100年俳句計画4月号(no.185)


100年俳句計画4月号(no.185)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
花といしぶみ 哲白


特集1
第2回大人のための句集を作ろう!コンテスト 結果報告


特集2
第2回瀬戸内・松山写真俳句コンテスト



好評連載


作品

百年百花
 鈴木牛後/十亀わら/都築まとむ/蜂谷一人


100年俳句計画作品集 100年の旗手
 野風/日暮屋/笑松


百年琢磨 しなだしん

雑詠道場 くらむぼんが笑った

初学道場 へたうま仙人

放歌高吟/夏井いつき

新100年への軌跡
 俳句/久保田牡丹/紫音
 評/桜井教人/とりとり


読み物
Letter from spider garden/ナサニエル・ローゼン(訳:朗善)
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
本家 慶弔俳句帖/桃ライス
ホンヤクサイホンヤク/翻田訳蔵
一句一遊情報局
句集の本棚
mhm通信/野風
愛媛マラソン吟行会

読者のページ
選句&投句欄 ザ・句会
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
告知
編集後記
次号予告




表紙リレーエッセー


花といしぶみ
哲白

 御幸寺山の南の裾、咲き盛る桜の中に、十数基ものいしぶみが立っている。熟田津の碑以外は、すべて先の大戦にかかわるものである。
 「豫科練鎮魂之碑」「陸軍少年飛行兵慰霊顕彰碑」など国難に殉ずることの潔さを鼓吹され大空に散華した若き命の痛ましさはさることながら私の胸を一際傷ましめるものに「殉職女子学徒追憶之碑」がある。
 安倍能成題字になるこの碑は、昭和20年8月5日夜、今治空襲で、勤労動員の県立松山城北高等女学校の生徒24名が、波止浜に通じる近見県道に散ったのを悼み、戦後いち早く昭和26年に建立されたものである。
 山裾の北西、最も奥まった所に立つ碑に、私は思う。この碑には、白い花と若緑の葉が同時につく大島桜がよく似合うと。そうしてまた思う。「身捨つるほどの祖国はありや」(修司)と。


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特集1

第2回大人のための句集を作ろう!コンテスト 結果報告



 昨年募集を行った第二回大人のための句集を作ろう!コンテストには、四十一作品の応募がありました。
 二十二人による大人コン選考会員の審査により、門田なぎささんの『兎抱く』が最優秀賞に決定しました。また優秀賞は、桜井教人さんの『四神眠れる野』、大塚めろさんの『水いつか』、都築まとむさんの『軍手噛む』、瑞木さんの『沈まぬ桃』、すな恵さんの『秋天』、三津浜わたるさんの『ヒロヒト』の六作品に決まりました。


「コンテストの経緯」
編集長 キム・チャンヒ

 今回で2回目を迎える「大人のための句集を作ろう!コンテスト」は、多くの方に支持される新しい作家の発掘の場として企画しました。
 そして、今年も81句に挑戦していただいた方が41名。俳句作家として新しい一歩を歩むべく、応募してくださいました。
 このコンテストがスタートした昨年より、俳人夏井いつきと編集長のキムが優秀賞作品を選び、その中から大人の句集コンテスト選考会員の投票により、最優秀賞を決定しています。今回は22名の投票によって、最優秀賞が決定しました。
 最優秀賞を決定する選考会員の苦労は、想像に容易いのですが、優秀賞作品の決定も毎回の悩みどころです。
 今回も、応募41作品の中から表現や技術の優れた作品を、夏井とキムがそれぞれ予選をし、候補作を提示。それらの作品を大きくグループ分けしながら、優秀賞作品を絞っていきました。
 選考に関して重視しているのは2点。その一つは、作品の技術が拮抗していた場合、オリジナリティのある作品を選ぶということ。そして二つ目は、同じような作風の作品を複数選ばないということ。
 俳句の目指すべき山が同じ場合は、同じような作品が複数集まってしまいます。その中から、それぞれの俳句のクオリティーや作品集としての構成力を吟味し、優秀賞作品を選んでいきました。
 今回最優秀賞・優秀賞に選ばれた7作品は、どれもが他の誰にもない輝きを持った作品です。次号よりそれらの作品を紹介して行きますので、ご期待下さい。
 最後に、次回コンテストに向けてのアドバイス。
 このコンテストは、既発表の俳句でも応募できます。また、前回応募した作品が落選した場合、それらの俳句を全てボツにする必要はありません。更なる推敲を重ね、新たなる構成のもとに再度ご応募頂けたらと思います。


「選考結果および選後評」
夏井いつき

 選考会員から寄せられた選後評を要約することで第二回「大人コン」のご報告とする。

「兎抱く」 門田なぎさ
 「海」のかおりがあふれるような透明感のある句群。全編にわたって静謐な感覚が漂う。海へのオマージュというべき鮮やかな描写、その中にいつも「私」が強く意識されている。一句一句の完成度の高さも圧倒的、感性の楔を打ち込むような作品が綺羅星のように並ぶ。「うみというさみしきひびき兎抱く」「水着干す海が時間が落ちてゆく」「船長の手へ紫陽花を雫ごと」「花咲かすようにトマトに刃を入れて」「夜遊びの過ぎて水菜のサラダかな」「星に明け渡したくぶらんこを去り」「断面は夜のとばりや花氷」新仮名表記を自在に駆使して、旧仮名に勝るとも劣らない清らかな調べを獲得していることに驚く。

「軍手噛む」 都築まとむ
 迫ってくる虫、虫、虫の描写に圧倒された、「蟹の子の透けて臓器の少なかり」「ひんやりと守宮のからだ白濁す」「天牛の首もがれつつ軍手噛む」。昆虫、小動物に対して、これだけ幅広くユニークなアプローチができるのだと驚かされた。また多彩なオノマトペは、実感がありながらも詩的な味わいを深める、「きーるりきーるり蛙の夜を自転車は」「とんぼうの胴のぐらぐらしていたる」。一物仕立ての句をこれだけの数並べるには、日常からの詠み込み、観察眼を必要とする。その丹念な句作の姿勢にも敬意を表したい。

「水いつか」 大塚めろ
 発想が多岐にわたり、季語世界を視界に捉えつつもゴムまりのように飛び越えるその自在感が心地よい、「蚊柱の乱せし葬列の秩序」「へっという顔で蜻蛉は死してあり」。文語体で書かれたシャープな観察と重厚な切り口「雪はまだ降り来る雪を相容れず」があるかと思えば、口語体で書かれた人を食った語りもこの作品の持ち味「両手に大根やはり飛べそうな気がする」。月並ならぬ感性のアンテナに引っかかったできごとを、客観的な写生眼でとらえ、嬉しくても淋しくてもその実感を味わい尽くす、類い希な作品群だ。

「沈まぬ桃」 瑞木
予測不能とも言える展開が新鮮。俳句というより、すぐれた詩形の一つとして心に柔軟にしみこんでくる、「二口でバナナを食うて虚言癖」。下五で変化球を投げる形が得意で、語句と語句が隠喩的に絡み合い、次に何がでてくるか分からない、「自負心の伸びて縮んで白マスク」「春の野に象形文字のごとく我」。句材の豊富、遊び心、ノスタルジー、多彩な世界が読者を魅了してやまない八十一句だ。

「秋天」 すな恵
 軽やかさと詩情の配分がいい。美味い水のようにするすると身の内に入ってくる。中には「淡雪や千のタンクに汚染水」のようなハッとさせる句、「鶯や厨子の内なる歓喜天」のような鮮やかな句もあり飽きさせない。一句一句の精度が非常に高い上に、最後の一句「その雲を失ひながら秋天は」の静かに消えゆくような余韻の終わり方にも強く惹かれた。

「ヒロヒト」 三津浜わたる
 ハードボイルドな題材と繊細な詩心が入り混じる不思議な魅力「チェーサーに椿を挿して帰りたる」「折鶴束ねられ重ねられ被曝地のナイター」「サンタクロースに煙草火を貰ひけり」。他にはない題材の豊富さや労働の実感、なにかを思う心(あるいは敬意)など、句群としてテーマがわかりやすく提示され、読んでいくうちに何度もどきりとする。

「四神眠れる野」 桜井教人
 散りばめられた歴史を題材にした句が、見事に作品のテーマを浮き上がらせる、「桃冷す四神眠れる野の水に」「頼朝は戦下手らしおでん食ふ」「星ひとつ滅ぶ間の曼珠沙華」。文語体、歴史的仮名遣いの生きた作品群であり、鮮明な色彩を感じさせる句が多いことも魅力。テーマを踏まえた上で単調にならない構成の巧さが光る八十一句だ。

 最終選考には以下の作品もノミネートされていた。

「ポケット」 日暮屋
「猫坂」 河野しんじゅ
「冬菫」 神楽坂リンダ
「台風圏」 みちる
「なんじやもんじや」 もね
「後ろの正面」 亜桜みかり
「楔のごとく」 鈴木牛後
「蜘蛛の巣の朝」 朗善
「なずなの星」 空
「魚座」 一走人
「鯖火燃ゆ」 中村遥
「星の光」 ほろよい

 前回もあったケースだが、「楔のごとく」「星の光」の二編は八十一句中に同じ句が二句あることが発覚、最終選考に残りながらも涙を飲んだ。応募前の最終確認、心されたし。

 来たる三月三十一日(日)午前十時より、松山市立子規記念博物館にて表彰式を行います。(観覧自由)



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特集2

第2回瀬戸内・松山写真俳句コンテスト




 去る3月16日(土)、松山市立子規記念博物館に於いて、写真俳句コンテストの表彰式が行われた。
 募集内容は、写真も俳句もオリジナル作品での応募【自由句部門】、9点の課題写真のいずれかにオリジナル俳句での応募【課題句部門】【英語俳句課題句部門】の3部門。【海を感じられるもの】を作品テーマに、4ヶ月の募集期間に寄せられた作品は総数1618点にのぼった。特に英語俳句課題句部門は、国内外からあわせて822点も寄せられた。
 審査は、【写真俳句】の提唱者でもある森村誠一(作家)、俳人の夏井いつき(俳人)、デビッド・マクマレイ(国際俳人)、山口亜希子(俳句編集者)、キム・チャンヒ(俳句マガジン「100年俳句計画」編集長)の5名により行われた。
 表彰式には、全国より約200名が参加。1部は森村氏による講演【あなたもできる写真俳句】、2部で表彰式&作品講評会が行われ、作品のスライド上映をみながら森村氏と夏井氏の掛け合いで、優秀賞作品それぞれの魅力が語られた。


自由句部門最優秀賞

寒晴や太古よりある波の音
愛媛県 神楽坂リンダ


自由句部門優秀賞

武士の世を造らんと舞う冬の海
愛媛県 大塚紳哉

どの人も辛さは同じ春北風
福井県 木村れい子

秋の夕日はつれなくも過ぎにけり
青森県 嶋川龍雄

のどぐろの味のたんぱく神有月
北海道 仁和 亮

遊覧の瀬戸内海や秋驟雨
兵庫県 近成恭司


課題句部門優秀賞

寒凪や息子に譲る渡し船
東京都 村上ヤチ代


課題句部門優秀賞

ねんぶつとじゅもんの違ひ鉦たたき
岐阜県 板垣道代

どの人も桜の駅の乗車券
奈良県 水谷あづさ

助手席のもうサーファーとなりにけり
鳥取県 門脇かずお

蒼空や皇帝ダリア君臨す
兵庫県 岸野孝彦

冬ざれの港の街に立つゴジラ
京都府 福井敦男

大空を仰ぎて子らの遠足日
北海道 高橋まりえ

ここで待ちます地面にはたんぽぽ
愛媛県 奧村美香

寂しさに焦点は無し春を待つ
愛媛県 栗田 謙


英語課題句部門最優秀賞

Dogo hot springs well up
the first flush of youth
anew in your veins

直訳
道後の湯湧き出でて
思春期の火照りと
血管を蘇らせる

Fukuoka
Yuji Hayashi


英語課題句部門優秀賞

Graduation ceremony
wave after wave after wave
my father's tears

直訳
卒業式
繰り返し 打ち寄せる 波のように
父の涙

Kagoshima
Kaori Deguchi


scent of the ocean--
a flock of seagulls between
cranes in the sky

直訳
潮の香り
鴎の群れが
空に聳えるクレーンの間に

Poland
Krzysztof Kokot


Winter crossing
I pay the ferryman
in sunshine

直訳
冬の渡し
船頭に御礼を渡す
陽射しの中

UK
Tracy Davidson



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百年百花


大人コン選考会員4名による4ヶ月間競詠
2013年度 第一期 1回目


「乳四つ」鈴木牛後

寒明を生き延びてきて吾と牛と
ものを問ふかたちに斑雪山とほく
角焼きし鏝は余寒に冷えゆけり
赤ワイン煮込みのやうに春の闇
塵紙ののぺりと雪解道に濡れ
春光や口より髭の動く山羊
木の芽にも似たり仔牛に乳四つ
パソコンに四角い言葉春うれひ
眼ふたつ牛舎横切り恋の猫
山羊の毛のほろほろ抜けゐたる日永
春の雪融かして牛のたふれけり
どん底のどんてふ音も春めいて


1961年生まれ。北海道の片田舎で牛飼いをしている。第1回大人のための句集を作ろうコンテスト最優秀賞。




「比喩捨てて」十亀わら

雛飾る造花の蕊を指で立て
初蝶や首すじ掻けば日の匂い
雛の家一人称を慎みぬ
菫光れ黙に目の沈むとき
春の星喫水線を揃いもつ
比喩捨てて青き菫を摘みにゆく
脇差の五本目を抜き雛納め
チューリップ嫉妬というは容赦なく
夫の目に差す紫の春の粒
豆の花詩集の裏が濡れている
支局員不在たんぽぽ濃く咲けり
陽炎に踏み出してのちみごもりぬ


1978年生、愛媛県出身。2000年詩学新人。2005年俳句界賞。詩集『燃える野』(詩学社)。




「宿木」都築まとむ

うぐいすの口とがらせたような声
ふり返る恋猫赤き紐たらす
春光や朽ちて頭蓋の小さきよ
ファスナーの噛み込むシーツ鳥雲に
君たちは初蝶空は光るはず
うつうつと毬藻は太る鳥交る
影おぼろ犬と私が傾いて
鳥の目も桃のつぼみも念珠めく
猫の子の爪が胸からはなれない
春愁の嘴朱く透けている
宿木は空のケロイド夕雲雀
うつ伏せの椿を波に投げてやる


1961年愛媛県八幡浜市生まれ。2001年秋ごろ南海放送ラジオ「一句一遊」に投句をはじめる。生き物を詠むのが癖。天気予報をやたら見るのも癖。




「清明」蜂谷一人

的中の少女の一矢梅開く
白樺の皮を灯して復活祭
図書館の梯子の上の春の闇
公魚や信濃のうみは山の上
猟期果つ鳩サブレーの粉々に
ふらここやふたりの距離の伸び縮み
前屈の指より高しすみれ草
ラジオより明日の天気苗木市
春の日やゆるみてあをき額の紐
メール来る数と帰つて行く鳥と
石灰の白線伸びる桜かな
清明やたこ焼に咲く花かつを


B型、蠍座。句画集「プラネタリウムの夜」。2005年より毎年1回のペースで俳句と画の個展を東京で開催。小動物と塔の画多数。




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読者が選ぶ人気俳人!

100年俳句計画作品集 100年の旗手


(2013年4月号 〜 2013年6月号 1/3回目)


 初蝶 野風

初蝶へ微か光の乗る重さ
足掬ふリフト足下の春浅し
電停は風の抜け道囀れり
ざつくりと決める行程春セーター
蛇穴を出づアパートの空室多
サボン玉対岸の空パリーめく
春日傘マダムの尖る靴の先
ハモニカのへしやげ和音のかぎろへる
春泥のだらだら坂を先たれか
弥生果つ北に竈のある遺跡


買った大根を包んだ新聞の教室案内に導かれ2011年1月、木曜カルチャーに入門。カルチャーでは、その時組長から賜った京子二号を名乗っています。



 プリン好き 日暮屋

マザコンは否定しないよプリン好き
春霰このセットメニューは罠だ
ブランコの止め方なんて知るもんか
摘み草や知り尽くしたる山の暮れ
ひじき炊く地味な女に別の顔
入れすぎの柔軟剤や桜まじ
捨蚕のたたりモスラはきっと来る
群生のアザミ突き飛ばしたい人がいる
春の川何年ぶりに石投げた
別に咲かなくてよかったナズナの花


1959年2月生まれの野村町出身。ラジオ番組への投句をきっかけに塾や句会へも出かけ俳句を楽しむ。吟行の旅好きで、ギター、自転車、写真、蕎麦等とにかく多趣味。毎日浴びるほどの酒を飲む。



 だるまさんが転んだ 笑松

始まりの朝は春菜が祝福す
二限目の音楽室より春の歌
山葵田を水は愉快に駆け抜ける
山笑う体育館より安来節
遠足の子らを眺めるキリンかな
だるまさん転んでる間に蕨伸ぶ
半世紀会わぬ従姉や土筆生う
まず兄が作ってみせる石鹸玉
柴犬の子は風船が苦手なり
東風揺らす旗はわれらが故郷の旗


わらいまつ。松山赴任中に、俳句といつき組に出会う。現在、東京在住。YouTube「いつき組大忘年会2011」映像の1分56秒付近で笑っています。



読者が選ぶ人気俳人!
「100年の旗手」連載者推薦募集

 今求められているのは、読者が読みたいと思う俳句作家。「100年の旗手」は、連載する俳人を、編集室ではなく、読者が選ぶコーナーです。
 「この人の作品集を読んでみたい」と気になる俳人を、1人3名まで推薦してください。その中から、推薦の多かった方に、編集室より原稿依頼を行います。
 あなたのお勧めの俳人を是非推薦してください。

 推薦の方法

「この人の作品集を読んでみたい」という人を3名まで選んで(自薦は不可)、その俳号と活動場所(句会・誌面等)・推薦者ご自身の俳号(本名)・住所・電話番号を明記して、100年俳句計画編集室「作品集推薦」係へ送ってください。ハガキ・FAX・Eメールで受け付けています。Eメールの場合は件名を「作品集推薦」としてください。また、専用のインターネット投稿フォーム(http://www.marukobo.com/100kishu/)でも受け付けています。※投稿フォーム利用の場合を除き、推薦は他の投稿等とは分けてください。

締切 4月末日

 現在連載している3名の方以外なら、一度連載された方も含め、どなたでも推薦できます。
 また、今回連載を行っている3名の方への感想もお待ちしています。よろしくお願いします。


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百年琢磨
先月号の「100年の旗手」に寄せて

春の感じ方 しなだしん

「ひらいてとぢて」 ふづき
アコーディオンひらいてとぢて鳥の恋
 どこか観光地などでの路上演奏の景だろうか。アコーディオン特有の蛇腹を操る演奏の動きは、どこかで「鳥の恋」とたしかに響き合っている。

電話切られてチューリップひらきすぎ
 「ひらきすぎ」のチューリップを詠った句は珍しくない。この句は「電話切られて」が因果の様に扱われているところが面白み。

デージーや象の献花へ子らの列
 とべ動物園で一月、ゾウの太郎が亡くなったと聞く。その追悼の場面だろうか。献花する子らは、散歩などで元気だった太郎と触れ合っていた園児たちかもしれない。一方デージーは花期が長いことから、別名「長命菊」「ときしらず」などとも呼ばれる。人間と動物、植物の関係性が興味深い。


「花の雨」 香雪蘭
骨密度測る北窓を開く
 最近は家庭用の体重計が進化して、骨密度等も測定できるものもあるらしい。この句は「骨密度測る」「北窓を開く」が同等に扱われている作りや、一音足りないところから、春の喜びというより、春の謂れない不安感の様なものが醸し出されている。

青ぬたを全て平らげ有識者
 「青ぬた」を食べると春が来た、と思うのはある年齢に達したからだろうか。「有識者」というのはどこか胡散臭さもあるが、春がきたと感じる純粋さは忘れていないのかもしれない。

英雄の妻は眠らず花の雨
 「英雄」とは誰のことか、何故「妻は眠ら」ないのか……、哲学的な句。「花の雨」が上五中七のフレーズを俳句に留まらせている。


「きさらぎ」 蓼蟲
春光や影の動かぬ風見鶏
 「春光」は春の陽光も指すが、「春の景色」も表わす。この句は「光」と「影」が字面上強すぎる感もあるが、風見鶏が動かない、どんよりした春昼の空気が切取られている。

きさらぎの曇り重たしかうもり塚
 岡山県総社市を散策されたようである。こうもり塚古墳は、石室に蝙蝠が棲みついていたことから名付けられたらしい。鉛のような「きさらぎの曇り」空の下にこうもり古墳は静かに眠っている。

影映す位牌の余白春燈下
 位牌に映り込んだ影は作者だろうか。「余白」は詩的表現であるため一般的に甘くなりがちだが、この句の場合は様々なことを想像させる。


しなだしん
1962年新潟県生まれ、新宿区在住。「青山」同人、俳人協会会員。句集に『夜明』『隼の胸』。



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 雑詠道場は、「くらむぼんが笑った」か「へたうま仙人」か、どちらかへ3句1セットでの選択投句となります。選が厳しい「くらむぼん」に挑戦するか、必ず一人一句以上選評付きで載る「へたうま仙人」を相手に“巧すぎるのでへたの聖地追放”を目指すか。その選択も楽しんで頂けたらと思います。


雑詠道場 くらむぼんが笑った


夏井いつき選


今月の天
大鑽井盆地に春のダットサン 桜井教人
 まず「大鑽井盆地」が読めないので調べる。「だいさんせいぼんち」と読むらしい。盆地だから甲信越あたりかと思えば、オーストラリア中東部に広がる盆地だというから驚く。グレートアーテジアン盆地の「アーテジアン」が「掘り抜き井戸=鑽井」という意味らしい。【降水量の不足を補い、牧畜が行われる】とウィキペディアには解説がある。
 ここまで解ると「春のダットサン」が生き生き躍動し始める。豊かな緑を育むための井戸の周りから、豊かな「春」が動き出す。この「ダットサン」はきっと中古トラック。牧畜仕事の担い手として第二の人生を送っているのだ。「大鑽井盆地」の大仰な呼び名と「ダットサン」という懐かしい名が「春」の大地の喜びを愉快に彩る。


今月の地
受胎告知日桃色の馬の舌 ターナー島
 「受胎告知日」を聖母マリアのそれと読むか、現実に生きている人間のそれと読むかで、「桃色の馬の舌」の意味合いは愕然と変わる。前者だとやがてイエスを生む馬小屋のイメージも重なってくるが、後者だと「桃色」「舌」の二語がエロティックですらある。どちらに読むかと考えるよりは、二つの世界が背中合わせにあると読むのが面白いのかもしれない。

龍の背に触れた二月の観潮船 魔心地
 「龍の背に触れた」ようだという「観潮船」に乗っての率直な感想に共感する。「観潮」が仲春の季語なので季重なりにはなるが、「二月の」という限定は早春の風の冷たさ、硬く冷たい海の青を想像させ、一句の世界に積極的な効果を醸し出す。

スリッパにいつしか左右春の風邪  すな恵
 日常のこの感覚にも共感する。元々「左右」なんてなかったはずの室内履きの「スリッパ」にいつしか履き癖がついて、「左右」の履き心地ができていく。「春の風邪」の身体が、ある日ふと気づいた小さな俳句の種。

春昼や中待合に暗き絵と 不知火
白蝶や若草アパート退去中
 上五に季語をおいて「や」で切り、中七下五でワンフレーズを作るという基本の型をかっちりと仕上げた二句。「中待合」「若草アパート」という場所や名が、下五「暗き絵」「退去中」を際立てつつ、上五の季語をクローズアップする。

たんぽぽや猫の柩は紙の箱 ふづき
 これが小鳥だと「たんぽぽ」は哀しくも可愛い季語として受け止められるが、「猫」となるとその大きさ重さがいささか生々しい。「猫」を入れた「紙の箱」を持ち上げれば、その重みに紙底がかすかに撓む。「たんぽぽ」の地は痛々しく掘られ、「猫」のお弔いが始まる。

立春のざらりざらりと洗う貝 依里
 「立春」という季語がすっくと立ち、その後の「ざらりざらり」とは何かと思えば「貝」を洗う音だという。浅蜊を洗う時の感触が読み手の指にありありと再現されるオノマトペ。「立春」の日の冷たい水の感触もまたよみがえる。同時投句「深呼吸ひとつ花冷えの一周忌」に瞑目、合掌。

夕映えは椿セレナーデは佳境 てんきゅう
春ショール夜の窪みにかけたまま
 前句「夕映えは椿」の色をしていると読んでも、「椿」のある「夕映え」こそが美しいと読んでもいいだろう。「セレナーデは佳境」と畳かける手法がお洒落。後句「夜の窪みにかけたまま」の描写はいかにも「春ショール」らしい艶美な手触り。「夜の窪み」という詩語に惹かれる。

薄き膜まとひて春の夜を行けり 雨月
 朧の気分をこのように言い止めることもできるんだなあ。「薄き膜まとひて」が「春の夜」という羊水の中にいるような感触。「〜を行けり」という動作が、ぶよぶよした「薄き膜」を我が身に感じさせる。案外、この押さえが巧いのかもしれない。

梅の香の切れるところで煙草吸ふ 藍人
 「梅の香」に満ちた梅林の外れを思った。「梅」の高貴な香りを汚してしまいそうなかすかな罪悪感が、この行為となったに違いない。「梅の香の切れるところ」を認識できる嗅覚、そこに重なるように「煙草」の香が伝わってくるあたりが巧い。二つの臭いを共存させて、こう表現できるのだなあと勉強させてもらった。

父の忌の椀に広がる三つ葉かな ぎんなん
曇空明るくなるぞ桜餅 じろ
鶯餅出たか本日隙だらけ 大塚めろ
如月の早稲田の熱きカツサンド うに子
 食べ物四句。「父の忌の椀」の中に鮮やかな緑を広げる「三つ葉」。「曇空明るくなるぞ」の言葉に呼応するように明るい「桜餅」の色合い。今年の「鶯餅」が売り出された日に対する「本日隙だらけ」という滑稽。そして、「如月」「早稲田」二語が語る状況の中での「カツサンド」の何とも美味そうなこと!


今月の人(じん)
照鷽や千年同じ風の道 神楽坂リンダ
雉鳴くや溶け始めたる舌下錠
名優の深き目袋春灯し さわらび
春愁のこりかたまりし耳の奥
蝶たむろせるドビッシーの出窓 緑の手
蝶のたたみかた忘れてしまひけり
春燈や平凡パンチめくるめく 犬鈴
ちり紙はらほろひれはれ春の昼
卒業生送る拍手の止んで雨 鞠月
菜畠はオブラディオブラダと進め
春浅き大縄跳びの入り方 ポメロ親父
だるまさんが転んで丸い春の月
三針縫う待合室の水仙花 えつの
かぶらの名セブントップよ牛の餌
待つことも楽し巣箱の見張番 和音
乳首吸う仔犬の力下萌ゆる
春雨や足輪の鳩の迷ひ来て もね
風光る旅行鞄はジュラルミン
鳥たちをあちこち囲う春の山 コナン
差し出した夫の手にある余寒かな
木の芽ほつほつ仏の飯は高く盛る  ふづき
たんぽぽをよけて双子のベビーカー
暖かや我真つ黒な影持ちて 朗善
透明の傘囀りの降つて来し
永き日を地球の午後と思いなす みちる
飲み干さぬ深夜のグラス俊寛忌
鹿の体臭春昼の潮停まり ターナー島
詩のような雲セーターを丸洗い
四代の雛の並ぶ集会所 権ちゃん
春空の五桁の数字万歩計
万葉集日永をひらく待時間 野風
まんさくや風によぢれる和らふそく
薄氷を踏めば爆音響く町 桜井教人
花屑のどれもどこかに疵持ちて 雨月
初蝶来しずまる千のパイプ椅子 うに子
野火の果土手をわずかに出でにけり  大塚めろ
きさらぎの船に曳かるる赤きもの  亜桜みかり
おぼろ月その裏側に死者の列 藍人
梅咲くや揺れてピカソの首飾り こぼれ花
ヘリオトロープ夜を眠れぬ子の気配  樫の木
とり出してながめる秘密いぬふぐり  雨月
星々に人の名数多犬ふぐり 一走人
次々と疑惑真紅のシクラメン ほろよい
春めくやドロップ含み動物園 Blanca
台湾ラーメン喰らう建国記念日 魔心地
面構へ良き党員や春菜摘む 未貫
春光や原発直下の活断層 逆ベッカム
夕東風やうぶすなにある火の記憶  すな恵
夕暮れや春菜を包む新聞紙 のり茶づけ
おかあさん白い菫が咲きました てん点
角膜の細胞息を殺す雪 松ぼっくり
店先の研師の手元光る風 青蛙
梅一輪ぷつりと電源が切れた 磨湧
引鶴を言ひてカメラの男行く 古殿七草
風船をぬっと突き出す的屋かな ゆき
畔青む石の魚の道端に 樹朋
キックボードける明日は入学式 あらた
つちふるに化学記号の羅列かな  ひなぎきょう
明日行く梟の鳴く声聞きに 迂叟
介助犬増えくる国や牡丹の芽 あおい
野良ねこは車の下に冬夕焼 アンリルカ
わっと声を紅梅のむらがり咲けり 省三
嚏して厠出るなり大男 人日子
石段の多き近道猫柳 なづな
接岸の軽い衝撃春の雪 北伊作
雨垂れを突いて火の玉猫の恋  カラ嵩ハル
風花や母の遺骨を膝に抱き 哲白
種袋軽さを愛す音愛す ゆき
トンネルは山のへそへと山笑ふ 鯉城
春菜あり太平洋はここにあり  四万十のおいさん
春泥をはねて鬼ごっこの佳境 八十八
春光をカラクリ時計の半分に 不知火
春夕焼ラの音ずれているチャイム  八木ふみ


今月の並選
沈下橋大地を溶かす春の水 郁
胎動に目覚めたりしや春の鹿
園児らの好奇心飛ぶ若菜摘み
春喰らう今宵の酒の美味きこと ふーみん
春めいて波柔らかに撫でる磯
三毛猫と愛を語らう春炬燵
地球儀の春手袋に抱かれて 洋子
梅園の円熟というその世代
亡き夫の給料日とて日の永き
揚がりたる凧の四角き影の中 紗蘭
義眼さえなくして目刺になりにける
野焼した後の空白答案紙
上方の恋の敵や春火鉢 レモングラス
もれ聞こゆジャズのリズムと遍路鈴
春灯や跡取り戻る甘味堂
寒風へ意地の歩みを貫けり 青柘榴
花粉マスク軍団山闊歩する
春の来てまだ春遠き海辺かな
根の国を代表して来ぬと土筆 春告草
春の雨上りて日ざし動き出す
春野菜からまり宇宙を作りをり
親知らず抜いて生まれ変わりたる春  ゆまるばたこ
書きつらね書きつらねても春浅し
明日からは他人と言ひし余寒かな
山葵生ゆ五濁悪世の国土にも ちろりん
菜ノ花ノパスタアリマス赤画鋲
冬のモノレール窓に朝日の三つ四つ
若者のパンチパーマや雀の巣 お手玉
屋上で吹けば空までしゃぼん玉
手の平におさまるほどの嫁菜つむ
四万十に春めく風のながれあり  四万十のおいさん
喜びの狼煙のごとき野焼きかな
眠れねば眠らぬままに風二月 省三
はしたなや紅梅の蘂あらはなるは
語尾引いて春の山行く選挙カー 八木ふみ
七十センチの目線まっすぐ春の色
雪解けのやっと心の繋がりて カシオペア
春大根持って帰れと抜く農夫
白梅の胸もふくらむ登校日 西条の針屋さん
日脚伸ぶ一人歩きの懐中時計
澄み渡る空に望月二月尽 まんぷく
木の花や寒さ重ねて清く咲き
蜜蜂や天に差し出す忘れ物 しんじゅ
紙筒でたたく欄干風光る
伊豫豆比古命神社や春兆す 輝女
春夕焼け飛行機雲のVサイン
花篝思いを遂げし者達よ ペプチド
空港は楽しい場所だ春休み
早春の浜辺に拾ふ波の声 一心堂
蒼天に刺さらし梅の白き花
母の髪うす紫に春の雨 ぎんなん
受験日やきつめに締めたスニーカー
楪の手紙の束を結ぶ赤 紅紫
春の雨自分の傘ではないかも知れぬ
春の空形見の服に袖通す ぴーす
剪定の手元狂わす強き風
黄水仙大人もしたいズル休み 樫の木
こでまりや丸眼鏡かけ招き猫
三百の春薔薇道後の露天風呂 一走人
ミカングラニテファイナルステージの直前
枝垂梅こぼれここから国境 ほろよい
オレンジの鉢巻春の立ち初めし
跳ねる跳ねる紫雲英畑の小さき靴 Blanca
春めくや流るてんとう虫のサンバ
くちびるをなぞる遺影や月朧 未貫
デコポンとその名覚えし初七日や
指太を春手袋に隠す宵 のり茶づけ
母であり妻であること花の冷え
伏す兄と同じ手の形春愁 てん点
たんぽぽや遊具に残る子らの肌
オペ室の視野碧むかな春浅し 松ぼっくり
来ましたよ二軒目は叔父花水木
春めくや俄舞妓の白き足袋 青蛙
追儺終え和尚の肩の少し落つ
椿さん巫女さんかわい春の雨 れんげ畑
追憶のバレンタインデーほろ苦く
薄氷の登校列が乱れおり 実峰
梅咲いて目配せ交わす二人かな
排気ガス逃れるように薄氷 磨湧
エンジンの音を味わう余寒かな
護摩焚きて仏匂へる節分会 古殿七草
忘れしが鎌首もたぐ鬱金香
真っ直ぐに前を見つめて卒業す あらた
引きたてのラインま白に風光る
仏壇に徳用マッチ昭和の日 迂叟
初氷踏みつけて行く反抗期
高枝に追詰められし猫の恋 あおい
煤の香の頭擡げるつくしんぼ
水仙のおじぎ悲しき午後の光 アンリルカ
大寒を照らす光はここにあり
桟橋を白一色に冬鴎 人日子
松過て赤いバイクのゆるやかに
松かさや両手に余る散歩道 サキカエル
しぐるるや感覚の無い指の有り
初鴬軽トラ通る峠道 三竜
梅の下酔った女の寝てござる
荷を出して箒重たき三月尽 なづな
茜さす山なだらかや蕗の薹
尻向けた猫が振り向く春日影 北伊作
すれ違ふ電車待つ窓あたたかし
冴え返る錆の匂ひにぶら下がり カラ嵩ハル
桜餅食いたくてドラ焼きも買う
梅ちらほら地蔵の頬に差す光 哲白
透き徹る竹魚の背や笊に跳ね
人日の時計の龍頭巻きにけり 鯉城
春一番巨大ボールが飛んで来る
春宵やひとつふたつと星生る じろ
三十年雛に貫禄出でにけり
平行線入る青石春一番 亜桜みかり
この奥は楽譜コーナー春の宵
電波塔風車売る中国語 こぼれ花
だらだらと生きて友あり春の月
折り返して逃げ水を走る歩く 逆ベッカム
なずななずな路傍にありしこと悲し
陳列の淡き小間物春に入る 野風
春昼の言葉ころころ喫茶店 権ちゃん
魂のぬけがらのごとゴム風船 ゆき
色褪する味噌の看板麦青し 樹朋
醜くてごめんごめんと猫の恋  朗善
鮟鱇や修正済みの笑顔して ひなぎきょう
しわしわと口をすぼめて目刺噛む みちる
春寒をさがすどこにもいない人 依里
赤ん坊たぷたぷ春の水湛え 鞠月
囀りやご飯に辛子明太子 もね
春めくや土手を急がぬベビーカー 八十八
卒業の日やウィルス性胃腸炎 桜井教人
朧夜の行つて帰つてくる遊び ポメロ親父
そつがないねって褒められたのかいぬふぐり  藍人
新しい巣箱入り口五センチ弱 和音
キルタンサス洋画少女のさびしい瞳 えつの
涙という言葉を残し卒業す コナン
咆哮の地を伝ひ来る花曇 神楽坂リンダ
ピンヒール鳴る立春の交差点 うに子
春寒のチョコよりアーモンド救出 すな恵
百年後百一年後いぬふぐり 大塚めろ
みどりごの何に笑うや蝶の昼 さわらび
採血の針沈黙の春陽射し 緑の手
一門の看板重き雀の子 てんきゅう
終活と会うたびもらす余寒かな 実峰



【雑詠句募集】
投句三句/俳号(本名)/〒住所/電話番号と、「○月末日締切分」を明記して、編集室「くらむぼんが笑った」または「へたうま仙人」宛にお送りください。
締切は毎月末日《必着》です。
※末日を過ぎたものについては、翌月分とさせていただきます。
※ひと月に複数の投句があった場合は、一番最後に届いた投句のみを有効とさせていただきます。同一内容での二重投句はご遠慮ください!
 投句は誌上句会宛のハガキ&メールとは別でお願いします。
雑詠専用Eメールアドレス zatsuei@marukobo.com
インターネットや携帯電話からも投句できます。
http://www.marukobo.com/kuramubon/


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初学道場 へたうま仙人


原案:大塚めろ
文責:編集室

 今年も花の季節になりましたのう。いかがお過ごしかの? 春になるとどうしても思い出すことが色々とあるが、そういうことはしばし片隅に置いて、今月も心して読んでくだされ。

大花見大会決意表明す ケンケン
松山で何を話すか考え中 ケンケン
胴上げをされてみたい三月尽 ケンケン
 をを、皆で待っておりますぞ。胴上げでもズボン下げでも何でもしますぞ。俳都松山を十二分に堪能して下され。

おおさくら平凡明治産まれかな  KIYOAKIFILM
低血糖頭ふらふら春の蠅  KIYOAKIFILM
 全くの無防備の体には堪えるのう。免疫があっても以下同文ぢゃ。二葉亭四迷が向うにほんのり見えてはおるがの。
嫌ならば一度で覚えろ英単語 いっちゃん
 この堂々とした詠みっぷりはどうぢゃ自分の世界が確立されてをる。確立され過ぎて、人をも寄せ付けんぞ。

39℃ありて入試に行ったとさ 柊つばき
観客はかぼちゃと思え送る会 柊つばき
 自由奔放過ぎて収拾がつかんなったところが痛快ぢゃ。もはや言葉なんぞ必要ない。エアー感ぢゃ。エアー俳句!

使い捨てマスクを捨てる燃えるごみ  天玲
 鼻の辺りの金属みたいなものは分別せんでいいのか? 句の出来よりそっちの方が気になるぞ。人生は分別無しぢゃ。

通りにてスチールドラム春や春 元旦
質流れギター眩しき春夕焼 元旦
陽炎かメロトロンの音ゆらり立つ 元旦
 楽器三部作とは春らしゅうて良いのうメロトロンとはプログレしとるぞ! 作者の音楽遍歴が実に朧にしみじみぢゃ。

落ちたがる椿に限ってなかなか 小木さん
定年前ぺんぺん草の変化なし 小木さん
 自嘲もここまで来ると芸術ぢゃ。なすすべも無く頷いてしまうわい。哀句という新ジャンルを確立して欲しいぞ!

今頃上手になりすぎたマンデーさんにしっとして
金曜はマンデーの日よ山笑ふ 浜田節
へたな句は次々出来る春の月 浜田節
 前書きがあっても無かっても楽屋落ち的なところが情けなく良いのう。へたな句とわかるだけきっとうまいんぢゃ。

愛の日のベリリと剥がすコルセット  更紗
 本人には大変な腰ぢゃろうが、句になると何とも艶っぽいのう。毎日剥すコルセットも、愛の日はまた違う音ぢゃ。

竿の柄に枯れる鱗に日脚伸ぶ だなえ
 着目は素晴しいのに助詞がのう……勿体ないのう。今からは女子よりも助詞ぢゃ! 女子のほうは任せてくだされ。



    以下、全て追放!

旅人は菜の花のなか文つづる 未々
山道や笑みを交してゆずる春 未々
 何というおくゆかしさ。俳人の鑑ぢゃ春ならではの空気が香ってくるぞ。ぢゃがこんな良い人は苦手。朧的追放!

消えかけのマラソンライン春浅し おせろ
 ラインも色々あるが、消えかけのマラソンラインを凝視するとは渋いぞ。そこに春浅しを感じる輩は花嵐的追放!


 あらま、今月も追放者を出してしもうた。ワシとした事が……。ま、出したものはしょうがない。不幸にも追放の皆様は、他のステージに入学されても、この場で培ったへたうま精神をいかんなく発揮し、更に究極の句を作ってくだされ。遠慮は禁物ぢゃ!
 皆様、くれぐれも油断召されるなよ。


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放歌高吟


我は闘う
夏井いつき

耳にきて耳に明るし若き蜂
あさつきも妻も初々しき緑
加湿器の湯気のきよらや猫柳
雛の日のくすくす母のニベアの手
梅香るなり青銅の馬の尻
巡礼の杖に崩れて春の砂
春田来る死んだ烏をぶら下げて
麦踏の日を番犬の逃走す
金色に咲きたき日ありいぬふぐり
青鷺の春の胸こそいかめしき
チーターの老いたる腹や春の星
麗らかや我は闘うカンガルー


 月刊俳句マガジン『いつき組』という名で創刊し『100年俳句計画』と名を改め再出発した本誌が、六月号で十年目を迎える。
 その節目の号に先立って、本誌2月号「放歌高吟」の内容へ幾ばくかの反応やらご意見やらを頂いた。補足という意味も込めて今一度説明させて頂きたい。
 ワタクシは俳句集団『いつき組』組長を名乗っている。集団というからには入団資格や組員名簿がありそうなものだが、それらは一切無い。資格と呼ぶかどうかは定かではないが「俳句って楽しい!と思う人は、いつでも組員を名乗って下さい」と公言しているので、皆さん勝手に名乗って下さる。総合誌等の賞に応募する際も「所属いつき組」と堂々と書いて下さる方もある。それもまた佳し!だと思っている。
 が、普通の結社のように『いつき組』として発行する俳誌は今や無い。組員各位は、句会・ラジオやテレビの俳句番組・ネット俳壇への投句等を通して、組長を名乗る俳人と関わって下さるのみだ。
 喩えるならば、俳句集団『いつき組』組長とは、「デーモン閣下」という肩書きに近いもんじゃないかと思う。ウィキペディアに【西暦1999年までは悪魔教教祖として組織「聖飢魔2」によって悪魔教布教活動を行っていたが、その後「地球征服を完了した」として基本的にソロ活動を展開している】とあったが、彼の場合には「地球征服」という目的があり、私の場合は「俳句の種まき運動」という目的がある。彼には「信者」と称するファンや「手下」?がいるらしいが、私の場合は自ら「組員」を名乗り、俳句のある生活を楽しむ人たちがいる。うん、似とるやん♪と思う。
 確固たる意志を固め俳句マガジンから『いつき組』の名を消す決断には、それなりの葛藤があった。組員のためのマガジンではなく、『100年俳句計画』という志のためのマガジンとする決意。その意志を率直に伝え、共有するための次の十年こそが正念場だ。その第一歩として、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』は五月号からさらなるリニューアルを断行する。若い仲間たちの力に期待したい。
 そして、当の組長は『100年俳句計画』のさらなる志を遂行するべくソロ執筆活動への離陸を虎視眈々と狙う。我は闘う日々を送る「俳句界のデーモン閣下」として、還暦あたりには新たなる雄叫びを上げたいものであるよ。




夏井いつき公式ブログ「夏井いつきの100年俳句日記」

http://100nenhaiku.marukobo.com/


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新 100年の軌跡


第1回


空席 久保田牡丹

片方の乳は空席春めきぬ
残雪を大事に使ふこどもかな
空席の熱の生々しき二月
春の野と未だ思へぬわけ探す
隕石の落ちて地球の冴返る
軍艦の行く春海のふかみどり
春空を肺に詰め込む深呼吸
麗らかな口紅褒めてをりにけり
下水処理施設春をも洗ひけり
親不孝詫び春菊を摘みにけり
消火器の傍らに闇多喜二の忌
帽子掛け服掛け枝へ春来る
面白き迷惑メール春一番
梅の色なり白梅も紅梅も
春の夜の市役所に貼り付きにけり


久保田牡丹
1991年生まれ。松山中央高校出身。「どんな人にも分かりやすい俳句」を目指して頑張っています。よろしくお願いします。




わたし色 紫音

セーターの袖を伸ばしただけの日々
寒見舞吾を君と呼ぶ教師から
寒鴉夕日の一部となりたくて
君帰る音を消しゆく虎落笛
末黒の芒消去キャンセル消去はい
しだれ梅無言でわれの頭撫で
卒業歌あくびではない涙落ち
クロッカスわたしの好きな色よ咲け
煙草なくライターありて鳥曇
母が食う豆もちの音春の雷
外の表紙になるかシクラメン
薄霞此処の時計も同じ時間
花片や未来の色はこの色か
土の山土で崩して花の雲
歩幅合わぬ石段のぼりて桜


紫音
1990年生まれ。松山市在住。2011年から俳句甲子園実行委員会所属。2012年2月、俳句を始める。2013年3月、松山大学法学部卒業。




春の軍艦 桜井教人

 某輸送機に対する過剰なまでの反応、平和を願うとはどういうことなのかを改めて考えさせられる。「俳句は世界を救う」と言った先輩俳人がいた。戦争反対を声高に叫ぶより、人の心に俳句を、言葉を愛する気持ちを育てる方がよほど平和に近づくと本気で思っている。

軍艦の行く春海のふかみどり 久保田牡丹
 なめらかな船体のグレー、海の碧、春光、意外な取り合わせの色合いがとてもきれいである。これこそが平和を願っている句である。 

面白き迷惑メール春一番 久保田牡丹
 世相を上手く表現した。私も迷惑メールの面白さを同僚と競ったことがある。若い人にはこの種の句をどんどん作ってもらいたいと思う。季語とのバランスもよい。

セーターの袖を伸ばしただけの日々 紫音
 時間の表現方法が秀逸である。一日だけの時間限定にしてもよいかと思ったが、「日々」とすることにより青春性、想像力により深みが出たように思う。日常を平易な言葉で見事に表現している。

外の表紙になるかシクラメン 紫音
 外のどの作品だろうかとまず考える。「舞姫」であろうという結論に達する。他の作品もそうだが、この作者の、少し離れたところから自分を描く視点、その距離感が実に心地よい。


1958年生まれ。愛媛県今治市在住。愛媛生まれだが父方は紀伊黒江、母方は能登輪島の職人の家系である。第3回選評大賞および第4回選評大賞入選。



未来へ とりとり

軍艦の行く春海のふかみどり 久保田牡丹
 きらめく新しい軍艦と、ふかみどりの海の色のコントラストがきれいです。春の新しさ、清らかさ。しかしそのふかみどりの春の海には死のにおいがして、よく読むと怖い句でした。

消火器の傍らに闇多喜二の忌 久保田牡丹
 消火器ってよく薄暗いところに置いてありますね。それを「傍らに闇」と表現したので詩になりました。悲惨な問死をとげた多喜二の忌との距離感も絶妙でした。

セーターの袖を伸ばしただけの日々 紫音
 あれもこれもしなくちゃと思いながら、セーターの裾を伸ばしただけ。時間は永遠にあると思えるのは若さの特権ですね。

君帰る音を消しゆく虎落笛 紫音
 さっきまでここにいた「君」は強風にさらわれてしまったよう。虎落笛が空っぽの部屋にひびきます。「消しゆく」に時間の経過が思われて寂しさが募ります。

 久保田牡丹さんは、物の見方がユニークだと思いました。
 紫音さんは、素直な表現に好感を持ちました。
 良いところを伸ばしていって欲しいと思います。


1957年生まれ。三重県在住女性。第1回選評大賞優秀賞。第1回大人のための句集を作ろう!コンテスト優秀賞。


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Letter from spider garden


ナサニエル・ローゼン(訳:朗善)
松山市在住の世界的チェリスト ナサニエル・ローゼンのHAIKUとエッセイ


No.12

Springtime stop driving
Bicycle oiled and ready
Weak legs? Let's go fast

自転車の油をさすや春朝

(直訳)
春、車に乗るのを止める時
自転車の油をさして準備万端
足がなまった? もっと速く漕げ



I am sorry to say goodbye to the mountain snow but I accept, knowing that my skis will be slick and sharp next winter. Now there is much to do: listen for frogs and doves, breathe and move, study and practice. Will my brain and body also be slick and sharp next winter? We will wait and see, always hoping for improvement.

 残念ながら、雪山にサヨナラした。だが大丈夫、僕のスキーは、研ぎ澄まされて次の冬に備えてる。そして今、やることがたくさんある。蛙や鳩が鳴いて、呼吸して動いて、勉強して練習して……。僕の脳と身体もまた、研ぎ澄まされて次の冬に備えるだろう。
さてどうなるか、待ってみよう。上達を常に望みつつ!

訳:朗善



ナサニエル・ローゼン
Nathaniel Rosen
1948年カリフォルニア生まれ。
1977年アメリカ、ヌーンバーグコンクール優勝を機に米国内デビュー。ピッツバーグ交響楽団の首席チェリストに就任。
翌年、第6回チャイコフスキー国際コンクールでアメリカ人初のチェリストとして金メダルを受賞、以降世界的名手として広く知られるところとなる。
2011年より松山市在住。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第25話
「幻のモカンボ・セッション」 守安祥太郎

 植田紗加栄著「そして、風が走りぬけて行った〜天才ジャズピアニスト守安祥太郎の生涯〜」のプロローグと第1章「銀座〈クラブ貿易会館〉」〜第2章「横浜〈モカンボ・セッション〉の一夜」〜第3章「あがらない緞帳」を読み終えたところで思った。守安祥太郎は、石原慎太郎の野心作「ファンキー・ジャンプ」(59年/新潮社)で描かれた天才ジャズピアニストのモデルではないのかと。

春暁の殺気と消えたジャズピアノ 蛇頭

 松木敏夫(マキー)はアート・ブレイキーやディジー・ガレスピーも絶賛するジャズピアニストだった。麻薬の幻想の中、彼は恋人を殺した直後のコンサートで遂に自分のスタイルを完成させ、壮絶な演奏にやがて自らの命をも焼き尽くしてしまう。ジャズ評論家のタツノは「こりゃあ本物だ。本物のビ・バップだよ!」と叫ぶ。
 守安について、数多くのジャズミュージシャンを支援したことから親しみをこめて「ドクター・ジャズ」と呼ばれる内田修はこう断言する。「この人がいなかったら、今の日本のジャズはなかったでしょう。というのは守安こそが、当時「奇妙なスタイル」だと思われていたモダンジャズのはしり―ビ・バップを捕えていたからですよ」と。だが晩年の守安は麻薬、失恋、奇行、躁鬱、そして自死へと至る。55年9月28日、享年31歳。
 「マキーのモデルが守安」という僕の直感は、どうもハズレのようだった。いろいろ調べてみたが、両者はつながらなかった。

サックスの爆ぜて春水凹凸す  神楽坂リンダ

 守安を「お兄ちゃん」と呼び、彼に心酔していたアルトサックス奏者の渡辺貞夫は、「最初お兄ちゃんはバド・パウエルが好きで、パウエル風なピアノを弾いていたんです。だけど僕は、パウエルそのものよりもお兄ちゃんのピアノのほうが好きでした。日本人としての、彼の感性がパウエル風の上にあって、そこにお兄ちゃんがいてね」と。
 また、テナーサックス奏者の宮沢昭は、「当時、本物のジャズをやっていたのは守安さんただ一人だったからね。ピアノに触れれば素晴らしい音楽が出てくる本物でしたよ。その演奏には毎回ぞっとさせられました。ジャズの本質である即興演奏(インプロビゼイション)のすごいのをやるからです」と、称賛している。
 この二人のサックスプレイヤーが参加し、行われたジャムセッションの記録が、守安のプレイが聴ける唯一のレコード「幻のモカンボ・セッション'54」である。

朧夜の記録がモカンボの奇跡 チャンヒ

 54年7月27日、横浜・伊勢佐木町のジャズ・クラブ『モカンボクラブ』の入り口担当は、後にクレイジーキャッツのメンバーとなる植木等である。下戸で真面目な彼を指名したのは世話人のハナ肇だった。

紙テープ眩しき風を世に遺す 投槍

 この歴史的セッションを記録した御手柄者は、当時学生で録音マニアの岩味潔と、彼に話を持ちかけた某ジャズ喫茶のオーナーである。自作の録音機の上で回っていたのは、何とスコッチから発売されていた紙テープ(紙に鉄粉を塗ったもの)だった。



http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。


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ラクゴキゴ


第25話 文/俳句 らくさぶろう

『花筏』
〜 演者によって演出さまざま 〜

あらすじ
 提灯を作って生計を立てている職人・徳さんのところに、相撲部屋の親方がやってくる。
 部屋頭で人気力士の大関・花筏が体を壊し、絶対安静の身だという。数日後に控えている播磨の地方巡業は花筏の人気で人が集まるようなもので、そこに花筏が行けないというのは巡業自体つぶしてしまうようなことなので、なんとか連れて行きたい。しかし医者は絶対安静と……困った親方、ふと思い付いたのが、徳さんが非常に花筏に似ているということ。
 嫌がる徳さんに、提灯の仕事の日当の倍を一日支払うから、花筏の代わりに土俵入りだけつとめてくれないかと提案すると、徳さんも話に乗ってきた。
 他の力士と一緒に播磨へ乗り込み、初日。土俵入りを教えてもらったようになんとか済ませ、宿屋へ帰るとごちそうに酒、ご祝儀……これは最高だと楽しみ、二日目、三日目とうまくすすむ。
 九日目が終わり、明日千秋楽の取り組みが発表されたところ、結びの一番で花筏の名前が。
 びっくりした徳さん、親方に抗議したが「病人というふれこみを忘れたのとちがうか。宿屋の女に夜這いしたそうやないか」と暴かれ、泣く泣く相撲を取るハメに。
 相手は全勝の千鳥ヶ浜。彼は地元の云わばセミプロ。しかしとんでもなく強い。親方は知恵を授け、「とりあえず軍配が返ったら手を前にだせ。当たったなと思ったら自分でこけなさい。病気だから大関が負けても観客も“ようやった!”と言ってくれるはずや。」
 言われた通り手を出すと、千鳥ヶ浜のほうがこけてしまい、軍配は花筏に。
 観客が喜んだ。「さすが大関、得意の張り手や。花筏は張るのがうまい!」
 うまいはず、提灯屋の職人だ。



 ずっと会話形式で噺が進むのではなく、講談調のように演者が語るところが重要なポイントの噺です。
 相撲は誰でも分かるし、うんちくなど入れつつ語ればかなり客は世界に引き込まれ、仕切りをするシーンから軍配が花筏に挙げられ行司が「はなーいかーだー!」と声を上げると観客からは拍手が起きたりします。そしてあの単純なオチ(サゲ)。
 僕はこのストーンと落ちる最後のところが大好き。
 聴いてると晴れやかな気持ちになるほどのオチです。
 しかしなんといっても、トップ力士・大関花筏(当時はまだ横綱というクラスは無かった)のネーミング。俳句をやる人にはたまらん名前ではありませんか。
 この噺を知っていると、桜の季節に句をつくるとき、つい徳さんのドタバタ姿を思い浮かべてしまうのです。
 金に目がくらみ、仕切りながら「あー真面目に提灯張ってりゃよかったのに」と嘆く男。落語は人間の業の肯定であると言ったのは、あの故立川談志師匠でありました。

花筏今日も佳き日でありました


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本家慶弔俳句帳帖 第55回


文 桃ライス

「75歳女銭湯脱衣所で窃盗、全裸で逃走試みるも御用」
 スーパー銭湯の脱衣所で小銭入れを盗んだとして、 大阪府警捜査3課は、窃盗の疑いで住所不詳、無職の女(75)を現行犯逮捕した。
 ネット情報によると、昨年末から同府箕面市のスーパー銭湯の女子脱衣所で盗難被害が相次ぎ、女性捜査員が交代で入浴しながら張り込んでいた。
 2月20日午前11時すぎ、この銭湯で不審な動きをする女を捜査員が発見。女は大阪市住之江区のスーパー銭湯に移動し、女性警部補(46)と巡査部長 (29)が尾行。女が全裸のまま、ロッカーから87円入った小銭入れを取り出すのを確認した捜査員2人が、こちらも全裸のまま女を取り押さえようとしたところ、女は2人の腕にかみついた。女は手足をばたつかせて抵抗し「何が逮捕じゃ。生意気なんじゃ! 何つかんどんじゃあ!」などと叫んだという。

ブラジャーや何が逮捕じゃ桜咲く


「オレオ分離マシン誕生!!」
 クッキーとクリームのハーモニーがおいしい「オレオ」。そのオレオのクッキーとクリームを分ける「オレオ分離マシン」が開発された。
 ネット情報によると、まず第1弾として、オレオをクッキーだけにするマシンが登場。物理学者のDavid Neevelさんが開発した。オレオをマシンにのせると、縦向きにして斧で真ん中から割り、2枚のクッキーに分ける。さらにクッキーをトレイに運び、 工作機械を使ってクリームをこそげ取る。これでクリームなしのオレオの出来上がり。 (ちなみに第2弾は、オレオをクリームだけにするマシンだとか)
 オレオ分離器を製作・使用している様子はオレオの公式YouTubeチャンネルで公開中。開発者がコーヒー片手に説明する姿がとっても素敵よ。

花どきの何が分離じゃオレオ詐欺

 今月号で最終回となります。組員の皆様、四年半のお付き合いありがとうございました。次号から、イラスト担当の律川エレキが独り立ちします。よろしくお願いいたします。


桃ライス…自分のことをワシとよぶ婦人グループ会員


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ホンヤクサイホンヤク


翻田 訳蔵

俳句暦0年のど素人俳人、翻田訳蔵がネット上の翻訳ソフトを使って、名句を翻訳、再翻訳し、そこからインスパイアされた(パクッた)句を発表していこうという馬鹿馬鹿しくも実験的で図々しいコラムです。


今回の俳句
古池や蛙飛び込む水の音 芭蕉

 まずは、エキサイト翻訳(英→日)

Ancient pond; a frog leaps in; the sound of the water

 再翻訳

「古代の池蛙は中へ飛びます水の音」

 お、なんか俳句っぽくというか、ポエムっぽく再翻訳されていますよ。「古代の池」って言われると、なんか旧石器時代をイメージしてしまいますね。原始人に追われた蛙が池の中へ逃げたのでしょうか?

 さて、お次はGoogle翻訳(英→日)

Jump into old pond and the sound of water frog

 再翻訳

「古池や蛙水の音に飛び込む」

 おー! 惜しい!ような、いや、惜しくないような……。 蛙は水の音にびっくりして飛び込んだのでしょうか? それとも水の音に向かって飛び込んだのでしょうか?

 最後に、Yahoo!翻訳(英→日)

Sound of the water that Furuike and the leapfrog are crowded

 再翻訳

「古池と馬跳びが込んでいる水の音」

 「蛙飛び込む」を「蛙飛び」と「込む」に分解して訳したようです。そして、いつの間にか「蛙」が「馬」に変態しています。「古池コーナー」と「馬跳びコーナー」が人気なのでしょうか?大勢の人で込み合っているようです。

 それでは、この3つを受けて一句。

古代の池に蛙と馬と水の音 翻田訳蔵


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一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


金曜日優秀句
平成25年2月度


【鰭酒】
鰭酒の琥珀色なる澱みかな きとうじん
鰭酒や何年ぶりに擦る燐寸 亜桜みかり
鰭酒やぽぽと押し込む燐寸の火 たかこ
よそ様の鰭酒に火をつけたがる マイマイ
鰭酒三十厨房のてんやわや 冬井いつき
鰭酒のどうにも収まりきらぬ鰭 さち
鰭酒で釣れば出てくる女かな だんご虫
鰭酒はたしなむ程度五黄の寅 ちいち
鰭酒の鰭の動いて淋しき夜 恋衣
鰭酒や鉛色なる門司の町 菜々枝

《天》
鰭酒に酔えず燃え尽き症候群  日暮屋


【雀の巣】
どこにあるさしすせそこにすずめの巣  江刺乃カナ女
住職は園長先生雀の巣 不知火
仁王様のみご存知の雀の巣 菜々枝
道草の第3ルート雀の巣 とりとり
朝まだき屋根付き橋の雀の巣 あおい
精米所裏は酒蔵雀の巣 青石榴
雀の巣ひねもす山に石切る音 紅紫
陸橋に腐食は二つ雀の巣 まくわ
雀の巣お断りなる若葉荘 だんご虫
軒低きマキ美容院雀の巣 樫の木

《天》
雀いる巣藁ののぞく換気口  よもだ


【猟期終る】
残り玉撃ちに行くべし猟名残  ポメロ親父
奥山を名残の猟の二三発 めろめろ
残弾は二十一発猟名残 みいみ
残り弾申告五発猟期終る 日暮屋
猪弾を金庫に納め猟名残 蕃
齧りたる肉に散弾猟期果つ 樫の木
猟犬も所詮畜生猟名残 ちいち
猟期終るあの湧き水の美味しこと  お手玉
猟期終え獲物を配る電話かな 日々草
猟期終るか千本の杉の黙 ターナー島
猟期果つ縄の朽ちたる道祖神  てんきゅう
猟名残風と名づけた犬の墓 太郎
十五貫の血痕吸いて猟期終る 七草
日没の犬をなだめて猟期終る 山野遊造

《天》
猟期終わる今年もヤツは現れず  旧重信のタイガース


【ネーブル】
ネーブルや太陽に臍あったという 二二
ネーブルの木三百の臍ぶら下げて ロミ
ネーブルの臍は女神の嫉妬かな  風花会・さくら
夕暮れのごとネーブルの薄き皮  めろめろ
ネーブル剥く事実婚という選択 妙
ネーブルやあのとき右を選んだら 恋衣
ネーブルころがるブルースは憂歌団  逆ベッカム
光増すネーブル裸婦の腕の中 さち
ネーブル剥く搭乗券を確かめて 朝日
ねーぶる輪切りニュース地球をめぐる  殻嵩はるお

《天》
パティシエのネーブルを切る指長し  郁


※ 掲載の俳句は、有志によって朧庵(http://575sns.aritani-mahoro.com/)の掲示板「落書き俳句ノート」に書き込まれたラジオの聞き書きをもとに活字化したものです。俳句ならびに俳号が実際の表記とは異なっていたり、同音異義語や類音語などで表記されてしまっている場合がありますのでご了承ください。



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

4月14日
新社員【仲春/人事】
各企業がその年度の学校卒業者を社員として採用する。年度初めに入社式が行われるが、その後、研修期間をおく場合が多い。

うりずん【晩春/時候】
沖縄地方の言葉で、旧暦3月頃の、乾季が過ぎて天地が潤い、暖かくなり、生命に満ちはじめる頃のことをいう。

4月28日
粽【初夏/人事】
主に端午の節句に用意される餅菓子。餅米やうるち米などの粉を練り、笹や茅などの葉で包み、蒸して作る。

三光鳥【三夏/動物】
スズメ目ヒタキ科の鳥。鳴き声が「月日星、ホイホイホイ」と聞こえることからこの名がある。雄は紫黒色の羽毛に長い尾が特徴。雌は尾が短く、雄に比べ地味。


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句集の本棚





『街のさざなみ』峯尾文世 著

  こすもすの胸がどきどきする高さ
 あ、こんな感覚しばらくなかったかもしれないと思った。新しいセーターに手を通す時に似ている。
  灯は音を持たずさくらの蕾かな
  合鍵はつめたき骨のごとく夏
  外に出す椅子のさまざま文化祭
 明るさと暗さのバランスが絶妙であり、読み手に負担をかけない。著者はあとがきで「語らぬ俳句」を心がけているという。
  木蓮のむらさき父にある翳り
  ゼリー揺れ自分を許さうかと思ふ
  ほんたうのやみとはこんな鹿のこゑ
  大年のソファーに深き海ありぬ
 自分の中にもある心の襞に気づかされてしまう、そんな句集である。「銀化」同人。第二句集。
(書評:なぎさ)

ふらんす堂(2012年初版)
定価 2476円(税別)
全192ページ



『巣箱』対中いずみ 著

 カナリア色の七羽の鳥其々に抱く卵。その美しき装幀に包まれた全二三二句は、年毎に1〜6に納められている。
  まつすぐに山の雨くる桐の花
田中裕明全句集刊行
  ひらくたび翼涼しくなりにけり
  ふくろふの腹ふんはりと脚の上
  ゴム長とデッキブラシと落蝉と
  雷のあと鴉大きく鳴きにけり
  ワタクシハ猫派デ鷹派秋の風
  さむさうなあたたかさうな巣箱かな
 巣箱の中の卵は、鳥になり翼をひらく。新しき巣箱、鳥の居る、卵のある、雛の居る、空になった巣箱を慈しむ眼。「私の俳句も、一滴の雫であればいいと」願う「冬菫」につづく第二句集。「翼涼しく」の栞・帯を正木ゆう子。鳥が好きになりそうな装幀を和兎。「静かな場所」代表「椋」同人。
(書評:恋衣)

ふらんす堂(2012年初版)
定価 2667円(税別)
全228ページ



『東海』中村和弘 著

 著者の第三句集。
  挽肉の紐状に垂れ蝶の昼
 「挽肉」と「蝶の昼」の関連性は希薄である。にもかかわらず、その生温かい現場から「蝶」が生まれてくるような夢幻的な景を想わずにはいられない。
  馬の背に朝鮮半島灼けており
  牛の血を吸いてころがる虻ぞ神
  炎帝の内懐は廃墟なり
  列島を喰いちぎらんと夏の蝶
  蜩の鈴が森にて睡魔くる
 作者の感性は様々なものに反応し、断定によってその世界を表出している。
  花影を穴のごとくに跨ぎけり
  金閣を泥に沈めて蓮咲けり
 一抹の翳りの中の美。それらには深い余情が漂う。
 「陸」主宰。
(書評:藤実)

角川書店(2012年初版)
定価 2667円(税別)
全196ページ



このコーナーで紹介した句集は、100年俳句計画編集室にて閲覧できます。


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まつやま俳句でまちづくりの会通信


第26回 文/野風 写真/暇人

 今回のmhm通信は、いつも執筆を担当している暇人さんに代わって、野風さんがお届けします!

まる裏の翌日は、松山城に遊ぶ
 まる裏俳句甲子園の翌日の1月14日、新年吟行会「松山城に遊ぶ」が開催された。
 午前10時、松山城ロープウェイ乗り場へと、前日「まる裏」に参加した県外メンバーはじめ地元参加者が次々と到着。自分のことをワシとよぶ婦人グループ会員・桃ライス女史も奈良から駆けつけた。
 心配された夜来からの雨は上がったが、どんよりと重く寒い朝。
 「松山はいく」のしんじゅさんのガイドよろしくいざ出発。
 生憎の曇り空にもかかわらず松山城を観光する人は多く、ロープウェイのゴンドラはすぐにいっぱいになった。
 ロープウェイを降りたところには、子規が東京より故郷松山に思いをはせ詠んだ「松山や秋より高き天守閣」の句を刻んだ俳句ポストが。ここより天守閣を目指す。
 雨に洗われた城壁は、いつにも増して堅固で美しかった。桜は、まだ芽を固く閉じ、梅がわずか二、三輪ほころんだばかり。
 天守閣の入口で松山城のゆるキャラ「よしあきくん」に迎えられる。
 しんじゅさんの城郭の説明に聞き入る一行の脇に二人の美女が。聞けば韓国からの旅の俳人。昨今の俳句ブームを実感する一幕。彼女たちが知っていたのは、やはり俳聖松尾芭蕉の名であった。
 ひんやりとした城内へ足を踏み入れ急な階段を登る。午後からの句会の種を拾うべく、心なしか口数も少ない。
 松山城吟行の目玉「甲冑体験コーナー」へと辿り着く。
 mhmあねご会長が朱色の甲冑体験。鎧、兜、籠手、脚絆等を装着し、凛々しい武将が完成した。甲冑は、存外重たかったらしい。
 その後、いよいよ天守閣最上階へ。四方より寒風吹き荒ぶ中、更紗さんの携帯が鳴った。なんと天玲さんと正人さんが俳壇賞の最終選考に残ったとの朗報。縁起の良い年明け吟行となった。俳句の種は拾えたか?
 松山城を後に一行は、句会会場の「すし丸」へ向かう。
 大広間で、寿司天麩羅膳を眼前に作句に追われる。
 どの顔も一瞬、真剣になる。「まる裏」の翌日だからこそ句座を囲める句友も多々いて緊張する。
 総勢27名、2句出しの賑やかな句会となった。


mhmでは、ひきつづき松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議がおこなわれます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(mhm_info@e-mhm.com)またはFacebook(http://www.facebook.com/mhmhaiku)まで。


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愛媛マラソン吟行会


報告 キム・チャンヒ

 今回で3回目を迎えた、愛媛マラソン吟行会。俳句とマラソンなんて、ミスマッチに思えたこの企画も、回を重ねるごとに、当たり前に思えるから不思議だ。
 今回ランナーとして、マラソン部部長の蛇頭さんをはじめ、きとうじんさん、鉄人さん、逆ベッカムさん、ねこ端石さん、魅心地さんの6名が参加。去年よりもランナーが減ってしまったのは、愛媛マラソンの人気が急激に高まったせい。主にインターネットでエントリーを行うのだが、この競争率が高く、去年まで参加していたメンバーが、ことごとく落選してしまったのだ。
 当日は、ランナーにも応援団にもやさしい天候。それでも一日中、外で過ごすのは、走る人も応援する人も結構疲れるもの。完走された方も、出来なかった方も、応援団も、みんな偉かった。お疲れ様。
 来年の大会に向け、ランナーを増やすべく、現在作戦を練っているところ。今年は応援側にいたけれど、来年は走るぞ!


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選句&投句欄 ザ 句会


 このコーナーは読者による誌上句会。先月号に掲載された投句への、選句&選評(互選)を掲載しています。不肖編集室一同も参加しています。

第182回兼題
 「婚」の字を含んだ句、または「婚」をテーマに
 出題者 朗善さん

 今月の互選『鰯の歯ぎしり』

6点句
ポメロ親父、まんぷく、まほろ、エノコロちゃん、浜田節、柊つばき選
春炬燵未婚の欄に太き丸 瑞木
  ポメロ親父   大きなお世話だという大きな○がよろしい。
  まんぷく  未婚の欄に少し力を入れて丸をする。少し複雑な気持ちが春炬燵で上手く表されていると思います。
  まほろ   契約書類などによくある記入欄。自分が「未婚」であることを不意に意識させられ、ついつい力が入ってしまうのか。だから未婚なのかも、などと人物の性格をうかがってしまう可笑しみがある。
  エノコロちゃん  いいですねえ。毎日は要らなくなった「春ごたつ」と「太き丸」がみょうにひびき合っていて……。
  浜田節  何かの書類を書いているのだろう。そこに結婚をしているかどうか問う欄がある。そうそう病院に行くと問診票のようなどうでもいいものにもあったりする。大きな丸をした所を見ると、未婚で何が悪い。開きなおりかな。でもまあ季語が春炬燵だから……。
  柊つばき  少しひねくれて見たら未婚で悪い!?と言っているような気がします。昔、未婚・既婚に丸を入れる時、3.その他と書いて丸をしたことがあります。離婚はどちらにも入らないような気がして……。

みちる、すな恵、ゆき、元旦、雨月、雪花選
婚家には婚家のにおい春浅し あき
  みちる  まだ馴れない婚家。だからにおいが気になるのだ。春浅しという季語も、馴れない感じをよく伝えている。
  すな恵  婚の字が無理なく収まっているうえに、とてもリアリティがあります。春浅しのぎこちない感じもうまくはまってました。
  ゆき  嫁ぐ家の匂い、なじめるかどうかの不安感が春浅しの季語にぴったりとおさまり、頑張ってと声をかけたくなりました。けなげな一句。
  元旦  女の人はスゴイと思います。ある日突然見ず知らずの家の一員になるんですよ。完全アウェーじゃないですか。当然「におい」も違うでしょう。でも逞しい。いつの間にかその家を自分の「におい」にしてしまうのだから。
  雨月  まだ馴染んでない感じ、これから始まるんだという気持ちが春浅しに託されていてとても共感できます。
  雪花  なかなか意味深な句だと思う。婚家の臭いを自分の臭いとしたのだろうか? 春浅しだからやはり染らなかったのだろうか? とても気になる。

5点句
レモングラス、ザッパー、一心堂、ぜぶら、チャンヒ選
離婚した男ばかりが春炬燵 理酔
  レモングラス  女なんざあこりごりだ。一人もんが気楽でいいやと陽気に飲んで楽しく生きてください。炬燵におとなしくもぐりこんでないで外にでようよ。
  ザッパー  なかなか楽しそうなシチュエーションのようで(笑)。
  一心堂  虚しいやら、悲しいやら、スッキリしたような、でも何かとても楽しそう。
  ぜぶら  「君もですか」「僕もです」「おみそ汁の具はやっぱりおとうふですか」「ええ、わかめなんかも」「お洗濯は」「僕は、まあ、きれい好きなんで」「ほう、お仲間が増えましたな」
  チャンヒ  全く建設的でない会話がなされていそう。絶対この春炬燵の中には入りたくないなぁ。

紗蘭、一走人、ほろよい、えつの、さかえ選
結婚のドレスは手縫い桃の花 信野
  紗蘭  「手縫いのドレス」とせずに「ドレスは手縫い」としたところで、手縫いの作業や思いやりが表現されている可愛い句だと思いました。
  一走人  娘のためにウェディングドレスを縫いたいと思い、型紙を作成しました。でも当時は「流行らない」感じでした。結局貸衣装に決定。この句は桃の花との取り合わせで、かわいい花嫁さんが見えてきました。
  ほろよい  貸衣装で済ませてしまう時代。それもすごく可愛らしく素敵ですが、愛情のこもった手縫いのドレスも素敵です。桃の花のようなかわいいお嫁さんが見えてきました。お幸せに。
  えつの  「ウェディングドレスを手縫い」これはすばらしい。自分好み、自分サイズ、そして世界でたった一着のドレスを着た花嫁。お幸せに。桃の花がぴったりです。
  さかえ  無条件に好き。

3点句
駝楽、サキカエル、しのたん選
すれちがふ婚礼家具の春リボン ぜぶら
  駝楽  おめでたい一句で、情景が浮かびます。
  サキカエル  幸せのおすそ分けして貰えたような気持。婚礼家具と風に揺れる春リボンが可愛い。
  しのたん  自分の事じゃないけど、嬉しい気持ちになります。おめでとうございます。お幸せに! ふたりにエールを送りたいです。

まとむ、猫ふぐ、ちろりん選
その魚の婚姻色の青こそ春 いつき
  まとむ  「その魚」が何かはわからないけれど、「青こそ春」の断定がいいと思った。魚にとっても結婚はそんなものだろう。
  猫ふぐ  どんな魚かなあ? 青紫ですか? わからないけど、婚の字がなくてはならない、素晴らしい俳句です。まさに春です。
  ちろりん  若者たちの発情。それこそが青い春、青春の証である。

和音、空、迂叟選
神々の乱婚の譜や春の潮 南骨
  和音  神々の乱婚という言葉に驚き、乱婚の譜にまた驚き……神々の乱婚の譜が春の潮だとは……すべてが私には思いもよらぬ発想に度肝を抜かれました。
  空  古事記の世界を思わせる世界。出雲あたりの春の潮は、深く波立っているのだろう。
  迂叟  上五中七と春の潮の響き合いが絶妙で納得。潮騒の音が聞こえる。

樹朋、てんきゅう、正人選
新婚やぐわと鍋噴く雪催い ターナー島
  樹朋  中七の表現に新婚家庭の明るさと活気が凝縮されています。お幸せに。
  てんきゅう  わかります! 何をやっても、どんな状況でも楽しい時間がありました。それが、今や……。
  正人   中七下五の穏やかな湿度が抜群に気持ちいい! 新婚の穏やかな平和と似合う。

2点句
青蛙、遊人選
許婚位置決めかねし置炬燵 ゆき
  青蛙  分かるよなあ、その感じ。どこへ座っていいものやら。本物の置炬燵があるような家なら、なおさらですし、普通の炬燵でもね。
  遊人  案内を待つ許婚のリアリティー。季語によって部屋の風景がみえる。人生の一コマ。

たま、瑞木選
バリィさんの求婚ダンス春を呼ぶ ポメロ親父
  たま  バリィさん頑張っていますね。ザ・句会最後!明るく楽しい句を選びました。一緒に踊りましょ!
  瑞木  バリィさんの黄色は春によく似合います。

ターナー島、あき選
婚儀果つ春塵のロールスロイス 正人
  ターナー島  最高のカップルに、祝福のライスシャワーが降れば、最高級車にも薄く舞い積もった春塵。春風の置き土産を、颯爽と吹き飛ばしてゆく景色には、プレスリーの「ブルーハワイ」の曲がお似合いである。
  あき  この時期の結婚式にはつきものなのでしょうね。教会を出てライスシャワー、ぴかぴかのロールスロイスに乗り込むはずが春塵まみれだって。甘いだけじゃないんだよねとの暗喩か、新生活へのシニカルな目線が面白い。

もんきち、コナン選
恋猫や婚前交渉死語となり 元旦
  もんきち  婚前交渉なんて言葉とんと聞きませんね。恋猫もびっくりしているかも……。
  コナン  婚前交渉なんてふしだらなという時代は終わりましたか。恋猫との取り合わせがユーモラスでいいと思いました。

めろ、いつき選
婚前のアスパラガスでありにけり まほろ
  めろ  「結婚前のアスパラガスさん、食べてごめんね」でも「食べている私が婚前のアスパラガスです」でも良し。頼りなさそうで実はしたたかに強いアスパラガスさん、知り合うのがちょっと遅すぎた。
  いつき  「婚儀果つ春塵のロールスロイス」「神々の乱婚の譜や春の潮」にも心が動いたが、この変な句がツボに入った。「婚前」という言葉の持つ青臭さとエネルギーと形状?は、まさに「アスパラガス」さ!

こてぞう、輝女選
結婚てふ薔薇抱く胸に棘の傷 たかこ
  こてぞう  なんか、ブラックでいいですね。雰囲気にまいりました。
  輝女  綺麗な薔薇には棘がある。でも、キズは癒えるでしょうし、抱き方も学習するでしょうから、おしあわせに!

青柘榴、信野選
婚の荷に祖母の着物のちゃんちゃんこ 権ちゃん
  青柘榴  ばあちゃん子だったんだろう。そのばあちゃんの着物のちゃんちゃんこは、うんとあったかいに違いない。
  信野  孫を送る祖母の嬉しさと寂しさのまざり合ふちゃんちゃんこ。胸にじんときました。

松ぼっくり、れんげ畑選
晩婚のきつねとたぬき梅ふふむ 清流子
  松ぼっくり  見事な句、枯れたお二人に末永く幸せあれと祈ります。
  れんげ畑  夫婦をきつねとたぬきとしているのが、面白く、楽しいと思いました。それぞれお互いに、自分はキツネで相手がタヌキと、思っているのかも、と思ったりします。

1点句
婚礼を生業とし冬に入る くう
  不知火  ご本人は今、幸せでしょうか?

太き眉揃ふ弥生の婚の宴 不知火
  むめも  ふだんは揃っていない眉を整えて、当日に望む明るい気持ちが、リズムよく表されていると思います。

堂々と婚衣なびかせ飛ぶや春 駝楽
  七草  好きなシャガールの絵を思い浮かべました。若さ、幸福、明るい未来を感じます。

未婚晩婚何も変わらじ除夜の鐘 松ぼっくり
  ケンケン  たしかに……除夜の鐘は全ての人にとって同じですよね〜。

婚約の遠き日開く桜漬 青蛙
  杉山久子  うん十年前?の婚約の席で出された桜湯を思い出しているのでしょうが、読者の眼前にも開く桜漬けの淡い花びらの揺れとともに、遠い日という時間がふわりと開かれる心地がして、ゆかしい句です。

書初に婚といふ字を書いてみる 一心堂
  台所のキフジン  白い半紙に緩めに擦った墨がにじんでいく、そんなキレイデ清々しさを感じました。結婚がきまって、きっと嬉しい気持ちが緩やかに「婚」と云う字を書かせたと思います。若い息吹を感じました。

甥っこの婚に歯ぎしりねこやなぎ 親タカ
  魔心地  甥っ子さんに先を越された結婚。我が息子は、そんな気配すらないのに。でも、詠者は、ねこやなぎが自生する場所のように我が家の居心地の良さが原因と分かっているのでしょう。解決策は、ズバリ子離れ(笑)。

銀婚の夫のみたてや春日傘 たま
  ぐみ  結婚25年。年月がたっても旦那さまがみたててくれるなんてラブラブな夫婦っていいなぁと思いました。

就活も婚活もせず夢を追い もんきち
  カラ嵩ハル   その潔さに完敗!! あっ、や、乾杯じゃ。

晩婚や束ねて春の霞草 空
  だりあ  晩婚バンザイ! 霞草素敵!

花嫁の父の孤独や春の風邪 雨月
  ひでこ  下五に父親の寂寥がみえます。

婚活や咳のひとつはイエスノー むめも
  洋子  昔々サングラスを机に置いて、開いたり閉じたりして合図をしたお方もおられましたわ。咳もいいですね。

祝婚歌の高らか菜の花蝶と化す だりあ
  亜桜みかり  ちょっぴり皮肉めいた句にも惹かれたけれど、このめでたさはやはり素晴らしい。婚活万歳! 祝婚万歳!!

婚約を切り出せぬままなごり雪 猫ふぐ
  ぎんなん   切り出せぬ相手は誰なのでしょう。「なごり雪」の歌といっしょに70年代の青春時代を思い出しました。

婚活の動機単なる冬嫌い 魔心地
  西条の針屋さん  急に婚活を始めたと思ったらただ外出の少なくなる冬の寒くて淋しい季節が嫌いだっただけとは……。

確認は指輪の名前花鎮め 雪花
  兼光  「婚」というテーマに対して明るい方向のアプローチが多かった中、違う形での挑戦をする句もいくつか。その中でこの句の明らかに震災を意識したものは異色だった。今月という時期も含めて、この句をいただきます。

結婚離婚再婚そして春が来た ケンケン
  カシオペア   同感。縁て不思議。幸せにならなくちゃ!!

婚外と但し書ある猫の恋 てんきゅう
  親タカ  もともと結婚に規定されとらんやろ、ねこっちゅうもんは。わざわざ婚外、とニンゲンサマの価値観で決めつけた高ぴーさがニクい!

寒中の肩さらしあふ披露宴 ソラト
  朗善  肩さらしあふ、が超面白くて、しかもリアル。華やかさもある。

今月の無点くん
既婚者の欄に印や桜草 おせろ
堅く契りし仲なのに春の虹 迂叟
花菜漬結婚記念日忘れをり 樹朋
鳥雲に教会騒然掠奪婚 蓼蟲
臘梅や五十路超えたる角隠し 紫水晶
婚礼前夜荷にしのばせる雛あられ 鞠月
婚礼の門出祝うや梅開く カシオペア
淡雪や桜色した角隠し ぎんなん
節分や鬼も内なり新家庭 四万十のおいさん
×1に二度の婚あり春霞 青柘榴
婚の字で出来る熟語や冴返る 逆ベッカム
葬祭に連なる文字や蝶生る 兼光
婚活後薔薇一輪に込めし愛 しのたん
五万回廻るシナリオ今朝の冬 紗蘭
神社にて婚衣をまとう寒すずめ ぐみ
秋天の神の御前の契り哉 輝女
雉鳴きて妻問ひ婚の朝の来ぬ 七草
婚姻の予約百通春手紙 洋子
婚活や春告鳥の声遠く 和音
風花や胸にたためる祝婚歌 杉山久子
相撲部屋あげて婚活福は内 コナン
婚活し芽生え嬉しや春兆し たっ君
銀婚のヴェールいっぱいの春日 牛後
頬白が鳴くいつからが晩婚か チャンヒ
裏山に婚羽を拾ふ不器男の忌 めろ
春夕焼空に婚咽色ありぬ 遊人
風光る結婚式の招待状 八木ふみ
啓蟄や二つの人生合わさりて 安
街コンで巡り会う春揺れている ペプチド
宣誓書読み上ぐねこやなぎふくらみぬ 亜桜みかり
風花や何事もなく結婚記念の日 よひら
麗かや婚の荷届く大安日 お手玉
ひと月の経ちし婚家や亀の鳴く 浜田節
風鳥や婚衣拡げる春の恋 未々
婚活の成功したらし猫の恋 空山
朝朗ら結婚したいティディベア  KIYOAKI FILM
婚活というはやりもの春の雪 ひでこ
バラ咲いて婚前胸の痛みけり 人日子
婚の荷のほどかれぬまま春の宵 みちる
春の日に飛び立つ勇気水けって こまりやま
一度なら夜這ひといふ手も山笑ふ 藍人
晩婚のニュース解説ふきのとう カラ嵩ハル
ちぎるとふきもちのゆくへ落椿 破障子
冬の豊後水道悪阻のハネムーン 一走人
合わせれば160歳婚の春 レモングラス
嫁ぎ娘の部屋に残さる紙ふうせん 明日嘉
冬銀河ダイヤモンド婚まで数え えつの
将来が気になる手相結婚線 真日瑠
蝶二羽が菜の花巡りハネムーン れんげ畑
晩婚化スマホが夫と春火鉢 西条の針屋さん
梅の香や結婚式招待状 さかえ
春ショール婚因色の女たち ちろりん
初夢や年の差婚が泡と消え 多久美
婚礼の一行すすみ百千鳥 三月
鬼役は晩婚の母蕪食む ザッパー
雛祭赤線足した結婚線 キミミキ
霜柱とけゆく午後や結婚す 朗善
ふりそでの婚活おとめ冬椿 こ
巣立鳥また新婚になる二人 八十八
遅刻常習の彼の朗報六月婚 ほろよい
ひかり増す空に耀く祝婚歌 まんぷく
銀婚式前に離婚よ梅咲いた 柊つばき




祝、大漁旗獲得!
なゝさん

獲得点数 18点(180号〜185号)
次号、なゝさんの大漁旗獲得記念十句を掲載します。


【最終捕れ高】

18点
なゝ

15点
いつき
瑞木
とりとり
あき

14点
みちる
権ちゃん

12点
親タカ


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100年俳句計画 掲示板


 組長&編集長&組員さんの出演執筆一覧

テレビ/ラジオ
NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内
 『みんなで挑戦!MOVIE俳句』
  4月9日(火)11時40分〜

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。

FM愛媛
 バニラビーンズの俳句っちゃお〜!
 毎週日曜日深夜0時〜0時30分
※夏井いつきが俳句指南で出演

FMラジオバリバリ俳句チャンネル
放送時間 … 月曜 17時15分〜17時30分
再放送 … 火曜 7時15分〜8時
 兼題「春の朝・干鰈」(3月31日〆)
   「種蒔・潮干狩」(4月14日〆)
  mail fmbari@dokidoki.ne.jp
  FAX 0898-33-0789
※必ずお名前(本名)・住所をお忘れなく!
※各兼題の「天」句にはキム・チャンヒのイラストポストカードが贈られます。



執筆
松山市の俳句サイト「俳句ポスト365」
http://haikutown.jp/post/
 毎週水曜締切/翌週金曜結果発表

Pioneer Sound Lab. 音俳句
http://pioneer.jp/soundlab/
  ウェブサイト上に組長の選評が毎日一つ発表されます。投句も受け付けています。

テレビ大阪俳句クラブ選句
http://www.tv-osaka.co.jp/haiku_club/

愛媛新聞
 「集まれ俳句キッズ」毎週土曜日

愛媛新聞(キム チャンヒ)
 「ヘンデス俳談」毎月第一土曜日 兼題「蜃気楼」締切 … 4月23日(火)


句会ライブ/講演など

南楽園句会ライブ
 4月6日(土) 13時30分〜
 会場… 日本庭園南楽園(宇和島市津島町近家甲1813番地)
 出演… 夏井いつき/キム・チャンヒ
 参加無料
 お問合せ/南レク (株)南楽園  0895ー32ー3344

きさいや広場4周年記念 夏井いつきのきさいや句会ライブ
 4月14日(日)
  10時兼題発表/13時〜ライブ  スタート(〜15時頃まで)
 会場 … 道の駅 みなとオアシスうわじま きさいや広場(愛媛県宇和島市弁天町1ー318ー16)
 出演… 夏井いつき/キム・チャンヒ
 司会… やのひろみ
 参加費無料
 お問合せ/きさいや広場 0895ー22ー3934

俳句対局龍天王
 4月21日(日)10時〜15時(お昼休憩あり)
 会場… 松山城・二の丸史跡庭園観恒亭
 参加費 1000円(お弁当代含む)
 *先着30名まで


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魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

科学が明かす写真の謎
すな恵 3月号の表紙、素敵でした。どこなんでしょう。
しんじゅ 表紙裏のどんさんの写真のメスライオン?には驚きました!
編 どんさんに聞いてみたところ、表紙の写真の解説が届きました。
どん 4月号表紙の写真の場所ですが、探してみました。家内が自転車旅ガイド地図にメモをしていて、意外と正確にわかりました。羊と自転車で、ハンブルグとベルリン中間で、エルベ川沿いの自転車道です。そのあたりにはコウノトリが巣をつくる村があります。GoogleMapにて、下記の位置を検索欄に入力してください。「52.891849, 11.947428」 写真も出ます。見たことないぐらいのものすごい田舎です。
 3月号の灯台は、バルト海に面したリューゲン島の北東のはしっこ、Kap Arkonaというところの一つの灯台から、別の灯台を見た写真です。その灯台の位置も、なんと特定できました。同じくGoogleMapにて、下記の位置を検索欄に入力してください。「54.677466, 13.435711」 実はこの写真は海岸沿いで、右端に海も映っていたのですが、縦写真にするため縦に切ってしまうと海が入らずに陸地が広がっているように見えています。GoogleMapを写真レイヤーに切り替えるとよくわかります。
 2月号は、イタリアのソレントの先のカプリ島の南西の端の灯台です。GoogleMapにて、下記の位置を検索欄に入れてください。「40.536316,14.198778」 地図では出ませんが、写真レイヤーにすると確認できます。
 1月号は、スイスのツェルマットのモンテローザヒュッテへ行く途中の氷河の上です。GoogleMapの位置は「45.965649, 7.802868」のあたりだと思いますが、氷河なので正確にはわかりません。
編 感動したので全文掲載。しかも現地の情報が地図で見れるとは!! ライオンの情報も求む。

「大人コン」のジンクス?
まとむ 100年俳句計画3月号48ページの大お花見大会の写真。偶然にも第一回大人コンの最優秀牛後さんと第二回最優秀なぎささんがとなりどうしで写ってます。これは予言?
編 なぎささん、第2回最優秀賞おめでとうございます! 今年の花見はなぎささんの隣りの席争奪戦が起きますな。

もうすぐお花見ばっちこい
滋賀・ケンケン 大花見大会、初参加します! 四国のみなさんと直接、対話するのが楽しみです。
魔心地 お花見楽しみにしています。天候は、この晴れ男にお任せ下さい(笑)。
東京・笑松 100年俳句計画大お花見大会。参加いたします。お目にかかるのを楽しみにしています。
編 気持の良い男衆三人そろい踏み。3月31日の天候はこれで大丈夫!?

「ザ・句会」終了への反響
めろ をを! 今回で終わりですか? 雄プレイのいきなりの本土演習みたいにボーゼンです。ついぞ大漁旗をGET出来ませなんだ。それが心残りですが、楽しい企画をありがとうございました。
青柘榴 ザ・句会、時に吹き出したり時に苦しまされたり、でも参加しやすかったし、楽しませていただきました。新たな誌面も楽しみです。
しのたん マガジンの楽しみだった「ザ・句会」さびしいけど、新しい仕組みで投句出来るのが、楽しみです。
ゆき 一番楽しみにしていたザ・句会がなくなるなんて、悲しすぎます。リニューアルはもっと楽しいはずと思わないとおちつきません。
ぐみ この『ザ・句会』好きだったのになぁ。残念です。
カシオペア 新しい仕組み楽しみしています。
すな恵 先月投句をさぼっていたら、ザ・句会が終了とは! 残念です。新しい企画も楽しみにしてます。
たま 選評のユニークさ楽しさまた勉強させてもらっていたのに……新しい企画に期待しています。
輝女 「ザ句会」ろくに点は取れませんでしたが終ってしまうのはさみしいです……けど、また新しい企画があるとか、それを楽しみにする事にいたします!
ちろりん 残念です! くらむぼんとザ・句会の投稿楽しみにしていました。残念です!
えつの 「ザ・句会」楽しませて頂きました。ありがとうございました。
編 かれこれ15年近くのロングラン企画。ご愛顧誠にありがとうございました。次号より始まる新企画のお知らせは34ページをご覧下さい。

はじめましてな人へ
台所のキフジン たぶん……初めて投稿させていただくと思います。どうしてここに気づかなかったのかと自分のイイカゲンサに呆れています。いつき組には何処から入ったら好いのか教えてください。
編 「ザ・句会」選句に寄せてのおたより。今月号放歌高吟に関連した内容が載ってます。20ページをチェック!

季語の質問
えつの キルタンサスは今咲いて居ります(我が家)。これは季語にはなりますか? 学校でも時々この様な質問があり先生と相談して季語としてパスしています。
編 キルタンサスってどんな花? 季語のおじさんの助力求む。

読者の生活
駝楽 東京マラソン走ってきました。当たってから走り出したという典型的な初フルマラソンパターンで、せっかくなので本番も時間をたっぷり掛けて走ってきました(笑)
編 たっぷり掛けて、ということは完走成功!? お見事!!

ゆまるばたこ 最近は、投句のために俳句を作っているような状態です。初心にかえって、俳句とちゃんと向き合いたいなと感じました。
編 週活句会に参加中のゆまるばたこさんより。いざ切磋琢磨!

うに子 今年の花粉は強烈ですね。鼻・舌・目が2割くらいしか活動してない感じです。
編 ある意味季節の風物詩。花粉症が季語になる日も近い?

先月号クイズの答
エノコロちゃん 3月号でも私エノコロちゃんのお便りを、クイズ形式にして下さり、と〜ってもよかったです。うれしかったです。あっ!! ちなみに答えは「菊戴(キクイタダキ)」別名を「松毟鳥(マツムシリ)」とも言います。せわしく動き回るとってもかわいい小鳥です。何人の方がこの鳥をわかったのかなあーっ。
編 バードウォッチャー俳人の皆様いかがでした? これがわかればあんたは俳人!


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鮎の友釣り

178

俳号 浜田節

三竜さんへ 釣り上げてくれてありがとう。私がまだ俳句初心者の頃からのつきあいですね。お元気で三竜さんらしい風刺のきいた俳句を楽しみにしています。

俳号の由来 いつき組ではずっと「浜ちん」と高校時代のニックネームを使っていましたが、全国共通の俳号としました。ちなみに旧姓です。

俳句をはじめたきっかけ ラジオの一句一遊、いつもその時間は車に乗っていた。
「おお、何ておもしろいパーソナリティー」
 俳句を知らなくってもあのトークのおもしろさは尋常ではない。組長にのめり込むと同時に俳句にものめり込んでしまった。

次回…こぼれ花さんへ いつもまほろば句会でユニークな句を発表してくれますね。これからも楽しみにしています。


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告知


6月号より投句ページが変わります

 マガジン化10年目を機に、投稿ページを大きくリニューアルします。
 関悦史さん(「豈」同人)、阪西敦子さん(「ホトトギス」、「円虹」同人)、加根兼光さん(「いつき組」組員)の選者3名による雑詠句のコーナーときむらけんじさん(「層雲」同人)による自由律俳句のコーナーがスタート。また、へたうま仙人の選者を杉山久子さん(「藍生」会員)が担当。マイマイの「詰め俳句」も復活します。

1 雑詠句
 関悦史さん(「豈」同人)、阪西敦子さん(「ホトトギス」、「円虹」同人)、加根兼光さん(「いつき組」組員)の選者3名による雑詠句のコーナー。
 選者3名の内、2名が天地人をそれぞれ選び、残り1名の選者が、選から漏れた俳句の中から秀句を紹介します。
 ちなみに、投句は2句まで。

・関悦史(せき・えつし)
1969年茨城県生。「豈」同人。
第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞。第11回俳句界評論賞。
2011年第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』刊行。翌年、第3回田中裕明賞。
共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』(以上、邑書林)、『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(以上、草思社)他。
雑誌「現代詩手帖」俳句時評欄担当(2012年1月〜)

・阪西敦子(さかにし・あつこ)
1977年神奈川県生「。ホトトギス」「円虹」同人。日本伝統俳句協会賞受賞。

・加根兼光(かね・けんこう)
1949年大阪生。俳句集団「いつき組」組員。第9回俳句界賞受賞。


2 へたうま仙人
 6月号より「へたうま仙人」のコーナーの選者が杉山久子さんに変わります。1とは同時に投句できません。悪しからず。
 こちらも投句は2句まで。


3 自由律俳句
 きむらけんじさん選による自由律俳句のコーナーがスタートします。
 1・2と同時に投句可能です。
 投句は2句までです。

・きむらけんじ
1948年生まれ。第一回尾崎放哉賞他。
自由律俳句結社「層雲」同人。句集『鍵の穴』(文芸社)、『鳩を蹴る』(プラネットジアース)、『昼寝の猫を足でつつく』(牧歌舎)。特技・妄想、泥酔。


4 詰め俳句
 マイマイの詰め俳句が復活します。
 二つの俳句が成立するように、季語を選んで投稿して下さい。
 こちらは、一人1季語でお願いします。

6月号掲載の問題
(  )や飛び立つ鳩の尻白く
ジェット機はいま(  )のただ中へ

それぞれ第一回締切は、4月20日(土)

投稿ページ
http://marukobo.com/toukou/
投稿アドレス
magazine@marukobo.com




和田人形店提供五月飾用兜プレゼント

 拝啓 皆様に置かれましてはご壮健にてお過ごしの事と存じます。
 さて当和田人形では読者の皆様に五月飾用兜を一組プレゼントさせて頂きたくご案内させて頂きます。当時は二十万円程の物でございます。台(幅105センチメートル)屏風(高さ50センチメートル)付きです。
 ご希望の理由と一句を添えてご応募下さい。

投句締切
 4月10日(水)
  e-mail: magazine@marukobo.com

賞品
 五月飾用兜(台・屏風付)
*応募は愛媛県松山市内にお住まいの直接受け渡しをできる方に限ります。ご了承下さい。




「俳句対局龍天王決定戦」出場者募集(4/21開催)
俳句対局とは、囲碁や将棋の対局戦を模した、一対一の句合わせ対決の句会です。トーナメント戦で対戦を行い、優勝者「龍天王」を決定します。
出場観覧問わず、多数の参加、お待ちしております。

日時 4月21日(日)9時30分〜受付 10時開始・午後3時終了予定
場所 松山市二之丸史跡庭園内観恒亭
出場&観覧費 1000円(弁当込み)*入園料は別途
出場&観覧定員 30名(先着順)
 *出場が決まった方は、当日スーツや着物にてお越し下さい。観覧のみの方は、服装の指定はありません。
賞品 優勝・準優勝に賞品あり
問い合わせ先 『100年俳句計画』編集室 magazine@marukobo.com




マルコボ.コムオンラインショップマガジン化10年目までカウントダウン企画
HAIKU LIFE 100年俳句計画
企画別ワンコインバックナンバー集発売中

本誌は来たる2013年6月号にて、マガジン化してから10年目を迎えます。
そこで、マルコボ.コムオンラインショップにて、10年目までのカウントダウン企画として、バックナンバーのセット販売を行っています。

1:一物仕立ての定義セット(3冊・発売中)←一物の句を論理的に分類できる、前代未聞の画期的な企画
2:子どもと俳句を作ろうセット(4冊・発売中)←5歳の子供も俳句が作れますっ!
3:大連風聞セットA・B(各6冊・発売中)←『子規365日』に掲載されたエッセイのオリジナル。写真も美しい。
4:俳句で表現しよう!アラカルト(4冊・発売中)←俳句作家に目覚めたあなたに捧げるセット
5:編集長渾身の企画!(3冊・発売中)←俳句で恋は生まれるか!? 俳人に画力は必要か!?
6:俳句と句会を楽しむ150ちょっとの方法(3冊・発売中)←ひとりで俳句をでやっている人必読!
7:まる裏俳句甲子園セットA・B(A:4冊,B:3冊・発売中)←まる裏未体験の方は是非
8:○○な俳句(4冊・発売中)←「戦争と平和の俳句」「笑える俳句」「恋の俳句」「泣ける俳句」、付録もあります!
9:カルチャー教室的セット(5冊・発売中)←俳人のための「絵手紙入門」「書道入門」「英語haiku入門」等。
10:ワタシにもできる100年俳句計画(2冊・発売中)←俳句で人を豊かにする様々な方法。
11:“季語”あれこれ(3冊・3月7日発売予定)←季語の仕組みと楽しさが分かる3冊!
12:チャレンジ企画(3冊・3月14日発売予定)←ジェットコースターで作句したり、6時間ぶっ続けで句会をしたり。
13:夏休み句集を作ろう!コンテスト(5冊・3月21日発売予定)←どれを読んでも大抵の大人の俳人は反省します。
14:マニア必見! 万愚節新聞(6冊・3月28日発売予定)←毎年信じちゃう人がいた名物企画!
15:俳句を並べよう! 作品集を作ろう!(4冊・4月4日発売予定)←俳句の整理方法から句集作りまで。
16:代表句セットA・B(各4冊・4月11・18日発売予定)←それぞれたった3句の代表句でも人生が見えてきます。
17:編集長選 企画倒れ特集(5冊・4月25日発売予定)←やってみなければどれだけ下らないかも分からない!
以下、順次発売予定

各セット500円
但し、合計金額が3000円未満の場合は送料別途
お求めはhttp://shop.marukobo.com/まで




だれもが句集を出版できるかたち
句集スタイル

 「句集スタイル」は、全く新しい句集作りの提案です。
 複数の句集を半年ごとに一括で制作することにより、低価格を実現しました。増刷も簡単に行え、作った句集をマルコボ.オンラインショップにて販売*することもできます。
 はじめての句集としてはもちろん、卒入学の記念や、グループでの出版など、様々にご活用下さい。
*販売は当編集室にて校正を行った作品のみ対象

句集スタイル価格表
仕様:135mm×135mm、36ページ、オンデマンド印刷、表紙PP加工

基本料金(30冊セット):20,000円(税別)
(専用ホームページより、Excelファイルをダウンロードいただき、表紙のデザイン、色、俳句、あとがき等の必要事項を入力して頂き、そのファイルを送っていただくことで、お申し込み及び入稿とします。)

オプション料金 *全て税別
・裏表紙画像加工料:5,000円(裏表紙一面に写真を掲載した場合)
・校正料:10,000円
(文字校正及び仮名遣いなどをチェックします。編集室にて校正した作品のみ「100年俳句計画」のロゴを付加します。)
・テキストデータ入力料:7,000円(デジタル入稿でない場合。俳句、あとがきなど)
・オリジナルデザイン料:25,000円〜
・増刷費:12,000円(30冊ごと)

2月1日(金)第1期受付開始(4月末日納品予定分)
専用ホームページ http://marukobo.com/style/




100年俳句計画大お花見大会
日時:3月31日(日)8時〜20時
場所:道後公園内(松山市)
参加費:300円(場所代など)
開催時間中ならば、いつ来ていつ帰ってもOK!
食べ物・飲み物は各自ご持参下さい。
雨天の場合も道後公園内のどこかで決行!




100年俳句計画投稿締切カレンダー

 
 3/31(日) くらむぼんが笑った&へたうま仙人
 zatsuei@marukobo.com

 4/20(土)
  各種投句&投稿
  投稿ページ
  http://marukobo.com/toukou/
  投稿アドレス
  magazine@marukobo.com
  魚のアブク

 4/30(火)
 くらむぼんが笑った&へたうま仙人
 100年の旗手推薦募集

 応募先
  〒790-0022 松山市永代町16-1
  (有)マルコボ.コム内
    100年俳句計画編集室
  FAX 089(906)0695
  E-mail magazine@marukobo.com
 宛先/件名に、どこのコーナー宛かお書き添え下さい。俳号/ご本名/住所/電話番号もお忘れ無きよう、よろしくお願いいたします。
 ※ページの都合上お便りを全て掲載できない場合がございます。ご了承下さい。


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編集後記


 今回の特集は、2回目を迎えた「大人のための句集を作ろう!コンテスト」(以下「大人コン」)。
 毎年秋に小・中学生を対象とした「夏休み句集を作ろう!コンテスト」の審査もしているのだけれど、「大人コン」はそれとは異なり、実力のある大人の句集は優劣を付けにくいと実感。どの句集をどう評価するかは、作家としての姿勢をも問われているようで、なかなか難しい。
 ただ、今までこの世に存在しなかった作品集を、このコンテストによって、世に送り出すことが出来ればと思っている。
 毎年、どんな作品が受賞するのか、全く読めないし、毎年受賞作を読んで驚いてしまう、そんなコンテストになれば愉快この上ない。
 それを実現するには、多くの方が、自分の俳句が選ばれることを、俳句作家としての目的としないで、新しい俳句の世界を読者に届ける姿勢が求められる。
 今回の「大人コン」最優秀賞作品も新鮮な俳句の世界、次回紹介する優秀賞作品の斬新さに、舌を巻くに違いない。
 マガジン10年目を迎え、頼もしい俳句作家が、続々と生まれている事実が何より嬉しい。
(キム)


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次号予告 (186号 5月1日発行予定)


次回特集
第二回「大人のための句集を作ろう!コンテスト」
優秀賞紹介


10年目に向けての提言!



HAIKU LIFE 100年俳句計画
2013年4月号(No.185)
2013年4月1日発行
価格 750円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子