100年俳句計画1月号(no.170)


100年俳句計画1月号(no.170)

注意
これは視覚障害者の100年俳句計画年間購読者のためのテキストファイルです。
通常の著作物と同様、許可無く複製/転載することを禁止します。





目次


表紙リレーエッセー
funamboleschi(フナンボレスキ) 正人


特集1
生まれてから現在までの代表三句による代表句集2012


特集2
いよいよスタート!100年俳句計画/キム チャンヒ




好評連載


作品
100年俳句計画作品集 100年の旗手
 凪太/舞/磨湧


初学道場 へたうま仙人

雑詠道場 くらむぼんが笑った

放歌高吟/夏井いつき

ART+俳句/キム チャンヒ

読み物
JAZZ俳句ターンテーブル/蛇頭
ラクゴキゴ/らくさぶろう
本家 慶弔俳句帖/桃ライス
お芝居観ませんか?/猫正宗
まつやま俳句でまちづくりの会通信/暇人
一句一遊情報局/有谷まほろ&一句一遊聞き書き隊

読者のページ
100年俳句計画掲示板
魚のアブク
鮎の友釣り
告知
編集後記
次号予告




表紙リレーエッセー


funamboleschi(フナンボレスキ)
正人

 最近、イタリア語にハマっている。今月はとある事情から急遽リレーエッセイのバトンが回ってきたので、イタリア語について少々書いてみることにする。
 日本で聞く外国語って、その種類が不思議とある程度の範囲に収まってる気がする。「ありがとう」とか「愛」とかね。
 イタリア語でもその手の言葉は結構有名。“Grazie”(グラッツィエ=ありがとう)や“Amore”(アモーレ=愛)がそう。なんとなく聞いたことないですか?
 で、エッセーのタイトルにもした“funamboleschi”(フナンボレスキ)。実に耳慣れない言葉ですな。この単語「綱渡り的な」という意味で、個人的にお気に入りなイタリア語。まず語感が好きだし、加えて「綱渡り的な」ってのが「100年俳句計画」を取り巻く状況に妙にしっくりくるからだ。
 いろんな主義主張、思想、句柄の人が集まって、俳句を核にそれぞれが健全な火花を散らす。人間のツマラナイこだわりなんて超越した楽しさが俳句にはある。そして「100年俳句計画」ってのは実に“funamboleschi”(綱渡り的)な魅力溢れる広場じゃないか!と、近頃とみにそう思うのである。


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特集1

生まれてから現在までの代表三句による代表句集2012



注意
俳句マガジン「100年俳句計画」169号にて募集した「代表句三句」をまとめました。
 各自、生まれてから2011年11月30日までに作った俳句の中から代表句を三句選び、送って頂きました。
 掲載順番はコンピュータでシャッフルし、ランダムにしてあります。
 各コメント中の丸数字(1.2.3.)はそれぞれ、一句目、二句目、三句目を示しています。


■ねこ端石(50)
ブラインド指でべこんとああ雪か
箱からは木偶と風岬を回って来た風
われからのわれからわかれられなくて

■寿山八十(84)
梯子段ひな飾られし蕎麦屋かな
秋めくや靴屋は黒がいいと言ふ
草紅葉ホームの人の無表情
1.京の奈良街道の昔旅籠が今そば屋で古はしご段々に雛さまが飾られて。3.老人ホーム交流会に。

■太郎(64)
夏木立野良犬の眼の草となる
刈られたる草まだ息をしてをりぬ
草で拭くチェーンの油冬近し
代表句と呼べる物はまだありません。しかし自分で「出来た」と思えた物を思い出して書きました。三句共草をテーマにした物としました。

■猫ふぐ(54)
雪の夜は墓掘る音が聞こえない
サングラス外さなくてもお前だろ
屁放虫皇居の森の厳かに

■しんじゅ(56)
男衆の鰯のように戦死した
いりこ干す歯科巡回の船着きぬ
小石落すちんちん井戸の井守かな
松山はいくのガイドになっての一句一遊の「天」の句を入れました。でも宇和島の城山を思った一句です。

■だりあ(69)
いまさら母のがいな人生花南天
ラバウルの海向く墓標小鳥来る
カンナ墜つ母に負けたる事いくつ
一句目は「ひるたま俳句」で組長に取られ、額にした。丁度、母の十年の法事で見せると一族郎党納得。思い出話に花を咲かせた。

■おむすび(8)
たんぽぽや二ひきの子犬はこかんだ
日よう日晴れのちくもりさくらもち
木のねっこ青うめがおどってる

■山野遊造(71)
夏の空キットに余るネジひとつ
ソーダ水百円ほどの恋でした
落葉掻独りハミング恋のうた
恋の句。冬は侘しいし春は生々しすぎるか?

■ぱむだ(42)
ホットクのぬくみ釜山の長閑かな
再婚を決めたる夜の関東煮
いらだちを結晶にして緋のカンナ
数年前からあまり変わっていません。1.は俳缶で最もよい成績だったもの。2.は句会で最も選をいただいたもの。3.は句会で評判だったものを更に添削していただいたものです。

■和音(49)
犬が死ぬ石榴のような尿出して
ふらここに乗せたる犬の無表情
秋晴や母の綺麗な脳の皺
13年間、家族だった犬との別れを経験しました。私たち家族に喜び、楽しみ、絆、癒しをくれた犬は、壮絶な死に様で生きた証を残して逝きました。生涯忘れることはないです。

■すな恵(45)
ふらここを押しやる空の深さかな
猿渡すための橋なり山粧ふ
確定申告貼りなほす糊匂ひけり

■エノコロちゃん(56)
豊年の大鋸屑厚き宮相撲
白きもの八手の花と残る月
茎の石緑泥片岩15kg
1.こちらの新聞の文芸欄で11年11月13日に第一席に。2.「一句一遊」08年11月14日に第11金に。この秋、身の回りの三名もの大切な方々が逝かれて、しみじみと読み返しています。3.同じく09年11月27日に第13金。

■彩子(あやこ)(62)
過ぎしもの青年秋風ビートルズ
土を買ふくらしのばらを剪りにけり
旅人よ雪にて手などすすぎたまへ
1.はじめて「ひよこ句会」へ参加した時の句。2.3.「俳句マガジンいつき組」投稿句。あまりにも選評がすばらしく、選評の世界に泣きました。組長、三月さんへ御礼を込めて。

■笑松(55)
大空のまるごと動く南風かな
御神水きらめき井守静かなり
原っぱのある町に欲し虹予報
松山に赴任し俳句に出会って季節がひとまわりしました。素晴らしい句縁に感謝しつつ、俳句生活を楽しんでいます。1.2.は、それぞれ俳句の缶づめと一句一遊で金曜日にとっていだいた句。3.は気に入っている句です。

■山の雪(やまのゆき)(69)
蓬莱やしんしんと湯の滾る音
無患子や四十九日の不意の雨
代掻きを黙し見つめる道祖神
1.は、年越しでみんな遅くまで起きていたので元朝は静かです。2.は、兄が亡くなり喪失感にある中、屋根をたたく雨の音に気づきました。3.は、子どもの頃に育った田舎の光景です。

■一走人(61)
緑の週間火の国肥後の花時計
乾ききる大暑の鼻の穴二つ
漆黒の海吠ゆる夜真羽太鍋
2011年の一句一遊で金曜日と天の句です。

■まるにっちゃん(52)
母はただ父と遍路へ出たかった
古傷のひとつ語ろか五月闇
我もまた父の匂ひやタオル拭く
つらい時悲しい時心の片隅にいつき組。これからもずっと居心地の良い場所でありますように。組長、組員さん、ありがとう。

■マイマイ(45)
炎昼の迷子の影が僕だった
初夏の太陽、海は多面体
むくげ見たむくげ落ちているのも見た

■千子(53)
しゃぼん玉空咳一つ嘘三つ
あれがオリオン座君の指ばかり見る
結願を踏みしめる足鷹渡る
一歩前進二歩後退ぎみの句作です。苦作、句作と、がんばってます。

■理酔(50)
虚ろなる鮫の目玉よ愛国よ
鮮血や鮪は海をぶちまける
鉄路煌々春夜の握り飯

■いつき(54)
水中花の夜はガラシャのことおもう
野茨や寓話のような月である
二つ目の月産み落としそうな月
「なんでこんな句ができたんだろう?!」と自分で自分のことを不思議がらせたい。そんな感触の三句を今年は選んだ。

■あねご(56)
木が枯れるやうに死にたき柿日和
家出計画一時中断栗ご飯
豆莚叩いて畳む宿場町
今年一番一生懸命に作った3句です。

■レモングラス(64)
春の風受けてマイ箸削ります
草の根の怒りは深し涅槃西風
ギヤマンの赤百年の冬の宵
エコをテーマに俳句の種を探してあれこれと。

■州麻子(51)
椿の実ころんどこかで星滅ぶ
てのひらの桃の脈打つまで待たむ
雪よわたしは耳だけになつてゐよう

■藤実(35)
サルビアの記憶は吸ってしまいましょう
まづ光のびて生まるるしやぼん玉
毛糸編むドヴォルザークの星空に

■とりとり(54)
忘れ物です赤ちゃんの春帽子
あっぱっぱ脱がれてドーナツのかたち
しみったれた山茶花の咲く家でした
とくに口語俳句を目指したりはしていませんが、今気にいっているのはこの三句です。

■香雪蘭(54)
我が星に半分の死角夏野原
ひょいひょいと蝶々右肩が重い
寡黙なる父に補聴器終戦日
今年も過去の栄光にすがりつきます。句柄に統一性のない一発屋と言われてもかまん、かまん。でも、一句一遊で天なんか取ったら考えます。

■ふーみん(39)
鈴なりの今宵の星に南風吹く
団栗の山照らしたる星の渦
砥石の水しぶき勤労感謝の日

■クローズ(37)
友を待ちビート刻みし秋扇
団栗を川にぶん投げバスに乗る
蟷螂の修羅の構えに後退る

■まっことマンデー(61)
ハーレーのドッドドドドド花の風
夏近し十一匹の母強し
初孫に花の名付きぬ小春空
これからは孫の成長を句に詠んでいきたいです。

■無窮花(むぐんふぁ)(43)
磨かれた石版に影大暑の日
寒鯉の目透き通った空を見た
炎中に父の魂あずけけり
2011年は、大きな地震や父の死に遭遇し、改めて生きることを深く考える機会となりました。今は俳句でその時々の思いを表現できる喜びをかみしめています。

■蓼蟲(64)
五月雨や四十九日を容赦なし
霜踏めば墓にも薄き霜の華
線香の緩き崩落梅雨に入る
1.早世した義弟の納骨(2008年)。2.小諸、亡友Kの三回忌(2009年)。3.養父を送った(2010年)。

■みちる(63)
鶏頭のごとく焦っている男
海桐の実割りて微かに海を嗅ぐ
邯鄲の声を栞に書を閉づる
1.は2007年の組の句会特選。今でも、我ながら気になる句。2.は2008年の石田郷子先生との吟行の際の最高点句。3.は去年のマガジンの「地」。「天」に今一歩及びませんでした(残念)。

■空(56)
卒業の子と踏切を待つ間
そういえば聖夜空調のカラカラ
ほら雲が鶴飛ぶかたち冬立ちぬ
去年は自分に自信が持てなかった一年でした。なので、ほめられてうれしかった句を選びました。

■みゆみゆ(34)
輝くシンクや勤労感謝の日
鰯雲劣等感に砕け散る
木犀の降りて番犬くしゃみする
11月29日、理酔兄さんより俳号をいただき、『みゆみゆ』から『Blanca(ブランカ)』にいたしました。どうぞよろしくお願いいたします!

■ひまわり(10)
学校の朝は詩を読む桜の実
海霧見える日本の旗は赤と白
桜漬きらきら星のがくふかう

■蓮々(67)
どちらからともなく触れて春の鳩
桜ひとひら信号を待つゆとり
こだわりはハンカチの角合わす事
家には色々な鳥が来、特に鳩は庭木に巣を作り卵を抱き巣立ちまで楽しませてくれます。この歳になると肩の力が抜け、日々心静かに過ごせる事が一番の幸せ。俳句はいつまでたっても上手くはなれませんが私なりに楽しませて貰っております。

■なんなん禅師(49)
義経も屋島も波も霞かな
海豹や北の獄舎は緋の獄衣
越前は雪と波濤と八百比丘尼
俳句を通じさまざまな時代に思いを馳せていきたいな。

■瑞木(48)
欲しいのは芒の向かうにある芒
コスモスの荒れてキリンの長き舌
なまめくや鯨は夜に溶けきれず

■安(37)
墨と毛のくい込む紙にはねる汗
つばえられん言われてニヤリ雨蛙
父の飾りし餅花ふわり見送られ
子育て真っ最中! でもその中で、皆に支えられながら書道に打ち込む今の私をよく表した俳句たちです。

■正人(26)
秋の蝶遺伝子実験棟へ消ゆ
握力の失せて刈田はまだ六分
よろこんで愛の奴隷になる花野
一句残して二句チェンジ。この一年いろんな句会の皆様に育ててもらって嬉しい。自分の味を模索するともなく模索中。いつかイタリア語で俳句を作ってみるのが野望。楽しくないと俳句じゃないぜ!!

■山の風(65)
魚の影すべる水底梅青し
郵便夫来るや新茶の輪の中に
秋の田を急ぐ自転車産婆かな

■松ぼっくり(71)
雪形の龍立山の峰走る
秋鯖や光るゴム長走り出す
露天風呂はにかみおはす龍田姫
師匠に言われています、「俳句作りは苦しむものだ」と。これからも、その苦しさの中に、僅かに喜びのしずくのあるのを頼りに、作り続けたいと思っています。よろしくお願いします。

■相原しゅん(あいばらしゅん)(34)
噛みちぎるレタスが生きてゐるしるし
よそ見する整列の子と向日葵と
八月をきれいに洗ふための水

■ノムケン(9)
石なげて春の氷がわれていく
ばあちゃんの家で見つけたはえたたき
ドシラソドシラソちらちらこゆき

■さわらび(71)
挨拶の届かぬ春の水音かな
虫干や財布の奥の舌下錠
一切をとどめず元朝の大河

■あおい(54)
裏庭に届きし母の茎の石
室咲や和紙の小箱のこんぺいとう
五倍子干して祖母山の風清かなり

■ザッパー
てふてふとピカソの鼻はまがりをる
徳利も爺もごろごろ松の内
溺れても好きな夏
真剣に作句すると川柳っぽくなってくるのだ(笑)。

■漫歩(47)
アイロンの匂いの部屋やつくつくし
勲章や父よ歩めよ冬菊へ
シベリアの春泥踏みし足ぞ立て

■もね(57)
探梅や活断層に日の柱
この山が力士の生家蕨餅
階段のきしきし朧なる湯殿

■ケンケン(40)
走りたいときもあろうにナマケモノ
巨人だの阪神だのとトマト鍋
千年後も白雪の降る地球です
ナマケモノのように少しずつ前進して俳句も少しずつ上手になりたいです。「トマト鍋」のような新しい言葉もどんどん取り入れたいです。

■信野(82)
こぶし咲く二十才の頬の光りいて
合格す辛夷一輪ましろなり
母のいてこそ故里よ母の日よ
1.庭に大きな辛夷の木がありました。2.姉と弟、俳句の読める大人になりました。

■有谷まほろ(35)
新涼や影の下地に塗る紫
桔梗の折鶴ほどに尖るかな
初星や連結解かれゆく列車
1.2008年秋、互選大漁旗記念10句より。2.一句一遊で、好きな花である「桔梗」の兼題週に“天”を獲得。3.一句一遊の新春スペシャル句会ライブで“天”を獲得。

■ひでこ(76)
殺処分きまりし牛に緑雨かな
泥つきし卒業証書渡される
フクシマと片仮名表記原爆忌
三月十一日に起きた東日本大震災でゆかりのある福島県は三重苦です。一日も早い復興を願ってやみません。

■元旦(53)
梅雨晴れ間ポロナイスクの空までも
名月は雲上三十八万粁
春の泥なかったことにあのことは
代表句がたくさんありすぎるので迷いました(爆笑)。何かのときに無意識に口にする句を、エイヤっと選んでみました。次回は人様から代表句と言われるような句ができればいいのですがね。

■西条の針屋さん(50)
水鉢に浮かぶ故郷や夏の月
御空より焼けつく街に打水す
秋祭り別れを告げる夜行バス
なかなか成長がありませんが、昨年出した俳句よりは少しはましな俳句になったような気がします。

■くみ乃(の)(52)
湯之街の緑青の屋根燕舞う
運動会顔きらめいて葡萄
まだ来ぬと月の光に聞きにけり
俳句ガイドさんに誘われて、俳句デビューの1.の句。御馳走に目がくらみぶんぶく句会にて2.の句。そして3.句へと……これから一歩ずつ、頑張ろうっと!

■ミズスマP(49)
あいまいな世界おでんに仕切りがある
カエル鳴くたびに膨張する宇宙
LOVE & PEACE 子馬がうんこする
宇宙に世界にラブとピース、われながらあきれます。

■樫の木(46)
星座みな涼し鉄鎖に繋がれて
白鳥の鞴のごとく哮りけり
厄落し銅貨に黒き硫黄臭
1.は大木あまり氏の「星涼」を読んで触発された句。2.3.は吟行句。実感の伴う句を作っていきたい。

■まんぷく(57)
春風と100円文庫の山頭火
どくだみは塀の根方が好きである
柊に口づけせしやその傷は
毎年自分の代表句になるような句を作れたらと思いますが、毎月四句投稿するのに四苦八苦しています。

■お手玉(77)
水飯かっこみ寄合のどんじりに
代掻や月沈ませる千枚田
牛蒡引く晴天明日は村祭
1.は一句一遊で天に選んで頂いた句、2.と3.は金曜日に残った句です。

■曼珠沙華(56)
剣山に止まりたがる蝶である
硫金の尾びれひらひら夕陽かな
銀杏を炒って帰りを待ってやる
今年も1年が過ぎました。俳句始めて何年?と聞かれることが……。

■えつの(78)
三秒に一点滴や冬の雲
点滴の九十本目虫しぐれ
いのち得て今日は抜糸日百日紅
生かされている事に感謝し、「いのち」の代表句とします。

■1(いち)(54)
夜食まで後八本の矢となりぬ
新涼や川の青石捨て草履
霊峰や三の鎖にてんと虫
最近、アーチェリーを始めました。子供や車椅子の人も夜遅くまで練習しています。

■まくわ(41)
若水は小さな鈴の音の粒
ざぶるんと魚のはらわた春の雪
洋裁の御仕立て抱え春光へ
好きな句を一句だけ入れ替えてみました。

■美和(49)
日本に鬼の伝説日雷
風鈴の音散らかして海の風
ヒロシマと片仮名書きをして晩夏
一句入れ替えました。いつの日か句集をつくりたいと思いますが、その選句はもっと大変なことになりそう。選句は難しいです。

■みゆう(11)
歯にくくる糸は夕立雲の色
自転車のカゴにメモ帳木の実ふる
こすもすや心のなかに空ひとつ
1.はぴかちゃん俳句大賞小学生の部をとった句。2.シクロツーリズム自転車句会ライブ大賞を見事にとった句。3.第五回夏休み句集をつくろう!コンテストで、一句賞優秀賞をとった句!! 2012年もガンバリマス!

■きうい(56)
家系図にツルさんカメさん水羊羹
核心は酸っぱき二十世紀梨
きりたんぽ火結神笑ろたらし
今年は食べ物句が気に入ってます。

■もんきち(55)
日焼けせし人力車夫のふくらはぎ
そびえ立つスカイツリーや夏の果て
ベレー帽似合う婦人とソーダ水
夏休み、娘のいる浅草に旅行に行った時の句です。

■果樹(51)
海沿ひにつまの涼しき返事かな
花茣蓙の涙のやうな匂ひかな
手花火の闇のいちばんまへにゐる
夏の句ばかりに。

■小木さん(58)
いやになるほど好きだつた妻もういない
虫籠のなかより妻の匂ひかな
妻よりも少し無口な竹婦人
平成23年1月9日にあっけなく妻が天国に召されました。娘の真央との二人暮らしも早や一年。叱ってくれる妻は、いないのですが娘の真央がかわりに叱ってくれています。元気ですよ。元気です。

■兼光(62)
霾や*に続く文字
トルクメニスタンアシハバードの蝿
三伏や父の残せる露佛辞書
代表3句を差し換えようとあがいていたが、結局昨年のままに。2012年はスタートダッシュから代表句を差し換える意気込みで少しは真面目に俳句に臨みたいと思います。乞うご期待。

■更紗(53)
蒲団より母の手私を離さない
母の眼に私が映る遅日かな
父母を抱く火山や天高し
いろんな病に苦しみぬいた母が逝った。あの世では安らかにいて欲しい。

■八木ふみ(55)
春光や城祖高虎海を向く
珍客に水盤の水さざめけり
帰省子の置土産なり拾い猫
今年の三句は、思いがけなく賞をいただいた記念の句です。まだまだまぐれ当たりのような句ですが一歩ずつ進んで地道に俳句を楽しんでいきたいと思います。

■豊原清明(34)
夏燕少女の青い顔が見え
蝙蝠や息して寝まる少年兵
滴りや爪蒼くして座する我
1.は朝日俳壇に入選した句。2.3.は没句です。今年は病気になった。句作が癒しです。

■磨湧(14)
八さいのわたしとおわかれ夏の雲
霜月のおどかしてくる大きな木
惨敗のジュースが汗をかいている
それぞれ思い出深い三句。少しずつでも続けることが大切と実感している今日この頃。

■亀城(54)
枕木はつめたからずや春のてふ
枇杷の種その光沢を地に返す
ほほづきほほづきここはかつては弾薬庫
今回は一句入れ替えてみました。

■ゆき(63)
五月かなぐるり地球の見える丘
髪洗う指に力の戻りきて
新生児室開け放たれて風薫る
いざ選ぶとなると、難しいものだと思いましたが、自分の中で、希望にあふれたものという視点で自選いたしました。

■あんばい(74)
投げパンに亀の飛びつく夏来る
入梅や大気の海の底に住む
噴水の飛沫水面の風となる
2.3.は今年の句に入れ替えました。2.お天気博士、倉嶋厚さんに捧ぐ。3.一番好きな最近の句です。

■魔心地(41)
蛍待つ水辺に三日月渡りけり
天の川娘の小さな恋照らす
星砂のコルク抜き待つ流れ星
春夏秋冬の季節の流れの中で、3人のこども達と色々な経験をし、日々、成長を感じながら、俳句を作っています。撮りためた写真とともに、この俳句たちも、いつかこども達に贈りたいです。

■鞠月(34)
甕に星落つればどこからか守宮
氷水今日は歴史に残らぬ日
イヤホンを捨てて夏野の只中へ
俳句を始めてから、毎日がとっても楽しく刺激的になりました。1.自分としてはチャレンジした句、2.句会で褒めていただいた句、3.今好きな句、を選びました。

■緑の手(56)
飛ぶ雲を繋ぐさるとりいばらかな
黴の白衣焼かるやジャンヌダルクの如
天の川鳥の名を持つ汽車あまた
1.は俳句王国で特選をいただきました。2.は、闘病中くらむぼんで天をいただいた句です。3.は、一句一遊でたくさんの句友が喜んでくださった句です。

■文月(50)
舟虫の散り散りサイドカーに犬
子規歌集秋の彼岸の灯にひらく
銀河澄み玻璃の耳環の鳴りそめる

■めいおう星(53)
春愁よりゆふむらさきを抽出す
いわし雲篩へば砂金のやうな星
夜のペットショップは少し月へ浮く
去年は、低調と言えば低調、思索と言えば思索の一年でした。今年は、試行錯誤を楽しみつつ少しでも先へ行けたらと思っています。

■南行ひかる(57)
秋蝶の震へる脚の掴む地よ
かざはなのたがひにふれず地にきゆる
断崖の原発岬雪しまく
去年は杏子先生に惚れ杏子先生を愛した一年であった。従って代表句はまともです。

■ポメロ親父(53)
湯豆腐の熱くて津軽じょんから節
春愁をぺたぺた付箋紙のピンク
湧き水のゆたかに暮らし更衣

■さち(47)
小鳥抱くように夫の手に無花果
おがみばあばの傾ぎし家の夕化粧
オルゴールの棘には春の月の影

■久乃(26)
夜の秋影絵の犬の歌う無音
いつまでも晴れてる砂漠神の旅
冬銀河バベルの塔をまた登る
伸びしろのあるうちに総とっかえしておこう。今年もガンバル。

■輝女(62)
日を食ふと言ふ月のあり風凉し
梅の山登りて眺む梅の海
もろこもろこ湖の鳴る音聴こえたか
1.2.は私の好きな句で昨年と同じ、3.は一句一遊で初金にして初天を頂いて大喜びした句にしました。

■ソラト(51)
着膨れし平時核攻撃を待て
少年に邪気はんざきに赤き口
朝顔やフランスのかたちした雲
まる裏を全力で楽しんだことが100年の旗手につながったのかなと感謝しどおしです。組長の叫ぶそれがあなただけにしか表現できないことなのってこと、短詩形だからこそ不思議と近き無限かな。

■十亀わら(33)
火を焚きて指さびしがる春祭
椿まで息を止めあふ遊びかな
あすといふ日を裸木の抱きしめる
上京して七年目を迎えました。東京ロマンチカの皆様に感謝。四月、娘を出産しました。1.2.わが松山の椿祭に捧げる二句。3.東日本大震災。明日の希望を祈ります。

■権ちゃん(62)
ひとふりのコショウで美味し暮の秋
山頭火の遺品百点冬ぬくし
カタカナの雨が降ります目高の子

■べんとう(12)
紫陽花の色考えることの意味
コインの波紋ふるえない泉
鮟鱇のみ込め降り注ぐ星を

■唐草サ行(50)
ケルン積む天に標のなかりけり
月天心外輪山の湖を抱く
この道の海に続けと秋深し
季語を使い美しい九州の風景を詠んでゆけたらと思います。特にケルン積むという季語が好きです。

■睡花(48)
春闘のビラ回し読む昼休み
藍を蒔く川の向こうに染め場あり
パラフィン紙かさりと落ちる漱石忌
一句一遊の投句より。

■みかりん(50)
落下するやうに桜の空へ鳥
ワタクシノ秋思ノタマゴトリオトス
星静か船首深秋へと傾ぐ

■西連寺ラグナ(47)
湖は柩万の椿を仰向けに
雪崩晴れ空より屍降ろさるる
臍の緒は薄荷の匂い桐一葉
昨年より、ハイクライフ(マガジン)、一句一遊、俳句の缶づめ、より一句ずつの選択としました。今年は、もう少しライト感覚と云うか、軽くてオシャレな句に挑戦しようかと企んでおります♪

■西原みどり(38)
節分や家出のすすめ読み終へて
淋しさは鳴る猫じやらし猫じやらし
子を抱くや急患室の夜の雪

■柊ひろこ(59)
春昼を牙だるき狼でゐる
狼がモーツアルトの名の中に
狼疾や外套を着て彷徨へる
1.2005年。2.2009年。3.2010年“狼”の入った句ばかり選んでみた。シートン動物記「狼王ロボ」が子どもの頃の愛読書だったためか親しみ深い存在。それが俳句の季語と知ってびっくりしたことだった。

■銀猫(37)
繍線菊の下より猫の目の一途
水盤の響く夜猫の舌赤し
鈴音は働く誉れ田掻牛
今年はすべて動物の句です。春先に猫を引き取り、大切な家族となりました。

■人日子(65)
班長の歯磨きはやいキャンプかな
これ以上欠けぬ月あり山女釣り
淋しさの十年過ぎて金魚飼ふ
1.「第七回歯いく大賞」の優秀賞。2.一句一遊の金曜日。3.「くらむぼんが笑った」の「地」。

■のり茶づけ(56)
不知火や他人の空似ゆき過ぎる
一山は竜田姫なる心の臓
雪やこんこん待つこと生業として

■鯛飯(60)
セルふわとマッカーサーの頃の風
二十六聖人祭海鳥の羽光る
寒潮や鷺の骸の運ばるる

■黄花秋桜
しもつけの花転がして万華鏡
袋掛あれは昭和の唄ですね
探梅の一人に似たり一輪も

■省三(82)
天空も冷たかるべし山ざくら
山ざくらのこまかきひかり魂しづめ
晩年の安心あらず茶が咲けり
冷たい光の山桜。それが生みだすあの凛とした佇いに魅力を感じ、毎年、詠むことにしております。3.は、現在の心境です。

■岩宮鯉城(75)
遺骨なき被爆の叔父の墓洗ふ
広島の真ん中といふ残暑かな
亀の声まだ聞きたくて生きてゐる
1.俳句界俳句ボクシング田中陽選チャンピオン句。2.平成22年度NHK全国俳句大会寺井谷子選秀作句。3.いのちの俳句一般の部夏井いつき選優秀句。

■青柘榴(54)
ゴシックの影連れ歩く大暑なり
草むらの球を総出の夏帽子
冷奴日本一の低き山
8年を振り返り、すんなり詠めて、気に入っている句です。

■平山南骨(43)
ソーセージ剥けば撓ふよ百千鳥
煙草銭ほどの昇給黄砂降る
夏草や墓場から見る競輪場
三月十一日からの数日間で、日本文化の優位性だの豊かさだのということは妄想に過ぎなかったことが証明された。これほどまでに自然に対して傲慢な文化はなかったのではないか? 俳句で憂さを晴らすしかない。

■渡辺瀑(51)
花曇泣きだしそうな麒麟の眼
虎落笛に雑じりて強き硫黄臭
海からの雪優駿の静養舎
雪の句は2011年のマル裏の決勝用の句。毎年日の目を見ないまま終わってしまうのです。

■杉山久子(45)
うぐひすに裁かれたくもある日かな
かほ洗ふ水の凹凸揚羽来る
日盛や仏は持てり金の舌

■錫樹智(47)
白酒の香の息をして狆呼ばふ
海豹の個体識別票拾ふ
蟷螂の首抜けば糸引きにけり
総入れ替えしてみました。動物の句ばかりだなあ。

■牛後(50)
長靴に雪の入りたる御慶かな
花冷の詩を刻みゆくシュレッダー
行く春のいつか何かに使ふ箱
今年限定で、角川俳句賞の選考座談会で池田澄子さんにとりあげて頂いた句を代表句としたいと思います。こんなことは二度となさそうなので。

■大塚めろ(55)
饅頭に人相のある日永かな
あっぱっぱ正義が勝ったりする映画
悶着もあったでしょうに雁の列
毎年三句を考えながら、胸に手をあてています。本当です。

■浜田節(64)
帰省子の言葉少なくなる空港
落鮎の泳ぐ形を頂きぬ
蝸牛鳴くならきっとこんな夜

■紗蘭(13)
春の城造る小石のひとかけら
緑の週間ジョウロの裏のバーコード
着色料一滴混ぜるほどに夏
1.今治句会ライブで。2.絶滅危急季語辞典に載った句。3.くらむぼんで初めて「人」に。今年一年は私のこれまでの人生の中で一番大きく変化した年だったんじゃないかなと思います。これからも俳句を「楽しんで」作ります!!

■雪花(60)
提供は石鎚神社年暮るる
まずマント褒めて酒宴のはじまりぬ
筍の熔岩のごと噴きこぼる
初めて代表句を選んで見ました。くすっと笑える句が好きです。それが金曜日2.だったり特選1.3.だと嬉しいです。これからどう変わるか楽しみです。

■鍛冶屋(46)
豆ごはんあした補助輪外そうか
鹿の足ぶら下げ大叔父やって来る
金床の音爽やかに鎚を振る
地区の水番、「100年の旗手」の連載中に再婚と慌ただしい一年でした。

■波留夫(70)
新緑や水に映した角隠し
島影に消ゆるタンカー春浅し
霧襖ほどけて峡の古刹浮く
1.倉敷美観地区にて。2.鷲羽山にて。3.四國別格二十霊場めぐりにて。

■西条のユーホふき(42)
アロハシャツ着る無口な職人だった父
ヘリオトロープ咲く胃液はいた夜
6月は誕生月よと妻にやり
1.2.はラジオ番組一句一遊で金曜日に詠まれました。3.は人生初の俳句(?)です。

■キム・チャンヒ(43)
切なくて穴さえあれば巣箱
ハロー、コスモス、僕はギターを弾いている
皿のキノコが人間に見えてきた
去年はオリジナリティと自己模倣の狭間の一年だった。なので、去年のまま。自分ならではの、新しい技の開発が急務。

■有花(10)
春の虹しゃがんでシュートてっぺんへ
初めてのラケット重くあせ光る
しまなみをパラグライダー天高し

■ほろよい(62)
二十六聖人祭の雲が歌っているんだよ
酒瓶を提げて小鬼の豊の秋
木星を放ち立冬の石鎚
疲れてきたら、空を見る。「青い空」「白い雲」いつも同じ俳句になりそーやなー。「一句一遊」と「ぶんぶく句会」の句です。

■神楽坂リンダ(60)
目薬は震へて春の日を集む
あすひらく鉄砲百合のごとくゐる
梟の風つよければ高く飛ぶ
ドライアイなので相変わらず一日数回目薬をさしています。

■あき(43)
花びらが落ちてがしゃんと割れるとは
耳の水こぽんとあふれ原爆忌
鯨さわぐ子どもの夢を聞いた日の
聴覚で感じること、オノマトペで表現することが実は割と私の好みだと気づいちゃった2011年。

■逆ベッカム(55)
震災の紙面に巻ける薔薇赤し
向日葵や避難所仕切るダンボール
苧殻焚く遠くに海の匂いする
今年は「100年の旗手」に掲載させていただいた中から選びました。募集内容にそぐわないことをお許し下さい。

■柊つばき(62)
しあわせは小さくていいねこやなぎ
室咲きや宇宙のはしの水の星
父と取る川えびが好き秋の水
3.はコンテストではじめて賞をもらったものです。自分でもびっくりしています。

■こぼれ花(63)
渋柿を甘やかしている太陽
火の国へひと駅ごとに雪深む
夏の月飛び出しそうな竹箒
1.はやっぱりはずせません。代表句と言うより座右の銘かな。あとの2句は2011年の作品です。来年は、また更新できるよう修行に励みます。

■コナン(62)
夫の背に幸と書く日向ぼこ
露草に染まりし杖の一歩かな
石楠花がどう咲いている理髪店
一向に上達のない私に反省の意を込めて初期の三句を選んでみました。



俳号一覧


ねこ端石
寿山八十
太郎
猫ふぐ
しんじゅ
だりあ
おむすび
山野遊造
ぱむだ
和音
すな恵
エノコロちゃん
彩子(あやこ)
笑松
山の雪(やまのゆき)
一走人
まるにっちゃん
マイマイ
千子
理酔
いつき
あねご
レモングラス
州麻子
藤実
とりとり
香雪蘭
ふーみん
クローズ
まっことマンデー
無窮花(むぐんふぁ)
蓼蟲
みちる

みゆみゆ
ひまわり
蓮々
なんなん禅師
瑞木

正人
山の風
松ぼっくり
相原(あいばら)しゅん
ノムケン
さわらび
あおい
ザッパー
漫歩
もね
ケンケン
信野
有谷まほろ
ひでこ
元旦
西条の針屋さん
くみ乃(の)
ミズスマP
樫の木
まんぷく
お手玉
曼珠沙華
えつの
1(いち)
まくわ
美和
みゆう
きうい
もんきち
果樹
小木さん
兼光
更紗
八木ふみ
豊原清明
磨湧
亀城
ゆき
あんばい
魔心地
鞠月
緑の手
文月
めいおう星
南行ひかる
ポメロ親父
さち
久乃
輝女
ソラト
十亀わら
権ちゃん
べんとう
唐草サ行
睡花
みかりん
西連寺ラグナ
西原みどり
柊ひろこ
銀猫
人日子
のり茶づけ
鯛飯
黄花秋桜
省三
岩宮鯉城
青柘榴
平山南骨
渡辺瀑
杉山久子
錫樹智
牛後
大塚めろ
浜田節
紗蘭
雪花
鍛冶屋
波留夫
西条のユーホふき
キム チャンヒ
有花
ほろよい
神楽坂リンダ
あき
逆ベッカム
柊つばき
こぼれ花
コナン



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特集2

いよいよスタート!100年俳句計画/キム チャンヒ



 本紙は、1997年8月『ミーハー吟行隊通信いつき組』として、八ページの新聞からスタートいたしました。その後、2004年6月『俳句マガジンいつき組』として現在のスタイルとなり、いよいよ今月号より、誌名を『100年俳句計画』と改め新しいスタートを切ります。
 「100年俳句計画」は、本誌の精神を表す言葉として、2006年4月号に登場しました。それから約6年が過ぎ、本誌の取り扱う内容は、俳句を中心に、創作はもちろん、教育、医療/福祉、観光/経済など、多岐にわたるようになりました。
 沢山の方と共に、『100年俳句計画』という合言葉で、豊かな俳句文化を育む礎となれるよう、新しい企画を提案してゆきます。
 今後ともよろしくお願い致します。

『100年俳句計画』編集長 キム チャンヒ


新たな企画続々!

 今月号の「くらむぼんが笑った」をはじめ、今後新たな企画がぞくぞくと登場します。
 まず、「くらむぼんが笑った」は、「雑詠道場」となり、へた俳句をこよなく愛す「へたうま仙人」のコーナーと俳句の技を学ぶ「くらむぼんが笑った」のコーナーとに分かれ、俳句の超初心者から中、上級者までの雑詠欄に生まれ変わります。
 また読者の選んだ俳人が登場する「100年の旗手」に二回以上登場した方や俳句総合誌の賞を受賞または最終選考まで残った方などを中心に、新しい作品欄を開始します。
 更に、20代俳人の活躍の場であった「100年への軌跡」を、沢山の若手俳人達が集う作品集の欄にリニューアル。
 他にも、本誌選評大賞に入賞された方々による俳句の選評欄や、さまざまな俳句のとりくみを行っている方へのインタビュー記事などを計画中。
 俳句を作る人も、読む人も楽しめる誌面に生まれ変わります。乞うご期待!


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読者が選ぶ人気俳人!

100年俳句計画作品集 100年の旗手


(2012年1月号 〜 2012年3月号 1/3回目)


 家族 凪太 

慢心や蟷螂背後よりつまむ
双子座の今日の最下位着ぶくれて
悉く訃報毛布を出られない
塩鮭を割るや母子の開戦す
コンビニをたゆたうチャイム一葉忌
十二月喪服ぞろぞろ降ろすバス
風呂吹に集え中間管理職
給料日前祝福の夕霙
舌戦や鯛焼ほどの免罪符
のっぺ煮やのっぺのような家族です


 新潟の自営業、凪太です。
 綱渡りのような一か月目でした……。



 さぼうる 舞 

パイプ椅子ふたつ持ち寄り青写真
確かむることのありけり冬の蝿
蓮の実の飛んで遺憾の意を表す
ほのほのと大地の匂ひ蕪引く
自転車を置かせてもらふ青木の実
予備校の枯葉明るき音たてて
さぼうるに頼む珈琲暮早し
マフラーを膝に畳みて聴く落語
井の頭公園口のおでんかな
象の耳はたりはたりと雪来るか


 関東在住。2003年4月職場に句会が出来たことがきっかけで作句開始。
 2007年9月俳句の缶づめ初投句、2008年2月ロマンチカ句会初参加、現在に至る。



 愛と誠 磨湧

自分を捨てて暖房に負けた
ラグビーと愛と誠と足の爪
青い黴生えた保健室の毛布
短日の痣は左側にだけ
水鳥の遠くクレーン車の近く
水仙と情緒不安定な魚
夕時雨ピアノに映った泣き顔へ
冬の蜂好きなら鏡にも怒って
空っ風赤く書かれた落書き禁止
全力で息をして冬木立に勝つ


 お喋りでお調子者。
 それでいて恥ずかしがり屋。
 そんな中学2年生である。



読者が選ぶ人気俳人!
「100年の旗手」連載者推薦募集

 今求められているのは、読者が読みたいと思う俳句作家。「100年の旗手」は、連載する俳人を、編集室ではなく、読者が選ぶコーナーです。
 「この人の作品集を読んでみたい」と気になる俳人を、1人3名まで推薦してください。その中から、推薦の多かった方に、編集室より原稿依頼を行います。
 あなたのお勧めの俳人を是非推薦してください。

 推薦の方法

 「この人の作品集を読んでみたい」という人を3名まで選んで(自薦は不可)、その俳号と活動場所(俳句の缶づめ等)/推薦者ご自身の俳号(本名)/住所/電話番号を明記して、100年俳句計画編集室「作品集推薦」係へ送ってください。ハガキ/FAX/Eメールで受け付けています。Eメールの場合は件名を「作品集推薦」としてください。また、誌上句会インターネット投稿フォームでも受け付けています。(アクセス場所は誌上句会コーナー末を参照してください。)なお、投稿フォームの場合を除き、推薦は他の投稿等とは分けてください。

締切 12月末日

 現在連載している3名の方以外なら、一度連載された方も含め、どなたでも推薦できます。
 また、今回連載を行っている3名の方への感想もお待ちしています。よろしくお願いします。


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初学道場 へたうま仙人


文責:大塚めろ

 今月号から雑詠欄が変わります。2月末締切分までは、雑詠欄に投句された俳句の中から、組長がへたうま仙人にお任せする俳句を選び、へた俳句を救済します。3月締切分からは、「へたうま仙人」または「くらむぼんが笑った」のどちらかを読者が選び、どちらか一方にだけ投句を行います。


肩たたき敬老日とて賃せがみ コーケン
 日常の出来事は、簡単な言葉の方が効果てき面になりすぎる。「賃せがみ」の強引さはワシ的には素晴らしいぞ。

フィットネス四季それぞれの不格好 きうい
 「四季それぞれ」があまりにも大まか過ぎて、無理矢理にいろいろと想像させるところが魅力ぢゃ。

米袋二つの届きたる渋柿 青柘榴
 それは、吊し柿が出来たら持って来いとのサインぢゃな。

いりこだしの味噌汁揚げ入り大根も オレンジ日記
 これくらいのへたさぢゃおどろかんが、下五の着地が好きぢゃ。

夫語るなにがなんでも牡蠣フライ 和音
 「夫語る」のこなれなさがリアルじゃ。わしゃ、南瓜フライの方がなにがなんでも好きぢゃ!

大声で嘘つくばかりヒーヨヒヨ 黄花秋桜
 ヒヨドリよ、嘘は小声でつかんといけん。ヒーヨヒヨ。

愚直さが服を着ている案山子かな 諒和
 意外性のない擬人化は勇気がいるぞ。その勇気だけで、ワシは満足ぢゃ。

長い髪の毛セーターより生える 磨湧
 この後は修羅場ぢゃの。

セーターに思い思われふりふられ 実峰
 ワシもこの前セーターにふられたばかりぢゃ。あ〜また思い出してしもうた……。

はつふゆの肥えた女だけ使う 今比古
 「肥えた女」を何に使うのぢゃ?? 結構うらやましいぞ。

重量オーバー吊し柿全部脱落す サキカエル
 意外な原因が詩情を誘う事もあるのぢゃが、因果関係が見えすぎるくらい、分かりやすい俳句がワシの好物ぢゃ。

枯蔦やリコール来たよ三回目 りんご
 そういうのを欠陥品というのぢゃ。欠陥品に負けず俳句を作ったところが立派。

日記買うと見せかけといてエッチ本 小木さん
 ゆうパックで九州へ送ってはいかんぞ。

カーナビの刑務所仰天広島菜 しんじゅ
 いきなりの広島菜が、嘘をついたカーナビのようで、このカーナビさえ愛してしまうぞ。

輪の中で独り浮いてる盆踊り 橘三拍子
 盆踊りはだいたいが輪ぢゃ。その当たり前なところが俳句の達人には言えんのぢゃ。

野良猫も生きのびれるやぬくき冬 未々
 「ら」抜き言葉の反則までして、五七五に納める大胆さ!

また蟹が倍だとラジオショッピング さち
 今一つ実体不明のラヂヲショッピングの事を言い得て妙ぢゃ。

みのむしになってみたいぞすこしだけ 藍人
 「すこしだけ」という言葉の使い方が、願望をかえって切実に表してをるぞ。

ベッド下天下夢見たミカンかな 小林喫茶
 網破れてミカンあり。ミカンの気持ちはよくわかる、のぢゃ。こんな句いいのう〜〜。

 この雑詠道場、四月号からは「くらむぼん」と「へたうま仙人」のどっちかを選んで投句してもらうぞ。こっちにはワシ好みのへたうま俳句をいっぱい送ってくれい。うますぎる句はへたの聖地追放ぢゃ〜!


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雑詠道場 くらむぼんが笑った


夏井いつき選
 今月号から雑詠欄が変わります。2月末締切分までは、雑詠欄に投句された俳句の中から、組長がへたうま仙人にお任せする俳句を選び、へた俳句を救済します。3月締切分からは、「へたうま仙人」または「くらむぼんが笑った」のどちらかを読者が選び、どちらか一方にだけ投句を行います。


今月の天
セーターをなほ毛だらけにして牧夫 牛後

 一読、牧羊犬を引き連れた「牧夫」を思った。休憩時間のたわむれか、一日の仕事を終えたところか。飛び掛るようにじゃれる犬を全身で受け止め、全身で笑い、撫で回す「牧夫」。毛玉ができた猫の毛がついたなんて「セーター」の句なら見飽きてるぞと上五中七を読み下したとたん、下五「牧夫」の一語で一句の世界を鮮やかに立ち上がらせるのだから、大した手腕ではないか。
 一見散文的にみえる「なほ」は、さっきまでの「セーター」と眼前の「セーター」の違いを映像化する一語。なぜ「なほ毛だらけ」なのかという謎の向こうに牧羊犬等の存在をも暗示するわけだから、思いの外、奥行きの深い「なほ」であるといわざるを得ない。


今月の地
水漬く椋鳥水に写る青空 一走人
 「水漬く」は、水に浸かっている状態を意味する動詞。「水」に浸かった「椋鳥」の死と、「水」に映る鮮やかな「青空」との対比が一句の中で衝突し、美しくも青白い言葉の火花を飛ばす。

梟の見る夜はまこと白からん じろ
 「梟」に憑依し、「梟」の眼球が何をどう映すのかを想像するなんて考えたこともなかった。夜行性の「梟」の眼に「夜はまことに白からん」という詩的確信に頷かざるを得ない一句である。

水中の妊婦の歩行冬日射す 山の風
 運動としての水中歩行なのだろうけれど、裸体のそれを想像してしまうのは季語「冬日」のせいだろうか。ゆらゆらと揺らぐ白い腹、ひょろひょろと伸びる手足。「妊婦」という生き物の豊かな不気味。

袖に闇ありしジャケット着せ掛ける  紅紫
 細い「袖」が有している空洞には「闇」があるのだという指摘が、すでに詩。母のごとく優しく、妻のごとく貞淑に「着せ掛け」ている「ジャケット」に、小さな心の「闇」も潜んでいそうで。

昨日の喪服にブラシ年詰まる 蓼蟲
短日の日残る脛を払ひけり 抹茶
 かたや「喪服」の埃を払いつつ「年詰まる」よと詠嘆する中年俳人、 蓼蟲くん。かたや我が「脛」を払いつつ「短日」の日差しにしみじみと見入る高校生俳人、抹茶さん。俳人的精神年齢がほぼ同じではないのかと、ほのぼのと読み味わわせてもらった二句。

肺炎の息の重きや冬の蝿 緑の手
右胸のぼつと白炎初時雨
 「肺炎」の重い息遣いをじっと聞いている「冬の蝿」に集まる視線。一句目を前提として読めば、二句目「右胸」の「白炎」はレントゲン写真だと読みが限定されそうだが、その限定を超えて「右胸」に灯る「白炎」と「初時雨」の取り合わせの美しさに惹かれる。

合鍵は五分でできる神の留守 不知火
 「合鍵は五分でできる」というキャッチコピーの如き措辞が、「神の留守」という季語と取り合わせられたとたん、くすくす笑える俳諧味を醸し出す。「神の留守」の間の様々な悪事も想像されて。

缶づめのかりりと開きぬ初氷  神楽坂リンダ
月冴えてつきんつきんと爪を切る 犬鈴
 秋元不死男「鳥わたるこきこきこきと罐切れば」は缶切りで開ける音だが、前句「かりりと開きぬ」はイマドキのプルトップの感触。バケツに張った「初氷」のごとき開きっぷりか(笑)。後句、「つきんつきん」と切る冷たい「爪」は、冴ゆる「月」の色であるか。

紫の輪ゴムでくくる喪中はがき ソラト
極月の輪ゴムの臭ふ八百屋かな  土屋淘人
 前句、印刷し上がったばかりの「喪中はがき」か、次々に届くそれか。そもそもこれは季語なのか。「紫」の一字が「喪中」の気配を漂わせてほのかに可笑しい。後句、「極月」の慌しさの中、「輪ゴム」の匂いに気づく作者の嗅覚。「八百屋」でなくても良いではないかとも思ったが、魚屋だと魚の臭いの方が強いし、スーパーではそもそも「輪ゴム」なんて使わないか、と可笑しくも納得。

古書の香は冬の香地下鉄の響き  大中博篤
 一読、神田神保町の「古書」街を思った。埃臭い「古書」の匂いを「冬の香」だと断ずるところに詩が動き出す。「地下鉄の響き」は足の下から波動のように伝わり、古書街の「冬」を震わせる。

しぐるるや旅のしまひの伊勢うどん  なづな
 「しぐるるや」の詠嘆の後、「旅」の途上であることが分かり、旅先が「伊勢」であることが分かり、旅を惜しむかのように「伊勢うどん」を啜っていることが分かる。コンパクトな表現にして、最後は「うどん」の湯気や汁の温さまで味わわせてもらえるのだから、実に贅沢な一句であるよ。


今月の人(じん)
悴むや双眼鏡の中は海 神楽坂リンダ
かいつぶり沖を動かぬ赤き船
鶏舎に死10月の高すぎる空 大中博篤
梨食うてひたひたと夜は水に満つ
住民票待つ年の瀬の支所静か 蓼蟲
犬の眼の小さき濁りや去年今年
線量を明記し林檎届けられ ひでこ
冬の夜老いたる星の暗い赤
冬立つや袋の文字を裂く鴉 徒長枝
碑文千字に陽を譲る枯木かな
水底の万年亀や日向ぼこ なづな
湯籠には真白きタオル山眠る
帰り花三白眼の猫がいる 紗蘭
アキレスと亀私とかたつむり
北風の目に染み込めば灯の暗し 紅紫
綿虫の振動五叉路に迷ひゐて
ストーブの向き少し変へ梳る すな恵
裏口に葱抜きに行く通夜用意
次の間の蝋の匂ひや雪催 錫樹智
機関車が停まれば沖の鯨噴く
動物園ありし辺りや冬菫 朗善
柿の葉の穴よりのぞく昔かな
救急車ゲートの脇の聖樹かな ほろよい
収集は二時ごろ小春日のポスト
冬星の欲しと烏の啼きをるか 樫の木
大榾のその百年を燃やしけり
出勤は群青の空寒鴉 八木ふみ
室咲や日課としたる千羽鶴
三三九度眠くなる冬の花 果樹
ドは普通のドーナツ冬銀河
稲刈つて猫行く道の明りかな 人日子
生れてより悪業多しかたつむり
破れ蓮露にとどけり昼の鐘 ターナー島
括り桑汽車のけむりの留まれる
母の髪洗うベットに冬こぼす 逆ベッカム
厨に灯りひとつ折れた葱摘む
無精卵抱く雌鶏降誕祭 西連寺ラグナ
初雪のタイプライター綴る音
蔓先のあてなくのびてオリオンへ 緑の手
冬帽子載せてイスタンブールまで 抹茶
よくしやべる山茶花どんどん咲きにけり  じろ
烏の啄む轢死の鳥や冬ざるる 一走人
弁当の上に三種の風邪薬 不知火
琵琶湖というバケツへ青い空を張る  ケンケン
珈琲三杯台風の日の教師なり コーケン
しみ込んだおでんの卵過干渉 郁
首太き運転手なり雪しまく みちる
コートから銀貨がひとつエアポート  ゆき
十一月の星がきりきりきりと鳴く さち
湯どうふと湯割り二杯で酔うなんて  きうい
誰からの電話だったか残る柿 青柘榴
頻脈と闘ふ枕辺の林檎 松ぼっくり
青木の実生前贈与なる小箱 さわらび
日向ぼこ山より望む街まるし 未貫
トイレットペーパーの芯年惜しむ  猫ふぐ
ドラえもんのポケットからっぽ冬の空  ソラト
林檎剥く音だけ響く部屋にいて 和音
家元の逝きて野ざらし空っ風 元旦
山茶花や風の失言なら許す 権ちゃん
短日や缶けりの鬼油断なく 柱新人
凩の居るか居るかと戸をたたく  のり茶づけ
冬麗の高さ被災地ボランティア 桜井教人
五十年漬けて茎漬誉めらるる お手玉
貨物車の過ぎて芒の狂いたる 大五郎
蕪村忌や昨日の雨のまだ匂ふ 子狐萬浪
不完全渋柿のやうなこころもち  ポメロ親父
小春日の遺言帳の浅葱色 雨月
金柑のぽぽと色付く兄の庭 唐草サ行
犬小屋の目貼の効果問うてみる 大塚めろ
蝦夷鹿をメインディッシュに冬の靄  恋衣
あとさきに水輪広げて神の旅 親タカ
焼酎のコップの中に有る目盛り  サキカエル
手のひらの小さなカメラ冬の蝶 北伊作
咲くほどに菊は手まりになりたがる  りんご
太陽へ挑む風なり鷹柱 だなえ
追ひかけて棺に載せし冬帽子 浜田節
目印は下手な鏝絵と言ふ師走 ちろりん
弾む妻のこゑ「山茶花が咲きました」  省三
黄昏の刈田や光る溜り水 哲白
妻のさしがねの雪かもしれません  小木さん
革衣当選番号書く係 しんじゅ
片恋に鯵のひらきの鱗かな 炉草
風の道目敏き父の隙間張る 野風
早退の鞄は重し枯蓮 みかりん
月のなき母美しきうつくしき 清明
七草を入れても糊のやうな粥 瑞木
ぺんてるの絵の具カチカチ暮の秋  カシオペア
年の湯やあけみちゃんの忘れ物  のり茶づけ
電飾の広場にサンタ十二人 輝女
冬旱象の眼のしよぼくれて もね


今月の並選
旅立ちはきりきり晴れし11月 雪花
冬薔薇の微かな香り妣の庭
松月流教授の母や冬の空
ギヤマンの赤百年の冬の宵 レモングラス
冬麗じゃこ天バーガーごままぶし
よちよちと歩む小春のワンピース
冬日和四股名の幟立ち並ぶ かのん
小洒落たる壱百均の店クリスマス
日脚伸ぶ大仏様のまる背中
五分前発車のベルや冬帽子 こぼれ花
五才の子少し背伸びの石蕗の花
冬紅葉咳き込む姉の声増して
燗酒や一尺巾の差し向かい 青蛙
のら犬の独りはしゃげる月明かり
干からびた命の軽さよ鵙の声
手袋の試着の鏡等身大 ゆりかもめ
木枯やライト眺めて会議中
山茶花や児童優先時間帯
毛糸編む桜三里を超えるバス 妙
柿紅葉“結婚しようかな”と娘
逆縁の祖母の涙や帰り花
君に告ぐひと皆老いる冬銀河 まんぷく
大地の血吹上げており晩秋の森
初時雨さらけ出すもの何かある
手も口もよく働いて師走の母 空山
手にたっぷりクリームを明日も蜜柑摘み
今日より一錠の薬冬ぬくし
身の回り逝く人想う秋思う エノコロちゃん
また逝った晩秋の雨は悲しすぎ
源の落ち葉の紅黄摘み除け
半島を幸福色に石蕗の花 コナン
しまなみの景を成したる蜜柑山
やわらかき日射しの色や冬薔薇
アトリエは鉄筋づくり栗を焼く 三竜
手袋は手編みだというプレッシャー
冴ゆる嶺親子二代の彫刻展
草枕のサインは宝漱石忌 えつの
茸めし無口な夫のしゃべり出す
池の面に映えるお寺の夕紅葉
旗ふりの当番終えていわし雲 柊つばき
小さめのこたつ布団を縫いおえる
小春日や耳かたむけるミニラジオ
大いなる道後平野よ今年米 鯉城
新米のまことに白き握り飯
新米といふよろこびの俳句米
冬の蚊や入退院の気疎しや むらさき
冬籠ベートーヴェンの第九聴く
悪臭もあれどランタナ冬館
風花の街を彩る蛇の目傘 西条の針屋さん
うりぼうのヒップダンスや四十九日
息白しアトム弾けた地震の後
白亜紀の恐竜咆えし冬銀河 迂叟
ラーメンの湯気濛々と冬至くる
探し物まだ見つからず風邪心地
冬日さす魚の臭う時計店 もね
冬もみじ藩邸跡に大使館
何事もなき年であれ除夜の鐘 輝女
山茶花の咲く湯の町の句碑めぐり
熊手売るピアス光らせ若者は ゆき
ねんねこのはみ出す手にはでん太鼓
おはやうの声空中に凍りけり 犬鈴
寒月や心変りをむき出しに
そう言えば空、深い色十二月 ケンケン
追い越してゆくものはみな冬の風
一つだけしかない命語る秋 オレンジ日記
講演の笑顔とえくぼ忘れぬ秋
ブロッコリー籠はトトロの森深く 松ぼっくり
大太鼓へとどめの一打月のぼる
地下風に羽根遊ばせて冬帽子 山の風
塵芥虫の葉裏にかくれ雪催ひ
オリオンへモデル歩き練習中 郁
役柄を演じ分けたるキムチ鍋
日の丸を掲げて重き文化の日 未貫
黄落や物語いま佳境なる
薄化粧して四国なる雪女郎 みちる
仕上ゲニハ鰭酒タレモ異議ナアシ
数え日のさても眼鏡が見つからぬ さわらび
短日を追いかけてゆく部屋の隅
行間はただ白紙なり雪蛍 猫ふぐ
さりげなさが板について林檎剥く
芝浜は夢であれかし暮の秋 元旦
志ん朝に圓楽の待つ御慶かな
そのはなし七回聞いた冬桜 権ちゃん
アナグロのままの暮らしや蜜柑摘む
山茶花の一片折れて雨を受く 黄花秋桜
隅っこで枯れ葉のボソボソ語り合う
焼芋と浅き悔恨喰らひけり 柱新人
九の段で肩まで浸かる柚子湯かな
鯛焼きの餡ぎつしりと日暮れ道 諒和
凩や俳句のための嘘をつく
感情はもたぬ真冬の竜安寺 桜井教人
淀様の墓所へ供へる冬の薔薇
木菟に脳を啄まれる夜更け 磨湧
冬の月神経質な二の腕
眩しさに欠ける若者冬の雨 実峰
小銭収集旦那は懐手
来年の健康願ひ日記買う お手玉
綿虫や眞白きボアを見せにくる
後始末出来ぬ男や柿落葉 大五郎
紅葉且つ散るや結婚記念の日
着膨れを脱ぎすて虚空残りけり 子狐萬浪
蜜柑食ふ前世来世も食ふやうに
のどもとの口内炎や十二月 ポメロ親父
雲の間を分け天狼を呼び出だす
寒禽の小さくはねる鬼瓦 雨月
着ぶくれて間口の狭き古本屋
わがままを銀杏黄葉になする夕 唐草サ行
かりんとう崩れてほろり小春空
コピー機に落葉乗せるや見積書 大塚めろ
その口を出でしくさめぞ思わざる
取り乱す雪の色合ひ正しけり 土屋淘人
冬銀河置いてきぼりの柱時計
裸木の木木のかなたや日本海 恋衣
日本地図描いてともに獏枕
母の手の温みなつかし七五三 藍人
行く年の速さはあたしの歩くほど
松籟に鎚音まじり十二月 今比古
まじまじと新生の児に見られ汗
立冬の玄関のキー閉めて空 親タカ
ひそと茶の実はぢける契約と同意
辻堂に銀杏落葉を眠らせる 北伊作
冬の山ひらがなばかりの葉書くる
銅山の栄枯を馳せる七竃 だなえ
秒読みの局びょうびょうとちちろ鳴く
残業の子を待ってゐる牡蠣ごはん 浜田節
地の果ても海の果てなり龍馬の忌
食卓に新米一年完結す ちろりん
糠漬けの小蕪三玉飯二膳
冬夕焼誰かに何か叫びたし 省三
思い出に生くる八十路や石蕗の花
冬の日や高石垣に苔厚く 哲白
冬落蝉もゆる命のしづかなる
煩悩の石段つづき秋日落つ 炉草
風邪のわれ近づき硝子窓くもる
量り売り閑居に小さき酢茎かな 野風
きりもるは芯強き人冬薔薇
マジシャンの手袋白し神の留守 みかりん
大根煮る魔法のやうな鍋買つて
天狼のほもせくしゃるの温暖化 清明
大頭痛関西変った雲雀の子
妻留守の今日は質素に冷奴 橘三拍子
手に持つと少し黄色いさくらんぼ
喪中葉書こころ鎮めて裏返す 未々
重なりてあの世にいくか冬の蝶
好天を速贄といふシノカタチ 瑞木
凩やあごまで浸かる仕舞風呂
還暦の一息つきし実南天 カシオペア
一人住の釣瓶落しの夕餉かな
霧雨や我が志は大河なり 小林喫茶
瀬戸漁場かもめ奏でる鎮魂歌
寒椿触れば落ちた手の中に のり茶づけ
悴むや談志死んだかダンスすんだか  逆ベッカム
首に縄締めて干さるる大根かな 西連寺ラグナ
ごきぶりの棲み家奪いし事典かな コーケン
洋食屋マザーの手書き看板勤労感謝の日  和音
冬の虹「グチも聞き屋」はタダと云ふ きうい
山眠るだけ黒い犬吠えるだけ 紗蘭
ラジオから立冬と知る陽気かな 青柘榴
マンドリンあはす教室雪催 すな恵
母校より訃報の届く小春凪 錫樹智
魚屋は三代目なり開戦日 ひでこ
冬の鳥捕まえてをり逃がすため 朗善
赤い布縛り資材置場の冬ざるる ほろよい
冬曇靴の底には犬の糞 一走人
ライターの銀の重みの十二月 樫の木
海神に揺り戻されし冬怒濤 抹茶
おほどかに屋根反る寺や冬日和 じろ
胎動のぽこぽこぽこと冬うらら 八木ふみ
ねこの尾のつんつんうごく小春かな 牛後
義妹と私B型土大根 不知火
冬暖や果実はぽかぽかと太る さち
これは振られてゐるのね冬木桜 果樹
堕天使やダウンジャケット過ぎし羽 ソラト
綿虫のふわりふわりと行方追う サキカエル
菊花展一鉢ごとの物語 りんご
高速道冬田を分けて伸びにけり 人日子
日向ぼこまさかこれほど似合うとは 小木さん
歯ごたえの外は霧雨四方竹 徒長枝
堪忍袋伸んで縮んでやぶ椿 しんじゅ
間伐のこだまに落ちる柿落葉 ターナー島


雑詠道場番外編「くらむぼんが困った」

教えて下さい!
 前回3句送信したのですが、2句しか載ってない……。1句はどこへいったのでしょう。(諒和)

お答えします。
 諒和さん、今までにもこの手の質問がきて然るべきであったと思うのですが、率直なご質問をお寄せいただきありがとうございます。
 この「くらむぼんが笑った」は雑詠道場という名前と目的をもち、句会の無い地域で頑張っている人、句友や先達に出会えず独学を続けている人のための鍛錬の場として企画運営されている頁です。
 「くらむぼんが笑った」のロゴの下に毎号説明を付しておりましたが、三句投句全てが掲載されるとは限らず、添削された形で掲載される可能性があることをお断りしております。このシステムは、「この句は作品として成立している」「この句は問題をかかえている」という客観的評価をお返ししてこそ、自作に対する自問自答が可能になり、その自問自答こそが己を鍛える実践であるという考えに基づいております。私自身も独学の頃、「なぜあの句は掲載されなかったか」「なぜこう添削されているのか」を考えることが唯一の勉強であった時代が長くありましたが、振り返ってみるとそこから得たものが大いなる財産であったと強く感じております。(夏井いつき)

四月号からは、雑詠道場は 二つの選句欄に分かれます。
 投句者の皆さんは、初学道場「へたうま仙人」あるいは雑詠道場「くらむぼんが笑った」、どちらかを選んで三句投句していただくことになります。「へたうま仙人」はヘタな句を大いに喜ぶ仙人です。初学の皆さんは、まずはこちらから投句を初めてみて下さい。
 「こんな巧い句は、へたうま俳人の聖地から追放ぢゃ!」と言われ自信がつきましたら、雑詠道場「くらむぼんが笑った」に投句を開始していただくのもよし、ずーっと「へたうま仙人」に挑み続けて頂くのもまた一興。楽しみながら学んでいただけたらと思います。(編集部)



【雑詠句募集】
投句三句/俳号(本名)/〒住所/電話番号と、「○月末日締切分」を明記して、編集室「くらむぼんが笑った」または「へたうま仙人」宛にお送りください。
締切は毎月末日《必着》です。
※末日を過ぎたものについては、翌月分とさせていただきます。
※ひと月に複数の投句があった場合は、一番最後に届いた投句のみを有効とさせていただきます。同一内容での二重投句はご遠慮ください!
 投句は誌上句会宛のハガキ&メールとは別でお願いします。
雑詠専用Eメールアドレス zatsuei@marukobo.com
インターネットや携帯電話からも投句できます。
http://www.marukobo.com/kuramubon/


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放歌高吟


あらたまの
夏井いつき

機関車の煙突金ぴか寒波来る
北風に遅れて遠吠えの波動
枯蟷螂つまみ飯場の火に投ず
入港や焚火の猛るドラム缶
数え日を逃れ釜玉うどんかな
くっさめのくっさめらしき終わり方
校長の遅参を詰る年忘れ
あんかけにとける山葵や雪催
あらたまのいろに菜の花びたしかな
吉凶を問う伊勢海老の跳ねぐあい
鳩よりも冷たきものに初比叡
お降りの雪と化しゆく駐機場


  あらたまの一月号原稿を書いているのが、松山市花園町の銀杏が豪快に散り頻る極月も半ば。新年の季語になぞらえての「去年今年」の感慨を語らせていただきたい。

銀杏降る憤怒のごとくきんいろに

 我が人生を振り返ってみると、二十代、三十代、四十代と十年に一度の頻度で他人様と大喧嘩をしていることに気づく。その中でも一番派手で後々まで尾を曳いたのが三十代の大喧嘩。結社同人お歴々が居並ぶ席上、ある懸案について若手会員たちの総意を具申したら、地元俳句界の大御所に怒鳴り倒された。振り向いてみると、同志だと思っていた人たちが皆下を向いたまま沈黙を守っているものだから、いきなり体の中で化学反応が起こり、憤怒が爆発した。大御所が卓を叩いて怒ったので、こっちは卓を二度叩き返し、その場で絶縁した。
 今、考えるとそれもこれも若気の至りであったかと気恥ずかしく思うが、あの時の憤怒が「100年俳句計画」という精神の核となったに違いないとも思う。
 五十代に足を踏み入れて四年目の今年、いくらなんでも若気の至りって歳でもないしと己を過信していたが、十年ぶりに「銀杏降る」ごとき激しい憤怒を噛みしめた。
 今までの怒りのパターンを冷静に分析すると、己の損得のために憤怒してきたわけではない。目の前の誰かの名誉のため事情のため、もっと沢山の人のシアワセのために激しく怒ってきたことだけは事実だ。見栄や外聞や利益のために平気で他人を貶める輩に対して怒ってきたのだと、この一点は断言できる。勿論私だとて、他人様に対し思わず知らずの非礼な言動を多々とってきたに違いない。が、せめて「闇鍋」の具ぐらいにはなれる程度の人生は送ってきたつもりだが、はて如何なものであったか。

闇鍋の具にもならざる男なり

 考えてみれば、人生の怒りも悲しみも俳句という名の十七音に吐き出しながら生きてきたのだなあと思う。火を噴く竜のごとく、生きてきたのだなあと思う。
 目の前に新しい年が来ている。俳人という名の火を噴く竜として「今年こそはとおもふことなきにしもあらず」の新年である。




夏井いつき公式ブログ「夏井いつきの100年俳句日記」

http://100nenhaiku.marukobo.com/


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ART+俳句


第4回(6回シリーズ)
アートと俳句の見て読んで楽しめる作品集を目指して、月替わりで作家が作品を発表します。



「人日」
オブジェ&俳句 キム チャンヒ

霜の夜の計器の針が揺れ続く
シャガールの絵から抜け出せない真冬
冬枯に落ちてた指輪ならおもちゃ
理解さえされない君と鮫の夢
街の落葉がすべてハートのA
俺を見ている冬カモメがみんな
ロボットの声の優しい朝の冬
人日の地球の端に置くベンチ
湯たんぽにまあるくなってたぶん晴れ
凩が吹くもう街なんてないのに




キム チャンヒ

 1968年生まれ、愛媛県出身。高知大学教育学部特設美術科卒。
 グラフィックデザイン業務の傍ら、「夏井いつきの句会ライブ」にて俳句を即興で絵に仕上げるライブペインティングパフォーマンス担当。
 『100年俳句計画』編集長。




アートと俳句を融合させた作品を作る作家が集まった「俳句芸術家協会」の設立を目指して、メンバーを募集しています。興味のある方はマルコボ.コム内キムまでご連絡下さい。


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JAZZ俳句ターンテーブル


文/白方雅博
(俳号/蛇頭)

第十話
若かりし日
フィル ウッズ

アドリブが完璧すぎて月氷る みしん

 当時、大街道にあったMレコードの支店はジャズ者の溜まり場だった。店長がジャズ通でオーディオにも詳しく、レコードを選びながら店長と客のマニアックな談義が聴けた。地元大学の三回生で、駆け出しのジャズ ファンだった僕には何とも魅惑的な大人の空間だった。
 その日も個性派の常連客Kが居て、店長との語らいで僕を楽しませてくれた。Kは僕に「いいの聴かせてやろう」と言って「店長、フィル ウッズのあれかけて」とリクエストした。レコード棚の上にある、あれは確かJBLのブックシェルフ型スピーカーL26から出てくるアルト サックスのアドリブ フレーズは完璧で美しかった。ウッズのバックを務めるヨーロピアン リズム マシーンが奏でる旋律とリズムに合わせフィンガースナップで刻むKがカッコ良かった。

ビバップは若かりし日の凍土 蛇頭

 フィル ウッズは典型的なチャーリー パーカー系の白人アルト サックス奏者で、パーカーの熱烈な崇拝者である。パーカーの未亡人であるチャン パーカーと結婚し、二人の遺児の継父となった。ウェストコースト ジャズがブームとなって多くのミュージシャンが西海岸に移って行ったときにもパーカーがビバップを生み育てた地、ニューヨークを離れることはなかった。

冴えるバップに旧友は星となる チャンヒ

 しかし、ウッズは60年代後半にヨーロッパに渡る。そしてフィル ウッズ&ヒズ ヨーロピアン リズム マシーンを結成して人気を得た。「アライヴ アンド ウェル イン パリ」は、このユニットの最初のアルバムで、1曲目の「若かりし日」がKの聴かせてくれたウッズのオリジナル ナンバー。凶弾に倒れたボブ(ロバート) ケネディに捧げた曲である。ウッズはボブに共感を憶えていた。二人は友人だったという説もあり、二人の青春時代に思いを馳せ作られた曲。

舞い踊る白鳥は自由ジャズは自由 光海

 迷わず僕は、試聴したこのアルバムを購入した。Kは微笑みながら「B面はウチで聴けよ」と誘ってくれた。製麺工場の2階にあるKのオーディオ ルームは12畳程の広さでトールボーイ型の変てこな、おそらく自作の大型スピーカーが放つB面の1曲目「フリーダム ジャズ ダンス」のウッズのアルトは最高にスリリングだった。「もうオーディオ道楽は止めたけど、いい音出てるやろ」とKは呟いた。僕のオーディオ道はKの部屋から始まった。

冬の暮れかすかな光ウッドロア 暇人

 今回も最後のJAZZ句は“ジャケ句”。頑なにニューヨークでパーカー派を貫くウッズの実質的初リーダー アルバムにして彼の代表作。B面の1曲目「オン ア スローボート トゥ チャイナ」の次々と湧き出てくる珠玉のアドリブ フレーズが聴きどころ。




http://www.baribari789.com/

「JAZZ俳句ターンテーブル」は、筆者がナビゲーターを務めるFMラヂオバリバリ(今治78.9MHz)の番組「JAZZ BLEND」の第2週に特集します。放送は毎週水曜日の深夜23時〜24時。再放送は日曜日の25時〜26時。


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ラクゴキゴ


第十話 文/俳句 らくさぶろう

『正月丁稚』
〜新年の季語がどっさり〜

あらすじ
 大阪、船場の大きな店の旦さん(主人)が、元日の朝早くから丁稚さんを起こしている。
 番頭の杢兵衛(もくべえ)、太助、定吉を次々と「おめでとうさんでございます。」と新年のあいさつをしながら出てくるが、どうも定吉はめでたいこの日の朝から縁起の悪いことばかり口ばしる。
 大服を祝うときにも番頭が一句「大服や茶碗の中に開く梅」とひねったのはいいが定吉は「大服や茶碗の中に昆布と梅干の土佐衛門」とやってしまう。旦那は「そんなゲンの悪いことを……」とあきれてしまう。
 雑煮を食べる太箸も旦那がいわれを「真ん中が太なってるやろ。それはうちもはじめは大きな身代やなかった。それが段々と太うなる、その太なったところをば、しっかりつかむのが、人間が運をつかむのと同じこっちゃ。」と説くのに対して定吉は「ほで段々とまた先が細なってますな。坊(ぼん=息子)の代になったら細なって……」と余計な事を言い、旦那はがっかり。
 餅を食べていると、突然定吉が泣き出すので旦那が尋ねてみると、どうやら歯が抜けたという。調べてみると歯ではなく、餅から銀貨が出てきたとのこと。旦那「ゲンの悪いこと言うても、さすがは子供じゃ。うちは毎年餅つく時に銀貨を十枚入れておくのじゃ。出入りの者に当たるか、うちの者に当たるか、と思てたら定吉に当たった。よろこべよ、餅の中から金が出たんじゃ、金持ちになれるぞ。」と喜んだのに、定吉「アホらしい。金の中から餅が出たんなら金持ちだすけど、餅の中から金が出たんならこの家の財産もちかねる……」とやらかし、また旦那はため息。
 旦那は正月のものはすべて縁起をかつぎ、めでたいものだと説明を始める。松竹梅、海老、昆布、などなど。それに対してもことごとく定吉はゲンの悪いように悪いように切り返すので旦那はもう愛想をつかし、「もうええ、着物をきがえて支度をしなさい。礼廻りのお供についてきなさい。」と命じる。
 気をとり直して出かけるが、あいさつの名刺を空家へ入れたり、長屋の共同便所に投げ込んだり、とうとう旦那はおこって先に帰ってしまう。
 そこににわか雨。ゲンを気にする旦那に番頭が一言。
 「これはめでたい。降る(鶴)は千年、雨(亀)は万年でございます。」



 この落語と「厄払い」という落語が混合して、オチの部分や途中の流れなどが交じっている場合もありますが、船場の商家のお正月のドタバタした雰囲気がよく描かれている噺だと思います。
 まあしかし大量に新年の季語が登場するので、俳句をたしなむ人は一度この噺を聴いておくと勉強になるかも知れません(笑)。
 現代ではあまりきちんと祝わなくなったことや使わなくなった物が出てきますし、旦那がそれをちゃんと丁稚に分かるように説明してくれますので、我々も理解できますから。
 若水、新玉、雑煮、大服(おおぶく)、太箸、橙飾る、飾海老、松飾、竹飾、礼者、春着、年酒、羽子つき、……そして最後には御降りまで。
 この噺を聴いて、何句作れるか?という趣向も、やってみると楽しいかも知れません。
 私は旦那と定吉が歩く中で出てくる「鳥追い」という新年の季語が、学生のころは全くわかりませんでした。俳句を始めてから歳時記で確認してみると、「正月、家々を祝って歩く門付け芸能の一種で、編笠をかぶった女が三味線を弾き歌い、家の軒先で祝儀の銭を請い歩いた」とあるではないですか。また、それは農家が小正月に行う「鳥追い」の行事から転じて職業化したものだということ。いやー、ホントに勉強になりました。
 世の中には、この噺に出てくる定吉のように「ああ言えばこう言う」人がおりますね。私もその中の一人だということは、他人に言われる前に先に言っておきます。

御降りや機転利きたるご番頭


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本家慶弔俳句帖 第40回


文 桃ライス

フィンランド語がスゴイ!?
 世の中では、ツイッターというのが流行っているようだが、未だによく理解できていない側の一人である。フォローてなんなのさ。
 さて、そんなツイッターで今話題となっているというのがフィンランド語。フィンランドは日本と距離も離れているためか、あまりなじみのない国だと思われがちだが実はそうではないという。
 ある人がフィンランド語を調べてみた。例えば日本語で『ブタ』を調べてみるとフィンランド語では『シカ』。偶然なのかそれとも何か関連性はあるのか、よく分からない。その他にも全く異なる日本語っぽい言葉になるものがいくつかあった。『オオカミ』→『スシ』、『ウサギ』→『カニ』。そして、グーグル翻訳では確認できないがツイッターの報告によると、『酔っ払い』→『ヨッパラリ(Juoppolalli)』、『通行証』→『クルクルパー』となるそうだ。ちなみに酔っ払うという表現は他にもたくさんあるそうだ。

へべれけてクルクルパーの嫁が君


トイレ行かせて下さいとバス運転手
 神奈川県の江ノ島電鉄が運行する江ノ電バスの運転手が12月11日に路線バスを運転中、バス停で車内に乗客を残したまま、ファミリーレストランのトイレに駆け込んでいたことが分かった。
 江ノ島電鉄によると、11日午後5時20分ごろ、藤沢市本鵠沼のバス停に男性運転手(36)がバスを止め、「申し訳ないのですが、トイレに行かせて下さい」とアナウンス。エンジンを切ったほか、車輪に輪留めをかけて、バス停前のファミレスでトイレを借りた。約20人の乗客がいたが、苦情はなかった。(中略)江ノ島電鉄は「好ましくないことだが、やむを得ない状況だった」と話している(ネットニュースより)。
運転手の用が大か小か未確認だが、ニュース的には小さけり。

元日の軽々走る路線バス


桃ライス…自分のことをワシとよぶ婦人グループ会員


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お芝居観ませんか?


文&俳句 猫正宗

第二回 『殿様と私』
[文学座公演、作/マキノノゾミ、演出/西川信廣、出演/たかお鷹、加藤武、寺田路恵、他、11年11月29日、ひめぎんホール(県民文化会館)サブホール]

 マキノノゾミが、N.Y.で『王様と私』を観て、アジア人のタイの王様が、英語を話す人として描かれていることが癪に障ったのが、本作執筆のきっかけの一つだったようです。そのため、本作の殿様は、一切英語を喋らず、解しえない人として描かれています。

 明治19年、急速な洋化になじめぬ殿様。老家令がちょんまげを嗤われ、自らも因循姑息で華族の資格なしと罵倒されたと聞き及び、鎧兜に身を固め、仇討ちを決意。だが、それを押しとどめた息子の提言「家名を守り、敵を討つには鹿鳴館で見事なダンスを披露すべし」を受け入れる。その日より、渋々ながら米国人のアンナからダンスの手習いを受けるのだが……。果たして、その顛末やいかに。

御一新より冬怒涛へと日本丸

 さて、本作の芝居ならではの見所の一つは、舞台上で話されているのは日本語だけにもかかわらず、観客には、英語を喋っている人達は、ちゃんと英語を喋っているということがわかるところでしょう。終盤、殿様とアンナが、しみじみと語り合っているように見えるシーンも、それぞれが一方的に日本語と英語で喋っているわけで、結局のところ通じ合っていない。それはある意味、文化衝突、ウエスト ミーツ イースト、国境の壁、等々の大きな物語。しかし、本当に双方が同じ言葉を喋っていたとしても、実はこんな風にまるで通じ合ってはいないのではないか、これは個人と個人の間にある物語でもある。ふと、そんな風にも思わされてしまいました。それも本作の手法の効果であったのかもしれません。
 最後、通じぬ会話を打ち切り、二人が踊るダンスでこのお芝居は幕を下ろします。

取りし手のその体温だけ冬暁



このコーナーでは、松山市民劇場例会にて公演された芝居を紹介します。次回公演は表紙裏の広告をご覧ください。


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まつやま俳句でまちづくりの会通信


第13回 文/写真 暇人

今からでも間に合う、初心者のための第10回まる裏俳句甲子園ガイド

 本誌が新しく『HAIKU LIFE 100年俳句計画』となった中でも、このページはなんとか生き残った。今年も宜しくお願いします。
 さて、もうカレンダーの一月八日に印をしたでしょうか? そうです。「まる裏」の日です。それでは、多少間違いもある「暇人流まる裏俳句甲子園ガイド」。
 朝9時半から松山市立子規記念博物館四階講堂にて受付開始。今回は会場入り口前で、お待ちしています。混乱を避けるため色々と工夫して受付をおこなう予定。皆様も慌てず急がず落ち着いて受付を「受付 → チーム受付」もしくは「当日券購入 → 受付 → チーム受付」の順で。チームは3人一組、高校生以外が一人でもいれば参加できる。当日までにチームが出来なかったあなた、安心を。当日はチームを作ってくれるコーディネーターを配置予定。お一人さまでもどうぞ。受付を済ませて中に入ったら、本などの物販、俳句甲子園の募金コーナー、昼食の弁当の予約を受け付けるスペースがある。特に昼食の弁当は前大会より、本戦に進出しても支給されません。ちなみにスタッフも昨年度からは自腹(泣)。必ず予約を。
 朝10時、やのひろみさんの軽快な司会で予選スタート。このときになんらかの形で予選の席題が発表。制限時間は5分。投句は一人一句、投句がなければ点数が入りません。
 投句が終わると、組長ともう一人の審査員とが、「まだまだ俳人」から「あんたは俳人」までの四段階に振り分ける「公開処刑」もとい「公開選評」が始まる。組長が「まだまだ俳人」と決めそうなところで、優しいもう一人の審査員がフォローに入りレベルがアップする、そういった「一苦一優」が楽しみな場面。振り分けが終わるとさらに「あんたは俳人」の中から最優秀句を観客の意見で決める。最優秀句を獲得した人にはキム チャンヒ氏から句画をプレゼント。そして今回から新たなこともあるのですが、それは当日のお楽しみ。
 句会ライブの結果、3人の合計得点で一位から八位までのチームが決定する。八チームは本戦に進めるわけだが、ここからが大変。昼休み突入直前に本戦(午後の部)一回戦、準決勝の兼題発表。昼休みの前半約30分を使って、決勝の兼題である「雪」を含めた三句を即吟し、投句しなくてはいけない。特に前回より、〆切時間に対するペナルティーが強化されたので余計に厳しい。間に合わなかったチームは「失格」となる。参加されるみなさん、「雪」の句は決勝に行くつもりなら事前に作っておけと、某編集長はつぶやいておりました。
 午後の部はトーナメント方式で、お互いのチームの句を披講し、制限時間内でディベートをする。そして5人の審査員の旗が揚がるという、ほぼ本家「俳句甲子園」と同じルールで試合をおこないます。実は昨年まで私、午後の部は裏方の書道隊補助にいたので、表の様子はあまりのぞけてませぬ。ただし今回はある事情で観られそう。その理由も当日会場にて。
 まる裏でもし優勝すれば、特典としてチームの中から一人、来年の審査員が出来ます(実はペナルティーという噂も)。そして大会後の打ち上げでは美酒が飲めることでしょう(費用は出ませんが)。
 以上、おわかりいただけたでしょうか。不明な点がある場合は、事務局で丁寧に説明して下さるはず。それではこの辺で。


mhmでは、ひきつづき松山市内外問わず会員および役員を募集中です。原則、毎月最終週の火曜日19時からマルコボ.コムにて会議がおこなわれます。偶数月は懇親会も開催! 興味のある方は事務局(マルコボ.コム内、キム チャンヒ)まで。


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一句一遊情報局


有谷まほろ & 一句一遊聞き書き隊
協力 南海放送


俳句が上手くなってきた? 一句一遊“月曜日の俳句”減少

 一句一遊の月曜日といえば、投句された俳句の中から、主に要努力の俳句が紹介される曜日としてすっかりおなじみ。歌番組のように鐘を鳴らして評価するとすれば、鐘ひとつの俳句だという事から、その鐘の音になぞらえて「月曜カーン組」などと呼ばれたこともありました。
 でも、月曜日の夏井いつき組長の俳句やお便りの紹介は、なんとも楽しげ。だからなのか、中には、そんな月曜日に読まれることをワザと狙ってくるリスナーも。あるいは、一部のリスナーの間では「グランドスラム」と呼ばれているという、全ての曜日で紹介されたことがあるという記録……いわゆる“全曜日制覇”の達成のためだったりするかもしれません。
 しかし最近、月曜日の組長から、しばしばこんな言葉が聞かれるようになりました。
「まだ時間はあるんですが、月曜日の俳句はもうありません」
 リスナーの俳句がだんだん上手くなってきていて、月曜日に振り分けられる俳句の数が減ってきているのだといいます。
 月曜日の俳句が減ったという事は、その分、月曜日から昇格した人たちが火曜日に集まる、ということになります。
 火曜日に紹介しきれなかった俳句が、本来はお便り紹介の曜日である木曜日に「火曜日の皆さんが残っておりますので……」と、時間を割いて紹介されることが多くなってきたのは、きっとそういうことなのでしょう。
 月曜日に時間が余った場合には、残りの時間はお便りコーナーとなるので、木曜日のお便り紹介の時間が減った分を、今後は月曜日が補うようになってくるのかもしれません。
 一句一遊では、「毎日聴いて投句していれば自然と上手くなってくるもので……」などとよく言われたりしますが、これもそのひとつの実証なのでしょうか。


俺たちの俳句米プロジェクト 俳句米収穫

 本誌2011年11月号の特集で報告がありました“俳句米”の収穫。一句一遊に寄せられたお便りでも、プロジェクトに携わった方たちからの報告がありました。

ほろよい 俺たちの俳句米プロジェクトとうとう収穫しました。あの田んぼを、マラソン練習の途中、立ち寄って観察するのが楽しみだったので、いよいよ終わりだなぁと感じておりましたが、田という季語もこれから楽しめるとのこと。立ち寄りたいと思います。

緑の手 生まれて始めて稲刈りをしました。稲刈りの神様が途中、私の体に降りてきて、宿ったような気がいたしました。お土産に持たせて貰った稲束を家に持ち帰り、玄関に飾ってあります。本当に幸せな一日でした。

みいみ 俳句米プロジェクトお世話になりました。みいみは鎌を持つことも始めてだったんですが、我が子の手際の良さにびっくり。特にあやねは、小学校6年間のキャリアは伊達じゃ無いなと感心しました。

烏天狗 先日は俳句米プロジェクトお疲れ様でした。三日後に少し足腰が疼いたのではないかと、少し心配をしております。

夏井 いやー、疼いた疼いた……少しどころじゃない、大いに心配してもらいたいぐらい疼きました。

烏天狗 出来不出来は別にして、やはり収穫の喜びは格別のものがあります。一年間の自分の頑張りへのご褒美のような満足感。そしてなにより心が豊年になりますねぇ。

魔心地 俳句米プロジェクト、来年は田植えから参加したいと思います。

 ……えぇと、2012年もまた俳句米、やるんでしょうか?(笑)


ポメロ親父の能書きコーナー

【真羽太鍋】(まはたなべ)
 マハタやクエは、大きくなると1メートルにも達し、味も抜群に良く、マダイやブリに較べて数倍の単価がする超高級魚です。

夏井 数倍よ、皆さん! でも一応、焼くのと、刺し身と、鍋を味わわないと選句ができないと思って、大枚はたきましたとも!(笑)

 愛媛県農林水産研究所/水産研究センターでは、マハタやクエの養殖技術を開発してきました。現在は養殖用の種苗となる稚魚をプールのように大きな水槽で何万匹も育てています。

【冬めく】
 『冬めく』などは、いちばん能書きが書きにくい兼題です。

夏井 おっしゃる通りですよねぇ、冬っぽい、っていうだけですからねぇ。

 冬の時候の季語の中にはほかに『冬ざれ』という特徴的なものがあります。最初は『冬になれば』という程の意味で『冬めく』と似たような使われ方をしていましたが、やがて冬の最中の荒んだ様子を表すように、用法が変化してきたということです。


「まる安をやめるのをやめます!」まる安食堂継続宣言

 12月8日木曜日の放送内で紹介された、のり茶づけさんのお便りの中で「まる安食堂を2011年いっぱいで閉店するとお伝えしておりましたが、ここに撤回いたします。まる安をやめるのをやめます!」と、休む時は休みながらも、まる安食堂を引き続き営業することが発表されました。
 かつては“ヘタ俳人の聖地”などと呼ばれた、松山市鷹子町のまる安食堂。その後も番組への投句を続け、メキメキと俳句の腕を上げた“まる安の愉快な仲間たち”。まる安食堂を愛する仲間たちは今後も、その暖簾をくぐり、集っては俳句談議を繰り広げる事でしょう。



※ 「落書き俳句ノート」を除く、朧庵(SNS)の利用、閲覧には登録が必要です。パソコン用のメールアドレスがあれば、無料で簡単に登録できます。


夏井いつきの一句一遊
南海放送ラジオ(愛媛県 AM1116kHz)
毎週月〜金曜 午前10時放送
週替わりの季語を兼題に、要努力の月曜日から優秀句の金曜日へと、紹介される俳句のレベルが上がっていきます。最優秀句「天」を目指せ!

投句の宛先は
〒790-8510 南海放送ラジオ 「夏井いつきの一句一遊」係
Eメール ku@rnb.co.jp

こちらからも番組へ投句できます!
http://www.marukobo.com/media/


投句募集中の兼題

1月8日
外套(がいとう)【三冬/人事】
主に防寒用として着用する丈の長い上着。オーバー。実用性以外にデザイン性を重視したものもよく見られる。

氷壁(ひょうへき)【晩冬/地理】
凄まじい寒気により氷に覆われた断崖や急斜面といった岩壁。近代的な登山で接する機会の増えた、冬山の厳しくも美しい光景。

1月22日
豆撒(まめまき)【晩冬/人事】
節分の夜に「鬼は外、福は内」と唱えながら、豆(主に炒った大豆)を撒く。宮中で行われていた「追儺」が民間に広まったもの。

枸杞の芽(くこのめ)【仲春/植物】
枸杞(クコ)は原野や川岸などに生えるナス科の落葉小低木。若い芽は枸杞飯やおひたし等の食用になるほか、成長した葉は枸杞茶に、果実は枸杞酒になる。


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100年俳句計画 掲示板


 夏井いつきの出演執筆一覧

テレビ/ラジオ
NHK総合テレビ(愛媛ローカル)
 「えひめ おひるのたまご」内『つくって映像☆はい!一句』
  1月17日(火)11時40分〜
  1月31日(火)11時40分〜
※俳句募集中(兼題ムービーと投句はこちら↓のURLから)。
http://www.nhk.or.jp/matsuyama/hirutama/

NHKラジオ第1放送
『オトナの補習授業』(生放送!)
 1月30日(月) 21時5分〜
 兼題「雪」 ※傍題可
 投句締切 … 1月27日(金)24時
※リスナー(いつき組の組員?)の熱い要望にお応えして、今回は生放送!! 番組冒頭で、当日の席題を発表します。どんどん投句してくださいね! 投句は【 http://www.nhk.or.jp/r1/otona/】まで!
※ネットでラジオが聴けます! →  http://www.nhk.or.jp/netradio/

南海放送
ラジオ「夏井いつきの一句一遊」
 毎週月〜金曜日 10時〜10時10分
※ 投句募集中の兼題や投句宛先は、「一句一遊情報局」のページをご参照下さい。


執筆
Pioneer Sound Lab. 音俳句
http://pioneer.jp/soundlab/
  ウェブサイト上に組長の選評が毎日一つ発表されます。投句も受け付けています。

『俳壇』2月号(1月14日発売)
 『俳壇賞作家の今』新作10句他

愛媛新聞
 1月1日(元旦号)第六回ハタダ帰省俳句大賞発表
 「集まれ俳句キッズ」毎週土曜日

愛媛新聞(キム チャンヒ)
 「ヘンデス俳談」毎月第一土曜日 兼題「立春」締切 … 1月25日(火)


句会ライブ/講演等
今治市吉海支所人権句会ライブ
 1月13日(金)


一月七日、八日『子規記念博物館での俳句ざんまいの二日間』
 第5回「夏休み句集をつくろう!コンテスト」表彰式
  1月7日(土) 10時〜

 第4回日本俳句教育研究会研究発表大会
  1月7日(土) 13時〜 

 第10回 まる裏俳句甲子園
  1月8日(日)10時〜
  ※チーム参加も受付中!!

 ※9日には音風景吟行会も。


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魚のアブク


読者から寄せられたお便りをご紹介
お便りお待ちしています!
100年俳句計画編集室「魚のアブク」宛、もしくは互選や雑詠欄への投句に添えてお寄せください。

編=編集スタッフ

お詫び
 先月号の「ザ いつき組」と「くらむぼんが笑った」において、表記の誤りがありました。

ザ いつき組「今月の投句」
誤 五 夕茜格下げされし冥王星
正 五 冬茜格下げされし冥王星
 「冬」の字が「夕」になってしまっていました。なお、今月号は「ザ いつき組」休載につき、例外的にこの訂正版五番句への選句変更を受付ます。

くらむぼんが笑った
誤 うるめ焼くなぜかみみずを思い出す
正 うるめ焼くなぜかみすずを思い出す
 ぎんなんさんの二句目「みすず」が「みみず」になってしまっていました。失礼いたしました。


無事終了、大忘年会!!
輝女 いつき組大忘年会とっても楽しかったです。俳号とお顔の結びついた方々がまた増えてうれしく思いました。お世話して頂いた皆様ありがとうございました。2012年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
編  お楽しみいただけてなにより!大忘年会のエンディング映像は近日、You Tubeにて公開予定。

更紗 大忘年会の折には「東北へ蜜柑を送ろう」募金にご協力ありがとうございました。なんと3万3336円集まりました。送付先等追って報告させていただきます。
編  がんばろう日本。

新誌面、始まりました。
すな恵 1月号からの新たな「100年俳句計画」誌面もいろいろ変わるそうで楽しみにしています。またバックナンバーがネットで読めるようになることも嬉しい計画です。
編  現在着々と計画進行中。詳しくは先月号47ページ左上の欄を参照。

第五回選評大賞、結果は。
未貫 御祝選評大賞2011更紗さま、優秀賞受賞おめでとうございます。優しい心を持って、これからも活躍されますやう、お祈り?申し上げます。
編  選評大賞で優秀な成績を残した方々に誌面上で活躍してもらう新企画を考えております。乞うご期待。

和音 言いたいことを凝縮したものを溶かして自分の味を加えながら、選評することはすごく難しいです。組長のハートのど真ん中を射抜くような選評には、いつも感動と衝撃を受けます。今後も頑張りたいです。
編  きっと明日はレヴェルアップ!

組員目撃情報!
人日子 NHK俳句王国に出演してたあねごさんを見ました。あねごさん、俳句王国での堂々とした語り口、素敵でした。いつき組バンザイ!!
編  本人曰く「伊予弁やのうて標準語で喋ってしもたんよ……」とそこを悔しがってました。

俳句にまつわるエトセトラ
破障子 元日のラジオ番組「元日の夜はぷちぷちケータイ俳句」生放送です! 投稿してね!! http://www.nhk.or.jp/radiosp/k-haiku/
編  新年早々、ラジオで俳句だ!

牛後 インターネットの「週刊俳句」に、「牛の歳時記」という文章をときどき寄稿しています。ご覧いただければうれしいです。http://weekly-haiku.blogspot.com/
編  新年早々、牛で俳句だ!

記憶を呼び覚ます一句
元旦 12月号「今月の投句」45番「オリオンや獄舎の丘の風の音」も好きな句でした。先日何十年かぶりで京都大学周辺を散策しました。相変わらず西部講堂の屋根には、オリオンの三つ星がありました。この句からそのことを思い出しました。
編  他人の作った句が自分の記憶を鮮明に引き出してくれることもあります。俳句って素敵に不思議。

組員の生活
唐草サ行 いつも楽しく読んでます。熊本の楓組の仲間の投稿が毎回嬉しいです。
編  仲間がいると妙に嬉しいものです。

柊つばき 孫の桃華も四月には一年生です。自分で字をおぼえて、「ママ大好き、おばあちゃん大好き」と手紙をくれます。
編  字を覚えたついでに俳句を仕込んでみてはいかがでしょ?

怪文書?
北伊作 「ある葉書」北伊作  ○○さんへ。お元気ですか。これからもさむくなってきましたのでからだにきをつけてくださいね。いまなにをしているのですか。そしてちようとうちのおばあちゃんがなくなってきまいました。 ※原文のママ載せて頂ければ幸いです。
編  編集部に届いた謎の(?)怪文書。解読求む。

100年の旗手感想
魔心地 色感豊かで艶のある、なゝさんの句が大好きです。勝手に師匠と呼ばせて頂きます!

三月 感銘句です。「切干の青きを噛めば伊那の谷」すな恵さん。「ずぶずぶと聖菓を進み逢ひに行かむ」なゝさん。「取水堰しずかに倒し神無月」鍛冶屋さん。三ヶ月楽しませて頂きました。

ほろよい すな恵さん「凩とともに乗りこむ観覧車」。なゝさん「スケツチのやうな暮らしや冬さるる」。鍛冶屋さん「雲梯に釣瓶落としが引っ掛かる」が好きでした。

一走人 すな恵さん「山茶花掃くついでに猫の腹も掃く」。なゝさん「ずぶずぶと聖菓を進み逢ひに行かむ」。鍛冶屋さん「雲梯に釣瓶落としが引っ掛かる」が好きでした。

瑞木 すな恵さん「凩とともに乗りこむ観覧車」。なゝさん「黄落やかたつ端から思ひ出に」。鍛冶屋さん「雲梯に釣瓶落としが引っ掛かる」が好きでした。

連載を終えて御礼
鍛冶屋 秋祭り、新生活の準備と慌ただしい中の連載でしたが、組長はじめ仲間の皆さんのおかげで何とか乗り切れました。とても勉強になった3ヶ月でした。ありがとうございました。

編 「100年の旗手」への応援お待ちしています。


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鮎の友釣り

165
俳号 牛後

烏天狗さんへ 釣って頂いてありがとうございます。烏天狗さんの存在はいつも気になっています。いつかお会いできる日を楽しみに、動物たちの俳句を作り続けましょう。

俳号の由来 一応、鶏頭牛後という故事から。この故事では、鶏頭は牛後に勝るということになっているが、鶏頭を支えている牛後もまたいいじゃないか、というわけで。

俳句との出会い ネットで知り合った牛の獣医さんがたまたま俳句をやっていて、その方の句集を読んだことがきっかけです。ずっとネットとマガジンだけで孤独に俳句を作っていましたが、今は北海道内にも句友ができ、先日は句会にも参加できました。ますます俳句が楽しくなっています。

次回…すな恵さんへ マガジンや俳缶で大活躍のすな恵さん。お互い地方に住んでいますが、遠くからいつき組を盛り上げましょうね。


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告知


1月号付録「季語付スケジュール帳」の使い方大募集!

 毎年1月号には付録として、読者から寄せられた代表三句による代表句集がついていました。
 が、今年からは代表句集は特集として本誌誌上に掲載し、かわりに1年365日全てに違った季語がついた「季語付スケジュール帳」が付録としてつくことになりました。
 今回は「このスケジュール帳をどんな風に使うのか?」俳人ならではのスケジュール帳の使い方を募集します。

募集内容
 あなたの考えた季語付スケジュール帳の使い方を送ってください。
 お名前、俳号(ふりがな)、住所、電話番号を必ず明記の上、宛先/件名を「季語付スケジュール帳の使い方」として100年俳句計画編集室までお送り下さい。
 投稿先 itsukigumi@marukobo.com

締切 1月9日(月)必着
※来月号以降に発表します。



HAIKU LIFE 100年俳句計画
第1回 大人のための句集をつくろう!コンテスト 作品募集
締切迫る!

 「活字になるのは選ばれた一編だけですか」
 募集告知が始まって以来、いろんな人からいろんな質問をされる。そのうちの一つがこれだ。
 小さな句集としてプレゼントされるのは、最優秀賞一編のみだが、結果発表予定の三月号特集が「大人のための句集を作ろう!コンテスト」となるので、最終選考に残った優秀作品何編かは(全句とはいかないかもしれないが)活字となる可能性が高い。
 「ラジオに投句したのでもいいのかな」
 「帰省俳句で入賞した句も入れていい?」
 そもそもこの企画は、「句集を作ろう」なのだから、いろんなところに発表した句を中心にまとめればいい。未発表の句はまた何かの大会やコンテストに投句できるのだからそっちは温存しておいて、既発表句をこの機会に整理し、八十一句選んで応募すると考えればいい。
 「審査は誰がするんですか」
 「外のエライ俳人を呼んでくるの?」
 今回の企画は、既成の権威つまり「外のエライ俳人」に選んで頂くことを目的とするものではない。百年後の未来に残したい作品を、私たち自らが作り、自らが選ぶという永続的企画だ。審査には「一〇〇年俳句計画」委員会があたり、俳句マガジン「一〇〇年俳句計画」に集う個性的な作家群に引き継がれていく、という未来予想図をもっている。
このコンテストから生まれる作家たちの作品が、結果的に「外のエライ俳人」を驚愕させ魅了するはずだと自負しての野心的企画が、「大人のための句集を作ろう!コンテスト」なのである。(夏井いつき)


既作新作を問わず81句の作品集を募集。
大賞作品は本にし、本誌付録として配布します。

募集要項

応募資格
15才以上(高校生以上)の方ならどなたでも応募できます。

応募方法
1 Eメールでの応募の場合
応募用のエクセルファイルに必要事項を全て入力し、Eメールの添付ファイルにして、応募して下さい。
応募用ファイルのダウンロード先
http://81ku.marukobo.com/

郵送の場合
B4判四百字詰め原稿用紙に81句とその表題、俳号、本名、年齢、住所、電話番号を必ず明記して応募して下さい。

締め切り 2011年12月31日(土)

賞 賞状および応募作品による句集10冊
*賞品句集は縦横135ミリメートル 36ページとなります。句集は本誌付録として配布します。

発表 本誌2012年3月号誌上(予定)

送り先
〒790-0022 松山市永代町16ー1
有限会社マルコボ.コム『100年俳句計画』編集室 宛



いつき組投稿締切カレンダー

 
 12/31(土) くらむぼんが笑った&へたうま仙人
 zatsuei@marukobo.com

 1/9(月)
  100年の旗手感想
  魚のアブク

 1/31(火)
 くらむぼんが笑った&へたうま仙人
 100年の旗手推薦募集

 応募先
  〒790-0022 松山市永代町16-1
  (有)マルコボ.コム内
    100年俳句計画編集室
  FAX 089(906)0695
  E-mail itsukigumi@marukobo.com
 宛先/件名に、どこのコーナー宛かお書き添え下さい。俳号/ご本名/住所/電話番号もお忘れ無きよう、よろしくお願いいたします。
 ※ページの都合上お便りを全て掲載できない場合がございます。ご了承下さい。


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編集後記


 表紙も微妙に一新した、『100年俳句計画』、如何だっただろうか。
 昨年まで別冊にしていた「生まれてから現在までの代表三句による代表句集」は、今年から本体に含めることにした。「ザ いつき組」のコーナーを一回お休みしてまで本誌に入れたわけは、コストとの問題だけでなく、1ページ目を開いて始まる句集の方が、読者全員のものになると思ったから。
 代表句の特集は、2007年1月号から行っており、今回で6回目。「生まれてから現在までの」としたことで、無責任に自分の作った俳句を選ぶのではなく、「乗り越えるべき自分自身」に思いをはせて貰おうと始めた企画。毎年締切の時期になると、あちこちで「今年は入れ替える句ができた」とか「できなかった」なんて声が聞こえてくるまでに浸透してきた。
 本誌の年間購読者が、自由に発表できる作品集は、この場だけ。今回参加しなかった方々は、来年は是非投稿していただきたい。
 ちなみに去年までの別冊は、今月号付録のスケジュール帳だけではなく、「大人の句集コンテスト」受賞作品集となる予定。こちらの方はぎりぎり締切に間に合いそう。多数の参加を待ってます。
(キム)


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次号予告 (171号 2月1日発行予定)


次回特集
第5回「夏休み句集を作ろう!コンテスト」結果発表

 小、中学生達が40句の句集を作り、装丁を含め応募する作品賞の結果を発表します。最優秀賞作品をはじめ、受賞作品を全て掲載する予定です。



HAIKU LIFE 100年俳句計画
2012年1月号(No.170)
2012年1月1日発行
価格 600円(税込)

編集人 キム チャンヒ
発行人 三瀬明子

編集長 キム チャンヒ

副編集長
有谷まほろ
むうん

編集スタッフ
三瀬明子
正人
あづき
夏井いつき


執筆 協力
香雪蘭
凪太

磨湧
大塚めろ
蛇頭
らくさぶろう
はやしちえり
桃ライス
律川エレキ
猫正宗
どん
暇人
牛後



発 行 有限会社マルコボ.コム
    〒790-0022愛媛県松山市永代町16-1
    TEL (089)906-0694 FAX (089)906-0695
    E-mail itsukigumi@marukobo.com
    HP http://marukobo.com/
印刷 明星印刷工業株式会社