直販の定期購読価格を以下のとおり改定させていただきます。
 皆様にはご負担をおかけ致しますが、何卒ご理解のほど宜しくお願い致します。

年払い(12か月分): 6,900円(税込)→7,100円(税込)
半年払い(6か月分): 3,600円(税込) → 3,700円(税込)
月払い(1か月分): 580円(税込) → 595円(税込)

※「半年払い」はオンラインショップのみ、「月払い」はゆうちょ銀行自動払い込みのみでの取り扱いです。
 2014年4月1日(火)以降に各窓口でお支払い手続きを行われる際には、改定後の新しい価格でのお支払いをお願い致します。

※特例としまして、オンラインショップでお申し込みの場合に限り、お支払いが4月にまたがった場合でも、ご注文が3月中までであれば、ご注文時の改訂前価格を適用します。

なお、ゆうちょ銀行の自動払い込みにてお支払いの方につきましては、下記のとおりと致します。
年払い … 5月の引き落とし分より改定後の価格
月払い … 4月の引き落とし分より改定後の価格


改定前価格での前倒しのお支払いを希望される方へ
 今回の価格改定にあたりまして、まだ購読期間が残っている方(今号の送付時に更新の案内が同封されていない方)につきましても、改定前価格での、前倒しのお支払いによる購読期間の延長お手続きを受け付けます。(なお、月払いによるゆうちょ銀行の自動払い込みをご利用の方は、前倒しによるお支払いは出来ません。ご了承ください。)

 今回前倒しでお支払いいただけるのは12か月分(年払い6,900円)までです。

 前倒しでのお支払をご希望の方は、ゆうちょ振替、銀行振込、オンラインショップを利用の場合は必ず2014年3月31日(月)までに、各窓口で改定前価格にて通常どおりのお手続きを行ってください。

ゆうちょ振替: 01650−5−21493 有限会社マルコボ.コム
銀行振込: 伊予銀行 古川支店 普通 1396084 有限会社マルコボ.コム
オンラインショップ: http://shop.marukobo.com/

 また、年払いによるゆうちょ銀行の自動払い込みをご利用の方で、前倒しでのお支払いを希望される方は、事務手続きの都合上、必ず2014年3月24日(月)までに、直接お電話にて、マルコボ.コムまでご連絡ください。(電話:089−906−0694/平日9時〜18時)


【オンラインショップをご利用の方へのご注意】
 マルコボ.コムのオンラインショップは、2014年3月31日(月)の夕方より、消費税率変更に伴う設定変更作業に入るため一時的にご利用いただけなくなります。(休止前にいただいたご注文につきましては、休止中でも対応を致します。)
 オンラインショップをご利用の方は、どうぞお早めにお手続きをお願い致します。


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告知


第三回
大人のための句集を作ろう!コンテスト
最優秀賞作品決定のお知らせ

最優秀賞は
都築まとむさんの
『塩辛色』に決定!

 昨年募集を行った「第三回大人のための句集を作ろう!コンテスト」には、四十五作品の応募がありました。
 三十一人による大人コン選考会員の審査により、都築まとむさんの『塩辛色』が最優秀賞に決定しました。また優秀賞は、藤実さんの『匣の家』、灯馬さんの『猫目草』、あねごさんの『がちゃがちゃぽん』、日暮屋さんの『ビストロケルン』、亜桜みかりさんの『秋思ノタマゴ』、理酔さんの『雪くずる』の六作品に決まりました。
 来たる三月三十日(日)午前十時より、松山市立子規記念博物館にて表彰式を行います。(観覧自由)
 また、詳しい審査結果などは、四月号にて発表します。最優秀賞作品は、四月号の付録句集として配布されます。



俳句対局
第二回龍天王決定戦
出場者募集(4/13開催)

 俳句対局とは、囲碁や将棋の対局戦を模した、一対一の句合わせ対決の句会です。優勝者「龍天王」を決定します。
 出場観覧問わず、多数の参加、お待ちしております。

 日時
 4月13日(日)13時30分〜受付
 14時開始 17時終了予定

 場所
 松山市立子規記念博物館4階和室

 出場&観覧費
 ともに無料
 ※出場される方は、事前に編集室までお申し込み下さい。

 出場&観覧定員
 30名(先着順)
 ※出場が決まった方は、当日スーツや着物にてお越し下さい。観覧のみの方は、服装の指定はありません。

 賞品
 優勝、準優勝に賞品あり

 問い合わせ先
 『100年俳句計画』編集室



100年俳句計画大お花見大会
日時:3月30日(日)8時〜20時
場所:道後公園内(松山市)
参加費:300円(場所代など)
開催時間中ならば、いつ来ていつ帰ってもOK!
食べ物、飲み物は各自ご持参下さい。
雨天の場合も道後公園内のどこかで決行!



NHK BS1
「ラン×スマ」街の風になれ 〜 RUN × SMILE
3月15日(土)/22日(土) 18時放送

2月9日(日)開催の第52回愛媛マラソン。
出走した「100年俳句計画 マラソン部」の様子が番組内で紹介される予定です。俳人はフルマラソンを走れるのか? ぜひご覧下さい。



100年俳句計画投稿締切カレンダー

3/20(木)
 100年投句計画
http://marukobo.com/toukou/
 魚のアブク
 100年の旗手推薦募集

 応募先
  〒790-0022 松山市永代町16-1
  (有)マルコボ.コム内
    100年俳句計画編集室
  FAX 089(906)0695
  E-mail magazine@marukobo.com
 宛先/件名に、どこのコーナー宛かお書き添え下さい。俳号/ご本名/住所/電話番号もお忘れ無きよう、よろしくお願いいたします。
 ※ページの都合上お便りを全て掲載できない場合がございます。ご了承下さい。


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編集後記


 今月号の特集はおなじみ「まる裏俳句甲子園」。主催がまつやま俳句でまちづくりの会(以下、mhm)となってから、5回目の開催となった。
 去年までは、松山市の助成を受けられていたが、今回はそれも終了。今回は入場料とパンフレットの広告収入だけが頼り。
 そこでmhmのメンバーは、去年の10月から営業活動を開始。沢山の方からの支援を受けて、無事開催することが出来た。本当にありがたく思う。
 広告をお願いする中で感じたことは、松山市内では、まる裏俳句甲子園が「大人の俳句甲子園」として少しずつ認知されてきたということ。また以前は、出場される方だけの楽しみという雰囲気だった会場も、数年前から観覧のみを楽しみにされる方が増えてきた。
 mhmが主催となり、メンバーそれぞれの場所でまる裏俳句甲子園の告知をすることで、大会の楽しさや俳句の楽しさを広めることになっていたのだろう。
 今回、助成金なしで運営ができたということは、来年も再来年も同様に開催できるということ。そして、こんなささやかな活動こそが、まちの魅力を上げてゆくのだろうと実感している。
(キム)


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次号予告 (197号 4月1日発行予定)


次回特集
第3回大人のための句集を作ろう!コンテスト
結果発表

主催 有限会社マルコボ.コム
共催 朝日新聞松山総局、松山市教育委員会(松山市立子規記念博物館)
協賛 日本俳句教育研究会

表彰式
 2014年3月30日(日)
 AM 10:00〜
 松山市立子規記念博物館にて



HAIKU LIFE 100年俳句計画
2014年3月号(No.196)
2014年3月1日発行
価格 600円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子