100年俳句計画2月号(no.171)


100年俳句計画2月号(no.171)

注意
これは視覚障がい者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
牛の歳時記 鈴木牛後


特集
第五回夏休み句集をつくろう!コンテスト 小中学生対象による句集コンテストの結果報告&受賞作品一挙掲載




好評連載


作品
100年俳句計画作品集 100年の旗手
 磨湧/凪太/舞


初学道場 へたうま仙人

雑詠道場 くらむぼんが笑った

放歌高吟/夏井いつき

ART+俳句/河野しんじゅ

読み物
月刊句会ライブ報告
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
本家 慶弔俳句帖/桃ライス
季語のおじさん/稲穂
まつやま俳句でまちづくりの会通信/暇人
一句一遊情報局/有谷まほろ&一句一遊聞き書き隊
マルコボショッピング

読者のページ
選句&投句欄 ザ 句会
愛媛マラソン吟行会案内
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
「東北へ蜜柑を送ろう」募金ご協力に感謝! 更紗
告知
編集後記
次号予告




表紙リレーエッセー


牛の歳時記
鈴木牛後

 ウェブマガジンの「週刊俳句」に、「牛の歳時記」というエッセイを不定期連載している。このエッセイを書くことになったきっかけは、ある若手俳人の一句だった。
 その句は搾乳の様子を詠んだものだったのだが、酪農家の私には景がよく見えなかったので、某所に、「どのような景を詠んだものかわからない」というコメントを書いた。
 すると、そのコメントを読んだ週刊俳句の編集の方から、「牛について何か書いて下さい」という依頼を受けてしまったのだ。せっかくだから、俳句と結びつけて書こうということで、「牛の歳時記」と題して書くことにしたというわけである。
 牛が多くの人にとって身近な動物ではなくなった現在、牛を詠むということは、象やキリンを詠むのと同じようなものとなってしまったように思う。私の文章を読んで、日本のあちこちにたくさん飼われている牛のことを、少しでも理解して頂ければありがたいと思う。


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特集

第五回夏休み句集をつくろう!コンテスト 小中学生対象による句集コンテストの結果報告&受賞作品一挙掲載



 第5回を迎えた「夏休み句集を作ろう!コンテスト」(主催 朝日新聞/マルコボ.コム/日本俳句教育研究会、共催 松山市教育委員会)。このコンテストは、全国の小中学生が、自分の一年間で作った俳句40句を、句集に仕上げて公募する企画です。今年は全国から、413点(小学生255点、中学生158点)、昨年の約二倍の応募がありました。
 審査は昨年11月、三浦和尚(愛媛大学教育学部教授)、氏家弘二(朝日新聞松山総局総局長)、夏井いつき(俳人)、キムチャンヒ(デザイナー)の計四名で行い、「最優秀賞」、「優秀賞」、「学校賞」、「装丁賞」、「一句賞」の各賞を決定しました。


最優秀賞受賞のことば 八塚大輝
 最近、一句賞優秀賞続きで悔しかったので、今年こそと思い、特に季語を大切にすることを心がけました。一句一句の俳句の種と季語がピッタリ合わさって絶妙なバランスの句になるように凄く気を付けたので、最優秀賞の知らせが届いた時には、飛び上がって喜びました。本当に嬉しかったです。
 来年も頑張って最優秀賞を目指します。


以下各受賞作品の紹介
写真とコメントは、応募冊子に記載されたものを使用しています。


最優秀賞
『Alohomora(あろほもーら)〜扉よ開け〜』
 愛媛大学教育学部附属小学校 6年
八塚大輝(やつづかひろき)

秘密の鍵は春のコンビニの下
薄氷(うすらい)や魔女を封印する力
失った翼回らない風車
蟒(うわばみ)草全治一年の悲しみ
急ぐ運び屋偽りのタンポポ
蜃気楼継ぎ足されんと古き寺
二月堂階段登り竜天に
花吹雪四月堂を鳳凰と呼べ
盧舎那仏の前白百合の落ちる
五月闇顔だけの四天王光る
若葉風心のクラシック響け
瓜の花めがけてハジカレタみず
コインの波紋ふるえない泉
紫陽花の色考えることの意味
熱帯魚逆さま記憶喪失の旅
翡翠の知る裏切者の運命
竹の皮脱ぎ国会審議にのぞむ
扇風機約束まであと一分
ゴミ箱や角度を変えて見るバナナ
空蝉動かした女子高生の声
蝿や騒音異臭振動汚染
手の中でもてあそばれるタランチュラ
走るカタツムリお前こそ誰だ
日の盛ユニコーンの眼透き通る
息絶えよと白菊のたわ言
流星になったカメレオンの涙
命かけ恋しているか唐辛子
いたずら専門店轡虫の裏声
「溺焼毒餓」芋虫の死に方
失恋を語る秋刀魚の骨の芯
不知火や命あふれそうな神秘
叶えられぬ切なき蟷螂(とうろう)の夢
鴇(とき))啼くや決めた時戻れない門
寒濤(かんとう)や線路を削りトロッコが鳴る
月凍る金閣寺映す池
希望の道立ちはだかる雪だるま
海鼠は知っている本当の強さ
鮟鱇のみ込め降り注ぐ星を
シリウス星大人の扉あと一歩
吹雪吹雪自由になるため爆破せよ

コメント
ぼくは俳句が好きです。毎年この句集コンに挑戦しています。今年は、一句一句に心をこめて作りました。昨年は、いい結果が出なかったので、今年こそ、最優秀とるぞ〜。



優秀賞、子規博特別賞
『World of the reverseサカサマノセカイ』
 Mater christi Callege 中学1年
金 紗蘭(きむ さらん)

サカサマノセカイヘヨウコソハルウララ
何が麗だ学校カバンに殺される
春の城造る小石のひとかけら
春の雨ぽちゃんと夜は楽器です
駒返る草直角のパンの耳
春季闘争プラカードには感嘆符
緑の週間ジョウロの裏のバーコード
春の日や空気の色を問いてみる
ホイッスルの音だけ春雨なんて
制服の碧き校章チューリップ
花鎮がれきはぼくの家だった
黒犀の館春愁あふれだす
星屑を眺めてアスナキハルをゆく
き出しの天井はるかぜの醜態
暴力団排除条例夏近
友達の喧嘩夏めく中国語
無愛想なシェフが無言で出すアイス
哀れなる余花人影のない公園
ぱっつんの機械音痴や天道虫
夏木立誰かのためにあるポスト
美味しいの嘘の頷き砂糖水
向日葵やにきびの南十字星
着色料一滴混ぜるほどに夏
夕立の過ぎて路上にバスの跡
信号の点滅早足なる盛夏
熱帯夜電灯番号M80
ねえ待ってよとかっこうに言われても
天高しランナー過ぎゆく給水所
秋めく車窓落書き展覧会
誕生日今日なの色無き風に言う
爽やかやふみ出す前の砂利の音
稲すずめ店頭に出す料理本
静止画の街や小鳥の飛んでくる
龍淵に潜む無音の西部劇
運動靴裏の凸凹月光る
理科室の前の林檎の踏まれたる
今朝の冬スクールシューズの裏にガム
ゴミ箱に積もる残飯寮の冬
冬深し先の尖るべき短針
サカサマノセカイハイカガフユウララ

コメント
今回の句集は、留学中に作った俳句を中心に構成しました。



優秀賞
『ふしぎ』
 愛媛大学教育学部附属小学校 2年
八塚陽向(やつづかひむか)

ゆめで見たカガミのセカイ風光る
こん虫の地下の学校春うらら
たんぽぽや二ひきの子犬はこかんだ
おぼろ月メダルがとけてしまいそう
陽炎やプレゼントをあけるとき
日よう日晴れのちくもりさくらもち
けんかして右にまがってチューリップ
ボク一人おうえんしてる春のらい
ギロの音近づいてくるツバメかな
風かおる海のスーパーステーション
ぼくはたねおにいちゃんはめ子どもの日
こんなにもまぶしい太陽バラさいた
にじわたるきおくをけしてしまいそう
天までのかいだんのぼれかたつむり
天国のきょ大ロッカー竹の花
木のねっこ青うめがおどってる
コインの音チャリンしかの子生まれた
アマリリス小人の足あと見ぃつけた
しょうにゅうどうこうもりあそぶがっきかな
せんぷうきカッパにさいみんじゅつかけた
ところてんしごとばかりでわすれてる
交さ点丸いタマネギはこぶもぐら
夕やけやぼくがないたら雨になる
こおり水星はおちてくるもの
星すずしわらったままのサヨウナラ
まほうつかいおつきさまとにらめっこ
鳥わたるせかいの七ふしぎわすれた
口げんか入ってくるよ赤とんぼ
光のカーテンにくるまったバッタ
あき晴れやかみさま作ったピラミッド
水の音リュウの口から冬の雨
オオカミうなるボクのひみつのそうこ
クリスマスわすれられないゆめもある
おおみそかあしたおきたら考える
ふくわらい魚やさんのうさぎの絵
アンテナやどっちへ行くのかんガラス
雪おろし空とぶちゅう車場見えた
岩石も砂になるんだ冬ぎんが
星さゆる目がなくなったサカナ
冬のちょう黄色い雪になりなさい

コメント
まい年作ってもあきないです。
これからもがんばります。



優秀賞
『春の心』
 大田区立松仙小学校 3年
青木奈緒子(あおきなおこ)

わたしはね春の心にはまったよ
ねむい春わたしはネコになりたいな
絵手紙のブルーベリーわたしが食べる
三年三組初めてのさくらあそび
しじみちょうより道しないすべり台
春が来たやさしいにおいのケーキ屋さん
うえかえたつばきがわたしをくすぐった
せみのぬけがら葉っぱの上でおじぎする
夏の日の太陽みんなのヒーローだ
はだしっていいね草と友だちになれる
本当は空に上がりたかったせんこう花火
ひまわりの花びら落ちた月曜日
あせをかくドッチボールは幸せだ
カレンダー夏の思い出ふり返る
金魚の死きのうまでとなりにいた
虫とりの帰りに山ゆりとってきた
へびをよぶ夜の口ぶえ風の音
せみの声地きゅうの半分おつかれさん
ミンミンと鳴いているせみ風入る
どくだみのくきはむらさき暗い夜
予定表全部終わってほたるの夜
けんていでとびきゅうをした夏休み
さみしいなみんなとあそんだ夏休み
がんばれと声をかけあう甲子園
夏休みねぼうしている高校生
もみじのカーテンわたしの部屋にかざろうか
カモメたち秋の夕日にとんで行く
うろこ雲岩にかくれる魚たち
五時のかねわかれ道のねこじゃらし
木の高さ雲にとどけよ小鳥くる
どんぐりやかべさか立ちでせがのびた
北風ふくしゃっくりがとまらない
冬の朝ひもはだれかがつかうんだ
太陽に向かってふんばる雪だるま
冬の海だれもいなくて白い貝
雪ふってわたしの朝はチョコレート
思い出のつまった毛ふオルゴール
ゆずぶろのまどにうつったねこのかげ
むこう岸かばの親子がさん歩する
お母さんいつも体がぽっかぽか

コメント
しゅみは、読書と絵をかくことです。
すきな色は、水色とうすむらさきです。
おばあちゃんが楽しそうにやっていたので私もやってみました。



優秀賞
『すなどけい』
 松山市立道後小学校 4年
高橋凜太朗(たかはしりんたろう)

名前ペン落書きをする四月バカ
ブリッジは何に効くのか春の空
桜も咲くのに苦ろうする
ねんざする桜ざわざわ笑ってる
春田打ち曇り空のジュースかな
かしつきのゆげは緑のねこやなぎ
下校時羽をうごかすアゲハチョウ
ひとかけら手づくりいちごのシャーベット
貧血や梅雨入り十日早い年
天井の隅のごきぶり細長し
落とし物交番とどけて初夏の風
午前中クラフト教室青がえる
右足のくつがゆるんで初夏の風
梅雨明けや夜に近づく観覧車
すなどけい三分間の秋の虹
小鳥来る学級委員の任命書
物件の広告飛んだ秋の風
教室の色なき風の音色かな
秋の空ヘッドホンからポニョの歌
さわやかな風がふいたよ金曜日
こがらしのタイマーのボタン雲の中
手作りのこたつこわれかけている
ストーブのまえでアイスを食べるなり
書きぞめの筆もさんぱつしたいのか
スプーンとフォークの音は冬うらら
かんきせんゴォーとなる音冬の雷
たこあげもあがらぬものもいるのかな
公園でたこあげしたけどあがらない
冬うららグレープのどあめ二こ食べる
家の前ガソリンスタンド冬うらら
雪まじり妹おとしたごはんつぶ
注しゃするごほうびは雪
動物園カメラ目線はうさぎだけ
雪すきでも薬のこなはきらいです
とびばこで六だんとべたうさぎにて
ふくわらいおじさんおばさんお元気で
松たけのごはんにいれた調味料
手にのこるバットの匂い梅雨曇り
松茸の匂いは中国の土
日記書くストーブ温度は二十一

コメント
2002年2月1日生まれ。
道後小学校4年。



優秀賞
『似顔絵』
 越谷市立大沢小学校 6年
田口杏子(たぐちももこ)

ぼたんの芽ほぐれてくきも葉も真っ赤
百人の似顔絵かかげ卒業式
すべり台すべり大ゆれやなぎの芽
登校の列の真ん中一年生
花びらのシャワー頭上にふりそそぐ
初つばめ体育館にどろはこぶ
先生は三色すみれの白が好き
エープリルフールのからす鳴いている
目玉からくるんと生まれ白メダカ
のぞいたらヒメダカの色散らばった
早朝の陸上練習あぶらぜみ
特大の入道雲の力こぶ
飛んでいるみつばちの足みつだらけ
蝉の穴地中でつながっているのかな
手も足も服もぬらして川遊び
弟のひっぱってぬぐ汗のシャツ
ゴーグルをはずしプールの水こぼれ
塾帰りみんみん蝉の大合唱
先頭は校長先生山登り
塩あめを一つぶなめて山登り
頂上は火山のにおい夏の雲
まっしろな雲下に見て山登り
こうもりのしょう乳洞にぶらさがり
葉っぱつけ青どんぐりのふってくる
秋の蝉おくれた一匹夜も鳴く
運動会入場門の紙の花
玉入れの赤白の玉秋の空
人文字は全校生徒天高し
雨やんで水の上とぶ赤とんぼ
一枚の木の葉のたより風にのり
マスクしてそうがん鏡を首にかけ
ねずみ食べ白フクロウの知らんぷり
裸木になってからすがよくとまる
木も街もとびだすクリスマスカード
クリスマスホワイトチョコの星と月
十二月クロスワードのたてのマス
大根が身をのりだして青い空
手ぶくろをとって神社の鈴ならす
左手を右手を洗い初もうで
花のかたちに門松のなわ結び

コメント
一年生から俳句をはじめて今年で六年目です。句集コンテストには今回が三回目です。一回目には「ザリガニ」で優秀賞をもらいました。二回目は「ZOO」で一句賞をもらいました。今年は最優秀賞をめざしています!!



優秀賞
『苺ミルク』
 愛媛県立宇和島南中等教育学校 2年
山本真由(やまもとまゆ)

十字路の三キロメートル先は梅雨
雨の香り髪の匂い桜桃忌
鵙が飛んだ雨は幻だったから
新緑の天気予報のたぶん晴れ
日盛の電車が揺れて次の街
たいては目立ちたがりな金亀子
忘れ物うっかり預かる青蛙
ワイシャツの毛羽立ち気にして夏期講座
青茄子の形反比例のグラフ
屈折の実験データ土用波
夏の星黙って絵の具ぶちまける
思い出を叩き落としてソーダ水
夏休み下駄箱に忘れたい気持ち
羊蹄の花知らないとは言わない
苺ミルク混ぜ今日もなぜか無口
目が合った君の顔まるで李
朝顔と君には言う秘密は秘密
アマリリス咲いた今日は君が大嫌い
私にはなれない自分大暑かな
空想にのまれた私のサングラス
夏服の私は海洋プレート
向日葵にばれた大きな秘密
短夜の私の代りに泣くジュース
俯いた僕はアスパラガスになる
髪洗う一度会えたら笑うのに
傷つくなら消えてしまえよ百合の花
少しだけ素直になりたかった夏
チャイニーズランタンプランツぐりっと踏んづける
鬼灯に思いを告げるのは仕事
笑わない君には冷たく残暑かな
新米のどこまでいっても嫌な奴
雨の日の西瓜はいつも丸かった
休暇明まっ青な空ふってきた
子規忌来てカタカタ遠くなる始発
五分の休憩鰯雲生んだ
玄関に台風の宣戦布告
飛んだ枝豆オゾン層破壊
ひっそりこっそり虞美人草踏んだ
うすばかげろふは嘘をつけないから
四万六千日僕だけを見て

コメント
すべての俳句が自己満足。
苺ミルクのような甘酸っぱい青春を満喫中の中学2年生です!!



装丁賞優秀
『へちま』
 横浜市立いずみ野小学校 3年
松下昇馬(まつしたしょうま)

『大すきばあちゃん』
松山市立石井小学校 4年
 三谷のどか(みたにのどか)

『toi toi toi』
松山市立生石小学校 5年 薦田梨聖(こもだりせ)



装丁賞佳作
『はいくの一年』
 奈良女子大学附属小学校 2年
 渡邉達志(わたなべたつし)

『政治家レンダー』
日本女子大学附属豊明小学校 3年
 尾形綾香(おがたあやか)

『SCIENCE』
愛光中学校 1年
 小倉嬉乃(おぐらよしの)

『合わない靴』
横浜市立いずみ野中学校 1年
 松下壮哉(まつしたそうや)

『現代版いろは』
横浜市立日限山中学校 2年
 平井志歩(ひらいしほ)

『うさぎの足あと』
八幡浜市立青石中学校 3年
 二宮佳奈(にのみやかな)



一句賞優秀賞
田うえすむうでが田んぼのにおいする
内子町立天神小学校 2年
池田玲美(いけだれみ)

池底に井守のすみか赤き月
 松山市立日浦小学校 4年
金安理(きむあんり)

はしっこのやぶれたシールせんぷうき
松山市立生石小学校 5年
鈴村直樹(すずむらなおき)

手に残る赤ちゃんのにおいお正月
松山市立双葉小学校 5年
小網柊哉(こあみしゅうや)

葉書からはみだしている椿かな
松山市立桑原小学校 5年
宮井桃歌(みやいももか)

こすもすや心の中に空ひとつ
松山市立椿小学校 5年
三瀬未悠(みせみゆう)

太陽の燃えかすひらり揚羽蝶
和歌山市立八幡台小学校 6年
寺峰美咲(てらみねみさき)

空を見るおたまじゃくしの目は青い
大田区立松仙小学校 6年
青木亮一郎(あおきりょういちろう)

先生がうさぎをみとる秋の夜
内子町立天神小学校 6年
池田莉乃(いけだりの)

炎昼や端の欠けてる卓球台
松山市立西中学校 1年
鈴村綾音(すずむらあやね)



一句賞入賞
ほどうとんねるゆっくりかにがよこぎった
愛南町立家串小学校 1年
山本航太(やまもとこうた)

おにいちゃんパンツいっちょでほえるなつ
松山市立椿小学校 2年
米山芽生(よねやまめい)

くんれんのひじょうベルなる青あらし
鬼北町立愛治小学校 2年
芝彩花(しばあやか)

じいちゃんの手じゅつ日きまる秋あかね
鬼北町立愛治小学校 2年
兵頭ひかる(ひょうどうひかる)

ポケットが水でふくらむなつの川
松山市立道後小学校 2年
鳥海帆乃花(とりうみほのか)

キュウリバーかた手にもって京歩く
世田谷区立松原小学校 3年
持田幾多郎(もちだきたろう)

リコーダー高いミの音みんみんぜみ
松山市立生石小学校 3年
薦田明愛(こもだめいあ)

ろてんぶろにがしてももどる夜のせみ
今治市立桜井小学校 3年
野村建太朗(のむらけんたろう)

からっぽのランドセルの中はるのにじ
風間浦村立蛇浦小学校 3年
木下歩美(きのしたあゆみ)

とびばこでいっしょにとぼうはるの風
風間浦村立蛇浦小学校 3年
木下朋花(きのしたともか)

ランドセル黄色いカバーが取れた春
松山市立東雲小学校 4年
山崎美里(やまさきみさと)

グラウンド小さく見える盆踊り
大洲市立喜多小学校 4年
岡田真巳(おかだまみ)

どろ水におたまじゃくしとぼくの足
今治市立菊間小学校 4年
寺尾祐作(てらおゆうさく)

宿題の話ぶどうを食べながら
松山市立浮穴小学校 4年
橘周平(たちばなしゅうへい)

しかられていわしのにがいあじがした
松山市立清水小学校 4年
祝しずく(ほうりしずく)

明日から海水着と書く時間割
松山市立みどり小学校 5年
田井優希(たいゆうき)

さわがにの泡を刑事が見ていたよ
松山市立味生第二小学校 5年
吉田哉汰(よしだかなた)

春風にふかれ弟逆上がり
世田谷区立松原小学校 5年
持田勘多(もちだかんた)

誰もいぬどしゃぶりの道サンドレス
光塩女子学院初等科 5年
加納史花(かのうふみか)

妹の背中に着地カブト虫
松山市立双葉小学校 5年
日高隆介(ひだかりゅうすけ)

つゆ草の階だんわたる雨におう
松山市立双葉小学校 5年
芝清嘉(しばさやか)

梅雨ぐもり一時間中玉結び
今治市立桜井小学校 5年
野村有花(のむらゆうか)

リコーダーぼくの息が夏の空
内子町立五十崎小学校 5年
脇坂優作(わきさかゆうさく)

五月雨と一緒に渡る瀬戸の海
松山市立東雲小学校 6年
蕨岡恵都(わらびおかけいと)

エサやりのスコップ重い夏かもめ
愛南町立家串小学校 6年
平田こまち(ひらたこまち)

短足の人権ポスターもどり梅雨
愛南町立家串小学校 6年
粟野颯太(あわのふうた)

へび苺よけ歩く人食らう犬
小平市立小平第四小学校 6年
立岡真由子(たておかまゆこ)

三びきの金魚が泳ぐせんめんき
宇和島市立小池小学校 6年
岡本萌(おかもともえ)

赤い羽根つけられるの待つ朝の風
大洲市立長浜中学校 2年
池田拳介(いけだけんすけ)

トネリコを見上げる朝の秋気澄む
松山市立道後中学校 3年
岡村舞(おかむらまい)



学校賞最優秀賞
 愛南町立家串小学校


学校賞優秀賞
 八幡浜市立青石中学校


学校賞奨励賞(4校)
 福井市酒生小学校
 なぎさ公園小学校(広島)
 府中市立府中第十小学校
 八幡浜市立真穴中学校



『第5回コンテスト選後評』
夏井いつき

 八塚大輝さん「Alohomora(あろほもーら)〜扉よ開け」は、ハリーポッターの物語を根底に据えつつ、これまでの自分を変え、新しい扉を開きたい!という強い思いが紡ぎだした四十句。五七五のリズムを基本としつつも、溢れる思いはややもすると破調の勢いとなって迸ります。自分を鼓舞する「吹雪吹雪自由になるため爆破せよ」もあれば、深く心を覗き込んだ「蟒草全治一年の悲しみ」もあり、作者が抱える心の棘は、読者である私たちの心をもチクリと刺します。また、「失恋を語る秋刀魚の骨の芯」のようなユーモラスな句もあれば、「廬舎那仏の前白百合の落ちる」のような感覚的な美しさを切り取った作品もあり、実に多彩な四十句でした。審査員全員に推されての堂々たる最優秀賞です。
 金紗蘭さん「World of the reverse サカサマノセカイ」は、オーストラリア留学中の日々を切り取った四十句。思春期の心の襞を季語やモノに託した一句一句は、輝く礫のように読者の心に飛び込んできます。全体の構成にも創意工夫が見られ、子規博特別賞に相応しいレベルの高い作品でした。
 八塚陽向さん「ふしぎ」は、リズム感の良い四十句。心に沸き起こる様々な不思議を等身大の言葉で語っていて、なんとも可愛い、抱きしめたいような作品でした。
 青木奈緒子さん「春の心」は、自分の心を素直に表現した好感度の高い作品。核にある詩性は上質で、季語との出会いを楽しむ気持ちが心地よく伝わってきます。
 高橋凜太朗さん「すなどけい」は、季語の取り合わせ感覚にセンスがあります。小さな出来事や身の回りのモノから丁寧に俳句の種を見つけ出す視点に感心します。
 田口杏子さん「似顔絵」は、一年間の生活が生き生きと描き出された四十句。季語を体で体験しての一句一句には、現場証明ともいうべき鮮やかな手応えがあります。
 山本真由さん「苺ミルク」は、観念的になりがちな中学生特有の心の動きを、季語に沈潜させようという意志が感じ取れる作品群。実り多い句歴を重ねての受賞です。
 今年の入賞作品の傾向は、季語をトッピングのように気分で取り合わせるのではなく、季語の現場に立ち季語を体験して作ったに違いない手応えのある作品が増えたことです。一見、空想的観念的にみえる句も季語がしっかりと据わっているので作品が浮ついていません。いかに一年間、季語と仲良く暮らしてくれたかが分かる作品が多く、大変心楽しい選考でありました。



『装丁賞選考に寄せて』
キムチャンヒ

 今年も審査員の想像を上回る力作が勢揃いしました。
 優秀賞の松下昇馬くんの「へちま」は、特殊紙を切り抜き貼り合わせた、大胆且つシンプルな作品。「へちま」の文字も面白い。三谷のどかさんの「大すきばあちゃん」は、切り絵や毛糸を使っておばあちゃんを表現した、暖かい気分の作品。薦田梨聖さんの「toi toi toi」は、手書きの文字と葉っぱと外国の切手の調和が美しい。
 佳作の渡邉達志くんの「はいくの一年」は、力強いタッチで描いた木や葉っぱや花がカッコイイ。尾形綾香さんの「政治家レンダー」は、政治家の似顔絵を描いた冊子を貼り付けるなど、風刺の効いた工夫も楽しい作品です。小倉嬉乃さんの「SCIENCE」は、理科室の写真のコラージュが印象的な作品。切り抜きを貼り合わせた文字も、内容に似合っています。松下壮哉くんの「合わない靴」は、シンプルで無駄のない構図が素晴らしい。平井志歩さんの「現代版いろは」は、日常の風景を丁寧に描いていて、親しみを感じました。二宮佳奈さんの「うさぎの足あと」は、真ん中の大きな木が中心となるデザインに、物語性を感じました。
 今年は、ただ表紙を書いただけではなく、写真や切り絵などを貼り付け、思わず手に取りたくなる句集が沢山ありました。とくに中学生の作品は、プロ顔負けのデザインもあり、うれしい驚きのある審査会となりました。



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読者が選ぶ人気俳人!

100年俳句計画作品集 100年の旗手


(2012年1月号 〜 2012年3月号 2/3回目)


 月と確率 磨湧 

エースの確率竹馬乗れる確率
昼の月見た日は火事を見なかった
CDのビヨンビヨンと都鳥
冬桜脳内に焼きつかないであなた
花の色を着たくて足袋は大きくて
霰降る歯抜けの妹泣きました
鞠をつくいとこの頭ぐらんぐらん
吸入器一生パジャマで生きていく
足跡をおってみみずく月になる
人間に生まれる確率山眠る


 お喋りでお調子者。
 それでいて恥ずかしがり屋。
 そんな中学2年生である。



 生きる 凪太 

葛湯溶く未来は恐い
冬蝿の荒れて妙法蓮華経
開戦の日や歯ブラシのささくれて
海鼠酢の無口になってみたきかな
馬の名の大風呂敷や温め酒
めでたき名選びて有馬記念かな
校了という言葉もて日記果つ
元旦の電子レンジに呼ばれたり
柳美里のぱたんと倒る四日かな
寒稽古生きる男と書いて甥


 新潟の自営業、凪太です。
 辰年の年男です。



 山に雪 舞

雑司ヶ谷歩き落葉にたどり着く
シーソーの軋みて啼けり冬青空
手袋に指を沈めて居丈高
熱燗や鞄を椅子に座らせて
増殖の星星咲かせ冬木立
凍つる夜の爪先立ちて行く二階
三毛猫の突破したるよ白障子
焼きそばにもやしたつぷり山に雪
あらたまの年を迎ふる双眼鏡
番号札立てて春待つカフェテラス


 関東在住。2003年4月職場に句会が出来たことがきっかけで作句開始。
 2007年9月俳句の缶づめ初投句、2008年2月ロマンチカ句会初参加、現在に至る。



読者が選ぶ人気俳人!
「100年の旗手」連載者推薦募集

 今求められているのは、読者が読みたいと思う俳句作家。「100年の旗手」は、連載する俳人を、編集室ではなく、読者が選ぶコーナーです。
 「この人の作品集を読んでみたい」と気になる俳人を、1人3名まで推薦してください。その中から、推薦の多かった方に、編集室より原稿依頼を行います。
 あなたのお勧めの俳人を是非推薦してください。

 推薦の方法

 「この人の作品集を読んでみたい」という人を3名まで選んで(自薦は不可)、その俳号と活動場所(俳句の缶づめ等)/推薦者ご自身の俳号(本名)/住所/電話番号を明記して、100年俳句計画編集室「作品集推薦」係へ送ってください。ハガキ/FAX/Eメールで受け付けています。Eメールの場合は件名を「作品集推薦」としてください。また、誌上句会インターネット投稿フォームでも受け付けています。(アクセス場所は誌上句会コーナー末を参照してください。)なお、投稿フォームの場合を除き、推薦は他の投稿等とは分けてください。

締切 3月末日

 現在連載している3名の方以外なら、一度連載された方も含め、どなたでも推薦できます。
 また、今回連載を行っている3名の方への感想もお待ちしています。よろしくお願いします。



百年琢磨
先月号の「一〇〇年の旗手」に寄せて

 大地の匂い 平敷武蕉

 言葉と言葉のぶつかり合いで生じる断絶と飛躍と結合によって思いがけない世界を現出する俳句のおもしろさに気付いてしまった作者の自在な世界がある。しばらくはその状態のままで、俳句を楽しむのもいい。

慢心や蟷螂背後よりつまむ 凪太
 慢心で油断していると、敵は背後からも襲う。むしろ背後からの闇打ちが多い。癒しの島とおだてられ、日本国に何度も闇打ちされてきた沖縄にいるとそれがよく分かる。

悉く訃報毛布を出られない 凪太
 地震、津波、放射能…。世の中いいニュースは一つもないかに見える。うっかり外にも出られない。いっそのこと毛布にくるまって部屋で自閉。蒲団でなく、身をくるむ毛布としたのがいい。蒲団だと単なる惰眠。

確かむることのありけり冬の蝿 舞
 しっかりした観察眼から生まれた句。蝿が手を擦る仕草をふと止めた瞬時、何かを確かめているかに見える。一茶の「やれ打つなー」の句と違った視点から蝿の姿態を捉えたところに発見がある。

ほのほのと大地の匂ひ蕪引く 舞
 土に親しみ、丹精こめて育てた蕪を収穫する時の喜びと充実が臨場感をもってリアルに表現されている。放射能で大地を汚染され農業もままならない被災地の惨状を背後に置いてこの句を読むと、大地が健全であることのありがたさが切実な意味をもって迫ってくる。原発事故はこのような句の誕生を困難にする。

水鳥の遠くクレーン車の近く 磨湧
 主観を排して水鳥とクレーン車の景を切り取った句。遠景と近景、自然と文明を対比しつつ、詠みこんでいる。「水仙と情緒不安定な魚」の句も同じ手法。ここでは離れた庭の水仙と目前の水槽の魚、凜と咲く水仙の静と動き回る魚の動が対照的に捉えられている。

夕時雨ピアノに映った泣き顔へ 磨湧
 何か辛い悲しみをこらえてピアノに向かって涙していると、悲しみを強く心に刻むような冷たい雨が窓の外にも降っている。深い自己省察の姿勢から生まれた句である。思わず、ヴェルレーヌの有名な詩の一節「巷に雨の降るごとく、わが心にも涙ふる」を思い出させる句であり、中学生の作であることに驚かされる。句全体も堅苦しい俳句定型の伝統に縛られない自由さがあり、豊かな才能を窺わせるものがある。


平敷武蕉(へしきぶしょう)
1945年、沖縄県生まれ。著書『沖縄からの文学批評』。俳句評論集『文学批評は成り立つか』で第三回銀河系俳句大賞を受賞。俳句誌『天荒』編集委員。文学同人誌『非世界』編集責任者。



読者の感銘句

ほろよい 「風呂吹に集え中間管理職 凪太」「マフラーを膝に畳みて聴く落語 舞」「空っ風赤く書かれた落書き禁止 磨湧」がよかったです。

一走人 「舌戦や鯛焼ほどの免罪符 凪太」「象の耳はたりはたりと雪来るか 舞」「水仙と情緒不安定な魚  磨湧」以上がよかったです。

真鍋一 「予備校の枯葉明るき音たてて 舞」 僕も予備校時代があるけど、楽しゐんだよね。予備校つて。自分の好きな奴と付き合つて、必要な科目さへ勉強すればゐ々から。私大の文科志望には時間がたつぷりあつた。作者もきつと楽しく明るゐ予備校時代をすごしたに違ひなゐ。総じて作者の俳句には明るさが潜んでいる。



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初学道場 へたうま仙人


文責:大塚めろ

 4月号から雑詠欄が変わります。2月末締切分までは、雑詠欄に投句された俳句の中から、組長がへたうま仙人にお任せする俳句を選び、へた俳句を救済します。3月締切分からは、「へたうま仙人」または「くらむぼんが笑った」のどちらかを読者が選び、どちらか一方にだけ投句を行います。


初露天風呂湯気白竜となり天に登る  あらた
 少しごちゃごちゃしてをるが、辰年を掛けているあたりが心憎くて好きじゃ。おめでたさも三倍増ぢゃ。

受話器ごし葱刻む音で浮気知る 実峰
 シュールな舞台設定ぢゃ。好物ぢゃ。「葱」がよく効いてをるのう。

冬日受け赤く艶めくそよごの実 未々
 いわゆる「報告」の句ぢゃな。「艶めく」に、そよごの実を見つめる作者の確かなまなざしが表れておるのう。

極月の水をはじいて逢いに行く 親タカ
 思わぬ言葉のスパークに唸ったぞ。三つの動詞も効果的ぢゃ。隅に置けんのう。谷さやん氏の名句「初雪や水辺に沿うて逢ひに行く」を思い起こさせるのう。

マスクしたらしたらでこれまた不満  小木さん
 ワシは常々、マスクをしたマヌカンをぜひ見たいもんぢゃと思ってをるのだが、その願望を見事に突かれたのう。完敗ぢゃ。

同じ月見ているみかん食べながら  愛紗美
 ストーリー性と人物設定が巧みぢゃ。ん?「みかんでもキャベツでも同じじゃないか」じゃと? そんな理屈、この二人のあいだでは野暮なのぢゃ!

朝焼けが水面に映える十二月  宇都宮伊明
 朝焼けだけが水面に映える、と念を押した所に作者の感動が表れておるのう。季重りもものともしないこの美しさ!

ぶかぶかぶぅ〜大つごもりの孫ホルン  き花こすもす
 ホルンの孫が、行く年を惜しんで一人で鳴っているみたいで、そのおかし味が好きぢゃ。

恙無く初詣でするありがたさ  カシオペア
 当たり前に「する」初詣。恙無い毎日は本当にありがたいのう。素直な気持ちにさせるこんな句も好きぢゃ。

去年今年時計がないと真も鳴く  豊原清明
 去年今年と時計という近しい間柄をあえて取り上げたところがチャレンジャーぢゃ。勉強不足で申し訳ないんぢゃが「真も鳴く」の意味がようわからなんだ。ワシ、時代遅れ?

良かりょうがい酒を止めたりゃ巳正月  真鍋一
 文学に、標準語で表現せよという法は無い。こんな句が生まれてくれば方言も表現の一つの方法として、ますます見直されるぢゃろうて。

歳時記の鴨に鴨鍋の多さかな だなえ
 詠嘆がしみじみと泣かせるのぢゃ。歳時記には嫌味のごとく旨そうな写真が溢れてをるのに、我が家の卓ときたら全くとほほぢゃ。

節電とガス節約の冬に入る  エノコロちゃん
 人の世のエネルギー問題は切実ぢゃな。ワシの主食は言わずと知れた霞じゃが、よくよく考えたら霞は春の季語ぢゃ。春以外は何を食ったら良いのぢゃ? 誰か教えてくだされ!

 この雑詠道場、四月号からは「くらむぼん」と「へたうま仙人」のどっちかを選んで投句してもらうぞ。こっちにはワシ好みのへたうま俳句をいっぱい送ってくれい。うますぎる句はへたの聖地追放ぢゃ〜!

番外編
マジッスかはいまじっすよ初詣  大塚めろ
 なにがウケるかようわからん世の中ぢゃが、これだけは譲れんというラインは持っておかんとのう。のぅ。


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雑詠道場 くらむぼんが笑った


夏井いつき選


今月の天
雪の壁見上ぐベルリン遠く遠く 牛後

 読者を一気に季語の現場に攫い取るかのような「雪の壁見上ぐ」という前半の措辞。テレビニュースで見た「雪の壁」の中をカメラが動いてゆく映像や、何処かのスキー場で余分な雪を掻き寄せ積み上げた「雪の壁」を見た記憶等が、次々にフラッシュバックする。
 「雪の壁見上ぐ」終止形の切れの後に出現する地名「ベルリン」が鮮烈だ。瞬く間に「壁」という言葉と詩的火花を飛び散らせ、読者の脳内では二十数年前べルリンの壁を壊し、攀じ登り、シュプレヒコールを上げていた人々の映像が否応なく再生されてゆく。「ベルリン遠く遠く」の囁くような後半の措辞は、再び「雪の壁」の映像へと収斂され、その背後に痛いような青空を感じさせてくれる。


今月の地
エルサレムよりあけぼの色の初便り  緑の手
 「エルサレム」は、キリストが処刑された地であり、ユダヤ教キリスト教イスラム教が共通の聖地とする地でもある。新年の季語「初便り」と地名「エルサレム」を、「あけぼの色」がほのぼのと繋ぐ。

氷割り閉じ込められた水逃す 大塚めろ
 甕かバケツに張った「氷」を割った、只それだけの句なのだが、作者には「氷」によって「閉じ込められた水」を逃がしてやるという使命あったと言い張るのだ。作者と一緒に、救出された「水」をじっと見つめているかのような愉快が躍る一句。

無人なる雪の空港ポロネーズ さわらび
 音楽鑑賞の時間に聴かされた「ポロネーズ」は、ショパン作曲「英雄ポロネーズ」だったか。「無人なる」とは、「雪」で閉鎖された滑走路の印象だろうか。足止めされた「空港」。広い硝子張りのロビーを「ポロネーズ」の旋律が満たしている時間。

温突に三省堂の辞書伏せて 町田美香
 「温突」は、中国北東部や朝鮮半島で普及した独特の床下暖房。成程これが本場の「温突」かと目をやった床に、さっきまで使っていたかのように「辞書」が伏せてあり、しかもそれが「三省堂」から出版されたものであることに気づく、ささやかな驚き。季語「温突」と固有名詞「三省堂」の出会いが、温故知新のごとき味わい。

馬の息荒らし八方枯れ尽くす ターナー島
 荷馬車を引く「馬」を思ったのは「息荒らし」の措辞からだろうが、競走馬を育てる牧場を思ってもいい。「馬の息荒らし」で馬の鼻息を間近に印象づけ、そこから「八方枯れ尽くす」と景を広げていく切れが効果的な一句。

餅つき機餅は貞女のごと回り 樫の木
餅箱を洗う真水のにぎやかさ しんじゅ
 前句、「餅つき機」の中、もち米が次第に「餅」となってきた姿を「貞女」に喩える発想が愉快。「貞女のごと」くにちんまりとほっくりと鎮座しつつ回っている「餅」のすまし顔がまたまた愉快。
 後句、餅つきが終わった後の「餅箱」を洗う行為を賑やかだというのではなく、その「真水」が「にぎやか」に躍っているよ、と視点をずらせた描写が巧い。「真水」という言葉の鮮度がいい。

心臓のうらがは乾く落葉焚 えりぶどん
 「心臓のうらがは」という措辞に一瞬ギョッとするが、それが「乾く」かのような「落葉焚」であるよと表現されると、一句の世界へのほのかな共感が動き出す。「落葉」の香りが心地よいエッセンスとなって。

風花やペンギンに足突かるる もね
 動物園の飼育係を思った。餌をくれると分かっている人の足元に「ペンギン」たちは群れ集まってくるのだろう。そのうちの一羽がこっちにも餌をくれとばかりに「足」をつつくことだってあるに違いない。「風花」と「ペンギン」、色彩的な対比が冷たくてキレイ。

煤逃や猫抱くことも子の仕事 樫の木
 「煤逃」する老人や子どもたちの姿を描く句はさまざまあるが、「煤逃」という季語の現場に「猫抱くこと」という「仕事」がある、という発想に俳諧味がある。煤払いの大騒動を恐れて暴れかねない猫の首っ玉を、ギュッと抱き締めている「子」の表情も想像できる。

数え日の床屋シャボンをふるまへる  すな恵
 これまた「数え日」の「床屋」を詠んだ句は沢山あるが、「シャボンをふるまへる」という表現が楽しい。お客の髭に、いつも以上の「シャボン」をモリモリ盛り上げている床屋の、忙しいながらの上機嫌も見えてくる。


今月の人(じん)
熱の手に粉雪の色の粉薬 牛後
しまく夜にしまく列車の灯りけり
三机湾は利休鼠や開戦日 さち
ふくろうがゆめをあつめているところ
大祓鈍色の空畳みをり 緑の手
極月の湯や五右衛門となる手前
うそひとつ見抜けぬ父の冬帽子 一走人
生き様を問われる猫の死の小春
やむをえずマスクはずして説教す  とりとり
毛布さえあればひとりで眠れる子
短日や研修室の西に窓 大五郎
もめごとはきらい寒オリオンが好き
炬燵寝が大好きと言ふ小犬の屁 きうい
第一腰椎へしゃげて寒波来る
草食も恐竜といふ羊歯ゆるる ソラト
プレートに裂け目注連縄結ぶべし
反目の父と子ともに冬嫌い 空
野犬たちの今日は穏やかなる枯野
瞑目す雪呼ぶ雲の光帯び 哲白
葉牡丹や白極まりてほのかに黄
珈琲にアラビア文字や年送る 樫の木
猫の名の薬袋や冬日向 すな恵
冬鴎一線突き飛ぶオホーツク 紫水晶
飾売去りにしあとの消火栓 じろ
波しぶく船首の飾迫る空 しんじゅ
百合の木に凭れて紅茶春隣 もね
封筒に息ふき込んで文化の日 ターナー島
薬臭の指手袋におさめけり さわらび
おしくらまんじゅう賢治は北を愛しけり  町田美香
雪國のコーラス隊のアベマリア 未貫
縞馬の背筋伸びけり冬銀河 のぶのぶ
霜枯の馬鈴薯畑畝広し 人日子
春めきぬがれきの山の貨車続く  レモングラス
手のひらに柚子の香夫を待つ夜よ かのん
冬の猫肥ゆる八百屋の段ボール まくわ
初春の日差は柔し墓石まで 蓼蟲
告白や手始めに割る厚氷 犬鈴
水槽の濁りの中の大晦日  錫樹智
落ちてゆく音か冬木になる音か  桜井教人
冬ざれや体温計の細く鳴る 西原みどり
大柚子や赤児の頭ほどありぬ 輝女
とりあへず眼鏡を磨くお元日 しゅん
セーターのほつれて恋をやり直す 諒和
ミサイルの光跡白し冬の鷭 神楽坂リンダ
珈琲は濃く初霜は踏んでこそ 鯛飯
主婦の日の家一面の布団かな 不知火
豚肉はフリルのやうなクリスマス 果樹
鶏頭の怒りの色に対しけり 炉草
青色の聖樹ゆふべの鼓動めく 野風
内港のたこ焼きの旗小晦日 みかりん
遠き日のさらに遠きへ藪椿 浜田節
凩の夜は痛快時代劇 なづな
どうどどど身震い一つ山眠る コナン
おでん酒大往生を欲るはなし 省三
足元に鳩来れば心癒える雪 三竜
花びらを守り山茶花散りにけり みちる
開場を待つ生徒らや初氷 青蛙
命綱掛けて足場の寒夕焼 ほろよい
凩に揺れて被爆の市電来る 元旦
ホスピスの廊下の隅のクリスマス  こぼれ花
ポケットに入る赤さやはぜの空 今比古
水仙を波立てて風海に入る 八木ふみ
クラクション響いて二人寒き夜 磨湧
酒蔵に米蒸す湯気の噴き上げて ケンケン
書初や硯におとす酒のつゆ お手玉
総代等の焚き火よ始末時とせむ  ポメロ親父
人日や書き込みのある辞書を買ふ 迂叟
凩に抱かれた街の女学生 西条の針屋さん
ジャンケンで遊ぶ階段クリスマス えつの
木枯や百歳の婆はくぢけない 北伊作
皿包み冬の日つつみ売りにけり 鯉城
膨張のオリオン星雲からメール ひでこ


今月の並選
頬被次々外し始発バス 松ぼっくり
雲中の龍半眼の小春かな
小春日や満中陰を癒す経
湯豆腐のくづるる窓の夕間暮 春告草
クリスマスソング遺跡の穴なぞる
十二月八日空港行きのバス
年の瀬の歌番組に異国人 和音
大晦日耳にピアスの中年歌手
ひっそりと二人ですする晦日そば
花八手夫婦で暮らす介護付き まんぷく
ひょこひょこと右往左往の歳暮れる
風呂洗う往く年の垢落とさんと
遠山をすっと近くに山は雪 恋衣
行く年をカウントダウンして花火
あらたまの夜のうなりあけ初日かな
落し物花屋の軒に冬帽子 ゆりかもめ
デジタルの時計にぞろ目小六月
松過ぎや肩こり覚ゆ静かな夜
読みかけの伝記聖夜の寝息かな 柱新人
新しき娘の作る雑煮かな
漸うと彼の地此の地の初日かな
ふくよかな雑木落葉を一歩一歩 政敏
裸木の花芽は堅しまだ言えぬ
舞い上がる落葉のゆくえ渓深し
マチマチの個性瞬くクリスマス 青柘榴
飛行機と見まがう金星冬至なり
叱られて泣かせてすねておでん鍋
囲炉裏端夢見る機械となってをり 藍人
山茶花散る山茶花に山茶花重ね
青い地球俺も鯨も哺乳類
包み隠さず白菜の干されけり ラジオ体操
ゆっくりと伸ばす両腕年暮るる
極月のわたしに寄り添ってるわたし
歌留多会果つれば消ゆる一二枚 子狐萬浪
仲良しの集ひ仲良く喧嘩独楽
双六や振り出しに戻りたき事も
手も止まり考え深げな冬の蠅 りんご
短日の心細きや糸の月
山茶花や親の木子の木背比べ
朝寒や深爪じわっと血が滲む サキカエル
一人暮らし気持ちの分かる冬薔薇
待ちぼうけの心をほぐす冬の月
月に雁見返り美人年賀状 ちろりん
大霜やダンシガシンダの洒落残し
レプリカのヴィーナス枯葉肩に置く
年賀状書く悲しき葉書の三枚 柊つばき
クリスマス祖母のサイフはゆるむなり
冬ごもりラジオが友となりにけり
亡己利他震災後の冬の夜着 ぼたん
八重咲の白きサザンカ受験生
日向ぼこ猫と戯れ九〇才
鰰を知ってるかいとお呼ばれす むらさき
賀状書く若き日の友若きまま
ポインセチア今宵のテーブルセッティング
片耳のピアスあやしき雪女 ひでこ
初詣赤いファーストシューズかな
十二月フィギュアの眼開きしまゝ 鯉城
冬将軍海より馳けて来る力
古暦捲れば過去の立ちあがる コナン
抱きしめてやりたい母の叫びか虎落笛
ねんねこに母となる日を想ひけり 愛紗美
マフラーを彼には編みて吾には買ふ
初場所の番付父とゆっくり見る ゆき
母さんのケーキちっちゃいクリスマス
頬杖をつけば冷たきゆびのさき 未貫
クリスマス寒波来るらし又寝して
水仙の葉先尖らず身をよじる かのん
新巻や出刃と軍手と新聞紙
独楽回す赤子は笑ふまた笑ふ レモングラス
しじま裂くつぶ塩がりんと冴え返る
額に聴く冬の雨音夜行バス まくわ
ゴトゴットン牛舎の朝や息白し
大年や付箋ぺたぺた大掃除 き花こすもす
数え日や穴無し五円の転がりて
道化には道化の悲哀年暮るる 蓼蟲
風花や人の絶えたる本通
紅葉抜き又紅葉抜く三輪車 コーケン
一礼ののちは干し柿食らいけり
凍星や五臓突きさす捨て台詞 犬鈴
非常階段駆け下りる寒夜かな
薄日射す職員食堂大晦日 錫樹智
大年の空を消防ヘリコプター
マスクする四十人もいて一人 桜井教人
去年今年神々の名は何故読めぬ
小晦日ふとんを叩く音のする じろ
臘梅の黄色きつぼみ去年今年
蜜柑箱開くや豊かなる心地 西原みどり
熱の子の枕辺で聴く除夜の鐘
椿落つ湯釜薬師の坂の道 輝女
いにしへの想ひをすべて牡丹焚き
未来へと伸びる皇帝ダリアかな しゅん
あらたまのカップに満たすココアの香
鍵穴の合はぬにやりと冬の月 諒和
やさしくなりたくて冬日の部屋に居る
漣やひとつ離れて浮寝鳥 神楽坂リンダ
鴨の声ためて暮るるや大き池
風花やだし巻玉子ほの甘く 鯛飯
老人ホーム豊園荘の冬木立
御降やぎりぎり動く道標 不知火
初鴉角の欠けたる鬼瓦
後天的楽天愛し歯朶飾る 果樹
家康の背中オリオンの肩幅
黄落の中行きて戻らぬ如し 炉草
独り居の帰りし鍵の冬の音
凍雲や白磁の碗のごとくゐて 野風
霜雫地にどうだんの星となる
冬桜応答のない母見舞う カシオペア
紆余曲折糧となりけり冬桜
月深く年刻々や女子の灯 豊原清明
鰤起し痩せたラインの街浮かぶ
松葉掻きとどのつまりの冬菫 みかりん
冬帽子にあらずタンデムの先頭は
冬晴やきゅっと心を締め直す 浜田節
冬銀河獄舎の丘の見張台
裸木や空と語らふ日々に在り なづな
木枯や玻璃戸木枠の仮の宿
数え日の指折り逝きし人想う エノコロちゃん
降るように冬の星座の煌めいて
鎮魂の冬の遍路の杖の音 宇都宮伊明
妻の笠借りて旅する冬遍路
単線の鉄路ますぐに水仙花 省三
入りたれば人のぬくみの冬座敷
粕汁や人の匂いのうっとうし えりぶどん
囲炉裏のまえにひとは戻ってきたか
膝小僧並べて師走の女学生 三竜
凩の地下パーキング節電中
電飾の冴えて家路を急ぐ人 みちる
近隣の噂話や実万両
幻の世とて励まん玉子酒 青蛙
近況に変化少なし賀状書く
寒の月水面に崩す石つぶて ほろよい
十年の季語の重さや年の暮れ
電停の人それぞれに冬至の日 元旦
短日や市税納期の吊り広告
窓辺より見舞う客あり冬の鳥 こぼれ花
冬ぬくしふわり寄り来る迷い猫
京が付き人参様となる一本 今比古
組み合わせの片方たぶん鵙の贄
食卓に交わす未来図去年今年 八木ふみ
冬田道置かれたままの一輪車
オペラ歌手河豚は全く口にせず 磨湧
折れたスコップ銀杏落葉の下に住む
真ッ白な未来まるごと日記買ふ ケンケン
切れ切れの空が冬木の隙間より
手鞠唄うたって年を重ねけり お手玉
初景色まづ高縄山を仰ぎけり
寒雀一羽庭木へ来て閑か ポメロ親父
隣部屋まで鼾響いて寝正月
アーケード彩る街の松飾 西条の針屋さん
資本論冬の時代のヨーロッパ
貝塚に共に眠りし人と河豚 迂叟
雨に風晴れのち曇り賀状書く
豪邸を更地にするや十二月 えつの
生きてこそ聖樹のように輝ける
朝寒や咎められたる歯磨粉 北伊作
草叢に消えた黒猫十二月
大松の石の横なる石蕗の花 人日子
山茶花の咲いて散るなり道明り
海を背に知床斜里駅冬眠す 紫水晶
のたうつオホーツクや頑として冬
酒断てる微苦笑の増え除夜の鐘 真鍋一
信号は全て青なり年新た のぶのぶ
名の木枯る母の自慢の墓一基 しんじゅ
兄となる子やたどたどしげに蜜柑むく  大五郎
豆を撒く土間振り向けばそこに猫 さわらび
教室にサリンジャーいて冬苺 町田美香
手渡され書類冷たきメール便 空
龍馬忌の風は背骨を持っている さち
起き抜けの頭痛鮮烈冬薔薇 一走人
福引の一等伊予牛霜降れる もね
おさな子に戻りたき夜の毛布かな とりとり
廃校の窓浮かみけり冬落暉 哲白
後足を引こづる銀杏落葉かな きうい
ビニールと金属の舞ふ初御空 ソラト
桑食べて一目散のわだち跡 ターナー島
ソナタ聞き雲の隠したクレーター だなえ
ふくよかな顎にマスクの下げしまま すな恵


雑詠道場番外編「くらむぼんが困った」

教えて下さい!
松ぼっくり 俳句作りで、一歩前進するこつなんて、そんなムシのいい話などないですよね!? でも、もしかして何かあったら教えて下さい。

ワシが答えるぞ。
へたうま仙人 誰でも二百年後、三百年後に「俳聖」と呼ばれる可能性を平等に秘めておるのぢゃ。評価は未来の人たちに任せて、ワシ等はわくわくしながらその日を待とうではないか。そのためには、人の目を気にせずに何でもかんでも、まづ作ることぢゃな。かっこ悪いくらいの句の方が、かえってカッコいいんぢゃ。ま、ムシのいい話はなんぼでもあるがの。ふふ。

勝手にアドバイス講座。
つかの間の別れとしたい阪神忌 ゆき
夏井いつき 季語「震災忌」は関東大震災を示す季語ですから、阪神淡路大震災に関しては別の表現をしなくてはいけません。一時期「沖縄忌」「阪神忌」のような季語の使い方に対して、沖縄や阪神が死んだかのような言い回しであるとの批判が起こったこともあり、デリケートな判断が求められる問題です。今のところ「阪神震災忌」という季語表現に落ち着き始めているのではないかと思いますが、時代的に新しい季語は、長い時間や様々な人たちの考え方を砥石としつつ、成立していきます。まだまだ記憶の生々しい東北大震災については、「東北震災忌」という言葉を使うことに、いたたまれない思いと躊躇があります。

寒星や猿でもわかるラブソング のぶのぶ
夏井いつき 「寒星」「猿」「ラブソング」三つの言葉の取り合わせに大変惹かれているのですが、如何せん、中七の「〜でもわかる」が散文的にしてオチ見え見えの(笑)措辞。この五音、なんとか推敲できませんかね、のぶのぶさん。



【雑詠句募集】
投句三句/俳号(本名)/〒住所/電話番号と、「○月末日締切分」を明記して、編集室「くらむぼんが笑った」または「へたうま仙人」宛にお送りください。
締切は毎月末日《必着》です。
※末日を過ぎたものについては、翌月分とさせていただきます。
※ひと月に複数の投句があった場合は、一番最後に届いた投句のみを有効とさせていただきます。同一内容での二重投句はご遠慮ください!
 投句は誌上句会宛のハガキ&メールとは別でお願いします。
雑詠専用Eメールアドレス zatsuei@marukobo.com
インターネットや携帯電話からも投句できます。
http://www.marukobo.com/kuramubon/


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放歌高吟


梅咲いて
夏井いつき

咳とまらずや第二楽章より退席
咳き込むや血の味のしそうな青空
暗き水宥めて白鳥の波紋
神鏡のごとき太陽氷張る
枯れし田に百羽の鳩の咀嚼音
北風へ飛ばす罵声も北京なる
朝東風や粥の屋台の湯気あまた
水底のごとくに白梅の匂う
梅咲いてエジプトのこと獏のこと
椿油の匂いに春の狐火は
ぬばたまの鹿角菜あしびきなる山姥
火に猛る山も朧のひとつかな


 ハイクライフ『100年俳句計画』という誌名を掲げなおし、私たちの集う月刊誌が新しいスタートを切った。総合誌でも同人誌でも結社誌でもない新しい俳句誌を模索し続けてきたが、それらを目に見える形で読者諸氏に問いかけられるところまで、やっと漕ぎ着けられた。
 年明けの句会からこちら、本誌のリニューアルに関し、頓に様々な質問を受ける。皆さん、期待を膨らませて下さっているのだと、心から嬉しく思う。きっと似たような質問や疑問をお持ちの方も多いはずだと思い、誌面を借りてのQ&Aを幾つか。

「端的に言うと何が変わるのですか」
 十二月号と一月号を比べてすぐ目につくのは、表紙から「いつき組」という名称が消えたことだ。チンケな個人名を冠した月刊誌では、私たちの志す「100年俳句計画」の思いが誤解されかねない。「100年俳句計画」という志の元に集うという意志を明確にしたというのが、一番の意図だ。

「様々な俳句大会や賞に応募する時に、『所属』を書く欄があるんだけど、これからは「いつき組」と書いてはいけないの?」
 本誌はハイクライフ『100年俳句計画』という名の月刊誌として進んでいくが、俳句集団「いつき組」という名の広場が無くなるわけではない。俳句のある人生を楽しむためには、仲間が不可欠。座の文学「俳句」の特性を思えば一人で句会ができるはずもないし、季語の現場に立つ時も俳句仲間と一緒の方が楽しいに決まってる。
 「俳句って楽しい!」と思った人は誰でもどうぞ! というのが俳句集団「いつき組」の唯一の入会資格。各賞応募の際には、「所属」の欄に「いつき組」と書いて頂いて結構。結社に所属していればそちらの名を書いても良し。併記も勿論OK。「100年俳句計画」は志、マガジンはその報告書、そして「いつき組」は仲間を示す呼称、とでも定義すれば分かりやすいのかもしれない。

「ハイクライフ『100年俳句計画』はこれからどんな方向に進んでいくのですか」
 長い計画の元にコツコツ積み上げてきた成果のおかげで、編集室が目指してきた誌面が四月号を目処に整い始める。先月号と何がどう違っていくか、読者諸氏の目で確かめて頂きたい。ワクワクするのは、これからが本番! 梅咲く頃から動き出すワクワクをご一緒に楽しんで頂けたら嬉しい。




夏井いつき公式ブログ「夏井いつきの100年俳句日記」

http://100nenhaiku.marukobo.com/


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ART+俳句


第5回(6回シリーズ)
アートと俳句の見て読んで楽しめる作品集を目指して、月替わりで作家が作品を発表します。



「秘密」
活花アート&俳句 河野しんじゅ

霜晴にタイル集める秘密基地
河豚雑炊島はしゃもじの形して
春隣鏡のビルに映る山
禁じられた焚火こっそり火をつける




河野しんじゅ

松山に住む俳句ガイド。名字の河野は旧姓。今はやりの水軍の出身かも知れない。
 活花歴は28年ほどになるが、愛猫にひっくり返されるので自宅に大きな柳が活けられないのが悩み。




アートと俳句を融合させた作品を作る作家が集まった「俳句芸術家協会」の設立を目指して、メンバーを募集しています。興味のある方はマルコボ.コム内キムまでご連絡下さい。


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月刊句会ライブ報告


各地で行われている、100年俳句計画句会ライブの入選句や写真を紹介します。


吉海町人権学習句会ライブ(1月13日)
愛媛県今治市吉海町

 小さい石つまづき転ぶ夏休み 中学1年生
 日の盛り汗水流して初任給 中学3年生
 妹よいじわるごめんね息白し 中学3年生
 数学の悲惨な光景空っ風 中学1年生
 初雪に外みてほえるマルチーズ 中学2年生
 冬の夜ドアをあけると母の声 小学5年生
 ターゲットヤツの手の中すきま風 小学6年生

 「人権学習のために俳句を使ってなにかできないか」という発想から始まった吉海町人権学習句会ライブも今年で七年目を迎えます。
 昨年も句会ライブを経験した吉海中学校の生徒たちと吉海小学校6年生、まだ句会ライブを見たことない小学5年生、そして地域のみなさんが今日の参加者。「去年優勝したから今年もやります!」と意気込みを語る男の子を始め、会場のやる気は十分。
 決勝7句が発表されると、それぞれ気に入った句についていろんな話が飛び出しました。夏休み、お父さんの石切り場でアルバイトをして父の偉大さを知った男の子。昨日ケンカしちゃったと語る姉妹のダブル入賞。「ターゲットは恋の句なんっスよ!」と語る男子三人組もいれば、「社会に出ると誰も褒めてくれないけど、それでも頑張ってる大人は偉い」としみじみ語る中学生も。
 俳句について語る、という第三者の立場を借りて普段は言えないようなこともぽろっと語れてしまうのが句会ライブの有効な仕掛けです。
 「人権」とは突き詰めて考えれば「思いやり」の心。「思いやり」を伝える「言葉と想像力」が育っているのが強く実感できた今年の句会ライブでした。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第11話
大爆発!!
スガダイロー 小山彰太DUO

二人旅大爆発の冬の夜 清々郎

 小山彰太トリオが“炸裂”した前回のジャズ イン グレッチ。今回はDUOで“大爆発”した。音の爆風で思考回路をえぐられたJAZZ句会メンバーは、句会参戦を宣言したファンと共にマミコン(堤)さんの店、WBGOへ移動。

冬の夜のひたすら殴られる楽器 チャンヒ

 あんなに叩かれると楽器が可哀想と思うが、熟練のミュージシャンに扱われるとピアノもドラムも喜んでいるように見える。そう、マッサージしている。だから、きっと奴らはよがってる。(笑)マゾ ピアノだ。(爆笑)

黒鍵から始まる寒風そして週末 蛇頭

 黒鍵から始まるってのが良いけどカッコつけてる。しゃらくさいんだな。(笑)しゃらくさいところが良いことにしよう。

七五三終わればすぐにサンタさん 清々郎

 今日のライヴと何も関係ねぇだろう。(笑)だけど可愛い。作者はピュアな人であってほしい。フリー ジャズなんかやってる人だとガッカリする。(笑)7歳の子にでも作っててほしい。作者は?……清々しいと書いて清々郎。(爆笑)

枯野原刺しちがえたる変拍子 マミコン

 刺しちがえたる、に凄くバトルを感じるね。闘いながらも調和がある。でもこれ前回のライヴの「バンド解散!!」事件のこと言ってんじゃないの?(笑)反省しすぎて頭に来たら、ああ言うしかないもの。(爆笑)

寿限無寿限無愛しあって年の暮 暇人

 寿限無を演奏してる時にカップルが目に入った。寿限無に永遠を感じる。二人には波風立ててほしくないから……。それ言っちゃダメ。(笑)暇人さん、あんたもそろそろじゃないの?

怒涛なりジャズは自由スガ自由 光海

 演奏は正に怒涛だった。無季だけど怒涛に冬を感じる。ダイローさんのピアノは海のイメージがある。うん、それはよく言われる。で、彰太さんのドラムは激しいけど優しい。グレッチの客もそう言ってた。

勝負なし彰太 ダイロー冬土俵 マミコン

 「あなた廻しは無いですか〜」って替え歌歌いたくなる。(爆笑)〆は「〜冬景色」じゃなく「〜冬土俵」(笑)

青のたいこけんばんの白ストーミーウェザー  オーロラ

 この静かなる破壊力が凄い!!(笑)ストーミーウェザーは「荒れ模様」という曲。曲知らなくても響きが良いよな。

カチマチデバクハツキイタカマイタチ  みしん

 季語の“カマイタチ”がとても効いている。流れも良いし切れ味もある。

ばくすうすほのぶしもれるけめのひらすみ  山章太

 神は突然降臨した。山章太宗匠の右手を借りて次々とヘラハリ派のハナモゲラ和歌が誕生。

ひゃらでんすでんつりひらくてんのほのぼす  山章太

 和歌が止まらない。そして一つの頂点を迎えた時、宗匠はモンゴル伝統のホーミー風謡いでこれを披露した。




http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。


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ラクゴキゴ


第11話 文/俳句 らくさぶろう

『質屋蔵』
〜生活の中に質屋があたりまえだったころ〜

あらすじ
 ある大きな質屋の三番蔵に、夜な夜な化け物が出るという町内の噂。それを旦那が朝湯で聞いてきて、早速番頭に見張っておくよう命じる。
 旦那の考えでは「これはきっと、大事にしていたものを心ならずも質に入れてしまった人の思いが品に残り、化け物として出てくるのだろう」というもの。
 番頭はとても怖がりな人で、一人では見張りなど出来るはずもないと、普段からこの店に出入りしている強そうな熊五郎という男に助っ人をお願いしようとする。
 旦那からの急な呼び出しに熊五郎は慌ててしまい、これは叱られるのではないかと勘違い。訊かれてもない、いい酒を盗み飲みした件やたくあんを持って帰った件、醤油まで頂戴した件などすべて白状してしまう。
 旦那は「お前を呼んだのはそんなことではない。お前は強いと聞いたが本当か?」と尋ねると熊五郎は初めはいきがっていたものの、化け物のことを聞くと急に弱くなってしまう。
 結局無理矢理、番頭と熊五郎が三番蔵に放り込まれ、酒を飲んだり膳のものを食べたりしながら時が過ぎていく。そしてついに、丑三つ時。三番蔵の前にボ〜ッと明かりが……。
 二人がこわごわ立ち上がると、火の玉がゴロゴロゴロ、庭石に当たってバチーン!!
 「出たーっ!!」
 逃げようとする二人、しかしどうしても足が進まない。というのも、二人とも腰が抜けてしまっていた。
 騒ぎに気がついた旦那、二人を叱りつけ、庭下駄をつっかけると三番蔵の戸前、中の様子をのぞきこむ。
 と、相撲の太鼓の音が流れ、「西〜、小柳、こやなあ〜ぎ。東〜、竜紋、りゅうもお〜ん、はっけよい、のこったのこった!!」
 何と小柳繻子の帯と竜紋の羽織が相撲を取っているではないか。
 旦那、「妙なこともあるもんや」と見ていると、隅に立てかけていた箱のふたが外れ、中から掛け軸が出てきて勝手に壁にスルスルと掛かった。
 するとそこに描かれていた菅原道真公、絵から抜け出て、旦那の前に立ちこう言った。
 「東風吹かば匂い興せよ梅の花主無しとて春な忘れそ」
 道真「そちゃ当家の主なりか?」
 旦那「はは〜っ」
 道真「質置きし主に疾く(すぐに)利上げせよと伝えかし。どうならまた流されそうな…」



 この噺、45分から50分くらいかかる大作で、いろんな要素が取り込まれているので、演じ手の力が要りますので、あまり頻繁には演じられません。
 上方では、桂米朝師、枝雀師、江戸では三遊亭円生師が得意にしておられました。
 オチの部分、今の若い人には「何のこっちゃ?」ということになるかも知れませんね。まず質を利用することも無いだろうし、「利上げ」の意味であるとか、それが出来なかった場合、品物が「流される」ということ、そしてそれが道真公が九州に「流された」こととかかっているということが理解できるかな?
 冒頭で旦那が番頭に、人の思いの込もった品がうちの蔵には入っているということを説明するのに、つらつらつらと物語を流れるように話す部分であるとか、熊五郎が呼び出されたことを勘違いして、やってしまったことを白状するシーンなどは、この噺の大事な部分で、聴きどころ、笑いどころであります。
 そして終盤、怪談仕立てになって帯と羽織が相撲を取り始め、掛け軸から天神さんが出てくるあたりは、見ている者をぐっと引き付け、オチの和歌から「流されそうな」へと行く流れ、内容の濃い、また秀逸なオチであると僕は思います。
 僕自身は質屋を利用したことは無いぞ!と思っていたんですが、一回だけありました、ありました。
 20代前半、ブランド物のひとつでも持ってなくちゃあという若造のバカな考え。しかし正価ではバッグも買えるはずもなく、質屋が経営しているユーズドショップで、ル  トンのバッグを購入。二、三日使っただけで、今はタンスのこやし……。

質屋には質屋の苦悩梅咲けり


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本家慶弔俳句帖 第41回


文 桃ライス

ついに出たよ、ゴミ箱ラジコン!!
 炬燵に入って蜜柑を食べ、その皮をテレビの横のゴミ箱に投げたら入らず、畳の上に散らばって、結局炬燵から這い出てゴミ箱に入れ直す。そんな無精者さんに朗報です。操縦できるゴミ箱「走る!! ゴミ箱ラジコン」が楽天ショップで発売されました。
 商品は、付属のコントローラーで操縦できるゴミ箱。サイズは高さ23センチメートル×直径20.3センチメートル(容量5リットル)で、使わないときには折りたたんで収納可能。価格は1650円。
 ショップでは「悩める少年少女に朗報!!」と若者をターゲットにしているようだが、購入者レビューは1件(1月現在)。「小さいながらもリアルで遊びこころをくすぐり童心に帰ってしまいます(50代男性)」。これは正にオジサマの心をグッと捕えた商品なのだ。オジサマには、お掃除ロボの「ルンバ」の同時購入もおすすめ。自動で動き回るルンバを障害物とし、コントローラーでスルリとかわしながら、ゴミ箱を手元に連れてくるのだ。ゴミ箱で遊んでいるうちに、次第に春もやって来る。

うつ伏せの上目遣いや二日灸


マジで出た? ギターTシャツ!!
 着ているだけでいつでも弾ける「ギターTシャツ」がサンコーより販売された。
 ネット情報によるとこの商品は、ギターがプリントされたTシャツに、ネック型プレートが貼り付けられており、服の中のアンプに繋がっている。ネックプレートは指板とピックアップがプリントされていて、指板を指で押さえながら、ピック用マグネットでピックアップ部分をさすると音が出る。
 アンプは電池を入れて、スイッチをオンにするだけ。ボリューム調節もでき、イヤホンで自分の音を聞いたり、録音することも可能。ギター部分は取り外しでき、洗濯もオーケー。重量はアンプ込みで320グラム。価格は2980円。
なんでもかんでもTシャツにプリントできるのなら、ゴミ箱もプリントできる? 使わないときは折りたためる工夫も取り入れてほしい。

胸の糸張り詰めてゆく余寒かな


桃ライス…自分のことをワシとよぶ婦人グループ会員


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季語のおじさん


原案 稲穂
構成 キム チャンヒ

最終回
今月の季語 「桜餅」&いろんな「花」

季語のおじさん(以下おじさん) 春のお菓子で、一年前の春から、食べるために準備を始めている食べ物があります。何だかわかりますか。
季語太郎 食べるための準備なら、食べる直前でいい。
おじさん 正解は桜餅。お菓子を覆っている葉っぱは、柔らかくて毛の少ない『大島桜』って葉を漬けたもので、一年くらい前から準備が始まっているそうです。
季語太郎 それって、作るための準備じゃないか?
おじさん 桜餅には小麦粉で作る関東風と米粉で作る関西風との二種類あります。
季語太郎 いつも東北や四国はないがしろにされる。
おじさん 関東風は今から約三百年前、向島の長命寺の門番をしていた山本新六さんが、すんごく多い桜の落葉を『何とかできないか』と考案したのが始まり。
季語太郎 エコだね。
おじさん 関西風は、千年前からある京都の和菓子『椿餅』をヒントに、お米でできた道明寺粉を蒸して作ったものです。
季語太郎 どっちでもいいから、おやつは出ないの?
おじさん 季語の世界で、花といえば桜。桜以外でも、大抵の花は人の目を楽しませてくれるよね。春の早いうちは黄色い花が多いのは、どうしてだと思いますか?
季語太郎 本当に僕が答えられると思って聞いてる?
おじさん 春先に、冬眠から目覚めた虫たちが、餌となる花粉や蜜を探しやすくするためという説があります。黄色い花は他の色の花と違って、虫による選り好みが少なく、虫の少ない春先には効率的なのだそうです。
季語太郎 誰にでも好かれる人っているよね。
おじさん やがて鳥たちや匂いに敏感な虫たちが目覚めると、匂いの強い花が咲き始めるといわれています。
季語太郎 僕も甘い匂いに弱い。
おじさん 現在見つかっている花では、今から1億5千万年前の白亜紀のモクレンの仲間が一番古いそうです。植物はそれまで、風に花粉を運んでもらっていたのが、花を進化させ、虫たちに花粉を運んでもらえるようにしたと言われています。
季語太郎 僕のために咲いていたんじゃないのか。
おじさん 人間の手を借りて劇的に変化した花には薔薇があります。薔薇には花びらはたくさんありますが、それはもともと何だったでしょう?
季語太郎 しらん。
おじさん 答えは『雄しべ』。薔薇は、香りがとても強かったことから、ローマ時代、身体の臭いを紛らわす『香油』などに利用されてきました。それからナポレオンがフランスの皇帝になった頃、皇后が薔薇をとても愛し、世界中の薔薇を集め『薔薇図鑑』を書かせたことや、観るための薔薇を作りはじめたのがきっかけになって、薔薇の品種改良が一挙に発達したそうです。
季語太郎 という、最終回でした。おしまい。


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まつやま俳句でまちづくりの会通信


第14回 文/写真 暇人

音風景〜道後音巡り、最後の足湯は熱かった〜

 まずは「第10回高校生以外のためのまる裏俳句甲子園」が皆様のおかげをもちまして、無事終了することが出来ました。ありがとうございました。詳細は次号にて誰かが記事にしてくれるはず。この場でも次回取り上げる予定。
 さてまる裏の翌日、1月9日に行われたのは、mhm通信第11回(昨年11月号)でも取り上げた「音風景」。道後周辺を音を中心とした感覚で楽しむ企画。まる裏翌日で疲労感&二日酔いが残る中来てくれた方は18人。中にはまる裏で活躍された緑の手さんの姿も。
 からくり時計前に10時45分集合。受付は、これまた大活躍した「松山はいく」チームのしんじゅさん&朗善さん。昨日のプレイヤーの姿からガイドの姿へ変身。テキパキと受付を。
 11時に「からくり時計」の動きと音を楽しんだあとは、ハイカラ通り商店街に入り、観光客で賑わう道後を目と耳、そして甘い坊っちゃん団子のにおいで楽しんだ。
 椿湯に到着、しんじゅさんの流暢な説明を聞いて「うんうん」とうなずき、椿湯の裏の椿坂を登っていく。下見の時は椿湯の桶の音などが聞こえたのですが、今回は聞こえず。
 椿坂を登ると道後館。そこには第一の足湯が待っていた。下見の時は入れなかったが、今回は入れそうなので、入ってみることに。底に敷かれた玉砂利を踏んで足裏マッサージにもなるようだが果たして……痛っ!! しんじゅさんに聞いたとおり、本当に「痛い」。手すりを持たないと耐えられない「痛さ」の足湯。某鬼代表からは「手すりを離せ」と脅されるが……。
 痛い足湯のあとは、白鷺坂を下りて「大和屋本店」と「ホテル古湧園」に分かれてまた「足湯」。今回は気持ちがいい「足湯」。ちょうど良い湯加減で。これでビールがあればと思ったが、我慢我慢。しばらく気持ちのいい時間を過ごしたあとは「山田屋まんじゅう」へ。
 中に入ると試食用の「饅頭」と「お茶」が待っていた。饅頭を一口。これが「うまい」。恥ずかしながら山田屋まんじゅうを食べた記憶がなく、初めての味に感動し、少しではあるがお土産に買ってしまう。
 山田屋まんじゅうで、道後温泉の12時の「刻太鼓」を聴く。今日は女性の方が担当。先日と違い、たたく様子がちゃんと見える。ガイドによれば人によって叩き方、特に終了の仕方が違うらしい。刻太鼓の聞き比べなんていいかも。
 そのあとは、円満寺へ。水琴窟の音と共に、近くの「湯神社」で行われていた「初子祭」の餅まきの様子も。
 最後は「ふなや」や「湯神社」、「なにわや」のある通りを下り、ふなや庭園の中にある「足湯」へ。
 そこの足湯は、午前中から暖めてくれていたおかげか、熱く、慣れるまでは「あつい」という悲鳴が。
 12時半を過ぎた頃、全行程を終えて「音風景」の散歩は終了となった。


次回予告
「まる裏バックステージ2012」


mhmでは、ひきつづき松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議がおこなわれます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(マルコボ.コム内、キム チャンヒ)まで。


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一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


聞き書き隊の文字表記に ご協力を!!

 一句一遊情報局では、金曜日に読まれた優秀句をはじめ、一句一遊の番組中で読まれた俳句を、活字化して紹介しています。
 その際に問題となるのが、どのように表記するかです。
 一句一遊はラジオ放送であるため、文字表記については、俳句を読み上げる夏井いつき組長の説明が無い限り、リスナーが正確に知ることはできません。そのため、漢字か仮名か、仮名遣いはどうかといったことはもちろん、場合によっては同音異義語や類音語に取り違えてしまうこともあるでしょう。
 このページでの、一句一遊内で紹介された俳句の表記については、リスナーの皆さんの実際の表記ではなく、聞き書き隊の表記を基にしています。もちろん、聞き書き隊の皆さんは、作品にとって最良の表記を選りすぐってくださっていることとは思いますが、本来の表記とは異なっている可能性が少なからずあります。
 時々、一句一遊情報局宛に、本来の表記のご指摘をいただくこともあるのですが、表記については、その点をあらかじめご了承いただければ幸いです。……とは言え、せっかく活字になるのですから、できれば本来の表記であってほしいところです。
 そこで、金曜日優秀句に限りませんので、番組で読まれた自分の俳句がどう表記されるのかが気になる方はぜひ、インターネットをご覧いただける環境であれば、聞き書きを行っている朧庵の掲示板「落書き俳句ノート」を覗いていただいて、表記がもし違っていれば、本来の表記を指摘していただけると大変助かります。
 どうぞご協力をお願いいたします。


まほろの 兼題雑感

 「春霰」は文字どおり、春に降る霰のこと。取り合わせがしやすそうな反面、冬ではなく春の霰であることの必要性が求められそうです。
 「蕗味噌」は……美味しそう! 味噌は大好きです!(笑) 食材の季語では、季語が動かない俳句を詠みたいところ。
 そして、今回の曲者は、なんといっても「貌鳥」。 実体不明の鳥をどう詠むのか!? 春の鳥というイメージのほか、字面や音感のイメージから発想を広げるのも一つの方法でしょうか。
 「厩出し」は、意味を知れば理解は出来ますが、一般的には馴染みの薄い風習で、また、雪を目にする機会の少ない地域にあっては、あまり実感が湧かない季語。さて、どう詠むか……?



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

2月5日
春霰(はるあられ)【三春/天文】
春になって降る霰のこと。育ち始めた木の芽や若葉、用意を整えた田畑の畦などを傷めてしまうこともある。

蕗味噌(ふきみそ)【初春/人事】
蕗は「蕗の薹」のこと。蕗の薹を細かく刻み、火を通しながら味噌と混ぜ合わせ、みりんや砂糖で味を調える。

2月29日
貌鳥(かおどり)【三春/動物】
古くは万葉集に記されているが、「貌鳥」という鳥が居るわけではない。呼子鳥、郭公、鴛鴦などとする説があるが、実体は不明である。

厩出し(うまやだし)【仲春/人事】
主に北国で、冬の間の風雪から守るために厩舎の外へ出さなかった牛や馬を、春になって野外に出してやること。


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マルコボショッピング


マルコボ.コムのショップ店長まほろがアナタにオススメする逸品!
オンラインショップでは様々な商品を取り揃えて皆様のご来店をお待ちしています。


マルコボ.コムの句集に新刊登場!
句集 東京松山
著 井上じろ
(序文 夏井いつき)
1890円
オンラインショップ商品カテゴリ「本」
発行 マルコボ.コム(2012年1月発行)
208ページ/ソフトカバー
15センチメートル×15センチメートル

コメント
実はエライ人!? 優しく大らかな俳人
1997年、松山に赴任してきた際に夏井いつきと出会い、誘われた句会をきっかけに俳句を始めた著者。以来14年にわたる句歴の作品を、編年体で構成した句集です。句集名には、2度勤務した松山への思いを込めたとのこと。「100年の旗手」での作品も収録されているなど、本誌の読者にはぜひ手にしていただきたい一冊。白い表紙カバーを外すと現れる、カバーとは全く違う印象の表紙にも注目!


世界的チェリストの日本公演収録盤
AudioCD ナサニエル ローゼン チェロ リサイタル(ピアノ演奏 橋本京子)
2800円
オンラインショップ商品カテゴリ「音楽 CD」
レーベル「ライブノーツ」(WWCC−7285/1996年発売)
ディスク枚数 1枚
収録曲目
シューベルト「アルペッジョーネ ソナタ イ短調 D.821」
ベートーヴェン「チェロソナタ 第3番 イ長調 作品69」
ドビュッシー「チェロソナタ」
(1995年5月の、山梨県民ホールでのセッションを収録)

コメント
縁あって松山にやってきた偉大なるチェリスト
2011年、縁あって松山の地にやってきた、愛称“ニック”ことナサニエル ローゼンは、アメリカ、カリフォルニア出身。たいへん気さくな彼は、実は1978年の第6回チャイコフスキー国際コンクールで金メダルを受賞した、世界的なチェロの名手なのです。


マルコボ.コムオンラインショップ
http://shop.marukobo.com/



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選句&投句欄 ザ 句会


 このコーナーは読者による誌上句会。12月号に掲載された投句への、選句&選評(互選)を掲載しています。不肖編集室一同も参加しています。

第169回兼題
 「星」をテーマに
 出題者 曼珠沙華さん

 今月の互選『鰯の歯ぎしり』

6点句
サキカエル、紗蘭、レモングラス、チャンヒ、久乃、まるにっちゃん選
天道虫星を集める旅に出る 迂叟
  サキカエル  「へぇ〜そうなんだ」と素直に思えたし「星を集める旅に出る」がすごく可愛くて選びました。
  紗蘭  天道虫の星と空の星との対比がいいと思いました。
  レモングラス  宇宙をゆっくりと巡りながら星のネックレスを作って戻ってきてね。
  チャンヒ  ナナホシテントウもニジュウヤホシテントウも星を集めるまでは、カメムシでした。
  久乃  背中の星かなと思ったけど、夜の星と思ったらとても可愛かった。
  まるにっちゃん  背中の星を自分の力で1個1個捜しだして7個そろったら一人前の大人になる。いいと思います。

迂叟、未々、ちろりん、政敏、諒和、ゆりかもめ選
痛恨の黒星あれど年惜しむ みちる
  迂叟   いい事もいっぱいあってよかったですね。来年は黒星のない年になるようにお互いに頑張りましょう。
  未々  天災かと思ったら、明らかに人災でもあり、あまりの惨事に言葉もありません。自分の在り方も含めて様々な事を試された年でした。
  ちろりん  驚きました。九州場所の白鵬の千秋楽を予言したような句です。
  政敏  同感、同感、全く同感。来年はお互いにコツコツと白星を重ねましょう。
  諒和  相撲好きの自分にとっては、九州場所の最後の白鵬の一番、そして不祥事の多かった角界のことが感じられ、頂きました。
  ゆりかもめ  振り返れば今年は大変な年でした。来年は良い年にしたいです。

5点句
今比古、紫水晶、もんきち、和音、一走人選
海に星落ちて甚平鮫騒ぐ あき
  今比古  やはり星ぐらい落ちてこないと、我等がジンベイザメは驚かないですよネ。小回り効かない彼がスキ!
  紫水晶   落ちた星は海の中の甚平鮫の模様の一つになるなんて、素敵ですね。いつも、穏やかな甚平鮫も興奮するでしょうね。
  もんきち  まるで童話のような光景に惹かれました。これからどんなお話が始まるのでしょう。
  和音  深夜の海に星が落ちたら、どんな音がするんだろう。きっと微かなすぐ消えそうな音。それを聞きつけるのは、穏やかな甚平鮫。大きな口を開けて、また一つ背中に星が増えたのを自慢しているかのようです。素敵な句。
  一走人  海に落ちた星は、大小さまざまな欠片になり、十八メートルもある甚平鮫があたふたと騒いでいる様子がとても面白いです。

4点句
浜田節、波留夫、えりぶどん、青柘榴選
タンカーの太き汽笛や冬銀河 錫樹智
  浜田節  俳句のお手本の様な一句。瀬戸内の海をゆっくり進んでいる船、空にはきらめく星、景色が見えて来ます。
  波留夫   映画のラストシーンにぴったりです。
  えりぶどん   真っ暗な空真っ暗な海形さえ見えないタンカーが大きな汽笛を鳴らして去ってゆく。銀幕の世界だわ。
  青柘榴  タンカーの汽笛に、震えているがごとき見事な冬銀河、雲一つない晴れ渡った空が吸い込んでしまうのだろうか。

りんご、コナン、ペプチド、魔心地選
何もない星が降るだけ冬の山 エノコロちゃん
  りんご  音もしない。家の明りもない真っ暗の中、「星が降るだけ」と言われれば、もうそれで十分ですと思ってしまいました。
  コナン  こんなところで流星群見れたらいいだろうなあー。もしかしたら宇宙人に会えるかも。
  ペプチド  無名の星なのか、何もない山なのか、流星群の流れ星が音のない静寂の中、まるで鋭い音を伴って降ってくる様が感じられ、無音の音が詠まれている。
  魔心地  星を見るなら、冬に限る。家族貸切の冬山プラネタリウムツアーがあるなら、ぜひ参加したい。「ただそれだけ」がナント贅沢なことか! ただし、ツアー後は、風邪で寝込むこと必至……。

人日子、狸穴けら、とりとり、きとうじん選
冬星につなぎとめたき小舟かな 杉山久子
  人日子  星に小舟をつなぐという発想がおもしろい。星と小舟の対比がいいと思います。
  狸穴けら  なにか切なさと希望が交差して良いですね。やはり全体としては希望が上回ってます。
  とりとり  風が吹くと冬星がきらきら、小船はゆらゆら。星につないでおけたらいいのにね。
  きとうじん  あなたもたまに小舟のやうな異性をつなぎとめようとしてませんか? 冬星は未練の象徴かもね……。

3点句
えつの、元旦、月乃雫選
冬銀河やがてラヴェルのボレロめく 鞠月
  えつの  星の光から名曲を連想する。詩人だなあと思います。
  元旦  音が鳴ります頭の中で。じわじわ近づく音が鳴る。冬の夜空に星一つ。二つ三つと数を増し、いつしか闇に星あまた。うようようごめく星どもが、僕らの住んでる銀河系。大音響となるボレロ。星の演舞も最高潮。
  月乃雫  視覚から聴覚への変換を無理なく納得させられた一句。

さかえ、猫ふぐ、駝楽選
星降ればいつものやさしい君になる ぜぶら
  さかえ  いつみても星空は好いものだ。東京から来た男の人が当地の星をきれいだきれいだとほめて帰りました。
  猫ふぐ  君を見守っているあなたのやさしさが荒星よりも輝いてます。そんなあなた達と飲む酒は最高に美味いでしょうね〜。
  駝楽  そんなの有りですか? って感じですが、それもいいですね。

西条の針屋さん、エノコロちゃん、蓼蟲選
星あかり方向音痴のふたりづれ 未々
  西条の針屋さん  ふたりでいったいどこへ行ったんでしょうね?
  エノコロちゃん  何とも頼りない方向音痴のふたりづれですね。それも、昼間じゃなくて、星あかりの下でのふたり。何とも心もとないですが、こんなの大好きですので、一票です。
  蓼蟲  方向音痴は治らないから困っているのだろうと思ったが、それは無粋。いつまでも二人で歩いていたい、ノロケですね。

瑞木、亀城、いつき選
冬星を聴くあるまいとせんめんき すな恵
  瑞木  あるまいとせんめんきはパラボラアンテナに似てるかも。
  亀城  あるまいとせんめんきからは、優しい冬星がきこえてきそうです。
  いつき  アルマイトの洗面器に降ってくる「冬の星」を待ち、その音を「聴く」という詩的行為。平仮名表記が「あるまいとせんめんき」のチープな質感にも似て、その「音」を微かに想像させる。

たま、かのん、大阪野旅人選
ドーランを拭ふピエロや寒昴 更紗
  たま  虚の世界のドーランを落とす老ピエロに寒昴が煌々と命を与えているのでしょうか。
  かのん  笑いを誘っていたピエロがドーランを拭う……想像したら、寒昴がクールにまた美しく見えてきました。
  大阪野旅人   人生の哀歓、煌めく希望。頑張って下さい。☆印。

しんじゅ、山の風、兼光選
寒星のひかひか仁丹は喉に まとむ
  しんじゅ  ひかひかがいいですね! 仁丹とは恐れ入りました。
  山の風  仁丹の銀色の粒を喉に留めて寒星を見上げている作者。仁丹のあの痛いほど染み渡る爽快感と寒星のひかひかが響きあう。身体感覚で寒星を描き切っている。ぎゅっと引き締まった空に星星がくっきり嵌めこまれている。
  兼光   寒に入った。地も空も凍てつく。星が乾き切った夜をさらに乾かす。見上げる星は相変わらず輝いているが、さっきから喉に引っ掛かった仁丹は輝きを失いどす黒い塊になっているだろう。明日も晴れか。星は冷たい。

炉草、牛後、あき選
人体と人体模型と冬銀河 のび太
  炉草  人体とその模型、無限に表しつくせぬ冬銀河のそれとの対比、言い表して妙。
  牛後  この意外なようで、不思議に決まっている取り合わせ。人体の不思議。人体模型をみても、不思議さは変わらない。そういえば、1不可思議という数の単位があったはず。1不可思議と星の数はどちらが多いのだろう。
  あき  単体の「星」と「銀河」の違いを悩んだのですが、最終的には単体の星の集合体が銀河なのであり、人体も人体模型もすべて銀河の内なるモノであるのだと、納得していただきました。

2点句
みちる、鞠月選
オリオンを孕んで乳首勃つをんな 藍人
  みちる  オリオンの荒々しさを、オリオンそのものではなく、産みの親に託し、それを乳首で表現したところに面白さを感じます。
  鞠月   解釈は難しいのですが、一読した時のインパクトと句の持つ迫力に押されて、一票。

オパール、お手玉選
まばたきのあっと言う間の流れ星 りんご
  オパール   願い言など言っている暇も無いくらい早い。でも見れた時は嬉しい。
  お手玉  星が流れる間に願ひごとを言うと願ひがかなうと言われますが、次にためしてみて下さい。

桜井教人、生糸選
星月夜グリコカレーの香る路地 すだれ
  桜井教人  グリコがきいてます。より庶民的な味と香り、幸せな家族です。
  生糸   子どもの頃、遅く帰る時に家からカレーのおいしそうな香りがただよっていたのを思い出しました。グリコカレーはスパイシーな香りでした。

すな恵、ソラト選
星の入東風フランスへ発つ空母 いつき
  すな恵   星の入東風という初めて聞く季語が美しく、未明を出発する空母の大きくゆったりした影と絶妙に響きあっていると感じました。
  ソラト  早くこんな季語を使いこなせるようになりたいものだというのと、こういうご時世世界情勢に対する目配りがとてもおしゃれです。

まんぷく、権ちゃん選
物欲を半分捨てた星月夜 柊つばき
  まんぷく  深遠な星空をみていると自分の存在なんて何程でもないと思いますが、でも半分ぐらいは物欲も残しておかないとね。せっかく生まれて来たのだから。
  権ちゃん  満天の星が輝いている空を見上げていると感動で、物欲などなくなってしまいそうです。でも、正直者の作者、捨てる物欲は半分なのです……。

まとむ、朗善選
ちゃぶ台が飛んで飛雄馬の牡蠣も飛ぶ ザッパー
  まとむ  「星」家の一場面。飛んだのが「牡蠣」だったとは知らなかった。もう、やられたーッと言うしかない。涙がダーッ。
  朗善  飛雄馬牡蠣食ってんの!?

カシオペア、犬鈴選
冬北斗指せよ故郷出づる子よ 不知火
  カシオペア  親の愛は尽きる事ないですね、親の有り難さ、しみじみ感じいっています。
  犬鈴  進むべき道を迷うなよ! という力強いエールに、親のありがたみを感じて一票。

清明、子狐萬浪選
シンデレラ星くずを掃く霜夜かな 今比古
  清明   メルヘンを感じる。子どものようなイメージ。様々に凝った俳句が多いが、この句が好きです。
  子狐萬浪  シンデレラが星くずを掃くといふ光景がとても美しく鮮やかに思ひ浮かびました。

ぎんなん、輝女選
釣瓶落ちするり一番星上る 元旦
  ぎんなん  秋の日の夕暮れがあっという間に一番星に換わる様を「するり」と表しているところが好きです。
  輝女  秋の陽が釣瓶落としにするりと落ちて代わりに一番星がするりと上る、なんかするりのリズム感というか軽やかさが好きです。

黄花秋桜、雪花選
オリオンが眉間の皺をけしてゆく 空山
  黄花秋桜   難題を抱えていたけれど、オリオンに癒されて、いつの間にか優しく穏やかな顔になっています。
  雪花  本当にそうですよねぇ

逆ベッカム、のび太選
膝掛やぽつりぽつりと薄い星 信野
  逆ベッカム  冬には稀な無風で穏やかな夕暮れでしょうか、膝掛から星空に広げる展開がお見事。
  のび太  膝掛だから、たとえば家のベランダで見る夜空。住宅街、見上げれば「薄い星」。薄い星という表現がさり気無くも面白いと思いました。

半角、更紗選
劇場を出て冬星へ溺れけり 西原みどり
  半角  劇場から出たら、何か空を見るんですよねえ。面白くてもつまんなくても。
  更紗  草千里にも仁丹にも惹かれたが、真冬に旧ソ連を旅したときの印象を鮮明に思い起こさせてくれたこの句に一票。

1点句
夜這星身分違いの祖母に惚れ コナン
  よしかわちょうめい  星が人間に惚れる? そんなことあるものかという意外性と場面転換の句。

星潰れ生まれ冬の海の猛る 正人
  ポメロ親父  17音ですが変則的なリズムも句意の時間的感覚に合っていると思います。

風花の舞い誰に☆誰に★ チャンヒ
  ケンケン  ☆や★を使うところが、いつき組らしくていいと思います。まさにニュー俳句ですね。

郷の庭不覚の涙流れ星 清流子
  すだれ  不覚の涙だから思わずスーっと落ちる涙と思いました。流れ星ときれいに響きあっていると思いました。

残る虫星はなんでも知つている 小木さん
  のり茶づけ  「星はなんでも知っている」そんな歌がありましたよね。何だかその歌から離れられなくて……。

ジョン・レノンは不機嫌なり寒昴 えりぶどん
  まほろ  ジョン・レノンと寒昴の距離感が良い。遺されたジョン・レノンの歌声や写真、映像は変わらないはずなのに、それを不機嫌に感じる人物の心情が読み取られる。

オリオンは海から上がる轟々と ソラト
  三月  こんなオリオン、見てみたいですね。

前線はどこですか星の沈黙 ぽち
  桃林  嵐前か。

星界の高みに伸ばす手の冴ゆる まほろ
  藍人  いやあ、「ナビゲーター」というSF映画を思い出しました。「ほら、星に手が届きそうだ」という主人公の言葉。そんな感じでしょうか。

寝転んで流星を聞く草千里 犬鈴
  松ぼっくり  「大阿蘇の草千里に寝転んで流星を聞く」とは何と素直で、清々しく気持ちのいい句だろう。「有難う」と言いたいくらいだ。

星さえも見えにくなりて秋の暮 寿山八十
  信野   星は、いつもキラキラしているものと思っていました。ベランダにいすを出して、見ようと思いましたらすぐ消えたり出たりするのです。私と同じ思いをせられたんだなと思いまして、この句をいただきました。

荒星やA4ノート届けくる まくわ
  親タカ  A4ノートは今も健在だろうか。白い息を吐きながら、たぶん坂の道を、荒星を背にやってくる君がいる。青春の構図。

天狼を救ふウルトラセブンかな きとうじん
  ひかるん   頑張れウルトラセブン、セブン、セブン、シュワッチ!

ららららと星の欠片の降りし冬 漫歩
  唐草サ行  心が弾むような人と眺める冬の星はららららと歌いたくなりますね。

冬空を眺めるために生れしもの 和音
  あん  星をこう言いきってしまうところがすごいし、冬空に光る美しい星の様子が目に浮かび、余韻も残している。

王子様ちっとも来ない星月夜 ひかるん
  ぜぶら  王子様とピザを一緒にしたら怒られちゃうけど、ピザ屋さんの配達を待つのと何ら変わらない感じさえする「ちっとも来ない」って言い方が、とってもお茶目でかわいくて、好きよ。

オリオンや獄舎の丘の風の音 浜田節
  だりあ  番外地の健さんを思います。

荒星に耳澄ましたるコリアバー しんじゅ
  もね  故郷に思いを馳せているのでしょう、あまりに荒星が美しすぎる。

蜘蛛の巣のうへにありけり冬の星 朗善
  錫樹智  主の居ない蜘蛛の巣だろう。淋しさと輝きの取り合わせに味わい深い絵が浮かぶ。

オリオンや人形だく母のねむり たま
  果樹  少女だった頃のように母は人形を抱いて眠る。いや抱くことこそが母の本意かしら。冷たく光る星に見守られながら、健やかにやさしい顔をして。

ロールシャッハ血糊で描けば星月夜 子狐萬浪
  破障子  一読、この句から目が離せなくなってしまいました。一体どんな模様なんですかね。その血は、自分のものか、あるいは他人のものなのか……。知るのは冴々と瞬く星ばかりとは。鼻をかんだら鼻血だったのか?

夕星の重く出でしよ柿たわわ 諒和
  のぶのぶ  重そうに星が出てきて柿にも重力がかかりより一層たわわに実っている様子がわかります。

着ぶくれを競い天体観測へ 瑞木
  ザッパー   『達磨さんが転んだ』になりそうな雰囲気。(笑)

寒星や外階段に猫二匹 逆ベッカム
  橘三拍子  この二匹は野良猫かな? これから寒くなる季節どうやって生きていくか相談している様子が伺える句だと思います。

嬰児逝きてオリオンの冴ゆるばかり ぎんなん
  郁  辛い帰り道なのだろう。今宵は、涙で外の星がかすんでも、オリオンだけは心中を思いやるように輝きを増してくれているようだ。

古の欠片集めて星月夜 柱新人
  不知火  古の欠片を集めるという言い方が詩的で好きです。

天狼や心細げに犬が追ふ 蓼蟲
  柱新人  空に「天狼」という強い字を持つ大犬座、地に何かを追っている心細げな犬。この対比の面白さ。

願ひごと一番星に一つだけ お手玉
  遊人  ほんとうに一つの希望さえあれば生きてゆける。

冬めいて君プルートに居るような 黄花秋桜
  正人  SFっぽくてたまにはこういうのもいいかも。蜂谷一人さんの句画集『冥王星年代記』を思った。「冬めいて」に対して「プルート」の距離感がいい!

空腹を満たすキャラメル冬の星 久乃
  しゅん  甘さから感じる幸せと冬の星の冷たさが心地よい句だと思います。

銀漢やナウマンゾウの牙の先 大五郎
  ほろよい  頭上に輝く銀河は、二万年前のナウマンゾウの牙の先にもあったはず。折りしもマンモスのクローンも夢では無い時代となった。時事ネタとしても面白い。

立冬や小惑星に母校の名 ひでこ
  柊つばき  小惑星に名前がつくなんてほんとうにうれしいことですね。高知にちなんだ名前もあるようですが……。

あの星は母の星かも星月夜 輝女
  西条のユーホふき  大切な人が空から見守ってくれたら美しく生きるしかないですね。


今月の無点くん
十六の夏満天星と胆試し かのん
寒空にそれでも探す新星座 炉草
星流る糞とり袋忘れました 空
冬茜格下げされし冥王星 まるにっちゃん
朝露の星屑集め輝けり カシオペア
闇やぶりネコの集会星八つ ケンケン
星型の人参並べ誕生日 遊人
ひとつ星木枯らしを連れ何処へか まんぷく
東塔を星昇り来て冬に入る 桜井教人
帰り道凍て付く夜空星きらら 生糸
新月や我等銀河の端の端 ちろりん
黄泉路まであと何キロや星月夜 えつの
木枯や星産み落とす星のあり 月乃雫
スナック「星」出れば中天天の川 松ぼっくり
いくつまで星を数へて冬隣 しゅん
大年や一面の星むせび泣く 青柘榴
神の留守星に願いを託しけり 波留夫
星込みを縫うて木枯し一号よ めろ
満点の星立冬の未来地図 一走人
ハロウィンの星の出窓を遺しけり 山の風
星々のうわさチェロ弾く聖夜劇 兼光
★のある偽ビール選る神無月 破障子
星明り北斗は徐々にかたむきぬ さかえ
霊峰を出づ立冬の朝の星 ほろよい
星飛んで願はぬことをまづ捨てて なゝ
白星を重ねつ静かに年を越す 駝楽
星冴ゆる術後良好足湯する 曼珠沙華
白髪奴雑草のごと冬銀河 清明
指震え数えているよ寒星を ペプチド
星降るや受けとめたいと小さき手 権ちゃん
相性を占う無理の有る星座 サキカエル
願いごと足りないほどの流れ星 もね
仰臥して風を感じる星月夜 橘三拍子
アクセスしても北斗七星空メール 親タカ
母に聞くあの星は何オリオン座 レモングラス
たこ焼きに蛸を探してオリオン座 依里
銀河より夜さみしいの沈没船 紗蘭
星祭りデートに誘いの実を結び 西条の針屋さん
猪か狸が出るか星月夜 もんきち
虫の声地球も星と教えけり 半角
星砂のコルク抜き待つ流れ星 魔心地
冬の空月の手前に流れ星 西条のユーホふき
冬北斗母に譲らる黒ダイヤ 雪花
星恋しあと何億光年廻るのか 山ぐるぐる
月冴えて今消えた星あるだろう のり茶づけ
冥逐って水金地火木天海 桃林
いつか死ぬことは知ってる枯野星 牛後
お祈りに制限はない冬銀河 猫ふぐ
猫座る渡り廊下の昼銀河 人日子
冬北斗三人連れの千鳥足 ポメロ親父
冬星が私の故郷かもしれぬ 三月
バナナいらんかな?とは母星流る 香雪蘭
伝説の光さざめく聖夜かな 大阪野旅人




第170回兼題
「思わずうれし涙が出る様な俳句」をテーマに
出題者 緑の手さん

1 お歳暮に買いたき物のドンピシャリ
2 期待せぬ息子の優しさ冬ぬくし
3 宝くじ当てて初夢年の差婚
4 薄給に皺の手の札やぶ入りや
5 金釘の文字の届けし冬林檎
6 真心の感謝に添ふるフリージャー
7 椿の実殻を破れと言いし人
8 橋のため僧が柱に霜降りる
9 教へ子の医師に看取られ寒椿
10 地鳴りするオグリコールや注連飾る
11 花八手俺に頼れと言ひはる子
12 冬青空義眼にも青の空
13 クリスマス光織りなす鎮魂歌
14 おばあちゃん大好きのてがみ冬ざくら
15 認知症の妻に寄り添い冬帽子
16 老鶯はマサチューセッツシュウと啼けり
17 戻りたる財布に鈴や片時雨
18 他力よし鍋焼きうどん自力よし
19 当選の八ケタ揃う年の暮
20 霜柱戻つて来たる免許証
21 天命や機嫌よく逝く冬の朝
22 判定はマル解禁の温め酒
23 全員にパンと毛布が行き渡る
24 園児らの息合ひバルーン寒の空
25 君にだけ褒めてもらえる十二月
26 妹の明るき声よ寒昴
27 葛湯まぜ次の雨にはまた来ると
28 おかあさんありがとうとある年賀状
29 大拍手性転換のべらの雄
30 水仙花曽孫抱けば背の伸びる
31 冬雲雀天が生贄いらんと言った
32 籤券に春光差せるまま固まる
33 初夢や三億円の使い道
34 健やかな産声秋の夢叶ふ
35 猫の手も借りたい師走に貰う差し入れ
36 ありがとう素直に言われ冬苺
37 運動会どべに今日だけ父やさし
38 小春日の柔(やは)し匂ひや赤子抱く
39 平らかを一途に感謝年籠る
40 初夢は伊佐爾波神社へマドンナと
41 忘年会行ってこいやと言はれけり
42 風花や大好きだよと言われたの
43 春の来る君の言葉のありてこそ
44 ハグしてもいい?小春日和のやうだから
45 先生は覚えていたと十二月
46 改札に破顔の友や冬帽子
47 男孫婆々のおふとん敷きてくれいる
48 縁側に猫丸まりて日脚伸ぶ
49 風花の朝再会し初デート
50 百万円出そうと言はれ木の葉髪
51 助っ人の諭吉舞い出た十二月
52 ゴスロリの夢から脱し雪女郎
53 全員が〆切り守る小雪降る
54 付箋紙にいいところだけ年の暮
55 百年後、ずっと続くよいつき組
56 末っ子の就職内定冬麗
57 失踪の愛猫帰り牡丹雪
58 不良の子フンと差し出すお年玉
59 挫折越え独り立つ子や野水仙
60 風呂敷をほどけばクリスマスケーキ
61 初雪や母だけ知つてくれてゐて
62 ママよりもパパが大好きお年玉
63 夕時雨傘さしくるる女高生
64 いつき組五点選ばれ春心ち
65 初夢や時計の針のもどるもどる
66 小春日の車内販売員美人
67 へこたれた日は猫寄りて玉子酒
68 親分が誉めていたよと玉子酒
69 妻を呼ぶ胃ろうせし義母深雪晴
70 冬の宿ジャストフィットとささやかれ
71 一つずつ障害超えて晦日かな
72 ひとひらのさざんか見舞い小さき手に
73 師走の夜兄帰還終戦迎う
74 お話はハッピーエンド小六月
75 初恋の女性と再婚燗熱し
76 冬夕焼そっくりな猫抱き上げる
77 ひとすじの涙の文や冬苺 
78 何なくもクリスマスイブ君といる
79 煮炊きしてわれを待つ夫冬灯し
80 冷たかろ風邪をひくなよ俺がやる
81 子にもらう厄除けブレス冬ぬくし
82 水鳥や三年越しの初デート
83 亡き父の古コートから家族写真
84 初霜や瓦礫の町のマンドリン
85 嫁ぐ娘と語りて歩む紅葉山
86 君あらば他は望まぬ豊の秋
87 俺にだけ風邪を移せと添ひにけり
88 トンネルを抜けて水曜句の春光
89 冬木立初の産声高く細く
90 覚えたての字で書く俳句実万両
91 百万本の薔薇と抱擁聖夜燃ゆ
92 帰りこよ蜜柑かおりて島ぬくし
93 小春日や幼子はパパ大好きで
94 銀杏落葉魔法の杖で一万円
95 全十巻積み上げてゐる冬籠
96 ばあちゃんの子の子のこの子毛糸編む
97 うちに飲みにおいでよサンタも来るよ
98 ナイアガラ飲み込まれてく寒昴
99 どこまでも二人三脚冬うらら
100 覆水盆に返る三寒四温
101 お年玉社会に出たる我子より
102 嬰のこえ空へと溢る冬夕焼
103 子と孫のエール冬ざれのゴール
104 大津波生還のニュース春分の日
105 アルバムのかたたたきけんクリスマス
106 小春日や行方不明のねこ帰る
107 初出品初入選の秋季展


次回兼題「竜」を含んだ句 出題者 烏天狗さん
次々回兼題「動物を詠んだ句」をテーマに 出題者 牛後さん

【兼題の分類】
季語「xx」 … 副題含む季語を入れる。
「xx」をテーマに … 内容に沿って詠む。
「xx」を含んだ句 … 単語そのものを詠み込む。



めざせ!大漁旗(167号〜173号)
 誌上句会「ザ 句会『鰯の歯ぎしり』」では、選んでくれた人の数をすべて集計し、半年間で最も点数の多い方が「大漁旗」を獲得します。大漁旗を得た方は「最新十句」を本誌誌上にて発表することができます。

〈参加方法〉
 1 「今月の投句」から好きな句を選ぶ。(選句)
 2  その句の感想を書く。(選評)
 3 「次回兼題」の一句を書く。(投句)
 ※1〜3、俳号(本名)、〒住所、電話番号を明記して、編集室「ザ 句会」宛にお送りください。一人一句まで。選句は番号と俳句を共に記入して下さい。
  番号はお間違えなく!

  今回の締切は2月6日(月)必着です。
 Eメール宛先 kukai@marukobo.com
 インターネットや携帯電話から下記の場所にアクセスしていただくと、専用のフォームを使って簡単に投句&選句ができます。
 http://www.marukobo.com/kukai/


【現在の捕れ高】

15点
みちる
半角

14点
いつき

13点
あき

11点
すな恵

10点
鞠月

8点
すだれ
杉山久子
桜井教人
元旦

7点
瑞木
迂叟
逆ベッカム
まるにっちゃん
紫水晶
錫樹智
正人


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愛媛マラソン吟行会案内


応援しつつ一句詠もう! メンバー募集

 今年もやりますっ! 愛媛マラソン吟行会。1月現在分かっているだけでも、トライアスロン世界大会出場俳人鉄人さんをはじめ、まるにっちゃん、一走人さん、ほろよいさん、逆ベッカムさん、ねこ端石さん、本誌キムチャンヒが参加。そして、新たにジャズ俳句ターンテーブルの蛇頭さんも参戦。計8名が42.195キロに挑戦する。
 完走をするには、大いなる応援が不可欠。そこで、まっことマンデーさん制作のオリジナル幟&手旗を振って応援してくれる方を大募集。もちろん、応援しながら一句ひねって頂きたい。俳句は、当日夏井いつきのブログや後日本誌にて発表する予定。


第50回 愛媛マラソン
2012年2月5日(日)9時30分〜15時30分
愛媛県庁前スタート〜城山公園(堀之内)ゴール


愛媛マラソン応援隊スケジュール
(応援隊長 あねご)
壮行会(当日午前8時、愛媛新聞社前集合)
 出発前の選手へオレンジハチマキ配布式と激励
 組長はスタートを見送った後マルコボへ移動。各応援ポイントから入ってくる情報を随時ブログにアップ。ゴールが近づいたら堀之内に移動。

主な応援ポイント
1 うつぼや前平田交差点付近(あねご班)
  8時半に到着、待機。平田交差点にて往路復路とも応援。

2 パルティフジ夏目店前(らまる班)
  壮行会終了後8時51分のJRで移動。粟井駅より徒歩でフジ夏目へ。ポメロ親父一家と合流。

3 フジ夏目店と折り返し地点を自転車できとうじんが伴走予定。どちらかの折り返し地点近くに木曜カルチャーの名物洋兄さんが応援待機。

4 本町消防署近くのガスト付近(香雪蘭班)
  往路応援。復路は西掘端の北端(若草庁舎付近)で応援。

5 復路をいつき組選手が通過したのを確認後、各自ゴール地点(堀之内)へ移動。いつき組の旗を目指して集合のこと。記念撮影あり。

※各応援ポイントに句会旗、手旗あり。(班長は事前にマルコボまで)
※移動方法、防寒対策など各自宜しくお願いします。
※情報は朧庵やメルマガなどで随時アップします。



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100年俳句計画 掲示板


 夏井いつきの出演執筆一覧

テレビ/ラジオ
NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内『つくって映像☆はい!一句』
  2月14日(火)11時40分〜
  2月28日(火)11時40分〜
※俳句募集中(兼題ムービーと投句はこちら↓のURLから)。
http://www.nhk.or.jp/matsuyama/hirutama/

NHKラジオ第1放送
『オトナの補習授業』(生放送!)
 1月30日(月) 21時5分〜
 兼題「雪」 ※傍題可
 投句締切 … 1月27日(金)24時
※リスナー(いつき組の組員?)の熱い要望にお応えして、今回は生放送!! 番組冒頭で、当日の席題を発表します。どんどん投句してくださいね! 投句は【 http://www.nhk.or.jp/r1/otona/】まで!
※ネットでラジオが聴けます! →  http://www.nhk.or.jp/netradio/

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。


執筆
Pioneer Sound Lab. 音俳句
http://pioneer.jp/soundlab/
  ウェブサイト上に組長の選評が毎日一つ発表されます。投句も受け付けています。

『俳壇』2月号(1月14日発売)
 『俳壇賞作家の今』新作10句他

愛媛新聞
 1月1日(元旦号)第六回ハタダ帰省俳句大賞発表
 「集まれ俳句キッズ」毎週土曜日

愛媛新聞(キム チャンヒ)
 「ヘンデス俳談」毎月第一土曜日 兼題「春の雪」締切 … 2月22日(水)


イベント
愛媛マラソン応援吟行会
 2月5日(日)
※詳細はブログ等で随時お知らせ。

NHK松山放送局「それいけ!俳句キッズ」ブロック大会
 東予ブロック大会
 2月11日(土)13時〜【出場者募集】
※会場 … 今治地域地場産業振興センター展示ホール
(今治市旭町2ー3ー5)

 南予ブロック大会
 2月11日(土)13時〜【出場者募集】
※会場 … 愛媛県歴史文化博物館多目的ホール
(西予市宇和町卯之町4ー11ー2)

 中予ブロック大会
 2月12日(日)13時〜【出場者募集】
※会場 … 愛媛大学教育学部附属中学校講堂「章光堂」
(松山市持田町一丁目5ー22)
※各ブロックを通過した約30名が、2月26日(日)本選へ出場。
※申込締切【1月31日(火)必着】
※参加条件など、詳しいご案内は、ポスター、チラシ、WEB等で。

今治ソロプチミスト「第6回俳句キッズワクワクコンテスト」表彰式
 2月12日(日)13時30分〜
 会場 … 今治市中央図書館3F

第10回瀬戸内海俳句大会
 2月18日(土)
  忽那島諸島吟行の旅 8時30分〜12時
  表彰および講評 1時30分〜4時30分
 問合申込先 … 中島総合文化センター 089(997)1181
※忽那島吟行への申込締切【2月15日(先着40名)】
※「瀬戸内海の風光、風俗」をテーマにした吟行会&俳句大会。詳細は同封の広告をご覧下さい。

NHK松山放送局「それいけ!俳句キッズ」本選大会
 2月26日(日)13時〜15時(予定)
 会場 … 松山市立子規記念博物館講堂 (松山市道後公園1ー30)
 出演 夏井いつき、テツandトモ、オジンオズボーン、チキチキジョニー、他
 観覧申込締切【2月10日(金)必着】


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魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

お詫び
 先月号の「代表句集2012」と「くらむぼんが笑った」において、表記の誤りがありました。

代表句集2012 コナンさん
誤 石楠花がどう咲いている理髪店
正 石楠花がもう咲いている理髪店
 コナンさんの三句目「もう」が「どう」になってしまっていました。誠に失礼いたしました。

くらむぼんが笑った
誤 冬落蝉もゆる命のしづかなる
正 冬落暉もゆる命のしづかなる 哲白

誤 かほうあり金木犀にわが恋に
正 かほりあり金木犀にわが恋に コナン
 一句目哲白さん「落暉」が「落蝉」に、二句目コナンさん「かほり」が「かほう」になってしまっていました。誠に失礼いたしました。
 達筆な文字を誤読してしまうことは大変申し訳なく、深くお詫びいたします。編集部の未熟を深く反省しつつ、楷書でのご投句、ご協力お願いいたします。


『大人の句集コン』の楽しみ方
めいおう星 昨年中は大変お世話になりました。今年は昨年の分まで二倍二倍の佳い年となりますように。最後になりましたが、81句、送信させていただきます。お陰さまで自句を振り返る良い機会となりました。少し新作も入りました。
編 振り返ってみると案外楽しい。普段は機会がないですものね。

果樹 「分母になろう」を合言葉にがんばりました。
編 すごく前向きなフレーズで好き。

とりとり 大人の句集コンテストに応募しました。そして、できあがった応募フォームの「句集イメージ」というのをプリントアウトして、ハサミで切ってホッチキスでとめたら、世界でひとつしかない可愛いマイ句集ができましたよ。みなさんもいかがですか?
編 まる裏の打ち上げ会にて実物を撮影させていただきました。手との対比で大きさの見当がつくでしょうか? とてもとてもミニかわいい!!

先月のアブクで予告してたアレ
笑松 大忘年会2011エンディング映像、YouTubeへのアップありがとうございます。ずうずうしくも、俳句米プロジェクトのほとんどのイベントに参加させていただいたこともあって、映像で、珠玉の1年を振り返ることができ、感激しています。俳句米プロジェクトなど、準備や運営にいろいろご苦労があったと思いますが、わたし自身は、苦労もせずに、思いっきり楽しませていただきました。ありがとうございました。2012年も、よろしくお願いいたします。
編 映像はこちらのアドレスから。http://www.youtube.com/watch?v=Cu1jWvamauo ちなみに1分56秒付近で笑ってる男性が笑松さんです。ナイスガイ。

十人十色の代表句
ケンケン みなさんの代表三句、とっても面白いユニークな作品ばかりで楽しく新年を迎える事ができました!
編 去年の代表句と比較しても楽しい。

新付録『季語付きスケジュール帳』
レモングラス 季語付きスケジュール帳すごくうれしいです。よし! 毎日一句唱えよう。
編 たくさんの提案ありがとうございました。2013年のスケジュール帳にて紹介する予定です!

新コーナー『へたうま仙人』
未々 2月締め切り分までは「くらむぼんが笑った」御中で良かったのでしたよね。私、未々としては今月から「へたうま仙人」御中としたいところです。「ら」抜き言葉の反則を犯して「へたうま仙人」から「喝!」をいただいてありがたいやら、情けないやらです。日ごろから若者達に「言葉の乱れは恥ずかしい」と語っていたワタクシが……、痛み入ります。
親タカ 料理も俳句も恋も“へたうま”が極意かも!? 今年もヨロシク!
編 早速「へたうま仙人」行きを選択した方々からお二人のお便りを紹介。うまい句を送ると「へたの聖地追放」になるようですが、名誉なんだかどうだか?

一月号の互選と、これからの互選
元旦 こちらに投句させていただくようになって、早いもので1年になりました。句は上達しませんが、毎回「くらむぼんが笑った」や「鰯の歯ぎしり」に投句するのが、楽しみでなりません。今回、新たなスタートを切ることになった「100年俳句計画」。こらからもよろしくお願いします。ところで、今回「鰯の歯ぎしり」は、なかったようですが、終わった訳じゃないですよね。「竜」の句の締め切りは、いつでしょうか?
編 一月号で「代表句集」収録のため休載となった誌上句会「ザ いつき組」。『「竜」を含んだ句』の締切は2月6日です。なお、雑誌名変更に伴い「ザ いつき組」のコーナー名も今月号より変わります。新しい名前は「ザ 句会」です。ストレートすぎるくらいわかりやすい。

新メンバーの紹介
春告草 はじめまして! 春告草と申します。松山から宮崎に越して六年になります。松山の空気に触れたくて参加しました。よろしくお願いします。
編 春告草さんは宮崎で俳句の種まき運動をされてらっしゃるとのこと。よろしくお願いします!

政敏 初めて投句します。宜しくお願いします。
編 最近「ぶんぶく句会」にも参加の政敏さん! こちらこそよろしくお願いします!

先月号の怪文書(「深まる謎」編)
北伊作 一月号の「魚のアブク」に載せてもらった怪文書の発送元は私です。ああやって活字になって見ますとなる程何の事やら分りませんね。実は毎年一通心当たりのない人から賀状が来るのですが、その人が喪中葉書として送って来た物の様なのです。ひらがなばかりで訥々と書いてある様子がいかにも人間味があふれていたのですが伝わらなかったかなと残念に思っています。
編 全ての謎を解き明かしてミステリー小説にして欲しい。

HAIKU LIFE
ゆき 昨年はあっという間の一年でした。楽しい通信をありがとうございました。
真鍋一 今年も拙句をどんどん投稿しますので、よろしくお願い致します。
編 2012年も皆様の生活の一部に、そして生活の楽しみになれるよう、頑張って参ります! 今年もよろしくお願いします!


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鮎の友釣り



今月はちょっとお休み。
 誌上句会「ザ 句会」と連動しているため一回お休み。来月はすな恵さんの友釣りです。お楽しみに。


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「東北へ蜜柑を送ろう」募金ご協力に感謝!


更紗

 いつき組大忘年会の賑わいのなか、紙袋をもって募金のお願いにまわるという無粋な真似をしたことをまずおわびいたします。
 おかげさまで、3時間ほどのあいだに3万3336円! そこで弾みがつき、宇和島での募金も順調にすすんで、総額10万円を超えるお金が集まり、大槌、女川、気仙沼へ10キロ入り蜜柑を計48箱送ることができました。

 いつき組の募金分は日土の山蜜柑さんが破格値で提供してくださり、15箱を大槌へ。自らも被災しながらボランティア活動に励んでおられる高橋鮮魚店さんが大槌町の保育施設6箇所255名の子どもたちへ届けてくださいました。保母さんから「味が濃くて美味しいです!」という弾んだ声の電話をいただきました。

 どこへどういう風に送ればいいのか、正直ひじょうに悩みました。
 ネットで模索しているうちに女川町の蒲鉾店さんの記事「おながわ通信」に行き当たり、虚を突かれました。曰く、「むやみに外部から支援物資を送ることは被災地の民業を圧迫し、経済を停滞させる」と。たしかに洋品店の目の前で無償で衣類が配られたり、電気屋さんの目前で暖房器具が配られたりしては穏やかではいられないでしょう。今回その辺りの事情も含め先方とやりとりして配っていただくようお願いしました。
 今後は被災地のものをネットで購入するなどして遠くから応援していきたいものです。ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。


※参考
 「おながわ通信」
 http://www.twitlonger.com/show/e4dt5l
 高橋鮮魚店「負けねべ東北」
 http://otsuchi.sanriku.in/index.shtml
 気仙沼復興商店街
 http://kesennumafs.com/



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告知


小学生対象 ミニ句集を作ろう!
2月8日16時(水) マルコボ.コム集合

 表計算ソフトを使って簡単にミニ句集が作れるプログラムを制作中。本誌3月号では、そのプログラムの使い方を紹介する予定です。
 そこで、特集に協力していただける小学生を募集します。編集室に集まって、自分だけのオリジナル句集を作ってみよう!

対象 小学生
必要なもの 20〜40句の俳句
日時 2月8日 16時集合
場所 マルコボ.コム『100年俳句計画』編集室
申込先 マルコボ.コム「ミニ句集を作ろう!」係
 電話またはEメールでお申し込み下さい。
電話 089(906)0694
Eメール info@marukobo.com



今年もやります!
毎年春の恒例 いつき組スポレク部大お花見大会2012

日時 2012年4月1日(日)8時〜20時
場所 道後公園内(愛媛県松山市)
開催時間中ならば、いつ来ていつ帰ってもOK!
※食べ物、飲み物は各自ご持参下さい。
※ゴミは各自でお持ち帰り願います。
※チャリティーミニ句会ライブあり。
雨天の場合の情報は当日、ブログ「マルコボ通信」(http://info.marukobo.com/)でお知らせいたします。
当日の連絡、問い合わせは、スポレク部本部長きとうじん(090-2821-6520)まで。



100年俳句計画投稿締切カレンダー

 
 1/31(土) くらむぼんが笑った&へたうま仙人
 zatsuei@marukobo.com

 2/6(月)
  ザ 句会
 kukai@marukobo.com
  100年の旗手感想
  魚のアブク

 2/29(火)
 くらむぼんが笑った&へたうま仙人
 100年の旗手推薦募集

 応募先
  〒790-0022 松山市永代町16-1
  (有)マルコボ.コム内
    100年俳句計画編集室
  FAX 089(906)0695
  E-mail magazine@marukobo.com
 宛先/件名に、どこのコーナー宛かお書き添え下さい。俳号/ご本名/住所/電話番号もお忘れ無きよう、よろしくお願いいたします。
 ※ページの都合上お便りを全て掲載できない場合がございます。ご了承下さい。


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編集後記


 今回で五回目を迎えた「夏休み句集を作ろう!コンテスト」の結果には、度肝を抜かれた方もいらっしゃるだろう。特に最優秀賞の「Alohomora(アロホモーラ)〜扉よ開け」は、今回の応募作品の中で最も冒険心に溢れた作品。
 小学生に限らず、俳句の入門の入口は取り合わせや一物の仕立ての「技法」を習得し、それを上手に使えるようにすることから始まる。そして、自分の心の内を17音で自由に表現できるようになり、更に自立した俳句作家と目覚めた者は、次の新たな俳句表現を求め始める。
 初学の頃は、俳句の添削や文法の正誤に関心を持ちがち。もちろん、知識がなければ、そもそも読者に自分の思いを正確に伝えることなどできない。しかし、俳句の正しさ(なんてものがあるかも疑問だが)を追求するだけでは、新たな俳句の扉は決して開かない。失敗を恐れず、チャレンジする精神こそが今求められる。
 今回の最優秀賞は、小学生でありながら、既に自分にしかできない表現を目指したところを、審査員全員が推した。こういう小学生が現れ、作品を世に問おうとしていることが、何より頼もしい。
(キム)


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次号予告 (172号 3月1日発行予定)


次回特集
ミニ句集を作ろう!

第10回まる裏俳句甲子園



HAIKU LIFE 100年俳句計画
2012年2月号(No.171)
2012年2月1日発行
価格 600円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子