100年俳句計画5月号(no.186)


100年俳句計画5月号(no.186)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
初夏の雑草が教えてくれたこと みちる


特集1
本誌マガジン化10年目に向けて 編集長 キム・チャンヒ


特集2
第二回大人のための句集を作ろう!コンテスト 優秀賞作品公開
授賞式を終えて 門田なぎさ



好評連載


作品

百年百花
 十亀わら/蜂谷一人/鈴木牛後/都築まとむ


100年俳句計画作品集 100年の旗手
 日暮屋/笑松/野風


百年琢磨 平敷武蕉

雑詠道場 くらむぼんが笑った

初学道場 へたうま仙人

放歌高吟/夏井いつき

新100年への軌跡
 俳句/紫音/久保田牡丹
 評/マイマイ/瑞木


読み物
大漁旗/なゝ
句集シングルについて/夏井いつき
Letter from spider garden/ナサニエル・ローゼン(訳:朗善)
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
お芝居観ませんか?/猫正宗
一句一遊情報局
句集の本棚
mhm通信/あねご

読者のページ
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
告知
編集後記
次号予告




表紙リレーエッセー


初夏の雑草が教えてくれたこと
みちる

 俳句を始める前、俳人とは一日じっと一本の桜を見つめているような人のことだと思っていた。短気な私にはとてもできそうもないことだ。しかし、始めて吟行に行ったとき、そんな人はいなかった。なのに、句会になると観察の行き届いた句を詠む人がいて感心した。こういう人の頭はどうなっているのだろうか、謎だった。
 ところで、私の家の近所には、通勤途上毎日見ている雑草だらけの空き地がある。ある初夏の一日、干天に恵みの雨が降った直後にそこを通ったら、折から太陽が顔を出し空き地の雑草が一度に歓びの声をあげる気配を感じた。短時間でも繰り返して見ていた雑草だからこそ感じたのだ。長時間にわたらずとも、継続して見ていることから句材が立ち上がる、それに気づいた瞬間だった。ちなみに、このとき感じた雑草の歓びは、まだ詠めていない。


目次に戻る


特集1

本誌マガジン化10年目に向けて


編集長 キム・チャンヒ

 1997年『ミーハー吟行隊通信いつき組』として新聞形式でスタートした本誌は、2004年6月号から現在のようなマガジンスタイルとなり、来月号から10年目を迎えます。その10年目を期に、大きく誌面を変更することにしました。
 まずその一つが、第1号から継続していた投稿者全員(組長も含む)が互選を行う「ザ・句会(当初は「ザ・いつき組」)」のコーナーを終了しました。
 また先月号でお伝えしたとおり、1999年8月号にスタートした、夏井いつき組長選の「くらむぼんが笑った」のリニューアルを行います。
 このことにより、本誌から組長の選句欄が無くなるということで、いろいろな方からお叱りを受けました。沢山の方にご心配をおかけして、申し訳なく思っています。
 実は次号より、本誌にて俳句の募集はしませんが、南海放送ラジオ「一句一遊」への投句や松山市によるインターネット投稿欄「俳句ポスト365」、その他本誌に掲載された俳句の中から、組長が次世代に伝えたい俳句を紹介するページがスタートします。
 マガジン化して10年目となり、本誌に集う読者のスキルも多様になってきました。俳句初心者にとって組長の選を貰うことが、一つの大きな目標ならば、既に無料で投稿できる場が多数あり、それらを本誌にて取り上げることが、100年俳句計画には相応しいと思いました。
 また、これまで本誌読者が接したことのない、全国で活躍されている選者に接することで、それぞれの読者が目指すべき俳句の姿を再認識していただけるのではないかとも考えています。
 もちろんこれからも、選句のコーナーだけではなく、昨年新たに企画した「俳句対局」など、これまでにない俳句の楽しみ方を提案していきます。
 既存の俳句雑誌では味わえない、次の100年の俳句を目指して、これからも様々なチャレンジをして行きたいと思っています。そのチャレンジの中には、たくさんの失敗もあるかと思いますが、末永く長い目でお付き合いいただけたら幸いです。


目次に戻る

特集2

第二回大人のための句集を作ろう!コンテスト


優秀賞作品集

 今月号では先月号の予告通り、「大人コン」の優秀賞作品を発表します。
 今回の優秀賞は、桜井教人さんの『四神眠れる野』、大塚めろさんの『水いつか』、都築まとむさんの『軍手噛む』、瑞木さんの『沈まぬ桃』、すな恵さんの『秋天』、三津浜わたるさんの『ヒロヒト』の六作品(エントリー順)。いずれも先月号にて発表した門田なぎささんの『兎抱く』に負けず劣らずの力作です。先月号の選後評とあわせて、じっくり味わっていただけたら幸いです。
 また、門田なぎささんによる受賞の感想も合わせてお楽しみ下さい。


第二回大人のための句集を作ろう!コンテスト優秀賞作品
四神眠れる野
桜井教人

初夏のプルトニウムのごとく街
傘雨忌の川にグリコのネオンかな
探すふり上手き蟻ゐて私も
蟻塚を崩す子の目の美しや
夕虹の海を見てゐて傷つかず
ぼうたんの芽吹いて海へ落つ星座
古文書のにほふ短き夜なるかな
新緑へ古墳の口を開け放つ
男来る初夏の風強ければ
灯心草落書のごと生きにけり 
旅鞄には収まらぬ卯波かな
東国より獅子に似し顔セルを着て
校長に借りしままなる夏帽子
海に出て山よりの風待つことも
夕立や罪糺されてゐるごとく
突然は星の数ほど青葉木菟
ますぐには飛べぬ蛍ややはり捕る
滴りのやうに別れよ師は替へよ
炎天や駅前どこも似て非なり
国境の決め方牛の冷し方
うすものや清盛の海かと思ふ
案内して淡海色の夏帽子
白南風や影は異国の形して
炎昼の坂なり我と師との差は
坂登り切つて異人のサングラス
十メートル並ぶ炎暑の豚まん屋
水打つて関羽の廟に人絶えず
メリケンは正しき発語港灼く
緋のダリア剪るや海軍総練所
大西日第二ドックへ潜水艦
海底に経書きし石暑に耐ふる
遠雷や仏を彫るに刃を当つる
千年経つ塔や意中の蓮開く
白玉や都たうとう遷らざる
夕涼み敦盛の笛あればなほ
虚も実も夏の果なる平家の夜
天牛は神の出自を疑はず
小さき罪あり陵をつくつくし
太子死後より初萩のより白し
斉明天皇の世や秋雷の異形石
鹿笛や入鹿刺す槍研ぎゐたる
一族の滅びし丘を葛嵐
猿顔の石秋麗の呪符として
秋蝉を来て月曜は休館日
初萩の宮趾に孔球禁止令
万葉の言葉尖らず涼新た
虫吹くや白鳳美女のふくれつ面
銀漢の匂へる大和風土記かな
花野来て学芸員の無愛想
鐘楼の帰燕の糞を掃き固む
星宿の石の広場や秋茜
盗掘の穴や良夜をひたにまつ
星月夜万葉硝子工房痕
桃冷す四神眠れる野の水に
星ひとつ滅ぶ間の曼珠沙華
小鳥来る歯科医の話す標準語
旅の荷は軽きがよろし秋彼岸
月待つて姫皇子の名の停留所 
師はむしろ異端なりしや濁り酒
深秋の亀形石造遺構群
後の月源氏三代にて滅ぶ
林檎割く刃は血の色を知らざりき
数学を好きになる本鷹渡る
ページ繰る音一斉にもみづれる
馬の背や秋の光は束にせよ
紅葉鮒水は光を従へて
散紅葉踏み迎合の危ふさよ
初冬やひらがなすべて美しく
小春日の船やおしやぶり梅昆布
十人中九人船酔冬初め
人体に二万のパーツ北風強し
冬の月尖れば黙礼をせよ
炭火吹き再び太宰読む駅舎
叡山に堂三百や鐘氷る
頼朝は戦下手らしおでん食ふ
京は火の都となりて年籠
国宝に棲みたる蜘蛛の今朝の春
皇子眠る丘に積もりし雪のこと 
冬薔薇従はざれば美しく
引つ越す子には花の名を教ふべし
オリオンもフェンスの穴も無音なり

桜井教人(さくらいきょうと):1958年生まれ。愛媛県今治市在住。日本俳句教育研究会会員。「三日月句会」「中年ジャンプ句会」所属。イソジン会幹事。「そらともり」会員。



第二回大人のための句集を作ろう!コンテスト優秀賞作品
水いつか
大塚めろ

初詣電車は三拍子で跳ねる
終いまで読まれて捜す歌留多かな
ロボットの無音で歩む室の花
雪はまだ降り来る雪を相容れず
葱のようなまったくもっておとこなり
おおかたはミケの生みし子日脚伸ぶ
春待つやハの字に停める駐車場
初蝶の初めて眠る夜の長し
誰待つでなく春火鉢爆ぜ細る
淡雪や金箔を足す筆の先
ぶらんこの地球と一番遠い位置
佐保姫の姉といいしが村を訪う
桜満つ廊下がミシン部屋の家
囀りの一樹を囲む魔女裁判
貌鳥を見しが氏子に二人ほど
とりあえず良しとする日や桜餅
登り来てボートレースの見える丘
花種を蒔く昇進の気配無く
残業の妻のあたりの遠蛙
春愁の分だけ伸びる足の爪
南口北口ありてつばめ来る
初夏や木魚に穴を掘る工程
若葉かな生物班に欠員無し
毎日がちいさな奇跡さくらんぼ
干梅を集めて莚はたきけり
村中を田植待つ田の乱反射
六月や石は生国持ちにけり
あじさいに吾とか時差とか異国とか
積荷には鉄の一塊梅雨の沖
母の日の点字タイルに触るる杖
水底にはるか届かぬ藻刈鎌
水たまりは水の抜けがら梅雨明る
岩清水覗けば少年だった頃
四・五日は黄蓮華升麻のことばかり
這い出でし穴より大き蝉の骸
乾きかけのパジャマは大暑のかたち
残酷に華麗に撓う補虫網
花氷気泡は花びらの呼吸
石段の風はギザギザ夏休
甚平や未来はわりとこんなもの
このはなし先少しあり蠅叩く
どてかぼちゃ切ったら切れる間柄
蜘蛛の囲の残る片羽落しけり
蚊柱の乱せし葬列の秩序
リア王の台詞短き晩夏光
へっという顔で蜻蛉は死してあり
外はもう朝顔咲くか通夜の窓
西瓜から返される音また叩く
手品師はまだ蜉蝣を袖に飼い
水辺にて敬老の日を受け入れる
車窓には今日五校目の運動会
ころころどんぐり未来まだまだ先
こそばゆき息鳩吹の指を漏れ
月の道魚で良かったと思う日
新米を沈め微熱の炊飯器
七輪を垂れる秋刀魚の尾にあぶら
海はなお鈴虫許す兆しなく
糸芒折ればこきりと指の骨
本棚は本に疲れてななかまど
秋深むとつとつ毒を溜めながら
きょうもまだかたちとどめる熟柿かな
シンク深しみなうつ伏せの梨の皮
捨案山子まだうつ伏せのほうがいい
水槽の水がきれいで穴惑い
人過ぎて獣あらわる落葉かな
今朝の冬これは血豆になる痛み 
宝刀を枯蟷螂の持て余す
むささびと同じ匂いのする夜明
白菜をしゃくしゃく剥ぎて芯遠き
両手に大根やはり飛べそうな気がする
冬耕のもとのかたちに帰る土
炭つぎて人入替る屋台かな 
触覚がセーターに引っかかっている
冬薔薇その言い回しわかりません 
虎落笛今夜は親父の肩を持つ
氷割り閉じ込められた水逃す
跳ねすぎて冬の器に入らない
コンセント抜くやクリスマスのしぼむ
まだ餅のかたち成らざる臼の中
幾億の楽器磨かる年の暮
水いつか橋をくぐりぬ大晦日

大塚めろ(おおつかめろ):1956年地球に生れる。今、地球を借りて生活中。今、言葉を借りて俳句中。いつまでも借りっぱなしで、ダメだぞ私。



第二回大人のための句集を作ろう!コンテスト優秀賞作品
軍手噛む
都築まとむ

夏蝶の煽られながら越える旗
ぼうふらを喜ばしたる風ならん
蟹の子の透けて臓器の少なかり
熊蜂のかっと掴みし藤の先
みみずみみずみな方向の定まらず
一撃とはいかず百足虫を二度三度
この闇は蛍の飛んでいた匂い
ひんやりと守宮のからだ白濁す
風よりも疾きアオスジアゲハ行く
蝉と子が一瞬息を止めにけり
てんと虫嘘ついたから捨てました
首すじを触れば蟻のつぶれたる
子めだかの目玉と目玉衝き当たる
揚羽蝶はたはたモノレール修理中
めまといや五十メートルホース巻く
蜘蛛の囲をみしみし突破してゆきぬ
名坂架橋工事現場の蛇乾く
落ちて来るものに怯えし蜥蜴かな
ががんぼの脚の暴れて死んでいる
立秋の蟻走り出す机上かな
とんぼうの胴のぐらぐらしていたる
平家谷深くかなかな時雨かな
蓑虫の揺れて回って雨が来る
カナヘビは無月を我は尻尾をもてあます
きちきちの飛んで前方後円墳
ワイシャツの襟吹き落とす秋の蜂
海恋し恋しと蜻蛉の翅の鳴る
太陽光パネル百枚小鳥来る
映写機のかたかた秋蝶の増える
かげろうの空や三日月薄荷色
腕に来しバッタ跳ぶまで休む鎌
雲の影山駆け上がるおにやんま
いらむしの裏か表かわからない
とんぼ来い骨を拾いしこの指に
鈴虫や百枚書いて尽きる墨
溢蚊のひーんひーんと翅鳴かす
石積みのかつてを知るや冬雲雀
綿虫や賢く老いてなどやらぬ
キャラメルの包みの中に冬の蟻
今朝の地震海豚かいくぐって来しか
極月の飛蝗あるくあるく鉄路
運ばるる豚百頭の息白し
適当に叩いた冬の蚊の落ちた
初声のつぎつぎ松に飛びつきぬ
聖堂やつつけば歩く冬の蝿
梟が月を盗んでしまったよ
鮟鱇の肝ずぶずぶと広がりぬ
海豹に海豹もたれている眠り
ひもじいひもじい熊の鼻ももいろ
春の蚊の羽音あたりを叩きけり
蜷と蜷くっつきおうてうりんうりん
蓑虫のついた花桃もらいけり
太陽の塔の猫背や雲雀鳴く
蜜蜂の胴ひくひくと伸びちぢむ
海よりも空深からん巣立鳥
震えおる子猫のあばら骨を抱く
きーるりきーるり蛙の夜を自転車は
蚕の背どくりどくりと波打てり
巻尺の基点の係り揚雲雀
オルゴールの最後の一音蜷ころぶ
猫の子のキャベツの陰に眠るかな
夏蝶らんらん足りないものは何
太陽が黒い記憶の蝸牛
ぼうふらのくゆくゆくゆとまがるかな
心電図すとんと凹む蛍の夜
時鳥水のありかのほの白く
灯台の蟻にも潮の匂いかな
目の赤き蜘蛛二寸ずつ近づきぬ
背に張りつくシャツや蜥蜴の尾ぎらぎら
蜘蛛の囲のねばるやぶける更年期
火蛾の腹ぼってり夜の湿りゆく
回想やとぎれとぎれに夜の蝉
手のひらにちりりと縮みたる蚊かな
天道虫ころんだ信念などなかった
よじのぼる亀の子の首ぬけそうな
海鵜の目深きは再生の色や
山蟹の背に砂大師堂に雨
刺しに来る牛蝿の目の深緑
天牛の首もがれつつ軍手噛む
触覚をきりきり油虫ひかる
蛾の翅のせわしき東京タワーかな

都築まとむ(つづきまとむ):1961年愛媛県八幡浜市生まれ。2001年秋ごろ南海放送ラジオ「一句一遊」に投句をはじめる。生き物を詠むのが癖。天気予報をやたら見るのも癖。



第二回大人のための句集を作ろう!コンテスト優秀賞作品
沈まぬ桃
瑞木

春の野に象形文字のごとく我
摘草といふは後ろを振り向かず
蜷に蜷引つ付きしまま登り来る
鷹鳩と化してマスターは左きき
万愚節ぽろぽろ固きゆで卵
霾やノイズまみれのビートルズ
手のひらの桜こぼさぬやう歩く
風光る手品の鳩の痩せこけて
ひこばえや校歌二番に空のこと
嬉しいと怒り出す父桜鯛
マチュピチュは遠し馬刀貝飛び出せり
逃水の先に駱駝の瘤ふたつ
昭和の日吹いて乾かすセメダイン
二口でバナナを食うて虚言癖
淋しくて雹のがらがら泣く夜かな
通し鴨車通れば揺れる橋
海見えぬ露台に白き貝の殻
ががんぼの己が影より淡き脚
珈琲で曇る眼鏡や明易し
夏草に吐く切り傷の血の苦さ
天道虫を匿ふグリコの箱である
故郷は近し胡瓜の種多し
風薫る列の最後尾に双子
トンネルを出るたび虹の新しき
果実酒のとろり夏蝶のふはり
悩ましく浴槽にゐるのは金魚
夕暮れに浮輪をしまふ仕事かな
アマリリス刈り倒されて川に波
もう水面見えぬ青田や風立ちぬ
炎昼や荷物の中にフライパン
風呂場から父の浪曲鯔捌く
立身や茄子の鴫焼きぐんにやりと
夕焼けの砂の残つてゐるズック
盆の月流木乾き切つてゐる
水底に沈まぬ桃の明るさよ
石臼に幾何学の溝秋澄めり
爽やかや魔除けは目玉ひんむいて
汽車を待つ鞄はみ出てゐる瓢
降り口は右側釣瓶落としかな
竜淵に潜みミシェル先生は黒髪
薄つぺらな椅子とテキスト昼の虫
人寄れば駝鳥の騒ぐ子規忌かな
欲しいのは芒の向かうにある芒
蟋蟀を握つたままで取る電話
軽石の穴の白々野分晴
十六夜の亀の子タワシにある余命
近頃は父擁護派や氷頭膾
鶏頭や臓器は左右不対称
芋嵐何か見つけた犬の声
コスモスの荒れてキリンの長き舌
豪快な湯気や秋気のふかしパン
赤い羽根まつたく今時の大人は
色変へぬ松や手刷りの創刊号
見得切つて菊人形の朽ち始む
建前は文武両道烏瓜
蹴り上げる缶はファの音雁渡る
行く秋の監視カメラと目が合ひぬ
北窓を塞ぎ固焼きビスケット
帰り花見に来し医師の松葉杖
席ひとつ空けて小春の父とゐる
ケロリンの良く効く匂ひお茶の花
まつ黒な麩菓子頬張る神の留守
タバコ屋や蝦蛄葉仙人掌だけ元気
つつがなく柚子湯に浸す手術痕
自負心の伸びて縮んで白マスク
よく軋む椅子を持ち出す冬の庭
息白く一人来ないといふ知らせ
水族館の暗きにマフラーの赤
なまめくや鯨は夜に溶けきれず
ふしだらに巻かれ師走のホースかな
残業や人参縮む冷蔵庫
注連飾る舶来婦人服の店
初凪や海の記憶の残る耳
風邪声の女ばかりの停留所
マンションの名前長過ぎちやんちやんこ
冬ざれの靴音を買ふ百貨店
女正月ガラスの瓶のオロナイン
血縁や冬日の当たる桐の箱
父老いてウサギのやうな心かな
大雪の最初の一片とは知らず
白熱灯とは待春拠り所

瑞木(みずき):1963年愛媛県生まれ。2006年日土小学校句会ライブで俳句と出会い、以来ぬくぬくと俳句のある生活を楽しんでいる。



第二回大人のための句集を作ろう!コンテスト優秀賞作品
秋天
すな恵

心臓の模型あかあを冬に入る
回転扉すり抜けるマスクびと
着膨れて降車ブザーのへんな音
懐にトンネルいくつ山眠る
大根引く酒癖だけを惜しまれて
狐火や和尚の提げて来しは何
小雪の壁に居ならぶ女面
ものおもふ小指が痒し足袋のなか
昼天の日は穴のごと霧氷林
北風や猫は蛇口を舐め続く
ぽぽと鳴るストーブと居る一人かな
アカペラの雪に置かれし譜面かな
雪積もる巣らしきものの名残にも
数へ日の床屋シャボンをふるまへる
水槽を揺らめく真水こつごもり
ペン先の沈む厚みや新日記
ひと雨を知らず了へたる歌留多かな
白きもの白く干したる初御空
一村の集ひて鯨分ける浜
曇天の楔となりて鯨の尾
月冴えてB寝台に糊匂ふ
薄氷や石鹸やせし水飲み場
進級はできさうですかふきのたう
節分の三面鏡を閉ぢませう
くす玉の紙切つてゐる春炬燵
下萌を転がしてくるガスボンベ
建国記念日足のかたちの穴がある
体温計鳴れば淡雪やんでをり
淡雪や千のタンクに汚染水
鶯や厨子の内なる歓喜天
蛇穴を出づる古文書講座かな
橋渡るまでは雲雀と分かつ空
存外に流れのありし蝌蚪の国
春愁を傾けながらまはる椅子
飯蛸の飯噛んでまた見直して
袖口の濡れをる夜のヒヤシンス
名水のコップに鎖囀れる
ふらここを押しやる空の深さかな
下駄箱の蓋ぎいと鳴る朝桜
永日のハシビロコウの動くまで
王冠の路にめり込む昭和の日
立夏なる土をかへせば濡れゐたる
牡丹や一茶の墓の五尺ほど
山法師揺らして猿の帰る頃
青鷺やむかし水牢ありし沼
父母の家しづかに乾き桐の花
青嵐猫は毛玉を吐くところ
蝿払ふ手にあたりたる蝿の羽根
田植機のほたほた帰る昼餉どき
ぽすぽすと父のバイクや夏の雲
地下室のレコードあまた梅雨に入る
レースかけられ別荘の黒電話
波斯猫のけだるき乳のわきを蚤
情人といふ言葉知るソーダ水
アスファルトに影焦がしつつ蛇ゆけり
ナイターの売り子なかなか近づかぬ
盛大にこぼし屋台のかき氷
虹を見し記憶琥珀のなかの虫
金魚玉きのふのつづきまたつづき
おのおのの楽器かばへる大夕立
手花火の草へ降らせるしゆぼばしゆぼば
歯磨きの片手に束子大暑くる
成り成りて化けてゐるのはどの西瓜
リトグラフちひさくあをく秋扇
千羽鶴かかへて下ろす涼新た
願ふことあるにも照れて星祭
蜉蝣のもとよりよれてゐるからだ
冷ややかに折り込まれたるシーツかな
銀漢や鍵は裸にしてかへす
シナリオに無言とありし鰯雲
校塔にひらく窓あり雁の列
銅像の乳に分かるる秋の雨
満月や王さん鍋をあふるあふる
柿熟るるどうもこの身はをとこ腹
朝露や次々ひらくパイプ椅子
猿渡すための橋なり山粧ふ
秋水を糾ふごとし鯉の水尾
天の色天にかへして秋の水
曼珠沙華かわけば割るる仏かな
海神を鎮めむ雀蛤に
その雲を失ひながら秋天は

すな恵(すなえ):1966年長野県生まれ、群馬県在住。2007年より俳句を始め、2010年より『俳句の缶づめ』といつき組に参加。



第二回大人のための句集を作ろう!コンテスト優秀賞作品
ヒロヒト
三津浜わたる

餅まきの前の黙祷春霰
春の土バットで書かれゐしスコア
バスケットリングに春の雫かな
助手席にワインを乗せて春の月
囀や目薬頬にこぼしたる
九番目の鳥居傾く春の山
春光の釘の頭を叩きをり
春宵やパン屋はパンの色をして
カーボンの文字よそよそし黄砂降る
つばめつばめETCのバー上がる
灯台とヤキソバパンと春の虹
春うらら漁船に島の障子積み
タクシーの無線がやがや花の雨
理髪師の無口でありしシクラメン
町朧ギターケースにコイン投ぐ
春満月チェロ弾くやうに抱擁す
チェーサーに椿を挿して帰りたる
石鹸であたまを洗ふ昭和の日
ゆく春のボレロ四分の三拍子
新茶淹れフランスのこと未来のこと
鉋引き南風へ放つ鉋屑
病室の小さき地球儀麦の秋
街宣車薄暑の街を帰りゆく
少年の義足に触るる芥子の花
おにぎりの海苔破れたり夏の蝶
滑走路は眩しき海へ沖縄忌
短夜の地下へと降りる酒場かな
米兵騒ぐ夜の冷蔵庫唸りをり
うどん屋のレジに置かれしサングラス
涼しさへBB弾をうちこみぬ
雲の峰ルアー見せあふ子のつむじ
海の日やレコード盤にある起伏
心太突きやり死刑廃止論
水無月のエレキギターの弾く国歌
ヒロシマや入道雲の勃起せり
君が代は歌はず爆心地の蟻
折鶴束ねられ重ねられ被爆地のナイター
八月の教科書に落つ煙草の灰
ポケットに残る半券星祭
遠花火母校のフェンス乗り越えむ
のこぎりの道曲がりゆく法師蝉
左手の爪のペンキやオクラ食ふ
欠損の指先まるくちつち蝉
秋涼し大皿に撒く柿の種
壁を刺す二百十日のダーツかな
海峡や砲台跡のきりぎりす
圏外の携帯九月十一日
爽やかにロープ荷物を飛び越えぬ
ハンカチは柵にくくられ秋の海
敬老の日のヒロヒトのまるめがね
亡国の兆し秋刀魚燃ゆる燃ゆる
コスモスの触れて軽トラ停まりたる
長き夜のルーペに映る諭吉かな
秋の田のヘッドライトの影荒し
この犬を探しています秋夕焼
ジョッキーの尻高々と豊の秋
トラックの荷台の木の実掃かれをり
仏壇の百円ライター柿たわわ
カラヤンの突き出す顎や秋の果
冷まじきものを挟んでゐるノギス
作業場に猫のあしあと今朝の冬
一茶忌の賞味期限を見過ごしぬ
碑の詠人知らず帰り花
掃除機の音符のやうに立つ小春
おでん皿震はせフェリー出航す
墨つぼにしぐるる鶴と亀の彫り
吸殻のフィルター黒し山眠る
白鳥のかたちに眠るショベルカー
漱石忌のタクシーに聞く落語かな
はつ雪やビルの底ひの交差点
サンタクロースに煙草火を貰ひけり
少女ら凭れシャッターの冬ざるる
木枯らしやいいちこ注げば鳴く氷
文藝春秋伏せる聖夜のカウンター
つり革をはこぶ終電十二月
マスターへ酌して除夜の将棋かな
あらたまの大貧民となりにけり
すれちがふ格子の影や福寿草
人日のボトルキープの偽名なり
雪の夜の腿にをんなの重さかな
少年や暗渠に雪の降り積もる

三津浜わたる(みつはまわたる):1969年生まれ。第4回俳句甲子園の神野紗希さんの作品を見て俳句をはじめる。第16回俳句甲子園実行委員長。



授賞式を終えて
文・門田なぎさ

 三月三十一日の花曇りの朝、JRから市内電車に乗り換えて道後に向かっていた。大街道を通り過ぎるとき、ふと十年前のことを思い出した。ちょうどお盆休みで、私は中学の時の友人と会って、大街道を歩いていた。その日は『俳句甲子園』が開催されていて、私は「なんか、俳句って楽しそう。十七文字なら私にもできるかも」そんなことを思いながら見ていた。あの日、友達と会う約束をしなかったら、そして大街道を歩かなかったら、俳句を始めてなかったかもしれない。何がきっかけになるか分からないものだ。
 一度、お花見会場に顔を出してから、授賞式会場の子規記念博物館へと向かった。優秀賞の方と並んで席に着く。よほど私の顔が強張っていたのだろう。キムさんに「そんなに緊張しなくても」と笑われてしまった。私の人生の中で、最優秀賞なんて初めてのことなので、何となく落ち着かない。
 授賞式が始まり、組長よりコンテストの経過報告があった。それぞれの作品は読み応えのある作品であったこと、同じような方向性のある作品の中から個性のあるものが選ばれたことなどを。そして、優秀賞の六名の表彰があり、その作品のなかから三句ずつ紹介されていく。それぞれが一言ずつ挨拶された中で三津浜わたるさんのコメントが特に印象に残った。「昨年の大忘年会の時のこと。このコンテストの告知があり、選考会員の方が壇上に上がったときに、自分と同じ頃に俳句を始めた人が選考する立場になっている。自分は何をしていたのだろう。そう思ってそれから句をまとめて応募した。」そんなことを話された。それは私も同じである。いつの間にか九年が経っていた。よき仲間はよきライバルでもある。
 私の作品については、実は先に朝日新聞に紹介記事として掲載されていたのだが、自選十句には選者の選んでくれた句が入っておらず、「なぎささんは自選についてはまだまだですね」と組長に突っ込まれてしまった。(ハイ、全くその通りです)
 子規記念博物館の竹田美喜館長には「100年俳句計画の句集は歴史に残る試みであり、創成期。門田さんの作品は目線が純粋で、真っ直ぐ宇宙に広がっていく感じ。正岡子規は革新の人。このコンテストは小学生、高校生に次いで中年期への着手。松山発の強力な革新の波となってほしい。」あたたかくて、そして背筋が伸びる言葉をいただいた。
 今回、このコンテストは二回目。句集も昨年の牛後さんのと私のと二冊目である。本棚の中でまだまだ控えめな句集だが、これから二十冊、三十冊になれば、存在感のあるものになっていく。このタイプの句集はすでに「句集スタイル」として誰にでも作ることができる。もう何人かの方の準備も進められていると聞いていて、とても楽しみにしている。私が俳句を始めて二〜三年くらい経った頃だと思うが、句友の谷さやんさんが句集を上梓された。いつか私もとひそかに目標としてきたことである。今回思いがけず自分の句集ができて、とてもうれしい。
 授賞式が終わった後、お花見会場へ。いろんな方からお祝いの言葉を頂いた。ただ一つ残念なことは草心さんに報告できなかったことだ。亡くなって一年が過ぎた。草心さんとは、ぱぱいや句会やラブワゴン、吟行などでとてもお世話になった。奥様の依里さんと話していると、時折、風が吹いて桜が顔にかかる。「やったなあ、なぎささん」と草心さんがそんな言葉で喜んでくれているような気がした。
 そして午後八時をもって花見大会は終わり、記念撮影をして解散。正に芭蕉の「さまざまの事おもひ出す桜かな」そんな一日であり、そして今日は私の卒業式だったのだと思った。もう一つ階段を上がりなさいと背中を押してもらったのだと。句友達からもらった花束を抱えて駅に降りた。かすかに潮風を感じた。
 最後になりましたが、みなさん本当にありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。




HAIKU LIFE 100年俳句計画
第三回
大人のための句集を作ろう!コンテスト
作品募集

主催 マルコボ.コム 共催 朝日新聞社・松山市教育委員会(予定)


 第三回「大人のための句集を作ろう!コンテスト」(通称「大人コン」)の作品募集がスタートしました。
 「大人コン」は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』が開催する俳句コンテストです。
 共催 朝日新聞社・松山市教育委員会(予定)

「受賞作品が句集になるってホントですか」
 最優秀賞作品は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』の付録冊子として読者諸氏に広く読んで頂きます。付録とはいえ、お洒落なデザインの句集だと評判です。
 受賞者には一切の金銭的負担をかけず、読者にとっても安価な句集をどんどん生み出していきたいという志を一つの形にしたのが、この企画なのです。

「俳句マガジンを購読してないんですが、コンテストへの応募はできますか」
 どなたでも応募できます。購読の有無は一切関係ありません。勿論、応募は無料です。

「審査は誰がするのですか」
 本コンテストの受賞者は、「大人コン」選考会員の投票によって決まります。「大人コン」選考会員は、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』購読者の内、各総合誌等の俳句賞受賞者あるいは最終選考に残った実績のある人たち等によって構成されます。第二回の有資格者は三十二名。年々選考会員数は増えていくことになります。
 多くの目利きの力を借りて「百年先の未来に残したい作品と作家」を見い出し顕彰していくことが「大人コン」の目的。我こそは!という皆さんのご応募を、心からお待ちしております。


既作新作を問わず81句の作品集を募集。
最優秀賞作品は句集にし、本誌付録として配布します。

募集要項

・応募資格
15才以上(高校生以上)の方なら、本誌購読の有無に関係なく、どなたでも応募できます。

・応募方法
1:Eメールでの応募の場合
応募用のエクセルファイルに必要事項を全て入力し、Eメールの添付ファイルにして、応募して下さい。
応募用ファイルのダウンロード先
http://81ku.marukobo.com/

2:郵送の場合
B4判四百字詰め原稿用紙に81句とその表題、俳号、本名、年齢、住所、電話番号を必ず明記して応募して下さい。

・締め切り 2013年12月10日(火)必着

・賞 賞状および応募作品による句集20冊
*賞品句集は縦横135ミリメートル・36ページとなります。句集は本誌付録として配布します。

・発表 本誌2014年4月号誌上(予定)

・送り先
〒790-0022 愛媛県松山市永代町16ー1 有限会社マルコボ.コム
月刊俳句マガジン『100年俳句計画』編集室
Eメール:81ku@marukobo.com



目次に戻る


百年百花


大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2013年度 第一期 2回目


「その日、獰猛な首は」十亀わら

叱られたき夜の鞦韆を高く漕ぐ
空っぽの鞄と紋白蝶の死と
上階の姉落ちてくる椿かな
囀や初めていじわるされた日の
ミキサーの刃に春昼の荒れにけり
邪魔者になるため開く春日傘
永き日の獰猛な首愛すなり
春愁や畳む手順はそれぞれに
朧夜へ膨らみかけるオムライス
花冷の針山に針沈みこむ
今生の白吐きつくす花吹雪
夕桜胸に炎は立つものか


1978年生、愛媛県松山市出身。2000年詩学新人。2005年俳句界賞。詩集『燃える野』(詩学社)。




「怪獣たち」蜂谷一人

朝寝して怪獣たちが腹の上
前屈の指より高しすみれ草
吊革に手首をとほす春愁
逆さまの椅子卓上にさへづれる
そろばんの玉繰り上がる桜まじ
アネモネや吹かれて長き付け睫毛
植木市土の重さを持ち帰る
永き日や古新聞の尋ね人
立ち飲みの店をはみ出す朧月
ロレックスほどの蛤焼きにけり
メール来る数と帰つてゆく鳥と
海に凧一番星が凧の上


B型、蠍座。句画集『プラネタリウムの夜』。2005年より毎年1回のペースで俳句と画の個展を東京で開催。小動物と塔の画多数。




「雪解」鈴木牛後

たつぷりの雪たつぷりの雪解水
雪解川穴ひとつより始まりぬ
錆止の色錆びてゐる雪解空
なまぐろく土の匂へる雪解靄
小さき木にちひさき根明友を得て
春光の終点にゐて子どもたち
四月馬鹿牛も加へてやりたしよ
初蝶の沈む踏込み消毒槽
うららかに牛の尻尾の語るもの
ウェンシリは「悪き山」なり木の芽風
牛の眼のろろんと春日噛みかへす
春草に水のことばを伝へ聞く


1961年生まれ。北海道の片田舎で牛飼いをしている。第一回大人のための句集を作ろう!コンテスト最優秀賞。




「二十六の骨」都築まとむ

はくれんや船出のように手を振らん
しゃぼんだま風にひしゃげてつらなって
日輪や蜜蜂たちの前のめり
甕棺は蛹のかたち竜天に
親不知さがす舌先蝶の昼
呼吸器の動きは磯巾着の音
日本の寿命は延びた亀の鳴く
腕帯に腕つかまれる花の夜
白蝶のはしる信徒の先頭へ
桜蘂降る小鳥に二十六の骨
ひよこの黄鬼からしの黄春惜しむ
野いちごの花を野うさぎの墓へ


1961年愛媛県八幡浜市生まれ。2001年秋ごろ南海放送ラジオ「一句一遊」に投句をはじめる。生き物を詠むのが癖。天気予報をやたら見るのも癖。




目次に戻る



読者が選ぶ人気俳人!

100年俳句計画作品集 100年の旗手


(2013年4月号 〜 2013年6月号 2/3回目)


 泣いていい 日暮屋

行くな春だってダンプが煽るんだ
賢ちゃんは売れっ子オネエ菖蒲風呂
柏餅ペロンと剥いで老けてゆく
矢車今日も矢がとんだもう無しでいい
新緑の山ごと背負い男来る
ビストロケルン再開したってよ夏きざす
玄関にくもの巣ピンポン民生員です
駅までの近道知るやひめじょおん
母の日に子のない妻と海に居り
はまひるがお砂丘越えたら泣いていい


1959年2月生まれの野村町出身。ラジオ番組への投句をきっかけに塾や句会へも出かけ俳句を楽しむ。吟行の旅好きで、ギター、自転車、写真、蕎麦等とにかく多趣味。毎日浴びるほどの酒を飲む。



 蝶生るる 笑松

春三日月あれは鬼の目おそろしや
あの人はきっと貌鳥見てるはず
神々の法螺吹き比べ山笑う
春疾風巨龍は未だ目覚めざる
亀鳴いて有事想定レベル3
蘖を驚かしたる爆破音
巨岩裂け生るる万朶の蝶眩し
人いずこ野原に千の風車
陽炎の中より明日へ行く列車
縄文の土器の炎や雲雀飛ぶ


わらいまつ。松山赴任中に、俳句といつき組に出会う。現在、東京在住。YouTube「いつき組大忘年会2011」映像の1分56秒付近で笑っています。



 CURIOSITY(好奇心) 野風

薔薇の芽や王子を癒やす処方箋
鳥つがふ地球創世てふ記憶
春の風邪金平糖に生えし角
蠅生るらららアトムの正義感
配置換へさるるパンジー真つ盛り
亀鳴くや任期二年の火星探査機(CURIOSITY)
春雷や底にサガンの半世紀
アネモネの笑つて醒める白昼夢
春日傘地軸に傾ぎモネの丘
探偵はペシミストにてリラの花


買った大根を包んだ新聞の教室案内に導かれ2011年1月、木曜カルチャーに入門。カルチャーでは、その時組長から賜った京子二号を名乗っています。



読者が選ぶ人気俳人!
「100年の旗手」連載者推薦募集

 今求められているのは、読者が読みたいと思う俳句作家。「100年の旗手」は、連載する俳人を、編集室ではなく、読者が選ぶコーナーです。
 「この人の作品集を読んでみたい」と気になる俳人を、1人3名まで推薦してください。その中から、推薦の多かった方に、編集室より原稿依頼を行います。
 あなたのお勧めの俳人を是非推薦してください。

 推薦の方法

「この人の作品集を読んでみたい」という人を3名まで選んで(自薦は不可)、その俳号と活動場所(句会・誌面等)・推薦者ご自身の俳号(本名)・住所・電話番号を明記して、100年俳句計画編集室「作品集推薦」係へ送ってください。ハガキ・FAX・Eメールで受け付けています。Eメールの場合は件名を「作品集推薦」としてください。また、専用のインターネット投稿フォーム(http://www.marukobo.com/100kishu/)でも受け付けています。※投稿フォーム利用の場合を除き、推薦は他の投稿等とは分けてください。

締切 5月末日

 現在連載している3名の方以外なら、一度連載された方も含め、どなたでも推薦できます。
 また、今回連載を行っている3名の方への感想もお待ちしています。よろしくお願いします。


目次に戻る



百年琢磨
先月号の「100年の旗手」に寄せて

マダムの靴の先 平敷武蕉

「初蝶」 野風

初蝶へ微か光の乗る重さ
 うららかな春の光景を初蝶と微光で切り取った。「微か光の射す」でなく、「光の乗る重さ」と表現したのが手柄。 

ざっくりと決める行程春セーター
 「ざっくりと決める」が、いかにも旅立ちの春らしくすがすがしい。気力の充実を伝えている。

春日傘マダムの尖る靴の先
 日傘なら着物に足駄となりそうだが、「尖る靴」ときた。それでもマダムのあでやかさは十分出ている。すっくと胸を立てすらっと歩む姿が目に浮かぶ。靴の先で胸の先までイメージさせている。なるほど、これもまた、春の光景である。


「プリン好き」 日暮屋

春霰このセットメニューは罠だ
 春だと浮かれていたら突然の霰。沖縄では春先の穏やかな天気が、突如春嵐に代わる天変を「二月風廻り」と呼び、漁民には特に恐れられている。確かに、天の仕掛けた「罠」なのだろうが、しかし、霰ぐらいならまだいいが、最近はpm2・5や放射能、果てはミサイルまで降ってくるから深刻だ。

ブランコの止め方なんて知るもんか
 「群生のアザミ突き飛ばしたい人がいる」などの句と並んで、この句をみて腹抱えて笑ってしまった(失礼)。確かにブランコの止め方なんて知らなくてもいい。そのため誰かが不幸になることもない。ブランコなんて降りてしまえば自然に止まるのだ。

ひじき炊く地味な女に別の顔
 私は、教室ではぼんやりしていた子が、港で大人にまじってたくましくカジキを炊いている姿に瞠目したことがある。


「だるまさんが転んだ」 笑松

始まりの朝は春菜が祝福す
二限目の音楽室より春の歌
 全体としてもっとイメージの飛躍と発想の大胆さが欲しい。きまじめすぎる。始まり、朝、春、祝福は皆、近似のイメージ。近すぎて句の広がりを閉ざすのでは。音楽室から歌は当たり前。化学室からなら、ちと意外だが。でも現在にあっては、飾らぬ素直さも一つの大胆さと思えば、これまた、良しとすべきか。


平敷武蕉
1945年、沖縄県生。著書『沖縄からの文学批評』。俳句評論集『文学批評は成り立つか』で第三回銀河系俳句大賞を受賞。俳句誌『天荒』編集委員。文学同人誌『非世界』編集責任者。


目次に戻る



 雑詠道場は、「くらむぼんが笑った」か「へたうま仙人」か、どちらかへ3句1セットでの選択投句となります。選が厳しい「くらむぼん」に挑戦するか、必ず一人一句以上選評付きで載る「へたうま仙人」を相手に“巧すぎるのでへたの聖地追放”を目指すか。その選択も楽しんで頂けたらと思います。


雑詠道場 くらむぼんが笑った


夏井いつき選


今月の天
花散らす風の起こりは屏風山 みちる
 「屏風山」とはその名の通りそそり立つような形をした山に違いない。念のため調べてみると、北海道から九州までその名の山は実在した。皆、同じような印象のもとに命名されたに違いない。
 目前の「花」を散らせる「風」はあの「屏風山」から吹いてくるのだよという句意は単純だが、中七「風の起こりは」という勿体ぶった言い回しが「花」「屏風山」という二語の語感を際立る。
 さらに、この句のもう一つの仕掛けは、屏風に描かれた花爛漫の絵図を連想させることだ。金箔の地に描かれた繚乱たる「花」は、背後の山から吹き下る「風」に煽られ散り敷いていく。落花のさまを見事に描いた一枚の「屏風」が一句の奥にありありと見えてくる。


今月の地
砂浜の砂捉へたる蝶の肢 蓼蟲
砂粒や春草挟みゐし手帳 空
 「砂」の一粒を描いた二句の味わいは対照的。前句は、「蝶の肢」が捉える「砂」という生々しい微細。かたや後句は、「手帳」に挟まれた「春草」に象徴される過去の思い出、その欠片として出現する乾いた「砂」の感触。それぞれの季語が「砂」の一粒を介して鮮やかに立ち上がってくる。

沖に雲湧くや燕の一番子 ターナー島
 「沖に雲湧くや」と詠嘆したあとに出現する「燕の一番子」の元気が気持ちいい一句。茫洋たる「沖の雲」の映像から「燕の一番子」への展開が、鮮やかな手法。

ホースから水飲む犬や植木市 コナン
 「植木市」という季語の現場をスケッチしていけば、こんな「犬」に出会うこともあるだろう。「植木市」の植木に水をやるための「ホース」から器用に「水」を飲み出した「犬」。そこに集まる人たちの笑い声も聞こえてくる。

ドロップの嘘くさき色亀鳴けり  てんきゅう
亀鳴くや自分に甘くなりました 空山
 前句「ドロップの嘘くさき色」という詩的断定が「亀鳴く」という季語のなんだか胡散臭い気分に呼応する。後句「自分に甘くなりました」という口語の語りを「亀鳴く」というとぼけた味わいの季語が受け止める。季語「亀鳴く」の味わいそれぞれ。

引き返し花人となる夜警かな 樫の木
花明り手話に涙のかたちあり 依里
 引き返してくるまでは「夜警」としての視線で辺りの様子を睥睨していたが、「引き返し」て戻ってくる時は「花人」の視線となっているというささやかな発見。一方、後句は「花明かり」の下で知った「手話」にある「涙」の「かたち」。いかにも涙らしいカタチなんだろう。「花明かり」という季語が「涙」のイメージを美しく象る。

逃げ水を追ってこの国から逃げる 藍人
 「逃げ水」=「逃げる」という発想の句には幾らでもお目にかかっているのだが、「〜追ってこの国から」という発想にハッとした。「逃げ水」に触発された憂国の思いは、なすすべもなくゆらゆらと揺れ続ける。同時投句「春潮に犬が肛門洗いをる」

光琳の松島春や金の波 かのん
春塵を抜けて臼杵の石畳 春告草
 地名を生かした二句。前句「松島」は光琳作『燕子花図』のごとき装飾的大作の屏風絵か。「光琳の松島春や」という独特の切れの入れ方が下五「春の波」を際立てる。後句、「春塵を抜け」という状況のあと現れる「臼杵」という地名、さらにその「石畳」という映像が「春塵」を美しいものとして描く。

眠さうに丸く空見る蛙かな 人日子
頸伸べてついばむ鳩や涅槃寺 省三
 生き物二句。「眠さうに〜蛙かな」は想定できる措辞だが、中七「丸く空見る」が「蛙」のあの円い眼球を思わせてくれて、愉快。後句、「頸伸べてついばむ鳩」の的確な描写のあとに出現する「涅槃寺」という季語の滋味。生き物からいただける句材は、季語の現場に立ってこそのものだ。

水温む路上に魚の横たわり 青蛙
 なんでこんなところに? という疑問が当然わき起こるが、上五「水温む」という季語が、答えになっているような、なっていないような俳諧味。

花見茣蓙保険のきかぬサロンパス 三竜
永き日をのらりくらりと熱後の身  むらさき
 身体的実感の二句。前句、花見のための茣蓙といえば風流だが、その実はごつごつした座り心地。腰が痛い膝が痛い人間にとっては堪えること限りない。それを淡々と「保険のきかぬサロンパス」と取って付けるところに俳味が生まれる。後句、「永き日をのらりくらりと」でただ怠けているのかと思えば、下五「熱後の身」で読み手はハッとする。どうぞ、怠けて下さいお身体厭って下さいと、言葉をかけたくなる一句。


今月の人(じん)
菜の花の憂鬱映す電波塔 てんきゅう
バイソンの舌先尖る春月夜
トンネルを出て桜見て海を見て 樫の木
白杖のかき混ぜかき混ぜて落花
犬の目の優し蛙の目借時 古殿七草
染め筆を洗ひて春を流しをり
ミモザミモザ寂しい時の呪文 依里
花冷えの鞄に入れる清め塩
句碑の罅蒼々つたふ花の雨 緑の手
ガーシユイン聞いてトマトはぺつちやんこ
桜蕊降るや告知はとうとつに 瑞木
角持たぬ獣は春の夜に惑う
夢覚めて椿のひとつ落ちる音 こぼれ花
春愁や鳴門の渦の観光船
ドイツ語のような浜の方言野水仙 さち
三日月やくすくすくすくすとさくら
よく道を聞かれるタイプ桃の花 もね
出がらしのお茶の葉回る弥生尽
空色の車となりに停める春 不知火
助手席に乗せる妹ミモザ咲く
黄砂吹く電波鉄塔揺れてゐる じろ
溢れゐる人も桜の一部にて
桜散る光の記憶失へば 桜井教人
当たり前など何ひとつなく春野
春光に拾い集める楽譜かな のり茶づけ
青年のリュックほつるる遍路かな
琴糸を晒せる寒の走り水 ターナー島
寒さ絶頂くれないの薔薇の棘
延命は不要と記す春炬燵 さわらび
フライパンに米透き通る遅日かな
曼陀羅に我見つからず白木蓮  亜桜みかり
三台のナナハン春風まぜかえす
鳥風に潮流信号点滅す 野風
エレベーター満ちる花冷えの無言
駅前の足湯で終る花見かな 鯉城
余生なほ虚子集を読む葱坊主
霾や法規に但書き多し 鞠月
ソリストは下がりミモザに打つ拍手
この町の通帳を閉じ鳥雲に うに子
つぎつぎと保母に告げ口チューリップ
囀りやジャングルジムに囚はるる  神楽坂リンダ
片言ノ来賓祝辞卒業式 和音
研修のお辞儀の角度囀れり 空
開場の前の行列春ショール 春告草
紙コップ花びら入りの酒を飲む 輝女
花ひとひら居眠り地蔵の右頬に  まんふく
鞦韆漕げば疾しさ捨てられるか 空山
引率は女先生磯遊 浜田節
ぼんやりと一里向うの桃の花 お手玉
何もかもハローキティで入学す  ポメロ親父
紅梅の空へ空へと広がれり ぴいす
スコップをかつぎ乗り込む春疾風  一走人
二胡響く桜の海に走る風 ふーみん
春日や蓑毛ひこひこありく鳥 てん点
巻くたびに春を絡めてカルボナーラ  魔心地
きりきりとねじ巻けねじ巻け万愚節  ゆき
朧夜や忌名を宙に吐いてみる 蓼蟲
入院は今日でおしまい初桜 えつの
へばりつく作業ズボンや春疾風 北伊作
白梅はやさしき声のように生き  アンリルカ
楓の芽帰依の心の沸沸と 哲白
永日の乳房に熱く湯殿神 みちる


今月の並選
木瓜の花家族写真の指のあと ぎんなん
百千鳥色とりどりのランドセル
桜散る深夜トラックのライト浴び
破顔して小人の女と遅桜 紅紫
ひとり去り昔なじみと花見かな
初桜SNSの友と会ふ
梢の影の線緩し春きざす 樹朋
土筆採り車道の端で採り納め
雑木山そこに居ったか山桜
夢語る眼確かや黄水仙 おせろ
老いてなほ親でありしや黄水仙
いつまでも手元に置きたき雛かな
種痘の予約恋人もいないのに ソラト
鳥帰る逆ベクトルの遅刻かな
炊出しの菜飯メタンハイドレート
ガラス戸に小さき吸盤青蛙 ほろよい
初蝶の草の青さを蹴って舞う
駅伝の襷はピンク山笑う
水尾残し卒業生は島を出づ 元旦
さくら舞ふハワイ航路の歌碑に舞ふ
海峡の通航情報春霞
春風やクリームチーズかごの中 権ちゃん
春昼のオーブンレンジ歌い出す
花冷えや回覧板の下に印
50代最後の日なり春うらら ペプチド
お花見に粒あんパンを持って行く
入社式大人も欲しいドラえもん
人面やわらかく長閑なる日常 紗蘭
縫い代の角曖昧に朧月
それぞれの囀の間にある休符
花盗むベッドの国の人のため あらた
山笑うあっけらかんと出て行く娘
花大根舌で覚える匙加減
春彼岸六地蔵尊まず拝む れんげ畑
雨水過ぎ手と足と首ちょっと伸ぶ
大宝寺国宝よりもうば桜
忘るまじ空海へ散りし花々 松ぼっくり
若人ら花を喜び散りしてふ
永久にあり知覧は既に花万朶
忘れ物今年も捜す夏の霧 レモングラス
ゼリー揺れ白磁の皿の小宇宙
退屈を持て余す子よ夏の雨
ぬかるみで長靴踊る春の泥 たっ君
啓蟄や虫よ目覚めとサキソフォン
退院の友の絵ハガキ春の色
春風や針も軽やか掛け時計 西条の針屋さん
観覧車周る彼方や黄砂舞う
残り香を出窓に置いて鳥帰る
転勤の張り紙多し鳥帰る 迂叟
春めくや壁に立つ影やわらぎぬ
色とりどり百円で買う春の夢
遠足の子の占領す花見山 あおい
俳句の宿へのいざなひ桜東風
逆さまに映す城山花筏
夜は夜の桜花なり人の退く ちろりん
菜の花のパスタあります赤画鋲
沈丁花オーデトワレの乙女過ぐ
連れだって何やら歌う春休み カラ嵩ハル
白木蓮笑いころげて女学生
花吹雪浴びてデコトラ仮眠中
丸谷才一氏を偲んで
すべりゆく秒針の先春ひがん 未貫ゆみ
金星より地球見物早春譜
不義理わびコスモスの種手の平に
花散らす雨降らぬやう晴れるやう 輝女
観桜の酒と肴を選びけり
夕鐘に幽かにゆれし伏姫桜 まんふく
この世こそワンダーランド春兎
父に会ひ母にも会へて彼岸明け お手玉
娘との小さなひみつ二日灸
朧夜の千ピース目のタジマハル ポメロ親父
卒業の夜のセッションの始まりぬ
好著ある書店の栞暮れなづむ 青蛙
彼の人を思い起こせり春帽子
砥部産の旗をたよりに梅の山 青柘榴
どの道も信じて行けと落つ椿
春の日の犬と一緒に大あくび ぴいす
オスプレイのバリバリバリと朧かな
通せんぼする女の子桃の花 一走人
揚雲雀アンダースローのサウスポー
春嵐ケムの向こうの仁王像 ふーみん
ホケホケと鳴く音足らぬホトトギス
光なき横臥の鯉に花の雨 てん点
リハビリの掛け合ふ声や夕桜
女校長荷降ろし安堵の離任式 魔心地
利き腕の指休ませる日の長閑
異国語のとびかう終電春の月 ゆき
幾度も夢に現る大試験
渾身の清張桜香椎驛 かのん
釜石小学校校歌感銘
いきいき生きる校歌響く春の日
夫介護四十年の花なづな えつの
介護妻延び放題のボケの花
大陸の空汚れたる余寒かな 人日子
里山の光集めて春の蝶
朧夜の脳天砕く太鼓衆 コナン
繕いの縫い目の曲り春愁
日輪のゆらぎ燃ゆるや竜天に 省三
一山のけぶらひゐたる野梅かな
薄暗き夜空に匂う浅き春 アンリルカ
木のそばで風を告げるはつくしんぼ
明日香る梅の小枝を賜りぬ 北伊作
つくしんぼ逃すはず無きお婆の目
静寂も不気味も神秘虎鶫 エノコロちゃん
いっぽいっぽはるもわたしもいっぽいっぽ
炭焼きの煙漂う朝静か サキカエル
早咲きの水仙匂う散歩道
菜種梅雨木材乾燥場の屋根 三竜
可動堰遊泳禁止鴨あそぶ
目のあたり広がる若草二世代 むらさき
若草のまばゆきほどに過ぎし日日
声はねて気象予報士春コート 哲白
桜ほろほろ園児の寝息かすかなる
夜桜や泣きたいときはここにこい 和音
カーネーション節の太さは母譲り
花散るやふと口をつく相聞歌 浜田節
飛下落花なすすべもなき殺気かな
青き踏む打捨てられしコンサイス 蓼蟲
春愁や足の小指の爪が変 空山
全山は鉄塔まみれ鳥雲に もね
初花や手料理持ち合う老人会 こぼれ花
帰国子の六年ぶりの桜かな さち
部活棟跡の小さし鳥雲に 空
機窓より北ゆく春を確かめる うに子
菜の花の窓辺に続く会話かな じろ
春の夜の写真ゆるゆる色変わる 不知火
霾や東京スカイツリーに長蛇 桜井教人
手付かずの田一面をれんげ草 青柘榴
人待ちて春愁といふ終列車 のり茶づけ
怨念の華やぎにけり薪能 みちる
掴みたる蔓ぐらぐら桐の花 さわらび
永き日の石畳ゆく風かろし 春告草
引札に眼鏡の模様春の昼 亜桜みかり
飛花落花玉子のやうに横たはる 野風
春嵐又三郎は転校生 鯉城
春眠の猫のそろりと向きを変ゆ 古殿七草
花冷えの貝殻骨に記憶あり 藍人
嘶きの駻馬抱きしむ春ジャンパー 緑の手
もてあそぶ絶対音感蜂の昼 瑞木



【雑詠句募集】
投句二句/俳号(本名)/〒住所/電話番号と、「○月末日締切分」を明記して、編集室「雑詠欄」または「へたうま仙人」宛にお送りください。
締切は毎月20日《必着》です。
※20日を過ぎたものについては、翌月分とさせていただきます。
※ひと月に複数の投句があった場合は、一番最後に届いた投句のみを有効とさせていただきます。同一内容での二重投句はご遠慮ください!
 投句は誌上句会宛のハガキ&メールとは別でお願いします。
雑詠専用Eメールアドレス zatsuei@marukobo.com
インターネットや携帯電話からも投句できます。
下記インターネット投稿フォームからは全てのコーナーへの一括投句ができるのでオススメです。
投稿フォーム http://www.marukobo.com/toukou/


目次に戻る


初学道場 へたうま仙人


原案:大塚めろ
文責:編集室

 さあ夏ぢゃ。夏の歳時記の用意は万全かのう。春の歳時記に感謝をしつつ、夏の歳時記を開くとまた新たな気分になって言葉の泉にも波紋が広がるというもんぢゃ。とその前に、今月のこのコーナーも忘れちゃいかんぞ。今月も性根を据えて堪能してくだされ。

とりあえず孫でも誉めとけ啓蟄 天玲
マーガリンはバターか目白は鶯か 天玲
 をっ、季語が入っておるではないか! これ以上コメントは無い。鶯餅は有るが目白餅は無いんだな的二学年落第!

大阪市大正区で句会してほしい ケンケン
組長の人柄出てる伊予訛り ケンケン
 季語の入れようのない、入れる必要もない、ある意味完成された句ぢゃ。俳句というカテゴリーを超越しとるぞ。

川べりの桜のつぼみ菜の花の黄 小犀
畑中の菜の花歌う浅き春 小犀
濃い紅とひっそり白梅春浅し 小犀
 季重りに果敢に挑戦!って、挑戦してどうするんぢゃ! この才能を他に生かして欲しいぞ。大器晩成的居残り!

ボケの花そろそろはじめるボケ防止  柊つばき
ポジティブになれるなれるさ八重椿  柊つばき
 俳人たるものこうでなくては! 俳人からポジティブを取ったら何も残らん。能天気に気楽に行こう的現状維持!

爪先にぽっぽっぼっと咲く桜  KIYOAKIFILM
 爪先と遠くの桜が同時に見える体勢というと寝ておる状態かのう? 窓の外の桜と室内の爪先は何かの暗喩かのう?

春光の怒涛受けとむ所存です はまゆう
 見事な所存ぢゃ。怒涛と言えど、春光に和らげられて幾分か柔らかくなっているところがご愛嬌。ご自愛的留年!

初めての口づけの息沈丁花 未々
 「息」が生生しいぞ。沈丁花がなんとも良い味を出しておるが、書生と女学生にはまだまだ早過ぎるぞ的謹慎!

戦場や囀り競う大角鼻 だなえ
 ローカル過ぎてわかり難いところが悲しいが、戦場と囀りには一筋の光が見えるぞ。さあその光を掴もう的在校!



    以下、全て追放!

白酒やクシャクシャの日をゴミ箱に  洋子
 ゴミ箱がすぐに一杯になってはちと困るが、クシャクシャの日が全てを物語っておるぞ。白酒を飲みつつ追放!!

しやぼん玉犬の遺品のでてきたる  ひでこ
 思わぬところから出てきた遺品は、意表を突かれた分余計悲しくなるのう。しゃぼん玉は本当は悲しい歌的追放!

あした死ぬような気がして朝桜 小木さん
 誰に対してそういう気がしたのかの? 看取りの場面だとしたら、朝桜がなんとも切ないが、深読みは禁物的追放!


 今月も追放者を出してしもうた。わしとした事が口ほどにも無い……。反省も込めて、わしはちょいと霞の中で昼寝と洒落こむが皆の衆、くれぐれも油断召されるなよ。


目次に戻る

放歌高吟


雲の巨人
夏井いつき

たんぽぽや雲の巨人の来る話
土亀山笑う甲羅のあたりから
真っ黒な犬に嗅がれている椿
鉄条網美しさえずりの激しき日
さえずりやみずみずしきは女の息
シャガールの青を囀ることしきり
地球は弧のれんぞく菜の花のだんぞく
高原の雲かがやかす蜂の尻
複眼の太陽に蝶くつがえる
鱗粉を濡らして蝶のお弔い
鳴いてすむことかと亀を叱りけり
すかんぽのかりぽりすっぱくて泣ける


 松山市がこの春、自治体としては全国初の取り組みとなる俳句サイト『俳句ポスト365』を開設した。その選者を仰せつかってからの毎週水曜投句締切を軸としたルーチンワークも何とか軌道に乗ってきた。
 今のところ一週間に一度の更新となっているが、週五日更新への作業が進行中。さらにサイトに集う人たち同士が情報交換できる広場も作りたい、オフ会も企画したいとスタッフの思いは広がるばかり。日本中の、いや世界中の俳句愛好者が集う俳都は、私たち「100年俳句計画」が夢みる松山の未来予想図でもある。

松山の息吹きと思ふ椿かな 酔う太
行くあてのなき犬海は春めかん 理酔
金縷梅や右ポケットに「春と修羅」 樫の木
饅頭に人相のある日永かな めろ
春の月もぐらの罠の濡れてゐる だりあ
大阿蘇は凹んだ目当て鳥帰る 樫の木
春愁の嚢ペリカンの嘴 めいおう星
万愚節の雲獅子になり熊になり 甘えび
揃えては白き芹の根水へ打つ のり茶づけ
頬白の来て大楠へご注進 すな恵

 十回の発表を終えた段階で、すでにこのような佳句の収穫。心嬉しいスタートを切った。さらに「俳句道場」と名づけた俳句講座には、兼題となる季語についての様々な情報が集まり、季語の本意を理解する上での有効な場となりつつある。毎週一季語に絞って本意を考察する「季語深耕」は、十年二十年後貴重なデータベースとなり得るに違いない。そんな未来を想像できる仕事は、文句なく楽しい。

渋柿のごときものにては候へど 松根東洋城

 「俳句」とはいかなるものかという大正天皇の質問に答えての一句。言い得て妙な喩えだ。私ならどう答えるだろう。いろんな答えが想定できるだけに、かえって迷う。
 仮に、今日の気分で答えるとしたら、うん、そうだな、雲の巨人みたいなものだと答えるかもしれない。たんぽぽの野に寝転んで空を眺めれば、雲は次々に形を変えて駆けていく。あ、今の雲、巨人みたい! そんな小さな発見はいちいち他人に語るほどの話ではないが、俳句という十七音の器に盛ってみせるのは楽しい。役に立たない話も取るに足りない出来事も、俳句という魔法の粉をかけると、雲の巨人のように生き生きと動き出す。俳句という魔法の杖と共に歩く自分の未来が、楽しくないはずはないと思う、ある春日のささやかな感慨。




夏井いつき公式ブログ「夏井いつきの100年俳句日記」

http://100nenhaiku.marukobo.com/


目次に戻る



新 100年の軌跡


第2回


触 紫音

白なのか黒なのか陽炎なのか
風光るまた明日ねと言える今日
石鹸玉少女の口の小ささに
犬ふぐり小さき駅に多き子ら
紅梅や涙膨らみ影に落つ
鶯や川の流れは速かろう
春寒や通った後のとたん屋根
れんげ草飛行機を運ぶのはだれ
傘に落ち我には触れず春の雨
われの手に落ちて来い来い残る花
虻の手に触れられていたのかこの手
猫にキス拒否されました花苺
春コート曲がったままのハンガーに
春昼や一時停止の女優の目
春くらい塩少々の少々は


紫音
1990年生まれ。松山市在住。2011年から俳句甲子園実行委員会所属。2012年2月、俳句を始める。2013年3月、松山大学法学部卒業。




春夕焼 久保田牡丹

マネキンの髪を束ねて長閑かな
幾千の星を湛へて池の春
春風をあやす一等兵の墓
赤ちやんの泣き止む春の海岸線
シェパードの欠伸の移る弥生かな
家族輪に座して土筆の袴剥く
ポケットの手帳際立つ受難節
火葬場の煙突春を吐きにけり
山笑ふ足を休めるための岩
海底をかき混ぜてゐる春嵐
仏滅に印を付けし彼岸かな
集落の芯に据ゑられたる桜
税務署へ春風のひた走りけり
未だ慣れぬ呼び方をされ花曇
鍬一本馬一頭と春夕焼


久保田牡丹
1991年生まれ。松山中央高校出身。「どんな人にも分かりやすい俳句」を目指して頑張っています。よろしくお願いします。




陽炎と芯 マイマイ

白なのか黒なのか陽炎なのか 紫音
 白と黒の間は灰色ではなく陽炎だったとは。揺れ動く心情をも表現しているようだ。

れんげ草飛行機を運ぶのはだれ 紫音
 謎の多い句だ。飛行機は空なのか、地上あるいは海上を実際に運ばれているのか。れんげ草もこの不思議な問いも春のたゆたゆとした空気の中を漂っている。

春昼や一時停止の女優の目 紫音
 ドキリとさせられた。停止した画面からの視線に射すくめられてしまいそう。季語の持つ雰囲気との対比がよい。

シェパードの欠伸の移る弥生かな 久保田牡丹
 欠伸の移る句は他に見たことがあるが、シェパードの少し細長い顔がありありと浮かんできて笑ってしまった。季語が句全体をゆったりと支えている。

集落の芯に据ゑられたる桜 久保田牡丹
 捉え方が見事。集落を俯瞰で見下ろしているかのよう。

税務署へ春風のひた走りけり 久保田牡丹
 この句材にして「ひた走りけり」の大仰な文語が諧謔味を演出。少々皮肉な感じもして可笑しい。


2003年11月頃よりラジオに投句を始める。いつき組選評大賞2007年優秀賞、2008年奨励賞受賞。



少々 瑞木

風光るまた明日ねと言える今日 紫音
れんげ草飛行機を運ぶのはだれ 紫音
 フレーズの表現や取り合わせる季語の選択が軽やかで、読んでいて気持ちがよく好感が持てます。かと思えば、

春くらい塩少々の少々は 紫音
のように、何かよく分からないけれど気になって仕方ない句も作るとは。「少々」という曖昧な言葉と、春のどこかぼんやりしている感じが似合っていると思います。どんどん色々な表現に挑戦して下さい。

幾千の星を湛へて池の春 久保田牡丹
 下五の「池の春」の語順が良いと思います。柔らかな夜気の中で潤むように光る春の星。大きな池の水面にその光が映りこんだ静かで優しい情景が浮かびます。

家族輪に座して土筆の袴剥く 久保田牡丹
 私のイメージする「どんな人にも分かりやすい俳句」は、こんな俳句です。効率のよい十七音で春の幸せな家族の情景を描いていて、郷愁も感じます。「どんな人にも分かりやすい俳句」は、なかなか難しい目標だと思います。健闘を祈ります。


1963年生まれ。愛媛県八幡浜市日土町在住。第2回選評大賞最優秀賞。


目次に戻る



大漁旗獲得記念! 最新十句



 180号〜185号の「ザ・句会」にて累計点数の最も多かった、なゝさんの大漁旗獲得を記念しまして、最新十句を掲載します。
 今回の十句に対しての感想をお待ちしております。寄せていただいた感想は、次号に掲載します。

風光る なゝ

白梅や酸素はひとりぶん貰ふ
愛の日の森に入るときはふたり
蓬餅あをざめみづいろの兆す
風光るるとかまとかに穴開けて
清らかなをんなともだち夏木立
鈴入れて秋思も入れて玩具箱
音読に愛らしき癖クリスマス
クリスマスローズ俯いて傷つける
日記買ふ前の少女と同じもの
福笑ひに使ふ人生の時間


目次に戻る



句集スタイルに寄せて


夏井いつき

 句集スタイル────
 若いスタッフたちから提案されたこの名前に心惹かれた。

 「一生に一度、渾身の力を振り絞った句集を一冊だけ……なんて、重くないですか」
「一世一代の思い入れで作る句集だから、百万円近い金額が常識になってしまう」
「しかも寄贈し合うのが礼儀になってるから、句集制作費は全額自腹」
「もっと安くてもっとお洒落な句集が気軽に出版できる仕組みを考えたいんです」

 君らの理想は分かるが「もっと安くて、もっとお洒落に」は、そう容易く実現できるものではない。大手出版社のお金をかけた分厚い句集か、ネット系自費出版の安くて薄い句集か、その両極しかなかったのは、出版業界のそれなりの事情があるからに違いない。早々、カンタンに君らの理想とする出版形態が見つかるとは思えないが……との老婆心を膨らませつつ、彼らの話を聞いていた。
 が、数ヶ月に及ぶ試行錯誤の末、彼らは何とも想定外な妙案をひねり出してきた。新しいオンデマンド印刷の特性を生かし、句集を出す人も、買う人も、売り出す出版社サイドも、皆が(大儲けはできないが)損をしない仕組みを考え出してきたのだ。小さな出版社にしかできない合理的なこの仕組みを、彼らは「句集スタイル」と名づけた。これまた新鮮なネーミングだと、こころ密かに驚いた。


 句集シングル────
 さらに彼らが提案してきたのが、この言葉。

 「一つのテーマで三十句とか五十句とか八十句とか、そういう小さな句集があってもいいと思うんです」
「シングルCDみたいに、季節ごとに一年ごとに小さな句集がどんどん発表されていくと、俳句界そのものが活性化していくんじゃないでしょうか」

 この提案に、私の脳髄はぴぴぴーん! と反応した。そうか、小さな器であることを逆手にとっての、小さな句集という発想があったか。一世一代の重い一冊ではない、もっと軽やかな句集の楽しみ方。句集の価値観を一気に解放する「句集シングル」という提案。おおー、やってみたい!
 早速とりかかってまとめたのが、初の句集シングル『蝶語』。わくわくしながら蝶の句を作っているうちに、さらに次の句集シングル、次の次の句集シングルとアイデアが湧き出す。脳が興奮する。すぐにやってみたくなる。「句集シングル」とは、全く侮れないネーミングであるよと嬉しい悲鳴の眠れぬ夜が続く。



句集シングル『蝶語』
夏井いつき

135ミリメートル×135ミリメートル、36ページ、
オンデマンド印刷、表紙PP加工
定価735円(税込)


目次に戻る


Letter from spider garden


ナサニエル・ローゼン(訳:朗善)
松山市在住の世界的チェリスト ナサニエル・ローゼンのHAIKUとエッセイ


No.13

Our dog Kabochan
Outside chasing birds and bugs
Happy in springtime.

鳥や虫や来て忙しや春の犬

(直訳)
われらが愛犬かぼちゃん
お外で鳥や虫を追う
春の楽しみ



Soseki is great and funny. I Am a Cat makes me laugh out loud. Even the names of the characters are funny: Coldmoon, Sneaze, Waverhouse, Mr. and Mrs. Conk, and their daughter Opula. Ito and Wilson collaborated to make the English translation. I am grateful.

 漱石は偉大であり、しかも面白い。「吾輩は猫である」に大笑いさせられるよ。登場人物の名前だけでもう笑える。例えば、寒月、苦沙味、迷亭、それから、金田(鼻子)夫妻と、令嬢の富子。伊藤とウィルソンの共訳は素晴らしい。ありがたい。

訳:朗善



ナサニエル・ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。
2011年より松山市在住。


目次に戻る



JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第26話
「マイ・ピッコロ」 宮沢昭

度の強き眼鏡あの日の青嵐 猫正宗

 猫さんが守安祥太郎と宮沢昭をつなぐ句を詠んでくれた。夭折の天才ジャズピアニスト守安は極度の近眼で、その容姿は銀行マンか公務員のようだった。が、彼の演奏するビバップは壮絶で、共演者の追随を許さないほどの輝きに満ちていた。その中で若き宮沢は成長した。彼の守安に対する親しみと畏敬の念は「メモリーズ・スルー・シック・グラッセス」というオリジナル曲に表れている。曲想は守安のプレイとはかけ離れ安らかだが、そこが一層感慨深い。

五線譜は山女魚の青で彩られ 蛇頭

 守安に捧げられたその曲は、62年に宮沢の初リーダーアルバム「山女魚」でリリースされた。渓流釣りの名人としても知られていた宮沢は、自作曲によく魚の名を付けた。魚との駆け引きのスリル感を描いたのだろうか、或いは魚影の美しさに誘発されたのだろうか、などと想像を掻き立ててくれる「いわな」「河ます」「あゆ」「虹ます」等も実に魅力的なナンバーだ。
 しかし、間もなく宮沢は「ジャズでは食えないから」とジャズの第一線から退き、スタジオ・ミュージシャンや越路吹雪の伴奏をして生計を立てることとなる。この状況を憂い、宮沢のジャズ界復帰の後押しをしたのが岡崎市で開業医をしていたドクターJAZZこと内田修である。

このジャズは失意の友に吹く薫風 チャンヒ

 宮沢の復帰第一作が「マイ・ピッコロ」である。全曲彼のオリジナルで「ドクターU」は、稲葉国光と井野信義のダブルベースとの共演で奏でられるミディアム・テンポのブルース。内田に捧げられた革新的なナンバーである。アルバムは81年の日本ジャズ賞に輝いた。
 その頃の宮沢の生演奏を一度だけ聴いたことがある。今や松山の老舗ジャズピアノバーとなった「ムーングロウ」で当時、松山在住の西村昭夫さんと宮沢のツーテナーによる共演があるというのでワクワクしながら出かけた。「西やん、一緒に演ろうよ!」と誘われたことを静かに、でも誇らしげに語っていた西村さん。和製ソニー・ロリンズとも呼ばれていた宮沢と西村さんの共演は、そのまま日本版ロリンズ VS コルトレーンのテナーマッドネスだったが、残念ながら我がコルトレーンは完全にロリンズに呑まれてしまった。緊張からか少々フレーズを乱す西村さんを僕は初めて見てしまった。それでもライヴ会場には二人のビッグテナーに注がれる温かさと熱さの混在する空気と視線があった。だが宮沢を最高の賛辞で紹介したドラマーの小津昌彦も宮沢も西村さんも、既に故人となってしまった。
 そういえば、西村さんは愛犬にピッコロと名付けていたっけ。

夏立つや楽器ケースの開けっ放し ドクトルバンブー

 生き生きとした宮沢のジャズがステージから漏れ伝わってくる楽屋。そこはジャズ者たちの憧れだった。



http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。


目次に戻る



ラクゴキゴ


『大工調べ』
〜 立て弁を聴いてスッキリと 〜

あらすじ
 神田小柳町に住む大工の与太郎。くずでのろまだが、腕はいい男。
 最近仕事に来ない与太郎を心配した棟梁の政五郎が長屋まで来て尋ねると、家賃のかたに道具箱を家主の源六に持っていかれてしまったという。
 四ヶ月分計一両八百文ためた金のうち、一両だけ渡して与太郎に道具箱をとりに行かせる。
 政五郎に、「八百ばかりはおんの字だ。あたぼうだ。」と教えられた与太郎、うろおぼえのまま源六に「あたぼう」を振り回し、怒った源六に「残り八百持ってくるまで道具箱は渡せない」と追い返される。
 与太郎が「だったら一両返せ」と言えば「これは内金にとっておく」と言われる始末。
 これを聞いた政五郎、与太郎と共に乗り込んだが源六はそれもはね返す。
 怒った政五郎、啖呵を切り、奉行所へ訴えることにする。
 お白州では奉行が与太郎は政五郎から八百文を借りて源六に支払うよう申し渡した。
 有頂天の源六に奉行が尋ねる。「一両八百のかたに道具箱を持っていったのなら、質株はあるのか?」
 源六が無いと答えると、奉行は「質株なくしてみだりに他人の物を預かることが出来るか。不届き至極の奴!」と言い、結局源六は与太郎に二十日間の大工の手間賃として二百匁払うように申しつけられる。
 奉行「これ政五郎、一両八百のかたに日に十匁の手間とはちと儲かったようだなあ。」
 政五郎「へえ、大工は棟梁、調べをごろうじろ(細工はりゅうりゅう、仕上げをごろうじろ)。」



 オチはちとわかりにくいのですが演る人は多いようです。ただ全部やると50分くらいかかる大作ですので、途中与太郎を連れて政五郎が家主のところに行って啖呵を切るあたりで終えるパターンが多いと言います(古今亭菊志ん師談)。
 その啖呵を切る場面、江戸っ子の政五郎がよどみなくまくしたてるペラペラとしたしゃべりを“立て弁”といい、これがうまく決まると聴いているこちらの方までスッキリして胸のすく思いがします。ストレス解消!
 特に故古今亭志ん朝師のそれは、見ていて惚れてしまいそうになるほど「美しく」もあり「カッコよく」もあります。
 こういう江戸っ子が啖呵を切る場面がある落語のマクラによく使われるのが今回のテーマにもなっている『江戸っ子は皐月の鯉の吹き流し 口先ばかりではらわたはなし』。
 ポンポン言うだけのことを言うが、腹の中には何もなく、後はさっぱりしているという、江戸っ子気質を表す言葉です。
 年中使うマクラの一節ですが、やはりこの季節に青空に泳ぐ吹き流しを思いうかべながら噺を聴くと、また心持ちもちがうもの。
 やはりその季節にはその季節の噺がしっくりくるものです。
 たとえベランダに泳ぐ小さな鯉のぼりでも、この時期ならではの親の気持ちですものね。

島の風島に還るや吹流し


目次に戻る


お芝居観ませんか?


文&俳句 猫正宗

第10回 『夢千代日記』
[前進座公演、原作・早坂暁、台本演出・志村智雄、演出・橋本英治、出演・今村文美、高橋佑一郎、いまむらいづみ、他、'13年3月27日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール]

 山陰の山間、余部鉄道を越えたあたり、鄙びた温泉町の小さな置屋・はる家。女将の夢千代は、胎内被曝により体を蝕まれながら、そこに集まる様々な過去や事情、心の傷を抱えた人々を、支え、癒していく。そんな交わりの中で、彼女自身もまた、変わっていく。

夢の吹き溜まり乾風の温泉場

 吉永小百合主演のドラマ三部作を基に舞台化された作品。ドラマは、残念ながら未見なのですが、本作品は、三部作(と映画?)から、各エピソードを採りながら、独自にアレンジされて作られたようです。キャッチフレーズは「たたかう夢千代」。主演の今村文美の印象もあってか、ドラマと比べて、明るさや逞しさを感じたという声もありました。また、芸者たちの所作や踊り、謡い。劇中劇の殺陣など、歌舞伎劇団らしい見所も。
 本舞台は、夢千代が、今まで目をそむけていた過去を見つめ直し、あと一年しか、ではなく、あと一年も生きられるのだと、自らの命に向き合うことを亡き母に誓う、というところで幕を閉じます。
 その最後のシーンは、絢爛華麗に舞い散る、無数の桜の花片で埋め尽くされます。(ちょっとだけ掃除が大変でした。)もちろん、それは、背景効果のみならず、夢千代の心情をも表現しているわけです。おそらく「季語」というものも、同様の感性から生まれたのは言を俟たないでしょう。

花は咲き花は散る千代にも刹那にも

 余談ですが原作の早坂暁は、正岡子規を描いたドラマ『わが兄はホトトギス』の脚本を書いています。子規を演ずるは岸田森(一番好きな役者さん!)。これが、なんと、南海放送開局25周年記念ドラマ。今年は60周年ですよね。再放送とかソフト化とか、無理かなあ。



このコーナーでは、松山市民劇場例会にて公演された芝居を紹介します。


目次に戻る



一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


金曜日優秀句
平成25年3月度


【開帳】
開帳の朝を清めし竹箒 めろめろ
開帳や現世今朝から小雨降る  江刺乃カナ女
出開帳仏意外な御面相 ちろりん
修復の箔鮮やかに出開帳 妙
開帳や蠢く龍の天井画 風花会・なでしこ
どよめきは地鳴りのように御開帳  たかこ
開帳や稚児のごとき御本尊 ほろよい
御開帳光御身に届かざる 紫水晶
開帳や坐像の耳にある埃 烏天狗
開帳や芭蕉隠密説しきり マイマイ
開帳やきらきら揺れる海しずか  霧フカシ
御開帳頷きおうて開く厨子  西条の針屋さん

《天》
五色幕風蹴り上げて御開帳  てんきゅう


【小綬鶏】
小綬鶏の驚かしたり祠守 菜々枝
小綬鶏やこの山我の他に居ず 不知火
小綬鶏や荒行帰参奉告式 てんきゅう
小綬鶏の昼食せがむ野良の椅子  イーちゃん
小綬鶏の誘いに子犬首傾ぐ 南亭骨太
小綬鶏や造り酒屋の水清し てん点
小綬鶏や赴任地に振り向けば富士  樫の木
小綬鶏や天安門の黒き雲 さち
トルコ石の青さを小綬鶏に聞く 日暮屋

《天》
小綬鶏に呼ばれようとも鎌止めず  鍛冶屋


【土佐水木】
天は風にふるえ光の土佐水木 マイマイ
山間の栞のごとく土佐水木  風花会・山百合
土佐水木日差しを返す白装束 蓼蟲
大海を臨む札所や土佐水木 雪花
いさな棲む國に盛りの土佐水木 四方田
土佐水木鈴鳴るような夜明け前  ターナー島
土佐みづき鈴しゃんしゃんとひかりあう  藤実
土佐水木月はゆらゆら酔っており  ジャム
土佐水木相聞の歌海より来 たま
新任の村興し係土佐水木 不知火
どの子にも光る琴線土佐水木 たかこ

《天》
土佐水木川はほがらに朝の歌  太郎


【嫁菜飯】
厄年やほのかに苦き嫁菜飯 もね
嫁菜飯壁に煤けた不動尊 ほろよい
寮則五「残さず食べる」嫁菜飯 樫の木
嫁菜飯本家は常に客の居て もも
愛想はまくだけまいて嫁菜飯 だんご虫
曾祖母の乳母日傘よ嫁菜飯 郁
丙午と言われつづけて嫁菜飯 伊佐
嫁菜飯どれだけ泣いていただろう 睦
嫁菜飯海が海瓦礫が瓦礫であるために  冬井いつき
満月は低きにありて嫁菜飯 日暮屋

《天》
嫁菜飯双葉のごとき山羊の爪  烏天狗


【暖か】
継ぎ目なき一枚の空暖かし ロミ
暖かや展望台は空の上 山野遊造
暖かやご先祖様に水あげに お手玉
暖かやタワシの音の響く墓地 しんじゅ
暖かな日暮れに聞こゆ野のポンプ 一味
暖かや移動図書館遅れて来 蓼蟲
暖かや肘ついて寝るカンガルー  マイマイ
暖かし跨ぐ木馬の小さき耳 羅エル
日のこぼるる仁王の足の暖かや 蕃
暖かやのど越しに湯のとおりゆく みく
暖かや削って曲がる烏犀角 みいみ

《天》
暖かや山海ぐいと力瘤  殻嵩はるお


※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとに活字化したものです。俳句ならびに俳号が実際の表記とは異なっていたり、同音異義語や類音語などで表記されてしまっている場合がありますのでご了承ください。



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

5月12日
小満【初夏/時候】
二十四節気のひとつ。立夏からおよそ15日後で、陽暦では5月21日頃にあたる。陽気が盛んになり、草木が次第に茂って満ち始めてくる頃。

レース【三夏/人事】
主に金属製の鉤針を使い、細い糸をさまざまな透かし模様を施しながら編み上げた手芸布。日用品や衣服に利用される。


5月26日
尺蠖【三夏/動物】
シャクガ科の蛾の幼虫。細長い体で、前後2対の腹脚を使って尺を取るような歩き方をすることからこの名がある。静止すると枯枝のように見える種が多い。

冷汁【三夏/人事】
主に味噌汁や澄まし汁といった汁物を、器ごと冷蔵庫などで冷やして食す。



目次に戻る



句集の本棚





『五弦琵琶』塚谷 誠 著

  職退いて初の大暑をもてあます
 三十数年間ビジネスの世界に身を置いてきた著者はリタイアの後、目標を失った虚脱感を覚える。そして俳句を志す。
  一瞬に蟻消えにけり蟻地獄
  男には男の美学三島の忌
  大吉と出るまで求む初御籤
  角とれぬこと嘆きつつ冷奴
 ふとした感慨も、自らの後悔も、過剰でもなく静か過ぎるわけでもなく、深く刻む。たとえ無骨であろうとも、それが著者の奏でる五弦琵琶の音色ではないか。これからもぜひ奏で続けていただきたい。
 美しい五弦琵琶もかつてこの世に初めて登場した頃は、きっとまだ洗練される前の無骨さがあっただろうから。
  曝涼の館に聴けり五弦琵琶
 「築港」同人、俳人協会会員。
(書評:匠磨)

角川書店(2011年初版)
定価 2667円(税別)
全197ページ



『妣の国』奥坂まや 著

 妣(はは)とは亡母(なきはは)。「妣の国」は死者の国。全三百六十句は、美しき季語と屹立。
一章 若楓おほぞら死者にひらきけり
二章 かなかなや病みてつめたき母の髪
三章 呼び交はすなり夜の雲と水餅と
四章 山桜にんげんが来て穴を掘る
五章 桃の在るのは人生のちよつと外
六章 いちじく裂く六条御息所の恋
七章 冬空を鵜の群妣の国へゆくか
   姿見へ激しく豆を打ちにけり
八章 いちれつの金切声のチユーリツプ
九章 コンチキチンコンチキチン母が死ぬ
 妣の国の季節は今いつか。生きるとはかく見つめる事。妣の国へ行く迄は。句集のカバーの銀の文字が春灯に光る。心あふれる跋文を高橋睦郎。隅々までゆき届いた装幀を菊地信義。『列柱』『縄文』に続く第三句集。
(書評:恋衣)

ふらんす堂(2011年初版)
定価 2571円(税別)
全198ページ



『白星』戸恒東人 著

  まつしろな的の裏側弓始
  勝ち牛の春泥のなか圧して来る
  色の輪を重ねて淵の花筏
 生活と自然の拘わりが端正な文体で表出される。
  巌壁にすがる根ぢから蔦紅葉
  ビルの間の奈落奈落へ名残雪
 ビルの間の「奈落」は果てしなく思えるほどに深く、一片一片の「名残雪」は時間をかけてゆっくりとその間を落ちていくのだろう。
  満天の星の重さに胡桃落つ
  日盛りや聖者で鎧ふ大聖堂
 「大聖堂」に描かれる「聖者」には確かに堅牢な神聖さがある。
  麦笛やめぐるさかづきあたりまで
 このような遊び心もある第七句集。
 「天為」同人。「春月」主宰。
(書評:藤実)

角川学芸出版(2012年初版)
定価 2667円(税別)
全197ページ



このコーナーで紹介した句集は、100年俳句計画編集室にて閲覧できます。


目次に戻る



まつやま俳句でまちづくりの会通信


第27回 文/あねご 写真/チャンヒ

松山城歳時記化計画進行中
 松山市長は宝磨きをしていくと言いよいでた。その松山の宝の一つに言わずとしれた松山城がある。そして私らがなにより自慢にしたい宝物として「俳句」がある。この俳句は俳句そのものが宝であると同時に松山城じゃろと、人物じゃろうとなんでもピカピカに磨きあげる優秀な研磨剤にもなるという優れものアイテムになれる。
 去年の俳句甲子園の地方大会の松山会場で今治特別支援学校の句に草も木もすべてで城が成り立っとるというような句があったわい。その句を見た瞬間に松山城が思い浮かび、ほうよなあ膨大な数の季語で埋まっとらいなあとがいにその句が気に入った。
 ある日キムさんがキラキラ瞳を輝かせて言うたのが、その俳句に欠かせない季語で松山城を埋め尽くす「松山城歳時記化計画」というものじゃった。四季折々の季語を見つけ松山城の地図に落としていくというものである。一度ならず、一年中違った松山城を楽しむことができる。肉太の案内図ができる。
 早速下見を兼ねてカメラ担当キムさん、花の歳時記を手に野風さんと記録係のあねごというデコボココンビ、3月10日肌寒い東雲神社の麓を出発した。はずじゃったけど、神社の石段を上がることができん。早速足元に我先に見つけてもらおうといわんばかりに春の草花があふれとった。季語と意識せんかったらぜ〜んぜん目にも入らんじゃろ草の数々、カタバミ、いぬふぐり、野苺、はこべら、烏の豌豆、スイバ、蓬……あっという間に散策マップはメモで埋まった。石段を一段も上がることなくその場で二十分が経過した。蓬ひとつに喚声をあげ、カメラを向け、何やら書きこむ三人組は通行人にはアブナイ人に映ったにちがいない。
 その後も時々?マークの視線を感じつつ、少しずつ坂道を散策していった。途中野風さんが嬉しそうに「組長の句にある椿寒桜はこれかもしれない」と言った。一句の現場検証ができたような気がして、組長と同じものを私たちも見ている、みたいな自分勝手な感動を味わったり、本当に不思議な一行だったに違いない。遂に我慢しきれなくなったらしい通りがかりのおいさんが声をかけてきた。その人は松山城のボランティアガイドさんで、ご自分で調べた膨大な資料のファイルを見せてくださり、おもしろがって頂上へ一緒に引き返してつきあってくださることになった。
 季語を意識して歩くと、足元の草花だけでなく、自然と鳥の声も耳に新鮮に入ってくる。動物、植物、天文、時候と季語を集めていくと地図がぎっしり季語で埋め尽くされるような気がしてワクワクする。いつき組の鳥博士や植物博士を総動員してやがて歳時記化計画の吟行のご案内をいたしますのでみなさんご期待ください。


mhmでは、ひきつづき松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議がおこなわれます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。


目次に戻る



100年俳句計画 掲示板


 組長&編集長&組員さんの出演執筆一覧

テレビ/ラジオ
NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内
 『みんなで挑戦!MOVIE俳句』
  5月7日(火)11時40分〜
  5月21日(火)11時40分〜

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。

FM愛媛
 バニラビーンズの俳句っちゃお〜!
 毎週日曜日深夜0時〜0時30分
※夏井いつきが俳句指南で出演

FMラジオバリバリ俳句チャンネル
放送時間 … 月曜 17時15分〜17時30分
再放送 … 火曜 7時15分〜8時
 兼題「蝙蝠・薫風」5月12日〆
   「燕の子・黄金虫」5月26日〆
  mail fmbari@dokidoki.ne.jp
  FAX 0898-33-0789
※必ずお名前(本名)・住所をお忘れなく!
※各兼題の「天」句にはキム・チャンヒのイラストポストカードが贈られます。



執筆
松山市の俳句サイト「俳句ポスト365」
http://haikutown.jp/post/
 毎週水曜締切/翌週金曜結果発表

Pioneer Sound Lab. 音俳句(最終回)
http://pioneer.jp/soundlab/
 投句締切 5月15日
 結果発表 6月1日から1日1句
      6月30日が最優秀句
  ウェブサイト上に組長の選評が毎日一つ発表されます。投句も受け付けています。

テレビ大阪俳句クラブ選句
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

愛媛新聞
 「集まれ俳句キッズ」毎週土曜日

愛媛新聞(キム チャンヒ)
 「ヘンデス俳談」毎月第一土曜日 兼題「目高」締切 … 5月21日(火)


句会ライブ/講演など

第7回五十崎の空に凧が舞う 俳句凧表彰式
 ・5月5日(日・祝) 13時〜
 会場… りゅうぐう茶屋前の河原
 お問合せ/内子町観光協会
 0893ー44ー3790

広島市なぎさ公園小学校句会ライブ
 ・5月10日(金)


目次に戻る



魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

花の日
笑松 大人コン表彰式・大お花見大会。たくさんの方にお会いすることができ、とても楽しい時間を過ごすことができました。表彰式では、受賞された方々の、個性あふれるコメントがすばらしかったです。
まとむ 桜が散るとあっという間に葉桜になりました。柑橘の中でいちばん早く花の咲くイヨカンの蕾は、もう白く五ミリくらいにまでふくらんでいます。(はやっ!)先日の大お花見大会ではお世話になりました。ありがとうございました。久しぶりの参加で、組員さんたちとゆっくりお話できました。お酒は飲まんでも楽しめるということを知りました。(負け惜しみ?)来年は飲みたいと思っています。
ケンケン 初参加でしたが、とにかく楽しかったです。俳号「あねご」さんイコール組長の事だと思っていたので、カルチャーショックでした(苦笑)……実は、道後公園は初めて訪れましたが予想以上に良かった、最高だ! こんなことなら前泊して朝から参加すればよかったと悔やんでいます。来年は、この大花見大会or愛媛マラソン大会、どちらにしようか迷っています。四国のみなさん、今年もよろしくどうぞ……。
編 3月31日の大人コン表彰式&大花見大会に参加された皆様お疲れ様でした! 一番多いタイミングだと100人くらい集まってました。来年もお会いしましょう!

今年の俳句×書道展
小倉揮代 小倉書道教室です。このたびは、俳句のご提供ありがとうございました。また、全国から会場に足を運んでいただき、子どもたち共々大変うれしく思っています。俳句を選ばせていただく段階から、練習し、作品に仕上げるまで、どの子も身も心もそれぞれの俳句にどっぷりつかり、手を真っ黒にして、思う存分楽しみました。皆、素晴らしい達成感で、まだまだ余韻に浸っております。ぜひ、来年も挑戦したいと思っています!
編 昨年に引き続き松山市いよてつ高島屋にて書道展が開催されました。兵庫や高知からも見に行ったとの報が届いております。作品の写真はブログ「夏井いつきの100年俳句日記」内を「書道」で検索!

新しい誌面と投稿のあれこれ
洋子 大々的なリニューアルですね……三月末の締め切りは五月号で、四月二十日の締め切りは六月号ですね……フムフム
神楽坂リンダ 明日から4月なんだ〜、と思った瞬間、三月の月末なんだ!と気付き、あわてて1句だけ投句しました。雑詠コーナーが新しくなるんですね。
おせろ 子供の受験でバタバタで締め切り忘れる事もありましたが落ち着きつつあるので忘れず投句しないと。投句忘れるとわくわくが無く寂しいです。
編 新誌面のスタートについて様々なお便りが届いています。まずは締切関係について。全コーナーへの投稿が一律毎月20日固定へと変更されています。詳しくは25ページをご覧下さい。従来からの変更に暫くは戸惑いがあるかと思いますが、お付き合い頂ければ幸いです。

蓼蟲 ザ・句会の終了とても残念です。これこそが読者参加を代表するコーナーでした。早い機会の復活を念じてやみません。
うに子 「ザ句会」終了残念です。新しい企画……わかるか不安ですが、ゆっくりついていきますね。
編 「ザ・句会」を偲ぶ声も。選句と投句を楽しむのがいわゆる「句会」の楽しみ方。代わりというわけではないですが、インターネットが使える方向けに「象さん句会」などのメール句会も運用中です。投句と選句を再び楽しみたい方、興味のある方は編集室までお問合せを。

青柘榴 (くらむぼん宛)並から落とされることもしばしばの、無言の叱咤をありがとうございました。もっと精進します。
編 新誌面では選者及び天地人が増えるため、よりスポットの当たる句が増える見込みです。反面、闇に沈む句が増える可能性も……?

未々 (へたうま仙人宛)私はへたうま仙人さまの選評がとても楽しみです。何回追放されても、私は仙人さまに投句し続けたいです。
編 こちらは引き続き全員一句は紹介される予定。追放されても何回でも投句できるのがミソ。

はまゆう 初めての投句です。ヘタウマ、くらむぼん、どちらを選べばいいのかもわかりません。宜しくお願いいたします。
編 はじめまして、宜しくお願い致します。前のお便り二つを参考にしつつ楽しんでいただければ幸いです。

元旦 告知のありましたリニューアルや新企画楽しみです。正直、「くらむぼんが笑った」や「ザ・句会」のコーナーの終了は心残りではありますが、新たなるチャレンジに、このマガジンの心意気を感じます。同じところに留まらず、未来を目指す姿勢に共感です。雑詠句の選者のセレクトや、自由律俳句へ門戸を開くなど、俳句という表現の可能性を押し広げていくことへの一つの表れだと思いました。こちらのマガジンにお世話になって日の浅い私ですが、これからもよろしくお願いします。
編 なかにはこんなご意見も。ありがとうございます。期待に恥じぬよう一層努力して参ります!!

気になる表紙とその作者
瑞木 どんさんは、もしかして「旅人」さんですか?
編 今回の表紙も旅してます。ご本人からの解説を心待ちに。

類想類句にどう対処する?
北伊作 時々ですが誰かが前に書いた俳句では無いかと心配になります。御気付の時は御指摘下されば幸いです。
編 俳暦が長くなればなるほど、「誰かが前に書いた俳句では無いか」と気になることは増えてきます。気になる句を句会に投句して、句座の皆さんの目にさらしてみることをオススメします。句会には、そのような効用もあります。

FMがいや「俳句であそぼ」
こうや 組長の後輩がパーソナリティのFMがいや「俳句であそぼ」に投句をしよう!! ハガキが没にならないように大師に頼んだ。
編 なんとハガキに見出しまでつけたお便りが。その心意気買った!
・FMがいや(76.9MHz)内
 『俳句であそぼ』毎週火曜日13時(再 … 17時・21時)
 公式HP http://www.gaiya769.jp/

こちらもラジオ。一句一遊
カラ嵩ハル 一句一遊の天キャッチ致しました!! ありがとうございます。春です。春ちゃんです。ヤッホーッ!
編 いかにも春!! おめでとう!!


目次に戻る



鮎の友釣り

179

俳号 こぼれ花

由来 おちこぼれ? こぼれるばかりの美貌? ご想像にお任せいたします。

節さんへ 俳句は勿論吟行の後のビールの美味しさを教えて頂きありがとうございます。

出会い 陶芸仲間のまっことマンデーさんに教室で少しずつ話を聞いているうちに、気がつけば、組員になっていました。

発見 一つの答えでなくていい世界が有るなんて、目から鱗です。個性豊かな「高知まほろば句会」の皆さんとの楽しい句会は勿論、組長の奥深い選評に毎回感動と元気を頂いています。俳句って楽しいですね。

事務所訪問 ドキドキしながら丸い出窓が可愛いマルコボ事務所を尋ねました。月末の大忙しの中、突然の訪問でしたが、とっても自然に受け入れて頂きました。

写真 作者に似た壷です。

次回…柊つばきさんへ 草花を大切にされ、家族思いの「柊つばき」さんよろしくお願いします。


目次に戻る



告知


6月号より投句ページが変わります

 マガジン化10年目を機に、投稿ページを大きくリニューアルします。
 関悦史さん(「豈」同人)、阪西敦子さん(「ホトトギス」、「円虹」同人)、加根兼光さん(「いつき組」組員)の選者3名による雑詠句のコーナーときむらけんじさん(「層雲」同人)による自由律俳句のコーナーがスタート。また、へたうま仙人の選者を杉山久子さん(「藍生」会員)が担当。マイマイの「詰め俳句」も復活します。

1 雑詠句
 関悦史さん(「豈」同人)、阪西敦子さん(「ホトトギス」、「円虹」同人)、加根兼光さん(「いつき組」組員)の選者3名による雑詠句のコーナー。
 選者3名の内、2名が天地人をそれぞれ選び、残り1名の選者が、選から漏れた俳句の中から秀句を紹介します。
 ちなみに、投句は2句まで。

・関悦史(せき・えつし)
1969年茨城県生。「豈」同人。
第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。
2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。
共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』(以上、邑書林)、『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(以上、草思社)他。
雑誌「現代詩手帖」俳句時評欄担当(2012年1月〜)

・阪西敦子(さかにし・あつこ)
1977年神奈川県生「。ホトトギス」「円虹」同人。日本伝統俳句協会賞受賞。

・加根兼光(かね・けんこう)
1949年大阪生。俳句集団「いつき組」組員。第9回俳句界賞受賞。


2 へたうま仙人
 6月号より「へたうま仙人」のコーナーの選者が杉山久子さんに変わります。1とは同時に投句できません。悪しからず。
 こちらも投句は2句まで。


3 自由律俳句
 きむらけんじさん選による自由律俳句のコーナーがスタートします。
 1・2と同時に投句可能です。
 投句は2句までです。

・きむらけんじ
1948年生まれ。第一回尾崎放哉賞他。
自由律俳句結社「層雲」同人。句集『鍵の穴』(文芸社)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)、『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)。特技・妄想、泥酔。


4 詰め俳句
 マイマイの詰め俳句が復活します。
 二つの俳句が成立するように、夏の季語を選んで投稿して下さい。
 こちらは、一人1季語でお願いします。

7月号掲載の問題
雨粒の次々割れて(    )
千年の杉の根(    )抱いて

・マイマイ
2003年11月頃よりラジオに投句を始める。割と生活派俳人。第一回大人コン「多面体」にて優秀賞受賞。将棋推定初段。棋友募集中。

それぞれ第二回締切は、5月20日(土)

投稿ページ
http://marukobo.com/toukou/
投稿アドレス
magazine@marukobo.com




6月29日 ボーリング大会開催

 6月29日は、愛媛新聞カルチャースクールの合同ビアガーデンの日ですが、このビアガーデンのスタートまで、カルチャースクールに関係ある人も関係ない人もボーリングして打ちあがろう、という企画です。ボーリングで一汗流した後のビヤガーデンは最高です!もちろん「お酒は飲めない」っていう方もボーリングだけの参加もOK!俳句友達が大勢集まる貴重な交流会、みなさん参加してみませんか?

日時 6月29日(土)14時〜16時30分

場所  ファーストボウル(予定)
【松山市大街道2丁目※現地集合】

参加費 1500円(靴レンタル代込み)

問合せ・申し込み
 (有)マルコボ.コム
 電話 089-906-0694
 ※当日の飛び入り参加はできません。必ず事前にお申込ください。

申込締切 【6月24日】

※ボウリング終了後、17:30からはカルチャースクールのビアガーデン(いよてつ高島屋)に合流して打ち上げも行います。(会費3200円予定)




マルコボ.コムオンラインショップマガジン化10年目までカウントダウン企画
HAIKU LIFE 100年俳句計画
企画別ワンコインバックナンバー集発売中

本誌は来たる2013年6月号にて、マガジン化してから10年目を迎えます。
そこで、マルコボ.コムオンラインショップにて、10年目までのカウントダウン企画として、バックナンバーのセット販売を行っています。

1:一物仕立ての定義セット(3冊・発売中)←一物の句を論理的に分類できる、前代未聞の画期的な企画
2:子どもと俳句を作ろうセット(4冊・発売中)←5歳の子供も俳句が作れますっ!
3:大連風聞セットA・B(各6冊・発売中)←『子規365日』に掲載されたエッセイのオリジナル。写真も美しい。
4:俳句で表現しよう!アラカルト(4冊・発売中)←俳句作家に目覚めたあなたに捧げるセット
5:編集長渾身の企画!(3冊・発売中)←俳句で恋は生まれるか!? 俳人に画力は必要か!?
6:俳句と句会を楽しむ150ちょっとの方法(3冊・発売中)←ひとりで俳句をでやっている人必読!
7:まる裏俳句甲子園セットA・B(A:4冊,B:3冊・発売中)←まる裏未体験の方は是非
8:○○な俳句(4冊・発売中)←「戦争と平和の俳句」「笑える俳句」「恋の俳句」「泣ける俳句」、付録もあります!
9:カルチャー教室的セット(5冊・発売中)←俳人のための「絵手紙入門」「書道入門」「英語haiku入門」等。
10:ワタシにもできる100年俳句計画(2冊・発売中)←俳句で人を豊かにする様々な方法。
11:“季語”あれこれ(3冊・3月7日発売予定)←季語の仕組みと楽しさが分かる3冊!
12:チャレンジ企画(3冊・3月14日発売予定)←ジェットコースターで作句したり、6時間ぶっ続けで句会をしたり。
13:夏休み句集を作ろう!コンテスト(5冊・3月21日発売予定)←どれを読んでも大抵の大人の俳人は反省します。
14:マニア必見! 万愚節新聞(6冊・3月28日発売予定)←毎年信じちゃう人がいた名物企画!
15:俳句を並べよう! 作品集を作ろう!(4冊・4月4日発売予定)←俳句の整理方法から句集作りまで。
16:代表句セットA・B(各4冊・4月11・18日発売予定)←それぞれたった3句の代表句でも人生が見えてきます。
17:編集長選 企画倒れ特集(5冊・4月25日発売予定)←やってみなければどれだけ下らないかも分からない!
以下、順次発売予定

各セット500円
但し、合計金額が3000円未満の場合は送料別途
お求めはhttp://shop.marukobo.com/まで




本誌年間購読者を対象としたお得なプラン
句集スタイル倶楽部

 下記6作品をまとめてご購入される本誌年間購読者を対象としたお得なプラン「句集スタイル倶楽部」を受付中です。
 本誌に同封の振込用紙を使用することにより、6冊まとめて通常4,410円のところ3,780円にて購入いただけます。
 3冊ずつ本誌6月号&7月号に同封してお送り致します。
 申し込み締切は5月10日(金)です。
 たくさんのお申し込みお待ちしています。

6月号(6/1発行)同封分
・句集シングル『蝶語』/夏井いつき
新作の蝶の俳句だけで編んだ30句。全ての句にナサニエル・アンド・千津ローゼンによる英訳付き。

・句集『苺ミルク』/磨湧
中学卒業記念句集。FM愛媛「バニラビーンズの俳句っちゃお」主題歌句集ほか、新作も収録。全41句。

・詩集『おばあちゃんの魔法の苺』/松本京子
亡き祖母・母、親戚、知人へ書きとめていた思いを綴った14編の詩集。作者は俳号だりあ。

7月号(7/1発行)同封分
・句集『翼竜系統樹』/マイマイ
母を亡くした時の連作「守宮」と新作を含む「翼竜系統樹」の全82句。

・句集シングル『線路とぶらんこ』/山澤香奈
二人の子どもと格闘する毎日。そんな子育てやその周辺を詠んだ51句。

・句集『万華鏡』/三瀬未悠
小学六年間「夏休み句集を作ろう!コンテスト」に応募した俳句の中から、学年ごとに並べた87句。




無料インターネット句会
5月2日(木)参加者募集開始!

 ハイクライフマガジン『100年俳句計画』が運営しておりますインターネット句会「象さん句会」&「週活句会」の2013年3rdシーズンの参加者を募集します。
 どちらの句会も参加無料。それぞれエントリー開始から定員まで、先着順で参加出来ます。

・俳句を増産したい方のための象さん句会
「百年百花」や「100年の旗手」など、本誌に作品集を連載される「俳句を増産したい方」を中心に、毎週5句出しで4週間行う「本気モード全開」の句会です。もちろん一般参加も可能です。

・20代のための週末俳句活動句会、略して週活句会
 俳句甲子園出身の方や、大学のサークルで俳句をやっている方など20代の俳人を中心とした句会です。この句会から「100年への軌跡」連載者も輩出します。また、交流の場としても楽しめます。

どちらも2013年5月2日(木)一般募集開始
詳しくはブログマルコボ通信まで
http://info.marukobo.com/




100年俳句計画投稿締切カレンダー

5/20
・各種投句&投稿(P.25)
http://marukobo.com/toukou/
・魚のアブク(P.42)
・100年の旗手推薦募集(P.16)

 応募先
  〒790-0022 松山市永代町16-1
  (有)マルコボ.コム内
    100年俳句計画編集室
  FAX 089(906)0695
  E-mail magazine@marukobo.com
 宛先/件名に、どこのコーナー宛かお書き添え下さい。俳号/ご本名/住所/電話番号もお忘れ無きよう、よろしくお願いいたします。
 ※ページの都合上お便りを全て掲載できない場合がございます。ご了承下さい。


目次に戻る

編集後記


 今月でマガジン化9周年を終え、いよいよ次号から10年目を迎える。
 マガジン化した当初は、「世の中で一番俳句が少ない俳句雑誌」と揶揄されたこともあったが、今月号の圧倒的な俳句の質と量に、10年目という時間の重さを感じた。
 マガジン化した時から僕が編集長となったので、この9年は自分の成長とも重なってくる。
 当初は、ほとんど俳句を作っていなかったので、「俳句のヘタな一読者」という立場で、企画を立てていたように思う。実際、読者も俳句初心者が多く、その代表になることができた。
 年を数えるごとに、本誌の枠を越えて活躍する読者が増え、その読者に迷惑を掛けないように、僕自身俳句を作るようにもなった。
 今ではそんな方々と共に、俳句の腕を磨き、共にお酒を飲み交わし、時には俳句を通じた仲間とマラソンに挑んだり、笑い、泣いたりと、俳句のある生活を楽しませて貰っている。
 こういう俳句のある生活が、この雑誌から読者に伝われば嬉しく思う。そして、当初組長が言っていた「楽しくないと俳句じゃない」という言葉は、こういうことなのだと今改めて思う。
(キム)


目次に戻る

次号予告 (187号 6月1日発行予定)


次回特集
俳句対局
龍天王決定戦報告



HAIKU LIFE 100年俳句計画
2013年5月号(No.186)
2013年5月1日発行
価格 600円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子